茶碗の中(怪談)

「茶碗の中(怪談)」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

茶碗の中(怪談)」(2023/04/08 (土) 14:40:49) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

&font(#6495ED){登録日}:2011/06/07(火) 22:20:06 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 3 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 『茶碗の中』(本によっては『茶わんの中』)は、小泉八雲編纂の『骨董』によって紹介された怪談である。 この怪談の一番の特徴は何といっても&font(#ff0000){未完である}という事だろう。 しかも、かなり中途半端な形で終わっており、小泉八雲は作者が途中で終わらせてしまった理由を、 ・作者が途中で飽きた ・版元と仲違いした ・仕事で呼び出されて書けなくなった ・途中で死んだ と、いう風に仮定している。 ≪お は な し≫ 天和三年(1683年)の1月4日、&ruby(なかがわ){中川}&ruby(さどのかみ){佐渡守}は年始の挨拶をして歩いている途中、従者たちと江戸の本郷白山辺りの茶屋で休憩していました。 みんなでお茶を飲んで休んでいたところ、従者のひとりである&ruby(せきない){関内}は、自分の茶碗の水面に男(&font(#ff0000){イケメンの若侍})の顔が映っているのに気がつきました。 しかし、自分の顔でもないし、茶碗の底の模様でもありません。 しかも、そのお茶を捨てて別の茶碗にお茶を注いでも顔が映っています。   「やべえ、俺の茶碗に幽霊が映ってる……」 って感じでビビりつつも、関内は&font(#ff0000){その映った顔ごとお茶を飲み干しました。} その日の夜、中川候の屋敷の詰所に詰めていた関内のところに、あの茶碗の水面に映っていた顔にそっくりな若侍・&ruby(しきぶ){式部}&ruby(へいない){平内}という者が音もなく現れました。 今朝方、自分に関内が重傷を負わせたと言い立てる平内に、関内はとっさに切りかかりますが、&font(#ff0000){平内は霧のように消えてしまいました。} そのことを報告すると、その時間に外から入ったものもいなければ、「式部平内」なる人物を知っているものは誰もいませんでした。   次の日、関内は非番だったので家で両親と過ごしていました。 その日の夜も更けた頃、見知らぬ客が来たと取りつがれた関内が刀を携えて玄関に出ると、三人の男が関内を待っていました。 三人は昨日の平内の家来だと名乗り、昨日切りつけられたせいで平内は湯治に行っていると言い、帰ってきた暁には恨みを晴らすでしょうと言ってきました。 これまたとっさに関内は三人に切りかかり、右に左になぎはらったものの、三人は隣家の土壁の側へ飛び退き、まるで影のように跳びこえてそのまま……。   ↑こんな感じで、三人がそのまま……どうなったんだよ? 状態で「茶碗の中」は終わっている。 類似した話に、三谷幸喜がよくドラマの脚本で使う「赤い洗面器の男」がある。 必ずオチの前に邪魔が入って、結局洗面器を頭に乗せた男がなぜそんなことをしているのかわからずじまいになる小話である。   4編のうち1編が「茶碗の中」であるオムニバス映画『怪談』(1964年)では、物書きの男が顔の映った水桶けの中に引きずり込まれて物書きの顔が水桶に映り「茶碗の中」は未完になったというオチになっている。 日野日出志の[[漫画]]『怪談』では、関内が三人を追撃して[[バラバラ(状態)]]にしたものの、[[バラバラになった手足が空を飛んで掴みかかり>オールレンジ攻撃]] 関内をどこかへ連れ去ってしまい、断絶した関内の屋敷にやがてやってきた新しい住人がふと茶碗を覗くと関内の顔が浮かんでいる、というオチになっている。 因みに原話があり、違う点は -平内が関内への想いを募らせたことで茶碗の中に顔が映った -関内が茶を飲み干したことで平内は想いを受け入れられたと勘違いした -お前なんか知らんと斬りつけたら平内は逃げ出して、追いかけたが隣家との壁のところで見失った -翌晩に訪ねてきた平内の家来3人が、想いを寄せてきた相手を労らないのはともかく負傷させるのはいかがなものかと苦言を呈してきた -斬りかかられた平内の家来3人が隣家との壁を登って逃げたあと、平内たちは二度と来なかった という''完結''したお話。 