巨神兵(風の谷のナウシカ)

登録日:2012/11/17 Sat 10:31:18
更新日:2024/03/18 Mon 16:39:30
所要時間:約 6 分で読めます




巨 神 兵

7日間で旧世界を焼き付くしたと伝えられる化け物




巨神兵とは


風の谷のナウシカに登場する生物兵器。

かつて火の7日間と呼ばれる災厄をもたらし、当時の文明を崩壊させた最強最悪の存在である。

人の形をしているが、かなりの巨体を持つ。

作中で化石と化した遺骸が砂漠に転がっているのが序盤から確認できる他、回想シーンで光ののようなものを持つシーンが存在した。

作中では工業都市ペジテの地下にて起動させる前の形で発掘され、世界の崩壊を恐れた街の住人が封印しようとしたが、
トルメキア帝国が確保しようとしたことで物語の始まりに繋がる。


映画版での活躍


トルメキアがペジテから強奪し、大型母船に乗せて本国へと送ろうとしたが、重量がありすぎて「風の谷」に墜落。
回収部隊を率いてきたクシャナ殿下の判断で空輸は不可能と断定され、やむなく現地で培養が始まった(……というのは口実で、実際は腐海の虫に妨害されたのが原因で要は彼女は巨神兵の力を自分のものにするつもりである)。
そのためストーリーのほとんどでは培養タンク(?)の中でうごめくだけだった。
ただまるで機械に肉片が融合した、もしくは肉片が機械に融合している不気味な装置に囲まれた存在感は異様であり、
繭(胎盤?)と思わしき中にいる時点で意思のようなものは見せており、話しかけた参謀のクロトワに反応したのか見つめて目を細めるシーンもある。
「笑ってやがる。てめえなんざ、この世の終わりまで地下で眠ってりゃアよかったんだ」

物語終盤、ペジテの報復で王蟲の群れが風の谷に殺到したため、その襲来を退けるべく不完全な状態で起動させられる。
しかし回想シーンのような二足歩行は一切できず、這いつくばったまま歩くという異様な姿であった。
しかも表皮は泥のように波打っていたうえ、丘の上から現れた際には下半身がいきなり崩れ落ちるという異様さを見せる。

雑兵たちは突然の援軍に歓呼していたが、クロトワは最初からいぶかしんでおり、下半身が崩れた際にすべてを悟る。

「腐ってやがる! ……早すぎたンだ!!」

未完成のまま起動させられた巨神兵は、全身が腐乱していたのだ。

それでも、クシャナ殿下の指示が飛ぶと、それに呼応するかごとく口から強烈なプロトンビームを放つ。

「焼き払え!!」

その一撃は巨大な閃光と爆炎を引き起こし、王蟲の群れを吹き飛ばす。
その威力は遥か彼方の着弾にもかかわらず暴風が自分たちの場所まで及ぶ規模であり、
クロトワも「世界が燃えちまうわけだ」と、当事者でもないのに「火の七日間」が事実であったと悟るほどだった……
が、一薙射では王蟲の群れを消し去るには至らない。

クシャナはさらに連射を命じるが、巨神兵は射撃をためらうそぶりを見せる。いや、一発目の時点でもすぐには撃たなかった。

「どうした化け物……さっさと撃たんか!!」

重ねて放たれた指令に従い、二発目のビームを放つ巨神兵……だが、その二発目は明らかに、一発目に比べて威力が無さすぎた。

それどころか巨神兵は、二発目の発射と同時に皮膚がただれ落ちて頭蓋骨がむき出しとなり、さらにそのまま全身の肉も融解・液状化して地面に落ちていく。
やや遅れて骨も崩れ、腐臭を立ち昇らせて完全に朽ち果ててしまった

不完全なままの肉体では、巨神兵の肉体もプロトンビームの反動に耐えられなかったのである。
その後、王蟲の群れは風の谷に殺到するが、巨神兵の骸はなぜか彼ら自然の猛威にも避けられていた。


