ルシオラ(GS美神)

登録日:2011/11/27(日) 07:27:56
更新日:2024/03/17 Sun 13:49:08
所要時間:約 6 分で読めます





「おまえ…もしかしてバカなの?」

「……………」

「一瞬迷ったんでしょ!? なのになんで…」

「夕焼け…好きだって言ったろ」

「えっ」

「一緒に見ちまったから…あれが最後じゃ、悲しいよ」

「おまえ……」

ルシオラとは、『GS美神 極楽大作戦!!』の登場人物。

作品中最も長く、そしてこれまでの伏線が結実する事実上のクライマックス『アシュタロス編』での最重要人物で、真ヒロインとの声も絶えず未だ根強い人気を誇るキャラクターである。
ただし、その登場は作品全体から見ても終盤にあたり、連載も既に約6年を越え各々の登場人物の人気もある程度確立された状態であった。
にもかかわらずいきなり現れた新キャラクターが瞬く間に読者のハートをがっちり掴んで絶大な支持を獲得し、不動の人気で一気にヒエラルキーを塗り替え、作品に対しても最高潮の盛り上がりに貢献することになったのである。
長寿連載作品としては、これはかなり凄いことであった。

近年発売されたトレーディングカードゲーム『サンデーVSマガジン』では並み居るレギュラー陣を差し置いて真っ先に採用されている。
これだけでも彼女の人気が当時どれほどのものだったか窺い知れるだろう。


そもそもはアシュタロスが美神令子に隠された魂の結晶を奪還する為に作り出した三姉妹の長女で、蛍の化身である魔族(名前もラテン語で『蛍』を意味する)。
外見は黒髪おかっぱの可憐な美少女で、2本の触覚を生やしている以外は人間と全く変わらない容姿を持つ。
ただ、ペチャパイ呼ばわりされて怒るなど胸にはコンプレックスを抱えていた模様。
因みに主食は砂糖と水。

二人の妹(ベスパ、パピリオ)と違って眷属を使役する描写はないが、やはり蛍らしく光を使った麻酔や幻惑攻撃を得意とする。また、他人の精神に侵入するサイコダイブも可能。
機械に強いのか逆天号のメカニックを主に担当し、術を使って兵鬼を作り出したりもする。後半ではバイクを自由自在に駆った。
戦闘力に関しても美神たちが全く歯が立たないほどの恐るべき強さを誇るが、その凄まじい力は寿命に1年間という制限を設けてのものであり、まさにアシュタロス復活の為だけに存在する使い捨ての道具だった。
だからこそ、少しでも多くの美しいものを自分の思い出に残したいと感じているのか夕焼けが好きである。
そんな彼女の運命が、横島との出逢いで大きく変わり出す……。


囚われて『ポチ』と呼ばれながら(美神の下働きよりも扱いが優しくて心温まる)下僕生活を強いられていた横島だったが、スパイ活動に専念しつつも三姉妹の命が1年間というリミットを知り苦悩するように。
そんな中、美神美智恵に大規模なトラップ攻撃を仕掛けられ逆天号が中破。
横島を連れて外部へ応急修理に出ていたルシオラは上空に投げ出され、その足を咄嗟に掴んだ横島は何度も手を放そうと逡巡する。
だが、優しすぎる横島はやはりルシオラを見捨てられなかった。
そして、その姿がルシオラの心を揺り動かす……。


「もっとおまえの心に残りたくなっちゃうじゃない…!」

「敵でもいい、また一緒に夕焼けを見て……! ヨコシマ!」


三姉妹には裏切りを阻止すべく消滅プログラムが設定されており、そのタブーの一つに「人間と性交する」が含まれている。
だが、それを承知の上でルシオラは横島に抱かれようとした。

