魔界村

登録日:2020/03/04 Wed 23:05:50
更新日:2022/08/17 Wed 13:33:04
所要時間:約 12 分で読めます





ようこそ いらっしゃい・・・


魔界村』(Ghosts 'n Goblins)は、カプコンが1985年に販売した横画面アクションゲーム。
全7ステージのループゲームで、クリアーすると難易度の上昇した次周が開始される。
難易度の上限は3周目で、それ以降に変化は発生しない。

操作とゲームの目的、ルール

4方向レバーで主人公「ナイト・アーサー」の操作を行う。レバーを下に入力するとしゃがみ、梯子のある場所では上下入力で昇降する。

ジャンプボタンでジャンプする。レバー左右の組み合わせで入力方向へ飛ぶが、空中での軌道修正は一切不可能。
よって必ず一定の距離を飛ぶことになるが、ジャンプ中は左右の振り向きに限って制限は無い。

アタックボタンで装備している武器で攻撃。

ナイト・アーサーを操り、魔物に捕らわれた 姫を助け出すことが本作品の目的である。

アーサーは鎧をまとっており、敵の攻撃を1度だけ耐えることができる。
攻撃を受けると鎧が弾け飛んで裸の状態になり、この状態で攻撃を受けるとミスとなる。
敵からの即死攻撃は存在しないが、落下した場合やステージタイムオーバー時は即ミス扱いとなる。
死亡時に白骨化するのはシリーズでお約束。


アイテム解説

ステージ中の特定のポイントを通過する、もしくは敵を倒すとツボからアイテムが出現することがある。


◯武器
アーサーの初期装備。水平に飛ぶランスで、後のシリーズよりも性能が高く、そこそこの弾速で3連射が可能。

水平に飛ぶナイフ。最速の弾速を誇り、3連射が可能。

  • たいまつ
松明を投げる。緩やかな放物線を描き、着弾地点で炎を上げて短時間延焼する。2連射が可能。
穴などの画面外に落ちた場合、次弾射出可能になるまで数秒撃てなくなる。

たいまつと同じ放物線に沿って飛ぶ斧。敵を貫通する能力がある。2連射が可能。
たいまつと同じく、穴などの画面外に落ちた場合、次弾射出可能になるまで数秒撃てなくなる。

1周目のみ5面以降に出現する武器。水平に飛び、一定距離で消失する。弾速はヤリと同じ。
リーチが非常に短いが敵弾を消す効果があり、一定距離で確実に消失するため連射制限はない(但しさほどの効果もない)。
ステージ6終了時点でこの武器を装備していないと、ラスボスの大魔王と戦うことができないため5面に強制的に戻される(ZAP)。
なお国内版が十字架で、海外版が宗教上の関係で盾に変更されている。性能差等はない。


◯その他のアイテム

  • 像(2種類)、ネックレス、リング、ハイヒール、ワンピース、パンツ、クラウン
得点ボーナス。
さらわれた姫が全裸に剥かれている事を想起させる内容なのだが、実際に姫を救出してみると全然そんな事は無かったりする。

  • ドル袋、コイン
ステージ中に設置されている。得点ボーナス。

ステージ中の特定の箇所を通過したときに出現するツボからしか出現しない。裸の時に鎧を装着する。
なお鎧を装着しているときに鎧のツボが出現するポイントを通過すると、以降のプレイで裸になってもそのポイントでは鎧のツボは出現しない。

  • 弥七
ステージ中の特定の箇所を通過したときに出現するツボからしか出現しない。得点ボーナス。

ステージボスを倒すと出現する。取得すると次のステージへ進むアイテムシンボル。


ステージ解説


  • 1面 墓場~森
プリンセスがさらわれる場面からスタート。いたるところに墓石が点在し、地面から無限に湧き出るゾンビ、動かずに弾を吐いてくるグリーンモンスター、飛行して突っ込んでくるカラスが襲いかかる。
中間地点では強敵のレッドアリーマーが待ち構える。
川とスライダーを超えると、盾を持ち編隊を組んだフライングナイトが襲ってくる。森の中に入っていくと長ネギ槍を投げるウッディ・ピッグが無限に出現するポイント。

