機甲界ガリアン

登録日:2020/07/25 Sat 22:22:22
更新日:2024/02/25 Sun 02:03:10
所要時間:約8分で読めます






剣のような三日月、今

その手にかざし 走り抜けろ

The GALIENT WORLD

●目次

▲概要

『機甲界ガリアン(PANZER WORLD Galient)』とは1984年に日本テレビ系列で放送されたテレビアニメである。日本サンライズ(現:サンライズ)製作。全25話。
中世ファンタジーの世界観とSFの要素が組み合わされた設定を持つロボットアニメ
監督は『太陽の牙ダグラム』『装甲騎兵ボトムズ』の高橋良輔、キャラデザインは『ボトムズ』の塩山紀生、メカデザインは大河原邦男と出渕裕。音楽には『ダグラム』の冬木透が手掛けている。
当初は全50話(1年間)の予定で製作されたが、塩山氏の要望により半年間に短縮されている。

1986年には本作をリメイクしたOVA作品『機甲界ガリアン 鉄の紋章』が発表された。


▲あらすじ

イラスタント太陽系第5惑星アーストに存在したボーダー王国は、征服王マーダルの突然の侵攻を前に為す術も無く陥落してしまう。
忠臣アズベスは生まれたばかりの王子と共に辛くも逃げ延びることに成功し、王子に「ジョジョ」と名付け放浪の旅に出る。
そして12年後、成長したジョジョとアズベスは反マーダル勢力が立てこもる白い谷にたどり着く。
そこでマーダル軍の攻撃を受けるも、ジョジョはそこで発見した伝説の機甲兵ガリアンに登場しマーダル軍を退けることに成功。
剣のような朝の光を手にかざし、世界を走り抜ける。打倒マーダルの戦いが、今まさに始まったのであった。


▲登場人物


☆反マーダル勢力


  • ジョジョ/ジョルディ・ボーダー(CV:菊池英博)
本作の主人公。滅亡したボーダー王国王家の血を引く少年。12歳。奇妙な冒険の主人公ではない*1
アズベスとの長い旅の末ガリアンを発見。自らの出自を知り、打倒マーダルを決意する。
放映中に担当声優の菊池氏(当時13歳)が声変わりの時期に入ったため、前半と後半で印象がかなり違っている。

  • チュルル/チュチュ(CV:渕崎ゆり子)
白い谷の指導者ダルタスの娘。10歳。ジョジョとアズベスを白い谷に案内した張本人。
好奇心旺盛でお転婆。ジョジョに対して好意を抱いており、彼を助けるために一肌脱ぐシーンも。

  • アズベス(CV:小林修)
ボーダー王国の忠臣で、まだ生まれて間も無いジョジョを連れて王国を脱出し、以降打倒マーダルの旅を続けている。
ジョジョを実の孫のように厳格に、しかく愛情深く育て上げており、ジョジョからも絶大な信頼を抱かれている。

ジョジョ達より一足早く白い谷に現れた謎の美女。惑星アーストにない豊富な知識を有しており、素性が不明なことも相まって
一部の者達からは不審がられているが……

  • レッド・ウィンドウ(CV:千葉繁
無重力の谷でジョジョ達と出会った盗賊。ムチの名手でもあり戦闘力も高いが、基本的に調子の良い性格。ヒルムカに惚れているがあまり相手にされていない。
後にガリアン自走改の操縦を担当する。

  • ドン・スラーゼン(CV:兼本新吾、楠見尚己(サンライズ英雄譚、SRW代役))
反マーダルを掲げる地方豪族の一人。普段はニヤけてばかりのいい加減な性格に見えるが、戦闘においては豪胆さと優れた情況判断力を見せつける。

元はローダン軍所属の「勇者」とも呼ばれる歴戦の戦士。正々堂々とした戦いを望む誇り高い武人。
後にジョジョとの戦いに敗れ捕虜になった後、彼の心意気に打たれて共に戦うようになる。


☆マーダル軍


20年前に突如惑星アーストに現た「征服王」。旧時代の発掘兵器である機甲兵と「闘争こそが生命の本質であり、真の平和は自ら争いを克服することで訪れる」という思想の元、圧倒的な残忍性とカリスマ性を持って多くの兵達を従えアースト統一を目指す。
その出自には謎が多く、彼に不信感を抱く者もいれば逆に心酔する者も存在する。
彼のあまりにも特徴的すぎる入浴シーンが印象に残っている人も多いのではないだろうか*2

  • ハイ・シャルタット(CV:速水奨
マーダル軍親衛隊隊長。マーダルに対し絶対の忠誠を誓っているが、そのせいか一部のマーダル兵から腰巾着呼ばわりされている。
能力はあるのだが、自尊心が強すぎたり大人げない子供っぽさを見せるなど欠点も目立つ。

  • ローダン(CV:阪脩)
マーダルの腹心。「ローダン軍」を率いる将軍でもある。戦いにおいてはどんな手段も厭わず勝とうとする卑劣漢な一面も持つ。
マーダルとは志を同じとする同志とも言える立場ではあるのだが、最終的に思想の違いから反逆を企てる。


☆その他

  • フェリア・ボーダー(CV:泉晶子)
ジョジョの母親。王都陥落と共に落命したかと思われていたが、実際はマーダルに捕らえられ冷凍睡眠させられレリーフのように飾られていた。



▲メカニック

★機甲兵

本作で最も多く登場する人型機動兵器の総称。さながら中世の鎧騎士や神話の怪物を模したかのような外見をしている。
大半は過去に栄えた文明の遺跡発掘品で、飛び道具よりも棍棒などの格闘武器をメインの武器としている。

マーダル軍が持ち出す機甲兵に対して旧時代的な攻城兵器などで戦うシーンも見られた。

ガリアン
主人公機。ジョジョが白い谷の奥深くで見つけた鉄巨人。全天周囲モニターのコックピット、地上を高速で移動する両脚の「ダッシュホイール」、飛装型(ビッグファルコン)への変形機構を有する等、他の機甲兵とは一線を画す存在。
メイン武装は蛇腹剣ガリアンソード」……というか、初期はこれしかない。あと飛装型には武器が何も搭載されていない。それらの弱点を突かれて敗北し、下記の重装改へと改造されることとなった。
ちなみに「ガリアンソード」という呼称は後付けで、「ジャラジャラ剣」などと呼ばれることもあった。

なお、ガリアンのみ他の機甲兵とは明らかに違うロボット然としたデザインをしているが、これは古代アースト文明においてガリアンだけが他の機甲兵とは違う勢力で開発された為。

ガリアン重装改
アザルトガリアンとも呼ばれる、ヒルムカの手で強化改造された姿。二連重装砲と飛装砲で武装し、新たに「飛装改(パンツァーファルコン)」「自走改(ストライクヴィーグル)」への分離機構を搭載するなど、火力・機動力両面に於いて大幅にパワーアップしている。


ザウエル
ランベルが搭乗する機甲猟兵。ガリアン同様に「ダッシュホイール」を装備する唯一の機体。武器は大型のドリルのように刀身が回転長剣「ドリルブレード」。
本来は対ガリアン用に開発された機甲兵であったが、実際に対決する前に無重力弾なる兵器によって古代アースト文明が崩壊してしまったことで両機が戦うことはなかったという。
ジョルディとランベルの決闘は、2万年の時を越えた宿命の戦いでもあったのだ。


スカーツ
ドン・スラーゼンと彼の側近スミオンが搭乗する機甲猟兵。頑強な装甲とパワーを誇る機体で、武器は両脚に仕込まれている槍。
分離合体可能な飛行メカ、バックインパネスを背部に装着している。


プロマキス
マーダル軍の主戦力である人馬兵。最も数が多い
ケンタウロスのような外見をしており、盾と近接戦闘用の武装(槍やなど様々)を持つ。
アーストの人々にとって脅威だがガリアンに対しては力不足であり、あっさりやられることが多い。
派生型に指揮官機のプロマキス・ジー、ドン・スラーゼン旗下の「赤の機甲兵団」が駆る巡航攻撃型プロマキス・ヴィーが存在する。


ウィンガル
親衛隊のみに与えられる飛甲兵。作中では数少ない航空戦力で、数も希少。
指揮官機としてウィンガル・ジーがあり、ハイ・シャルタットが搭乗する専用ウィンガル・ジーは銀色に塗装されている。
連結した形態の「ツウィンガル」も存在し、こちらは人員輸送用の任務で使用された。


モノコット
プロマキスに次いで数が多い重射兵。遠距離支援型の機体で、数と瞬光弾「マグネシウムアロー」の火力で友軍を支援する。その分動きは鈍く、一応ハルバードを装備しているものの白兵戦に弱い。


