こころ(小説)

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&font(#6495ED){登録日}:2012/02/16(木) 20:32:13 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 私はその人を常に先生と呼んでいた。 『こころ』とは夏目漱石の小説。本によっては題名は「こゝろ」になっている。 【目次】 ・&link_anchor(概要){概要} ・&link_anchor(漱石による予告と自序){漱石による予告と自序} ・&link_anchor(ストーリー){ストーリー} ・&link_anchor(主な登場人物){主な登場人物} ・&aname(概要,option=nolink){概要} 1914年(大正3)4月20日~8月11日まで、「心 先生の遺書」と言う題名で朝日新聞で連載され、後に現在の題名になった。教科書に一部だけ採用されることがある。 誰もが[[読書感想文]]を書かされた思い出を持っているのでは。 自序から理解できるように、当初の漱石の計画からは外れてしまった作品である。 しかし伏線に富み、構成がしっかりとしている長編なので、今一度全編を通読してみるべし。著作権は切れているため青空文庫などで無料公開もされている。 予定外に長編化したのは、「こころ」の次の連載小説のストックがなかなかたまらず、時間を稼ぐためだったとも、まことしやかに語られている。 先生の手紙なんて、作中の描写では精々封筒サイズなのに、文量的には原稿用紙ドッサリだとか……。 【&aname(漱石による予告,option=nolink){漱石による予告}】 自己の心を捕らへんと欲する人々に、人間の心を捕へ得たる此の作物を奨む。 【漱石による自序】 短編の第一に当る『先生の遺書』を書き込んで行くうちに、予想通り早く片が付かない事を発見したので、 とうとうその一篇丈を単行本に纏めて公けにする方針に模様がえをした。 ・&aname(ストーリー,option=nolink){ストーリー} 【上 先生と私】 私は鎌倉の海で、ある男性に運命めいたものを感じ、彼を「先生」と呼び交流を始める。しかし先生は私と深く関わろうとせず、不思議な言葉を残すのみである。 私は先生の家によく出入りし、その奥さんと仲良くなるが、奥さんにも先生の下向きな性格の理由はわからない。どうやら変死した友人が関係しているようだが…? 【中 両親と私】 私は大学を卒業し、父の病気が悪化したこともあっていったん故郷に帰る。私は家族に先生の話をする。だが兄は何もしていない先生を批判する。 父の容態がさらに悪化していく中、私は先生からの手紙を受けとる。先生の手紙にあった「この手紙があなたの元に届く頃には、私はすでに死んでいるでしょう」という言葉から彼の自殺を知り、東京に向かう。 【下 先生と遺書】 叔父の裏切りから、人間恐怖症に陥った先生は上京し、ある未亡人の家に下宿する。先生は、そこに苦境に立たされた友人Kを誘い同居した。 女を軽視し「精進」に励むKだが、次第に奥さんの娘に惹かれ始める。同じくお嬢さんに気がある先生は、嫉妬に苦しむ。 突然Kにお嬢さんへの恋を告白された先生は、とうとう彼を出し抜き結婚の約束をしてしまう。 先生に裏切られたことを知ったKは、自殺してしまう。 それ以降、先生は罪の意識に苛まれ続けてきた。 先生は、こうした事実を私に伝え、一人静かに死んでいった。 この最後の先生の自殺について、その動機が問題としてあげられることがある。 先生は、学生時代に犯した罪から、二三十年後に自殺している。 おまけに、最終的に先生は、その過程と関係のない理由で死んでいる。乃木希典夫妻の殉死に触発されたのである。 これには、多くの文学先生が頭を抱えた。 時代に殉死したと、言われているが… ・&aname(主な登場人物,option=nolink){主な登場人物} ◆私 『上』『中』の主人公。東大生。[[ニート]]候補。 なぜか先生に惹かれる。腎臓病の父、教師の兄、嫁いだ妹がいる。 ◆先生 『下』の主人公。[[絶望先生>糸色望]]。東大を卒業した%%エリート%%[[%%ニート%%>ニート]]高等遊民。 父母を相次いで亡くした後は叔父に遺産管理を任せるが、遺産を横領され人間とお金が嫌いに。 