Fi103

登録日 :2011/01/23(日) 22:46:17
更新日 : 2015/01/26 Mon 12:03:24
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Fi103とは、通称「飛行爆弾」もしくは「バズ・ボム」と呼ばれた、第二次世界大戦中にドイツ空軍が開発したV1飛行爆弾の事である。


◇開発の経緯
 1933年頃、フィゼラー社はドイツ空軍に対し「無人爆撃機」の開発を提案するものの、誘導性能や航続能力等の点から、現実的ではないと、感心を示されなかった。しかし1942年6月、ドイツ空軍はフィゼラー社に対し「パルスジェット推進による無人飛行爆弾」の開発を命じた。この理由は、イギリス本土に対する爆撃機の戦果が期待できない問題や、陸軍のA4ロケット(V2ロケット)に対する対抗、ヒトラーの思いつき(注1)、等と言われている。
 1942年12月、Fw200により初の投下実験が行われ、同月カールスハルゲン実験場よりバルト海に向け試射された。開発を命じられてから6カ月という早業ではあるが、単純な構造であった事などが理由である。
 陸軍のA4ロケット(V2ロケット)と、どちらを採用するかは、新たに設置された長距離攻撃委員会に委ねられる事となったが、この完成によって先行していたFi103が外れることは無いと思われた。
 1942年5月26日、委員会はペーネミュンデで発射実験を見学し、討議の末どちらも生産することに決定した。この実験は、低い成功率ながら2回中2回成功したA4ロケットと、2回とも目標以前で墜落したFi103という結果であった。


◇性能など
 誘導装置は、ジャイロスコープによって方向を定め、アネロイド気圧高度計によって高度を設定し、機首先端のプロペラ回転数によって距離を算出し、一定距離でエンジンを停止、落下させ突入すると言うもので、ぶっちゃければゴム動力の飛行機である。
 なお、パルスジェットエンジンはアルグス社、誘導装置をジーメンス社、発射台をヴァルター社が担当した。

Fi103の特性と機体データ
 Fi103は前述の様に、小型機の背中後部に筒状のパルスジェットエンジンを搭載した単なる簡易飛行爆弾で、かつ半木製で非常に安価で量産可能だった。
 凄まじい騒音を発しながら飛行し、落下を始めると、どこに落ちるかわからない点から、イギリスや、連合国下のヨーロッパでは非常に恐れられていた。
 実際に発射されたのは21770発に上り、失敗とされたのが2448発ある。イギリスの死者及び重傷者は24165人であった。着弾率は28%とされる。

 このFi103は、時速が600Km/hとイギリスのスピットファイア戦闘機と比べ非常に鈍く、対空砲や戦闘機の機関砲、果ては主翼で叩くなどの方法で迎撃可能であった為、多数のFi103が撃墜されている。

全長 8.32m
全幅 5.37m
全高 1.42m
発射重量 2150Kg
弾頭重量 850kg
最大速度 600Km/h
最大上昇高度 3000m
航続距離 約250Km
動力 As014 パルスジェットエンジン


◇戦略的な価値
 上記のように、撃墜が容易であり、多数のFi103が目的地に到達することがなく、失敗作または技術を先取りしすぎた等と批判される。
 しかし発射コストが極めて安価であった事、なまじ撃墜出来るために、当時はまだ数が揃っているとは言えないスピットファイアⅨを駆り出さねばならなかった(注2)事、また運用が容易であり、簡易発射台の使用も可能で移動出来るゲリラ的攻撃が可能である事等から、戦後のイギリスにおいては「ランカスター一機を爆撃に回すより効果的」との評価を得た。

◇脚注
注1
アシカ作戦失敗によって、優秀な爆撃要員を失った事は首脳陣にとっても頭の痛いことであった。

注2
Fi103による攻撃当時のイギリス主力戦闘機は、
ハリケーンMk2(558km/h)ボーファイター(520km/h)スピットファイアMk5(600Km/h)であり、
スピットファイアMk11(660Km/h)モスキートMk6(608Km/h)タイフーンMk1(612Km/h)はロットアップしたての少数しか配備されていなかった。


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