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「銀河英雄伝説」(2024/03/02 (土) 15:22:34) の最新版変更点
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『銀河英雄伝説』は田中芳樹原作の[[SF]]小説である。
物語の舞台は銀河系とSFチックだが文体は歴史小説に近く、「後世の歴史家は〜」などの言葉が多用されているのが特徴。
1982年11月から新書判の形で刊行が開始。
当初は田中氏の過去作の不振から1巻打ち切りも想定されていたが、無事に人気を得て1987年に全10巻の形で本編が完結。
本編の合間に書かれたエピソードや完結後に書き下ろした短編長編などの外伝も計5巻((かつては6巻書く予定との話もあったが、他作品の執筆に加えて特に内容も浮かばなかったため、2020年には「もうなかったことにしてください」と書く予定がないことを明かしている))。
その後も版元や本の形を変えて増刷が続いており、1500万部を売り上げた大ベストセラー小説となった。
小説としては既に完結しているが、その後もアニメ、[[漫画]]、[[パチンコ]]、[[ゲーム]]、さらには舞台化や宝塚歌劇化…とメディアミックス企画が続いている。
連載当時からの根強いファンに加えて完結から20年を経ても新規ファンを獲得し続けている、長寿作品の一つと言えよう。
*あらすじ
西暦2801年を宇宙暦とした遥かな未来。
その勢力圏を銀河系まで拡大させた人類は人類統一政府である銀河連邦を成立させるが、その政治体制は長い年月を経て腐敗していった。
社会の閉塞感を打破する指導者が求められる中、連邦軍の英雄ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムは、
やがて政界に転ずると民衆の圧倒的支持を得て強大な政治的権力を掌握し、首相と国家元首を兼任して終身執政管を自称、独裁政権を誕生させた。
宇宙歴310年に至って、「神聖にして不可侵たる」銀河帝国皇帝に即位して銀河帝国を建国、新たに「帝国暦」1年とした。
自ら信奉する正義を疑わぬルドルフは、共和主義者を中心とした反対派を弾圧・粛清。
自身を支持する「優秀な臣民」に対しては特権を与え、帝国を支える強固な貴族階級を形成した。
ルドルフの死後も、権力を得るのはその子孫に限られ、世襲だけが権力の移動のあるべき姿になったかにみえた。
共和主義者たちはルドルフの死後も圧政に耐え忍ぶ日々が続いたが、帝国暦164年、アーレ・ハイネセンを中心として帝国からの逃亡に成功。
銀河系の深奥部に歩を踏み入れ、半世紀に及ぶ道程の中でハイネセンを事故で失うなどの苦難の末、帝国暦218年、ついに安定した恒星群を発見。
そこで自由惑星同盟を建国し、再び宇宙暦を暦とする。
また恒星フェザーンにおいては、地球出身の大商人レオポルド・ラープの説得、賄賂を伴う工作により、
皇帝の主権の下にありながらも内政に関してはほぼ完璧な自治権を有した商業国家フェザーン自治領が形成された。
そして宇宙暦640年/帝国暦331年に発生したダゴン星域会戦で自由惑星同盟の存在が知れると、帝国はこれを征服すべき対象とみなした。
こうして人類は
専制政治を敷く銀河帝国
民衆共和制を唱える自由惑星同盟
商業を中心としたフェザーン
の3つの勢力に分かれ、慢性的な[[戦争]]状態が150年にわたって続いていた。
この長く不毛な戦いが永遠に続くかに思われていた宇宙暦796年/帝国暦487年、2人の英雄が出現し、人類の歴史は大きく展開し始める。
*登場人物
声優表記は「1988年版 / 2018年版」
**主人公
●[[ラインハルト・フォン・ローエングラム]]
「お前のおかげだ、キルヒアイス。帝国軍がまた勝って姉上に自慢できる」
