蒼き流星SPTレイズナー

登録日:2010/07/25(日) 01:34:34
更新日:2024/04/08 Mon 11:23:17
所要時間:約 8 分で読めます






空に蒼い流星 夜の運河を滑るようだね

2人 ビルの窓から 遠くの都会(まち)を探していたよ



1985年10月〜1986年6月に放送されたサンライズ制作のロボットアニメ
全38話+OVA3話(内2話は総集編)。

【概要】

監督は『太陽の牙ダグラム』『装甲騎兵ボトムズ』『機甲界ガリアン』などを手がけた高橋良輔氏。

平均視聴率は裏番組に人気番組の「夕焼けニャンニャン」があったにもかかわらず10%と比較的高い数字をキープしていたが、メイン商品であったプラモが当時としても低クオリティであった事*1もあり売れ行きが低迷、そのテコ入れとして第3クールにて突然『北斗の拳』にインスパイアされたようないわゆる「第2部」へと移行、この極端な路線変更は現在も語り草となっている。

さらに大口スポンサーであった三洋電機(当時。現在はパナソニックと合併し同社にブランド統合)が自社商品のリコール事件に伴い降板したことからメインスポンサーのバンダイも打ち切りを決定、4クールの予定だったはずが3クールでの番組終了となった。なお上述のように視聴率面では好調であったため、バンダイ以外のスポンサーは放送の継続を希望していたとのこと。

上記経緯の都合上、本放送時の最終話はそれ以前の話とは繋がっていない総集編的なものになるが、視聴者からその間の話を見たいという要望が高まり、OVAという形で映像化された。
この辺りに関しては、同時期に放送されていた『超獣機神ダンクーガ』と共通している。

高橋監督によれば幻の第4クールではレイズナーの後継可変機「レイズナーMK-Ⅱ」の登場やゴステロの再々登場、刻印発動後、地球に残されたグラドス人を助けるためにエイジがグラドス星に向かうストーリーが予定されていたらしい。



【あらすじ】

1996年。アメリカとソ連との冷戦が続く*2中、遂に人類は火星進出を果たす。
国連主催の火星体験教室、コズミック・カルチャー・クラブで火星にやって来たアンナ達は、突如現れた人型兵器・SPTの襲撃に遭う。
窮地に陥ったアンナ達を救った一機の青いSPT「レイズナー」のパイロットである少年エイジは彼女達の前に現れ、こう告げた―。

「僕の名はエイジ…地球は狙われている!



【登場人物】

アルバトロ・ナル・エイジ・アスカ(cv:井上和彦
主人公。地球人の父とグラドス人の母を持つ。
グラドスの地球攻撃計画を地球人に知らせるため、グラドス艦隊にあったレイズナーを強奪し、火星へとやって来た。
不殺主義
第一部ラストで行方不明になるが、第二部で再登場。トンファーを使いこなすようになり、若干性格と考え方が変わった。

◆アンナ・ステファニー(cv:江森浩子)
今作のヒロインで宇宙体験教室に選ばれた学生の一人。周りの誰もが疑っていた初対面時のエイジを最初に信じた。
行動を共にするうちに彼を愛するようになる。

デビッド・ラザフォード(cv:梅津秀行
宇宙体験教室に選ばれた(ry
当初は友人がSPTとの戦闘に巻き込まれて死亡したことから、エイジにキツく当たっていたが、彼と戦っていくうちに親友となった。
第二部ではグラドスに対抗するレジスタンスに参加。
「誰か説明してくれよぉ!」

◆シモーヌ・ルフラン(cv:平野文
宇宙体験教室に(ry
第二部ではデビッドと共にレジスタンスに参加し、次第に彼といい仲に。

◆ロアン・デミトリッヒ(cv:鳥海勝美)
宇宙体験(ry
落ち着いた雰囲気の知性派でエイジ達を何度か助けた。
第二部でグラドス側に寝返るが…。

◆アーサー・カミングスJr(cv:鹿股裕司)
宇(ry
愛すべきバカ。少年少女の中の最年長でありながら一番頼りない存在ではあったが、彼のおかげでエイジ達の危機を何度か救われたことがある。
どういうわけか第二部で一気に老ける。

◆エリザベス・クレブリー(cv:戸田恵子)
コズミック・カルチャー・クラブの引率者で、火星に行った大人の中では唯一の生き残り。
第二部ではレジスタンスの一員として地球製SPT「ドール」の開発を担当している。

◆アルバトロ・ミル・ジュリア・アスカ(cv:横尾まり)
エイジの姉であり、ゲイルの婚約者。
ゲイルがエイジによって殺されたと思い、ブラッディカイザルを駆ってエイジを倒そうとするが…。
第二部では地球人とグラドス人の共存を訴える「クスコの聖女」の中心人物として再登場する。

◆アーマス・ゲイル(cv:堀秀行)
グラドス軍に所属するエイジの先輩で、ジュリアの婚約者。階級は中尉。
グラドスを裏切ったエイジに何度も投降を呼びかけたが、エイジがそれに応じず本気で戦う事になる。
最後の戦いではエイジをあと一歩のところまで追い詰めるが、V-MAXを起動したフォロンに撃墜される。死の間際、地球の美しさに心を動かされる。
愛機はグライムカイザル。

