アナザーガンダム(ガンダムシリーズ)

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&font(#6495ED){登録日}:2011/12/06 Tue 23:53:23 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 14 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 『アナザーガンダム』とは、1994年の『[[機動武闘伝Gガンダム]]』以降に始まった、物語の舞台が[[宇宙世紀>宇宙世紀(ガンダムシリーズ)]]ではないガンダムシリーズの事を指す。 #openclose(show=●目次){ #contents() } *【概要】 「平成ガンダム」と呼ばれる事もあるが、平成以降も宇宙世紀を舞台とする『[[機動戦士ガンダムF91]]』や『[[機動戦士Vガンダム]]』、 『[[機動戦士ガンダムUC]]』などが発表されているため、宇宙世紀シリーズと区分して『アナザーガンダム』と省略して呼ばれる事がインターネット上では多い。 アナザーガンダムの歴史は、宇宙世紀と繋がらないパラレルだと認識されていたが、『[[∀ガンダム>∀ガンダム(アニメ)]]』にて、黒歴史という設定が登場し、アナザーガンダムの時代設定も宇宙世紀と同様に∀の時代「正暦」に至るまでに含まれていることが判明した。 ただ、2015年開催のトークショー「「夜のG-レコ研究会 ~富野由悠季編~」によれば、∀ガンダム劇中の黒歴史もあの時代の黒歴史でしかないとの富野による発言もあり、他の時代はどうなっているかは現状不明である。 *【特徴】 大まかな特徴としては、 ・宇宙世紀(以下UC)以外の年号が使われた世界を舞台とする ・作品間で世界観が独立しており年号が連続しない ・ハッピーエンドの作品が多め ・上級職に就く女性が増加した現実を反映し、女性艦長や女性為政者等の登場頻度が増加している ・ガンダムタイプとそうでない機体を区別する明確な定義が存在する など。 ただし、『アナザーガンダム』と呼ばれる作品全てがこの定義に当てはまるわけではなく、例外も存在する。 富野由悠季が監督、脚本、主題歌の作詞等でガッツリ関わっている『∀ガンダム』や『Gのレコンギスタ』は、 年号こそ異なるが宇宙世紀の遠い未来という設定であり、ほとんど別の世界と化しているが世界観自体は同一である。 『SEED DESTINY』は『SEED』の続編ということもあり、同じ年号(C.E.)が連続して使われている他、 その『SEED DESTINY』や『鉄血のオルフェンズ(第二期)』等は、戦争(戦乱)が終結したという意味合いでは(世界にとって)救いのある結末だが、 主人公の陣営・組織が敗北したり、壊滅しているなど、主人公やその関係者にとってはバッドエンドという印象が強い。 新しい時代設定を一から作り上げた上で世界観を構築しているのも特徴で、戦記物となっている既存の宇宙世紀ガンダムよりも新規獲得を目指している傾向がある。 その代表例として戦記物ではなく冒険物語を描いた『Gのレコンギスタ』がある。   宇宙世紀ではやれない事を盛り込む、という大きな魅力も存在する。 様々な部分で独自性が見受けられる為、また別の楽しみ方ができるシリーズでもある。 また、アナザーからガンダムに入った人はアナザーの個性故に、他のシリーズに対する偏見もさほど強くない傾向がある。 *【作品群】 **◆TVシリーズ ***・[[機動武闘伝Gガンダム]] 監督:今川泰宏/構成:五武冬史 #center(){&bold(){ガンダムファイト、レディー・ゴー!}} F.C.(未来世紀)を舞台としたガンダム。 「4年に1度、地球圏の覇権を賭けてガンダムによる戦いを行う」という、アナザー1発目にして最大級のイロモノ。 これは作品制作当時の格闘技・格ゲー・サッカーブームの影響が大きい。 キャラクターの原案には漫画家の島本和彦が関わっている。 ガンダムファイター(ガンダムパイロット)が技名を叫びながら必殺技を放つなど、従来のスーパーロボット的な演出は、 UCシリーズを見てきた古参のファンには賛否両論だったものの、初めてシリーズに触れる子供たちには人気を博した。 シリーズのテーマである「NTに覚醒することで相互理解を果たせる」という点は「ガンダムファイターが拳をぶつけ合い、他者を理解していく」という風に置き換えられている。 また、従来の地球とコロニーの対立関係も本作の世界観に置き換えて戦争の空しさを伝えている他、 「心を通じ合わせること」「荒廃した地球の再生」「宇宙・地球の対立」という宇宙世紀世界のガンダムが持っていた要素はしっかりと受け継がれており、 一見すると子供向けにも思える作風ながら、実は大人も楽しめる作品になっている。 ぶっ飛んだ要素であるガンダムファイトについても、戦争の代替手段として大真面目に設定されている。 地球がリングというルールゆえにファイトが行われるたびに地球が被害を被るという負の側面も描写されており、 スーパーロボットものにありがちな派手なロボットプロレス要素というだけではない。 ガンダムとしては異質だが、ストーリーの本筋は少年漫画的な王道のバトル物で分かりやすく、主要キャラクターたちの人気・評価は純粋に高い。 この作品によるブレイクスルーが後年のガンダムシリーズに新しい道を切り開いたことから、その功績は非常に大きい。 特にメカデザイナーの大河原邦男は本作への思い入れが非常に強く、現在までガンダムが続いているのはGの功績が大きいと各所で語っている。 なお、本作の方針を、『マジンガーZ』や『ゲッターロボ』に近い、所謂「ロボットプロレス」にしようとしたのは他ならぬ富野由悠季監督である。 今川監督が起用されたのも、ロボットプロレスをやらせるなら今川しかいないという富野監督直々のご指名である。 ちなみに今川監督は当初、地球に帰還しようとする火星移住者と地球の争いという後の『∀ガンダム』のような構想を持っていたそうな。 ***・[[新機動戦記ガンダムW]] 監督:池田成→高松信司/構成:隅沢克之 #center(){&bold(){少女が見た流星}} A.C.(アフターコロニー)を舞台にしたガンダム。 明るい雰囲気であった『Gガンダム』とは打って変わり、今度は「5人の美少年がガンダムに乗って反政府運動を行う」という作風。 巨大財閥ロームフェラ財団の私兵である秘密結社「OZ」に対抗するべく、少年たちはオペレーション・メテオに参加。隕石に偽装してガンダムと共にコロニーから地球に降り立つ。 冷戦が終結した世相を反映して大国同士の衝突ではなくゲリラ戦が主体となり、『閃光のハサウェイ』に続いてシリーズでは二作目、TVシリーズとしては初のテロリストが主人公となった。 5人のガンダムパイロットとヒロインをはじめ、&bold(){敵も味方も男も女もみな一癖も二癖もある強烈な個性を持っている}。昔から特徴的なキャラクターが多いとされるガンダムシリーズの中でも際立っており、視聴者を飽きさせない。特に[[第1話>お前を殺す(新機動戦記ガンダムW)]]から発揮された一部キャラのブッ飛んだ思想や行動の数々は視聴者に大きなインパクトを与えた。 この作風は本来の視聴者の少年だけでなく女性にも大きく受け、シリーズの女性ファンはかなり増加した。いわゆる「イケメン戦隊」というフォーマットは池田監督の過去作「鎧伝サムライトルーパー」を踏襲しており、女性に受けたのはある意味必然だったとも言える。 華美なキャラとは裏腹に展開されるストーリーはハードで哲学的。戦争を止めるにはどうすればいいかという問い、敗北してもそこから立ち上がり泥臭く戦う少年たちの姿が描かれる。他にも無骨ながらもキャラクター性を強く主張したメカデザインは男女共に視聴者から評価が高く、アナザーの中では突出した根強い支持がある。 ストーリー全体は『ファースト』~『逆シャア』までを凝縮してなぞっていくというオマージュの構成であり、それに本作特有のアクの強いエッセンスが絶妙に加わった結果、見事な化学反応を起こしたと言えよう。 監督が途中で降板した((他作品とのスケジュールが折り合わず、やむを得なかった降板である。その為池田監督自身を責めたスタッフはあまりいない。))ため、後期OP映像の完成が最終回になったりと製作現場は非常にキツかったらしく、作画面での評価はあまり芳しくない。 ゲーム『[[スーパーロボット大戦α]]』では独自設定として、本作から客演した[[ゼクス・マーキス]]と[[トレーズ・クシュリナーダ]]が、 「正史には登場しない幻の機体である[[ガンダニュウム合金]]製のモビルスーツを([[ウイングゼロ>ウイングガンダムゼロ]]も含めて)『アナザーガンダム』と呼んでいる者達も居る」とし、 「ガンダムであってガンダムでない彼らにふさわしい表現」と述べているシーンがある。 同作品においてはアナザーガンダム作品は『W』(と『Endless Waltz』)しか参戦しておらず定義としては少し『W』寄りになっているが、原作の劇中では登場していない用語をゲームの世界観上で落とし込んだ面白い例と言える。 ***・[[機動新世紀ガンダムX]] 監督:高松信司/構成:川崎ヒロユキ #center(){&bold(){月は出ているか?}} A.W.(アフターウォー)を舞台にしたガンダム。 