今、そこにいる僕

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&font(#6495ED){登録日}:2011/12/10 Sat 08:50:14 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &font(#6495ED){所要時間}:約 30 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center{ &b(){&color(white,black){&size(16){今、そこにいる僕}}} &b(){&color(white,black){&size(13){―Now and Then,Here and There―}}} &font(#add8e6,b){こんなにももろく こんなにもはかない} &font(#add8e6,b){百億年の年月だから……} &font(#add8e6,b){哀しいほどに 愛しい} } **概要 1999年10月からに2000年1月にかけて[[WOWOW>WOWOW(オリジナルアニメ枠)]]系列で放送されたアニメ。全13話。 原作・監督:大地丙太郎([[こどものおもちゃ]]) 共同原作・シリーズ構成・脚本:倉田英之([[メイドインアビス]]) 音楽:岩崎琢([[天元突破グレンラガン]]、[[シン・仮面ライダー]]) 監督は『おじゃる丸』『十兵衛ちゃん』シリーズでおなじみの大地丙太郎だが、いつものギャグは皆無でシリアス一本で進む。 そして何より&font(#ff0000){鬱}・&font(#c71585){陰惨}・&font(#c71585){[[吐き気を催す邪悪]]}と&font(#8b0000){永久に続くメランコリー}、&font(#800080){そして最終的には誰も報われない}((一応、結果としては独裁者は死んで和解し戦争が終わり、星に水を取り戻して、みんなそれぞれ自分の選択に納得したラストを迎えるが、失ったものの方が多すぎて、本当の意味で「救われた」と言えるのはせいぜい敵の女幹部ぐらいである。))。 「戦争」をテーマに、少年兵と現実的な戦争局面におけるあまりにも陰鬱な展開やショッキングな描写から、賛否が分かれている。 [[アニポケ>アニメ ポケットモンスター(無印)]]の裏番組だったという事もあってか一般的な知名度は低いが、海外では大地丙太郎監督の代表作という評価を受けているらしく、海外評価は高い。 『[[装甲騎兵ボトムズ]]』シリーズの高橋良輔や、[[庵野秀明]]の主力スタッフである摩砂雪、平松禎史など、 当時のガイナックスの有名クリエイターの面々が美術設定・ローテ演出・キーアニメーターとして参加している。 実際かなり豪華で見応えがある……もっともその描写力・演出力で陰鬱なトラウマを描いているのだからメンタルへの破壊力はお察し。 **【ストーリー】 昭和時代の後期頃の日本に住むごく普通の中学生・シュウはある日、謎の美少女ララ・ルゥと出会ったことで、彼女を助けようとして突如未来の地球に飛ばされてしまう。 シュウは独裁国家「ヘリウッド」の少年兵に囚われ、水が貴重となった世界でのララ・ルゥを巡る過酷な戦争の現実を見る…。 **【世界観】 第一話の古臭いテレビと冷蔵庫、街並み、廃工場から見えるディーゼル列車と電車などから、シュウの住んでいたのは昭和後期の田舎の港町。 約50億年先の未来の世界では人の名前などは中東を思わせるが、日本語が通じる。また、アメリカ人であるはずのサラとも日本語で会話していた。 世界観に関する設定や解説などを大幅に簡略化しており((大地監督は「設定ありきの物語にしたくなかった」と語っている。))、荒廃し切った大地、異常発達した動植物、軍事などの一部目的に特化したハイテクノロジーなどがある。 「バウンドルーム(転送室)」という特殊な制御室を用いて、一定の空間を丸ごと別の時間軸へ転送する事ができる。 『[[未来少年コナン]]』や『[[風の谷のナウシカ>風の谷のナウシカ(映画)]]』のような世界と、アフリカの内戦によって生み出された少年兵士を参考にして作られたリアルな戦争が特徴。 また、月や太陽が現代と比べると非常に近いのか、かなり大きく描写されていて、地表のほとんどは砂漠となっていた。 後半で明らかになる事だが、この世界はもう間もなく滅びるであろう事が示唆されている。((シスに保護されたサラは木を探す任務を請け負っていたが、まだ比較的緑が残っていたザリ・バース周辺でさえ見つからなかった。水が戻っても岩と砂で埋め尽くされており、そもそも太陽系の寿命自体が100億年なので、どう足掻いてもこの世界が滅びを回避する方法はない。)) **【キャラクター】 ・&font(#0000cd,b){シュウ}(松谷修造) CV:[[岡村明美]] 現代(昭和日本)に住む中学生の少年。いい加減で明るく楽天的な性格。[[松岡修造]]ではない。 失敗してもその場しのぎに適当な事を言って誤魔化したり、その場その場の勢いだけで行動しており、深く考えないし空気も読めない。 ただし単なるお調子者というわけではなく、芯の内に強い正義感と男気を秘めた不器用な熱血漢でもある。折れないガッツだけは人一倍。 剣道を習っており、本編でもその腕前(?)が発揮される。剣道の試合に勝って好きだった子に告白するつもりだった。(恐らく小田の彼女) しかし追われていたララ・ルゥと出会ったことで彼女を助けようとし巻き込まれ、転送装置によりヘリウッドに連れて来られてしまう。 どんな苦境や困難な目に遭っても挫けず己の信念に従って行動するが、そのせいで周囲をトラブルに巻き込むためイラつく視聴者も少なくない。 また特に彼が強いという事はなく、ただがむしゃらに立ち向かっていくだけでほとんどの場合は逆にボコボコにされる方が多い。 ただし打たれ強さと体力は有り余っており、高い所から落ちてもすぐ起き上がったり、高い外壁をよじ登ったりしている。 尚、&bold(){なぜ彼があそこまでして初対面のララ・ルゥを助けたかったのか}は詳しく語られていない。((終始やや盲目的とさえ思えるほど彼女を助ける事に固執しており、命の危機と言える状況でさえ彼女の心配をしている。)) 現代でララ・ルゥを助ける為に瓦礫の中から咄嗟に拾い上げた&bold(){木の棒}をずっと持っており、戦う際はこれを使ったごり押し剣道で立ち向かう。 彼のフルネーム及び愛称は、某[[風のサーガ>シュウゾウ・マツタニ]]と[[同姓同名]]。ついでに担当声優も同じだったりする。 ・&font(#add8e6,b){ララ・ルゥ} CV:[[名塚佳織]] シュウが廃工場の煙突の上で出会った謎の少女。&font(#add8e6,b){薄い水色}のロングヘアーと、普通の人間とは違う独特な目が特徴。 ハムドに捕獲された50億年後の地球からバウンド装置を利用して逃げてきたところ、冒頭の現代に辿り着いた。 恰好はクリーム色のニットワンピースとレギンスにブーツと、50億年後の地球の物とはやや異質な服装。 普段は寡黙に徹していてほぼ喋らず、物事に関しての反応自体が乏しい。朝日は嫌いで夕陽を見ることが好き。 人間に対して冷めた目で見るところがあり、命懸けで助けてくれたシュウに対しても非常に淡泊だった。 (彼女がシュウに「助けて」と呟いたからわざわざ助けに来たのに、不思議そうに理解できないでいた) シュウと出会ったこと、命懸けで助けようとしてくれるシュウのおかげで少しずつ心を開いていくが…。 #openclose(show=彼女の持つ『チカラ』と彼女の持つペンダントが深刻な事態を招いていく。){ &bold(){実は人間ではない。} すでに数十万年も生きており飲食も睡眠も必要とせず、親なども元からいない。&font(#add8e6,b){水の精霊}のような何か。 神話やおとぎ話として語られている伝説の存在であり、伝承では化け物だと言われていたらしい。 また彼女の持っているペンダントは、地球上のほとんどの水を凝縮し内包している「海そのものを閉じ込めた」ような物。 ララだけがペンダントの中の水を出す事ができるが、出した分だけ自分の命を削り体が弱っていってしまう。 なお単純に水を出すだけではなく、膨大な水を物理法則を無視して自在に操ることができる。 かつては人間の為に水を出したことがあったが、醜い人間の負の面に辟易するようになった。((初めは感謝したりするが、次第に出すのが当たり前になっていき、出さないと横暴な態度を取るようになり、挙句の果てに争い、殺し合いすら始めるので出さなくなった。)) 実はヘリウッドは大量の水と何らかの化学物質を融合させる事で起動する飛行要塞であり、ハムドは世界を征服するために彼女を探し求めていた。 &bold(){ぶっちゃけ彼女がシュウのいる時代に逃げて来なければ、作中の不幸な事態のほとんどが起きなかったはずであったりする。} 顔を掴まれたり髪を引っ張られて痛がったりしているが、外傷などで物理的に死ぬことができるのかは不明。((ラストの展開から見るに、物理現象の理から外れた存在と考えられる。)) } ・&font(#8a2be2,b){アベリア} CV:安原麗子 紫がかったボブカットのクールビューティーな女軍人。現代の地球にバウンド装置で逃げてきたララ・ルゥを捕らえる為に追ってきた。 彼女が操る龍のようなマシンには、転移した先からバウンドルームに戻る事が可能な装置が積み込まれている。((ハムドの「アベリアのバウンドシステム」という発言や、墜落後のグチャグチャの状態から起動させているところから、恐らくこのシステム自体彼女が完成させたものと思われる。)) ヘリウッド実働部隊の総司令官的存在で、ハムドの側近であり軍のトップ。そしてハムド様一筋の忠実なしもべ。 そんな彼女でさえ、ハムドの狂乱には戸惑いを隠せない。設定ではハムドの愛人らしいが、作中では特にそういった描写は出ない((制作序盤で大地監督と倉田氏によって「従軍する理由」「服従する理由」等設定を作り込んだが、「彼女の設計は固くなると、物語の進みが遅くなってしまう」という懸念から敢えて作中では掘り下げなかった。))。 また軍部の中で唯一の女性であり、基本的にヘリウッドでは捕えられた者を除いて彼女以外に女性の姿はない。 担当声優が歌うEDは神。%%龍型マシンで過去の地球から水持って帰れば良かったのではとかツッコんではいけない%% ・&font(#f08080,b){サラ}(サラ・リングワルト) CV:仲尾あづさ &bold(){&font(#ff0000){本作最大の被害者。}}シュウが放り込まれた牢獄に先に捕らえられていた美少女。もう一人のヒロイン。 