電脳コイル

登録日:2009/05/28(木) 01:16:19
更新日:2023/04/10 Mon 01:33:49
所要時間:約 5 分で読めます




2007年4月から12月までNHK教育にて放送された、磯光雄監督のSFジュブナイルアニメ。




実際にスタジオジブリも関わった神作画と、登場人物の繊細な感情描写、伏線張りまくりの謎めいた展開で話題になった。

文化庁メディア文化祭に入賞したと思ったら、昨年はなんと日本SF大賞まで受賞してしまった。驚きのクオリティである。

しかし、DVDの売上は芳しくない様子。再放送しまくりなので仕方ない気もするが、皆さんDVDを買いましょう。

  • あらすじ
2026年の日本では、ユビキタス・コンピューティングの発達に伴い、「電脳」と呼ばれる通信インフラが急速に整備されつつあった。
そのメインデバイスとなる「電脳メガネ」は、電脳空間上の様々なデータを、まるで実在するかのように視覚化できる画期的なアイテムである。

その電脳メガネを愛用する少女・小此木優子(ヤサコ)は、最新の電脳設備と古くからの神社仏閣が同居するカオス都市・大黒市へと引っ越してきた。

その矢先、彼女の電脳ペット・デンスケが「古い電脳空間」へと迷い込んでしまう。
ヤサコは街で出会った少女・フミエの助けを借り、デンスケの救出を試みる。
しかし、「古い電脳空間」をデンスケごとフォーマットしようとする大黒市所有のセキュリティ電脳マシーン・サッチーが現れ……。

やがて現れるイサコと呼ばれる謎めいた転校生、イリーガルと呼ばれるコンピューターウィルス、そして、電脳空間に隠された恐怖の都市伝説……。
ヤサコは、大黒市と電脳空間を巡る大きな謎に巻き込まれていく。


登場人物

  • 小此木優子(ヤサコ)
CV:折笠富美子
主人公。名前の通り優しい娘。電脳空間の謎に挑む中で、精神的な強さを手に入れてゆく。

  • 天沢勇子(イサコ)
CV:桑島法子
もうひとりの主人公。ヤサコとは逆に勇ましい娘。
暗号と呼ばれる特殊なプログラム言語を使い、キラバグと呼ばれる電脳物質を集めている。
ヤサコとの仲は良くないが…?

  • フミエ
CV:小島幸子
ヤサコが大黒市で初めて出会った少女で、親友。
電脳ペット・オヤジと共に、電脳トラブルを解決する。ちなみにドS。

  • 小此木京子
CV:矢島晶子
ヤサコの妹。好奇心旺盛で悪戯好き。
何に対しても指差して「ウンチ」というのがマイブーム。なお姉のヤサコも小さい頃は同じようなことをしていた模様。

  • ダイチ
CV:斉藤梨絵
「大黒市黒客クラブ」リーダーの悪ガキ。アングラなハッキング技術に詳しい。フミエとは腐れ縁で、愛すべきバカ。

  • アキラ
CV:小林由美子
大黒黒客のメンバーでフミエの弟。姉から傍若無人な扱いをされている可哀想な少年。

  • ハラケン
CV:朴ロ美
どこか影のある少年。民俗学が好き。幼なじみを電脳メガネに絡む事故で失っている。

  • メガばあ
CV:鈴木れい子
ヤサコの祖母。お茶目な電脳グッズを売るメガシ屋を経営し、コイル電脳探偵局の局長も兼務する。
探偵局会員を増やす際には弱みを握って強制的に入局させる手段をとることがあり、少なくともヤサコとヤサコの父はその方法で入れられた模様。

  • 小此木一郎
CV:中尾みち雄
ヤサコの父でメガばあの息子。メガマス社員で、大黒市空間管理室へ出向中。
実はコイル電脳探偵局の会員。メガばあに弱みを握られ、無理矢理入れられた模様。

  • オバちゃん
CV:野田順子
大黒市空間管理室所属の出向職員。セキュリティ電脳マシーン・サッチーを操作し、違法電脳体や「古い電脳空間」を取り締まる。
ちなみに女子高生
昔メガばあの家のこたつでお漏らししたらしい。

