関西本線

登録日:2013/03/29(金) 08:59:59
更新日:2023/12/16 Sat 07:50:37
所要時間:約 5 分で読めます




関西本線(かんさいほんせん)は、名古屋駅とJR難波駅を結ぶ鉄道路線である。
名古屋~亀山駅間がJR東海、亀山~JR難波駅間はJR西日本が保有している。

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本項では路線全般および名古屋地区の詳細について説明する。
加茂~JR難波駅間の詳細については大和路線を参照。


概要

元は関西鉄道によって作られた路線で、路線名もそこから来ている。

私鉄時代は名阪を最短で結ぶ超重要路線であり、国鉄買収後もそれなりの地位を占めていたが、新幹線の登場や東海道線の急激な発達、さらに名阪国道や近鉄電車といったライバルにその座を譲り急速に衰退。
起点から終点までを通して走る優等列車は1973年の湊町電化で奈良止まりとなり、2006年の「かすが」(名古屋~奈良間)廃止を最後に消滅した。
特急列車に至っては1967年の「あすか」(名古屋~東和歌山(現:和歌山)間)廃止を最後に半世紀以上設定されていない状態が続いていたが、2024年3月改正で新大阪~天王寺~奈良間に通勤特急「らくラクやまと」が設定されることとなった。
一方、両端の大都市近郊区間となる奈良~湊町間は1973年、名古屋~亀山間は1982年に電化された。
国鉄分割民営化後は本格的なテコ入れが実施され、加茂~JR難波間がアーバンネットワークに指定され近郊路線として生まれ変わる。
一方で、JR東海側も伊勢志摩方面のアクセスを強化し、快速「みえ」を創設して遅れていた時間を取り戻しつつある。
とはいってもJR東海側は所々単線区間が残っている状態の為、全線複線化されている近鉄に大きく差をつけられている。
え、加茂~亀山間?
知りません。

これらの経緯から山陰本線同様に単線・複線、電化・非電化の路線が全て存在する非常にカオスな路線になってしまっている。

なお名古屋と大阪を往復する時、関西本線・片町線大阪環状線・東海道本線(東海道新幹線)で1周する形の乗車券を買うと東海道線経由で往復するより運賃が若干安くなる。その代償として片道の所要時間が4時間を超える上、えきねっとや指定席券売機・みどりの券売機で購入することは出来ないが…。

今後の予定として、2024年秋に前述した「かすが」ルートで臨時列車の運行実証実験が行われることが明らかにされている。


使用車両

本項ではJR車のみ記述し、特筆が無ければJR東海の車両とする。
加茂~JR難波間は大和路線を参照。

▼313系
JR東海では全電化路線で見ることができた御馴染みの車両。
2両編成の1300番台と4両編成の1000・1100番台が使用されている。

▼315系
2022年にデビューしたロングシートの通勤形電車。
4両編成で前面に幌を装備した3000番台が2023年6月から運用を開始した。

▼HC85系
特急「南紀」で使用。
2023年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。

▼キハ75形
快速「みえ」で使用。
こちらも河原田から伊勢鉄道直通。
名古屋~奈良間を走っていた急行「かすが」で運用されたこともある。
主に0番台と100番台が使用されている。

▼キハ120形
JR西日本の車両で、0番台と300番台が亀山~加茂間で使用される。
JR西日本の近畿エリアでこの車両が見られるのは関西本線のこの区間のみ。

過去の車両

JR化後に使用された車両を記述する。

▼キハ58系
急行型気動車。JR東海所有車は急行「かすが」と快速「みえ」に、JR西日本所有車は亀山~加茂~奈良間の普通列車に使用された。
JR東海所有車は座席の交換・エンジン/変速機の換装・台車の交換などを実施し110km/h運転に対応する車両もあった。