今回は「戦後の世界」をメインにしており、従来よりも荒廃した雰囲気の漂う作品。 先の大戦で実行された大規模なコロニー落としによって甚大な被害を受けた地球が舞台。 秩序すら失われた過酷な世界観で主人公のガロードたちは逞しく生き抜いていく。 いわゆるボーイ・ミーツ・ガールであり、ガロードが出会ったNTの少女であるティファが物語の鍵を握る。 NTとして戦い耐えがたいトラウマを負った者、NTを利用しようと企む者、 NTではないと切り捨てられたことで世界に復讐をしようとする者らが交錯し、遂には「世界最初のNT」と呼ぶべき存在が姿を現す。 ニュータイプという用語が重要なキーワードとして登場するが宇宙世紀のニュータイプとは別物である。 コロニー落としという非道な作戦が実行された歴史があるなど、 これまでのアナザーガンダムに比べ宇宙世紀のガンダムシリーズを強く意識している。 「過去の戦争を生き抜いてきた年長者」と「これからの未来を築いていく若者」の2つの視点が提示されていて、そういう点では後記の『ガンダムAGE』の要素を先駆けてやった作品である。 『G』と『W』が破天荒な作風であったことから相対的に地味な印象を与えてしまった点は拭えない。 ちなみに監督の高松信司は『Ζ』や『ZZ』に演出などで関わっている。 これら3作は連続で放映された為、前2作と合わせて「平成3部作」と呼ばれる。 視聴率は打ち切られるほど低くなることはなかったが、外野の事情で1クール分の放送期間短縮となってしまった。 しかしボーイ・ミーツ・ガールを軸とするしっかりした王道のストーリー、丁寧なキャラクター造形などから高評価を受ける事も多い。 話数短縮を喰らって終盤が駆け足気味ではあるが、話はまとまっている。 ここまでの3作品共通の特徴として、「最低1機は腕が伸びるガンダムが出てくる」というものがある。 これは『G』に登場したドラゴンガンダムの玩具が主役であるシャイニング、ゴッドガンダムに次いで売れたことを受け、後の作品でも踏襲したため。 ***・[[∀ガンダム>∀ガンダム(アニメ)]] 監督:富野由悠季 #center(){&bold(){∀の風が吹く……}} 正暦/C.C.(コレクトセンチュリー)を舞台にしたガンダム。 アナザーで初めて、富野監督が総指揮を務めた。 地球に住む人々と、月に住む人々であるムーン・レィスの接触と衝突に端を発する戦争が描かれる。 近未来を描いたSFという雰囲気の従来のガンダムシリーズとはまるで異なり、地球の街並みは産業革命期のヨーロッパ、まるで世界名作劇場を思わせる作風となっている。 実際は、水素を吸着する「フロッジストーン」と呼ばれる燃料を使い、水素エンジンで車などを運用するなど、その技術レベルは高い。 作中世界において、過去の宇宙で起こった戦争の歴史は「黒歴史」と総称されており、 その記録は一部の月の民しか触れることを許されず、「冬の宮殿」で厳重に封印されている。 「黒歴史」には宇宙世紀世界のみならず、本来は世界観が連続しないアナザーガンダムの世界も含まれていることが明かされており、今作で初めて宇宙世紀ガンダムとアナザーガンダムの接点が構築された。 既存の文明を黒歴史へと葬ったのが、主人公の乗る「∀ガンダム」である。デウス・エクス・マキナと呼べるような恐るべき力を持っており、兄弟機であるターンXとの戦いになっていく。 世界的デザイナー、シド・ミードがメカデザインを担当。 シドは工業デザイナーならではの独特な造形は富野監督すら驚かせた。&bold(){髭のようなパーツを顔から生やした主役機}というのはガンダムシリーズのみならずロボットアニメ全体で見ても極めて稀だろう。 「ヒゲガンダム」に代表される独自デザインを苦手とする人間も多い一方、 アイデアと躍動感溢れるアクションシーンなどから「動くと評価が変わる」とも。 また、安田朗によるキャラクターデザインと産業革命期のヨーロッパのような世界観から、 どこか牧歌的な雰囲気があり、「世界名作劇場ガンダム」なんて呼ばれる事も。 再編集された劇場版「地球光」「月光蝶」もある。 今でこそ高く評価されているが、当時は余りにも『完結編』に相応しすぎる高い完成度と、 しばらくの間ガンダムシリーズの新作が作られなかったりSDガンダムも縮小傾向があった。 そのため、一部ではガンダムシリーズのみならず「巨大[[ロボットアニメ]]ジャンルは役目を終えた」という悲観的な論調が広がっていた。 また直接の関係はないが、同時期に人気を博したロボットアニメシリーズである『[[勇者シリーズ]]』が終了したり、 『[[超生命体トランスフォーマー ビーストウォーズメタルス]]』の作風が所謂ロボットものからかけ離れたものだったことも挙げられる。 具体例としては、『G』以来欠かさずコミカライズを載せていた[[コミックボンボン]]が本作後ガンダムに見切りをつけてガンダム漫画を切ってしまい、次回作を連載しなかった&font(#0000ff,u){&font(#ffffff){一方でマガジンZ版のコミックス1巻が飛ぶように売れて編集部が上から大目玉を食らい、漫画家に100ページ一挙掲載というとんでもない依頼をした}}。 ***・[[機動戦士ガンダムSEED]] 監督:福田己津央/構成:両澤千晶 #center(){&bold(){戦火の中で、立ち上がれガンダム!}} C.E.(コズミック・イラ)を舞台にしたガンダム。 地球連合と宇宙移民国家プラントとの戦争に巻き込まれ、 成り行きで連合の最新鋭MS“ストライク”に乗り込むことになった主人公・キラが、戦火の中を戦い抜くというストーリー。 『∀』でガンダムシリーズは締め括られたと思われていた中で発表され、放送前の期待はかなり大きかった。 21世紀の1stガンダムというコンセプトで作られたため、初代こと『機動戦士ガンダム』のオマージュ的な部分が多く、 宇宙が主な舞台となったり、スペースコロニーが登場したりと宇宙世紀シリーズに近い作風だが、 一方でMSの動力源がバッテリーだったり、戦闘シーンの割合が低くドラマパートに比重を置いているなど独自要素も多い。 久々のガンダムシリーズであった事に加えて、ネット環境の普及時期であった事も手伝い大反響を呼んだ。 その際たる例が、SEEDファン大量流入(とそれに伴うアンチの増加)による2ちゃんねるのシャア板分裂であり、現在も対立は根強く残っている。 平井久司がキャラクターデザインを行った事でキャラクター人気が極めて高く、『W』以来久々にそのテの業界を席巻した。 メカニックデザインやスピード感重視の戦闘演出も合わせてどこか煌びやかな第一印象を感じさせるが、 ストーリーそのものは人種差別や民族紛争をテーマとした血みどろの殲滅戦争であり、重苦しい展開や過激なゴア描写も少なくない。 作中の兵器設定に対してSF的考察がしっかり行われているのも特徴。最も設定が二転三転することも少なくはないが…… また、作中の兵器は所謂「ガンダム顔」であっても「ガンダム」と正式名称に付くものは存在しないとされ、 「ガンダム」という単語は主人公ら一部のキャラが使う非公式の愛称という扱いになっている。 ただ、現実の商業展開などでは「機体名+ガンダム」(例:ストライクガンダム)の名前が付けられることが多い。 『SEED』シリーズ10周年となる2012年からは、新規作画の追加と再編集を行ったHDリマスター版が放映された。 本作から始まる『∀』以後のアナザーガンダム作品群は、Gジェネレーションシリーズでは「新世紀ガンダム」と呼ばれている。 ***・[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY]] 監督:福田己津央/構成:両澤千晶 #center(){&bold(){その運命、打ち砕け!ガンダム!}} アナザーのTVシリーズでは初となる続編。 前作『SEED』の2年後が舞台。 前作が1stのオマージュを取り入れていたように、こちらはZのオマージュを導入しているのも特徴。 前作が好評だったので期待されていたが、いざ放送されると脚本面を中心に賛否がバッサリと分かれ、シリーズ史上稀に見る大論争を巻き起こした。 特に、物語後半で[[新主人公>シン・アスカ]]から[[前主人公>キラ・ヤマト]]に物語の主軸が移る構造は視聴者の度肝を抜いた。 しかし、その分固定ファンからの支持は現在でも強く、アニメ誌の年間アニメ最優秀賞等を受賞した実績もあったりする。 ヒロイックなMS群も好評で、ゲームなどでの露出も多い。 主観を捨てて評価をすれば、『作品』としての評価こそ極端に分かれるものの『商品』としては紛れもなく成功しており、 後のシリーズ継続への一端を担った功績は無視できない。 続編となる劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』も2024年に公開された。 ***・[[機動戦士ガンダム00]] 監督:水島精二/構成:黒田洋介 #center(){&bold(){武力による紛争の根絶──}} シリーズで初めて西暦を舞台にしたガンダム。 「武力介入による紛争根絶」を目指す組織、ソレスタルビーイングの戦いを描く物語。 その独特すぎるMSデザイン、『W』以来のテロリスト主人公だった事や、 前作と現実の9.11同時多発テロがテロリストに対する悪印象を煽っていった影響などで始まる前は不安視されていた。 