CV:[[堀川りょう]] / [[宮野真守]]
銀河帝国側の主人公。
野心家で英雄を絵に描いたような人物。
のちに皇帝に即位。シスコンだが銀河を統一した若き英雄。
●[[ヤン・ウェンリー]]
「四万隻の敵艦にかこまれて紅茶を飲むのは、けっこう乙な気分だな」
CV:富山敬、[[郷田ほづみ]](螺旋迷宮での代役) / [[鈴村健一]]
自由惑星同盟側の主人公。
「奇跡のヤン」「魔術師ヤン」の異名を持つ、自由惑星同盟最高の名将。
本人は歴史家志望で常に退役を望んでいるが、その意思とは裏腹に武勲を立て続け元帥にまで上り詰める。
**銀河帝国
●ジークフリード・キルヒアイス
「はい、ラインハルト様」
CV:広中雅志 / 梅原裕一郎
ラインハルトの親友にして、その半身的存在。
●ウォルフガング・ミッターマイヤー
「カイザーを守り参らせる!」
CV:[[森功至]] / [[小野大輔]]
帝国軍双璧。銀河を駆ける疾風ウォルフ。
愛妻家。ベッドの上でも疾風。
●[[オスカー・フォン・ロイエンタール]]
「だまれ下衆ッ!!」
CV:[[若本規夫]] / [[中村悠一]]
帝国軍双璧。格好良い若本。
だけど女の扱いは酷い。
●[[パウル・フォン・オーベルシュタイン]]
「オーベルシュタイン家が断絶しても世人は嘆きますまい」
CV:[[塩沢兼人]] / [[諏訪部順一]]
ラインハルトの参謀役。
優れた戦略家で謀略を得意とする。
その冷徹さから「ドライアイスの剣」「絶対零度の剃刀」の異名を持つ。
●[[フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト]]
CV:野田圭一 / [[稲田徹]]
「進め、進め!!勝利の女神がお前達にスカートの中身をちらつかせているぞ!!」
猪突猛進をモットーとする帝国屈指の猛将。別名ビッテン突破。
●ウルリッヒ・ケスラー
「ポクスポクス…以下省略!」
CV:[[池田秀一]]
ラインハルトの元で帝都防衛司令官と憲兵総監を兼任する綱紀の要。
間違いなく有能で重用された人物なのだが、本人は宇宙艦隊勤務を希望しておりその意味では不遇(作中では同僚たちにさらっと言うのみでラインハルトには伝えていない模様)。
石黒版アニメや道原版コミックでは艦隊指揮官として活躍する姿も描かれた他、
軍に疎い少女に実際の階級(当時は上級大将)より低い大佐と呼ばれ、石黒版アニメではそのことを謝罪された際に「大佐だったこともある…」と笑い流し[[中の人事情>シャア・アズナブル]]を知る視聴者を爆笑させた。
**自由惑星同盟
●ユリアン・ミンツ
「これから知るようにします(ドヤッ」
CV:佐々木望 / [[梶裕貴]]
ヤンの保護者もとい養子。彼がいないとヤンはゴミと埃が友達の駄目人間になってしまう。
●フレデリカ・グリーンヒル
「YESです閣下。Yesですわ閣下、えぇ喜んで」
CV:[[榊原良子]] / [[遠藤綾]]
ヤンの奥さんで副官。
美貌と知性を兼ね備え、献身的にヤンを補佐する。ただし料理は除く。
驚くべき記憶力の持ち主。
●ダスティ・アッテンボロー
「逆らったやつは反革命罪で銃殺刑!」
CV:[[井上和彦]] / [[石川界人]]
伊達と酔狂で革命戦争を遂行する毒舌家。宇宙で最強の台詞、それは『それがどうした』
●オリビエ・ポプラン
「ベッドが欲しい、女付きでなくていい」
CV:[[古川登志夫]] / 鈴木達央
戦闘艇スパルタニアンのパイロットで、「ハートのエース」の称号を持つ撃墜王。
酒と女をこよなく愛し、陽気で不敵な性格で軽口を叩くせいかしばしばムライに睨まれる。別名「イゼルローンの[[諸星あたる>うる星やつら]]」。
●[[ワルター・フォン・シェーンコップ]]
「ならば小官も微力を尽くすとしましょう。永遠ならざる平和のために」
