大和路線

登録日:2013/03/28(日) 22:36:45
更新日:2024/03/17 Sun 19:40:04
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大和路線(やまとじせん)は関西本線のうち、JR西日本が保有する加茂~JR難波間の愛称である。
ラインカラーは「古都の落ち着いたイメージと新しい開発エリアのイメージ」の 緑。
路線記号は日本の鉄道路線では唯一となるQを使用する*1
*2

概要

大阪環状線阪和線と並び、アーバンネットワーク南部の重要路線に位置付けられている。天王寺駅~今宮駅間は大阪環状線と重複している。

私鉄時代は名阪を最短で結ぶ超重要路線であり、国鉄買収後もそれなりの地位を占めていたが、新幹線の登場や東海道線・近鉄電車の急激な発達にその座を譲った後は1973年に奈良~湊町間が電化された以外は非電化で無視され続けていたが、JR西日本に引き継がれると同社は本格的にテコ入れを開始した。
まず手始めに、1988年のダイヤ改正に伴い
  • 残りの区間を全て電化
  • 日中の快速の増発
  • 大阪環状線に直通する区間快速の新設
  • JR西日本初の車両で最新鋭(当時)だった221系の大量投入
を行い、かつての栄光を取り戻しつつある。

大阪府内の駅の利用者が大半を占め、大阪府内では近鉄大阪線奈良線と競合関係にある。
尤も大阪~奈良間では難波と奈良市の中心を直線で結び、阪神なんば線直通で神戸にも行ける近鉄の方に分がある。
加茂~木津のみ単線になっており、JR西日本は2004年の「輸送力の強化等によるサービス向上に資する事業」で複線化の計画があるのだが、今の所具体的進展はない。これより後に決まった可部線はもう既に工事が終わっているのに…。

◆運行形態

ダイヤは基本的に日中普通4本快速6本で、複数路線への乗り入れがあるため両端部は密度が薄くなる。
普通は全てJR難波~王寺間で、6本の快速は奈良発着大和路・加茂着大和路・高田発着が2本ずつ。
ただし加茂発の快速は時々少なくなっていて、その時は加茂発普通で間合い運用が行われている。

行き先は本当に色々あって、知っておかないと京都府や奈良県のガチ田舎に送られるので気を付けよう。

2023年10月からは、平日朝の区間快速・直通快速の8号車に指定席「うれしート」が設置された。新快速の一部列車に設置された「Aシート」の大和路線版だが、専用車両はなく8号車の後半分を暖簾で仕切ったものとなっている。
相変わらず扱いが悪いとは言ってはならない

現行の種別


区間快速

環状線に直通し天王寺から環状線内の全ての駅に止まる優等種別。
上りは奈良または加茂行き、もしくはそれを含む二階建て。下りは全て内回りの大阪行きだが、そのまま天王寺まで運行する。上りは折り返して逆に外回りになる。
休日はほとんど大和路快速に置き換えられる。つまり大和路線の行き先が…
これらとは別に平日のみ早朝深夜に奈良~西明石間を走る学研都市線のみ区間快速があり、こちらも休日は学研都市線快速に置き換えられる。

快速

最優等種別の一つで、基本的にはJR難波を発着し天王寺・新今宮にも止まる。
しかし行き先が多く特にカオス。以下のものがある。
  • 通常の快速…上りは王寺・奈良・加茂行き。
  • 和歌山線直通の快速…上りで王寺から高田・五条に向かう。和歌山線内は単線だからしょうがなく全ての駅に止まる。
  • 二階建て快速…上二つがドッキング。前後で行き先が変わる。
  • 柏原発快速…快速が止まらない柏原から出発する快速。上りは柏原行き普通として送り込まれる。
この他、奈良線学研都市線に直通する列車も存在する。

直通快速

最優等種別の一つで、おおさか東線を経由して大阪駅(うめきた地区)へ向かう。平日と休日で運転本数が異なり、平日は朝に奈良→大阪、夕方に大阪→奈良の列車がそれぞれ片道4本ずつ運転される。
土休日は朝夕に大阪⇔奈良間で朝夕それぞれ2本ずつの運転となる。
おおさか東線新大阪~放出間開業前は、学研都市線JR東西線経由で尼崎発着となっていた。

大和路快速

最優等種別の一つで、環状線に直通し環状線内も一部駅を通過する。平日ラッシュの一部時間帯は運行されない。
ルートは区間快速と同様。
平日は全て上りは奈良または加茂行きで、下りは環状線を一周して天王寺行き。あくまでも平日は。