  • 猫目宗助
CV:遊佐浩二
電脳メガネを販売している巨大IT企業・メガマス社の社員。コイル探偵局の会員。
突如空間管理室へ出向してきたり、電脳世界にまつわる都市伝説を調べていたハラケンに接触し意味深な言葉を残すなど、行動に不審な点が多い。

  • オジジ
CV:矢田耕司
メガばあの夫でヤサコの祖父。本名は小此木宏文。
物語開始時点で故人で、生前は医師・電脳メガネ技師として大黒市立病院に勤務していた。
医師としての専門は脳関係だったことが自室に遺されていた書籍から窺い知る事ができる。

  • カンナ
CV:相沢舞
ハラケンの幼馴染の女の子。
ハラケンと共にイリーガルの研究をしていたが、作中時間の1年前の夏休みに交通事故に遭い、この世を去った。

  • マユミ
CV:うえだ星子
ヤサコが金沢に住んでいた頃のクラスメイトで親友だった女の子。ある事件をきっかけにヤサコと絶縁した。

●電脳ペット(ペットマトン)
電脳空間上で飼える疑似生体プログラム。プログラムデータだが寿命が存在し、寿命を迎えるとメモリアルが送られてくる。

  • デンスケ
CV:麻生智久
ヤサコの犬型電脳ペット。
祖父から贈られたもので、物語の鍵を握る。

  • モジョ
イサコの毛玉型電脳ペット。
複数個体がおり、電脳空間上で様々な工作活動を行う。

  • オヤジ
文恵の人型電脳ペット下僕。
尻が可愛い。

  • ミゼット
アキラの猫型電脳ペット。流出した非公式パッチによって盗撮が可能となったため、発売禁止になった。
ミゼットもそのパッチがあてられており、姉の傍若無人な振る舞いの記録に役立てられている。

●イリーガル
外見は真っ黒な電脳生物。都市伝説では電脳空間のお化けと捉えられているが、その正体はペットマトンに感染するウイルス。メタバグを食べて体内で濃縮する。
ペットマトンの体内か、古いバージョンの空間でないと生存できない。

  • キンギョ
魚型のイリーガル。自身の周囲を水のような古い空間で覆い、テクスチャを食べる事で成長する。赤色のテクスチャを好み、アスファルトやおばちゃんのレーシングスーツのような黒色のテクスチャには見向きもしない。
自身を覆う古い空間は成長とともに広がり、空間内での生命力は非常に高い。中に入り込んだサッチーやキュウちゃんすら餌にするほど。

  • ヒゲ
人間の顔、それも口の周りにのみ繁殖する超小型のイリーガル。これもキンギョ同様、自身の周囲を古い空間に置き換え、修復ダウンロードで修復されない個人情報領域にも一部食い込む。
高い知性を持ち、ヤサコ達の顔の上に文明を築き上げた。彼らの使う言語は古い翻訳サーバーの言語と同じなため、それを利用したお灸型翻訳機を通して人間とコンタクトをとる事もできる。

  • クビナガ
首長竜型の大型のイリーガル。以前は群れを成していたが、次第に数を減らし最後の1頭だけが残っていた。
黒いものを水のように認識して移動できるが、光を浴びると死んでしまう。


●電脳マシーン(オートマトン)
電脳空間上で様々な作業を行う自立行動型ソフトウェア。メガマス社や行政機構が所有し、主にセキュリティ管理を担う。

  • サッチー
大黒市で稼働しているセキュリティ電脳マシーン。郵政局所属。
主な機能はウィルス駆除だが、定義ファイルが甘すぎるためにわずかなバグを持っている電脳ペットやメガシ屋で売っている電脳アイテムなど関係ないプログラムまでフォーマットしてしまう事も…。
民家、学校、病院、公園、神社など郵政局の管轄外となる場所には進入できない。電脳チョークでアスファルトに鳥居の絵を描いて丸く囲うだけでもサッチーの目を誤魔化すことは可能。
一時的な改造で認可ドメイン外に入ることも可能だが、認可ドメイン外の空間でプログラムを破損するような損傷を受けても自動修復がなされない。一度学校へ入ったことがあるが、その時はイサコの暗号式によってコテンパンにやられている。