CV:羽佐間道夫 / [[三木眞一郎]]
「薔薇の騎士連隊」の第13代連隊長で白兵戦では無双な人。
独身だが、関係を持った女性は覚えてないほどの色男。
後にイゼルローン要塞の防御指揮官に就任。
●[[ヨブ・トリューニヒト]]
CV:[[石塚運昇]] / 安斉一博
みんな大好き?エゴイズムの怪物。人型インキュベーター。
チート保身術の使い手。ロイエンタールがいなければ今頃は…
●[[アンドリュー・フォーク>アンドリュー・フォーク(銀河英雄伝説)]]
CV:[[古谷徹]] / [[神谷浩史]]
自尊心とプライドだけの作中の中でも屈指のクズ。後の歴史家の評価でも散々である。
中の人である古谷に「全く思い入れがない」「(名指しで)嫌い」などといわれて知名度が上がった(それまでは「誰だ?」という扱いだった。)。
今では『[[蒼き流星SPTレイズナー]]』の[[ゴステロ>ゴステロ(蒼き流星SPTレイズナー)]]に匹敵する人気がある。
余談だが作者の田中芳樹は[[モブ>モブキャラ]]も名前付きのキャラも容赦なく死なす。
主人公級の重要なキャラでもいきなり死なす。
余りの虐殺ぶりに一部では「皆殺しの田中」と呼称されている。
*評価
全10巻の構想はあるも、読者に受入れられる作品であるかわからなかったため、最悪1巻だけでも完結するように製作された。
その影響は後々まで響いており、特に「キルヒアイスの死」は早すぎたと作者も認めている。
蓋を開けてみれば、すでに述べられたように圧倒的な支持を得ており、徳間がSF、ひいては後の[[架空戦記>仮想戦記]]ものに打って出る土壌を創り出したといってもいい。
一方で、読者に「[[戦略と戦術の違い>戦略/戦術]]」などの軍事的な理解がほとんど期待できない時代であったため、戦闘描写は現代の目からしたらかなりのツッコミどころがある。
特にあまりにも平面的な戦闘に終始したことは「宇宙空間の意味なくね?」と当時からも批判があったが敢えてそうした部分もありやむを得ないものとも言えるだろう。
なお田中は艦隊戦をナポレオン戦争の戦闘を基本モデルとし、1艦=1兵の感覚で描写したと語っており、その辺も平面的・陸戦的描写となった理由である。
*メディアミックス
ちなみに原作者の田中氏は設定面や演出について相談があれば事務所スタッフと合わせて応じるものの、メディアミックス制作について自分から口出しすることはないという。
「色々細かく管理したい原作者もいるけど、自分にはできないのでお任せすることにしてます」とのこと。
二度目のアニメ化の際に「田中芳樹氏監修」とついたアンソロジー小説が刊行されているが、これも実は一切手を入れていない旨が刊行後に明かされており
「ダメ出し覚悟で自由に書いちゃったよ…」と執筆者の皆さんが焦り出す姿が見られた。
田中氏本人としては作品への愛着はありつつも自身としてはやりきった思いもあるようで、他の人の手でどんな形になっていくか楽しみにしている節もありそうだ。
**1988年版アニメ
監督の名前から通称「石黒版」。
まず第四次ティアマト会戦を軸に劇場版が製作され、好評を博したことから当時も現在でも例を見ない&b(){「週刊宅配OVA」}というわけのわからん販売方法で製作された。
OVA本編110話+外伝52話は世界最長のOVAシリーズである。
登場人物が多すぎるので「書き分けは無理。せめて声は分けよう」との方針で、当時の大御所から新鋭気鋭、そして無名の新人まで、至る所から[[声優>声優(職業)]]がかき集められた。
[[ベジータ]]、[[古代進]]、[[ハマーン・カーン]]、[[アムロ・レイ]]、[[シャア・アズナブル]]、[[ピッコロ>ピッコロ(ドラゴンボール)]]、[[フリーザ]]、[[ララァ・スン]]、[[キン肉マン>キン肉マン/キン肉スグル ]]、009/島村ジョー、世界まる見えのナレーションetc.