が、蓋を開けて見れば、前作の反省を経て気合いを入れた戦闘シーン、やたらと「濃い」キャラクター達、リアリティのある世界観設定で好評となった作品。 特に、主人公刹那の変化という視点で劇場版まで追っていくと、すんなりと入ってくるという意見や、積み重ねによる対比への評価は高い。 キャラクター原案がその手の業界で人気の高河ゆんであり、『W』や『SEED』程ではないがソッチ系が盛り上がった。 メインスタッフもこれまでのシリーズから大幅に刷新されており、キャラクターデザインの千葉道徳や、メカニックデザインの海老川兼武、寺岡賢司らは以後のシリーズ作品にも多く関わっている。 一方で、「Wはいけても何故か00はキツい」と苦手意識が取れない人も多いとか。 作品のテーマも難しく、「合う人には合うが、合わない人に合わない」という分かりやすい作品である。 また様々な勢力の描写が描かれており、CB含めて善悪面での区別が付かない一期に対し、 二期はCB対アロウズ(を操るイノベイド)と一見すると勧善懲悪的な絵面になったのでしっくり来ない人もいる様子。 ただし、これはやはりアニメというもののメイン視聴層が子供である以上は仕方のないところかもしれない。 メインテーマがブレているわけでもないので、これだけを理由に作品の質を語ることはできないだろう。 製作の都合上、4クールを2クールごとに分けた初の作品でもある。 ***・[[機動戦士ガンダムAGE]] 監督:山口晋/構成:日野晃博 #center(){&bold(){三つの運命が歴史になる――}} A.G.(アドバンスド・ジェネレーション)を舞台にしたガンダム。   孫までの3世代を描いた大河ドラマ的物語や、正体不明の敵勢力との戦いが描かれる斬新な設定が話題となった一方、 幼年層を意識したキャラクターデザイン、ライバル雑誌コロコロコミックへの移籍、 レベルファイブが製作主導な事、メイン脚本が社長の日野晃博であること等々、『00』とは別ベクトルで賛否を呼んだ。 第一世代ではストーリーの不安定さを指摘する声が目立ち、本格的にエンジンがかかるのは第二世代以降まで待つことになる。 といっても最後まで所々不安定な点もあり、アセム編終盤では声優から一部脚本の改変を嘆願されたなどのエピソードもある。 更に本作はゲームとアニメを同時に制作していたため、そういったシナリオ面での縛りがテコ入れや軌道修正の妨げとなってしまったという意見も。 子供向けと言われがちな作品であるが、物語自体はそれまでのガンダムと同様、テーマ性が強く各キャラクターの思惑が複雑に絡み合ったものである。 また、あっさりした心理描写、簡潔な台詞回しが心掛けられており、話の流れは追いやすいがキャラの内面を掴みにくくなっている。 『00』や『Gレコ』とは違う形で色んな意味で難解な作品。 空白期間を活かしたキャラの心理描写やセルフオマージュが魅力。 戦闘描写も4クールを経て洗練されていき、かなりレベルが高い。 「ベテランパイロット、量産期が活躍する」「ニュータイプ的能力を持たないキャラが(事実上)最強」など渋さも見受けられる。 ただし、設定については一昔前のアニメのようにふわっとした形を取っており、理屈づけがなされていない部分が多い。 実際、漫画版や[[小説版>機動戦士ガンダムAGE(小説版)]]では大まかなあらすじこそ同じであれど、描写や設定が異なっている事が多々見られている。 前々作『SEED』、前作『00』のようにすでに設定がかなり固まっている作品と比べ「公式設定」は非常に希薄で、自由な形で解釈することができる。 これを受け入れられるかどうかで大きく評価が変わる作品。 メカニック本には作中で語られない数々の公式・準公式設定が載っているため、その辺が気になる人は是非読んでおきたい。 ***・[[ガンダム Gのレコンギスタ]] 監督/脚本:富野由悠季 #center(){&bold(){君の目で確かめろ!}} ターンエー以来の富野由悠季によるガンダム。 TVシリーズでは初の深夜アニメのガンダムである。&font(#ff0000){BS11で2015年1月4日から同年12月27日にかけて日曜日の19時30分から全国区で本放送中から二週再放送された。} 宇宙世紀、∀ガンダム期の正暦の後のR.C.(リギルド・センチュリー)を舞台に、謎のMS「[[G-セルフ]]」を駆る[[ベルリ>ベルリ・ゼナム]]少年と宇宙海賊の「姫」[[アイーダ>アイーダ・スルガン]]の冒険を描く。 吉田健一・あきまんなど一部スタッフが重なっているせいか、作風はキングゲイナーに近い。 話の軸としては、複数の勢力によるエネルギーの扱いを巡る抗争劇であるが、それを2クールで展開したせいか話が圧縮され気味。 徹底して明るく牧歌的な雰囲気や、富野監督らしい見応えのある独特の演出などに魅せられた熱狂的なファンも少なくない。 作画クオリティも非常に高く、作品そのものを嫌う層からも作画に関しては好意的なコメントも少なからず見られる。 普段自分の作品に否定的な富野監督も&bold(){「Gレコ、売れなかったでしょ」}といつもの自虐ジョークを飛ばしつつも、 &bold(){「スタッフ達が自分の予想以上の仕事をしてくれた」}と褒めるコメントも残しており、監督なりに得るものは多かったようだ。 世界観が宇宙世紀から直接の地続きであるため 2015年開催のトークショー「「夜のG-レコ研究会 ~富野由悠季編~」の富野によれば、本作は『∀』の約500年後をイメージして作ったという。 この発言を受け、2018年に開かれた展覧会「富野由悠季の世界」の公式サイト上では、「『∀ガンダム』終了から14年後に制作された「ガンダム Gのレコンギスタ」は、「∀」からさらに数百年後の世界が描かれる。」と設定に反映された。 2017年に全5部作の劇場版の公開が発表され、2022年に無事完結。 基本的には過去のガンダム映画と同じくTV版の再構成だが、全体の時間も長く圧縮されていたテレビ版より見やすい。またTVシリーズで描かれなかったシーンの追加が多く行われていたり一部設定やエピソードが整理されたりと、 実質的な完全版ともいえる内容となっており、一気見しやすい構成となっている。 ***・[[機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ]] 監督:長井龍雪/構成:岡田麿里 #center(){&bold(){いのちの糧は、戦場にある}} P.D.(ポスト・ディザスター)を舞台にしたガンダム。2015年10月より放送。AGEから3年ぶりに日5に復帰した。 長井龍雪監督・マリーこと[[岡田麿里]]の『あの花』コンビが手掛ける。キャラクターデザインは『皇国の守護者』『シュトヘル』の伊藤悠。 『00』と同じく分割4クールで製作されるが、当初から分割放送が一部で告知されていた『00』と違い、本作の2期放送は1期の最終回まで伏せられていた。 もっとも1期の展開上、2期が制作される可能性が高い事は多くの視聴者から事前に予測されていた。 また、話数のカウントは1期と2期で連番になっており、2期1話は通算26話目として扱われているが、1期と2期の間の年月の経過については言及されていない。 「厄祭戦」と呼ばれる大戦から300年後の世界で、火星で生きる民兵団の少年兵たちが大人たちに反旗を翻し、平穏な生活を勝ち得るために戦うストーリーが展開される。 世界観がなかなか荒廃しているが故、非常に泥臭く生々しいハードな作風であり、実弾兵器と近接戦闘による重厚で無骨な荒々しいMS戦やこれまでに無い斬新な艦隊戦の描写、 任侠作品めいた物々しい雰囲気はこの作品独自のものとして評価されている。 ガンダムらしい政治的駆け引き、各キャラの思惑がややこしく交錯するドラマも細かく描かれるため、1期では戦闘のある回が減っていることを嘆くファンも多く、 その声を受けて2期では改善がされたが、それでもこれまでの3スタ作品に比べると少なめ。しかし、その分多く描かれた多様なドラマ展開は多くの視聴者を惹きつけた。 &bold(){『滅びの物語』}がコンセプトであり、特に二期は主人公サイドが追い詰められた末に敗北する重く苦しい展開となった。 なお、当初の構想では主人公陣営がほぼ全滅する壮絶な終わり方だったものの、岡田が「主人公達に『救い』を与えたい」と考え、敗北の中にも一抹の希望と未来への展望を残すようになったとのこと。 ただ、この変更の影響か(大筋の流れはごく自然なのだが)終盤の演出面では悪い意味でのご都合主義な部分も目立ってしまい、話がまとまっていた一期と比較して二期終盤を酷評する意見もある。 とはいえ、作品自体の終着点は最初から決められており、一期から結末を示唆する伏線は張り巡らされていた。ゆえに主人公陣営の敗北も自然な結末で運命だったと好評する意見もある。 実際、この結末を決めた長井監督は仲間以外に酷いことをしてきた主人公陣営は&bold(){『報い』}を受けなければならなかったと述べており、この部分には作品の根幹に関わる念入りな拘りを見出すことができる。 またモビルスーツの内部フレームに細かい設定が付け加えられているのも特徴で、本作のガンダムは「ガンダム・フレーム」という共通のインナーフレームを持つ機体の総称でもある。 劇中設定ではガンダムは72機存在し、その中で現存しているのは26機とされているが、本編と漫画、ソーシャルゲームなどの外伝も含めて登場したのは2022年現在では11機のみとなっている。 