友情より愛を優先するが、罪悪感に苦しみ「明治の精神」に殉死する。 ◆お嬢さん 先生の妻。名を静という((ちなみに上述した乃木希典の妻は「静子」))。元々Kではなく、先生に気があった。 先生の葛藤を知らない分、ある意味一番幸せかもしれない。 ◆K 先生の友人。浄土真宗の寺の次男で、医者の家の養子になる。しかし大学では宗教哲学を専攻して養家から追い出され、戻った実家からも見放される。 古風な男尊女卑男であるが、お嬢さんで性に目覚める。先生の裏切りを知り、自殺する。 ◆奥さん 未亡人でお嬢さんの母。 夫が軍人であったのでそこそこ金はある。 あなたは物足りない結果私の所に動いて来たじゃありませんか それはそうかも知れません。然しそれは恋とは違います 恋に上る階段なんです。異性と抱き合う順序として、まず同性の私の所へ動いて来たのです 然し君、恋は罪悪ですよ。解っていますか その先生は何をしているのかい 何にもしていないんです 自分だけが世の中の不幸を一人で背負って立っている 切ない恋を打ち明けられた時の私を想像して見て下さい 精神的に向上心のないものは、馬鹿だ 馬鹿だ 僕は馬鹿だ もっと早く死ぬべきだのに何故今まで生きていたのだろう 私は襖に迸ばしっている血潮を始めて見たのです。 追記・修正は雑司ヶ谷の墓に通いながらお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,11) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 「精神的に向上心のない者は馬鹿だ」←座右の銘 -- ターヘルアナトミア (2013-06-02 09:48:05) - あんまりにもドロドロし過ぎてて教科書に載るような話ではないよねぇ。舞姫もだけど -- 名無しさん (2013-11-13 04:04:20) - 昨今はほぼ息してない思想を罪の意識から拗らせたインテリの末路。最期に救いはあったのだろうか? -- 名無しさん (2013-11-13 06:59:12) - 本来三部作で、二部目を書いたところで止まったという説があるけど、どうなんだろうか -- 名無しさん (2013-12-01 20:03:24) - そう言えばこの作品の解釈で「『私』はゲイ」ってのがあったな。 -- 名無しさん (2013-12-01 20:28:03) - 教科書で読んだ時のイメージがずっと強かったから、どこかの漫画版で濡れ場あったときは静かに衝撃を受けた。そりゃ何もないはずないんだろうなぁ -- 名無しさん (2013-12-09 00:17:34) - 何かの検証で送られてきた手紙の分量が異常に多く、先生の狂気を表しているとかあったわ -- 名無しさん (2014-03-31 12:45:28) - ↑6実は夏目漱石先生のお墨付きである。 -- エフェル (2014-09-29 10:24:58) - 描写なんかが充実していて面白いのは前編だけなんだよなあ 教科書だと何でよりによってあの部分だけを読ませるんだろう -- 名無しさん (2014-11-08 12:49:22) - ↑そりゃ教科書じゃ面白いか面白くないかは二の次でしょ。あのねっとり心理描写なんて教材にはうってつけじゃないか -- 名無しさん (2015-03-10 22:35:11) - キーパーソンであるお嬢さんの描写は意図的に最小限にしてある。今の漫画とかだったらストーリーのためにキャラ描写を削るなんて考えられんな。 -- 名無しさん (2016-05-24 14:28:36) - 100年前の作品にこう言っちゃアレだけど、今日日(リアルも含めて)そんなに珍しい話でもない。でもなぜこれが名作なのか?文章力がすごいんだよ。なぜ夏目漱石が文豪と呼ばれるか、神髄がわかる -- 名無しさん (2017-05-04 17:02:28) - 創作もので凡百語られた「君がこの手紙を読む時私はこの世にいないだろう」の始祖。だがフォロワーの内容はだいたい謎解きか種明かし。純粋に遺書だったのは始祖だけかもしれん -- 名無しさん (2021-01-18 08:06:06) - アニメ青い文学のオリジナルシーンは「えぇ……」てなった。Kとお嬢さんがねぇ -- 名無しさん (2022-11-03 10:11:21) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2012/02/16(木) 20:32:13 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 私はその人を常に先生と呼んでいた。 『こころ』とは夏目漱石の小説。本によっては題名は「こゝろ」になっている。 【目次】 ・&link_anchor(概要){概要} ・&link_anchor(漱石による予告と自序){漱石による予告と自序} ・&link_anchor(ストーリー){ストーリー} ・&link_anchor(主な登場人物){主な登場人物} ・&aname(概要,option=nolink){概要} 1914年(大正3)4月20日~8月11日まで、「心 先生の遺書」と言う題名で朝日新聞で連載され、後に現在の題名になった。教科書に一部だけ採用されることがある。 誰もが[[読書感想文]]を書かされた思い出を持っているのでは。 自序から理解できるように、当初の漱石の計画からは外れてしまった作品である。 しかし伏線に富み、構成がしっかりとしている長編なので、今一度全編を通読してみるべし。著作権は切れているため青空文庫などで無料公開もされている。 予定外に長編化したのは、「こころ」の次の連載小説のストックがなかなかたまらず、時間を稼ぐためだったとも、まことしやかに語られている。 先生の手紙なんて、作中の描写では精々封筒サイズなのに、文量的には原稿用紙ドッサリだとか……。 【&aname(漱石による予告,option=nolink){漱石による予告}】 自己の心を捕らへんと欲する人々に、人間の心を捕へ得たる此の作物を奨む。 【漱石による自序】 短編の第一に当る『先生の遺書』を書き込んで行くうちに、予想通り早く片が付かない事を発見したので、 とうとうその一篇丈を単行本に纏めて公けにする方針に模様がえをした。 ・&aname(ストーリー,option=nolink){ストーリー} 【上 先生と私】 私は鎌倉の海で、ある男性に運命めいたものを感じ、彼を「先生」と呼び交流を始める。しかし先生は私と深く関わろうとせず、不思議な言葉を残すのみである。 私は先生の家によく出入りし、その奥さんと仲良くなるが、奥さんにも先生の下向きな性格の理由はわからない。どうやら変死した友人が関係しているようだが…? 【中 両親と私】 私は大学を卒業し、父の病気が悪化したこともあっていったん故郷に帰る。私は家族に先生の話をする。だが兄は何もしていない先生を批判する。 父の容態がさらに悪化していく中、私は先生からの手紙を受けとる。先生の手紙にあった「この手紙があなたの元に届く頃には、私はすでに死んでいるでしょう」という言葉から彼の自殺を知り、東京に向かう。 【下 先生と遺書】 叔父の裏切りから、人間恐怖症に陥った先生は上京し、ある未亡人の家に下宿する。先生は、そこに苦境に立たされた友人Kを誘い同居した。 女を軽視し「精進」に励むKだが、次第に奥さんの娘に惹かれ始める。同じくお嬢さんに気がある先生は、嫉妬に苦しむ。 突然Kにお嬢さんへの恋を告白された先生は、とうとう彼を出し抜き結婚の約束をしてしまう。 先生に裏切られたことを知ったKは、自殺してしまう。 それ以降、先生は罪の意識に苛まれ続けてきた。 先生は、こうした事実を私に伝え、一人静かに死んでいった。 この最後の先生の自殺について、その動機が問題としてあげられることがある。 先生は、学生時代に犯した罪から、二三十年後に自殺している。 おまけに、最終的に先生は、その過程と関係のない理由で死んでいる。乃木希典夫妻の殉死に触発されたのである。 これには、多くの文学先生が頭を抱えた。 時代に殉死したと、言われているが… ・&aname(主な登場人物,option=nolink){主な登場人物} ◆私 『上』『中』の主人公。東大生。[[ニート]]候補。 なぜか先生に惹かれる。腎臓病の父、教師の兄、嫁いだ妹がいる。 ◆先生 『下』の主人公。[[絶望先生>糸色望]]。東大を卒業した%%エリート%%[[%%ニート%%>ニート]]高等遊民。 父母を相次いで亡くした後は叔父に遺産管理を任せるが、遺産を横領され人間とお金が嫌いに。 友情より愛を優先するが、罪悪感に苦しみ「明治の精神」に殉死する。 ◆お嬢さん 先生の妻。名を静という((ちなみに上述した乃木希典の妻は「静子」))。