「私たちの一生は短いわ。恋をしたらためらったりしない…!!」

臆病で卑屈でヘタレで煩悩の塊であった横島も彼女の想いの強さと深さ、その運命を知り決起。
かつてない闘志を燃やし、「アシュタロスは────俺が倒す!!」を始め数々の名場面のオンパレードを生み出すことになった(あまりにも真剣になりすぎて美神たちに偽者ではないかと疑われる羽目に陥ったが…)。
ルシオラ自身は「下っ端魔族はホレっぽい」と自嘲気味に考えているが、そんなルシオラに男を見る目があることを証明する為に横島は奮闘し、人間としても霊能力者としても大きく成長して遂に美神すら越える。
この一連の流れは熱く、そして泣けるので是非ご一読を。


南極の戦いでアシュタロスが生死不明になって以降、GS本部の采配で「アシュタロス打倒に貢献した協力者」とされ、パピリオと共に美神の保護観察下で過ごすことに。
ドクターカオスの協力で消滅プログラムも解除され寿命の問題も解決し、彼女の運命を縛るものは何もなくなった。
横島にとって人生で初めての正式な恋人となり、甘い生活を謳歌することに。







以下ネタバレ





二人の幸せは本当に束の間だった。
生存していたアシュタロスに美神は囚われ、魂をバラバラにされた上でエネルギー結晶を強奪されてしまう。
横島と絶妙のコンビネーションを発揮して再生メドーサを倒した直後、アシュタロスに奇襲を仕掛けるものの失敗。
一時撤退しつつも横島を美神のもとに向かわせると、彼女は来襲したベスパと交戦。
共に過ごす内に、横島が本当に愛しているのは美神ではないかと考えたゆえの選択だった。

東京タワーを舞台に繰り広げられる姉妹の死闘は、ベスパが強化されていた上にメドーサ戦でダメージを受けていたこともありルシオラが絶体絶命の危機に。
その窮地を救ったのは、やはり愛する横島だった。
駆けつけた横島の捨て身の援護でベスパを撃破することには成功したものの、その代償として横島は瀕死の重症を負う。

そんな状況になれば、ルシオラが取る行動は決まっていた────彼が助かるなら、自らを形成する霊体を捧げると。
横島が回復すると、自分を心配する彼に嘘をつき、満面の笑顔を浮かべ送り出した。


一緒にここで夕陽を見たね、ヨコシマ

昼と夜の一瞬の隙間……

短い間しか見れないから、綺麗……

横島が去った後、最愛の男性との最高の思い出を胸に、静かに目を閉じるルシオラ。
東京タワーに蛍のような微弱な光が灯り、そして消えた……。


横島の肉体に注がれた霊体は個別の残留思念として彼をサポートし、その魂は共にアシュタロスと戦い抜いた。
だが飛散した霊体の収集が足りず、やがて横島と完全に同化して復活は不可能に。
基本コミカルな本作において、主要登場人物では最初で最後の犠牲者となった。
(一応、横島の娘として転生するという救済策が用意されてはいるが…。) 

ルシオラは、あまりにも人気が出すぎて、そしてあまりにも物語の中心になりすぎた。
横島とかつてないほど相思相愛になってしまった以上、もし生存すれば確実に作品の今後に多大な破綻をきたしていただろう。それこそ、作品を崩壊させかねないほどに。
故にどうあっても退場しなければならず、彼女の死は避けられない必然的な処遇だった。
それは大勢の読者も理解していたと思われる。
しかし、それでも幸せを願わずにはいられなかったファンはその死を突きつけられ慟哭した。
連載当時はまだインターネットが普及し始めたばかりの頃であったが、当時設立されていたファンサイトでも激しい論争が巻き起こっていた。
もし現在ほど情報社会が発達していたなら、どれほどの大騒動になっていたか想像もつかない。
最も横島を愛し、最も愛された女性が劇中に登場した連載期間はおよそ1年間。奇しくも本来設定されていた寿命と等しかった。
結ばれることのない悲恋だったが、かといって一概に「悲劇のヒロイン」と呼べるだろうか。

横島と巡り逢えただけで、愛も恋も知らずに終わる筈だったルシオラの人生は、蛍の光どころか閃光のように輝いたのだから……


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最終更新:2024年03月17日 13:49