長井監督は「ガンダムという作品は、今ではどんなものでも受け入れてくれるひとつのジャンル」とも言及している。 奇しくもこの考え方は既存の枠組みに囚われる必要のないことを主張した富野の考えに近いものがある。 作品全体を通して多種多様な白熱した議論が交わされる作品になってしまったものの、既存の枠組みに囚われない斬新な作品を志した製作スタッフの努力は評価されるべきであろう。 DESTINY同様、アニメ誌の作品部門年間アニメ最優秀賞等も受賞している。 オプション武装を別売りにする「武器セット」方式を復活させ、高品質と低価格を両立させたガンプラがバカ売れしたのも記憶に新しい。 結果的に興行収益は成功を収めたといっていいだろう。 ***・[[機動戦士ガンダム 水星の魔女]] 監督:小林寛/構成:大河内一楼 #center(){&bold(){その魔女は、ガンダムを駆る}} A.S.(アド・ステラ)を舞台としたガンダム。2022年10月から放送を開始し、2022年12月までが第1クール、2023年4月から2クール目が放送という分割2クールになっている。 本放送直前には前日譚となるエピソード『PROLOGUE』が放送された。 鉄血から実に5年ぶりとなるアナザーガンダム作品となっており、 鉄血を最後に一旦終了していた「日5枠」が本作の放送開始と同時に復活する流れとなった。 監督はOVA版『君のいる町』などを担当した小林寛、シリーズ構成はアニメ『∀ガンダム』でデビューした大河内一楼が務める。 アナザーガンダムどころか宇宙世紀のアニメ作品を含めても珍しい女性主人公のガンダム作品となっており、 学園ものの要素を取り込む、主人公とヒロイン(ポジション)が両方女性キャラなど、新しい試みを積極的に取り入れている。 アニヲタ的に説明するとセカイ系ガンダムと言えるだろう。 **◆OVA・劇場作品 ***・[[新機動戦記ガンダムW Endless Waltz]] 監督:青木康直/脚本:隅沢克之 #center(){&bold(){俺達は、あと何人殺せばいい?}} 大ヒットした『W』の続編となる全3話のOVA作品。 後に三部作を編集し新規カットを追加された劇場作品が公開された。 平和を勝ち得たはずの世界に現れた新たな脅威を前に、主要人物達が最終的に出した「生き方の答え」を描く。 5人のガンダムパイロットたちのTVシリーズでの前日譚も描かれ、彼らの内面がより深く掘り下げられている。 非常にレベルの高い作画、カトキハジメによって新たにデザインされたMS等からヒットを記録した。 特に、天使のような有機的な翼を持つEW版のウイングゼロは非常に有名だろう。 特にOVAという当時のハイエンド商品でありながらファンの知名度が異常に高く、商業的・作品的にもこの作品の残した功績は大きい。 ***・[[機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER]] 監督:西澤晋/脚本:森田繁 #center(){&bold(){星を観る者、スターゲイザー……}} 1話15分の全3話がガンダム史上初のネット配信で放送され、後に新作カットを加えたOVAが発売。 時系列は『SEED DESTINY』の序盤から中盤にかけてで、宇宙探査機構「DSSD」が開発したMS「スターゲイザー」を巡るストーリーが展開される。 本編では軽く触れた程度である地上被災地の凄惨な状況や、MSが通常兵器にとっていかに驚異的な存在かを丁寧に描いており、世界観の補完に一役買っている。 本編を嫌うファンからも高い評価を得ているが、ある意味一番の不満点は尺が短すぎる事。 この作品をきっかけにネット配信というものに触れるユーザーも増えた為、その意味でも挑戦的な作品だったと言えるだろう。 ***・[[劇場版 機動戦士ガンダム00-A wakening of the Trailblazer-]] 監督:水島精二/脚本:黒田洋介 #center(){&bold(){&ruby(来るべき対話){最終決戦}の始まり。それは、人類の目覚め──}} 『00』の劇場作品。後日談というよりは「完結編」とも言うべき内容。 アナザーガンダムの中では、平成で唯一、総集編要素などが含まれない、完全オリジナルシナリオの劇場作品である((冒頭に「第二期のストーリーを劇中政府がプロパカンダ込みで、多分に脚色を付けて再構成した」という趣の劇中劇が挟まれてはいるが))。 「外宇宙からの来訪者との対立と和解」という、ある種ガンダムでタブー視されていたテーマを描いた事で話題となった。 ファーストガンダムの放映当時の斬新さが、人間同士の戦いを描いたことにあったことを考えれば、『G』以上のイロモノと言える。 そのため、「ガンダムシリーズの劇場版」としては賛否両論だが、「00の完結編」としては高い評価を受けている。 TVシリーズでも評価の高かった作画は更に高いレベルにあり、その点でも評価は高い。 公開から数日で大きな興行収入を叩き出したこともあり、ガンダムブランドの継続に大きな役割を果たした。 ***・[[機動戦士ガンダムAGE MEMORY OF EDEN]] 監督:綿田慎也/脚本:木村暢 #center(){&bold(){決して交わるはずのなかった2つの運命──}} 『AGE』のOVA作品。 第二部であるアセム編から三世代編にかけてのストーリーを、アセムとゼハートの視点から再構築したスペシャルエディションというべき内容。 今回、脚本は日野晃博ではなく、本編のサブライターで『00』の小説版を手掛けていた木村暢。 新規シーンは1000カット60分以上と、気合の入れ方が尋常ではない。 ゲーム版のウェアやMSVのカメオ出演など、コアなファンへのサービスもある。 TV版では「50秒クッキング」と揶揄された、三世代編で描かれたアセムとゼハートの最終決戦は、 本作では他シリーズの最終決戦と比較しても上位に食い込むほどの熱く濃い内容へと進化している。 特にアセムとゼハートの友情はより鮮明に描かれており、ふたりの最後のやり取りは涙腺崩壊モノである。 ***・[[機動戦士ガンダムSEED FREEDOM]] 監督:福田己津央/脚本:両澤千晶、後藤リウ、福田己津央 #center(){&bold(){私の中にあなたはいます。}} #center(){&bold(){あなたの中に私はいますか?}} 『[[SEED>機動戦士ガンダムSEED]]』の劇場作品。制作発表は『[[DESTINY>機動戦士ガンダムSEED DESTINY]]』の直後に発表されたが、そこから20年近く続報がなく一時期は頓挫したものだと思われていた。 TVシリーズの脚本を務めた両澤千晶が2016年に逝去されているため、脚本は前半部分は両澤氏が遺した物を後半は監督福田氏とSEEDシリーズの小説版を担当していた後藤氏の共同で執筆されている。 前作『DESTINY』の2年後が舞台で、二度の大戦を経験してもなお戦争が頻発する世界の中で世界平和監視機構コンパスを設立。それでもブルーコスモスとコーディネイターの間で小競り合いが続く、そんな時に新興国ファウンデーションからブルーコスモス鎮圧のため協力したいと申し出があり…… 18年ぶりの続編でありながらも『SEED』らしさをしっかりと継承してファンサービスも旺盛な名作である。 『DESTINY』ではキラとラクスの内面が殆ど出なかった事もあり改めてこの2人の&color(#F54738){愛}にスポットを当てた作品である。 前作『DESTINY』では提示されたデスティニープランを否定し、自らの自由を勝ち取った。この選択は正しかったのか?という問いを元に制作されたものでデスティニープランは正解だったのかを改めて考えさせられる内容になっている。 追記・修正は明鏡止水の境地でイノベイターに覚醒し、種が割れてからエレガントにガンダムを売る事を強いられた後で、 世界一周旅行して阿頼耶識システムに適合してGAND-ARMの祝福を受けながらお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,13) } #include(テンプレ3) &bold(){※作品やキャラクター、制作者に対する愚痴や中傷、批判といった書き込みが続くとコメント欄の撤去も起こりかねませんのでそれらの類のコメントはやめましょう。} #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 反対もなかったのでコメント欄のリセットと警告の追加をしました -- 名無しさん (2022-06-28 03:50:03) - 追記修正のとこに水星の魔女要素もそろそろ足して欲しいところ(個人的には「種が割れてから」→「トマトの種が割れてから」を推したいところ) -- 名無しさん (2023-04-25 12:47:21) - ガンダム45周年記念特番でこの作品群を「オルタナティブシリーズ」と呼称するみたいです -- 名無しさん (2024-04-07 22:44:48) - 項目名もオルタナティブシリーズ(アナザーガンダム)みたいにした方がいいのかな? -- 名無しさん (2024-04-07 23:10:27) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2011/12/06 Tue 23:53:23 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 14 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 『アナザーガンダム』とは、1994年の『[[機動武闘伝Gガンダム]]』以降に始まった、物語の舞台が[[宇宙世紀>宇宙世紀(ガンダムシリーズ)]]ではないガンダムシリーズの事を指す。 #openclose(show=●目次){ #contents() } *【概要】 「平成ガンダム」と呼ばれる事もあるが、平成以降も宇宙世紀を舞台とする『[[機動戦士ガンダムF91]]』や『[[機動戦士Vガンダム]]』、 『[[機動戦士ガンダムUC]]』などが発表されているため、宇宙世紀シリーズと区分して『アナザーガンダム』と省略して呼ばれる事がインターネット上では多い。 アナザーガンダムの歴史は、宇宙世紀と繋がらないパラレルだと認識されていたが、『[[∀ガンダム>∀ガンダム(アニメ)]]』にて、黒歴史という設定が登場し、アナザーガンダムの時代設定も宇宙世紀と同様に∀の時代「正暦」に至るまでに含まれていることが判明した。 ただ、2015年開催のトークショー「「夜のG-レコ研究会 ~富野由悠季編~」によれば、∀ガンダム劇中の黒歴史もあの時代の黒歴史でしかないとの富野による発言もあり、他の時代はどうなっているかは現状不明である。 *【特徴】 大まかな特徴としては、 ・宇宙世紀(以下UC)以外の年号が使われた世界を舞台とする ・作品間で世界観が独立しており年号が連続しない ・ハッピーエンドの作品が多め ・上級職に就く女性が増加した現実を反映し、女性艦長や女性為政者等の登場頻度が増加している ・ガンダムタイプとそうでない機体を区別する明確な定義が存在する など。 ただし、『アナザーガンダム』と呼ばれる作品全てがこの定義に当てはまるわけではなく、例外も存在する。 富野由悠季が監督、脚本、主題歌の作詞等でガッツリ関わっている『∀ガンダム』や『Gのレコンギスタ』は、 年号こそ異なるが宇宙世紀の遠い未来という設定であり、ほとんど別の世界と化しているが世界観自体は同一である。 『SEED DESTINY』は『SEED』の続編ということもあり、同じ年号(C.E.)が連続して使われている他、 その『SEED DESTINY』や『鉄血のオルフェンズ(第二期)』等は、戦争(戦乱)が終結したという意味合いでは(世界にとって)救いのある結末だが、 主人公の陣営・組織が敗北したり、壊滅しているなど、主人公やその関係者にとってはバッドエンドという印象が強い。 新しい時代設定を一から作り上げた上で世界観を構築しているのも特徴で、戦記物となっている既存の宇宙世紀ガンダムよりも新規獲得を目指している傾向がある。 その代表例として戦記物ではなく冒険物語を描いた『Gのレコンギスタ』がある。   宇宙世紀ではやれない事を盛り込む、という大きな魅力も存在する。 様々な部分で独自性が見受けられる為、また別の楽しみ方ができるシリーズでもある。 また、アナザーからガンダムに入った人はアナザーの個性故に、他のシリーズに対する偏見もさほど強くない傾向がある。 *【作品群】 **◆TVシリーズ ***・[[機動武闘伝Gガンダム]] 監督:今川泰宏/構成:五武冬史 #center(){&bold(){ガンダムファイト、レディー・ゴー!}} F.C.(未来世紀)を舞台としたガンダム。 「4年に1度、地球圏の覇権を賭けてガンダムによる戦いを行う」という、アナザー1発目にして最大級のイロモノ。 これは作品制作当時の格闘技・格ゲー・サッカーブームの影響が大きい。 キャラクターの原案には漫画家の島本和彦が関わっている。 ガンダムファイター(ガンダムパイロット)が技名を叫びながら必殺技を放つなど、従来のスーパーロボット的な演出は、 UCシリーズを見てきた古参のファンには賛否両論だったものの、初めてシリーズに触れる子供たちには人気を博した。 シリーズのテーマである「NTに覚醒することで相互理解を果たせる」という点は「ガンダムファイターが拳をぶつけ合い、他者を理解していく」という風に置き換えられている。 また、従来の地球とコロニーの対立関係も本作の世界観に置き換えて戦争の空しさを伝えている他、 「心を通じ合わせること」「荒廃した地球の再生」「宇宙・地球の対立」という宇宙世紀世界のガンダムが持っていた要素はしっかりと受け継がれており、 一見すると子供向けにも思える作風ながら、実は大人も楽しめる作品になっている。 ぶっ飛んだ要素であるガンダムファイトについても、戦争の代替手段として大真面目に設定されている。 地球がリングというルールゆえにファイトが行われるたびに地球が被害を被るという負の側面も描写されており、 スーパーロボットものにありがちな派手なロボットプロレス要素というだけではない。 ガンダムとしては異質だが、ストーリーの本筋は少年漫画的な王道のバトル物で分かりやすく、主要キャラクターたちの人気・評価は純粋に高い。 この作品によるブレイクスルーが後年のガンダムシリーズに新しい道を切り開いたことから、その功績は非常に大きい。 特にメカデザイナーの大河原邦男は本作への思い入れが非常に強く、現在までガンダムが続いているのはGの功績が大きいと各所で語っている。 なお、本作の方針を、『マジンガーZ』や『ゲッターロボ』に近い、所謂「ロボットプロレス」にしようとしたのは他ならぬ富野由悠季監督である。 今川監督が起用されたのも、ロボットプロレスをやらせるなら今川しかいないという富野監督直々のご指名である。 ちなみに今川監督は当初、地球に帰還しようとする火星移住者と地球の争いという後の『∀ガンダム』のような構想を持っていたそうな。 ***・[[新機動戦記ガンダムW]] 監督:池田成→高松信司/構成:隅沢克之 #center(){&bold(){少女が見た流星}} A.C.(アフターコロニー)を舞台にしたガンダム。 明るい雰囲気であった『Gガンダム』とは打って変わり、今度は「5人の美少年がガンダムに乗って反政府運動を行う」という作風。 巨大財閥ロームフェラ財団の私兵である秘密結社「OZ」に対抗するべく、少年たちはオペレーション・メテオに参加。隕石に偽装してガンダムと共にコロニーから地球に降り立つ。 冷戦が終結した世相を反映して大国同士の衝突ではなくゲリラ戦が主体となり、『閃光のハサウェイ』に続いてシリーズでは二作目、TVシリーズとしては初のテロリストが主人公となった。 5人のガンダムパイロットとヒロインをはじめ、&bold(){敵も味方も男も女もみな一癖も二癖もある強烈な個性を持っている}。昔から特徴的なキャラクターが多いとされるガンダムシリーズの中でも際立っており、視聴者を飽きさせない。特に[[第1話>お前を殺す(新機動戦記ガンダムW)]]から発揮された一部キャラのブッ飛んだ思想や行動の数々は視聴者に大きなインパクトを与えた。 この作風は本来の視聴者の少年だけでなく女性にも大きく受け、シリーズの女性ファンはかなり増加した。いわゆる「イケメン戦隊」というフォーマットは池田監督の過去作「鎧伝サムライトルーパー」を踏襲しており、女性に受けたのはある意味必然だったとも言える。 華美なキャラとは裏腹に展開されるストーリーはハードで哲学的。戦争を止めるにはどうすればいいかという問い、敗北してもそこから立ち上がり泥臭く戦う少年たちの姿が描かれる。他にも無骨ながらもキャラクター性を強く主張したメカデザインは男女共に視聴者から評価が高く、アナザーの中では突出した根強い支持がある。 ストーリー全体は『ファースト』~『逆シャア』までを凝縮してなぞっていくというオマージュの構成であり、それに本作特有のアクの強いエッセンスが絶妙に加わった結果、見事な化学反応を起こしたと言えよう。 監督が途中で降板した((他作品とのスケジュールが折り合わず、やむを得なかった降板である。その為池田監督自身を責めたスタッフはあまりいない。))ため、後期OP映像の完成が最終回になったりと製作現場は非常にキツかったらしく、作画面での評価はあまり芳しくない。 ゲーム『[[スーパーロボット大戦α]]』では独自設定として、本作から客演した[[ゼクス・マーキス]]と[[トレーズ・クシュリナーダ]]が、 「正史には登場しない幻の機体である[[ガンダニュウム合金]]製のモビルスーツを([[ウイングゼロ>ウイングガンダムゼロ]]も含めて)『アナザーガンダム』と呼んでいる者達も居る」とし、 「ガンダムであってガンダムでない彼らにふさわしい表現」と述べているシーンがある。 同作品においてはアナザーガンダム作品は『W』(と『Endless Waltz』)しか参戦しておらず定義としては少し『W』寄りになっているが、原作の劇中では登場していない用語をゲームの世界観上で落とし込んだ面白い例と言える。 ***・[[機動新世紀ガンダムX]] 監督:高松信司/構成:川崎ヒロユキ #center(){&bold(){月は出ているか?}} A.W.(アフターウォー)を舞台にしたガンダム。 今回は「戦後の世界」をメインにしており、従来よりも荒廃した雰囲気の漂う作品。 先の大戦で実行された大規模なコロニー落としによって甚大な被害を受けた地球が舞台。 秩序すら失われた過酷な世界観で主人公のガロードたちは逞しく生き抜いていく。 