電送人間

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&font(#6495ED){登録日}:2011/06/24(金) 16:18:05 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 4 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- テレポート、それはタイムマシンに並ぶSFの定番である。移動の手間が省けるから実用化されたら日常も大変楽になるだろう。 しかし、こんな道具が使えるなら #center(){&bold(){&font(#ff0000){殺人だって出来るのである}}} 「&font(#ff0000){電送人間}」は1960年4月10日に公開された東宝の特撮映画である。 「&font(#0000ff){変身人間シリーズ}」の第2作である。 *【あらすじ】 お化け屋敷であるブローカーが殺されてしまう。事件を追う刑事と記者の桐岡だったが、第二の殺人が起きてしまう。 遺留品や被害者の証言から浮かび上がったのは物質を電送する技術を開発していた仁木博士と、被害者達が殺したはずの須藤兵長だった。 *【概要】 本作は、「[[美女と液体人間]]」に続いて製作された怪人によるサスペンス作品である。 監督は福田純氏で、氏の最初期の作品である。この作品の演出や特撮との相性が認められ、1960年代の東宝作品を支えていき、[[ゴジラ>ゴジラシリーズ]]の監督に起用されるようになっていく。 キャスト面では、主演に鶴田浩二氏が起用された。鶴田氏は戦後の大スターの1人だが、本作では友人である福田純氏の監督就任のお祝いに出演を許諾したとのことである。 アクションやサスペンスの比重が多く、特撮映画としては特撮を駆使した場面は少なめであるが、列車爆破や火山の噴火と研究所の崩落といった場面もあり、合成を駆使した電送人間の演出は見物である。 *【登場人物】 ◆桐岡勝 (演:鶴田浩二) 東都新聞の記者で事件を追う。小林刑事とは大学の同級生で友人で、事件を追っていく内に刑事と共に行動するようになる。 ◆小林警部 (演:平田昭彦) 刑事で桐岡の友人。お互いの情報を元に事件を追う。 平田明彦氏は前作に続き刑事役を演じた。 ◆中条明子 (演:白川由美) 精機会社に勤めるヒロイン。 ヒロインだが出番が少なく、出番は中盤までである。ちょっとセクシーな見せ場がある。 ◆中本伍郎 / 須藤兵長 (演:中丸忠雄) 事件を起こした犯人である。陸軍の兵長であったが、大西らの横領を咎めたため刺されて撃たれて閉じ込められる。 一緒に閉じ込められた仁木博士と共に脱出後、仁木博士を手伝い物質電送機を完成させるが…… 演じた中丸氏はこれが初めてのメイン役だったが、怪人役に思えて次のガス人間のオファーを断ってしまった。結果中丸氏は干されてしまうが、怪我の功名か土屋氏演じる水野という名キャラクターが誕生した。 ◆大西正義 (演:河津清三郎) 須藤のかつての上官で、付け狙われている人達の親玉である。 現在は海南貿易という会社の社長を務める傍ら密輸等の違法行為で財を成し、銃を持ったボディガードを雇っていたり離れ小島に別荘を持つた悪党である。 ◆隆昌元 (演:田島義文) 大西の仲間の一人で、大戦中は諜報部員だった。 &bold(){&font(#008000){軍国キャバレー}}(後述)の支配人だが、大西とつるんで密輸をしており、警察からも目を付けられていた。 「三国人」とのことなので恐らく中華系だと思われる。 ◆仁木嘉十郎 (演:佐々木孝丸) 旧日本軍で電送装置の研究を行っていた電気工学博士。 須藤兵長と共に撃たれて生き埋めにされるが、足を失ったものの生還して世捨て人のように研究を続けていた。 須藤を助手に電送装置をほぼ完成間近までこぎ着けていたが…… この物語の最大の被害者。   *【&font(#ff0000){電送人間}】 仲本(須藤)が物質電送機を使っていたためこう呼ばれる。 物質電送機は親機から子機へと物質や人間を電送で運べるもので、須藤はこれを利用しアリバイ工作に使っていた。 須藤は仁木博士と脱出後に仁木博士を手伝い物質電送機を完成させたが、須藤は博士に秘密で復讐に使っていた。 犯行の前に対象の近くに子機を送りつけ、子機へ電送されることで犯行を行っていた。 軍にいた頃の出来事による復讐のためか必ず銃剣の剣を使って殺していた。 体力は相当であり、また腕っ節も強く、犯行の途中で警察を殺してもいる。 顔は殺されかけたことで傷だらけになっており、ゴムマスクをかぶり無表情である。 最後の犯罪も終わり、子機から逃げようとしたが、研究所が火山の噴火による地震で崩落、親機が故障し消滅した。 「美女と液体人間」の液体人間がほとんど人間の意識が無く、「[[ガス人間第一号]]」の水野が愛故に暴走したのと違い、須藤は復讐の殺人鬼であり、三者三様である。   