赤江瀑の小説『八雲が殺した』では、小泉八雲が原話からホモ要素を削ってストーリー改変したことについてこれじゃ台無しだぁあーあもう滅茶苦茶だよと言わんばかりに激しく批判されている。 これは西洋向けに出版された書籍であり、しかも当時まだ数少ない日本文化を伝えるものなので''同性愛なんて書いたら日本への悪印象を煽りかねない''との判断が働いたとも考えられる ……が、それならもっと穏当な話を収録するなり&s(){どっちか[[女体化]]するなり}他に取れる方法はいくらでもあるので、結局謎が八雲の意図の方に変わっただけである。 追記・修正は、&font(#0000ff){お茶碗の中の幽霊を飲み干す}か&font(#008000){この話が未完の理由を説き明かす}かしてからお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,3) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 講談社であのホラー漫画家の日野氏が書き加えたマンガがあるのだが、オチは関内が三人に引き込まれて茶碗の中に封じられてしまったというオチを付け加えられていた。 -- 名無しさん (2014-03-26 19:18:40) - 夢幻紳士にこれをモチーフにしたと思しき話があるな。水に映る女性に恋をする男の話。 -- 名無しさん (2014-09-04 14:31:45) - 未完の小説ってあるんだな。 -- 名無しさん (2014-09-04 15:44:48) - むしろ未完故に怖い。 -- 名無しさん (2014-09-04 15:59:28) - 教科書であったな。懐かしい。 -- 名無しさん (2016-10-23 18:05:33) - 湯治に時間かかりすぎでしょ・・・ -- 名無しさん (2017-11-15 18:48:31) - 日本の昔話でも放送されていたけれどやっぱり未完だった、絵も怖かった。 -- 名無しさん (2017-11-16 10:04:43) - これより式部平内の軍団との戦い3000年に及ぶ そして!! -- 名無しさん (2018-08-01 01:39:51) - 八雲「申し訳ないがホモはNG」 -- 名無しさん (2018-08-14 09:30:18) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2011/06/07(火) 22:20:06 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 3 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 『茶碗の中』(本によっては『茶わんの中』)は、小泉八雲編纂の『骨董』によって紹介された怪談である。 この怪談の一番の特徴は何といっても&font(#ff0000){未完である}という事だろう。 しかも、かなり中途半端な形で終わっており、小泉八雲は作者が途中で終わらせてしまった理由を、 ・作者が途中で飽きた ・版元と仲違いした ・仕事で呼び出されて書けなくなった ・途中で死んだ と、いう風に仮定している。 ≪お は な し≫ 天和三年(1683年)の1月4日、&ruby(なかがわ){中川}&ruby(さどのかみ){佐渡守}は年始の挨拶をして歩いている途中、従者たちと江戸の本郷白山辺りの茶屋で休憩していました。 みんなでお茶を飲んで休んでいたところ、従者のひとりである&ruby(せきない){関内}は、自分の茶碗の水面に男(&font(#ff0000){イケメンの若侍})の顔が映っているのに気がつきました。 しかし、自分の顔でもないし、茶碗の底の模様でもありません。 しかも、そのお茶を捨てて別の茶碗にお茶を注いでも顔が映っています。   「やべえ、俺の茶碗に幽霊が映ってる……」 って感じでビビりつつも、関内は&font(#ff0000){その映った顔ごとお茶を飲み干しました。} その日の夜、中川候の屋敷の詰所に詰めていた関内のところに、あの茶碗の水面に映っていた顔にそっくりな若侍・&ruby(しきぶ){式部}&ruby(へいない){平内}という者が音もなく現れました。 今朝方、自分に関内が重傷を負わせたと言い立てる平内に、関内はとっさに切りかかりますが、&font(#ff0000){平内は霧のように消えてしまいました。} そのことを報告すると、その時間に外から入ったものもいなければ、「式部平内」なる人物を知っているものは誰もいませんでした。   次の日、関内は非番だったので家で両親と過ごしていました。 その日の夜も更けた頃、見知らぬ客が来たと取りつがれた関内が刀を携えて玄関に出ると、三人の男が関内を待っていました。 