▼キハ65形
キハ58系列の冷房電源と編成出力確保用のブースター車。
こちらもキハ58系と同様の改造工事を実施していた。

▼キハ82系
曲線を描くパノラミックウィンドウの美しい、日本を代表する特急型気動車。
特急「南紀」に使用。

▼キハ85系
特急「南紀」で使用。
HC85系導入に伴い、2023年6月で引退した。

▼103系・113系・165系・211系・213系
名古屋-亀山間の普通列車に使用。
103系・113系・165系は313系第1次車のデビュー時に、213系は119系の置き換え準備のため313系の増備時に、211系は315系デビューに伴う中央線の8両編成統一時に撤退した。
…のだが、211系のみ315系導入までのつなぎで2023年10~12月の間暫定復帰を果たした。


停車駅

種別 関西本線(JR東海) 最長運転区間
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特急南紀 伊勢鉄道紀勢本線直通 名古屋⇔紀伊勝浦
快速みえ 伊勢鉄道紀勢本線参宮線直通 名古屋⇔鳥羽
快速 名古屋⇔亀山
区間快速 名古屋⇔亀山

駅一覧

名古屋~亀山間にはCJ、亀山~加茂間にはV、加茂~JR難波間にはQの路線記号がそれぞれ設定されており、運行系統もこの記号に概ね準じている。

CJ 00名古屋
東海道新幹線東海道線中央線名古屋市営地下鉄東山線桜通線あおなみ線名鉄線近鉄名古屋線乗り換え。
愛知県第一の都市にして日本第三位の大都市である名古屋市の一大ターミナル駅。
関西本線は11~13番線を使用。
因みに名古屋駅を出てすぐの笹島信号場から弥富駅までいきなり単線区間に突入する…。

CJ 01八田
名古屋市営地下鉄東山線、近鉄名古屋線(近鉄八田駅)乗り換え。
高架駅だが単線で、国鉄配線のため貨物列車が中線で待避していることが多い。

CJ 02春田
2001年開業の一番新しい駅。利用客も順調に増えている。
名古屋市内の駅はここまで。

CJ 03蟹江
ここも貨物用の中線がある。最近になって橋上駅となった。
JRでは蟹江町唯一の駅だが利用者は近鉄の方が多い。

CJ 04永和
周囲が田園地帯で、がポイントに挟まって止まったりするユーモラスに溢れた駅。
愛西市唯一のJR駅。

CJ 05弥富
名鉄尾西線乗り換え。南側に100m程歩けば近鉄弥富駅へも乗り換え可能で、共に弥富市の中心駅の役割を…と言いたい所だが利用者は近鉄の方が倍近く多い。
因みに名古屋駅以外でJR・名鉄・近鉄3社が利用出来る唯一の駅である。
ちなみにこの駅は「日本で一番低い場所にある地上駅(海抜マイナス0.93m)」と言われているが、
実際は隣接する近鉄弥富駅の方が低い位置にあるのではないかという意見も出ている。
ここから複線区間。

CJ 06長島
近鉄長島駅が至近にある。
ここから三重県の駅となり、駅の東側(愛知県と三重県の県境)で木曽川、西側で長良川と揖斐川の3つの大きい川を一気に渡る。

CJ 07桑名
近鉄名古屋線、養老鉄道養老線、三岐鉄道北勢線(西桑名駅)乗り換え。
桑名市の中心駅で三重県内のJR・養老鉄道の駅では最も利用者が多い駅。ここから隣駅(朝明信号場)までの間に僅かだけ単線区間が存在する*2
かつては改札が3社共用で、特にJRと近鉄は中間改札なしで乗り換えが可能だった(養老鉄道は近鉄ホーム上に中間改札がある)。
が、2020年の改修工事にて遂に3社の改札が共用でなくなり、それぞれの改札を利用して乗車出来るように。

この桑名駅西側には「3種類の線路幅の線路が通る踏切」がある。
これは全国でもここだけで、北から近鉄(1435mm)、JR(1067mm)、三岐鉄道(762mm)という順番になっている。

CJ 08朝日
朝日町唯一のJR駅。近隣には東芝の工場がある。

CJ 09富田
近鉄名古屋線(近鉄富田駅)乗り換え。
三岐鉄道三岐線は近鉄富田駅だけでなく当駅でも乗り換えできたが、現在は旅客列車が全て近鉄側に行ってしまう為、乗り換えには300m程歩く必要がある。
(貨物列車は現在もこちらに来る)

