モロボシ・ダン

登録日:2012/01/02 Mon 05:51:44
更新日:2024/01/18 Thu 20:25:58
所要時間:約 11 分で読めます





体の限界を迎えても彼は戦い続けた
愛する者たちを守るため
守りし者の宿命として
彼は戦い続けた



君は一体何者だ?

僕はご覧の通りの風来坊です

名前は?

名前……?そう

『モロボシ・ダン』

とでもしておきましょう



モロボシ・ダンとは、『ウルトラセブン』の主人公。

演:森次浩司(森次晃嗣)


【概要】

ウルトラセブンが人間に擬態した姿であり、モデルはセブンが出会った青年・薩摩次郎。

漢字表記では「諸星弾」。
ただしカタカナ表記の方が多く、検索欄だとアイカツの中の人とか他の諸星の方が引っかかるので、カタカナかセブンの方が一般的。

元々、セブンはM78星雲の恒点観測員であったが、
何らかの理由で地球が好きになり、登山中に友人を助けるために命を賭けた薩摩青年の行動に心を打たれたこと、
地球が数々の侵略者から狙われていることを知って地球を守ることを決意し、モロボシ・ダンの姿となって風来坊として1人で動いていた。
この理由付けは地球を守る理由が存在せず、単純に戦闘代行者と捉えられてしまった初代マンの反省でもある。

次郎はこの際、命を落としたとする書籍もあるが17話で寸前にセブンに助けられ生存が判明している。

その後、ウルトラ警備隊と遭遇。1話での活躍から警備隊へ招かれて入隊し、以降様々な敵と戦っていく。
あくまで「人間のモロボシダンとしての力」で事件解決に取り組む為、初代マンのようにいきなり変身して事件を解決したり、
事件の芽を潰すということはない(無論宇宙人との交渉などセブン時の方が適任であるならその限りではない)。

変身(元の姿に戻る)時にはゴーグル型の変身アイテムであるウルトラアイを使用するが、何度か盗まれたことも(何故か女絡みが多い)。
また、変身する為に一緒にいたソガ隊員を殴って気絶させてしまったことがある。

そのような緊急時にはカプセル怪獣を使用し対処するが、
そのカプセルを消失したり、破壊されたり、電子頭脳が弱点のウインダムを円盤相手に使いノックダウンされたり、
電気や寒さに弱いミクラスを電気を使うエレキングや冷気を使うガンダ―にぶつけるなど(一部ではミクラスは寒さにも強いともされているが)、
扱い方がうまいとは言えない…というか多分、下手である
また、人間体時でもウルトラ念力やテレパシーなどが使用できるがワイアール星から産出される金属・チルソイトだけはこの透視能力をもってしても中を見通すことはできなかった他、ポール星人とガンダーが発生させた異常寒波の中でも使ったが視界が悪く完全に見通せなかった。

【人物像】

温厚かつ誠実な人柄で、経歴不明でありながら他の隊員達の信頼も厚い。

また、アンヌと映画館デートをした時は巨大煎餅を食べて周りに迷惑かけたり、
アンヌと遊園地で楽しくデートしたり、星人を助けることができると知って「うわぁ~い♪」と純粋に喜ぶ一面もある。これは下述のように当初はポインターを運転する19歳の少年(準隊員)という設定だった名残である。
「タロウ」で東光太郎が兄弟達にバーベキューをご馳走する時に、不仲なのか食欲に勝てないのか「ゾフィーのことなんかいいよ」という迷言を残した。

その一方で和解の約束をしたペダン星人に裏切られたり、
地球人の判断で住んでいた星を破壊されて復讐鬼となったギエロン星獣をやむを得ず殺したり、
母星に見捨てられたマゼラン星人のマヤに地球で共に生きようと誘うが退けられて自殺してしまったりと宇宙人という立場から苦しむ場面もあった。

また基本的には優しい性格だが問題児だった青木隊員に対して怒鳴って怒ったり、
「タロウ」で自分の力を過信する光太郎に「タロウ!言葉を慎め!」と厳格な部分を見せたりと、この時点でも「レオ」時代のような厳しい一面を見せる。

