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&font(#6495ED){登録日}:2011/08/31(水) 23:19:44
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 6 分で読めます
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#center(){&font(#800080){ハンナはつるそう さかさにつるそう}}
#center(){&font(#800080){だい1ばんめのいけにえだ}}
#center(){&font(#800080){ニコラスは煮よう ぐらぐらと煮よう}}
#center(){&font(#800080){だい2ばんめのいけにえだ}}
#center(){&font(#800080){フローラはむこう ぐるぐるとむこう}}
#center(){&font(#800080){だい3ばんめのいけにえだ}}
『[[スパイラル〜推理の絆〜]]』や『[[絶園のテンペスト]]』などの原作で知られるミステリー作家・城平京の長編デビュー作。
当初この作品は第二部のみであり、氏が所属していた大学の文芸誌に掲載された。
後に毒薬の来歴や登場する業績を描いた第一章が追加され、現在出版されている今の形になった。
トンデモトリックや[[ファンタジー]]要素の目立つ氏の作品の中で、それらが唯一ないと言える本格ミステリー(毒薬の効能は現実離れしているが)。
ただし後の作風に代表される「運命への反抗」といったテーマや、切なくほろ苦い結末は共通している。
また[[天才]]であるはずの人間が運命にフルボッコにされたり女性がやたらカッコイいのも変わらず。
抱える苦悩や背負うべき業、
逃れられない宿命といった、真相を明るみに出すことで、人間関係を徹底的に破壊してしまう功罪を描いた重厚にして悲壮なお伽話。
是非、一読をどうぞ。
【第一部:メルヘン小人地獄】
ある日、各種メディアに奇妙で怪奇な童話&font(#ff0000){『メルヘン小人地獄』}が送りつけられた。
それは毒薬を作った悪い博士と毒薬の材料にされた小人たちの因果を綴る[[復讐]]の物語。
程なくして、童話をなぞるように次々と猟奇的な殺人事件が勃発する。
その渦中に巻き込まれた藤田家で家庭教師を務める三橋荘一郎は藤田家の人々を守ろうと奮闘するが、やがて現れた脅迫者は完璧なアリバイと狡猾さで彼らを追い詰めていく。
荘一郎は苦悩の末、遂に知り合いの名探偵・瀬川みゆきに助けを求めることを決意した……。
【第二部:毒杯パズル】
世間を震撼させたメルヘン小人地獄殺人事件が解決してから二年後、藤田家で一人の人間が殺された。
それは本来なら死ぬ筈のない、最も理想的な毒薬が最も下手な使い方をされた不可解な惨劇。
あてのない旅を続けていた瀬川みゆきは事件解決の依頼を受け、再び藤田家を訪れた。
関係者たちの奇妙な背景が二転三転する中、徐々に宿業が否応なしに彼女へ突きつけられる。
果たして、真実はどこにあるのか……。
【登場人物】
●瀬川みゆき
第二部の主人公。
無機質で冷淡な印象を与える長身のクールビューティー。
皆がサジを投げるどんな謎でもたちどころに解決するという天性の名探偵。
しかし、彼女が背負う宿命はあまりにも重々しく、そして哀しい。
&font(#0000ff){「私は───愚かだ」}
●三橋荘一郎
第一部の主人公。
アルバイトとして鈴花の家庭教師を務める大学院生。
みゆきとは高校時代からの知り合いで、彼女にとって唯一の友人と呼べる存在。
温厚で面倒見がいい反面一度決めた事は曲げず、行動力がある為に先輩後輩問わず頼られる事が多い。
下宿生活が長いだけあり凄まじく料理上手で、レパートリーも豊富。
●山中冬美
三橋の後輩。
学部生でありながら大学院に出入りし、教授や院生に可愛がられている。
●藤田鈴花
克人と恵子の愛娘。
黒髪の可憐な美少女。第一部時点で13歳くらい。
昔から病弱で学校も休みがちで親しい友人もできず、男子からのいじめ(好意の裏返し)のせいで男性恐怖症気味。