多すぎて全員挙げられない。誰が呼んだが『銀河声優伝説』。
銀河声優伝説の異名もだがメカニックもスタジオぬえ監修の下、陣営毎に統一されつつも個性を出した戦艦の描写等で強い印象を残している。
**2018年版アニメ
『銀河英雄伝説 Die Neue These(ディ・ノイエ・テーゼ)』の題が付けられている。
第1シーズン『邂逅』が2018年にテレビアニメとして放送され、第2シーズン以降はOVAを劇場アニメとして上映という手法を取りながら数年おきに制作されている。
**ゲーム
設定からして戦略シミュレーション向きなので、PCを中心に何度もゲーム化された。
原作の状況を再現したからとは言え、序盤のシナリオを除き、帝国軍が圧倒的に優勢というゲームも少なくない
初期の作品では人材不足から同盟はシェ-ンコップやキャゼルヌ、ムライなども艦隊司令官として登場したほど(当然ながら艦隊指揮官としては有能ではない)
まさにアッテンボローが評したように「帝国軍とは何か?ラインハルト・フォン・ローエングラムと、その他大勢。同盟軍とはなにか?ヤン・ウェンリーと、その他すこし」
という状況を身をもって体験することになる。
**コミック
○道原かつみ版
//以下、道原女史の発言内容などは「英雄たちの肖像」文庫版3巻の巻末に収録されている田中芳樹氏と道原かつみ氏のスペシャル対談を元にしています。
原作の途中部分までコミカライズされた。((2015年2月に行われた田中芳樹氏との対談において「体力的に限界でこれ以上は続けられない」と語っている))
なお道原女史は本編のコミカライズを行う前にラインハルトの生い立ち部分を描いた外伝作品『黄金の翼』の作画を担当している。
(ストーリーは田中芳樹氏による書き下ろしによるもの)
最初の掲載誌である月刊少年キャプテンからの依頼は「原作の2巻までをコミックス3巻までにまとめてくれ」というものであったが、自身も銀英伝のファンである道原女史は「そんなことは無理」とコミックスの巻数については初めから振り切るつもりで連載を始めたという。最終的に11巻で完結となった。
それから十数年後、月刊COMiCリュウにて第二部とも言える「英雄たちの肖像」の連載が始まり、[[ラグナロック作戦>ラグナロック作戦(銀河英雄伝説)]]途中のランテマリオ星域会戦まで描かれた。
「英雄たちの肖像」では構成に大坂尚子氏の協力を得ており、話は原作からいくらかカットされたものとなっている。
(例えば査問会から[[要塞対要塞>第8次イゼルローン要塞攻防戦(銀河英雄伝説)]]は描写がなく、後にケンプと戦った旨の台詞があるのみである)
話の大筋は原作通りに、細かい台詞などに所々で独自の描写が見られる。
例えば『黄金の翼』から続く因縁に決着を付ける[[グリューネワルト伯爵夫人暗殺未遂事件]]や、原作で描写の少なかった[[カストロプ動乱]]は道原版独自の描写が多め。
また先述した通り「英雄たちの肖像」ではばっさりカットされた部分もあるので注意されたし。
本作の大きな特徴としてはホアン・ルイ、ルビンスキー、ヤマムラ軍医少佐(フォークが通信中に倒れた際、ビュコックに病状説明をした人)などいくらかの人物の性別が女性に変更されていることが挙げられる。
性別変更に伴いルビンスキーはルビンスカヤへと名前も変更された。
道原女史は「オヤジ好きで楽しく描いていたが、数が多すぎるために女性を増やした」と語っており、おそらく描き分けの苦労もあるものと思われる。
何せ漫画は基本的にモノクロ印刷のため色による違いも出せず、アニメと違って声による区別もできないのである。
ただし田中芳樹氏も「今書いたらキャゼルヌの周りは女性スタッフが多くなるかな」と語っており、原作の男女バランスについては執筆当時の社会の影響も強いようである。
ちなみに道原女史のお気に入りキャラクターは&b(){(原作1巻においてフレーゲルの依頼でミッターマイヤーを拷問した)[[ゴーモン係>拷問係(銀河英雄伝説)]]}と[[ヨブ・トリューニヒト]]。
