金曜ロードショー

登録日:2022/01/28 Fri 21:01:45
更新日:2024/02/22 Thu 19:55:05
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いやあ、映画って本当にいいもんですねえ。


金曜ロードショー』とは、1985年4月から日本テレビ系で放送されている映画番組である。略称は「金ロー」。
本項では、前身の「水曜ロードショー」および派生番組についても触れる。

●目次

【概要】

その名の通り映画を放送する番組だが、不定期にテレビドラマやバラエティが編成されることもある。
民放地上波ではかつて、「ゴールデン洋画劇場」(フジテレビ)や「日曜洋画劇場」(テレビ朝日系)など映画専門の番組が各局で編成されていたが、洋画ヒット作の減少やCS・BSの普及、DVD・配信といった個人向けサービスの台頭もあって次々と廃止され、現在全国ネットで残るのは本番組のみである*1*2

1972年から1985年3月までは水曜日の放送で、タイトルも「水曜ロードショー」だった*3。通算すれば50年という長寿番組の部類に入る。
余談だが北海道の某人気番組はこの番組タイトルが由来。
2012年4月にはリニューアルされて「金曜ロードSHOW!」に改題したが、2021年4月から再び現題に戻っている。

最大の特徴は、アニメ映画の放映が多いことだろう。
特にスタジオジブリ作品のテレビ放映権はCS・BSが普及した今でも本番組が独占的に獲得しており、1・2年に一回のペースで放送される作品も少なくない。
ラテ欄を見て「またジブリの〇〇やるのかよ」とぼやく→なんだかんだで結局見てしまう→それなりに高視聴率→最初に戻る
という無限ループを繰り返している人も多いのではないだろうか。
ぶっちゃけ番組が生き残っているのはジブリのおかげといっても過言ではない。

それ以外でもハリー・ポッターシリーズの集中放送や視聴者リクエストによる名作映画の放送など、積極的に新機軸を取り入れている。
吹き替え音源のオフィシャル化により製作が減少していった番組独自の新規吹き替えも何度か制作しており、よせばいいのにタレント吹替も実施することも。
シリーズ作品については新作の公開日に旧作を本番組で放送し、プロモーションの一環に役立てている。

日テレのプライムタイムの番組としては珍しく放送休止が少なく、休止は年末年始を除けば毎年2月の「日本アカデミー賞授賞式」および8月末の「高校生クイズ」程度。
また、著名な俳優や常連作品の関係者が亡くなった場合は差し替えで追悼企画を放送する。


【番組構成】

冒頭にはオープニングカットが存在する。

とくに有名なのが初代オープニングで、夕日のヨットハーバーをバックにトランペットが流れるシーンを覚えている人も多いのではないだろうか。
「金曜ロードショー=初代オープニング」という人はいまだに多く、番組側も水野晴郎の追悼時や30・35周年記念で復刻使用している。
ちなみにテーマ曲のタイトルは「フライデーナイト・ファンタジー」。ネットではレスリングシリーズを始めとするパロディMADが多数制作されている。

2代目はスタジオジブリが手掛けた。曲は久石譲の「Cinema Nostalgia」。
オーケストラによる哀愁漂う曲と共に、デフォルメされた小太りの紳士(通称「ガトリングガン映写機おじさん」)が手回し式映写機を回しているシーンはとても印象深い。

現行の5代目は細田守と常連作品の関係者が制作している。

水曜時代から1997年3月まで映画解説を担当していたのは水野晴郎氏。毎回終盤、冒頭のセリフで番組を締めていた。残念ながらシベリア超特急シリーズはいまだに放映実績がない。
1983年から1985年までは水野が参議院選挙に出馬した関係で一時的に番組を降板していた。
回によっては声優や関係者をゲストに呼び、オープニングトークを行うこともあった。
水野の降板後は解説者を設けておらず、ナレーターが「ナビゲーター」として進行を担当している。
こちらは『エンタの神様』の坂上みき、加藤清史郎(子役時代)などが歴任しており、2022年現在はDJのサッシャと声優の朴璐美が担当している。