最初は荘一郎にも脅えていたが、すぐに信頼し兄妹のように仲が良くなった。
その儚い美貌は、みゆきにとって逃れられない十字架の記憶と淡い希望の両方をもたらす。
●藤田克人
学習関係で大きなシェアを誇るリース出版の社長。
温和な性格で妻子を何よりも大切に想っている良き大黒柱。
その善良さや情の深さが災いし、もし彼が亡き妻の遺言さえ実行していれば……。
●藤田恵子
克人の妻。
人を見る眼に長け、冷静沈着で機転も利く悠然とした良妻賢母。
しかしその実、内面には相当な狂気を宿していた。
廃工場で全身を&font(#ff0000){切り刻まれた}状態で発見された第1番目の被害者。
●武林善造
33年前、恐るべき毒薬”小人地獄”を製造したマッドサイエンティスト。
別に完成したそれを使って悪事を働いたり利益を得ようという考えはなく、
ただ単に優れた毒薬を作りたがっていた芸術家気質(存分に狂っていると思うが)。
”小人地獄”が完成した直後、何者かの手によって殺害された。
●国見敏夫
建設会社の部長から一転、会社の倒産と株の失敗で無職になり妻子にも見捨てられた56歳の男。
自宅の風呂場で&font(#ff0000){茹でられた}状態で発見された2番目の被害者。
死後、殺される直前に「[[コンビニ]]で週刊誌のグラビアを食い入るように見た後、
クリームパンとパック牛乳を小銭で買った」ことまで報道されてしまう羽目に。
●鶴田文治
かつて闇社会でその名を轟かせたブローカー。
しかし、最近は仕事を立て続けにしくじって今では完全に干されている。
実は昔、借金の肩代わりを条件に”小人地獄”の製造を手伝わされ、ワクチンを作る為に毒を飲まされるという人体実験までされていた。
その影響で&font(#ff0000){「俺の体はボロボロだ!!」}状態で、[[ED>ED(インポ)]]にもなってしまっている。
あるネタを使い、藤田家から大金をせしめようと恐喝を目論む。
【用語】
◆小人地獄
&font(#ff0000){アホみたいに超高性能な毒薬。}
水にもお湯にもよく溶け、ほぼ無味無臭。あらゆる温度でも変質せず、酸化もしない。
飲んでから一時間後に効果が出て、心不全そっくりの症状を引き起こす。
たとえ遺体が解剖されても、心臓にも内臓にも痕跡が残らず、証拠を検出することは不可能。
死因は絶対に自然死としか判断されず、従って適切な致死量で使えば罪に問われない殺人を犯せる。
唯一の欠点として、致死量の二十倍を目安に飲み込めないほど強烈な苦みが生まれ、それによってすぐ吐き出した場合は生命に全く影響がない。
その材料や製造法も謎に包まれているが、必要なものに&font(#ff0000){腐敗した大量の胎児}がある。
◆メルヘン小人地獄
何者かに手によってメディアに送られた童話。
悪い博士がとびきり凄い毒薬を作る為に小人の村を襲撃し、生き残った小人たちは博士への復讐を決意する。
だが、復讐に取りかかる前に博士がぽっくり逝ってしまった為、小人たちは怨みの捌け口を全く無関係な三人の人間へぶつけていく。
&font(#ff0000){とびきり陰惨でグロテスクな物語だが、この童話自体があるトリック。}
#center(){&font(#0000ff){以下ネタバレ}}
真章と言える第二部で重要なのは&font(#ff0000){「誰が、何の為に、毒を使ったのか」}である。
ヒントは&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){八百屋お七}}}。
#center(){&font(#800080){アニヲタは書こう じゃんじゃん書こう}}
#center(){&font(#800080){こもり こもって かきこだかきこ}}
#center(){&font(#800080){なおしてたして ついきしゅうせい}}
#center(){&font(#800080){アニヲタは書こう じゃんじゃん書こう}}
#center(){&font(#ff0000){だい4ばんめのいけにえだ}}
#include(テンプレ2)
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#vote3(time=600,5)
