ロールシャッハ

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&font(#6495ED){登録日}:2009/09/25 Fri 23:30:43 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 6 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- ロールシャッハとは、 +スイスの地名。 +スイスの苗字。有名人の例に「ロールシャッハ・テスト」を開発した精神科医''ヘルマン・ロールシャッハ''がいる。 +DCコミックスのアメコミヒーロー。この項目で説明する。 #center(){&bold(){&color(GHOSTWHITE,BLACK){BeHinD yOU.┓┏.}}} アラン・ムーア原作、デイブ・ギボンズ作画のアメリカンコミック、及びそれを原作とする映画『[[ウォッチメン]]』に登場するヒーローの一人。 デザイン・名前は精神分析に使用される「ロールシャッハ・テスト」から。 演: ジャッキー・アール・ヘイリー 日本語吹替:[[山路和弘]] *概要 トレンチコートとソフト帽、そして白い生地の上を黒い模様がランダムに流動する全頭マスクがトレードマーク。 この独特のデザインや強烈なキャラクター性から同作に登場するキャラクターの中でも一際人気が高い。原作者アラン・ムーアも一押しのキャラである。 全体的なモチーフはDCコミックのヒーロー((元は「チャールトン・コミックス」が権利を持っていたが、後にDCが権利を買い上げた。))「クエスチョン(本名:ヴィク・セージ)」。 作者であるムーアがクエスチョン、及びそのクリエイターであるスティーブン・ディッコのファンという事もあり、「顔の無いマスクにソフト帽とトレンチコートの探偵ヒーロー」「悪人に対して容赦無く、妥協をしない極右主義者」とヒーローとしてのスタイルはかなりストレートにクエスチョンの要素を引用している。 一方でマスクを脱いだ人間としては、ハンサムで社会的に成功したTVコメンテーターであり恋人もいるセージに対し、コバックスは落ちぶれた無職の醜男でセックス・ヘイターと、意図的に真逆の人物像になっている。 *人物 本名&bold(){ウォルター・ジョセフ・コバックス}。 1940年3月21日生まれのアメリカ人。現在は45才(映画版では35歳)。 右翼系雑誌『ニュー・フロンティアズマン』を愛読する極右思想の持ち主。 第二次世界大戦におけるアメリカの原爆投下を賛美し、共産主義に罵詈雑言を吐きつける。 ついでに大の女性嫌いで童貞。 娼婦の息子として生まれ母親から虐待を受けて育っていた。この経験から女性、というより性に関わる者全般を嫌悪するようになった模様。 ある日、年上の少年に母親の事を揶揄われた事で激発したウォルターは彼らを失明させる程の重傷を負わせ、少年院へ送られる。また同時に母も「養育能力なし」と判断され、育児放棄の罪で警察に逮捕。 少年院で過ごすうちに服飾の才能を開花させ、出所後はドレスの仕立て屋に就職したが、その矢先憎悪していた母が殺害されてしまい、行き場を失った怒りをぶつける矛先として犯罪との戦いを開始した。 それでもデビュー当初は比較的理性を保っていた(本人曰く『クズどもに優しかった頃』)が、1975年、とある少女誘拐事件に関わった際、犯人が少女を殺害して犬に喰わせた事を知って人間に絶望。 狂気に陥った彼は犬の頭をナタでかち割った後、その屍を主犯の男に向けて投げつけ昏倒させ手錠で拘束。 「俺だって殺したくなかった」と言い訳する男だったが、彼は一切聞く耳を持たなかった。男に少女の遺体を解体するのに使ったノコギリを手渡し「助かりたかったら手錠は切るな。手遅れになる(=お前自身がやったように自分で自分の手を切れ)」と言い捨て、&bold(){&color(red){灯油を撒き散らしてそのまま隠れ家ごと焼き殺した}}。 