超能力

登録日:2019/06/14 Fri 00:57:38
更新日:2024/03/07 Thu 15:14:39
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超能力 とは、現代の科学では説明できない人間に宿った潜在的な超自然的な力のことである。

概要

魔法」と何が違うのか、というとハッキリとした違いがないことも多いが、概ね「魔法」というものは「悪魔」だったり「呪文」だったりと「自分の外にあるもの」の力を借りて発現することが多い。
一方、超能力は完全に自分の内側からのみ発現する力……という風に捉えられることが多い(一部宇宙から降り注ぐ波動エネルギーを使っている、という人もいるが)。
また、魔法に比べて超能力はほとんどが下記のいずれかとして登場するなど明確に体系化されており、それに当てはまるかどうかで分類されることもある。
ぶっちゃけどちらも学術的な定義づけは非常に困難なので、使っている人が「魔法」と言ったら魔法で、「超能力」と言ったら超能力と考えればいいだろう。
また平成後期までは五感の次の「第六感」がこういった「超能力を扱う未知の感覚」という認識が一般的だったが現在では第六感は医学・生物学的には
感覚の扱いから外れていた「平衡感覚」の事であるという事になり「第六感」を特別扱いする認識は廃れつつある。

超能力の種類

概ね「PK」と「ESP」に分かれるとされる。

PK

psychokinesis(サイコキネシス)」。物に触れずに精神力だけで物体を動かす技。
日本語では「念力」「念動力」と言われることが多い。発火能力(パイロキネシス)や瞬間移動(テレポーテーション)なんかも含まれる。

●主な派生能力
  • 発火能力(パイロキネシス)
触れずにものを燃やす能力。一説には念動力で分子構造を動かして発熱させているという説もある。

離れた場所に瞬時に転移する能力。さらなる派生として物体を取り寄せる「アポート」がある。

  • 念写
心で念じた内容を写真フィルムや砂粒などを用いて現像する能力。
後述のESPと組み合わせ、透視・遠隔視した物を写し出すパターンもある。

ESP

extrasensory perception(エクストラセンソリー・パーセプション)」。「超感覚的知覚」という意味で、五感以外の方法で外部の情報を得る能力。
「エスパー」というのはこのESPに「er」を付けた造語。そのため本来はPK使いの方は「サイキッカー*1」と呼んで区別した方がベスト。
もっとも、フィクションでは特に使い分けが意識されないことの方が多いだろうが。

●主な派生能力
  • テレパシー
人の心に触れ読み取りや伝達を行う能力。読心術記憶操作なども含まれる。
触れたものの情報を知る「サイコメトリー」はこれの亜種とされることが多い。

  • 透視
遠く離れたものを観る能力。
大きく分けて「知りたいと願ったものを観る力」と「壁等遮蔽物を透かして内部を観る力」の2種類がある。

人や世界の未来を知る能力。


超能力ブームについて

今時の子供には信じられないだろうが、一昔前は日本中が超能力ブームに沸いていた時期があった。
ユリ・ゲラーは日本中誰もが知っているお茶の間のヒーローで、「これで君も超能力者になれる!」と謳った超能力開発キットが雑誌の裏表紙に掲載されていたものである(かのマインドシーカーが発売されたのもこの時期である)。
もちろんポケモンにエスパータイプが登場していたのもこのブームに乗っていたからである。

……が、このブームはある時を境にパタリと一気に潮を引くようにテレビから去っていた。
流行りが過ぎた、というのもあるだろうが、その大きな要因は間違いなく オウム真理教による地下鉄サリン事件 だろう。
オウムの信者は多くが麻原彰晃の稚拙な手品を「本物の超能力」と信じ込んでおり、「修行を重ねれば自分も超能力を使えるようになる!」とオウムの教えにのめり込んでいった。
その末路があの惨劇である
もはや超能力は「お茶の間の愉快なお友だち」ではなく、「カルト一直線の危険な代物」へと認識が変わり、特にテレビ業界からは一気に姿を消した。
もっとも、フィクションの題材としては相変わらず頻繁に取り上げられている(ただ一昔前と比べると「ごく普通の少年少女が修行してエスパーになる」というストーリーは減って「生まれつきエスパー」系が増えているようには思う)。
少し前には念動力系の超能力ではなく、「FBI超能力捜査官」として透視系超能力者が人探しをやる、という番組が流行したこともあったが、良くも悪くもユリ・ゲラーブームの時に比べると日本人の反応は平凡で大人しいものであった。