ボスは一角獣*1。高い耐久力を盾に、火の玉を吐いたり突進攻撃を武器とする。

  • 2面 塔~大男の館~街中
高低差のある足場を進む。道中はブルーキラーの出現ポイント。
背景の館から飛んでくる悪魔の子供・プチデビルをいなした先には、高い耐久力を誇る大男が多数の徘徊する館にたどり着く。ここは若干の迷路状になっており、大男以外にも画面外から一定周期でカラスが飛来する。
カラスの攻撃と上下スライダーが連続する街中を抜けるとボス。

ボスは一角獣だが、2体連続出現する。1体目がアーサーを飛び越してくるため、強制的に挟み撃ち状態になる。

  • 3面 洞窟
洞窟の中を進む。前半面は天井にコウモリがおり、一定座標内にアーサーがいると急降下飛行してくる。
1面と同じくゾンビが無限に湧き出る。一定ポイントに弾を吐くタワーモンスターが設置されている。
後半面はレッドアリーマー、ウッディピッグ、プチデビルが主な障害となる。進行ルートが2つに分かれており、どちらを進んでも合流する。

ボスはドラゴン。火の玉を吐きながら縦横無尽に飛び回り、ときに急降下体当たりをする。弱点は頭部で、胴体部分を攻撃すると胴体が短くなり攻撃判定が縮小する。

  • 4面 スライダー地帯~溶岩吊橋地帯
前半面は敵が出現せず、左右に動く複数のスライダーを飛び移っていく。
後半面にさしかかるとレッドアリーマーが待機している。吊橋地帯は一定ポイントで周期的に溶岩が吹き出す。
ブルーキラーが散発的に出現し、行く手を阻む。

ボスはドラゴン。3面と変化はない。

  • 5面 塔 その1
梯子を使って塔を登っていく。ジャンプするスケルトンが初登場するほか、コウモリ、ブルーキラー、ウッディ・ピッグの複合攻撃が厄介となる。
レッドアリーマーも特定のポイントで待ち受けるほか、大男も出現する。

ボスはサタン。赤い体色の大型の悪魔。口から弾を吐き出すほか、高速移動による体当たり攻撃を仕掛けてくる。耐久力が高い。羽根を閉じてガードを固めることも。

  • 6面 塔 その2
5面と同じく、梯子を使って塔を登っていく。ステージ全体にスケルトンが散りばめられている。
ボスとして登場した一角獣とドラゴンが配置されていて、進行上連戦となる。
さらに進行していくと多数の大男、レッドアリーマー、スケルトンが待ち構えている。

ボスはサタンだが、2体登場する。

  • 7面 玉座
玉座。大魔王の後方にはプリンセスが捕らわれている。
このステージは一騎打ちでのみ構成されている。

ボスは大魔王アスタロト。頭部と腹部から炎を吐き出して攻撃してくる。動きは鈍い。弱点は頭ではなく腹部にある顔で、ジャンプして高度を合わせつつ攻撃しないとヒットしない。
このステージではアーサーの向きが大魔王のいる方向に固定される。後退方向にレバーを入れてもアーサーの向きが変わらない。

+ アスタロトを倒すと…
  • 奇数周では「この玉座はサタンによる幻術だった」と表示され、難易度の上昇した次周1面が開始される。
  • 偶数周ではプリンセスの救出に成功。小さなエンディングを挟んで、難易度の上昇した次周1面が開始される。



アクションゲームとして

ショット&ジャンプタイプのアクションゲームの金字塔と言っても差し支えない本作。のちに続く魔界村シリーズの基礎はこの時点で構成されていた。
丁寧に作り込まれており、ゲームバランスも良好。繰り返しのトライ&エラーで確実な上達が見込め、よりスムーズなプレイができるようになる。
とりわけ初代である本作はパターン性が非常に強く、突破口を見出した後はプレイがとても安定しやすい。

基板のバージョンの差異

「旧」、「新」と呼ばれる2つのバージョンが存在する。後述のタイマー破壊バグによる無限稼ぎが簡単に行えたことから、修正版として新しいバージョンが制作された。
それに合わせて変更が加わっている。