いわゆるボーイ・ミーツ・ガールであり、ガロードが出会ったNTの少女であるティファが物語の鍵を握る。 NTとして戦い耐えがたいトラウマを負った者、NTを利用しようと企む者、 NTではないと切り捨てられたことで世界に復讐をしようとする者らが交錯し、遂には「世界最初のNT」と呼ぶべき存在が姿を現す。 ニュータイプという用語が重要なキーワードとして登場するが宇宙世紀のニュータイプとは別物である。 コロニー落としという非道な作戦が実行された歴史があるなど、 これまでのアナザーガンダムに比べ宇宙世紀のガンダムシリーズを強く意識している。 「過去の戦争を生き抜いてきた年長者」と「これからの未来を築いていく若者」の2つの視点が提示されていて、そういう点では後記の『ガンダムAGE』の要素を先駆けてやった作品である。 『G』と『W』が破天荒な作風であったことから相対的に地味な印象を与えてしまった点は拭えない。 ちなみに監督の高松信司は『Ζ』や『ZZ』に演出などで関わっている。 これら3作は連続で放映された為、前2作と合わせて「平成3部作」と呼ばれる。 視聴率は打ち切られるほど低くなることはなかったが、外野の事情で1クール分の放送期間短縮となってしまった。 しかしボーイ・ミーツ・ガールを軸とするしっかりした王道のストーリー、丁寧なキャラクター造形などから高評価を受ける事も多い。 話数短縮を喰らって終盤が駆け足気味ではあるが、話はまとまっている。 ここまでの3作品共通の特徴として、「最低1機は腕が伸びるガンダムが出てくる」というものがある。 これは『G』に登場したドラゴンガンダムの玩具が主役であるシャイニング、ゴッドガンダムに次いで売れたことを受け、後の作品でも踏襲したため。 ***・[[∀ガンダム>∀ガンダム(アニメ)]] 監督:富野由悠季 #center(){&bold(){∀の風が吹く……}} 正暦/C.C.(コレクトセンチュリー)を舞台にしたガンダム。 アナザーで初めて、富野監督が総指揮を務めた。 地球に住む人々と、月に住む人々であるムーン・レィスの接触と衝突に端を発する戦争が描かれる。 近未来を描いたSFという雰囲気の従来のガンダムシリーズとはまるで異なり、地球の街並みは産業革命期のヨーロッパ、まるで世界名作劇場を思わせる作風となっている。 実際は、水素を吸着する「フロッジストーン」と呼ばれる燃料を使い、水素エンジンで車などを運用するなど、その技術レベルは高い。 作中世界において、過去の宇宙で起こった戦争の歴史は「黒歴史」と総称されており、 その記録は一部の月の民しか触れることを許されず、「冬の宮殿」で厳重に封印されている。 「黒歴史」には宇宙世紀世界のみならず、本来は世界観が連続しないアナザーガンダムの世界も含まれていることが明かされており、今作で初めて宇宙世紀ガンダムとアナザーガンダムの接点が構築された。 既存の文明を黒歴史へと葬ったのが、主人公の乗る「∀ガンダム」である。デウス・エクス・マキナと呼べるような恐るべき力を持っており、兄弟機であるターンXとの戦いになっていく。 世界的デザイナー、シド・ミードがメカデザインを担当。 シドは工業デザイナーならではの独特な造形は富野監督すら驚かせた。&bold(){髭のようなパーツを顔から生やした主役機}というのはガンダムシリーズのみならずロボットアニメ全体で見ても極めて稀だろう。 「ヒゲガンダム」に代表される独自デザインを苦手とする人間も多い一方、 アイデアと躍動感溢れるアクションシーンなどから「動くと評価が変わる」とも。 また、安田朗によるキャラクターデザインと産業革命期のヨーロッパのような世界観から、 どこか牧歌的な雰囲気があり、「世界名作劇場ガンダム」なんて呼ばれる事も。 再編集された劇場版「地球光」「月光蝶」もある。 今でこそ高く評価されているが、当時は余りにも『完結編』に相応しすぎる高い完成度と、 しばらくの間ガンダムシリーズの新作が作られなかったりSDガンダムも縮小傾向があった。 そのため、一部ではガンダムシリーズのみならず「巨大[[ロボットアニメ]]ジャンルは役目を終えた」という悲観的な論調が広がっていた。 また直接の関係はないが、同時期に人気を博したロボットアニメシリーズである『[[勇者シリーズ]]』が終了したり、 『[[超生命体トランスフォーマー ビーストウォーズメタルス]]』の作風が所謂ロボットものからかけ離れたものだったことも挙げられる。 具体例としては、『G』以来欠かさずコミカライズを載せていた[[コミックボンボン]]が本作後ガンダムに見切りをつけてガンダム漫画を切ってしまい、次回作を連載しなかった&font(#0000ff,u){&font(#ffffff){一方でマガジンZ版のコミックス1巻が飛ぶように売れて編集部が上から大目玉を食らい、漫画家に100ページ一挙掲載というとんでもない依頼をした}}。 ***・[[機動戦士ガンダムSEED]] 監督:福田己津央/構成:両澤千晶 #center(){&bold(){戦火の中で、立ち上がれガンダム!}} C.E.(コズミック・イラ)を舞台にしたガンダム。 地球連合と宇宙移民国家プラントとの戦争に巻き込まれ、 成り行きで連合の最新鋭MS“ストライク”に乗り込むことになった主人公・キラが、戦火の中を戦い抜くというストーリー。 『∀』でガンダムシリーズは締め括られたと思われていた中で発表され、放送前の期待はかなり大きかった。 21世紀の1stガンダムというコンセプトで作られたため、初代こと『機動戦士ガンダム』のオマージュ的な部分が多く、 宇宙が主な舞台となったり、スペースコロニーが登場したりと宇宙世紀シリーズに近い作風だが、 一方でMSの動力源がバッテリーだったり、戦闘シーンの割合が低くドラマパートに比重を置いているなど独自要素も多い。 久々のガンダムシリーズであった事に加えて、ネット環境の普及時期であった事も手伝い大反響を呼んだ。 その際たる例が、SEEDファン大量流入(とそれに伴うアンチの増加)による2ちゃんねるのシャア板分裂であり、現在も対立は根強く残っている。 平井久司がキャラクターデザインを行った事でキャラクター人気が極めて高く、『W』以来久々にそのテの業界を席巻した。 メカニックデザインやスピード感重視の戦闘演出も合わせてどこか煌びやかな第一印象を感じさせるが、 ストーリーそのものは人種差別や民族紛争をテーマとした血みどろの殲滅戦争であり、重苦しい展開や過激なゴア描写も少なくない。 作中の兵器設定に対してSF的考察がしっかり行われているのも特徴。最も設定が二転三転することも少なくはないが…… また、作中の兵器は所謂「ガンダム顔」であっても「ガンダム」と正式名称に付くものは存在しないとされ、 「ガンダム」という単語は主人公ら一部のキャラが使う非公式の愛称という扱いになっている。 ただ、現実の商業展開などでは「機体名+ガンダム」(例:ストライクガンダム)の名前が付けられることが多い。 『SEED』シリーズ10周年となる2012年からは、新規作画の追加と再編集を行ったHDリマスター版が放映された。 本作から始まる『∀』以後のアナザーガンダム作品群は、Gジェネレーションシリーズでは「新世紀ガンダム」と呼ばれている。 ***・[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY]] 監督:福田己津央/構成:両澤千晶 #center(){&bold(){その運命、打ち砕け!ガンダム!}} アナザーのTVシリーズでは初となる続編。 前作『SEED』の2年後が舞台。 前作が1stのオマージュを取り入れていたように、こちらはZのオマージュを導入しているのも特徴。 前作が好評だったので期待されていたが、いざ放送されると脚本面を中心に賛否がバッサリと分かれ、シリーズ史上稀に見る大論争を巻き起こした。 特に、物語後半で[[新主人公>シン・アスカ]]から[[前主人公>キラ・ヤマト]]に物語の主軸が移る構造は視聴者の度肝を抜いた。 しかし、その分固定ファンからの支持は現在でも強く、アニメ誌の年間アニメ最優秀賞等を受賞した実績もあったりする。 ヒロイックなMS群も好評で、ゲームなどでの露出も多い。 主観を捨てて評価をすれば、『作品』としての評価こそ極端に分かれるものの『商品』としては紛れもなく成功しており、 後のシリーズ継続への一端を担った功績は無視できない。 続編となる劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』も2024年に公開された。 ***・[[機動戦士ガンダム00]] 監督:水島精二/構成:黒田洋介 #center(){&bold(){武力による紛争の根絶──}} シリーズで初めて西暦を舞台にしたガンダム。 「武力介入による紛争根絶」を目指す組織、ソレスタルビーイングの戦いを描く物語。 その独特すぎるMSデザイン、『W』以来のテロリスト主人公だった事や、 前作と現実の9.11同時多発テロがテロリストに対する悪印象を煽っていった影響などで始まる前は不安視されていた。 が、蓋を開けて見れば、前作の反省を経て気合いを入れた戦闘シーン、やたらと「濃い」キャラクター達、リアリティのある世界観設定で好評となった作品。 特に、主人公刹那の変化という視点で劇場版まで追っていくと、すんなりと入ってくるという意見や、積み重ねによる対比への評価は高い。 