最終回では今まで蓄積された疲労で高熱に襲われ、セブン上司から帰還を促される。
それでも、僅かなエネルギーを振り絞って仲間と地球の為に戦い、辛くも勝利して地球を去った。
しかもこの回はウルトラ警備隊がやむを得ずアマギ隊員の捕らえられたゴース星人の基地を攻撃しようとしたため、ダンはセブンに変身してからまずアマギ隊員を救出し、直後にパンドンが現れたためパンドンとの戦闘に移行している。
少しでも力を使わずにいられればもう少し戦えたかもしれないが、共に戦ってきたアマギ隊員を見殺しにするなど、仲間想いのダンには考えられないのであった。

企画の初期段階では、普段はウルトラ警備隊の運転手の諸星弾は、地球人とR星人の混血でレッドマンに変身する特殊能力を持つという設定だった。

プロット段階では、ダンはポインターの運転手という準隊員で、活躍を重ねて隊員に出世していくという、サクセスストーリーが考えられていた。
しかし森次が運転免許を持っていなかったため役が決まってから教習所に通いだしたものの撮入には間にあわず、風来坊として登場させ、最初から正隊員とするという設定がとられた。



【他作品での活躍】

セブンの人気もあって本放送以外での再登場も多く、演者の森次晃嗣氏は50年もの間モロボシ・ダン役として度々出演している。
この他、ウルトラマンジードでは1話冒頭のセブンのセリフたったひとつを当てるためにアフレコでチョイ役出演を行なっている。
「セブンの声は森次晃嗣氏が良い」という多くのファンの期待に応えてくれたものであろう。

●『帰ってきたウルトラマン』

39話「ウルトラの星光る時

初代ウルトラマンと共にジャックを救うために登場。
ウルトラ警備隊の制服姿で登場し、ハヤタ・シンとの握手も見せた。


●『ウルトラマンタロウ

33話「ウルトラの国大爆発5秒前!」

34話「ウルトラ6兄弟最後の日!」

光太郎企画のバーベキューパーティーに誘われ、地球に来訪するが、自分たちを狙ってきた[[テンペラー星人]との戦いに身を投じる。
最初はタロウの自立の為、タロウ1人で戦わせた。
勝利するも慢心したタロウを戒める際には、「口で言っても駄目だ。身体で分からせないと!!」と発言するが、
次作での厳格な指導者ぶりの予兆でもあったのかもしれない。
バーベキューパーティー開始時、ゾフィーのことなんかいいよ』の名言も残す。ダンにも食い意地はある。
ダンの姿で登場したが、北島やバレーボール部員の身体を借りたりもした。


●『ウルトラマンレオ

再び地球の守りに就き、MAC隊長としても活動。
主役以外の役割で再登場、かつレギュラー出演した稀有な事例となった。
しかし、第1話でいきなりマグマ星人とギラス兄弟との戦いで足を負傷し、松葉杖生活を余儀なくされた上に、ウルトラアイが破損したために変身不能になり以後レオ本編でダンがセブンに変身することはなかった。
そのためにウルトラマンレオ=おおとりゲンを後任とし、彼を鍛えていった

隊長という職に就いたこともあり、ウルトラ警備隊時代とは一転して、厳格な面が色濃く出ているが、
ゲンの成長を誰よりも喜んだり、ゲン以外の部下たちにも配慮を行うと、そこまで鬼でもない良き上司の姿も見せている。

壊れたウルトラアイは、その後も所持しており、ツルク星人バイブ星人の回ではセブンに変身できないことに悔しがっていた。
自身が変身できない時に使うカプセル怪獣も使用するにはウルトラアイのエネルギーが必要なため壊れた影響で使用できなくなったと児童誌で説明されている。
第34話でウルトラマンジャックこと郷秀樹が修理のため光の国へ持ち帰ったことになっており、
当時の児童誌ではウルトラの父が修理に必要な特殊金属を採掘して旋盤のような機械で型抜きしているイラスト付きの解説で紹介されている。

変身不能かつ身体が不自由になったとはいえ、身体的ハンデを感じさせない、戦闘能力を発揮し、松葉杖で格闘戦と射撃戦もこなす。
ウルトラ念力も使えるが、使用すると体力を消耗する上に寿命も縮まるため多用はできない*1

新人時代ではなく隊長という立場から「ダン」よりも「モロボシ」と呼ばれる事が多く、
本人もほぼ「モロボシ」と名乗り、「セブン」時代には「僕」だった一人称が「私」もしくは「俺」になっている。
ちなみにウルトラマンキングと会話する時のみ、一人称が「セブン」時代の「僕」に戻っていた。