  • タイマー破壊バグができなくなった
  • 4面のドラゴン消しができなくなった
  • 6面の一角獣が1体減った
  • 梯子昇降中にマジシャンの魔法を食らうと、以降ダメージを受けるまで動けなくなるバグが解消
  • 5面、6面ボスのサタンの耐久力が減ったほか、移動スピードが落ちた

テクニックやバグなど

  • ショットキャンセル
アーサーのショット動作は各種行動でキャンセルすることができる。ショット後にジャンプすると、硬直を消しつつ動くことができる。
ショット動作をレバー入力でキャンセルすることで、ボタンのみを連打するよりも素早く次弾を発射することができる。
具体的には「ショットボタン→レバー前方方向入力→ショットボタン……」の繰り返し。本作ではほぼ必須テクニック。

  • レバーと動きの仕様
本作は「レバー8方向」ではなく「レバー4方向」の作品として制作されているため、斜め入力を受け付けることを想定としていない。そのため、しゃがんだ状態でレバーを斜め方向を介して左右方向に入れようとするとしゃがんだ状態が維持される。
慣れないうちはこの操作感と仕様に気が付かず、突然動けなくなってミスになるケースが多い。但し斜め入力が死にきっているわけではなく、しゃがみ中の左右転換は可能。
しゃがみから素早く立ちたい場合はレバーをリリースするより上方向を入力したほうが即座に立ち姿勢に戻れる。

  • 武器チェンジ
ツボを持った敵は基本的にステージで無限に出現する敵のみに限られる。「6匹目はツボを持って現れる」という法則を利用し、敵の出現ポイントを往復スクロール等することでコンスタントに定位置から敵を出現させ、武器チェンジを狙うことができる。
ただし出現する武器は法則性はあるものの半ランダム。すでに通過してきたステージの前半部などに特定の武器を出現させたまま取得せずに進行すると、その武器はアイテムテーブルメモリから消えづらく、出現しづらくなる。

  • 雑魚稼ぎ
無限に出現する敵の出現ポイントを把握し、出現条件を理解することで雑魚を倒し続けて得点を稼ぐことができる。特に効率の良い1面、3面のゾンビ稼ぎが有名だが、ウッディ・ピッグやブルーキラー、プチデビルで稼ぐこともできる。タイマー破壊と併用するとスコアアタックの概念が崩壊する。
本作は2万/7万エブリーエクステンドが初期設定のため、後述の100万点までを早回しして稼ぎエクステンドすることも可能。

  • タイマー破壊(旧バージョン)
1面序盤の墓石や3面序盤の岩に15発攻撃を打ち込むと、マジシャンが出現して魔法を放ってくる。魔法を受けるとカエルになり、攻撃が一切できなくなるが、これをステージタイマーの時間切れでミスになるタイミングに合わせて魔法を受けるとタイマーがバグり、以降は時間切れによるミスは事実上発生しなくなる。

  • 4面ドラゴン消失(旧バージョン)
4面のドラゴンの直前、極めて少しづつ進み、BGMがボスのものになったら引き返す。成功するとBGMが鳴り止んでクリアーメッセージが表示され、ドラゴンのいたポイントまで行くと鍵だけが降ってくる。

  • 6面一角獣ずらし
梯子を登って一角獣を攻撃するなどして反応させたあと、梯子を降りきって画面左端まで誘導し、左から4マス目で散発的にショットを撃ち続けると一角獣が宙に浮く。これを利用して安全に攻略が可能。

  • 6面一角獣引きずり下ろし
先述と同じ手順で一角獣を左端まで誘導した後、画面外に向かってショットを連射すると天井を突き抜けて一角獣が降ってくる。落ちてくるポイントはアーサーの真上だったり隣だったり様々だが、ダメージ無敵を利用しつつショットキャンセルをかけて瞬殺ができるため、一角獣が2体いる旧バージョンでは特に有効。

  • 6面ドラゴン消失
6面のドラゴンを反応させて一角獣のいた大梯子まで戻り、大梯子上部からキャラ一体分だけ降りた状態で待機すると、ドラゴンが画面外へ向かっていく。ドラゴンの鳴き声が聞こえなくなるか、ウッディ・ピッグが出現すると消失が完了する。