この瞬間、彼は「ウォルター・コバックス」の名を捨て&bold(){&color(GHOSTWHITE,BLACK){「ロールシャッハ」}}となり、&bold(){世界を善悪の二つで割り切る}事で辛うじて正気を保った。 上記の経歴を見てわかると思うが、自警活動以外に気を配る精神的な余裕は一切ない。 そのため人としての尊厳を半ば放棄しており、ほぼ無職の変質者。 ・昼間は「&b(){終末は近い(THE END IS NIGH)}」と書かれた看板を担ぎ、街を練り歩く。そして夜な夜な悪党を狩り殺す。 ・とにかく不衛生。部屋は汚いし、食器は洗わないし、服は洗濯してないし、風呂にも入ってないので体臭がキツい。&br()(しかも自覚しており、口で謝っても改善する気はない模様) ・栄養が補給できればよいので食事にも頓着せず、主食はハインツの超マズい冷えた豆の缶詰と角砂糖。&br()ちなみにこれらはダニエル([[ナイトオウルⅡ世]])の家に勝手に上がり込んで食う。 ・というか、ダニエル宅に&color(red){ピッキングで}勝手に上がりこむ。 ……と、生活面はかなり終わっている。 まあこんな所も彼の魅力の一つなのだろう。 犯罪者を尋問する時は指を折り、悪党を見れば一切の容赦なく制裁を加える処刑人。 少なくとも殺人容疑が2件、正当防衛の殺人が5件は掛けられているとされる。 ダークヒーローとも毛色が違い、ヒーローというより悪党専門の通り魔に近い。 きわめて独善的かつ暴力的な男ではあるが、ある事情から子供にだけは優しい。 特に泣いてる子供のいる状況には我慢ができない。 ヒーローの自警行為を禁止するキーン条例が制定されても無視し、警察や政府から敵視・危険視されている。 いつも手帳を持ち歩いており、出来事はもちろん思考や行動をも逐一記録している。 *能力・武器 ヒーローを名乗るだけあり、戦闘能力は非常に高い。ヒーロー排斥運動の際には&bold(){単独で}ニューヨーク東側の暴動を鎮圧した事もある。 銃やナイフといった直接的な武器を持ち歩く事はないが、判断力に優れ、[[身の回りにある物や状況さえも武器にしてしまう>自衛隊特殊部隊5人衆(バキシリーズ)]]。 例を挙げれば、[[スプレーを利用した火炎放射>火炎放射]]、コショウ、便器の水、熱々の油、冷蔵庫から飛び出して奇襲、冷蔵庫から飛び出すと見せかけて背後から不意打ち等々。 ゲーム版ではバットや瓶、バールのような物なんかも拾って振り回す(&color(red){クズに甘かった頃でも})。 また唯一のオリジナルアイテムとして、ガス圧でフックを発射するワイヤーガンを携帯している。 これはダニエルの発明品の一つで、超高層ビルの上階まで届く移動用の道具だが、攻撃に転用する事も可能。 パクった経歴はゲーム版で描写されている。ちなみに当のダニエル曰く「あれを人に向けるとは思わなかった」。 他にも懐中電灯、角砂糖、下水道の地図、小銭、日記帳と鉛筆、胡椒瓶などをポケットに突っ込んでいる。 **「超人」として ロールシャッハは、他のアメコミヒーローのようなスーパーパワーは一切持っていない。 しかし彼には他のヒーローが誰一人として持っていない、最強の精神がある。 一切の妥協を許さない強烈な意志力。 己の正義に異常なまでに忠実な姿は、彼がニーチェが『ツァラトゥストラかく語りき』で提唱した、精神的「超人」である事を示している。   「超人」とは永劫回帰の無意味な人生の中で、自らの確立した意思でもって行動する事のできる存在。 つまり彼は&bold(){「自身の善悪観が世界に屈服しない生き方」}を貫ける、強靭な精神の持ち主なのだ。 ---- >俺たちは実は凄い力を持っているんだが、ソファに座ってビール片手にテレビを見ているだけだ。 >スーパーパワーがあったって、やっぱりソファに座ってビール片手にテレビを見てるだけだろう。 >馬鹿がコスチュームを着たところで、変な格好のおかしな奴が1人増えるだけだ。 >ヒーローってのはスーパーパワーがあるとか、コスチュームを着てるって事じゃない。 >自らの意思でもって世界を良くしようと戦う人々の事を言うんだ ---- 何せ彼は、ただの人間にも関わらず神に対してさえ「No」を突きつけた男である。(詳しくは本編を参照) 『ウォッチメン』という物語において、たった一人で最後の最後までヒーローを貫き通した唯一の人間。 ロールシャッハの行動が引き起こすだろう事態を差し引いても、賞賛に値するはずだ。 己の理想、思想、生き方。 その全てに一切妥協しない彼こそ、本当の意味でヒーロー(=超人)と呼べるのかもしれない。 なお、和訳された原作(3500円程)が発売されている。 もし手が届かなければ映画の映像ソフトも出ているので是非見てほしい。 端から見たら&color(purple){頭のイカれたヒーロー}とも、&color(blue){モラルの欠落した世界で孤独に戦う聖戦士}とも取れる姿。 そして彼の取り巻く運命、そして「ウォッチメン」の意味は……? 恐らく楽しめるはずである。 *名言 ・「世界は天を見上げてこう叫ぶだろう。“助けてくれ!”と」&br()「見下ろして俺はこう答える。“ノー”だ」 ・「No, NoNoNoNoNo!」 ・「セックスや殺ししか頭にないクソ共、自分の罪でがんじがらめになった政治家やマスコミの連中は、天に向かってこう叫ぶだろう。“助けてくれ!”」&br()「俺は答える。&color(red){いやなこった}」 ・「何をためらっている?世界を救う救世主になるんだろう?大勢死んだんだ、今さら死体が一つ増えたところで誰も気にしやしない」&br()「……やれよ……」&br()「&color(red){殺せ!!}」 *余談 映画版において彼を演じたヘイリー氏は熱狂的なロールシャッハファンであり、 映画化と聞くや否や&bold(){自分でPVを作って送りつけた}とか。 なんでも、かつてネットで「実写でロールシャッハをやるならヘイリーだろう」という書き込みを見て原作を読んだところ、見事にドハマりしてしまったそうな。 &font(l){なんだか後の「[[デッドプール>デッドプール(映画)]]」におけるライアン・レイノルズみたいな話である。} 吹き替えを演じたのは、B級アクション映画吹き替えの常連にして「だが私は謝らない」でお馴染みの[[烏丸啓>烏丸啓(仮面ライダー剣)]]を演じた事でも知られる俳優・声優の[[山路和弘]]氏。 ヘイリー氏とは声質も近く、氏の演じた役柄の中でも随一のハマリ役と評判。 #center(){&color(GHOSTWHITE,BLACK){「…たとえ全てのWiki篭りに追記・修正を拒絶されても……」} &color(GHOSTWHITE,BLACK){「俺は絶対に妥協はしない」}} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,52) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - シャッハはコメディアンの妥協のない決断力に憧れを抱いているけど、内面までは理解していない。強姦未遂に関しては母親の件で多分、本能的に女性差別者であると思われるのと、基本的に自分の好き嫌いで判断しているので、自分が肯定しているコメディアンにマイナス的な意見にはカチンと来てるのかなあ、と。 -- 名無しさん (2016-02-25 23:08:13) - コメント欄が長くなってきたのでリセットしました -- 名無しさん (2016-03-05 18:58:04) - DC版パニッシャー…は別にいるか -- 名無しさん (2016-10-24 19:37:33) - 立ち位置的にはバッツやパニッシャーと同じ、しかし実際は彼ら以上に捻くれている厄介なヒーロー。でもそんなシャッハさんが好き。 -- 名無しさん (2016-10-30 11:51:36) - どうしようもない狂人で社会不適合者、おまけに暴力的で差別的、しかし世界を少しでも良くしたいという思いには一切の揺らぎが無い辺りが良い -- 名無しさん (2016-11-19 11:37:41) - アパートで大家の子供を見つめる表情がホント大好き。知らない人が見ると無表情、でもストーリーを追ってロールシャッハを知る人が見るといろいろな感情が見え隠れする(ように思える)。名シーンですわ。 -- 名無しさん (2017-04-14 04:13:09) - 理想のダークヒーローあるいはハードボイルド探偵。 -- 名無しさん (2017-07-04 16:42:34) - まさかの復活…? -- 名無しさん (2017-10-09 02:59:56) - 見るものによってどのような人物か大きく分かれる…と考えれば、ロールシャッハという名前は言い得て妙と言えるか -- 名無しさん (2018-01-02 22:15:07) - 狂った社会を楽しんだコメディアンと拒絶したロールシャッハ、どちらもオジマンディアスの計画は否定したのが面白い。 極右主義者だったのは左翼であるムーアなりの皮肉だろう。 -- 名無しさん (2020-01-03 11:27:12) - Dr.マンハッタン以外に超能力はないというが、この人はほぼ素手で暴動を鎮圧できたりするのはどうしてなんだろう。オジマンディアスを見ると精神力で肉体の強さが変わるようにも見えるから、この人もそれなんだろうか。現実から見たらそれもまた超能力に見えるが -- 名無しさん (2020-02-27 10:10:31) - ↑上にあるバットマンやパニッシャーも特殊能力無しで無双する時もあるから多少はね…けど、シャッハさんってその二人と違ってヒーローに成ったキッカケが縁も縁もない他人の犠牲という。あの狂った世界では優しすぎた男なのだろう(指を折られかけながら) -- 名無しさん (2020-02-27 15:13:26) - マンハッタンは意志の力で復活しているし、超能力者のいない社会ではあっても超自然的な現象の起きない世界ではない。その意味では誰でも気力で強くなれる潜在的な超人社会において、実際に意志の強さによって超人になった数少ない一人ということなのかな -- 名無しさん (2020-02-27 20:00:22) - 人間的な面における魅力は無いに等しいけどそれでもカッコいい男 -- 名無しさん (2021-08-05 17:56:22) - 映画での彼の最後のシーンは見返したくなる -- 名無しさん (2021-11-28 20:02:33) - ロールシャッハやコメディアンは作品や世界の矛盾、狂気を象徴するような存在。 平和な世界ならチンピラ扱いで終わるが、世界が不条理だからこそ輝くキャラクター。 とはいえ、個人的にはマイノリティ差別してるからやっぱり嫌い。 -- 名無しさん (2021-12-04 20:09:37) - 金は無いけどバッツと違って容赦なく殺しに来るし精神攻撃も超人的な精神と狂的な信念の根底から覆すレベルじゃないとほぼ確実に通じないだろうから多分ジョーカー筆頭のゴッサムヴィランにはトップクラスの天敵じゃないかな -- 名無しさん (2021-12-23 03:36:35) - ロールシャッハが本気で世界に公表するつもりだったのなら、最後に逃げようとした筈だ。それをせず自分を殺せと頼んだんだから、ロールシャッハの鉄の意志はそこまでだったという事だ。っていうか、ロールシャッハとしての自分を世に出して平和を壊したくなかったから、コバックスはロールシャッハを止めてくれる事を望んでた様に見える。精神的超人とかいって持て囃されているが、コバックスはロールシャッハを演じていただけで、実はわりと現実的で等身大の人間のヒーローだったと思う。最期は泣いてたし。 -- 名無しさん (2023-05-03 01:42:20) #comment #areaedit(end) }
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