アゾルバ
半漁人のような外観の水機兵。水中戦闘用なため出番は少ない
指揮官機はアゾルバ・ジー


シールズ
機甲兵を模して作られた重歩哨機。所詮デッドコピーなので性能はオリジナルより大幅に劣る。


★その他


円盤
高度文明連合が使用している円盤状のパトロール艇。惑星アーストを潜行する際はチカチカと目に優しくない光を出しながら飛行するため、「光る船」とも呼ばれる。

イレイザー
高度文明連合が所有する「安全装置」。連合内でもその詳細を把握するものは現在では存在せず、遠い昔のクレセント銀河高度文明連合から引き継いだものである。
その実態は重力兵器と呼べる代物で、一度起動すれば1.6パーセク(約5.216光年)*3以上の範囲の物を消滅させるまで停止しない。


▲主題歌

OP「ガリアン・ワールド」
ED「星の一秒」

どちらもEUROX(バイファムの主題歌を手掛けたTAOが若干のメンバーチェンジ等を経て改名したバンド)が担当。
バイファム同様80年代ならではの先鋭的なセンスが炸裂しており、英語の歌詞が大胆に採り入れられているほか、シンセ主体のロックサウンドにピアノのリフやバイオリンによるソロ*4を織り交ぜたエキゾチックな曲調は非常に評価が高い。
動画サイトでは古くから当時の視聴者による好意的なコメントが多数寄せられていたが、ニコニコ動画の当該動画コメント欄になんと本人が降臨。アニメ終了から久しいにも関らず愛され続けている事に感激し、EUROXの再始動を宣言。小規模ながらも実現し、見事バンドが再結成したという微笑ましい逸話がある。

また、主題歌のみならずサントラも地味に伝説を残しており、本作のサントラはまだCD自体が珍しかった84年の放送当時にCDが発売されていたが、再販もされずそれっきりであり、貴重なサントラの代名詞として永らく語り継がれていた。
が、近年になって遂に復刻。CDでの発売のみならず、アニメ(しかも旧作)のサントラとしては珍しいサブスクリプションサービスでの配信をいち早く実現させた。ダウンロード版ではハイレゾ音源も公式配信されている。
その調子でEUROXにもスポットを当ててもらえませんかね…一応アルバムを出しているけどアナログレコードのみで、未だにCDにすらなってませんよ…

▲外部作出演

タカラの『新世代ロボット戦記ブレイブサーガ』シリーズ、サンライズ・インタラクティブの『サンライズ英雄譚』シリーズにおいて参戦しているが、スーパーロボット大戦シリーズにおいては2015年の『BX』になるまで参戦しなかった。
ストーリーの一角を担う存在であり、主に放送時期が近い『ダンバイン』や『巨神ゴーグ』とクロスオーバーし、自軍の面々が突如惑星アーストに転移した際に加入し、地球に戻った際にマーダル軍も地球に転移してくると言う展開となる。
地球上においても中々どうして主要エピソードが盛り込まれたり、プレイヤー側のブライティクス以外でもかの異世界バイストン・ウェルから来た覇王ドレイク・ルフトとマーダルが互いに影響を受けあう流れもまた味わい深い。また、とある機体とも関係する。

終盤、外宇宙にまつわるエピソードにおいては無重力の谷と惑星ランプレートが主要な舞台を担う。
原作を超えて不味いタイミングで問題のイレイザーまで飛んでくる……のだが、それを無力化させたのは自軍部隊ではない別のとんでもない奴だったり、
尤もこのおかげでランプレートの住民達も奮起したり、高度文明連合の人間にも今までの態度の見直しを必要とさせるなど、結果的に良い方向に進んでいる



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最終更新:2024年02月25日 02:03

*1 そもそも『ジョジョの奇妙な冒険』の連載が始まったのは1987年なので、登場したのはこちらが先。そのため「ジョジョと言えばガリアンの方」という人もいる。

*2 『ドラゴンボール』のメディカルマシーンのような物に浸かっている。また、劇中でもマーダル兵がはっきりと「入浴」と言っている。

*3 『スーパーロボット大戦BX』では、ある人物から「太陽系がいっぱい入っちゃう距離」とわかりやすく説明している。

*4 なお、この曲に用いられたバイオリンは、ピックアップを装着したいわゆる「エレクトリック・バイオリン」であるとの事。