元々Kではなく、先生に気があった。 先生の葛藤を知らない分、ある意味一番幸せかもしれない。 ◆K 先生の友人。浄土真宗の寺の次男で、医者の家の養子になる。しかし大学では宗教哲学を専攻して養家から追い出され、戻った実家からも見放される。 古風な男尊女卑男であるが、お嬢さんで性に目覚める。先生の裏切りを知り、自殺する。 ◆奥さん 未亡人でお嬢さんの母。 夫が軍人であったのでそこそこ金はある。 あなたは物足りない結果私の所に動いて来たじゃありませんか それはそうかも知れません。然しそれは恋とは違います 恋に上る階段なんです。異性と抱き合う順序として、まず同性の私の所へ動いて来たのです 然し君、恋は罪悪ですよ。解っていますか その先生は何をしているのかい 何にもしていないんです 自分だけが世の中の不幸を一人で背負って立っている 切ない恋を打ち明けられた時の私を想像して見て下さい 精神的に向上心のないものは、馬鹿だ 馬鹿だ 僕は馬鹿だ もっと早く死ぬべきだのに何故今まで生きていたのだろう 私は襖に迸ばしっている血潮を始めて見たのです。 追記・修正は雑司ヶ谷の墓に通いながらお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,12) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 「精神的に向上心のない者は馬鹿だ」←座右の銘 -- ターヘルアナトミア (2013-06-02 09:48:05) - あんまりにもドロドロし過ぎてて教科書に載るような話ではないよねぇ。舞姫もだけど -- 名無しさん (2013-11-13 04:04:20) - 昨今はほぼ息してない思想を罪の意識から拗らせたインテリの末路。最期に救いはあったのだろうか? -- 名無しさん (2013-11-13 06:59:12) - 本来三部作で、二部目を書いたところで止まったという説があるけど、どうなんだろうか -- 名無しさん (2013-12-01 20:03:24) - そう言えばこの作品の解釈で「『私』はゲイ」ってのがあったな。 -- 名無しさん (2013-12-01 20:28:03) - 教科書で読んだ時のイメージがずっと強かったから、どこかの漫画版で濡れ場あったときは静かに衝撃を受けた。そりゃ何もないはずないんだろうなぁ -- 名無しさん (2013-12-09 00:17:34) - 何かの検証で送られてきた手紙の分量が異常に多く、先生の狂気を表しているとかあったわ -- 名無しさん (2014-03-31 12:45:28) - ↑6実は夏目漱石先生のお墨付きである。 -- エフェル (2014-09-29 10:24:58) - 描写なんかが充実していて面白いのは前編だけなんだよなあ 教科書だと何でよりによってあの部分だけを読ませるんだろう -- 名無しさん (2014-11-08 12:49:22) - ↑そりゃ教科書じゃ面白いか面白くないかは二の次でしょ。あのねっとり心理描写なんて教材にはうってつけじゃないか -- 名無しさん (2015-03-10 22:35:11) - キーパーソンであるお嬢さんの描写は意図的に最小限にしてある。今の漫画とかだったらストーリーのためにキャラ描写を削るなんて考えられんな。 -- 名無しさん (2016-05-24 14:28:36) - 100年前の作品にこう言っちゃアレだけど、今日日(リアルも含めて)そんなに珍しい話でもない。でもなぜこれが名作なのか?文章力がすごいんだよ。なぜ夏目漱石が文豪と呼ばれるか、神髄がわかる -- 名無しさん (2017-05-04 17:02:28) - 創作もので凡百語られた「君がこの手紙を読む時私はこの世にいないだろう」の始祖。だがフォロワーの内容はだいたい謎解きか種明かし。純粋に遺書だったのは始祖だけかもしれん -- 名無しさん (2021-01-18 08:06:06) - アニメ青い文学のオリジナルシーンは「えぇ……」てなった。Kとお嬢さんがねぇ -- 名無しさん (2022-11-03 10:11:21) #comment #areaedit(end) }

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