アンヌらしき女性と再会を果たすが……

恐怖の円盤生物シリーズ!ではイメチェンしてパーティーを楽しんでいたところシルバーブルーメに強襲されて行方不明となる。
最終回ではセブンの姿で登場し、レオにメッセージを伝えた。

元々MACの隊長として設定されていた川上鉄太郎役をオファーされた森次氏が「ウルトラシリーズにはダン役以外では出演したくない」と訴え、
それを受けて急遽ダンがMACの隊長となったが、その結果川上鉄太郎の「ゲンを鍛える鬼隊長」というキャラクター像がダンに反映されることとなり、
『ウルトラセブン』等で見られるモロボシ・ダン像とは異なる「鬼隊長」となり、仮に企画段階のまま制作されても森次の役柄がダンではなく川上になるだけで物語の本質は買わなかったことになるが、初期案ではそのキャラに意味深な設定も設けられており、ダンとの繋がりを匂わせている。
詳しくはレオDVD1巻参照。

後年この事を後悔しており、レオ時代の事はあまり触れたがらなかった。

逆に近年はレオ時代の事にも目を向けて欲しいと述べている。

内山まもるの漫画版にも登場。変身不能になる展開はテレビ版と同じだが、バンゴの回ではウルトラの父から送られたエネルギーで一分間だけセブンに変身して戦い、『小学三年生』(小学館)に掲載された内山まもるによる漫画版『ウルトラマンレオ』(てんとう虫コミックス『ザ・ウルトラマン』第3巻に収録)では、レオは修復されたウルトラアイをウルトラ兄弟から託され、それを渡されたダンは残る力を振り絞ってセブンへの変身を敢行し、MAC地上基地の大型ミサイルを担いでシルバーブルーメに特攻し、本当に死亡する。これによる大打撃で弱ったところを、最後はレオがセブンから形見として受け取っていたアイスラッガーで両断されるという展開になっている。



●『平成ウルトラセブン

『レオ』とは別の時間軸として地球を去った後も休む間もない程に宇宙中を飛び回り、
数々の負傷を負いつつも怪獣や侵略者と戦って地球の平和を守り続け、環境問題を通してエレキングメトロン星人と再び戦う。

また、1998三部作以降は新たに若きウルトラ警備隊隊員のカザモリ・マサキとしても活動する。

しかし、最終章六部作では仲間であるフルハシの死やかつて地球人の祖先が犯した大罪による悲しく重い決断など、かなり苛酷な戦いを強いられた。


●『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟

MAC全滅事件でウルトラの母に助けられてしばらくし、ヤプール封印のためにエネルギーを使い果たし、兄弟達と20年間人間として暮らしていた。
その間は牧場で働き封印を監視していた。
レオの時から時を重ねたためか再び温厚で優しい性格に戻っている。


●『ウルトラマンメビウス

46話「不死身のグローザム」

馬に乗ってカウボーイスタイルで颯爽と登場。
いささか大仰だが、中の人が乗馬に慣れていることもあってカッコいい。
『ウルトラセブン』で風来坊として初登場したときを彷彿とさせる。
暗黒四天王・グローザムを相手に諦めかけるコノミに語りかける。
又、グローザムとの戦いに現れメビウス達と共闘。
その後、メビウスを励ます際には、MAC全滅の一件について初めて自ら言及している。ゲンと同様に、ダンにとってもあの事件は『悲しい思い』として心に残っているようだ。
最終話でも再登場し、GUYS隊員達を激励した。


●『ULTRASEVEN X

最終話に登場。
平行世界からの侵略者を止めるために負傷した青年ジンと一体化する。
ジン達の世界を救って元の世界に帰還後、時系列は不明だがアンヌと再会を果たした。


●『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE

ウルトラマンベリアルによって光の国の人工太陽のコアが奪われ、ウルトラマンと共に人間体に。

その後、シャプレー星人相手に激しいアクションを見せ、
メビウスに変身できなくなったミライ、ゴモラを召還しようとするも氷山に落としてしまったレイに代わりカプセル怪獣三体を同時に召喚して戦わせた。*2

タワーへの道中、大罪を犯して光の国から追放された実の息子・ウルトラマンゼロについて「馬鹿な奴だ」と言いながらも彼を心配していた。
タワー到着後はタロウが残したエネルギーで変身可能となり、怪獣墓場での決戦へ赴いた。


ウルトラマンサーガ

光の国でウルトラ兄弟が会話するシーンで登場。
その際、セブンからダンの姿へと変わる。

またフューチャーアースではサーガ降臨の奇跡とともに登場。
タケルの肩に手を置き「何も心配はない」とチームUに伝えるとレジェンド5の面々とともにウルトラセブンに変身した。
何気に「同じ画面でモロボシダンとおおとりゲンが同時変身した事」はこの映画がである。


劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!