放送時間の都合というものもあるので仕方ない面もあるのだが、シーンカットは結構容赦ない。
大抵本筋に影響しない部分を選んでカットしてはいるが、時々(ストーリー上はともかく)演出上は有意なシーンや重要な伏線となる場面がカットされ、
作品の細かな味わいやクライマックスに向けてのカタルシスが損なわれてしまったり、
その「本筋ではない部分」にしか出て来ないため「金ローでしか見た事がない人からは存在自体を知られていないキャラクター」が出たりしている。

エンディング曲やミッドクレジット・ポストクレジットシーンも一部の例外を除いて大抵カットされるため、余韻に浸る間も無く次週の番宣に入る事や、
「エンディング曲まで含めて作品として完成する」タイプの作品のファンからは大体残念がられる結果となる。
一時期までは画面の隅でワイプとして超早送りのエンディング映像だけ流していたが、近年ではそれもなくなった。
一部の作品に限り「サビの部分だけを流す」という形態が取られる事もある。

それだけに、一部の人気作は稀にノーカット放送される事もあるが、その場合はより注目度も高まる。
ノーカットといってもあくまで本編ノーカットであり、オープニングやエンディングはそれでもやはりカットされるが流石にこれは致し方無いだろう。


【主な放映作品】

スタジオジブリ作品

名実ともに番組の顔ともいえる存在で、毎回毎回安定した視聴率を誇る。
新作の公開記念は勿論、それ以外でも3か月に一度ぐらいの割合で集中放送されることが多い。
殆どの長編作品が放送されるが、『ホーホケキョ となりの山田くん』は1回のみの放送に留まっており、『レッドタートル ある島の物語』に至っては作品の性質もあってか放送実績がない。
前述のとおり放送される映画はほとんどの場合エンディング曲はカットされるが、ジブリ作品に限りエンディングはフルで流れる。

数ある作品の中でぶっちぎりの人気を誇るのが『天空の城ラピュタ』。
終盤の「バルス」でtwitterのサーバーが本当にバルスするなど話題をさらうことが多い。
番組側もこの人気をわかっており、バルスの瞬間にデータ放送の壁が崩壊するという仕掛けを入れたこともある。
あまりに有名になりすぎたせいか、その次の放送では「バルス自粛」とかいう流れまで生み出してしまった。
なおとある作品ではこのバルスにより、約101人の運命が狂わされたとのこと。

ルパン三世

ご存じ世界に誇る大泥棒。
平成期以降、新作のテレビスペシャルを同枠で放送しており、1990年~2008年までは毎年学校の夏休み突入直後に放送されていたため、「夏の風物詩=ルパン」のイメージもいまだに根強い。
2010年代以降はテレビシリーズが再開したこともあり、新作の放送は2~3年おきとなっている。
2009年には次節の名探偵コナンとのクロスオーバー『ルパン三世vs名探偵コナン』も放送された。
映画作品では『複製人間』と『カリオストロの城』が定番。毎回毎回安定した(ry
劇場版・テレスぺを組み合わせて「ルパン祭り」が編成されることも。

名探偵コナン

読売テレビ制作のアニメであり、月曜にアニメを放送していた頃は通常拡大枠(2時間または2時間超えのスペシャル)で劇場版を放送していたが、劇場版は途中から日本テレビが制作に参加するようになったこともあり、劇場版および新作のテレビスペシャルを放送している。
特に新作が公開される4月中旬には、前年に上映された作品が地上波初放送されるのがお決まりとなっており、新作公開時期以外にも過去作を放送しているが作品によっては何度も放送されたり枠移動後は1度も放送されていない作品も存在するなど放送回数に差がある。
また、ある時期を境に放送時間の都合上尽くエンディングや毎回お約束の阿笠博士のクイズなどをカットされてしまい、一部の視聴者からは毎度苦情が出ている(主にこの作品)。
また、劇場版『コナン』の最高収益(当時)となったこの作品でもカットされたシーンが多かった。