現代のアメリカに住んでいたが、父親を迎えに行く途中で現代に飛んできたアベリアと遭遇。 ララ・ルゥに良く似ていたため(しかもそっくりのペンダントも着けていた)人違いでヘリウッドに連れて来られてしまい、牢獄に監禁されてしまった。 人違いと判明した後は帰れると思いきや、某[[ロゼ>ロゼ・トーマス]]のような[[酷い目>レイプ]]に遭わされてしまう。 彼女に限らずヘリウッドにはアベリア以外に女性の姿は見られず、捕まって優秀な兵士の子(少年兵)を産むための慰安婦 兼 産婦にされている。((これは活躍した兵士に褒賞として与えているらしい。尚、当初の設定ではこの時代の人間とサラのような現代人との間では子供はできないとされていた。)) &bold(){全てはララ・ルゥが現代に逃げて来たせいで受けたとばっちり}であり、彼女の事を殺してやりたいほど恨んでいる。 また、初期はララ・ルゥそっくりのロングヘアーだったが、脱走した際に髪を断髪してショートカットにした。後にPTSD症状を患うようになる。 ・&font(#000080,b){ナブカ} CV:今井由香 ヘリウッドの少年兵の一人。部隊の中では一番強いらしくリーダー格を務める。&bold(){もう一人の主人公}とも言える存在。 飛ばされてきたシュウを敵国の侵入者と誤解して追い詰めるも、揉み合った際に高所から転落しそうになったところでシュウに命を助けられる。 この件で彼に借りを作ったこともあって、シュウが自分達の隊に編入された際には仕方なく彼のお守りを買って出た。 だが現代日本の価値観で動くシュウに対し命令違反のせいで隊の責任として巻き込まれたくないがゆえ、何度も対立することになる。 しかしその度に良心の呵責に苛まれ、「自分達の方がおかしいのではないか」という思いに駆られていく。 他の少年兵達よりも良心や良識が残っている描写が多く、ララを乱暴に扱う事を止めたり、人殺しに平然としていられない様子が見て取れる。 君主ハムドの「戦争が終わったら故郷に帰す」という約束を信じ、命令に仕方なく従っている為、徴兵の際も『死ぬよりはマシ』と言い聞かせている。 ・&font(#8b4513,b){ブゥ} CV:小西寛子 ヘリウッドの少年兵の一人で、ナブカを慕っている10歳にも満たないであろう男児。 数少ないシュウの理解者であり、兵士として当たり前の事をちゃんと理解しているが常に葛藤している。 まだ人を撃った事がないのか、シュウに銃口を向けた際はシュウよりビビッて緊張していた。 ・&bold(){タブール} CV:陶山章夫 ヘリウッドの少年兵の一人。ナブカとは同郷でナブカ曰く気のいい奴だったらしいが、現在は不仲。 「力こそ正義」というハムドの思想に影響され、事あるごとにナブカと対立するようになる。 シュウの事も快く思ってはおらず、ペンダント探しをさせられた腹いせにリンチしたりした。 故郷の村がどうなったのか知っており、今はヘリウッドで成り上がる野望を抱いている。 ・&font(#556b2f,b){ハムド} CV:石井康嗣 ヘリウッドの狂王。&bold(){&font(#ff0000){そして本作最大のキチ○イ。}}発狂して顔芸する坊ちゃん刈りで気持ちの悪いオッサン。 懐疑心の塊であり自分が世界を征服する事が絶対の正義と信じて疑わず、自分以外はゴミ同然と考え己の権威のためには手段を選ばない独裁者。 かつて『聖戦』と称しヘリウッドで他国を侵略して周っていたが、燃料に必要な水が無くなって立ち往生し、その隙に自国の領地を取り返した隣国を『侵略者』と呼んでいる。 統治(侵略)した国の文献からララ・ルゥの存在を知り、水を操る力を欲して、そのために彼女を口説き落とそうとする様は変態の極み。 冷酷冷徹で残忍、憂さ晴らしに猫を殺したり自分の為に最前線で戦っている兵士ごと砲撃で吹き飛ばす事に何の感慨も抱かない。 自身の意図に背く事があれば敵味方関係なく人民の虐殺を繰り返し、その責任も全て部下のアベリアに擦り付ける。 躁鬱病を患っており、極度の興奮状態で過度な暴力を振るっては、直後に人が変わったように冷静さを取り戻したりする。 アベリアにはDV夫のような理不尽な暴力と甘言で接しながら、半ば幼児退行のような振る舞いも見せる。 実は軍人としては標準以上の能力を有しているらしく、特に戦略や軍隊戦術についての手腕を見せている…が、私情を優先する事が多い。 このような人物なのでそこら中で恨みを買っており、常に命を狙われている。&s(){自業自得でしかないが} その結果、世界中の人間が自分の命を狙っていると思い込み、制圧しなければ安心できないという極めて危ない思想の持主。 #openclose(show=自分が悪いとは欠片も思っておらず、次回予告の彼の自己正当化に執心する狂いっぷりは必見。){ この世は何て不完全なんだ 愚かしく、非能率、醜くさえある! 私は悲しい だが、修正は可能だ 私の愛を、私の愛を!受け入れさえすれば! 次回、『少年と狂王と』 私の全ては君達の物だ 私の理想、私の努力、汗、涙! そして、まさかの微笑み それすらも君達の物だ! だから、せめて君達は、私のために、命くらいは捨ててくれ! 次回、『闇の中の宴』 かつては水の惑星と呼ばれていたこの地球 それがどうだ、今ではこの私の喉すら潤す事もできない! この星に水を取り戻すための戦いなら、それがどんな戦いであれ聖戦と呼ばれていい! 次回、『不協和音』 人の命が地球より重いというのは無論、嘘だ 地球がなければ、あらゆる生命が存在できない その地球が瀕死の重症だ 治す事ができるのは私だけだ! ゆえに、この私の命は地球より重い 次回、『ひとごろし』 猫と兵隊はよく似ている 猫はネズミをたくさん捕るのが良い猫だ 兵隊は敵をたくさん殺すのが良い兵隊だ だが、猫は卑しい 猫は自分のためだけにネズミを捕る それに比べお前達兵隊は何と幸せなのだ お前達の人殺しは、この私のためなのだから 次回、『砂嵐が消える』 ララ・ルゥ~、お願いだから話しておくれ 聞かせて欲しいんだ、世界の救い方を 女の子にとって従順は美徳だ、最高の美徳だよ だから話しておくれ 話せよ 話せったら話せよっ!! このガキがぁ! 次回、『逃れの夜』 神よ、あなたは何て意地悪なんだ いや、意外とお茶目なんだ 私の気を揉ませるだけ揉ませておいて、今までのはジョークだったんですね ヘリウッドが動く、ヘリウッドが起動するんだ 私に逆らう奴らは、全て踏み潰してやる! 次回、『ひとりぼっちのふたり』 春は花、夏は命が溢れ、秋は実りが揺れる、冬はしとめの銀世界 馬鹿どもが思い描く、地球の再生とはこんなところだろ やってやるって、この私が! だが、私は花も雪も嫌いだ… 次回、『狭間にて』 進め、進め、ヘリウッド! 阻む者があれば踏み潰せ! 逆らう者があれば撃ち殺せ! ほら、死体の山の向こうに、血の川の向こうに 輝かしい未来が見えるじゃないかぁぁぁっ! 次回、『混沌への助走』 嘆くな、迷うな、悲しむな 無駄だ無駄だっ!君達に喜怒哀楽など不必要だ! そんなつまらぬ物、対象があるから生まれるのだ そうだ、そんな物はザリバースの谷底に埋めてしまえばいい 私が手助けをしてあげよう 次回、『崩壊前夜』 きゃははははははは!きゃははははは! 笑ってやれ!あの這いつくばっている敗北者どもを! きゃはははははは! 笑って笑って笑って、笑い倒して、笑い倒し飽きたら、どうするかだと? 決まってるじゃないか  …撃ち殺す 次回、『殺戮の大地』 } &u(){&color(#FFFFFF){もっとも彼が本当に世界征服に成功したとしても、太陽が寿命を迎え地球が間もなく滅びる事は避けられないのだが。}} ・&bold(){カザム} CV:松山鷹志 ヘリウッドの兵士。若い男で作中では比較的イケメン。 レイプされて憔悴していたサラを気に掛けていたが、後に他の兵士同様サラに夜の相手をさせた一人。 だが他の兵士と違い、純粋に彼女を恋い慕っている様子がある。後に密偵としてザリ・バースに潜り込んだ。 ・&bold(){シス} CV:[[松本梨香]] &font(#ff0000){本作唯一の良心。}ザリ・バースに住む肝っ玉母ちゃん。非常に太ましい。 親を失った孤児の面倒をみながら、過激な反ヘリウッド派の住民達を説得し続けている。 それは頑なな対決姿勢で無用な敵意を買って村を危険に晒したくないこと、恨みと復讐の連鎖を断ち切りたいがため。 逃げてきたシュウやサラを匿ってくれる懐の広い人物であり、ララの正体を知った後でも受け入れてくれた。 しかしその姿勢故に強攻過激派のエランバからは目の敵にされている。 ・&bold(){エランバ} CV:山本密 ザリ・バースの住人で反ヘリウッド過激派のリーダー格で、エラがはっているエラそうな男。暗殺者を送り込んだ首謀者。 かつてヘリウッドに両親を家ごと焼き殺され、さらわれた病弱な妹は途中で邪魔になったのか捨てられて獣に喰い殺された。 その過去からヘリウッドとハムドを人一倍憎んでおり、その憎悪は協力しない者にも向けるようになっていく。 医者からはその様を見て「ハムドと同じだ」と言われて激昂していた。 ・&bold(){スーン} CV:齋藤彩夏 ザリ・バースに住む少女で、シュウ達が村で最初に話をした相手。 母親がヘリウッドにさらわれ、父親はハムドを暗殺して取り返そうとして出て行ったまま消息不明。 父親が暗殺任務に赴く前にシスに預けた。ナブカが射殺した若い方の暗殺者の娘。 ララ・ルゥが身元を誤魔化す為に名乗った「ラーラ」という偽名で呼び、彼女を慕っている。 誰に教えられたのか、一応銃の使い方を知っている。 &font(#ff0000,b){以下、ストーリーのネタバレ} ララ・ルゥと共に遥か未来の地球にやってきたシュウは、彼女を助けようとするが失敗し、彼女のペンダントを握りしめたままダストシュートに落下してしまう。 一方、ララ・ルゥを捕らえたヘリウッドの狂王・ハムドは肝心のペンダントがない事に激昂し、シュウを探し出して捕らえ拷問を繰り返す。 しかしシュウはナブカと揉み合いになった際にペンダントを落として失くしており、何も知らないため拷問が終わることはなかった。 そんな中、シュウは放り込まれた牢獄で、ララ・ルゥと間違えて捕らえられていた少女・サラと出会い、サラを元気づけて必ず帰れると励ました。 しかしそんな希望も虚しく、シュウは塔の外に吊るされ、サラは醜悪な兵士にレイプされた。そこへ敵国の地上戦艦が現れ、ヘリウッドを砲撃。 ナブカ達も前線に送り込まれるが戦況は劣勢、ハムドは最前線で食い止めている兵士ごと微粒量子砲で敵戦艦をその一帯を巻き込んで吹き飛ばした。 シュウは減った兵士の代わりに少年兵部隊に編入され、ハムドは失くしたペンダントを探し出す為に兵達にヘリウッドを大捜索させるが見つからなかった。 