普通

大和路線内は全ての駅に止まる。
基本的にはJR難波を発着し王寺までで運行されるが、一部は柏原・奈良発着。早朝のみ加茂発着や上述の奈良線のみ快速もある。
間合い運用として王寺~奈良、加茂~奈良間の区間列車もある。

特急まほろば

2019年から運行を開始した新大阪~奈良間をおおさか東線経由で結ぶ臨時特急列車で、上下1本ずつの運転。
同名の列車は2010年にも運行されており、この時は大阪環状線を通り天王寺を経由するルートだった。
2023年からは大阪(うめきた地下ホーム)始発に変更され、同年秋からは初の途中停車駅に法隆寺が追加された。

特急らくラクやまと

2024年3月16日のダイヤ改正より運行開始した通勤特急。新大阪~奈良間を結び、大阪駅ではうめきた地下ホームに発着する。
奈良県にJRの定期特急列車が運行されるのは国鉄時代の「あすか」以来57年ぶり


過去の種別

関空快速

その名の通り阪和線関西空港線直通列車で、JR難波発着列車が運行されていた。
2008年のダイヤ改正で廃止されたが、南海本線が不発弾撤去で不通になった際の代替輸送として阪和線直通列車が臨時で運行されたことがある。
しかし天王寺駅の引き上げ線が足りないのか環状線を一周した阪和線の車両が定期的に天王寺~JR難波で回送されてくるため、間接的にではあるが常時やっているとも言える。本数少ないから営業運転してくれないかな

やまとじライナー

JR難波・大阪~加茂・木津間で運行されていたライナー列車で、381系が使用されていた。2011年のダイヤ改正で区間快速に代替されて廃止された
JR西日本の近畿圏ではライナーの廃止→代替として特急列車の新設・増発というパターンが多いなか、当路線では唯一それが実施されなかったが、2024年3月改正で前述の「らくラクやまと」が新設され、事実上復活する形となった。

◎使用車両

現在の鉄道車両の主流であるVVVFインバータ車は一両も配置されておらず*3、天王寺~久宝寺間では「らくラクやまと」運行開始まで、電化から一度もVVVF車による定期列車が運行されていなかった。
その間に和歌山線きのくに線に全車VVVF化されたのは黙っておこう。

鋼製の通勤型車両は春日山をイメージしたウグイス色に塗装されている。
保守作業員の識別のため、正面窓下に電化当初は黄帯、現在は白帯が配されている。

現在の車両

  • 221系
113系の置き換えとして大量導入された、純粋な大和路線用としては現時点で最後の新車。
2021年から225系をJR京都・神戸線に導入し、そこから捻出した本形式を転属させ201系の置き換えを実施している。
リニューアル工事が行われており、中身は綺麗になっている。

  • 201系
2005年に登場。
首都圏では実現しなかったウグイス色の201系が初登場したが、全車体質改善工事施工済みのため若干印象は異なる。

  • 287系
特急「まほろば」「らくラクやまと」用の車両。「くろしお」用の3両編成が使用される。

過去の車両

  • 103系
1983年に登場。
首都圏または京阪神地区からの転属車で構成されており、国鉄末期には101系を改造した2000番台(クハのみ)が登場するなど形態がカオスを極めていた。
2022年3月改正で撤退。

  • 207系・321系
おおさか東線直通の直通快速に使用されていたが、2023年3月改正で撤退。

  • 223系6000番台
おおさか東線(ry、JR東西線へのホームドア設置に伴い2011年3月改正で撤退。

  • 205系
2018年から平日朝下りの奈良~王寺間1本で運用されていた。
奈良線で運用されている車両で、車体の帯はスカイブルー。2022年3月改正で撤退。

◆駅一覧

●…全列車停車
△…当駅始発のみ停車
|…全列車通過
普通は表中の全駅に停車する。

駅 名











接続路線
 加 茂 JR西日本:関西本線
 木 津 JR西日本:奈良線学研都市線
平 城 山
 奈 良 JR西日本:万葉まほろば線
 郡 山
大 和 小 泉
法 隆 寺
 王 寺 JR西日本:和歌山線
近畿日本鉄道:生駒線、田原本線(新王寺駅)
 三 郷
河 内 堅 上
高 井 田
 柏 原 近畿日本鉄道:道明寺線、大阪線(堅下駅)
 志 紀
 八 尾
久 宝 寺 JR西日本:おおさか東線
 加 美