ゴステロ(cv:広瀬正志)
グラドス軍の大尉で人殺しが好きな残忍極まりない人物。ジュリアに恋をしていた。
火星でのレイズナーとの戦いで死亡したかに見えたが、第二部でサイボーグとなって再登場。
バズーカ一丁でSPTと互角に戦うなど、ぶっちゃけこの物語で一番印象的な人物。

◆エジール・カルラ(cv:佐々木るん)
グラドス軍の小尉。
愛していたゲイルが戦死し、ゲイルの仇討ちに乗るつもりだったブラッディカイザルをジュリアに取られ、
グレスコの指示でル・カインの下へ行けば勝負の邪魔だと追い返され、最後は口封じのために消されるなど、貧乏くじを引きやすい

◆グレスコ(cv:渡部猛)
グラドス軍地球侵攻艦隊の司令。グラドス創世の秘密を知る、数少ない人物。
地球を占領後、地球の文化に感化されつつある。

◆ル・カイン(cv:塩沢兼人
第二部に登場するグレスコの息子で、グラドス占領軍の指揮官。専用のSPT「ザカール」を駆る凄腕のパイロットでもある。
グラドス人のような優れた者こそが民衆を支配するべきだと考え、劣等なる地球文化の撲滅を推進するが、
その一方で地球人であるロアンを部下に置き、何かと信頼している。
エイジとの賭けに負けた際に約束通りに引き上げる潔い面も持つ。

グラドス創成の秘密を知って以降、己の理想が崩壊していく様を目の当たりにすることになる。
因みに、彼の髪はカツラである。

死鬼隊
ル・カインの私兵。第二部の雰囲気が北斗化した原因の一つ。
サイボーグ化したゴステロを始めとしたならず者の集まりで、メンバーそれぞれに専用機が用意されている。
強敵なのは間違いないが、メンバー間の協調性はほぼゼロで、ゴステロの暴走をきっかけに壊滅の道を突き進む。
詳細は彼らの項目を参照。


【主な機体】

SPT

「Super Powered Tracer」(スーパー・パワード・トレーサー/超強化機能服)の略。
グラドス軍が開発した全高10m程の人型機動兵器。元々は外宇宙開拓作業用のパワードスーツである。
コックピットが頭部にあり、戦闘機のような形状のキャノピーが特徴的。それらのためか頭身は他作品のメカよりやや大きめ*3
自由電子レーザー銃「レーザード・ライフル」(又はレーザード・ガン)、電流が出る「ナックル・ショット」がSPTの共通武装となっている。
飛行機能をデフォルトで持ち、バックパックを交換することであらゆる戦場に投入できる。


◆SPT-LZ-00X レイズナー
エイジの父、ケン・アスカが開発した、第二世代型SPTの試作機通称8頭身ドラえもん*4
ライフルやナックルの他、ふくらはぎに付いた「カーフミサイル」、汎用タイプのバックパック(UV-00D)を搭載。

◇レイ(cv:原えりこ)
レイズナーに搭載された戦闘補助AI。エイジから指示を受ける時に了解の意味として「レディ」と答えるのが印象的。
「レイ」の愛称はエイジがレイズナーを持ち去られないために個人識別キーワードとして与えたものであり、本来は他のSPTの補助AI同様名無しである。
なおレイに限らず、SPTの補助AIは量産機レベルでも極めて優秀で、命令するだけで殆どの戦闘行動を行う。


◆SPT-BB-02U ベイブル
エイジがレイズナーと共に奪ったSPTのうちの一機で、レイズナーの兄弟機。
格闘戦重視で装甲が厚い分、機動性は低め。
第一部ではデビットが乗ってエイジと共闘したが、地球がグラドスに支配された際にグラドス軍に回収された。
第二部でベイブルがレジスタンスをおびき出す罠に使われて破壊されたのが最後の出番になった。

◆SPT-BD-03U バルディ
エイジが奪ったレイズナーの兄弟機の一つ。
右肩のショルダーカノンによる遠距離からの後方支援を得意とする。
第一部ではロアンが乗ってエイジと共闘したが、こちらもグラドス軍に回収された。
第二部で最終的にどうなったのか語られていなかった。


◆SPT-BV-15C ブレイバー
グラドス軍の主力量産SPT。
やられメカに見えるが、地球側の兵器よりも遥かに高性能。
これでも(エイジが手加減しながら戦っていたためでもあるが)レイズナーを手こずらせている。

◆SPT-BG-91U ブルグレン
第一部でのゴステロ搭乗機体。飛行用バックパックを装備している。
ゴステロは敢えてレーザード・ライフルの出力を対人用に絞り、国連火星観測基地のスタッフを追い回してなぶり殺しにしていた。