  • レッドアリーマー消失
レッドアリーマーは上下方向のスクロールに追従する性能が低く、一気に2画面分ほどスクロールすると消失する。このテクニックは応用が効き、3面からの多数のアリーマーをスクロールアウトで消すことができる。

  • 5面、6面の落下死
5面、6面は意図的な縦方向スクロール以外は落下死は存在しないが、画面端の壁面に向かってジャンプするとアーサーが壁の中に進入してしまい、そのまま落下してミスとなる。

  • ショットが飛んでくる
ステージクリアー後、ショットを撃たないようにして鍵を取得せずに画面右端のスクロール限界点へ行き、そこでショットを撃つと次のステージが開始した瞬間左後方から撃ったショットが飛んでくる。

  • 100万点の壁
スコアが100万点に到達するとエクステンドしなくなる。しかしスコアの桁は1000万の位まで用意されており、カウンターも進行する。



難易度について

魔界村といえば「高難易度、理不尽」などのパブリックイメージがつきまとう近年であるが、それは広くプレイされたファミリーコンピュータ版の移植作が原因である。
マイクロニクスが移植を行ったFC版は…

キャラクターの動きが全てガクガク
 →敵の動きも不安定で、この点も相まってレッドアリーマーの急降下が強い
fpsが低く(概ね30fps以下)、レスポンスが劣悪
 →何をするにも操作への支障が常態化している
ほぼ必須テクニックだったショットキャンセルが存在しない上、攻撃速度が遅い
 →硬い敵への対抗策が距離を取る以外に事実上存在しない

といった事象を筆頭に、原作と大幅にかけ離れている

そもそもの操作感が劣悪なため、ゲームバランスが非常に悪くなっていることはもはや子細なレベルである。
この移植版が皮肉にも「最も広くプレイされた」こと、それから「ゲームセンターCX等を通して広められた」ことが、そのパブリックイメージの根源である。
それだけではなく、妙なアレンジが施されているのも特徴で、強制的にカエルに変身させられるニセキングの像、タイマーが大幅に減るニセ弥七などのマイナスアイテムの追加のほか、
一角獣には十字架、ドラゴンにはヤリ、サタンには斧が効かない』という要素があり、しかもこれはタチの悪いことに明文化されておらず、内部仕様でそのようになっている。


原作であるアーケード版の難易度は決して低くはないが、ゲームバランスを考慮して丁寧に作られており、難しさのベクトルは全く違うものであることに留意されたい。


コラム


初代である本作の愛好家は「新バージョン」よりも「旧バージョン」を好む傾向が強い。
レトロゲームを取り扱う各地のゲームセンターでも、本作を入荷・稼働させる際は永久パターンの兼ね合いがあっても「旧バージョン」であることのほうが多い。
また「旧バージョン」は残存数が希少なタイトルでもあり、高額取引されている。

永久パターンが存在する本作ではあるが、能動的に武器チェンジを行わなければ、武器の入手にゆらぎが存在する。
そのため6面クリアーまでに十字架/盾を取得することができず、ZAPによって意図せずループするといった状況も散見される。

本作は100万点でエクステンドが停止してしまうが、極めて熟練したプレイヤーは高次周においても攻略パターンを体系化し、エクステンドしない中プレイを続行し、ループを続けて1000万点達成を目指す。
得点効率にもよるが、周回数は概ね30周目以降、所要時間は10~12時間ほどで達成が可能。

AVGNことジェームズ・ロルフ氏は初めてプレイしたNES(海外版FC)のゲームが魔界村だったという。
また、AVGN史上初めてレビューを望むやけに汚い署名が集まったゲームである。

続編に大魔界村がある。


追記・修正はレッドアリーマーに接近と同時にショットキャンセルで連射を叩き込んで瞬殺してからお願いします。

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最終更新:2022年08月17日 13:33

*1 いわゆるユニコーンではなく、一つ目で角がある巨人。サイクロプスと名乗った方が分かりやすそう。