キャラクター原案がその手の業界で人気の高河ゆんであり、『W』や『SEED』程ではないがソッチ系が盛り上がった。 メインスタッフもこれまでのシリーズから大幅に刷新されており、キャラクターデザインの千葉道徳や、メカニックデザインの海老川兼武、寺岡賢司らは以後のシリーズ作品にも多く関わっている。 一方で、「Wはいけても何故か00はキツい」と苦手意識が取れない人も多いとか。 作品のテーマも難しく、「合う人には合うが、合わない人に合わない」という分かりやすい作品である。 また様々な勢力の描写が描かれており、CB含めて善悪面での区別が付かない一期に対し、 二期はCB対アロウズ(を操るイノベイド)と一見すると勧善懲悪的な絵面になったのでしっくり来ない人もいる様子。 ただし、これはやはりアニメというもののメイン視聴層が子供である以上は仕方のないところかもしれない。 メインテーマがブレているわけでもないので、これだけを理由に作品の質を語ることはできないだろう。 製作の都合上、4クールを2クールごとに分けた初の作品でもある。 ***・[[機動戦士ガンダムAGE]] 監督:山口晋/構成:日野晃博 #center(){&bold(){三つの運命が歴史になる――}} A.G.(アドバンスド・ジェネレーション)を舞台にしたガンダム。   孫までの3世代を描いた大河ドラマ的物語や、正体不明の敵勢力との戦いが描かれる斬新な設定が話題となった一方、 幼年層を意識したキャラクターデザイン、ライバル雑誌コロコロコミックへの移籍、 レベルファイブが製作主導な事、メイン脚本が社長の日野晃博であること等々、『00』とは別ベクトルで賛否を呼んだ。 第一世代ではストーリーの不安定さを指摘する声が目立ち、本格的にエンジンがかかるのは第二世代以降まで待つことになる。 といっても最後まで所々不安定な点もあり、アセム編終盤では声優から一部脚本の改変を嘆願されたなどのエピソードもある。 更に本作はゲームとアニメを同時に制作していたため、そういったシナリオ面での縛りがテコ入れや軌道修正の妨げとなってしまったという意見も。 子供向けと言われがちな作品であるが、物語自体はそれまでのガンダムと同様、テーマ性が強く各キャラクターの思惑が複雑に絡み合ったものである。 また、あっさりした心理描写、簡潔な台詞回しが心掛けられており、話の流れは追いやすいがキャラの内面を掴みにくくなっている。 『00』や『Gレコ』とは違う形で色んな意味で難解な作品。 空白期間を活かしたキャラの心理描写やセルフオマージュが魅力。 戦闘描写も4クールを経て洗練されていき、かなりレベルが高い。 「ベテランパイロット、量産期が活躍する」「ニュータイプ的能力を持たないキャラが(事実上)最強」など渋さも見受けられる。 ただし、設定については一昔前のアニメのようにふわっとした形を取っており、理屈づけがなされていない部分が多い。 実際、漫画版や[[小説版>機動戦士ガンダムAGE(小説版)]]では大まかなあらすじこそ同じであれど、描写や設定が異なっている事が多々見られている。 前々作『SEED』、前作『00』のようにすでに設定がかなり固まっている作品と比べ「公式設定」は非常に希薄で、自由な形で解釈することができる。 これを受け入れられるかどうかで大きく評価が変わる作品。 メカニック本には作中で語られない数々の公式・準公式設定が載っているため、その辺が気になる人は是非読んでおきたい。 ***・[[ガンダム Gのレコンギスタ]] 監督/脚本:富野由悠季 #center(){&bold(){君の目で確かめろ!}} ターンエー以来の富野由悠季によるガンダム。 TVシリーズでは初の深夜アニメのガンダムである。&font(#ff0000){BS11で2015年1月4日から同年12月27日にかけて日曜日の19時30分から全国区で本放送中から二週再放送された。} 宇宙世紀、∀ガンダム期の正暦の後のR.C.(リギルド・センチュリー)を舞台に、謎のMS「[[G-セルフ]]」を駆る[[ベルリ>ベルリ・ゼナム]]少年と宇宙海賊の「姫」[[アイーダ>アイーダ・スルガン]]の冒険を描く。 吉田健一・あきまんなど一部スタッフが重なっているせいか、作風はキングゲイナーに近い。 話の軸としては、複数の勢力によるエネルギーの扱いを巡る抗争劇であるが、それを2クールで展開したせいか話が圧縮され気味。 徹底して明るく牧歌的な雰囲気や、富野監督らしい見応えのある独特の演出などに魅せられた熱狂的なファンも少なくない。 作画クオリティも非常に高く、作品そのものを嫌う層からも作画に関しては好意的なコメントも少なからず見られる。 普段自分の作品に否定的な富野監督も&bold(){「Gレコ、売れなかったでしょ」}といつもの自虐ジョークを飛ばしつつも、 &bold(){「スタッフ達が自分の予想以上の仕事をしてくれた」}と褒めるコメントも残しており、監督なりに得るものは多かったようだ。 世界観が宇宙世紀から直接の地続きであるため 2015年開催のトークショー「「夜のG-レコ研究会 ~富野由悠季編~」の富野によれば、本作は『∀』の約500年後をイメージして作ったという。 この発言を受け、2018年に開かれた展覧会「富野由悠季の世界」の公式サイト上では、「『∀ガンダム』終了から14年後に制作された「ガンダム Gのレコンギスタ」は、「∀」からさらに数百年後の世界が描かれる。」と設定に反映された。 2017年に全5部作の劇場版の公開が発表され、2022年に無事完結。 基本的には過去のガンダム映画と同じくTV版の再構成だが、全体の時間も長く圧縮されていたテレビ版より見やすい。またTVシリーズで描かれなかったシーンの追加が多く行われていたり一部設定やエピソードが整理されたりと、 実質的な完全版ともいえる内容となっており、一気見しやすい構成となっている。 ***・[[機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ]] 監督:長井龍雪/構成:岡田麿里 #center(){&bold(){いのちの糧は、戦場にある}} P.D.(ポスト・ディザスター)を舞台にしたガンダム。2015年10月より放送。AGEから3年ぶりに日5に復帰した。 長井龍雪監督・マリーこと[[岡田麿里]]の『あの花』コンビが手掛ける。キャラクターデザインは『皇国の守護者』『シュトヘル』の伊藤悠。 『00』と同じく分割4クールで製作されるが、当初から分割放送が一部で告知されていた『00』と違い、本作の2期放送は1期の最終回まで伏せられていた。 もっとも1期の展開上、2期が制作される可能性が高い事は多くの視聴者から事前に予測されていた。 また、話数のカウントは1期と2期で連番になっており、2期1話は通算26話目として扱われているが、1期と2期の間の年月の経過については言及されていない。 「厄祭戦」と呼ばれる大戦から300年後の世界で、火星で生きる民兵団の少年兵たちが大人たちに反旗を翻し、平穏な生活を勝ち得るために戦うストーリーが展開される。 世界観がなかなか荒廃しているが故、非常に泥臭く生々しいハードな作風であり、実弾兵器と近接戦闘による重厚で無骨な荒々しいMS戦やこれまでに無い斬新な艦隊戦の描写、 任侠作品めいた物々しい雰囲気はこの作品独自のものとして評価されている。 ガンダムらしい政治的駆け引き、各キャラの思惑がややこしく交錯するドラマも細かく描かれるため、1期では戦闘のある回が減っていることを嘆くファンも多く、 その声を受けて2期では改善がされたが、それでもこれまでの3スタ作品に比べると少なめ。しかし、その分多く描かれた多様なドラマ展開は多くの視聴者を惹きつけた。 &bold(){『滅びの物語』}がコンセプトであり、特に二期は主人公サイドが追い詰められた末に敗北する重く苦しい展開となった。 なお、当初の構想では主人公陣営がほぼ全滅する壮絶な終わり方だったものの、岡田が「主人公達に『救い』を与えたい」と考え、敗北の中にも一抹の希望と未来への展望を残すようになったとのこと。 ただ、この変更の影響か(大筋の流れはごく自然なのだが)終盤の演出面では悪い意味でのご都合主義な部分も目立ってしまい、話がまとまっていた一期と比較して二期終盤を酷評する意見もある。 とはいえ、作品自体の終着点は最初から決められており、一期から結末を示唆する伏線は張り巡らされていた。ゆえに主人公陣営の敗北も自然な結末で運命だったと好評する意見もある。 実際、この結末を決めた長井監督は仲間以外に酷いことをしてきた主人公陣営は&bold(){『報い』}を受けなければならなかったと述べており、この部分には作品の根幹に関わる念入りな拘りを見出すことができる。 またモビルスーツの内部フレームに細かい設定が付け加えられているのも特徴で、本作のガンダムは「ガンダム・フレーム」という共通のインナーフレームを持つ機体の総称でもある。 劇中設定ではガンダムは72機存在し、その中で現存しているのは26機とされているが、本編と漫画、ソーシャルゲームなどの外伝も含めて登場したのは2022年現在では11機のみとなっている。 長井監督は「ガンダムという作品は、今ではどんなものでも受け入れてくれるひとつのジャンル」とも言及している。 奇しくもこの考え方は既存の枠組みに囚われる必要のないことを主張した富野の考えに近いものがある。 