 平 野
東部市場前
天 王 寺 JR西日本:大阪環状線阪和線
Osaka Metro:御堂筋線谷町線
阪堺電気軌道:上町線(天王寺駅前停留場)
近畿日本鉄道:南大阪線(大阪阿部野橋駅)
新 今 宮 JR西日本:大阪環状線
南海電気鉄道:南海本線・高野線
Osaka Metro:御堂筋線・堺筋線(動物園前駅)
阪堺電気軌道:阪堺線(新今宮駅前停留場)
 今 宮 JR西日本:大阪環状線
※区間快速は大阪環状線ホーム発着
 JR 難波 Osaka Metro地下鉄:御堂筋線・四つ橋線・千日前線(難波駅)
南海電気鉄道:南海本線・高野線(難波駅)
近畿日本鉄道:難波線(大阪難波駅)
阪神電気鉄道:阪神なんば線(大阪難波駅)
大和路快速・区間快速は新今宮から大阪環状線大阪経由天王寺まで直通

駅の解説


  • JR-Q39 加茂
関西本線(亀山方面)乗り換え。電化区間と非電化区間を跨ぐ列車は存在しないため、必ず乗り換えることとなる。
ここから木津までは毎時1本しかない。

  • JR-Q38 木津
奈良線学研都市線乗り換え。
京都府最南端かつ木津川市の代表駅で京橋方面・京都方面・奈良方面・亀山方面の4方向に線路がある。
奈良線と学研都市線も合流するのでここから奈良駅までは毎時5、6本まで増え、加茂とはたった一駅間なのに格差がある。

  • JR-Q37 平城山
「へいじょうやま」ではなく「ならやま」と呼ぶ。
ちょうど奈良県と京都の府県境で、東側には車両基地がある。
大和時快速などは停車するが最速のみやこ路快速は通過する。

  • JR-Q36 奈良
万葉まほろば線乗り換え。古都奈良の中心駅。
春日大社・興福寺・東大寺の玄関口駅でもあるが、これらの観光施設は近鉄奈良線の近鉄奈良駅の方が近い。
2010年に新しく駅舎が建て替えられたが、旧駅舎は取り壊されず大部分が曳家で移動され現存している。
1・2番のりばの間に番号のないホームが存在し、「この」扱いされている。番号とか愛称とか付けてあげてもいいんじゃ…
ここから再び大和路線の列車のみになり、当駅発も加わって王寺までは基本毎時4本になる。加茂…

  • JR-Q34 郡山
大和郡山市の中心駅だが、近鉄郡山駅程の利用者はいない。
けど、駅舎はこっちのが立派。
なお、駅番号が隣の奈良から一つ飛ばされているが、これは同区間で高架化および八条新駅(仮称)を建設しているため。

  • JR-Q33 大和小泉
郡山駅より乗降客数が多い。

  • JR-Q32 法隆寺
名前の通り、世界遺産法隆寺の玄関口駅でもあり斑鳩町の中心駅。
戦前は目の前に近畿日本法隆寺駅があったが、廃駅となった。

  • JR-Q31 王寺
和歌山線、近畿日本鉄道生駒線・田原本線(新王寺駅)乗り換え。
王寺町の中心駅かつ奈良県西部の代表的なターミナル駅。奈良県内のJR駅としては最多の利用客を誇り、同時に郡部にある駅としては日本一の利用客を誇る珍しい駅。
完全に都会である。
当駅には電留線が存在するが、1982年の台風で冠水し、留置中だった101系が使用不可能となり廃車となった。代替として急遽首都圏から廃車予定だった101系を呼び寄せ塗装もそのままで使用され、ウグイス・イエロー・オレンジの3色団子編成がしばらく見られた。

  • JR-Q30 三郷
三郷町の中心駅。
奈良学園大学(元奈良産業大学)の最寄り駅…だが、実はここから20分くらい山登りさせられるのだ。
奈良県内では唯一普通しか停まらず、全ての快速は通過する。

  • JR-Q29 河内堅上
大和路線区間では1番の閑散駅。沿線の桜の名所。

  • JR-Q28 高井田
柏原内の駅だが15kmほど離れた東大阪市内のOsaka Metro中央線にも同名の駅がある。間違えると悲惨。

  • JR-Q27 柏原
近鉄道明寺線乗り換え。当駅折り返しの列車もある。
近鉄の駅業務はJRに委託していて道明寺線もJRの改札を通り抜ける。なお、同線とはJR難波方面の列車と対面乗り換えが可能*4
ホームの無い下り本線を挟んだもう1面のホームは主に上り線。しかし待避側の3番のりばから下り線への渡り線があるため当駅発の下り列車のみここから発車する。

  • JR-Q26 志紀
陸上自衛隊八尾駐屯地の最寄り駅。

  • JR-Q25 八尾
八尾市の中心駅だが快速は止まらず完全に近鉄八尾駅に負けている。駅舎もしょぼかったが立派なものに改築された。

  • JR-Q24 久宝寺
おおさか東線乗り換え。かつては駅周囲に竜華操車場という貨物と機関車の一大拠点があったが廃止され、再開発でその姿を大きく変えた。
またここから阪和線杉本町駅まで「阪和貨物線」という貨物線が伸びていた。(2009年廃線)