ゴーモン係は本編中での文字表記は『拷問係』と漢字表記であったのだが、キャラクター紹介や原作者の田中芳樹氏との対談ページにおいては『ゴーモン係』と&b(){あえてのカタカナ表記}になっていることからその愛がうかがえる。
[[ヨブ・トリューニヒト]]においてはキャラクター紹介のカットが&b(){バラを持たせた姿}で描かれ、さらに漫画本編中には&b(){ガラスに映った自分の顔を見てから報道に使われた自分の写真にケチをつけ、次の選挙のコピーを考えながらブランデーグラスを片手に笑う}というオリジナルのシーンが入れられた。
○藤崎竜版
こちらはラインハルトの生い立ちからスタート。ヤングジャンプにて2023年1月現在も連載中。
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『銀河英雄伝説』は田中芳樹原作の[[SF]]小説である。
物語の舞台は銀河系とSFチックだが文体は歴史小説に近く、「後世の歴史家は〜」などの言葉が多用されているのが特徴。
1982年11月から新書判の形で刊行が開始。
当初は田中氏の過去作の不振から1巻打ち切りも想定されていたが、無事に人気を得て1987年に全10巻の形で本編が完結。
本編の合間に書かれたエピソードや完結後に書き下ろした短編長編などの外伝も計5巻((かつては6巻書く予定との話もあったが、他作品の執筆に加えて特に内容も浮かばなかったため、2020年には「もうなかったことにしてください」と書く予定がないことを明かしている))。
その後も版元や本の形を変えて増刷が続いており、1500万部を売り上げた大ベストセラー小説となった。
小説としては既に完結しているが、その後もアニメ、[[漫画]]、[[パチンコ]]、[[ゲーム]]、さらには舞台化や宝塚歌劇化…とメディアミックス企画が続いている。
連載当時からの根強いファンに加えて完結から20年を経ても新規ファンを獲得し続けている、長寿作品の一つと言えよう。
*あらすじ
西暦2801年を宇宙暦とした遥かな未来。
その勢力圏を銀河系まで拡大させた人類は人類統一政府である銀河連邦を成立させるが、その政治体制は長い年月を経て腐敗していった。
社会の閉塞感を打破する指導者が求められる中、連邦軍の英雄ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムは、
やがて政界に転ずると民衆の圧倒的支持を得て強大な政治的権力を掌握し、首相と国家元首を兼任して終身執政管を自称、独裁政権を誕生させた。
宇宙歴310年に至って、「神聖にして不可侵たる」銀河帝国皇帝に即位して銀河帝国を建国、新たに「帝国暦」1年とした。
自ら信奉する正義を疑わぬルドルフは、共和主義者を中心とした反対派を弾圧・粛清。
自身を支持する「優秀な臣民」に対しては特権を与え、帝国を支える強固な貴族階級を形成した。
ルドルフの死後も、権力を得るのはその子孫に限られ、世襲だけが権力の移動のあるべき姿になったかにみえた。
共和主義者たちはルドルフの死後も圧政に耐え忍ぶ日々が続いたが、帝国暦164年、アーレ・ハイネセンを中心として帝国からの逃亡に成功。
銀河系の深奥部に歩を踏み入れ、半世紀に及ぶ道程の中でハイネセンを事故で失うなどの苦難の末、帝国暦218年、ついに安定した恒星群を発見。
そこで自由惑星同盟を建国し、再び宇宙暦を暦とする。
また恒星フェザーンにおいては、地球出身の大商人レオポルド・ラープの説得、賄賂を伴う工作により、
皇帝の主権の下にありながらも内政に関してはほぼ完璧な自治権を有した商業国家フェザーン自治領が形成された。
そして宇宙暦640年/帝国暦331年に発生したダゴン星域会戦で自由惑星同盟の存在が知れると、帝国はこれを征服すべき対象とみなした。
こうして人類は
専制政治を敷く銀河帝国
民衆共和制を唱える自由惑星同盟
商業を中心としたフェザーン
の3つの勢力に分かれ、慢性的な[[戦争]]状態が150年にわたって続いていた。