そこへハムドを暗殺しようとする暗殺者が侵入、ハムドを追い詰めるが反撃に遭い一人は死亡、一人は逃走したが、少年兵達に見つかりナブカに射殺された。 ハムドは怯え、なぜ暗殺者の進入を許したのかとアベリアを叱責。 アベリアはペンダントの捜索に全軍を投じ、且つ先日の戦いで兵士が足りないと話した。 それを聞いたハムドは遠征軍を出立させて近隣の村を襲わせ、子供を少年兵に、男は兵隊に、女は慰安婦にさらい、従わない者は射殺させる。 シュウはその様子を黙って見ていられず、兵士を突き飛ばして子供達を逃そうとするが、足を撃たれて倒れ、軍法会議に掛けられることとなる。 さらった人々に「戦争が終われば帰してやる」と隊長は言うが、帰還途中で村に仕掛けた爆弾を起爆。 重傷者や老人など残っていた役に立ちそうにない人々諸共、村を消滅させたのだった。 一方、兵士の子供を産ませる為にレイプされていたサラは、相手の男を殺して変装し、手薄になっていた事もあって何とかヘリウッドを脱出。 服を脱ぎ棄て髪を切り落とすと、大声を上げながら下着姿の身一つで無謀にも砂漠に走り去った。 シュウはゴミ溜めの中に落とされ、処刑を待つだけの身となる。心が折れたシュウだったが、水が滴り落ちてきた事で失くしたペンダントを発見する。 更には何者かが転送時に持っていた棒と元の衣服を放り込んでくれた((尚、これはシュウに同情したブゥが放り込んだもの。))おかげで、俄然やる気を取り戻すと外壁をよじ登りヘリウッドの頂上へ向かう。 ヘリウッド頂上からララ・ルゥを見つけるや、シュウは天井ガラスを棒で叩き割ってララ・ルゥとようやく再会。 シュウが持ってきたペンダントを見つけたハムドは興奮し、奪う為にアベリアにシュウを撃ち殺すよう命じる。 しかしシュウが怪我をした事でララ・ルゥは怒りの感情を露わにし、ペンダントの力でヘリウッド内部を水没させ、その勢いで逃れた。 待ち焦がれた水にはしゃぐハムドは、ララ・ルゥを取り戻すようアベリアに命じ、少年兵達も総動員で捜索し始める。 洞窟の中で隠れていたシュウはナブカに発見されてしまい、彼に一緒に逃げようと提案するも断られるが、一度助けられた借りを返す形でナブカは見逃した。 一方、サラは砂漠の中で行き倒れているところを謎の人影に助けられ保護される。 ヘリウッドから盗んだバイクに乗って砂漠を横断しようとするシュウとララだったが、休めそうな岩場の地形でアリ地獄のような化け物に襲われてしまう。 何とか先に殺されたのであろう死体が持っていた荷物から手榴弾らしき物を発見し、偶然が重なってなんとか怪物を退治したが、バイクは壊れてしまった。((死体は服装から成人男性の軍人っぽいが、持ち物の中には人形などがあり、近くには大型のククリナイフが落ちていた。エランバの妹に関係あるかは不明。)) 2人は砂漠をあてもなく彷徨っていると、渓谷の合間に素朴な村があるのを発見する。村の名はザリ・バース。ハムドを襲った暗殺者が言っていた村だった。 村の中で言い合っていたシスというおばさんと出会い、彼女の世話になることになったが、彼女が面倒を見ている子供の一人・スーンがナブカが撃ち殺した暗殺者の娘と気付いてしまう。 更にはヘリウッドの内部を知っているであろう事から、シュウは村の過激派・エランバに目を付けられ、シスに助けられたサラに再会するも、彼女の身に起こった事も知ってしまう。 突然倒れたサラを医者に診せたところ妊娠が発覚、サラは子供をおろそうと鍾乳洞の水源の冷水で冷やして堕胎を試みる((一連の台詞からすると、そのまま入水自殺も考えていた。シュウも自殺すると思って止めている。))が、彼女を追ってきたシュウに止められた。 諦めず落ちていた大きな石で自分の腹を殴るサラ。シュウは自分の手でサラの腹をかばうが、彼女は構わず石を打ち突ける。 かつて何の根拠もなく「大丈夫」と言ったシュウをウソ吐きと言って、サラは泣きながら立ち去った。シュウはララと村を出ていこうと考える。 一方、ララが出した大量の水が燃料となりヘリウッドは遂に起動。空中要塞となり侵攻を開始する。ハムドは最初の目標に、自分を暗殺しようとしたザリ・バースに狙いを定めた。 そして村に脱走兵のフリをして潜入した密偵・カザムが、ハムドが狂ってヘリウッドはもうダメというウソの情報を流し、ハムドには村の位置を密告する。 更にカザムはララ・ルゥがいる事に気付いて、その正体をバラしてヘリウッドとの交渉に使えるとエランバをそそのかした。 エランバの凶行を恐れたシスは、スーンに案内させてシュウとララを鍾乳洞の隠れ場に向かわせ、子供達を物置に避難させる。 しかしサラに気付いたカザムが、村が壊滅させられるからその前に一緒に逃げようと持ち掛けた事で、サラは村の皆を避難させようとシスの元へと急いだ。 だがシスに話をしていたところへエランバが現れ、突然シスの足を撃って広場に吊るし上げると、ララ・ルゥの正体を暴露し、シスを裏切り者と称し村の者達を扇動。 サラをあえて泳がせてララ・ルゥのもとへ向かわせ、部下の者に後を追わせたエランバは、シスの止血をしようとした医者を撃ち殺した。 一方、昨晩の手の怪我で棒を握ることもできず、エランバの仲間に追い詰められるシュウ。 ペンダントの力でエランバの手の者を濁流で退けるも、シスを人質に取られてララがエランバに捕らえられる。 だがその時、村の上空に機動要塞ヘリウッドが現れ、ザリ・バースの村を蹂躙。エランバはララを使った人質交渉で殺戮を止めようとする。 しかしアベリアは「殺せばヘリウッドへの対抗手段を失うだけだ」と冷酷に言いこれを無視。 交渉にならない事を知ったエランバは、破れかぶれでアベリアに銃口を向けるが蜂の巣にされ絶命。 穴の中の住居に逃げ隠れたザリ・バースの人々を、入口から火炎放射器で焼き殺す兵士達。 シュウはシスに言われて物置に隠れさせておいた子供達を保護しに走るが、物置を出たところでナブカとブゥに見つかってしまう。 ナブカは「ここを潰せば村に帰れるんだ!」と言い、ブゥに子供達を撃ち殺させようとするが、ブゥはそれを拒否して銃を捨てる。 しかしナブカは銃口を子供達に向けた。 &font(#ff0000){「お前がいやなら俺が殺す!} &font(#ff0000){ ヘリウッドに潜入してきたやつ、ハムド様の命を狙ったやつ、みんな殺した。何が悪い!} &font(#ff0000){ 殺さないと終わらないんだ。どっちかが死ななきゃ戦いは終わらないんだ!} &font(#ff0000,b){ 暗殺者も殺した、敵の兵も殺した、ずっと殺してきた!今さらなんだ!」} その言葉を、銃を持ってシュウを追い掛けてきた、殺された暗殺者の娘・スーンがナブカの背後で聞いていた。 目の前にいるのが父の仇と知り、無言で銃を構えるスーン。引き金を引こうとした瞬間、ブゥがスーンに気付く。 咄嗟にそれを止めようとナブカを庇うようにブゥが間に入り、スーンの凶弾を胸に受け倒れる。 ナブカが倒れるブゥに気付き、スーンが弾の再装填を行う一瞬の隙を突いてスーンの胸を撃つ。 胸から大量出血をしながらピクリとも動かなくなる2人の小さな子供達。 その現実を前にして茫然とするシュウとナブカ。 #openclose(show=そして「今、そこにいる僕」の『棒』は役目を終える。){ ナブカの名を叫びながら銃を拾い上げ撃つシュウ。しかし銃弾はナブカの足元に穴を開けただけだった。 その場にうずくまり激昂するシュウ。やってきたタブールがシュウと子供達を撃ち殺そうとするが、項垂れたナブカが止める。 そこへ撃ち方やめの号令がかかり、何とかシュウと他のシスの子供達の命だけは助かった。 ザリ・バースの民の生き残りは全て奴隷にするという事で、ヘリウッドの牢屋に収容されララ・ルゥは連れて行かれる。 牢獄の中でシスがサラに懸命の看護を受けていたが、撃たれた傷からの出血多量ですでに虫の息だった。 シスは最後の力を振り絞り、サラの腹を撫でながら &bold(){「相手の男が憎いなら憎めばいい、この世界を憎むのもいい、でもその子だけは憎まないでくれ。} &bold(){ 憎まれるために生まれてくる子どもなんていない」}と言い残し、シスは息を引き取る。 一方、ナブカはシュウがいつも持っていた棒を抱えながら、ブゥの幻影を追う放心状態だった。 そんな彼をタブールが誘い出し、自分達の村がもうない事を教えると、自分達は最強の軍隊なのだから成り上がろうと持ち掛けた。 しかし覇気のないナブカに幻滅したのか、タブールは拳銃でナブカの腹を撃ち、そのままナブカはかつてシュウに助けられた場所から落下。 ララ・ルゥはザリ・バースの民の命を天秤にされ、この勢いで世界征服を成したいハムドに更に水を出すよう強要される。 誰も救えず意気消沈していたシュウのもとに、致命傷を負ったナブカがはいずりながらもシュウの棒を届けにきた。 &bold(){「これがないとさびしいだろ…お前は帰れ…お前のいたところに帰れ。そこが…お前の、いる、とこ…ろ…」}と言って事切れた。 負傷した手で棒を握り締め、ナブカが首に巻いていたバンダナで固定し、彼の遺志と共にハムドの野望を打ち砕くべくシュウは走り出した。 ハムドを探しとにかく上を目指す途中でタブール達に発見され、作戦司令室 兼 操縦室らしき部屋で撃った殴ったの大乱闘を繰り広げ、操作パネルを次々と破壊。 タブールに追い詰められ、宙吊りになったシュウが撃ち殺されそうなところ、真下の機関室にいたララが水流を放出して助け出す。 その際の水流がヘリウッドのメインコンピューターと思われる装置を直撃。熱暴走を起こしたヘリウッドは機能不全に陥り、緩やかに墜落し始める。 ララのもとで気が付いたシュウは、傾くヘリウッドの機関室上で、遂にアベリアとハムドの二人相手に最後の戦いを挑む。 アベリアの銃撃を避け棒で拳銃を叩き落とす((最初の剣道の試合から面しか狙わず「小手とか交えながら相手の一手二手先を読むのが剣道」と小田に指摘されていた伏線の回収))が、それを拾ったハムドがアベリアに弾が当たるのも構わず乱射。 しかしすぐに弾切れになり、シュウはハムドを体当たりで転倒させると、ずっと持っていた棒でハムドをこれでもかというほど滅多打ちにする。 だが度重なる過酷な運命を共にした棒切れはもはや形状も保てず、殴るたびに砕け散り、最後にはナブカのバンダナで結んだ部分を残して崩れ去った。 ハムドは大した怪我は負わなかったが、恐怖のあまりアベリアを置いて遁走。ヘリウッド内部は溢れ出た濁流に飲まれ始める。((このときサラを最初に強姦した男やタブールも物のついでのように濁流に飲まれて溺死。このシーンは担当したアニメーターの独断で制作され、その事を質問した大地監督にアニメーターは「ええ、○してやりましたよ!ずっとこいつ許せなかったんです!」