CJ 10富田浜
四日市の工業地帯の一翼を担う霞ヶ浦島や、霞ヶ浦緑地公園に一番近い駅…だが、そこへのバスの発着はない。

CJ 11四日市
平日は1日491本の列車が発着する三重県最大にして最も利用者が多いのターミナル駅である近鉄四日市駅はここでは乗り換え不可能…!徒歩で約20分ほど離れた場所に位置する。
近鉄と比べて寂れていることをよくネタにされるが、貨物では三重県最大のターミナル駅であり、石油やセメントのタンク車からコンテナ車まで様々な列車が発着する。貨物専用の支線もここから延びている。

CJ 12南四日市
周辺は工場地帯の他、高校が何校かある。定期貨物列車はないが貨物駅ということもあって側線も複数ある。

CJ 13河原田
伊勢鉄道伊勢線乗り換え。
ここでJR東海の複線区間は終了する。
特急「南紀」と快速「みえ」はここから伊勢鉄道へ直通。

CJ 14河曲
「かわの」と読む難読駅。元祖鈴鹿駅でもある。

CJ 15加佐登
鈴鹿病院の最寄り駅。

CJ 16井田川
リニア中央新幹線三重県駅の候補地の一つ。

CJ 17亀山
紀勢本線乗り換え。
JR東海とJR西日本の境界駅で、電化区間も一旦終了。ICカードで直通乗車する場合、一旦精算が必要。
駅舎はリニューアルされているが実は大正時代の建築。
亀山市の代表駅で三重県で唯一城郭建築物が残る亀山城の最寄駅。
かつては機関区があり、現在もJR西日本の車両基地があるため構内は広く、使われてこそいないものの転車台も現存。


東海道関宿の他、ひまわり畑の名所がある。関西本線としてはJR西日本管轄最東端の駅。

加太
関西本線非電化区間では唯一の終日完全無人駅。駅名は「かぶと」と読む。
ゴミ箱もない、けど灰皿はある。

柘植
草津線乗り換え。
「つげ」と初見ではまず読めない駅名。
三重県で初めて出来た駅にして三重県内にある駅としては唯一、JR西日本の「電車」がやって来る駅でもある。ランプ小屋や便所、ホームなどは明治時代の開業当時のものが残っており、駅舎も建築年こそ不明だが昔ながらの木造駅舎が残る。
かつては機関支区があったため構内はやや広く、跡地は草津線用の留置線に転用されている。転車台も残っている。
ここから大阪近郊区間に入る。

新堂
島式1面2線だがホーム上に駅舎がある少し変わった駅。

佐那具
関西本線の中間地点は大体この辺り。

伊賀上野
伊賀鉄道伊賀線乗り換え。共同使用駅で、伊賀鉄道の駅名標もJR仕様となっている。
開業当初の明治時代に建築された駅舎が、130年以上経った今なお使われている貴重な駅。
伊賀市の中心である伊賀上野の市街地は伊賀鉄道の上野市駅周辺にあり、駅名に反して周辺はかなり田舎。

島ケ原
やぶっちゃの湯という温泉施設へのアクセス駅。

月ケ瀬口
京都府最東端の駅。駅名の月ケ瀬は奈良市の一地区であり、そちらへのアクセスを兼ねる。
戦後に設置された、この区間では新しい駅で、駅舎もモダンなコンクリート建築。梅の時期には月ヶ瀬へ向かうバスが発着する。

大河原
南山城村の代表駅…だが利用者が一番少ない。東北本線にも同名の駅がある。

笠置
京都府で一番人口の少ない笠置町唯一の駅。
跨線橋・駅本屋・待合室・8両編成対応のホーム等を完備した駅。
かつての栄光を偲ばせる。
桜の名所として有名で、SLブームの時代から知られる撮影地。

JR-Q39加茂
ここから大和路線区間で、再び電化区間に入る。
木津川市加茂地区の中心駅。




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最終更新:2023年12月16日 07:50
添付ファイル

*1 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/kiha/kiha75mie.jpg 日時:2016/01/03

*2 三岐鉄道北勢線の橋脚があるため、複線化用地が確保できていない。運行上もかなりネックになっている。