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#include(テンプレ3)
#openclose(show=▷ コメント欄){
#areaedit()
- 高3のときに読んだよ・・・やるせない思いでいっぱいになった・・・みゆきさんみたいな人に憧れる -- 名無しさん (2015-04-12 22:26:17)
- 自身の才覚や運命に自分や周りがどうしようもなく壊されていく様とそれへの反抗ってのはこの作者の作品の共通のテーマだよね。スパイラルや十字界なんかは特に。 -- 名無しさん (2015-04-12 22:48:58)
#comment
#areaedit(end)
}
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#center(){&font(#800080){だい3ばんめのいけにえだ}}
『[[スパイラル~推理の絆~]]』や『[[絶園のテンペスト]]』などの原作で知られるミステリー作家・城平京の長編デビュー作。
当初この作品は第二部のみであり、氏が所属していた大学の文芸誌に掲載された。
後に毒薬の来歴や登場する業績を描いた第一章が追加され、現在出版されている今の形になった。
トンデモトリックや[[ファンタジー]]要素の目立つ氏の作品の中で、それらが唯一ないと言える本格ミステリー(毒薬の効能は現実離れしているが)。
ただし後の作風に代表される「運命への反抗」といったテーマや、切なくほろ苦い結末は共通している。
また[[天才]]であるはずの人間が運命にフルボッコにされたり女性がやたらカッコイいのも変わらず。
抱える苦悩や背負うべき業、
逃れられない宿命といった、真相を明るみに出すことで、人間関係を徹底的に破壊してしまう功罪を描いた重厚にして悲壮なお伽話。
是非、一読をどうぞ。
【第一部:メルヘン小人地獄】
ある日、各種メディアに奇妙で怪奇な童話&font(#ff0000){『メルヘン小人地獄』}が送りつけられた。
それは毒薬を作った悪い博士と毒薬の材料にされた小人たちの因果を綴る[[復讐]]の物語。
程なくして、童話をなぞるように次々と猟奇的な殺人事件が勃発する。
その渦中に巻き込まれた藤田家で家庭教師を務める三橋荘一郎は藤田家の人々を守ろうと奮闘するが、やがて現れた脅迫者は完璧なアリバイと狡猾さで彼らを追い詰めていく。
荘一郎は苦悩の末、遂に知り合いの名探偵・瀬川みゆきに助けを求めることを決意した……。
【第二部:毒杯パズル】
世間を震撼させたメルヘン小人地獄殺人事件が解決してから二年後、藤田家で一人の人間が殺された。
それは本来なら死ぬ筈のない、最も理想的な毒薬が最も下手な使い方をされた不可解な惨劇。
あてのない旅を続けていた瀬川みゆきは事件解決の依頼を受け、再び藤田家を訪れた。
関係者たちの奇妙な背景が二転三転する中、徐々に宿業が否応なしに彼女へ突きつけられる。
果たして、真実はどこにあるのか……。
【登場人物】
●瀬川みゆき
第二部の主人公。
無機質で冷淡な印象を与える長身のクールビューティー。
皆がサジを投げるどんな謎でもたちどころに解決するという天性の名探偵。
しかし、彼女が背負う宿命はあまりにも重々しく、そして哀しい。
&font(#0000ff){「私は───愚かだ」}
●三橋荘一郎
第一部の主人公。
アルバイトとして鈴花の家庭教師を務める大学院生。
みゆきとは高校時代からの知り合いで、彼女にとって唯一の友人と呼べる存在。
温厚で面倒見がいい反面一度決めた事は曲げず、行動力がある為に先輩後輩問わず頼られる事が多い。
下宿生活が長いだけあり凄まじく料理上手で、レパートリーも豊富。
●山中冬美
三橋の後輩。
学部生でありながら大学院に出入りし、教授や院生に可愛がられている。
●藤田鈴花
克人と恵子の愛娘。
黒髪の可憐な美少女。第一部時点で13歳くらい。
昔から病弱で学校も休みがちで親しい友人もできず、男子からのいじめ(好意の裏返し)のせいで男性恐怖症気味。
最初は荘一郎にも脅えていたが、すぐに信頼し兄妹のように仲が良くなった。
その儚い美貌は、みゆきにとって逃れられない十字架の記憶と淡い希望の両方をもたらす。
●藤田克人
学習関係で大きなシェアを誇るリース出版の社長。
温和な性格で妻子を何よりも大切に想っている良き大黒柱。
その善良さや情の深さが災いし、もし彼が亡き妻の遺言さえ実行していれば……。
●藤田恵子
克人の妻。
人を見る眼に長け、冷静沈着で機転も利く悠然とした良妻賢母。
しかしその実、内面には相当な狂気を宿していた。
廃工場で全身を&font(#ff0000){切り刻まれた}状態で発見された第1番目の被害者。
●武林善造
33年前、恐るべき毒薬”小人地獄”を製造したマッドサイエンティスト。
別に完成したそれを使って悪事を働いたり利益を得ようという考えはなく、
ただ単に優れた毒薬を作りたがっていた芸術家気質(存分に狂っていると思うが)。
”小人地獄”が完成した直後、何者かの手によって殺害された。
●国見敏夫
建設会社の部長から一転、会社の倒産と株の失敗で無職になり妻子にも見捨てられた56歳の男。
自宅の風呂場で&font(#ff0000){茹でられた}状態で発見された2番目の被害者。
死後、殺される直前に「[[コンビニ]]で週刊誌のグラビアを食い入るように見た後、
クリームパンとパック牛乳を小銭で買った」ことまで報道されてしまう羽目に。
●鶴田文治
かつて闇社会でその名を轟かせたブローカー。
しかし、最近は仕事を立て続けにしくじって今では完全に干されている。
実は昔、借金の肩代わりを条件に”小人地獄”の製造を手伝わされ、ワクチンを作る為に毒を飲まされるという人体実験までされていた。
その影響で&font(#ff0000){「俺の体はボロボロだ!!」}状態で、[[ED>ED(インポ)]]にもなってしまっている。
あるネタを使い、藤田家から大金をせしめようと恐喝を目論む。
【用語】
◆小人地獄
&font(#ff0000){アホみたいに超高性能な毒薬。}
水にもお湯にもよく溶け、ほぼ無味無臭。あらゆる温度でも変質せず、酸化もしない。
飲んでから一時間後に効果が出て、心不全そっくりの症状を引き起こす。
たとえ遺体が解剖されても、心臓にも内臓にも痕跡が残らず、証拠を検出することは不可能。
死因は絶対に自然死としか判断されず、従って適切な致死量で使えば罪に問われない殺人を犯せる。
唯一の欠点として、致死量の二十倍を目安に飲み込めないほど強烈な苦みが生まれ、それによってすぐ吐き出した場合は生命に全く影響がない。
その材料や製造法も謎に包まれているが、必要なものに&font(#ff0000){腐敗した大量の胎児}がある。
◆メルヘン小人地獄
何者かに手によってメディアに送られた童話。
悪い博士がとびきり凄い毒薬を作る為に小人の村を襲撃し、生き残った小人たちは博士への復讐を決意する。
だが、復讐に取りかかる前に博士がぽっくり逝ってしまった為、小人たちは怨みの捌け口を全く無関係な三人の人間へぶつけていく。
&font(#ff0000){とびきり陰惨でグロテスクな物語だが、この童話自体があるトリック。}
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真章と言える第二部で重要なのは&font(#ff0000){「誰が、何の為に、毒を使ったのか」}である。
ヒントは&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){八百屋お七}}}。
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- 高3のときに読んだよ・・・やるせない思いでいっぱいになった・・・みゆきさんみたいな人に憧れる -- 名無しさん (2015-04-12 22:26:17)
- 自身の才覚や運命に自分や周りがどうしようもなく壊されていく様とそれへの反抗ってのはこの作者の作品の共通のテーマだよね。スパイラルや十字界なんかは特に。 -- 名無しさん (2015-04-12 22:48:58)
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