と吐露したという中々豪胆なエピソードがある。)) ララ・ルゥはシュウに頼みヘリウッドの頂上へ連れて行ってもらい、ペンダントと自分の力を全て解放し、水の力で傾いた要塞を立て直し不時着させようとする。 乾いた大地に水を撒き散らしながら、降下していくヘリウッド。 内部ではサラがシスの子供達を連れて脱出を試みている最中、ナブカが捕らえた村の子供だった少年兵を発見、保護するも、足場が崩れ少年兵が濁流に流されてしまう。 しかし間一髪のところでカザムが少年兵を拾い上げ助け、サラに少年兵を託すと、彼は安心した顔で力尽き濁流の中へと消えていった。 逃げたハムドはバウンドルームに隠れながらアベリアに通信し、&bold(){「自分をどこでもいいから別の時代へバウンド(転送)させろ!」}と命令。 だが流石にアベリアも愛想が尽きたのか、自らの手でバウンドルームに続く四方のシャッターを全開に。涙と鼻水を垂らしながら怯えるハムド。 そして猛烈な勢いで流れ込んできた4つの津波に潰され全身の骨が砕け、ハムドは洗濯機内を舞うゴミのような死に様を遂げた。 皮肉にも彼がずっと求めてやまなかった「水」によって、無様に恐怖でひきつらせた顔で水中を漂うハムドを、アベリアは冷ややかな目で眺める。 最後には水上に墜落したヘリウッドのしぶきが上空に大きな虹を描きながら、地球は水が溢れるかつての青い星を取り戻したのだった。 夕日を眺めながら、かつて一緒に見た現代の夕日を思い返す二人。しかしララ・ルゥの姿だけが段々透明になっていく。 &font(#add8e6){いつかまた…一緒に…夕日見ようね……} ―――その言葉を言い残して、彼女はシュウの腕の中で消滅した。 ほとんどの人間が死んでしまったが、サラは元の時代に帰らず、お腹の赤ん坊の為にもこの時代でみんなと一緒に生きていこうと決めたと言う。 そんなサラにシュウは、またこれまでと同じような根拠のない励ましの言葉を贈った。 #center(){ &color(blue){サラ…前、オレが嘘ついたって言ってたけど…でも…でも、やっぱオレ思うんだ。} &color(blue){どんな世界でも、どんな酷い目に遭っても、生きてりゃ…絶対いい事があるって!} &color(blue){悪いことが…全部帳消しになっちゃうような、とんっでもなくいい事があるって!} &color(blue){そりゃ…それまでは…つらいけど…でもその…なんていうか…えーと…まあ、そういう事だ!}} サラはその言葉を否定も肯定もせず、ただシュウを見つめながら微笑んだ。 彼女もまた、子供達を助け出す際に「大丈夫、絶対大丈夫よ」と、かつてシュウが口にしたのと同じ根拠のない励ましを唱えていたから。 そしてアベリアの手によってかろうじて使用できたバウンド装置により、シュウは元の時代の、あの日あの時に帰ることができたのだった。((尚、アベリアは作業後に用済みになったら殺される覚悟であったが、サラは大人達の銃を下ろさせアベリアを受け入れた。)) ……過酷な戦場の中で、ただ一人、誰一人、殺す事なく。 シュウは不殺を貫いたが、残ったのは命懸けで守ったものを失った空虚と、あれが夢ではなかった事を証明するボロボロの体だけだった。 そして最初の転移で煙突の上部が巻き込まれ削られた廃工場と夕日をバックに、物語はモノローグもなく終わる((脚本の段階では「元の世界に帰ったシュウが、本来のあるべき日常の尊さを噛み締めるも、そこにララ・ルゥがいないことに気づき、寂しさを覚える」→「老人となったシュウの幕間」→「数万年後、ララ・ルゥが誕生する時にシュウの声を聞き、僅かに微笑みを見せる」という内容があり、5~10分程描写する予定で絵コンテまで描いたが、スケジュールの都合で全部カットしなければならなかったと言う…。))。 } #openclose(show=与太話(大人の事情を大いに含んでいます。閲覧にはご注意下さい)){ 1998年頃、「[[こどものおもちゃ]]」の評判を聞きつけたAICの三浦亨社長から、「女戦士ばかりの中で、男一人のハーレム状態で戦争ものを書いてくれ」とオファーを受けた大地監督は相当イラついた。というのも、当時アグネス・チャン女氏の[[ユニセフ>日本ユニセフ協会(特例財団法人)]]活動の少年兵の内戦のレポートにいたく感動していたのもあり、直後に倉田英之氏とも「こんな企画やりたくない!」と意気投合する。「アニメではすぐ体制と戦う方向に持っていきがちだけど、ここらで一度マジで『戦争は絶対にしてはいけない』と突き詰めた方がいい。そのためならカタルシスなんていらない」と真剣に考え始めた。 タイトルの元にもなった『今そこにある危機』と『[[未来少年コナン]]』からインスパイアされながら、プロットが書かれた。そうして出来上がった全13話のプロットを当初の企画を全否定してしまったこともあり、正直心苦しさを感じながら見せたら、三浦社長は「いいですね!やりましょう!」と即GOサインを出し、大地監督・倉田氏は呆然とした。 岩崎琢氏が参加した「[[るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編]]」での繊細な音楽作りに、たまたまレコーディングに立ち会っていた大地監督((TVシリーズにて絵コンテで参加。))が一音で惚れ込み、企画初期の段階ですぐさま起用。実作業も予定通りにスムーズに進んだ。 小室等氏の楽曲「無題」を「子守歌…」にタイトルを変更し、歌をアベリア役の安原麗子女史が担当した。当初は坂本九氏の「上を向いて歩こう」の予定であり、岡村明美女史の歌うバージョンも制作し、劇中歌としても使用する案があったが、あまりにもキャラクターが歌を歌いそうなシチュエーションが無くて、歌詞も世界観と合わなかったために没となった。 制作前から安原女史の大ファンだった大地監督は彼女とプライベートでも親しくなりたいために、アベリアというキャラを作って、EDを担当させた。&font(l){岡村女史「おいおい…」} 3話放送後から、一気にクレームが多く届いて、大地監督は「もっと目立たない時間でもいいと思いますよ?」と打診したが、WOWOWの上層部は「いや、この時間に見てもらいたいのです。苦情の電話くらい、いくらでも対応します。全責任は局が取ります!」と断言されて、その漢前ぶりに大地監督は救われたという。 その後、精神的続編として&font(l){おいバカやめろ…}『[[レジェンズ~甦る竜王伝説~]]』が制作されたが、色んなアクシデントが重なったこともあり、正直不完全燃焼だったことが大地監督自ら語っている。 そのこともあり、大地監督は「あの時の環境だから、最後まで作れた。今ではもう作れない」「見てほしいけど、辛いから見なくていいよ」ときっぱり語っている。 } #center(){&color(white,black){この項目はなんて不完全なんだ}} #center(){&color(white,black){愚かしく、非能率}} #center(){&color(white,black){醜くさえある!}} #center(){&color(white,black){わたしは哀しい}} #center(){&color(white,black){だが、修正は可能だ}} #center(){&color(white,black){私の追記を!私の追記を!}} #center(){&color(white,black){受け入れさえすれば!!}} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,15) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 「アンインストール」が似合いそうだ -- 名無しさん (2014-09-13 05:53:06) - 精神的に追い詰められたら人間なにするかわからないよ 自分が戦地にいたら女をレイプしてしまうかもしれない -- 名無しさん (2015-10-28 13:58:48) - よ、寄越しなさい!君が誰かは知らんが、何故それを持っている!それはもともと私のものなんだよ! -- 名無しさん (2016-01-23 19:55:46) - ハムド王はなんか曾野綾子の「狂王ヘロデ」を思い出すな -- 名無しさん (2016-05-03 17:26:45) - アベリアは一体何故ハムドに従っていたのか。下克上とか考えなかったのだろうか。まさか愛していたわけではあるまいし。 -- 名無しさん (2016-06-05 00:34:18) - 蔡邕や田豊みたいな仕える主を間違えちゃった系の忠臣 -- 名無しさん (2016-09-20 18:31:36) - 半年前に突っ込むのも無粋だが、袁紹は当時最大勢力で領地を治める君主としては普通に有能だったんだぞ。別に仕える相手は間違っちゃいない。 -- 名無しさん (2017-05-11 16:13:36) - ララ・ルゥ最期の台詞「いつかまた一緒に夕日見ようね」の涙腺破壊力はヤバかったな -- 名無しさん (2017-07-21 15:36:45) - 荒らしコメントを削除 -- 名無しさん (2019-08-28 18:10:02) - なおタイトルの元ネタは、トム・クランシーの小説「今そこにある危機」と思われる -- 名無しさん (2019-08-28 18:41:30) - 結局のところララ・ルゥが現代の地球に飛んで来さえしなければ、ほとんどの地獄は回避できたという。 -- 名無しさん (2020-10-28 14:32:04) - ララルウは地球そのものの意識が具現化した存在なのかもね。50億年の科学技術の発展の中のどこかで、地球のテラフォーミングの為に抽出されたOSだったのかもしれない。 -- 名無しさん (2020-10-30 02:32:56) - どう足掻いても太陽系が寿命を迎えるのだから、あの世界に残ってもなあ……とはいえ約100億年だから誤差でも1000年ぐらい猶予はありそうだけど。 -- 名無しさん (2020-10-30 18:51:58) - 滅茶苦茶ハードな「天空の城ラピュタ」って印象のアニメ -- 名無しさん (2020-10-30 23:52:08) - 昔の作品だが覇気だけの一般人が異世界に行っても無力に打ちひしがれるのに終始して、後の流行りに対する真のアンチテーゼ(最近の自称変則も結局は似通ってるし)になってるのが面白い -- 名無しさん (2022-10-03 02:29:30) - なお現実では八億年くらいたてば太陽光の増加で多細胞生物が死滅する模様 -- 名無しさん (2023-01-17 23:58:38) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2011/12/10 Sat 08:50:14 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &font(#6495ED){所要時間}:約 30 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center{ &b(){&color(white,black){&size(16){今、そこにいる僕}}} &b(){&color(white,black){&size(13){―Now and Then,Here and There―}}} &font(#add8e6,b){こんなにももろく こんなにもはかない} &font(#add8e6,b){百億年の年月だから……} &font(#add8e6,b){哀しいほどに 愛しい} } **概要 1999年10月からに2000年1月にかけて[[WOWOW>WOWOW(オリジナルアニメ枠)]]系列で放送されたアニメ。全13話。 原作・監督:大地丙太郎([[こどものおもちゃ]]) 共同原作・シリーズ構成・脚本:倉田英之([[メイドインアビス]]) 音楽:岩崎琢([[天元突破グレンラガン]]、[[シン・仮面ライダー]]) 監督は『おじゃる丸』『十兵衛ちゃん』シリーズでおなじみの大地丙太郎だが、いつものギャグは皆無でシリアス一本で進む。 そして何より&font(#ff0000){鬱}・&font(#c71585){陰惨}・&font(#c71585){[[吐き気を催す邪悪]]}と&font(#8b0000){永久に続くメランコリー}、&font(#800080){そして最終的には誰も報われない}((一応、結果としては独裁者は死んで和解し戦争が終わり、星に水を取り戻して、みんなそれぞれ自分の選択に納得したラストを迎えるが、失ったものの方が多すぎて、本当の意味で「救われた」と言えるのはせいぜい敵の女幹部ぐらいである。))。 「戦争」をテーマに、少年兵と現実的な戦争局面におけるあまりにも陰鬱な展開やショッキングな描写から、賛否が分かれている。 [[アニポケ>アニメ ポケットモンスター(無印)]]の裏番組だったという事もあってか一般的な知名度は低いが、海外では大地丙太郎監督の代表作という評価を受けているらしく、海外評価は高い。 『[[装甲騎兵ボトムズ]]』シリーズの高橋良輔や、[[庵野秀明]]の主力スタッフである摩砂雪、平松禎史など、 当時のガイナックスの有名クリエイターの面々が美術設定・ローテ演出・キーアニメーターとして参加している。 実際かなり豪華で見応えがある……もっともその描写力・演出力で陰鬱なトラウマを描いているのだからメンタルへの破壊力はお察し。 **【ストーリー】 昭和時代の後期頃の日本に住むごく普通の中学生・シュウはある日、謎の美少女ララ・ルゥと出会ったことで、彼女を助けようとして突如未来の地球に飛ばされてしまう。 シュウは独裁国家「ヘリウッド」の少年兵に囚われ、水が貴重となった世界でのララ・ルゥを巡る過酷な戦争の現実を見る…。 **【世界観】 第一話の古臭いテレビと冷蔵庫、街並み、廃工場から見えるディーゼル列車と電車などから、シュウの住んでいたのは昭和後期の田舎の港町。 約50億年先の未来の世界では人の名前などは中東を思わせるが、日本語が通じる。また、アメリカ人であるはずのサラとも日本語で会話していた。 世界観に関する設定や解説などを大幅に簡略化しており((大地監督は「設定ありきの物語にしたくなかった」と語っている。))、荒廃し切った大地、異常発達した動植物、軍事などの一部目的に特化したハイテクノロジーなどがある。 「バウンドルーム(転送室)」という特殊な制御室を用いて、一定の空間を丸ごと別の時間軸へ転送する事ができる。 『[[未来少年コナン]]』や『[[風の谷のナウシカ>風の谷のナウシカ(映画)]]』のような世界と、アフリカの内戦によって生み出された少年兵士を参考にして作られたリアルな戦争が特徴。 また、月や太陽が現代と比べると非常に近いのか、かなり大きく描写されていて、地表のほとんどは砂漠となっていた。 後半で明らかになる事だが、この世界はもう間もなく滅びるであろう事が示唆されている。((シスに保護されたサラは木を探す任務を請け負っていたが、まだ比較的緑が残っていたザリ・バース周辺でさえ見つからなかった。水が戻っても岩と砂で埋め尽くされており、そもそも太陽系の寿命自体が100億年なので、どう足掻いてもこの世界が滅びを回避する方法はない。)) **【キャラクター】 ・&font(#0000cd,b){シュウ}(松谷修造) CV:[[岡村明美]] 現代(昭和日本)に住む中学生の少年。いい加減で明るく楽天的な性格。[[松岡修造]]ではない。 失敗してもその場しのぎに適当な事を言って誤魔化したり、その場その場の勢いだけで行動しており、深く考えないし空気も読めない。 ただし単なるお調子者というわけではなく、芯の内に強い正義感と男気を秘めた不器用な熱血漢でもある。折れないガッツだけは人一倍。 剣道を習っており、本編でもその腕前(?)が発揮される。剣道の試合に勝って好きだった子に告白するつもりだった。(恐らく小田の彼女) しかし追われていたララ・ルゥと出会ったことで彼女を助けようとし巻き込まれ、転送装置によりヘリウッドに連れて来られてしまう。 どんな苦境や困難な目に遭っても挫けず己の信念に従って行動するが、そのせいで周囲をトラブルに巻き込むためイラつく視聴者も少なくない。 また特に彼が強いという事はなく、ただがむしゃらに立ち向かっていくだけでほとんどの場合は逆にボコボコにされる方が多い。 ただし打たれ強さと体力は有り余っており、高い所から落ちてもすぐ起き上がったり、高い外壁をよじ登ったりしている。 尚、&bold(){なぜ彼があそこまでして初対面のララ・ルゥを助けたかったのか}は詳しく語られていない。((終始やや盲目的とさえ思えるほど彼女を助ける事に固執しており、命の危機と言える状況でさえ彼女の心配をしている。)) 現代でララ・ルゥを助ける為に瓦礫の中から咄嗟に拾い上げた&bold(){木の棒}をずっと持っており、戦う際はこれを使ったごり押し剣道で立ち向かう。 彼のフルネーム及び愛称は、某[[風のサーガ>シュウゾウ・マツタニ]]と[[同姓同名]]。ついでに担当声優も同じだったりする。 ・&font(#add8e6,b){ララ・ルゥ} CV:[[名塚佳織]] シュウが廃工場の煙突の上で出会った謎の少女。&font(#add8e6,b){薄い水色}のロングヘアーと、普通の人間とは違う独特な目が特徴。 ハムドに捕獲された50億年後の地球からバウンド装置を利用して逃げてきたところ、冒頭の現代に辿り着いた。 恰好はクリーム色のニットワンピースとレギンスにブーツと、50億年後の地球の物とはやや異質な服装。 普段は寡黙に徹していてほぼ喋らず、物事に関しての反応自体が乏しい。朝日は嫌いで夕陽を見ることが好き。 人間に対して冷めた目で見るところがあり、命懸けで助けてくれたシュウに対しても非常に淡泊だった。 (彼女がシュウに「助けて」と呟いたからわざわざ助けに来たのに、不思議そうに理解できないでいた) シュウと出会ったこと、命懸けで助けようとしてくれるシュウのおかげで少しずつ心を開いていくが…。 #openclose(show=彼女の持つ『チカラ』と彼女の持つペンダントが深刻な事態を招いていく。){ &bold(){実は人間ではない。} すでに数十万年も生きており飲食も睡眠も必要とせず、親なども元からいない。&font(#add8e6,b){水の精霊}のような何か。 神話やおとぎ話として語られている伝説の存在であり、伝承では化け物だと言われていたらしい。 また彼女の持っているペンダントは、地球上のほとんどの水を凝縮し内包している「海そのものを閉じ込めた」ような物。 ララだけがペンダントの中の水を出す事ができるが、出した分だけ自分の命を削り体が弱っていってしまう。 なお単純に水を出すだけではなく、膨大な水を物理法則を無視して自在に操ることができる。 かつては人間の為に水を出したことがあったが、醜い人間の負の面に辟易するようになった。((初めは感謝したりするが、次第に出すのが当たり前になっていき、出さないと横暴な態度を取るようになり、挙句の果てに争い、殺し合いすら始めるので出さなくなった。)) 実はヘリウッドは大量の水と何らかの化学物質を融合させる事で起動する飛行要塞であり、ハムドは世界を征服するために彼女を探し求めていた。 &bold(){ぶっちゃけ彼女がシュウのいる時代に逃げて来なければ、作中の不幸な事態のほとんどが起きなかったはずであったりする。} 顔を掴まれたり髪を引っ張られて痛がったりしているが、外傷などで物理的に死ぬことができるのかは不明。((ラストの展開から見るに、物理現象の理から外れた存在と考えられる。)) } ・&font(#8a2be2,b){アベリア} CV:安原麗子 紫がかったボブカットのクールビューティーな女軍人。現代の地球にバウンド装置で逃げてきたララ・ルゥを捕らえる為に追ってきた。 彼女が操る龍のようなマシンには、転移した先からバウンドルームに戻る事が可能な装置が積み込まれている。((ハムドの「アベリアのバウンドシステム」という発言や、墜落後のグチャグチャの状態から起動させているところから、恐らくこのシステム自体彼女が完成させたものと思われる。)) ヘリウッド実働部隊の総司令官的存在で、ハムドの側近であり軍のトップ。そしてハムド様一筋の忠実なしもべ。 そんな彼女でさえ、ハムドの狂乱には戸惑いを隠せない。設定ではハムドの愛人らしいが、作中では特にそういった描写は出ない((制作序盤で大地監督と倉田氏によって「従軍する理由」「服従する理由」等設定を作り込んだが、「彼女の設計は固くなると、物語の進みが遅くなってしまう」という懸念から敢えて作中では掘り下げなかった。))。 また軍部の中で唯一の女性であり、基本的にヘリウッドでは捕えられた者を除いて彼女以外に女性の姿はない。 担当声優が歌うEDは神。%%龍型マシンで過去の地球から水持って帰れば良かったのではとかツッコんではいけない%% ・&font(#f08080,b){サラ}(サラ・リングワルト) CV:仲尾あづさ &bold(){&font(#ff0000){本作最大の被害者。}}シュウが放り込まれた牢獄に先に捕らえられていた美少女。もう一人のヒロイン。 現代のアメリカに住んでいたが、父親を迎えに行く途中で現代に飛んできたアベリアと遭遇。 ララ・ルゥに良く似ていたため(しかもそっくりのペンダントも着けていた)人違いでヘリウッドに連れて来られてしまい、牢獄に監禁されてしまった。 人違いと判明した後は帰れると思いきや、某[[ロゼ>ロゼ・トーマス]]のような[[酷い目>レイプ]]に遭わされてしまう。 彼女に限らずヘリウッドにはアベリア以外に女性の姿は見られず、捕まって優秀な兵士の子(少年兵)を産むための慰安婦 兼 産婦にされている。((これは活躍した兵士に褒賞として与えているらしい。尚、当初の設定ではこの時代の人間とサラのような現代人との間では子供はできないとされていた。)) &bold(){全てはララ・ルゥが現代に逃げて来たせいで受けたとばっちり}であり、彼女の事を殺してやりたいほど恨んでいる。 また、初期はララ・ルゥそっくりのロングヘアーだったが、脱走した際に髪を断髪してショートカットにした。後にPTSD症状を患うようになる。 ・&font(#000080,b){ナブカ} CV:今井由香 ヘリウッドの少年兵の一人。部隊の中では一番強いらしくリーダー格を務める。&bold(){もう一人の主人公}とも言える存在。 飛ばされてきたシュウを敵国の侵入者と誤解して追い詰めるも、揉み合った際に高所から転落しそうになったところでシュウに命を助けられる。 この件で彼に借りを作ったこともあって、シュウが自分達の隊に編入された際には仕方なく彼のお守りを買って出た。 だが現代日本の価値観で動くシュウに対し命令違反のせいで隊の責任として巻き込まれたくないがゆえ、何度も対立することになる。 しかしその度に良心の呵責に苛まれ、「自分達の方がおかしいのではないか」という思いに駆られていく。 他の少年兵達よりも良心や良識が残っている描写が多く、ララを乱暴に扱う事を止めたり、人殺しに平然としていられない様子が見て取れる。 君主ハムドの「戦争が終わったら故郷に帰す」という約束を信じ、命令に仕方なく従っている為、徴兵の際も『死ぬよりはマシ』と言い聞かせている。 ・&font(#8b4513,b){ブゥ} CV:小西寛子 ヘリウッドの少年兵の一人で、ナブカを慕っている10歳にも満たないであろう男児。 数少ないシュウの理解者であり、兵士として当たり前の事をちゃんと理解しているが常に葛藤している。 まだ人を撃った事がないのか、シュウに銃口を向けた際はシュウよりビビッて緊張していた。 ・&bold(){タブール} CV:陶山章夫 ヘリウッドの少年兵の一人。ナブカとは同郷でナブカ曰く気のいい奴だったらしいが、現在は不仲。 「力こそ正義」というハムドの思想に影響され、事あるごとにナブカと対立するようになる。 シュウの事も快く思ってはおらず、ペンダント探しをさせられた腹いせにリンチしたりした。 故郷の村がどうなったのか知っており、今はヘリウッドで成り上がる野望を抱いている。 ・&font(#556b2f,b){ハムド} CV:石井康嗣 ヘリウッドの狂王。&bold(){&font(#ff0000){そして本作最大のキチ○イ。}}発狂して顔芸する坊ちゃん刈りで気持ちの悪いオッサン。 懐疑心の塊であり自分が世界を征服する事が絶対の正義と信じて疑わず、自分以外はゴミ同然と考え己の権威のためには手段を選ばない独裁者。 かつて『聖戦』と称しヘリウッドで他国を侵略して周っていたが、燃料に必要な水が無くなって立ち往生し、その隙に自国の領地を取り返した隣国を『侵略者』と呼んでいる。 統治(侵略)した国の文献からララ・ルゥの存在を知り、水を操る力を欲して、そのために彼女を口説き落とそうとする様は変態の極み。 冷酷冷徹で残忍、憂さ晴らしに猫を殺したり自分の為に最前線で戦っている兵士ごと砲撃で吹き飛ばす事に何の感慨も抱かない。 自身の意図に背く事があれば敵味方関係なく人民の虐殺を繰り返し、その責任も全て部下のアベリアに擦り付ける。 躁鬱病を患っており、極度の興奮状態で過度な暴力を振るっては、直後に人が変わったように冷静さを取り戻したりする。 アベリアにはDV夫のような理不尽な暴力と甘言で接しながら、半ば幼児退行のような振る舞いも見せる。 実は軍人としては標準以上の能力を有しているらしく、特に戦略や軍隊戦術についての手腕を見せている…が、私情を優先する事が多い。 このような人物なのでそこら中で恨みを買っており、常に命を狙われている。&s(){自業自得でしかないが} その結果、世界中の人間が自分の命を狙っていると思い込み、制圧しなければ安心できないという極めて危ない思想の持主。 #openclose(show=自分が悪いとは欠片も思っておらず、次回予告の彼の自己正当化に執心する狂いっぷりは必見。){ この世は何て不完全なんだ 愚かしく、非能率、醜くさえある! 私は悲しい だが、修正は可能だ 私の愛を、私の愛を!受け入れさえすれば! 次回、『少年と狂王と』 私の全ては君達の物だ 私の理想、私の努力、汗、涙! そして、偶さかの微笑み それすらも君達の物だ! だから、せめて君達は、私のために、命くらいは捨ててくれ! 次回、『闇の中の宴』 かつては水の惑星と呼ばれていたこの地球 それがどうだ、今ではこの私の喉すら潤す事もできない! この星に水を取り戻すための戦いなら、それがどんな戦いであれ聖戦と呼ばれていい! 次回、『不協和音』 人の命が地球より重いというのは無論、嘘だ 地球がなければ、あらゆる生命が存在できない その地球が瀕死の重症だ 治す事ができるのは私だけだ! ゆえに、この私の命は地球より重い 次回、『ひとごろし』 猫と兵隊はよく似ている 猫はネズミをたくさん捕るのが良い猫だ 兵隊は敵をたくさん殺すのが良い兵隊だ だが、猫は卑しい 猫は自分のためだけにネズミを捕る それに比べお前達兵隊は何と幸せなのだ お前達の人殺しは、この私のためなのだから 次回、『砂嵐が消える』 ララ・ルゥ~、お願いだから話しておくれ 聞かせて欲しいんだ、世界の救い方を 女の子にとって従順は美徳だ、最高の美徳だよ だから話しておくれ 話せよ 話せったら話せよっ!! このガキがぁ! 次回、『逃れの夜』 神よ、あなたは何て意地悪なんだ いや、意外とお茶目なんだ 私の気を揉ませるだけ揉ませておいて、今までのはジョークだったんですね ヘリウッドが動く、ヘリウッドが起動するんだ 私に逆らう奴らは、全て踏み潰してやる! 次回、『ひとりぼっちのふたり』 春は花、夏は命が溢れ、秋は実りが揺れる、冬はしとめの銀世界 馬鹿どもが思い描く、地球の再生とはこんなところだろ やってやるって、この私が! だが、私は花も雪も嫌いだ… 次回、『狭間にて』 進め、進め、ヘリウッド! 阻む者があれば踏み潰せ! 逆らう者があれば撃ち殺せ! ほら、死体の山の向こうに、血の川の向こうに 輝かしい未来が見えるじゃないかぁぁぁっ! 次回、『混沌への助走』 嘆くな、迷うな、悲しむな 無駄だ無駄だっ!君達に喜怒哀楽など不必要だ! そんなつまらぬ物、対象があるから生まれるのだ そうだ、そんな物はザリバースの谷底に埋めてしまえばいい 私が手助けをしてあげよう 次回、『崩壊前夜』 きゃははははははは!きゃははははは! 笑ってやれ!あの這いつくばっている敗北者どもを! きゃはははははは! 笑って笑って笑って、笑い倒して、笑い倒し飽きたら、どうするかだと? 決まってるじゃないか  …撃ち殺す 次回、『殺戮の大地』 } &u(){&color(#FFFFFF){もっとも彼が本当に世界征服に成功したとしても、太陽が寿命を迎え地球が間もなく滅びる事は避けられないのだが。}} ・&bold(){カザム} CV:松山鷹志 ヘリウッドの兵士。若い男で作中では比較的イケメン。 レイプされて憔悴していたサラを気に掛けていたが、後に他の兵士同様サラに夜の相手をさせた一人。 だが他の兵士と違い、純粋に彼女を恋い慕っている様子がある。後に密偵としてザリ・バースに潜り込んだ。 ・&bold(){シス} CV:[[松本梨香]] &font(#ff0000){本作唯一の良心。}ザリ・バースに住む肝っ玉母ちゃん。非常に太ましい。 親を失った孤児の面倒をみながら、過激な反ヘリウッド派の住民達を説得し続けている。 それは頑なな対決姿勢で無用な敵意を買って村を危険に晒したくないこと、恨みと復讐の連鎖を断ち切りたいがため。 逃げてきたシュウやサラを匿ってくれる懐の広い人物であり、ララの正体を知った後でも受け入れてくれた。 しかしその姿勢故に強攻過激派のエランバからは目の敵にされている。 ・&bold(){エランバ} CV:山本密 ザリ・バースの住人で反ヘリウッド過激派のリーダー格で、エラがはっているエラそうな男。暗殺者を送り込んだ首謀者。 かつてヘリウッドに両親を家ごと焼き殺され、さらわれた病弱な妹は途中で邪魔になったのか捨てられて獣に喰い殺された。 その過去からヘリウッドとハムドを人一倍憎んでおり、その憎悪は協力しない者にも向けるようになっていく。 医者からはその様を見て「ハムドと同じだ」と言われて激昂していた。 ・&bold(){スーン} CV:齋藤彩夏 ザリ・バースに住む少女で、シュウ達が村で最初に話をした相手。 母親がヘリウッドにさらわれ、父親はハムドを暗殺して取り返そうとして出て行ったまま消息不明。 父親が暗殺任務に赴く前にシスに預けた。ナブカが射殺した若い方の暗殺者の娘。 ララ・ルゥが身元を誤魔化す為に名乗った「ラーラ」という偽名で呼び、彼女を慕っている。 誰に教えられたのか、一応銃の使い方を知っている。 &font(#ff0000,b){以下、ストーリーのネタバレ} ララ・ルゥと共に遥か未来の地球にやってきたシュウは、彼女を助けようとするが失敗し、彼女のペンダントを握りしめたままダストシュートに落下してしまう。 一方、ララ・ルゥを捕らえたヘリウッドの狂王・ハムドは肝心のペンダントがない事に激昂し、シュウを探し出して捕らえ拷問を繰り返す。 しかしシュウはナブカと揉み合いになった際にペンダントを落として失くしており、何も知らないため拷問が終わることはなかった。 そんな中、シュウは放り込まれた牢獄で、ララ・ルゥと間違えて捕らえられていた少女・サラと出会い、サラを元気づけて必ず帰れると励ました。 しかしそんな希望も虚しく、シュウは塔の外に吊るされ、サラは醜悪な兵士にレイプされた。そこへ敵国の地上戦艦が現れ、ヘリウッドを砲撃。 ナブカ達も前線に送り込まれるが戦況は劣勢、ハムドは最前線で食い止めている兵士ごと微粒量子砲で敵戦艦をその一帯を巻き込んで吹き飛ばした。 シュウは減った兵士の代わりに少年兵部隊に編入され、ハムドは失くしたペンダントを探し出す為に兵達にヘリウッドを大捜索させるが見つからなかった。 そこへハムドを暗殺しようとする暗殺者が侵入、ハムドを追い詰めるが反撃に遭い一人は死亡、一人は逃走したが、少年兵達に見つかりナブカに射殺された。 