この長く不毛な戦いが永遠に続くかに思われていた宇宙暦796年/帝国暦487年、2人の英雄が出現し、人類の歴史は大きく展開し始める。
*登場人物
声優表記は「1988年版 / 2018年版」
**主人公
●[[ラインハルト・フォン・ローエングラム]]
「お前のおかげだ、キルヒアイス。帝国軍がまた勝って姉上に自慢できる」
CV:[[堀川りょう]] / [[宮野真守]]
銀河帝国側の主人公。
野心家で英雄を絵に描いたような人物。
のちに皇帝に即位。シスコンだが銀河を統一した若き英雄。
●[[ヤン・ウェンリー]]
「四万隻の敵艦にかこまれて紅茶を飲むのは、けっこう乙な気分だな」
CV:富山敬、[[郷田ほづみ]](螺旋迷宮での代役) / [[鈴村健一]]
自由惑星同盟側の主人公。
「奇跡のヤン」「魔術師ヤン」の異名を持つ、自由惑星同盟最高の名将。
本人は歴史家志望で常に退役を望んでいるが、その意思とは裏腹に武勲を立て続け元帥にまで上り詰める。
**銀河帝国
●ジークフリード・キルヒアイス
「はい、ラインハルト様」
CV:広中雅志 / 梅原裕一郎
ラインハルトの親友にして、その半身的存在。
●ウォルフガング・ミッターマイヤー
「カイザーを守り参らせる!」
CV:[[森功至]] / [[小野大輔]]
帝国軍双璧。銀河を駆ける疾風ウォルフ。
愛妻家。ベッドの上でも疾風。
●[[オスカー・フォン・ロイエンタール]]
「だまれ下衆ッ!!」
CV:[[若本規夫]] / [[中村悠一]]
帝国軍双璧。格好良い若本。
だけど女の扱いは酷い。
●[[パウル・フォン・オーベルシュタイン]]
「オーベルシュタイン家が断絶しても世人は嘆きますまい」
CV:[[塩沢兼人]] / [[諏訪部順一]]
ラインハルトの参謀役。
優れた戦略家で謀略を得意とする。
その冷徹さから「ドライアイスの剣」「絶対零度の剃刀」の異名を持つ。
●[[フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト]]
CV:野田圭一 / [[稲田徹]]
「進め、進め!!勝利の女神がお前達にスカートの中身をちらつかせているぞ!!」
猪突猛進をモットーとする帝国屈指の猛将。別名ビッテン突破。
●ウルリッヒ・ケスラー
「ポクスポクス…以下省略!」
CV:[[池田秀一]]
ラインハルトの元で帝都防衛司令官と憲兵総監を兼任する綱紀の要。
間違いなく有能で重用された人物なのだが、本人は宇宙艦隊勤務を希望しておりその意味では不遇(作中では同僚たちにさらっと言うのみでラインハルトには伝えていない模様)。
石黒版アニメや道原版コミックでは艦隊指揮官として活躍する姿も描かれた他、
軍に疎い少女に実際の階級(当時は上級大将)より低い大佐と呼ばれ、石黒版アニメではそのことを謝罪された際に「大佐だったこともある…」と笑い流し[[中の人事情>シャア・アズナブル]]を知る視聴者を爆笑させた。
**自由惑星同盟
●ユリアン・ミンツ
「これから知るようにします(ドヤッ」
CV:佐々木望 / [[梶裕貴]]
ヤンの保護者もとい養子。彼がいないとヤンはゴミと埃が友達の駄目人間になってしまう。
●フレデリカ・グリーンヒル
「YESです閣下。Yesですわ閣下、えぇ喜んで」
CV:[[榊原良子]] / [[遠藤綾]]
ヤンの奥さんで副官。
美貌と知性を兼ね備え、献身的にヤンを補佐する。ただし料理は除く。
驚くべき記憶力の持ち主。
●ダスティ・アッテンボロー
「逆らったやつは反革命罪で銃殺刑!」
CV:[[井上和彦]] / [[石川界人]]
伊達と酔狂で革命戦争を遂行する毒舌家。宇宙で最強の台詞、それは『それがどうした』
●オリビエ・ポプラン
「ベッドが欲しい、女付きでなくていい」
CV:[[古川登志夫]] / 鈴木達央
戦闘艇スパルタニアンのパイロットで、「ハートのエース」の称号を持つ撃墜王。
酒と女をこよなく愛し、陽気で不敵な性格で軽口を叩くせいかしばしばムライに睨まれる。別名「イゼルローンの[[諸星あたる>うる星やつら]]」。