  • JR-Q23 加美
ここから大阪市内の駅。すぐ近くにおおさか東線の新加美駅があるが乗り換えはできない。
育毛剤とは関係ない。あと青いクワガタも似てるけど関係ない。

  • JR-Q22 平野
平野区の中心駅。地下鉄平野駅が平野本町にあるのに対し、JR平野駅は杭全地区にある。貨物線が繋がっている。待避可能。

  • JR-Q21 東部市場前
東住吉区唯一のJR駅で、1984年に開業した東部卸売市場の最寄り駅。地上には貨物線の終点となる百済貨物ターミナル駅のコンテナヤードが広がっている。

  • JR-Q20 天王寺
大阪環状線阪和線Osaka Metro御堂筋線谷町線近鉄南大阪線(大阪阿部野橋駅)、阪堺電気軌道上町線(天王寺駅前駅)乗り換え。
18番のりばまである大阪市の南のターミナル駅。大和路線ホームは2面4線で、外側2線に阪和線への連絡線がある。
環状線ホームとの間にホームに止まらず大和路線と環状線を行き来できる連絡線もあるが、方向が行き違っているのと引き上げ線への渡り線もあるせいでこっちは主に留置線としてしか使われていない。
ちなみに南海天王寺線があった頃は20番のりばまであった。どっちも新幹線が乗り入れない駅としては最多である。

  • JR-Q19 新今宮
大阪環状線、南海本線高野線、Osaka Metro御堂筋線・堺筋線(動物園前駅)、阪堺電気軌道阪堺線(新今宮駅前停留場)乗り換え。
環状線とは対面乗り換えが可能で、天王寺で乗り換えるより早いためここで乗り換える人も多い。
阪堺線の駅は南霞町駅…を名乗っていたが、2014年に現在の駅名に改称され、公式に乗換駅に。
南海の大阪側ターミナルの一つであると同時に、北口が大阪屈指の歓楽街、通天閣がそびえる「新世界」の玄関口駅であると共に南口は大阪いや、日本一危険な地域であるあいりん地区の最寄駅の一つである。
建て主は昔北口と誤って南口に降りてしまい、ジャングルに迷い込んだ子羊状態になった事があるので軽い気持ちで行かないように。特に夜場は要注意。

  • JR-Q18 今宮
大阪環状線乗り換え。難波行きと西九条方面行きが対面乗り換え可能。
環状線建設時に新今宮と芦原橋の両駅設置に伴い廃止にされかけたことがある。
かつては大阪環状線が高架で関西線が地平だったが、現在は双方とも高架である。

  • JR-Q17 JR難波
近鉄難波線、阪神なんば線(大阪難波駅)、南海本線・高野線、Osaka Metro御堂筋線・四つ橋線・千日前線(なんば駅)乗り換え。
1994年までは「湊町」の駅名だった。
大阪の繁華街「ミナミ」の中心駅の一つ…だが南海、近鉄に比べると明らかに負けてる上に南海や御堂筋線のなんば駅とは思いっきり離れている(徒歩10分くらい)。その為、旧称の湊町駅と呼ばれることも多い。
毎時6本発着するのにダイヤがいびつで、毎時4本発車する普通の少し前に快速が発車するようになっていて実質毎時4本と都心部でありながら不便なことも一因。
2面4線もあってそれなので常に容量も余りまくっており、このスペースを活かすためホームや奥の引き上げ線に223系や225系が止まっていることがよくある。なお引き上げ線は建設中のなにわ筋線に直結予定。
1996年までは地上駅だったが、今は地下駅。あまりに乗り入れる路線が多く駅前もややこしくなるのを防ぐ為、「JR」の名称が入った日本初の駅でもある。

追記・修正宜しくお願いします。

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最終更新:2024年03月17日 19:40
添付ファイル

*1 JR西日本ではナンバリングに路線や事業者名ではなく主要路線から分岐する路線ごとに任意の記号を振り分ける方式を取っており、大阪環状線のOを起点に桜島線にP、当線にQが振り分けられている。

*2 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/ec/201nara.jpg 日時:2016/01/12

*3 VVVF車そのものはおおさか東線に直通する快速列車に使用されていたが、これも221系に置き換えられて消滅。特急用車両も阪和線所属。

*4 ICカード利用時はホーム上にある中間改札機にタッチして乗り換える。当駅から乗る&降りる場合は駅の改札機と中間改札機両方をタッチしなければならない。