ハムドは怯え、なぜ暗殺者の進入を許したのかとアベリアを叱責。 アベリアはペンダントの捜索に全軍を投じ、且つ先日の戦いで兵士が足りないと話した。 それを聞いたハムドは遠征軍を出立させて近隣の村を襲わせ、子供を少年兵に、男は兵隊に、女は慰安婦にさらい、従わない者は射殺させる。 シュウはその様子を黙って見ていられず、兵士を突き飛ばして子供達を逃そうとするが、足を撃たれて倒れ、軍法会議に掛けられることとなる。 さらった人々に「戦争が終われば帰してやる」と隊長は言うが、帰還途中で村に仕掛けた爆弾を起爆。 重傷者や老人など残っていた役に立ちそうにない人々諸共、村を消滅させたのだった。 一方、兵士の子供を産ませる為にレイプされていたサラは、相手の男を殺して変装し、手薄になっていた事もあって何とかヘリウッドを脱出。 服を脱ぎ棄て髪を切り落とすと、大声を上げながら下着姿の身一つで無謀にも砂漠に走り去った。 シュウはゴミ溜めの中に落とされ、処刑を待つだけの身となる。心が折れたシュウだったが、水が滴り落ちてきた事で失くしたペンダントを発見する。 更には何者かが転送時に持っていた棒と元の衣服を放り込んでくれた((尚、これはシュウに同情したブゥが放り込んだもの。))おかげで、俄然やる気を取り戻すと外壁をよじ登りヘリウッドの頂上へ向かう。 ヘリウッド頂上からララ・ルゥを見つけるや、シュウは天井ガラスを棒で叩き割ってララ・ルゥとようやく再会。 シュウが持ってきたペンダントを見つけたハムドは興奮し、奪う為にアベリアにシュウを撃ち殺すよう命じる。 しかしシュウが怪我をした事でララ・ルゥは怒りの感情を露わにし、ペンダントの力でヘリウッド内部を水没させ、その勢いで逃れた。 待ち焦がれた水にはしゃぐハムドは、ララ・ルゥを取り戻すようアベリアに命じ、少年兵達も総動員で捜索し始める。 洞窟の中で隠れていたシュウはナブカに発見されてしまい、彼に一緒に逃げようと提案するも断られるが、一度助けられた借りを返す形でナブカは見逃した。 一方、サラは砂漠の中で行き倒れているところを謎の人影に助けられ保護される。 ヘリウッドから盗んだバイクに乗って砂漠を横断しようとするシュウとララだったが、休めそうな岩場の地形でアリ地獄のような化け物に襲われてしまう。 何とか先に殺されたのであろう死体が持っていた荷物から手榴弾らしき物を発見し、偶然が重なってなんとか怪物を退治したが、バイクは壊れてしまった。((死体は服装から成人男性の軍人っぽいが、持ち物の中には人形などがあり、近くには大型のククリナイフが落ちていた。エランバの妹に関係あるかは不明。)) 2人は砂漠をあてもなく彷徨っていると、渓谷の合間に素朴な村があるのを発見する。村の名はザリ・バース。ハムドを襲った暗殺者が言っていた村だった。 村の中で言い合っていたシスというおばさんと出会い、彼女の世話になることになったが、彼女が面倒を見ている子供の一人・スーンがナブカが撃ち殺した暗殺者の娘と気付いてしまう。 更にはヘリウッドの内部を知っているであろう事から、シュウは村の過激派・エランバに目を付けられ、シスに助けられたサラに再会するも、彼女の身に起こった事も知ってしまう。 突然倒れたサラを医者に診せたところ妊娠が発覚、サラは子供をおろそうと鍾乳洞の水源の冷水で冷やして堕胎を試みる((一連の台詞からすると、そのまま入水自殺も考えていた。シュウも自殺すると思って止めている。))が、彼女を追ってきたシュウに止められた。 諦めず落ちていた大きな石で自分の腹を殴るサラ。シュウは自分の手でサラの腹をかばうが、彼女は構わず石を打ち突ける。 かつて何の根拠もなく「大丈夫」と言ったシュウをウソ吐きと言って、サラは泣きながら立ち去った。シュウはララと村を出ていこうと考える。 一方、ララが出した大量の水が燃料となりヘリウッドは遂に起動。空中要塞となり侵攻を開始する。ハムドは最初の目標に、自分を暗殺しようとしたザリ・バースに狙いを定めた。 そして村に脱走兵のフリをして潜入した密偵・カザムが、ハムドが狂ってヘリウッドはもうダメというウソの情報を流し、ハムドには村の位置を密告する。 更にカザムはララ・ルゥがいる事に気付いて、その正体をバラしてヘリウッドとの交渉に使えるとエランバをそそのかした。 エランバの凶行を恐れたシスは、スーンに案内させてシュウとララを鍾乳洞の隠れ場に向かわせ、子供達を物置に避難させる。 しかしサラに気付いたカザムが、村が壊滅させられるからその前に一緒に逃げようと持ち掛けた事で、サラは村の皆を避難させようとシスの元へと急いだ。 だがシスに話をしていたところへエランバが現れ、突然シスの足を撃って広場に吊るし上げると、ララ・ルゥの正体を暴露し、シスを裏切り者と称し村の者達を扇動。 サラをあえて泳がせてララ・ルゥのもとへ向かわせ、部下の者に後を追わせたエランバは、シスの止血をしようとした医者を撃ち殺した。 一方、昨晩の手の怪我で棒を握ることもできず、エランバの仲間に追い詰められるシュウ。 ペンダントの力でエランバの手の者を濁流で退けるも、シスを人質に取られてララがエランバに捕らえられる。 だがその時、村の上空に機動要塞ヘリウッドが現れ、ザリ・バースの村を蹂躙。エランバはララを使った人質交渉で殺戮を止めようとする。 しかしアベリアは「殺せばヘリウッドへの対抗手段を失うだけだ」と冷酷に言いこれを無視。 交渉にならない事を知ったエランバは、破れかぶれでアベリアに銃口を向けるが蜂の巣にされ絶命。 穴の中の住居に逃げ隠れたザリ・バースの人々を、入口から火炎放射器で焼き殺す兵士達。 シュウはシスに言われて物置に隠れさせておいた子供達を保護しに走るが、物置を出たところでナブカとブゥに見つかってしまう。 ナブカは「ここを潰せば村に帰れるんだ!」と言い、ブゥに子供達を撃ち殺させようとするが、ブゥはそれを拒否して銃を捨てる。 しかしナブカは銃口を子供達に向けた。 &font(#ff0000){「お前がいやなら俺が殺す!} &font(#ff0000){ ヘリウッドに潜入してきたやつ、ハムド様の命を狙ったやつ、みんな殺した。何が悪い!} &font(#ff0000){ 殺さないと終わらないんだ。どっちかが死ななきゃ戦いは終わらないんだ!} &font(#ff0000,b){ 暗殺者も殺した、敵の兵も殺した、ずっと殺してきた!今さらなんだ!」} その言葉を、銃を持ってシュウを追い掛けてきた、殺された暗殺者の娘・スーンがナブカの背後で聞いていた。 目の前にいるのが父の仇と知り、無言で銃を構えるスーン。引き金を引こうとした瞬間、ブゥがスーンに気付く。 咄嗟にそれを止めようとナブカを庇うようにブゥが間に入り、スーンの凶弾を胸に受け倒れる。 ナブカが倒れるブゥに気付き、スーンが弾の再装填を行う一瞬の隙を突いてスーンの胸を撃つ。 胸から大量出血をしながらピクリとも動かなくなる2人の小さな子供達。 その現実を前にして茫然とするシュウとナブカ。 #openclose(show=そして「今、そこにいる僕」の『棒』は役目を終える。){ ナブカの名を叫びながら銃を拾い上げ撃つシュウ。しかし銃弾はナブカの足元に穴を開けただけだった。 その場にうずくまり激昂するシュウ。やってきたタブールがシュウと子供達を撃ち殺そうとするが、項垂れたナブカが止める。 そこへ撃ち方やめの号令がかかり、何とかシュウと他のシスの子供達の命だけは助かった。 ザリ・バースの民の生き残りは全て奴隷にするという事で、ヘリウッドの牢屋に収容されララ・ルゥは連れて行かれる。 牢獄の中でシスがサラに懸命の看護を受けていたが、撃たれた傷からの出血多量ですでに虫の息だった。 シスは最後の力を振り絞り、サラの腹を撫でながら &bold(){「相手の男が憎いなら憎めばいい、この世界を憎むのもいい、でもその子だけは憎まないでくれ。} &bold(){ 憎まれるために生まれてくる子どもなんていない」}と言い残し、シスは息を引き取る。 一方、ナブカはシュウがいつも持っていた棒を抱えながら、ブゥの幻影を追う放心状態だった。 そんな彼をタブールが誘い出し、自分達の村がもうない事を教えると、自分達は最強の軍隊なのだから成り上がろうと持ち掛けた。 しかし覇気のないナブカに幻滅したのか、タブールは拳銃でナブカの腹を撃ち、そのままナブカはかつてシュウに助けられた場所から落下。 ララ・ルゥはザリ・バースの民の命を天秤にされ、この勢いで世界征服を成したいハムドに更に水を出すよう強要される。 誰も救えず意気消沈していたシュウのもとに、致命傷を負ったナブカがはいずりながらもシュウの棒を届けにきた。 &bold(){「これがないとさびしいだろ…お前は帰れ…お前のいたところに帰れ。そこが…お前の、いる、とこ…ろ…」}と言って事切れた。 負傷した手で棒を握り締め、ナブカが首に巻いていたバンダナで固定し、彼の遺志と共にハムドの野望を打ち砕くべくシュウは走り出した。 ハムドを探しとにかく上を目指す途中でタブール達に発見され、作戦司令室 兼 操縦室らしき部屋で撃った殴ったの大乱闘を繰り広げ、操作パネルを次々と破壊。 タブールに追い詰められ、宙吊りになったシュウが撃ち殺されそうなところ、真下の機関室にいたララが水流を放出して助け出す。 その際の水流がヘリウッドのメインコンピューターと思われる装置を直撃。熱暴走を起こしたヘリウッドは機能不全に陥り、緩やかに墜落し始める。 ララのもとで気が付いたシュウは、傾くヘリウッドの機関室上で、遂にアベリアとハムドの二人相手に最後の戦いを挑む。 アベリアの銃撃を避け棒で拳銃を叩き落とす((最初の剣道の試合から面しか狙わず「小手とか交えながら相手の一手二手先を読むのが剣道」と小田に指摘されていた伏線の回収))が、それを拾ったハムドがアベリアに弾が当たるのも構わず乱射。 しかしすぐに弾切れになり、シュウはハムドを体当たりで転倒させると、ずっと持っていた棒でハムドをこれでもかというほど滅多打ちにする。 だが度重なる過酷な運命を共にした棒切れはもはや形状も保てず、殴るたびに砕け散り、最後にはナブカのバンダナで結んだ部分を残して崩れ去った。 ハムドは大した怪我は負わなかったが、恐怖のあまりアベリアを置いて遁走。ヘリウッド内部は溢れ出た濁流に飲まれ始める。((このときサラを最初に強姦した男やタブールも物のついでのように濁流に飲まれて溺死。このシーンは担当したアニメーターの独断で制作され、その事を質問した大地監督にアニメーターは「ええ、○してやりましたよ!ずっとこいつ許せなかったんです!」と吐露したという中々豪胆なエピソードがある。)) ララ・ルゥはシュウに頼みヘリウッドの頂上へ連れて行ってもらい、ペンダントと自分の力を全て解放し、水の力で傾いた要塞を立て直し不時着させようとする。 