●[[ワルター・フォン・シェーンコップ]]
「ならば小官も微力を尽くすとしましょう。永遠ならざる平和のために」
CV:羽佐間道夫 / [[三木眞一郎]]
「薔薇の騎士連隊」の第13代連隊長で白兵戦では無双な人。
独身だが、関係を持った女性は覚えてないほどの色男。
後にイゼルローン要塞の防御指揮官に就任。
●[[ヨブ・トリューニヒト]]
CV:[[石塚運昇]] / 安斉一博
みんな大好き?エゴイズムの怪物。人型インキュベーター。
チート保身術の使い手。ロイエンタールがいなければ今頃は…
●[[アンドリュー・フォーク>アンドリュー・フォーク(銀河英雄伝説)]]
CV:[[古谷徹]] / [[神谷浩史]]
自尊心とプライドだけの作中の中でも屈指のクズ。後の歴史家の評価でも散々である。
中の人である古谷に「全く思い入れがない」「(名指しで)嫌い」などといわれて知名度が上がった(それまでは「誰だ?」という扱いだった。)。
今では『[[蒼き流星SPTレイズナー]]』の[[ゴステロ>ゴステロ(蒼き流星SPTレイズナー)]]に匹敵する人気がある。
余談だが作者の田中芳樹は[[モブ>モブキャラ]]も名前付きのキャラも容赦なく死なす。
主人公級の重要なキャラでもいきなり死なす。
余りの虐殺ぶりに一部では「皆殺しの田中」と呼称されている。
*評価
全10巻の構想はあるも、読者に受入れられる作品であるかわからなかったため、最悪1巻だけでも完結するように製作された。
その影響は後々まで響いており、特に「キルヒアイスの死」は早すぎたと作者も認めている。
蓋を開けてみれば、すでに述べられたように圧倒的な支持を得ており、徳間がSF、ひいては後の[[架空戦記>仮想戦記]]ものに打って出る土壌を創り出したといってもいい。
一方で、読者に「[[戦略と戦術の違い>戦略/戦術]]」などの軍事的な理解がほとんど期待できない時代であったため、戦闘描写は現代の目からしたらかなりのツッコミどころがある。
特にあまりにも平面的な戦闘に終始したことは「宇宙空間の意味なくね?」と当時からも批判があったが敢えてそうした部分もありやむを得ないものとも言えるだろう。
なお田中は艦隊戦をナポレオン戦争の戦闘を基本モデルとし、1艦=1兵の感覚で描写したと語っており、その辺も平面的・陸戦的描写となった理由である。
*メディアミックス
ちなみに原作者の田中氏は設定面や演出について相談があれば事務所スタッフと合わせて応じるものの、メディアミックス制作について自分から口出しすることはないという。
「色々細かく管理したい原作者もいるけど、自分にはできないのでお任せすることにしてます」とのこと。
二度目のアニメ化の際に「田中芳樹氏監修」とついたアンソロジー小説が刊行されているが、これも実は一切手を入れていない旨が刊行後に明かされており
「ダメ出し覚悟で自由に書いちゃったよ…」と執筆者の皆さんが焦り出す姿が見られた。
田中氏本人としては作品への愛着はありつつも自身としてはやりきった思いもあるようで、他の人の手でどんな形になっていくか楽しみにしている節もありそうだ。
**1988年版アニメ
監督の名前から通称「石黒版」。
まず第四次ティアマト会戦を軸に劇場版が製作され、好評を博したことから当時も現在でも例を見ない&b(){「週刊宅配OVA」}というわけのわからん販売方法で製作された。
OVA本編110話+外伝52話は世界最長のOVAシリーズである。
登場人物が多すぎるので「書き分けは無理。せめて声は分けよう」との方針で、当時の大御所から新鋭気鋭、そして無名の新人まで、至る所から[[声優>声優(職業)]]がかき集められた。
[[ベジータ]]、[[古代進]]、[[ハマーン・カーン]]、[[アムロ・レイ]]、[[シャア・アズナブル]]、[[ピッコロ>ピッコロ(ドラゴンボール)]]、[[フリーザ]]、[[ララァ・スン]]、[[キン肉マン>キン肉マン/キン肉スグル ]]、009/島村ジョー、世界まる見えのナレーションetc.