と、色々語ったが、本作ではそれ以外にも注目ポイントがある。それは、 #center(){&bold(){&font(#ff0000){軍国キャバレー}}} である。 作中で桐岡と小林が夜飲みに行くのがこのお店であるが、入り口のネオンには、&font(#ff0000){軍国キャバレー}の文字が光り、店名は「&font(#ff0000){DAIHONEI(大本営)}」である。 働く女の子は水兵の&font(#0000ff){コスプレ}であり、&font(#ff0000){ミニスカ}である。 日本には50年も昔から &font(#ff0000){コスプレの水商売があったのだ}。 さらに写真には無いが&font(#008000){ウエイターや呼び込みは旧陸軍歩兵で}わざとらしい軍隊っぽい口調、酒は焼夷弾やミサイルと呼ばれていた。 &font(#0000ff){「ミサイル二発おねがいしま〜す」} 日本人の変態っぷりも凄いが、戦後15年で戦争への意識が変わったことを感じられる。しかし、そんな世の中で須藤が戦時中の怨みから殺人鬼になったのを考えると、やり切れない気持ちにもなる。 軍国キャバレーに行きたい方は追記・修正をお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,1) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 単に娯楽だけじゃなく、「戦後の日本」を垣間見ることができる貴重な映画ですな。 -- 名無しさん (2014-11-15 11:27:08) - 15年で戦争が過去のものになった反面、 -- 名無しさん (2015-04-07 02:21:37) - 復讐鬼になった男が悲しい -- 名無しさん (2015-04-07 02:22:24) - あまり電送装置自体は話に活かせてなかったような気もする。関係ないが、鉄人28号では本作の設定に似た「怪盗ブラックマスク」というエピソードがあるな -- 名無しさん (2017-02-25 12:10:10) - 電送マシンの欠陥で主人公が徐々に傷だらけの顔になっていく…というのが哀しい。ハエと一体化してしまった「蠅男」や「ザ・フライ」の主人公よりはまだましだけど。 -- 昼太郎 (2019-04-03 21:10:18) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2011/06/24(金) 16:18:05 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 4 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- テレポート、それはタイムマシンに並ぶSFの定番である。移動の手間が省けるから実用化されたら日常も大変楽になるだろう。 しかし、こんな道具が使えるなら #center(){&bold(){&font(#ff0000){殺人だって出来るのである}}} 「&font(#ff0000){電送人間}」は1960年4月10日に公開された東宝の特撮映画である。 「&font(#0000ff){変身人間シリーズ}」の第2作である。 *【あらすじ】 遊園地のお化け屋敷であるブローカーが殺されてしまう。事件を追う刑事と記者の桐岡だったが、第二の殺人が起きてしまう。 遺留品や被害者の証言から浮かび上がったのは物質を電送する技術を開発していた仁木博士と、被害者達が殺したはずの須藤兵長だった。 *【概要】 本作は、「[[美女と液体人間]]」に続いて製作された怪人によるサスペンス作品である。 監督は福田純氏で、氏の最初期の作品である。この作品の演出や特撮との相性が認められ、1960年代の東宝作品を支えていき、[[ゴジラ>ゴジラシリーズ]]の監督に起用されるようになっていく。 キャスト面では、主演に鶴田浩二氏が起用された。鶴田氏は戦後の大スターの1人だが、本作では友人である福田純氏の監督就任のお祝いに出演を許諾したとのことである。 アクションやサスペンスの比重が多く、特撮映画としては特撮を駆使した場面は少なめであるが、列車爆破や火山の噴火と研究所の崩落といった場面もあり、合成を駆使した電送人間の演出は見物である。 *【登場人物】 ◆桐岡勝 (演:鶴田浩二) 東都新聞の記者で事件を追う。小林刑事とは大学の同級生で友人であり、事件を追っていく内に刑事と共に行動するようになる。 ◆小林警部 (演:平田昭彦) 刑事で桐岡の友人。お互いの情報を元に事件を追う。 平田明彦氏は前作に続き刑事役を演じた。 ◆中条明子 (演:白川由美) 精機会社に勤めるヒロイン。 ヒロインだが出番が少なく、出番は中盤までである。ちょっとセクシーな見せ場がある。 ◆中本伍郎 / 須藤兵長 (演:中丸忠雄) 事件を起こした犯人である。