三人は昨日の平内の家来だと名乗り、昨日切りつけられたせいで平内は湯治に行っていると言い、帰ってきた暁には恨みを晴らすでしょうと言ってきました。 これまたとっさに関内は三人に切りかかり、右に左になぎはらったものの、三人は隣家の土壁の側へ飛び退き、まるで影のように跳びこえてそのまま……。   ↑こんな感じで、三人がそのまま……どうなったんだよ? 状態で「茶碗の中」は終わっている。 類似した話に、三谷幸喜がよくドラマの脚本で使う「赤い洗面器の男」がある。 必ずオチの前に邪魔が入って、結局洗面器を頭に乗せた男がなぜそんなことをしているのかわからずじまいになる小話である。   4編のうち1編が「茶碗の中」であるオムニバス映画『怪談』(1964年)では、物書きの男が顔の映った水桶けの中に引きずり込まれて物書きの顔が水桶に映り「茶碗の中」は未完になったというオチになっている。 日野日出志の[[漫画]]『怪談』では、関内が三人を追撃して[[バラバラ(状態)]]にしたものの、[[バラバラになった手足が空を飛んで掴みかかり>オールレンジ攻撃]] 関内をどこかへ連れ去ってしまい、断絶した関内の屋敷にやがてやってきた新しい住人がふと茶碗を覗くと関内の顔が浮かんでいる、というオチになっている。 因みに原話があり、違う点は -平内が関内への想いを募らせたことで茶碗の中に顔が映った -関内が茶を飲み干したことで平内は想いを受け入れられたと勘違いした -お前なんか知らんと斬りつけたら平内は逃げ出して、追いかけたが隣家との壁のところで見失った -翌晩に訪ねてきた平内の家来3人が、想いを寄せてきた相手を労らないのはともかく負傷させるのはいかがなものかと苦言を呈してきた -斬りかかられた平内の家来3人が隣家との壁を登って逃げたあと、平内たちは二度と来なかった という''完結''したお話。 赤江瀑の小説『八雲が殺した』では、小泉八雲が原話からホモ要素を削ってストーリー改変したことについてこれじゃ台無しだぁあーあもう滅茶苦茶だよと言わんばかりに激しく批判されている。 これは西洋向けに出版された書籍であり、しかも当時まだ数少ない日本文化を伝えるものなので''同性愛なんて書いたら日本への悪印象を煽りかねない''との判断が働いたとも考えられる ……が、それならもっと穏当な話を収録するなり&s(){どっちか[[女体化]]するなり}他に取れる方法はいくらでもあるので、結局謎が「なぜそうまでしてこれをチョイスしたのか」という八雲の意図の方に変わっただけである。 「魂を飲んだ結果は、読者に判断してもらいたい」との後書きを考えるに、恐らく[[魂を飲む>霊形手術(水木しげるの作品)]]という発想がそれほどまでに強烈なものであった、とも推測できるが…… 追記・修正は、&font(#0000ff){お茶碗の中の幽霊を飲み干す}か&font(#008000){この話が未完の理由を説き明かす}かしてからお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,3) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 講談社であのホラー漫画家の日野氏が書き加えたマンガがあるのだが、オチは関内が三人に引き込まれて茶碗の中に封じられてしまったというオチを付け加えられていた。 -- 名無しさん (2014-03-26 19:18:40) - 夢幻紳士にこれをモチーフにしたと思しき話があるな。水に映る女性に恋をする男の話。 -- 名無しさん (2014-09-04 14:31:45) - 未完の小説ってあるんだな。 -- 名無しさん (2014-09-04 15:44:48) - むしろ未完故に怖い。 -- 名無しさん (2014-09-04 15:59:28) - 教科書であったな。懐かしい。 -- 名無しさん (2016-10-23 18:05:33) - 湯治に時間かかりすぎでしょ・・・ -- 名無しさん (2017-11-15 18:48:31) - 日本の昔話でも放送されていたけれどやっぱり未完だった、絵も怖かった。 -- 名無しさん (2017-11-16 10:04:43) - これより式部平内の軍団との戦い3000年に及ぶ そして!! -- 名無しさん (2018-08-01 01:39:51) - 八雲「申し訳ないがホモはNG」 -- 名無しさん (2018-08-14 09:30:18) #comment #areaedit(end) }

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: