道化師の蝶(小説)

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&font(#6495ED){登録日}:2012/07/31(火) 00:22:27 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 4 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){ 何よりもまず、名前があ行ではじまる 人々に。              それから、か行で、さ行で以下同文。 そしてまた、名前が母音ではじまる人 々に。               それからbで、cで以下同文。     諸々の規則によって仮に生じる、様々 な区分へ順々に。          網の交点が一体誰を指し示すのか、わ たしに指定する術はもうないのだが、 こうする以外にどんな方法があるとい うのだろうか。           } 『道化師の蝶』とは[[円城塔]]の小説。 2012年1月に単行本が講談社から刊行されている。   収録作は以下の通り。 &font(#008cff){■}「道化師の蝶」(初出:「群像」2011年7月号) &font(#008cff){■}「松ノ枝の記」(初出:「群像」2012年2月号) 【&font(#008cff){概要}】 中篇小説をふたつ収録。 どちらもよくわからないお話に概ね属する。 物語が進めば登場人物は入れ替わり、お話は重なりながら組み込まれ、現実と虚構を行きつ戻りつ──無論全くしていないかもしれないけれど──結末へと辿り着く。 入れ子構造だ、いいや[[フラクタル]]だ、階層だ円環だ暗喩だ寓意だ戯画だと本書を読む/読んだ/読んでいるあなたは定義をするかもしれず、それすらすり抜けてしまうこれは何かだ。   “このお話はメタフィクションです([[Wikipedia]]調べ)”の一言で済ませる向きもあるが、それは網目が一寸大きい。気がする。多分。 ……何を言っているのかよくわからないと思う。 わたしにもよくわからないのだけれど、いや、よくわからないのはこの本であって、それをどうにか表現しようとした結果がこの概要だ。 本書を読んでいないあなたからすれば一切が意味不明で、「そういうのいいから、きちんと[[説明]]しろ」と業腹なのは想像に難くない。偏にわたしの力不足ゆえである。 だから、いつかあなたがこのお話を読み終えたときは、本書を読む/読んだ/読んでいるあたなと一緒に項目を書き換えてほしい。 あなたが見た蝶の羽模様を、わたしは知りたい。   【&font(#008cff){目次:イントロダクション}】 &font(#008cff){■}「道化師の蝶」 [[東京>東京都]]―シアトル間を結ぶ飛行機の中、わたしは本を読めずにいた。 読めないとはいっても、わけのわからない内容が書かれているとか、知りもしない外国語で書かれてるとかそういった理由ではない。単に集中できないのだ。ひょっとして飛行機の速度と関係があるのではと睨んでいる。 そんな他愛ない思いつきを隣の席の男性──名をエイブラムス氏という──に漏らしたところ、 「話をきかせてもらえましょうか」 そう言って、銀色の小さな虫捕り網をわたしの頭へ静かに乗せた。 それは東京―シアトル間を結ぶ飛行中の出来事だ。   &font(#afdfe4){▼}わたし 当人。 空港のキオスクで『腕が三本ある人への打ち明け話』という本を買う。 旅行中。 &font(#afdfe4){▼}A・A・エイブラムス 事業家。でっぷりとした巨漢。 銀細工で出来た小さな捕虫網を持っている。 飛行中。 &font(#afdfe4){▼}友幸友幸 作家。詳細不明。 移動中。   &font(#008cff){■}「松ノ枝の記」 出会いは一冊の本だった。しかしまだ出会っていない。 旅先でふと手に取った本は、[[タイムトラベル]]を題材にした荒唐無稽な物語だった。 一読し衝動に駆られたわたしは辞書も引かず翻訳を始め、その原稿を出版社に送った。送りつけた、とした方が適切かもしれない。 それでも作者本人から返事が来たのだ。 しかも、わたしの書いた本を翻訳した原稿も一緒に。 こうしてわたしと彼は、お互いの翻訳者となったのだ──。   &font(#afdfe4){▼}わたし 作家。英語はあまり得意でない。 物語は「わたし」が「彼」の書いた新作の原稿を取りに行くところから動き出す。 &font(#afdfe4){▼}彼 作家。「わたし」は松ノ枝と呼んでいる。 「わたし」とは互いの著書を使って悪ふざけをするような仲。 &font(#afdfe4){▼}姉 「彼」の姉をしているという。 詳細不明。   【&font(#008cff){余談・備考など}】 「道化師の蝶」は第146回芥川賞受賞作(田中慎弥「共喰い」と同時受賞)。 選考委員会は大絶賛派、全否定派、2回寝ちゃったよ派が互いに意見をぶつけ合い、本作の選考はかなり難航したという。 尚、大絶賛派に川上弘美女史、島田雅彦氏(五十音順)がいる。 ……あれ? これは[[デジャヴ>これはペンです(小説)]]? どちらのお話も一 般文芸誌に掲載されたが、純文系の人には「[[SF]]ですな」と言われ、SF者には「純文ですね」と言われるらしい。 追記・修正・その他何でも宜しくお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() #comment #areaedit(end) }
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