陸軍の兵長であったが、大西らの横領を咎めたため刺されて撃たれて閉じ込められる。 一緒に閉じ込められた仁木博士と共に脱出後、仁木博士を手伝い物質電送機を完成させるが…… 演じた中丸氏はこれが初めてのメイン役だったが、怪人役に思えて次のガス人間のオファーを断ってしまった。結果中丸氏は干されてしまうが、怪我の功名か土屋氏演じる水野という名キャラクターが誕生した。 ◆大西正義 (演:河津清三郎) 須藤のかつての上官で、付け狙われている人達の親玉である。 現在は海南貿易という会社の社長を務める傍ら密輸等の違法行為で財を成し、[[拳銃]]を持ったボディガードを雇っていたり離れ小島に別荘を持つた悪党である。 ◆隆昌元 (演:田島義文) 大西の仲間の一人で、大戦中は諜報部員だった。 &bold(){&font(#008000){軍国キャバレー}}(後述)の支配人だが、大西とつるんで密輸をしており、警察からも目を付けられていた。 「三国人」とのことなので恐らく中華系だと思われる。 ◆仁木嘉十郎 (演:佐々木孝丸) 旧日本軍で電送装置の研究を行っていた電気工学博士。 須藤兵長と共に撃たれて生き埋めにされるが、足を失ったものの生還して世捨て人のように研究を続けていた。 須藤を助手に電送装置をほぼ完成間近までこぎ着けていたが…… この物語の最大の被害者。   *【&font(#ff0000){電送人間}】 仲本(須藤)が物質電送機を使っていたためこう呼ばれる。 物質電送機は親機から子機へと物質や人間を電送で運べるもので、須藤はこれを利用しアリバイ工作に使っていた。 使用するには大規模な冷却装置が必要。 須藤は仁木博士と脱出後に仁木博士を手伝い物質電送機を完成させたが、須藤は博士に秘密で復讐に使っていた。 犯行の前に対象の近くに子機を送りつけ、子機へ電送されることで犯行を行っていた。 軍にいた頃の出来事による復讐のためか犯行時には必ず[[銃剣]]を使って殺していた。 体力は相当であり、また腕っ節も強く、犯行の途中で警官を殺してもいる。 顔は殺されかけたことで傷だらけになっており、ゴムマスクをかぶり無表情である。 最後の犯罪も終わり、子機から逃げようとしたが、研究所が火山の噴火による地震で崩落、親機が故障し消滅した。 「美女と液体人間」の液体人間がほとんど人間の意識が無く、「[[ガス人間第一号]]」の水野が愛故に暴走したのと違い、須藤は復讐の殺人鬼であり、三者三様である。   と、色々語ったが、本作ではそれ以外にも注目ポイントがある。それは、 #center(){&bold(){&font(#ff0000){軍国キャバレー}}} である。 作中で桐岡と小林が夜飲みに行くのがこのお店であるが、入り口のネオンには、&font(#ff0000){軍国キャバレー}の文字が光り、店名は「&font(#ff0000){DAIHONEI(大本営)}」である。 働く女の子は水兵の&font(#0000ff){コスプレ}であり、&font(#ff0000){ミニスカ}である。 日本には50年も昔から &font(#ff0000){コスプレの水商売があったのだ}。 さらに写真には無いが&font(#008000){ウエイターや呼び込みは旧陸軍歩兵で}わざとらしい軍隊っぽい口調、酒は焼夷弾や[[ミサイル]]と呼ばれていた。 &font(#0000ff){「ミサイル二発おねがいしま〜す」} 日本人の変態っぷりも凄いが、戦後15年で戦争への意識が変わったことを感じられる。しかし、そんな世の中で須藤が戦時中の怨みから殺人鬼になったのを考えると、やり切れない気持ちにもなる。 軍国キャバレーに行きたい方は追記・修正をお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,1) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 単に娯楽だけじゃなく、「戦後の日本」を垣間見ることができる貴重な映画ですな。 -- 名無しさん (2014-11-15 11:27:08) - 15年で戦争が過去のものになった反面、 -- 名無しさん (2015-04-07 02:21:37) - 復讐鬼になった男が悲しい -- 名無しさん (2015-04-07 02:22:24) - あまり電送装置自体は話に活かせてなかったような気もする。関係ないが、鉄人28号では本作の設定に似た「怪盗ブラックマスク」というエピソードがあるな -- 名無しさん (2017-02-25 12:10:10) - 電送マシンの欠陥で主人公が徐々に傷だらけの顔になっていく…というのが哀しい。ハエと一体化してしまった「蠅男」や「ザ・フライ」の主人公よりはまだましだけど。 -- 昼太郎 (2019-04-03 21:10:18) #comment #areaedit(end) }

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