多すぎて全員挙げられない。誰が呼んだが『銀河声優伝説』。
銀河声優伝説の異名もだがメカニックもスタジオぬえ監修の下、陣営毎に統一されつつも個性を出した戦艦の描写等で強い印象を残している。
**2018年版アニメ
『銀河英雄伝説 Die Neue These(ディ・ノイエ・テーゼ)』の題が付けられている。
第1シーズン『邂逅』が2018年にテレビアニメとして放送され、第2シーズン以降はOVAを劇場アニメとして上映という手法を取りながら数年おきに制作されている。
**ゲーム
設定からして戦略シミュレーション向きなので、PCを中心に何度もゲーム化された。
原作の状況を再現したからとは言え、序盤のシナリオを除き、帝国軍が圧倒的に優勢というゲームも少なくない
初期の作品では人材不足から同盟はシェ-ンコップやキャゼルヌ、ムライなども艦隊司令官として登場したほど(当然ながら艦隊指揮官としては有能ではない)
まさにアッテンボローが評したように「帝国軍とは何か?ラインハルト・フォン・ローエングラムと、その他大勢。同盟軍とはなにか?ヤン・ウェンリーと、その他すこし」
という状況を身をもって体験することになる。
**コミック
○道原かつみ版
//以下、道原女史の発言内容などは「英雄たちの肖像」文庫版3巻の巻末に収録されている田中芳樹氏と道原かつみ氏のスペシャル対談を元にしています。
原作の途中部分までコミカライズされた。((2015年2月に行われた田中芳樹氏との対談において「体力的に限界でこれ以上は続けられない」と語っている))
なお道原女史は本編のコミカライズを行う前にラインハルトの生い立ち部分を描いた外伝作品『黄金の翼』の作画を担当している。
(ストーリーは田中芳樹氏による書き下ろしによるもの)
最初の掲載誌である月刊少年キャプテンからの依頼は「原作の2巻までをコミックス3巻までにまとめてくれ」というものであったが、自身も銀英伝のファンである道原女史は「そんなことは無理」とコミックスの巻数については初めから振り切るつもりで連載を始めたという。最終的に11巻で完結となった。
それから十数年後、月刊COMiCリュウにて第二部とも言える「英雄たちの肖像」の連載が始まり、[[ラグナロック作戦>ラグナロック作戦(銀河英雄伝説)]]途中のランテマリオ星域会戦まで描かれた。
「英雄たちの肖像」では構成に大坂尚子氏の協力を得ており、話は原作からいくらかカットされたものとなっている。
(例えば査問会から[[要塞対要塞>第8次イゼルローン要塞攻防戦(銀河英雄伝説)]]は描写がなく、後にケンプと戦った旨の台詞があるのみである)
話の大筋は原作通りに、細かい台詞などに所々で独自の描写が見られる。
例えば『黄金の翼』から続く因縁に決着を付ける[[グリューネワルト伯爵夫人暗殺未遂事件]]や、原作で描写の少なかった[[カストロプ動乱]]は道原版独自の描写が多め。
また先述した通り「英雄たちの肖像」ではばっさりカットされた部分もあるので注意されたし。
本作の大きな特徴としてはホアン・ルイ、ルビンスキー、ヤマムラ軍医少佐(フォークが通信中に倒れた際、ビュコックに病状説明をした人)などいくらかの人物の性別が女性に変更されていることが挙げられる。
性別変更に伴いルビンスキーはルビンスカヤへと名前も変更された。
道原女史は「オヤジ好きで楽しく描いていたが、数が多すぎるために女性を増やした」と語っており、おそらく描き分けの苦労もあるものと思われる。
何せ漫画は基本的にモノクロ印刷のため色による違いも出せず、アニメと違って声による区別もできないのである。
ただし田中芳樹氏も「今書いたらキャゼルヌの周りは女性スタッフが多くなるかな」と語っており、原作の男女バランスについては執筆当時の社会の影響も強いようである。
ちなみに道原女史のお気に入りキャラクターは&b(){(原作1巻においてフレーゲルの依頼でミッターマイヤーを拷問した)[[ゴーモン係>拷問係(銀河英雄伝説)]]}と[[ヨブ・トリューニヒト]]。
ゴーモン係は本編中での文字表記は『拷問係』と漢字表記であったのだが、キャラクター紹介や原作者の田中芳樹氏との対談ページにおいては『ゴーモン係』と&b(){あえてのカタカナ表記}になっていることからその愛がうかがえる。
[[ヨブ・トリューニヒト]]においてはキャラクター紹介のカットが&b(){バラを持たせた姿}で描かれ、さらに漫画本編中には&b(){ガラスに映った自分の顔を見てから報道に使われた自分の写真にケチをつけ、次の選挙のコピーを考えながらブランデーグラスを片手に笑う}というオリジナルのシーンが入れられた。
○藤崎竜版
こちらはラインハルトの生い立ちからスタート。ヤングジャンプにて2023年1月現在も連載中。
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