細田守監督作品

映画の製作に日本テレビが関与していることもあり、『時をかける少女』以外の各作品の放映は本番組のみ。
サマーウォーズ』についてはその題名からルパン三世や『火垂るの墓』に代わる新たな夏の風物詩として定着。

新・刑事コロンボ

1989年から開始された『刑事コロンボ』の新シリーズは開始から終了まで本枠で放送されていた。
同枠で放送されたテレビドラマでこれを思い浮かべる人も多いのでは。

その他のアニメ系

上記の作品以外にもアニメ作品を放送した例は幾つか存在する。
ディズニーやイルミネーション作品は勿論の事、過去には『王立宇宙軍 オネアミスの翼』『火の鳥 鳳凰編&OVAヤマト編』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』などの映画や『美味しんぼ』『シティーハンター』『タッチ』『はじめの一歩』の続編物SP放送に加え『DEATH NOTE』の総集編を実施。
最近ではアニメ視聴者の取り込みを考えてか『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』『聲の形』や『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の放送に留まらず、新枠誘導も兼ねて『葬送のフリーレン』4話連続放送を行うなど傾向が変化している様子がうかがい知れるだろう。

【派生番組】

日曜ロードショー

2019年から2023年までBS日テレで放送されていた姉妹版。
オープニングは本番組のものをそのまま流用している。
こちらは本家よりも洋画の放送が多いが、吹き替えが無く字幕のみと、地上波よりもややダウングレード版となっていた。

映画天国

関東ローカルで月曜深夜に不定期放送されている番組。
タイトルこそ違うものの本番組の3代目オープニングで登場したキャラクター・スタンリーが起用されており、姉妹番組に該当する。
金ローでは放送が難しいマニアックな作品が放送されることが多く、前述の『レッドタートル』はここでしか放送実績がない。
一部の回では週・月替わりで著名人を映画解説者として起用している。
日曜ロードショー同様に洋画は字幕放送だけ。邦画は稀だが取り扱うこともあり、アニメ作品は基本的に金ローで放送済みのルパン三世のテレスペのみ。

【余談】

  • 前述の通り追悼、あるいは直近に発生した事件・事故・災害の影響で予定していた作品が差し替えられることもあるが、特殊なケースでは2003年の「15ミニッツ」がある。これは、放送直前に日テレで視聴率買収事件が発覚したため、作品の内容*4があまりにアレ過ぎて延期となった。自社の不祥事が原因で差し替えになった例はこれが唯一である。ちなみに差し替えられた作品はお蔵入りされることなく後日きっちり放送される。
  • その一方、当初予定していた特番が何らかの事情で放送できなくなり、その逆差し替えとして本番組が編成されたケースもある。バラエティやドラマと異なり豊富なストックが存在する番組ならではの裏ワザと言えるだろう。
  • 番組スポンサーには過去にWOWOW、現在はNetflixと番組および日テレのライバルともいえる企業が名を連ねている。これは一説には映画文化の振興を図るため、あえてそのようなスポンサーをつけているとも。ちなみに日テレはWOWOW・Huluと共同でルパン三世の実写ドラマ「銭形警部」を制作しており、同枠での放送実績がある。
  • スポンサーの特筆事項としては、自動車メーカーのSUBARUが長尺CMを放映している。このCMはストーリー仕立てのものが多いが、アニメ作品放送時には自社の車をバックに関連声優がナレーションを当てる番組オリジナル版のCMのものが流れる。


いやあ、追記・修正って本当にいいもんですねえ。

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最終更新:2024年02月22日 19:55

*1 全国ネット以外ではテレビ東京が関東ローカルで1982年から平日昼帯に主にB級映画を放送する枠(現在のタイトルは「午後のロードショー」)を編成しており、両者のプロデューサーが対談したこともある。

*2 前述の「ゴールデン洋画劇場」は「土曜プレミアム」となった現在でも邦画・洋画問わず映画作品を放送することが多い。

*3 後年TBSで放送されてた同名番組とは無関係。

*4 視聴率のためにより過激な映像を追い求めるニュースキャスターの内幕を描いたもの。