このシーンは銀魂のアニメ(タマ菌の回)でパロディにされた。
スタジオジブリは絶賛してくれたらしい。


漫画版の活躍


あぁ、やっぱりあなたはボクのママだ…


チョイ役で終わった映画版と違い、今回はほとんど完全体で復活する。

物語序盤で、ペジテの地下に埋まっていた巨神兵の骨格。
その側にあった箱の中の『』をはめかえると…数日後、肉がついていた。そう、箱は胎盤であり、石はその鍵だったのだ。

その後ペジテを襲ったトルメキア軍の手を経て土鬼が『人工子宮』に入れて育てていた。

終盤で巨神兵が入っていた『子宮』が燃やされ目覚めた巨神兵は、復活のトリガーとなる『』を持っていたナウシカを母親と認識し、彼女の言葉に従う。

復活直後はまさに生まれたての子供のような無邪気な言動が見えたが、ナウシカに息子として認められ『オーマ』という名前を与えられると急激に知能が進化。
ちなみにオーマとは古エフタル語で『無垢』。 

人類の存在の是非を問う『裁定者』として目覚める。

凍えるナウシカのために光を作って温めてあげたり、ナウシカのために一生懸命になったりと、根は素直で優しい良い子
ナウシカに「古代文字」と言われ、陰影だけで描かれているので一見謎の文字に見えるが、よく見ると 漢字
歯に『東亞工廠』と書いてあるのが確認できる。そのことから生体メカと思われる。
どこぞの東亜重工とは関係ない。


※しかし、彼の体から発せられる『』は生物には非常に毒であり、光を浴び続けたテトは死に、ナウシカは死にかけた


ほとんど完全体のため映画版以上の能力を持っており、馴染みのビーム以外に
  • テレパシーで会話
  • 見た映像を他人に送信
  • 光輪を背負って音速で飛行
と規格外な能力を披露する。流石は悪魔・・・。

しかし、『子宮』から早く出てしまったせいで肉体は完全ではなく、時がたつにつれ、徐々に朽ちていった…。
そもそもかつての巨神兵達がそうであったように、とっくの昔に本来の役目を終えた彼にもまた遅かれ早かれ死が「訪れさせられる」宿命にあった。

終盤、シュワの墓場の入り口を一撃で破壊したあと反撃を喰らい、死亡したと思われたが、ナウシカの『墓場の主を破壊しろ』という命を聞き、奮起。

下半身が引きちぎれながらも墓場の外壁から無理やり侵入し、主を破壊した。

だが、そこでついに身体が限界を超えてしまい、そのまま死んでしまう。


最期のナウシカとのやりとりはとても切ない……。


…母さん

よく見えないよ

よく見たいのに…

でも母さんが元気でうれしい

ぼく、立派な人になれたか心配だ…


あなたは私の自慢の息子です…!

誇り高く、汚れ無き心の戦士です

それに…

とても

やさしい子です…


母さん…

ナカナイデ…






【余談】

劇場版において巨神兵がプロトンビームを発射しながら崩壊するシーンは、庵野秀明が原画を担当した。

宮崎駿が描いた初期の絵コンテの段階では完全復活した巨神兵と王蟲が激突するシーンが存在したが、尺に間に合わないということで間に合わせるために絵コンテを描き直したという。

BD版『風の谷のナウシカ』の完成披露発表会において、スタジオジブリの鈴木敏夫は「エヴァンゲリオンは巨神兵だ!!と今気付きました」「何十年たった今でも人間って同じことやるんですね。恐ろしい(笑)。だからお墓には巨神兵って書いときましょう」と発言した。このソフトには映像特典として、鈴木と庵野の対談「ナウシカとエヴァンゲリオン!巨神兵の行方は?」が収録されている。


そもそも完全体の姿を見ればよく分かるが、エヴァンゲリオンの元ネタである。

2012年には、イベント「特撮博物館」開催にあたってその庵野秀明自らの手で映像化。
巨神兵東京に現わる」というタイトルで、イベント会場にて上映された。


追記・修正は『』を持つ巨神兵の親の方、お願いします。

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最終更新:2024年03月18日 16:39