超心理学について

実は欧米では超能力は真面目な研究の対象である。超能力を扱う学問を「超心理学」と呼ぶ。
超能力の研究と言っても、派手なものでは全然なく、できるだけ実験条件を統一した上で、ひたすらカードをめくって的中率を測るとかそういう種類の研究である。
冷戦時代、両陣営で「敵軍は超能力者を養成してこちらの機密を得ている」と噂されて軍が研究に乗り出したのを筆頭に
何気に歴史は非常に長く、データもメタ分析が可能なほどに蓄積されている。
一部「超能力の実在を証明できた!」とする研究結果もあったが、メタ分析にかけたら単なるデータの偏りに過ぎないことが明らかになったり。
「絶対にインチキなんかに負けたりしない」と豪語し、マジシャンのアドバイスを鼻で笑った研究所が、あっさりマジシャンの弟子のインチキ超能力に騙されたり。
なお、一部研究者は的中していないデータを「被験者が悪意を持ってわざと外した」と解釈して破棄することで的中率を底上げするというインチキまでやっていたらしい
冷戦期は米軍が超能力部隊の結成を目指して「スターゲート計画」を立ち上げるなど、注目されていた時期もあったが、やはりどれだけ経っても明確な研究結果が出ないことから人気は下火になっている。


実在する有名な超能力者

  • ユリ・ゲラー
スプーン曲げで有名な超能力者。「テレビの前の時計を動かしてみせます」とやったこともある。
なお、スプーン曲げその他のトリックは ほぼ全て解明済み である。
割と最近も日本のCMに出たりもしていた。

  • エスパー清田
前述のマインドシーカーの監修者。ユリ・ゲラーに触発されて超能力に目覚めたという。
しかし、 テレビ局で超能力のトリックを仕込んでいるところを見られて しまい、一気に人気は地に落ちる。
最近は超能力者を辞めて転職したようである。

  • エスパー伊東
鞄の中に入れる超能力者。ただの体柔らかい人である

超能力を扱ったフィクション

古くからある流れとしては、アメコミのX-MENの様な「超能力者と一般人の溝、迫害される超能力者」をテーマとしたものがある。
人でありながら人とは違う異端の力を手にしたものが現れた場合、果たして人は博愛精神を保てるのか?という題材は重々しく暗い展開であるが、「ミュータント」等といった単語と共に超能力もののテーゼの一つとなっている。

ジョジョの奇妙な冒険」の「スタンド」などは「超能力」とされることもあるが、基本的には「能力バトル」ものの範疇に入り、超能力の描写がメインではないのでここでは割愛。
あと、前述したとおり80年代~90年代前半位まで超能力ブームで「実在するもの」として扱われることも多く、
超能力が主題でなくてもメインテーマに関係ない超能力者が普通に出てくる作品が結構多く、挙げていくと切りがないので割愛。
有名どころでは、なんと『サザエさん』のマスオさんですら超能力者だったりするのだ。 饅頭を割らずにこしあんかつぶあんかを見分けるだけの超能力だが 、少なくとも作中描写では意図的なトリックではなく生まれつきのものらしいので間違いなく超能力なのだろう。

漫画

5億年前高度な文明を築いていた月の人間が、変身能力持ちの侵略宇宙人に対抗するため未来の地球や友好関係にある異星の超能力者をスカウトし対抗しようとするSF漫画。
後の『超人ロック』と同じ「少年キング」(少年画報社)に連載されていた。

恐らく日本で「エスパー」という概念を大々的に扱った最初期の漫画作品。同人誌時代まで含めると『ノーマン』より少しだけ早い。
真の超能力は掲載された雑誌を潰すこと

  • 幻魔大戦
前世からの因縁により超能力者たちが宇宙的侵略者の幻魔に絶望的な戦いを挑む、平井和正と石ノ森章太郎を中心としたメディアミックス作品。80年代に劇場公開されたアニメ版が有名。
70年代以降の超能力・オカルトブームを作った源流の一つだが、現在まで連載→未完を繰り返している。

  • バビル2世
宇宙人の血を引く超能力少年が三つのしもべとともに、世界征服を狙う超能力者ヨミと戦いを繰り広げる漫画。
上記の作品群があるので超能力漫画の嚆矢とは言い切れないが、同作者の忍者漫画などとともに現在の異能バトル漫画の源流の一つとなった。

  • 地球へ…
宇宙へ人が移民する様になった管理社会未来を舞台に、超能力を持つ新人種「ミュウ」へと覚醒した少年と、人為的にエリートとして生み出された青年を通じて人間とミュウの相克を描く少女漫画。