作品全体を通して多種多様な白熱した議論が交わされる作品になってしまったものの、既存の枠組みに囚われない斬新な作品を志した製作スタッフの努力は評価されるべきであろう。 DESTINY同様、アニメ誌の作品部門年間アニメ最優秀賞等も受賞している。 オプション武装を別売りにする「武器セット」方式を復活させ、高品質と低価格を両立させたガンプラがバカ売れしたのも記憶に新しい。 結果的に興行収益は成功を収めたといっていいだろう。 ***・[[機動戦士ガンダム 水星の魔女]] 監督:小林寛/構成:大河内一楼 #center(){&bold(){その魔女は、ガンダムを駆る}} A.S.(アド・ステラ)を舞台としたガンダム。2022年10月から放送を開始し、2022年12月までが第1クール、2023年4月から2クール目が放送という分割2クールになっている。 本放送直前には前日譚となるエピソード『PROLOGUE』が放送された。 鉄血から実に5年ぶりとなるアナザーガンダム作品となっており、 鉄血を最後に一旦終了していた「日5枠」が本作の放送開始と同時に復活する流れとなった。 監督はOVA版『君のいる町』などを担当した小林寛、シリーズ構成はアニメ『∀ガンダム』でデビューした大河内一楼が務める。 アナザーガンダムどころか宇宙世紀のアニメ作品を含めても珍しい女性主人公のガンダム作品となっており、 学園ものの要素を取り込む、主人公とヒロイン(ポジション)が両方女性キャラなど、新しい試みを積極的に取り入れている。 アニヲタ的に説明するとセカイ系ガンダムと言えるだろう。 **◆OVA・劇場作品 ***・[[新機動戦記ガンダムW Endless Waltz]] 監督:青木康直/脚本:隅沢克之 #center(){&bold(){俺達は、あと何人殺せばいい?}} 大ヒットした『W』の続編となる全3話のOVA作品。 後に三部作を編集し新規カットを追加された劇場作品が公開された。 平和を勝ち得たはずの世界に現れた新たな脅威を前に、主要人物達が最終的に出した「生き方の答え」を描く。 5人のガンダムパイロットたちのTVシリーズでの前日譚も描かれ、彼らの内面がより深く掘り下げられている。 非常にレベルの高い作画、カトキハジメによって新たにデザインされたMS等からヒットを記録した。 特に、天使のような有機的な翼を持つEW版のウイングゼロは非常に有名だろう。 特にOVAという当時のハイエンド商品でありながらファンの知名度が異常に高く、商業的・作品的にもこの作品の残した功績は大きい。 ***・[[機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER]] 監督:西澤晋/脚本:森田繁 #center(){&bold(){星を観る者、スターゲイザー……}} 1話15分の全3話がガンダム史上初のネット配信で放送され、後に新作カットを加えたOVAが発売。 時系列は『SEED DESTINY』の序盤から中盤にかけてで、宇宙探査機構「DSSD」が開発したMS「スターゲイザー」を巡るストーリーが展開される。 本編では軽く触れた程度である地上被災地の凄惨な状況や、MSが通常兵器にとっていかに驚異的な存在かを丁寧に描いており、世界観の補完に一役買っている。 本編を嫌うファンからも高い評価を得ているが、ある意味一番の不満点は尺が短すぎる事。 この作品をきっかけにネット配信というものに触れるユーザーも増えた為、その意味でも挑戦的な作品だったと言えるだろう。 ***・[[劇場版 機動戦士ガンダム00-A wakening of the Trailblazer-]] 監督:水島精二/脚本:黒田洋介 #center(){&bold(){&ruby(来るべき対話){最終決戦}の始まり。それは、人類の目覚め──}} 『00』の劇場作品。後日談というよりは「完結編」とも言うべき内容。 アナザーガンダムの中では、平成で唯一、総集編要素などが含まれない、完全オリジナルシナリオの劇場作品である((冒頭に「第二期のストーリーを劇中政府がプロパカンダ込みで、多分に脚色を付けて再構成した」という趣の劇中劇が挟まれてはいるが))。 「外宇宙からの来訪者との対立と和解」という、ある種ガンダムでタブー視されていたテーマを描いた事で話題となった。 ファーストガンダムの放映当時の斬新さが、人間同士の戦いを描いたことにあったことを考えれば、『G』以上のイロモノと言える。 そのため、「ガンダムシリーズの劇場版」としては賛否両論だが、「00の完結編」としては高い評価を受けている。 TVシリーズでも評価の高かった作画は更に高いレベルにあり、その点でも評価は高い。 公開から数日で大きな興行収入を叩き出したこともあり、ガンダムブランドの継続に大きな役割を果たした。 ***・[[機動戦士ガンダムAGE MEMORY OF EDEN]] 監督:綿田慎也/脚本:木村暢 #center(){&bold(){決して交わるはずのなかった2つの運命──}} 『AGE』のOVA作品。 第二部であるアセム編から三世代編にかけてのストーリーを、アセムとゼハートの視点から再構築したスペシャルエディションというべき内容。 今回、脚本は日野晃博ではなく、本編のサブライターで『00』の小説版を手掛けていた木村暢。 新規シーンは1000カット60分以上と、気合の入れ方が尋常ではない。 ゲーム版のウェアやMSVのカメオ出演など、コアなファンへのサービスもある。 TV版では「50秒クッキング」と揶揄された、三世代編で描かれたアセムとゼハートの最終決戦は、 本作では他シリーズの最終決戦と比較しても上位に食い込むほどの熱く濃い内容へと進化している。 特にアセムとゼハートの友情はより鮮明に描かれており、ふたりの最後のやり取りは涙腺崩壊モノである。 ***・[[機動戦士ガンダムSEED FREEDOM]] 監督:福田己津央/脚本:両澤千晶、後藤リウ、福田己津央 #center(){&bold(){私の中にあなたはいます。}} #center(){&bold(){あなたの中に私はいますか?}} 『[[SEED>機動戦士ガンダムSEED]]』の劇場作品。制作発表は『[[DESTINY>機動戦士ガンダムSEED DESTINY]]』の直後に発表されたが、そこから20年近く続報がなく一時期は頓挫したものだと思われていた。 TVシリーズの脚本を務めた両澤千晶が2016年に逝去されているため、脚本は前半部分は両澤氏が遺した物を後半は監督福田氏とSEEDシリーズの小説版を担当していた後藤氏の共同で執筆されている。 前作『DESTINY』の2年後が舞台で、二度の大戦を経験してもなお戦争が頻発する世界の中で世界平和監視機構コンパスを設立。それでもブルーコスモスとコーディネイターの間で小競り合いが続く、そんな時に新興国ファウンデーションからブルーコスモス鎮圧のため協力したいと申し出があり…… 18年ぶりの続編でありながらも『SEED』らしさをしっかりと継承してファンサービスも旺盛な名作である。 『DESTINY』ではキラとラクスの内面が殆ど出なかった事もあり改めてこの2人の&color(#F54738){愛}にスポットを当てた作品である。 前作『DESTINY』では提示されたデスティニープランを否定し、自らの自由を勝ち取った。この選択は正しかったのか?という問いを元に制作されたものでデスティニープランは正解だったのかを改めて考えさせられる内容になっている。 追記・修正は明鏡止水の境地でイノベイターに覚醒し、種が割れてからエレガントにガンダムを売る事を強いられた後で、 世界一周旅行して阿頼耶識システムに適合してGAND-ARMの祝福を受けながらお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,13) } #include(テンプレ3) &bold(){※作品やキャラクター、制作者に対する愚痴や中傷、批判といった書き込みが続くとコメント欄の撤去も起こりかねませんのでそれらの類のコメントはやめましょう。} #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 反対もなかったのでコメント欄のリセットと警告の追加をしました -- 名無しさん (2022-06-28 03:50:03) - 追記修正のとこに水星の魔女要素もそろそろ足して欲しいところ(個人的には「種が割れてから」→「トマトの種が割れてから」を推したいところ) -- 名無しさん (2023-04-25 12:47:21) - ガンダム45周年記念特番でこの作品群を「オルタナティブシリーズ」と呼称するみたいです -- 名無しさん (2024-04-07 22:44:48) - 項目名もオルタナティブシリーズ(アナザーガンダム)みたいにした方がいいのかな? -- 名無しさん (2024-04-07 23:10:27) - ファンのみならずメカデザイナーとか公式側の人もオルタナティブシリーズってなに?って状態なのでしばらくはこのままで良いんじゃないかな。 -- 名無しさん (2024-04-07 23:29:51) #comment #areaedit(end) }

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