乾いた大地に水を撒き散らしながら、降下していくヘリウッド。 内部ではサラがシスの子供達を連れて脱出を試みている最中、ナブカが捕らえた村の子供だった少年兵を発見、保護するも、足場が崩れ少年兵が濁流に流されてしまう。 しかし間一髪のところでカザムが少年兵を拾い上げ助け、サラに少年兵を託すと、彼は安心した顔で力尽き濁流の中へと消えていった。 逃げたハムドはバウンドルームに隠れながらアベリアに通信し、&bold(){「自分をどこでもいいから別の時代へバウンド(転送)させろ!」}と命令。 だが流石にアベリアも愛想が尽きたのか、自らの手でバウンドルームに続く四方のシャッターを全開に。涙と鼻水を垂らしながら怯えるハムド。 そして猛烈な勢いで流れ込んできた4つの津波に潰され全身の骨が砕け、ハムドは洗濯機内を舞うゴミのような死に様を遂げた。 皮肉にも彼がずっと求めてやまなかった「水」によって、無様に恐怖でひきつらせた顔で水中を漂うハムドを、アベリアは冷ややかな目で眺める。 最後には水上に墜落したヘリウッドのしぶきが上空に大きな虹を描きながら、地球は水が溢れるかつての青い星を取り戻したのだった。 夕日を眺めながら、かつて一緒に見た現代の夕日を思い返す二人。しかしララ・ルゥの姿だけが段々透明になっていく。 &font(#add8e6){いつかまた…一緒に…夕日見ようね……} ―――その言葉を言い残して、彼女はシュウの腕の中で消滅した。 ほとんどの人間が死んでしまったが、サラは元の時代に帰らず、お腹の赤ん坊の為にもこの時代でみんなと一緒に生きていこうと決めたと言う。 そんなサラにシュウは、またこれまでと同じような根拠のない励ましの言葉を贈った。 #center(){ &color(blue){サラ…前、オレが嘘ついたって言ってたけど…でも…でも、やっぱオレ思うんだ。} &color(blue){どんな世界でも、どんな酷い目に遭っても、生きてりゃ…絶対いい事があるって!} &color(blue){悪いことが…全部帳消しになっちゃうような、とんっでもなくいい事があるって!} &color(blue){そりゃ…それまでは…つらいけど…でもその…なんていうか…えーと…まあ、そういう事だ!}} サラはその言葉を否定も肯定もせず、ただシュウを見つめながら微笑んだ。 彼女もまた、子供達を助け出す際に「大丈夫、絶対大丈夫よ」と、かつてシュウが口にしたのと同じ根拠のない励ましを唱えていたから。 そしてアベリアの手によってかろうじて使用できたバウンド装置により、シュウは元の時代の、あの日あの時に帰ることができたのだった。((尚、アベリアは作業後に用済みになったら殺される覚悟であったが、サラは大人達の銃を下ろさせアベリアを受け入れた。)) ……過酷な戦場の中で、ただ一人、誰一人、殺す事なく。 シュウは不殺を貫いたが、残ったのは命懸けで守ったものを失った空虚と、あれが夢ではなかった事を証明するボロボロの体だけだった。 そして最初の転移で煙突の上部が巻き込まれ削られた廃工場と夕日をバックに、物語はモノローグもなく終わる((脚本の段階では「元の世界に帰ったシュウが、本来のあるべき日常の尊さを噛み締めるも、そこにララ・ルゥがいないことに気づき、寂しさを覚える」→「老人となったシュウの幕間」→「数万年後、ララ・ルゥが誕生する時にシュウの声を聞き、僅かに微笑みを見せる」という内容があり、5~10分程描写する予定で絵コンテまで描いたが、スケジュールの都合で全部カットしなければならなかったと言う…。))。 } #openclose(show=与太話(大人の事情を大いに含んでいます。閲覧にはご注意下さい)){ 1998年頃、「[[こどものおもちゃ]]」の評判を聞きつけたAICの三浦亨社長から、「女戦士ばかりの中で、男一人のハーレム状態で戦争ものを書いてくれ」とオファーを受けた大地監督は相当イラついた。というのも、当時アグネス・チャン女氏の[[ユニセフ>日本ユニセフ協会(特例財団法人)]]活動の少年兵の内戦のレポートにいたく感動していたのもあり、直後に倉田英之氏とも「こんな企画やりたくない!」と意気投合する。「アニメではすぐ体制と戦う方向に持っていきがちだけど、ここらで一度マジで『戦争は絶対にしてはいけない』と突き詰めた方がいい。そのためならカタルシスなんていらない」と真剣に考え始めた。 タイトルの元にもなった『今そこにある危機』と『[[未来少年コナン]]』からインスパイアされながら、プロットが書かれた。そうして出来上がった全13話のプロットを当初の企画を全否定してしまったこともあり、正直心苦しさを感じながら見せたら、三浦社長は「いいですね!やりましょう!」と即GOサインを出し、大地監督・倉田氏は呆然とした。 岩崎琢氏が参加した「[[るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編]]」での繊細な音楽作りに、たまたまレコーディングに立ち会っていた大地監督((TVシリーズにて絵コンテで参加。))が一音で惚れ込み、企画初期の段階ですぐさま起用。実作業も予定通りにスムーズに進んだ。 小室等氏の楽曲「無題」を「子守歌…」にタイトルを変更し、歌をアベリア役の安原麗子女史が担当した。当初は坂本九氏の「上を向いて歩こう」の予定であり、岡村明美女史の歌うバージョンも制作し、劇中歌としても使用する案があったが、あまりにもキャラクターが歌を歌いそうなシチュエーションが無くて、歌詞も世界観と合わなかったために没となった。 制作前から安原女史の大ファンだった大地監督は彼女とプライベートでも親しくなりたいために、アベリアというキャラを作って、EDを担当させた。&font(l){岡村女史「おいおい…」} 3話放送後から、一気にクレームが多く届いて、大地監督は「もっと目立たない時間でもいいと思いますよ?」と打診したが、WOWOWの上層部は「いや、この時間に見てもらいたいのです。苦情の電話くらい、いくらでも対応します。全責任は局が取ります!」と断言されて、その漢前ぶりに大地監督は救われたという。 その後、精神的続編として&font(l){おいバカやめろ…}『[[レジェンズ~甦る竜王伝説~]]』が制作されたが、色んなアクシデントが重なったこともあり、正直不完全燃焼だったことが大地監督自ら語っている。 そのこともあり、大地監督は「あの時の環境だから、最後まで作れた。今ではもう作れない」「見てほしいけど、辛いから見なくていいよ」ときっぱり語っている。 } #center(){&color(white,black){この項目はなんて不完全なんだ}} #center(){&color(white,black){愚かしく、非能率}} #center(){&color(white,black){醜くさえある!}} #center(){&color(white,black){わたしは哀しい}} #center(){&color(white,black){だが、修正は可能だ}} #center(){&color(white,black){私の追記を!私の追記を!}} #center(){&color(white,black){受け入れさえすれば!!}} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,15) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 「アンインストール」が似合いそうだ -- 名無しさん (2014-09-13 05:53:06) - 精神的に追い詰められたら人間なにするかわからないよ 自分が戦地にいたら女をレイプしてしまうかもしれない -- 名無しさん (2015-10-28 13:58:48) - よ、寄越しなさい!君が誰かは知らんが、何故それを持っている!それはもともと私のものなんだよ! -- 名無しさん (2016-01-23 19:55:46) - ハムド王はなんか曾野綾子の「狂王ヘロデ」を思い出すな -- 名無しさん (2016-05-03 17:26:45) - アベリアは一体何故ハムドに従っていたのか。下克上とか考えなかったのだろうか。まさか愛していたわけではあるまいし。 -- 名無しさん (2016-06-05 00:34:18) - 蔡邕や田豊みたいな仕える主を間違えちゃった系の忠臣 -- 名無しさん (2016-09-20 18:31:36) - 半年前に突っ込むのも無粋だが、袁紹は当時最大勢力で領地を治める君主としては普通に有能だったんだぞ。別に仕える相手は間違っちゃいない。 -- 名無しさん (2017-05-11 16:13:36) - ララ・ルゥ最期の台詞「いつかまた一緒に夕日見ようね」の涙腺破壊力はヤバかったな -- 名無しさん (2017-07-21 15:36:45) - 荒らしコメントを削除 -- 名無しさん (2019-08-28 18:10:02) - なおタイトルの元ネタは、トム・クランシーの小説「今そこにある危機」と思われる -- 名無しさん (2019-08-28 18:41:30) - 結局のところララ・ルゥが現代の地球に飛んで来さえしなければ、ほとんどの地獄は回避できたという。 -- 名無しさん (2020-10-28 14:32:04) - ララルウは地球そのものの意識が具現化した存在なのかもね。50億年の科学技術の発展の中のどこかで、地球のテラフォーミングの為に抽出されたOSだったのかもしれない。 -- 名無しさん (2020-10-30 02:32:56) - どう足掻いても太陽系が寿命を迎えるのだから、あの世界に残ってもなあ……とはいえ約100億年だから誤差でも1000年ぐらい猶予はありそうだけど。 -- 名無しさん (2020-10-30 18:51:58) - 滅茶苦茶ハードな「天空の城ラピュタ」って印象のアニメ -- 名無しさん (2020-10-30 23:52:08) - 昔の作品だが覇気だけの一般人が異世界に行っても無力に打ちひしがれるのに終始して、後の流行りに対する真のアンチテーゼ(最近の自称変則も結局は似通ってるし)になってるのが面白い -- 名無しさん (2022-10-03 02:29:30) - なお現実では八億年くらいたてば太陽光の増加で多細胞生物が死滅する模様 -- 名無しさん (2023-01-17 23:58:38) #comment #areaedit(end) }

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