超能力者がこっそりと日常生活を送る、というコンセプトで描かれた最初期の作品になると思われる。
「万能の超能力」というには主人公の能力があまりにささやかなのもポイントかもしれない。

ちなみに同作者の『ドラえもん』にもエスパーになれる「エスパーぼう」が登場している。当時の子供たちの憧れがよくわかる。

  • きまぐれオレンジロード
80年代に一大ブームとなったラブコメ漫画。
主人公一家が実は超能力一家という設定で、時には騒動に発展することも。

SF超能力アクション漫画。映像的にあまりに洗練された超能力の描写もあって大ヒットした作品の一つ。

団地を舞台に繰り広げられるSF超能力アクション漫画。同じ作者によるAKIRAの原型。

登場人物の一人「餃子(チャオズ)」が超能力を使える。
しかしナッパにすら通じず、終盤のインフレに従いほぼ戦力外に。単なる超能力だけでは目立てないということだろうか。

更にいうと餃子の前にレッドリボン軍ブルー将軍も超能力使いとして登場している。
この時点ではクリリンや悟空であっても身動きが出来ないような強力なものであったが、
最終的には実力で大幅に差がある桃白白に超能力を使う間もなく(アニメでは超能力を使った上で)で殺されてしまう。
更にギニュー特戦隊の一人グルドも、戦闘力最低ながら超能力が使えるキャラとして登場するも、不意打ちで首をもがれて死亡した。

なお、この漫画の最強の超能力者は瞬間移動が使える孫悟空である。

世界最強の超能力者がそのことを隠して小市民的な生活を送るコメディ。
ちなみに登場人物のほとんどは超能力関連の用語から名前が取られている
楠雄以外は特に超能力が使えるわけではないが、似たような能力持ちはたまに出てくる。

↑と同様に主人公が最強の超能力者な漫画。
ただ、違いとしては楠雄が日常生活で(バレない範囲で)超能力を活用して過ごしているのに対し、こちらの主人公の茂夫は「日常生活に超能力なんて必要ない」と考えて極力目立たない普通の人として過ごしていることだろうか。

↑二つとと同様に最強の超能力者が日常生活を(ry
違いは、主人公藤田シゲルは普通に能力使ってるし周りも特に気に留めてない点。
弁当忘れて念力で取り寄せたりする、超能力が使えるだけのただのおじさんである。

最強の超能力者たるわがまま3人娘とその補助役になった苦労性の天才青年が、ドタバタと日常を過ごしながらも様々な苦難へと立ち向かっていく漫画。
ノリこそ明るいが、「才能故に普通の人間関係を創れず孤独だった過去を抱える主役陣」「予知された破滅は覆せるのか」「エスパーと一般人との軋轢」「闇に染まったエスパーの歪んだ野望」と本筋はシリアスである。
また本作では3人娘の様な「古典的な意味での超能力使い」は比較的少な目で、複数の超能力や使用条件が合わさって生まれた「合成能力者」が登場している。

最強の超能力者の怠惰娘がヤクザを振り回すお話。

柊ナナが超能力者が集められた学校に転校し、そこで起こる日常を描いた作品。

小説

「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上!」
と言ったら本当に超能力者が出てきた作品。
何気に過去作品の超能力者とはかなり能力の使い方のイメージ変えているのも斬新なポイントかもしれない。

「超能力」と「魔術」の対峙がテーマの一つとなる作品。
この作品では「超能力」こそが才能ある者の特権であり、「魔術」は超能力を模倣したものに過ぎないとされている。
また、両者は根本的に相反するため、超能力者は魔術を使うことが一切できなくなる(正確には、使えなくはないが使うたびに体のどこかが破壊されて死ぬ)。

最強の超能力者がタイトル通りのことをするお話。

  • ネオ・エンジェルズ
超能力研究機関で育った孤児たちが、白人至上主義者の超能力者と戦う話。
孤児という出自に加え、異端の能力を持つことへの苦悩も描かれており、ラノベとしてはかなり重め。
PKやESPといったおなじみの超能力に加えて、PAR(肉体強化)やアスポート(物体を瞬間移動で飛ばす)といった作者オリジナルの超能力も登場する。

実写

本作において超能力者は「進化した(しつつある)人類」とされ、それを良しとしないの使いたる怪人アンノウンと、人類の可能性を信じ未来を守るために戦う仮面ライダーたちの物語。