終盤にガピヤ星人サデスデアボリックに苦戦するオーブの前にダンの姿で颯爽と登場。
オーブの目の前でウルトラアイを取り出し、即座にセブンに変身した。
この際、実に49年半ぶりに自身を「風来坊」と名乗っており、同じく風来坊であるクレナイ ガイの先輩である事を強調していた。
また、オーブが「あなたは…?」と聞いている事からガイはセブンの事は知っているもののダンに擬態してる事は知らなかったと思われる。

「誰でも無い、ただの風来坊さ」



【主な台詞】


「まず相手を信じる事です。そうでなければ、人間は永遠に平和を掴むことなんかできっこないんだ!」

「僕は絶対にR1号の実験を妨害するべきだった……本当に地球を愛していたのなら……地球防衛という目的のために……それができたのは僕だけだったのに……」

「それは、血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ」

「ぶぅーんぶんぶんぶぅーんぶんぶんぶぅーん」

「こんな美しい顔で血を吸うわけがない」

「この星で生きよう。この星と一緒に……」

「何故他の星ででも生きようとしなかった……僕だって同じ宇宙人じゃないか……」

ノンマルトが地球の先住民で、もし人間が地球の侵略者だったとしたら……」

「しかし、この美しい星を狙う侵略者達は後を絶たない。僕が帰ったら地球はどうなるんだ?」

「アンヌ、僕は……僕はね……人間じゃないんだよ。M78星雲から来たウルトラセブンなんだ!!」

「明けの明星が輝く頃、一つの光が宇宙へ飛んでいく。それが僕なんだよ」

「ゾフィーの事なんかいいよ。さあ始めよう」

「タロウ!口を慎め!!」

「あそこに沈む夕陽が私なら、明日の朝陽はウルトラマンレオ、お前だ!」

「お前がやらずに誰がやる! お前の涙で奴が倒せるか! この地球を救えるか! みんな必死に生きてるのに挫ける自分を恥ずかしいと思わんか! やるんだ……もう一度やるんだ!」

「勇敢なMACの隊員を失った。失った命は返らない……ゲン、分かるか?
この先どんな宇宙人が現れるかもしれん。一人の犠牲者も出さずに戦うのは難しい事だ。だが、俺達はそれをやらねばならん。ゲン! 頼むぞ!」

「男は外で戦わねばならん。何故だ? その後ろで女の子が優しく花を摘んでいられるようにしてやるためじゃないのか!?男まで、女の子と一緒になって家の中で飯事­ばかりしてたら、一体どうなる!?立て!」

「地球は僕の第二の故郷です。もし地球がウルトラの星と衝突する時は、僕は地球と一緒に死にます」

「お前の命はお前一人のものでない事を忘れるな! 行けー!!」

「人類はまだ続けているよ。血を吐きながら続ける悲しいマラソンを……」

「かつてのウルトラマン達も強敵に敗れることがあった。
しかし、そんなウルトラマンたちの窮地を人間は救ってきた。
ウルトラマンも人間も仲間がいる限りどんな強敵とでも戦う事ができ、そして勝つ事ができる」

「私は、私の心になんら恥じるところはない。
愛する者を守ろうとする事は、宇宙に普遍な摂理。後悔はしていない」

「馬鹿な奴だ。我々の気持ちも知らないで……」

「…何も心配はない。我々は……必ず勝つ!」

「必ず…未来を掴もう!それが……」




メビウス

仲間たちを大切にな

俺が受けた悲しい思いだけは

君に味わせたくない


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最終更新:2024年01月18日 20:25

*1 ただ後の時代にも特に大きな問題は発生していない。ウルトラマンのテレポートやらタロウのウルトラダイナマイトやら、強力な能力や使用制限を強調するために寿命が減るという設定を採用している能力は結構あるし、ウルトラマンの寿命は人間とは違うだろうから気にしてはいけないのだろうが

*2 同作の超全集ではカプセル怪獣を3体同時に召喚するのは稀なことだとされている。