  • キュウちゃん
サッチーの胴体に格納されている球体型探索ユニット。
サッチー一機につき四機が格納。全て起動させると大黒市全域をカバー可。

  • 2.0
メガマス社が新たに開発したキューブ型電脳マシーンで、サッチーの上位機種。
通常は稼働しておらず、電脳空間に重大な異常が発生した際にメガマス社および電脳局から出動する。
サッチーが霞んで見える外道クラスの性能を誇り、高レベルのフォーマット能力に加え物理結界プログラムによるクラック耐性、ドメインの進入制限も受けないというチート。

●電脳アイテム
大黒市の子供たちがよく使っている電脳アイテム。メガシ屋や通販の電脳駄菓子屋で購入している。
子供の小遣いでも購入できる程度の金額な分品質はあまりよろしくないようで、所持している状態でサッチーやキュウちゃんに遭遇すると確実にフォーマットビームの餌食となる。

  • メガネビーム
通称メガビー。メガネを破壊し、サッチーやキュウちゃんを一時的に足止めする程度の威力がある。人間に向かって打つと電脳体が一部壊れる。

  • 黒バグスプレー
空間のバージョン食い違いなどによって生じる画像が欠けた黒い穴を人為的に発生させるスプレー。
穴は廃棄された古い電脳空間へとつながっており、これを利用してサッチーやキュウちゃんから逃げるための時間稼ぎにも使われる。

  • 電脳つりざお
古い空間へ通じる穴へ糸を垂らしてイリーガルを釣ったり、迷い込んだ電脳ペットを捜索・救出したりするのに用いられる。

  • レンガ壁・鉄壁
サッチー・キュウちゃんのフォーマットビームや電脳ミサイルなどから防御するために用いられる。レンガ壁は低耐久だが安価、鉄壁は高耐久だが高価。

  • 電脳青信号
信号機に貼ると灯火を強制的に青信号へと変更する。作中では歩行者信号を青にするために使用した。(車両信号は赤になる)
この世界の自動車は電脳空間と連動した電脳ナビによる自動運転が一般的で、強制的に車両信号が切り替えられると自動車は急停止する。


ノベライズ版とコミカライズ版がある。ノベライズ版はアニメと異なる設定が多く存在し、また違った切り口で楽しむことが出来るだろう。
コミカライズ版はアニメを基本に作画担当の久世みずきの独自解釈を含んだオリジナルストーリーで展開される。


通信インフラの急速な発展で「忘れ去られていくもの」や、目に見えないが「大事なもの」など押さえる所は押さえてある。
また、メガシ屋で売っているアイテムは駄菓子屋で売っていたかんしゃく玉やパチンコといった懐かしいグッズを彷彿させる。

また複雑かつ難解な用語も多発するため全体を理解しづらい。詳しくはミチコさんの項目で。



昔、友だちと共に街中を遊び歩いた記憶を思い出せてくれる。そんな作品である。

余談だが、主人公であるヤサコが誕生したのは2014年10月12日と言う設定。
性能は大違いだがメガネ型のデバイスが実現し、AR技術や電子マネーも発展し、徐々にこの作品の世界が近づきつつあると言える。


追記・修正よろしくお願いします

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 電脳コイル
  • アニメ
  • NHK
  • ポケモンは関係ない
  • SF
  • サイバーパンク
  • 民俗学
  • 日本SF大賞受賞作品
  • DVDを買いましょう
  • 神アニメ
  • マッドハウス
  • NHKが誇る5本の指に入るであろうアニメ
  • NHKの本気
  • 最後の首長竜
  • 眼鏡
  • 電脳世界
  • 星雲賞
  • 名作
  • 神作
  • 北陸地方
  • 金沢市
  • 07年春アニメ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年04月10日 01:33