◆SPT-GK-10U グライムカイザル
士官用SPT。レイズナーよりも機動性で上回る。
劇中では主にゲイル先輩が乗り込む。

◆SPT-BK-10U ブラッディカイザル
赤く塗られたグライムカイザル。ジュリアが搭乗する。
機体色以外はグライムカイザルと同じ。

◆SPT-DT-25C ドトール
陸戦用量産SPT。某コーヒーチェーン店とは関係ない
車輪の付いた専用バックパックを装備し、踵のローラーと併用することで地上を高速走行が可能。
パックを換装すれば宇宙戦闘も一応は可能。

◆SPT-DM-20C ディマージュ
グラドス軍の量産SPTの一つ。エジール・カルラなどの士官が搭乗する。
24基のバーニアを備えており、宇宙空間での機動性が高い。索敵能力も優れている。

◆SPT-ZK-53U ザカール
レイズナーを基に開発されたル・カイン専用金色のSPT。基本性能ではレイズナーを上回る。
格闘武器として、左腕に鉤爪「ホーン・オン・アーム」を装備している。
特殊な添加剤でV-MAXの出力を更に15%引き上げる(よく勘違いされているが普通のV-MAXも使える)「V-MAXスーパーチャージ(別名:レッドパワー)」を使える。


◆E-SPT-DL-X ドール
第二部終盤でレジスタンスが開発した地球製SPT。要はジムのポジション。
ドトールを参考にして開発された地上走行用ローラー付きバックパック(2連装レーザード・ライフル一体型)を装備。
ナックルショットは使用時にΖΖガンダムのシールドに似た形状の装甲が包み込まれるようになっている。
デビッドやシモーヌなどが搭乗した。
OVAでは名前が「ロードテイラー」に変更されている。


MF

「マルチフォーム」の略。SPTの分類の一つで、汎用性よりも特定用途に特化した局地戦用の機体群。

◆MF-SL-52C ソロムコ
空戦用の量産MF。人型でも航空機に手足が生えたような形状をしている。
戦闘機形態に変形が可能。

◆MF-DJ-91U ダルジャン
第二部でのゴステロ専用MF。
左手のシールドに付いた鉤爪「メタル・クロー」や、レーザーの高速振動で対象を切り裂く「レーザーバズソー」など、格闘武器が充実している。

◆MF-ED-52U エルダール
死鬼隊の一人、ボーン専用MFで、運動性を重視した機体
両掌から高速回転する鞭「スネーク・ドリル」射出する。
劇中では火炎放射器付きバックパックに換装し、レジスタンスに向けて使うこともあった。

◆MF-DK-61U ダンコフ
死鬼隊の一人、ゲティ専用MF。SPTの中で最もパワーが高い。
両膝の横に収納されている大型ナックルショット「パワー・ナックル」や、両肩の大型レーザー砲「オーバーレイ・アーティラリー」を装備。

◆MF-MC-73U ガッシュラン
死鬼隊の一人、マンジェロ専用MF。
足が鈎爪状になっている。
右肘のドリル「ハード・コーン」、左腕の万力「スクイーズ・アーム」を用いて、鈎爪で捉えた標的のコックピットを破壊する。

◆MF-GS-54C ガンステイド
第二部終盤に登場する量産MF。
着脱可能な外装にミサイルポッドやレーザー砲を搭載。外装を排除することで白兵戦も行える。
シモーヌからは「グラドスの着せ替え人形」と呼ばれていた。


TS

「テラー・ストライカー」の略。SPTの分類の一つで、コンピュータ制御の無人機
主に対人用に使われ、頭部のセンサーと腕の「対生物用サーマルビーム」で執拗に攻撃する。

◆TS-SG-50C スカルガンナー
第一部で月面を徘徊していた機体。有人機では難しいアクロバティックな動きでレイズナーを苦戦させた。

◆TS-TP-50D ターミネーターポリス
第二部で治安維持に運用されていた機体。スカルガンナーとは違い、対象を識別する機能が追加されている。





【外部出演】

スーパーロボット大戦シリーズに何度か参戦している。
2020年時点では『新』『64』『GC/XO』『J』『OE』『DD』に出演しているのだが、
ほとんどの作品で物語前半と後半の片方のみが再現されるという扱い。
しかも前半準拠なのにル・カインがいる、後半準拠なのにゲイルが生存しているなど、どちらか一方にもう片方の要素を混ぜたような再現が多い。
両方再現されているのは『J』『DD』。
この他、A.C.E.シリーズにも参戦している。
一方で、TVシリーズでは登場せず仕舞いに終わったレイズナーMk-IIが登場するなどのサプライズも用意されている。



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最終更新:2024年04月08日 11:23

*1 1/100は良くて当時の食玩レベル、1/72はレーザード・ライフルがダイキャスト製の謎仕様。どちらも微妙なプロポーション

*2 史実では91年に冷戦は崩壊しているのだが、放映当時はまだソ連が経済破綻するとは思われていなかった。グラドス軍に地球が侵略された第二部では冷戦どころではなくなる。

*3 ただし、作画によって頭身が変動する。

*4 頭部の形状と色からそう言われていた。

*5 マジンガーシリーズの「マジンパワー」はそこまでの機能はなかった。