宇宙の犯罪者・アリエナイザー達から人々の平和を守るため戦う宇宙警察の奮闘を描いた物語。
本作には特殊な能力を持つ宇宙人が多数登場するが、それとは別に地球人の中にも超能力を持つ者が登場している。
その特異性故か陰のある境遇を持っていたり犯罪に巻き込まれ悪用されてしまう事もしばしば。
授乳を通して母親が子供と同じ能力に目覚めるという珍しい例も見られる。

『超能力』というトランプ遊びが一時期フィーチャーされていた。
ルールは裏側になっている山札の一番上の数字を当てるだけ。
お正月スペシャルにも1コーナーとして放送された。

ゲーム

主人公たちが超能力者のRPG。超能力を現代風の世界における「魔法」のように解釈している。この世界では「PSI(サイ)」という名が付いている。

登場するポケモンのタイプの一つがエスパータイプ。ちなみに初代の頃は最強のタイプでもあった。
最初期はユリ・ゲラーをモチーフにしたポケモン催眠術師をイメージしたポケモンなど、実在のエスパーのイメージに近い存在だったが、後に「オカルト全般の内、科学寄りなモチーフ全て」を司るようになり(霊魂・妖怪的な属性はゴーストタイプに)、宇宙人だったり、ホムンクルスだったり、土偶だったり、銅鐸だったりと雑多なモチーフが入り混じるように。ぶっちゃけタイプ内のイメージの統一性に最も欠けるタイプになっている(概ね人型が多い、ぐらいしかない)。

なお、ナツメを筆頭にエスパータイプを扱うトレーナーは超能力者が多い。
人の超能力の存在はポケモン世界では広く認められており、ナツメがジムリーダーを務めるヤマブキジムにはエスパー養成所としての側面もある。
勿論、ゲームでの戦闘の際にトレーナーが超能力を使うことはないが、かつて力を制御できないのでポケモンバトルを禁じられていた人や、対戦相手に振るって問題視された人もいる。

サイコパワーを持つの超能力戦士が主人公のアクションゲーム。
関連格ゲーでは他のオカルトパワーもたくさん出るのでありがたみはあんまりないが、関連アドベンチャーゲー『ATHENA』は超能力と体力が連動する仕様のクソゲー

迫害にさらされる超能力者達の戦いを描いた360°格闘ゲーム。
対戦ツールとして優れたゲーム性と、徹底的に救いのないストーリーには一見の価値あり。

メシア教徒のザコ敵として薬物投与による覚醒をした超能力者という設定の「スキャナー」が登場する。続編にも似たようなポジションの「メシアン ジェレーター」が登場。

ゲームズワークショップ社のミニチュアゲーム「ウォーハンマーシリーズ」の一つで、西暦40000年を舞台にした過酷な宇宙戦争が描かれている。本作では「〈歪み〉(ワープ)」と呼ばれる力を用いて 「異能力」(サイキック) と呼ばれる力を発動させる。
異能力は 「異能者」(サイカー) と呼ばれる超能力者のみが使える力であり、短距離瞬間移動、放電、未来予知、障壁展開、肉体強化などの能力を使用することが可能。しかしこの異能力は、 訓練された異能者しかまともに扱う事ができず、大抵は制御ができない不安定なものである。
そういった異能者を野放しにしてしまうと、場合によっては 「不安定な異能力によって都市を壊滅させてしまうほどの被害」 を出してしまう恐れもあり、安全保障上の脅威と成り得る。そのため、〈人類の帝国〉では 異能者を見つけ次第捕獲し、〈帝国〉のためにその能力を奉仕することが義務付けられている。
といっても、 ほとんどの異能者はその奉仕内容によって悲惨な死を迎える事が多い。しかし、中には強大な力を持つ異能者は異端審問官や悪魔狩りの〈戦闘者〉となって、その存在が許される場合もある。

魔法などと超能力の違いが設定されているフィクション

ニュータイプカラテなど、作品固有の超能力が設定されていても、それとはまた別に超能力が存在することもある。

  • TYPE-MOON系作品
直死の魔眼」に代表される「超能力」が、「魔術」、「魔法」ではないものとして設定されている

  • SDガンダム聖伝
漫画版で、剣士、闘士、魔術師を経て騎士となったエックスは超能力を使っている。
違いが分かりづらいがエアマスターとレオパルドによると魔術ではないエックス固有の能力とのこと。

追記・修正は超能力を使ってお願いします。

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最終更新:2024年03月07日 15:14

*1 「サイキッカー」は和製英語であり、本来は「サイキック」が正しい。