日暮里・舎人ライナー

登録日:2023/07/19 Wed 08:35:53
更新日:2023/11/27 Mon 01:37:55
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日暮里・舎人ライナー(にっぽり・とねりライナー)とは、日暮里駅と見沼代親水公園駅を結ぶ東京都交通局の新交通システム(AGT)路線である。
路線記号はNT

AGT路線では日本で一番新しい路線である。

概要

それまで陸の孤島とも呼ばれた足立区北部の交通改善を目的に建設された。
舎人ライナーの区間は並行する尾久橋通り経由で都営バス里48系統が運行されているが、生花市場や流通拠点に出入りするトラックも多数走行するため渋滞が激しく里48系統は定時運行もままならない状況で、長年鉄軌道路線が望まれていた。

国内では大阪市交通局の南港ポートタウン線に次ぐ公営のAGT路線で、大阪市交通局が民営化されOsaka Metroに移行後は国内で唯一の公営AGT路線となっている。
同線の開業に伴い、東京都交通局は日本で初めてAGTと路面電車を両方保有する鉄道事業者となった。

建設は支柱などのインフラ部分を東京都建設局、駅舎や電気施設などを東京都地下鉄建設株式会社がそれぞれ担当し、2008年3月30日に全線が開業。
同じ東京を走り、東京都が経営に関与している新交通ゆりかもめとの関わりが深く、車両や駅の設計は同線と共通化させコストダウンを図っている。

全線でコンピューター制御による無人運転を行なっているが、非常時等には運転士が乗務し手動での運転になる場合もある。

開業後は当初の想定以上の輸送量を記録するようになり、混雑率は最大で189%と普通鉄道規格である東急田園都市線東京メトロ東西線に匹敵する数字を記録している。
足立区からは前述した都営バス里48系統への分散乗車が呼び掛けられており、東京都へ向けて混雑緩和策の要望が毎年提出されている。

これほど混雑する路線ではあるのだが、営業収益は赤字である。
これは開業の新しい路線ゆえに建設費などの借金返済に必要な旅客収入が十分に積み重なっていないことや、新型車両導入などによって膨大な設備投資費が発生してしまっていることが大きく関係している。


運行形態

開業時は平日のラッシュ時が5〜6分間隔・日中が7分間隔、土休日が7〜15分間隔で運行されていたが、以降はほぼ毎年ダイヤ改正が行われ、増発などが行なわれてきた。現在は平日のラッシュ時が3分間隔・日中が6分間隔・夕ラッシュ時が約4分間隔であり、土休日の朝ラッシュが5分間隔・それ以外の時間帯が6分間隔である。
舎人公園千本桜まつりや足立の花火などの沿線イベント開催時は、列車運行に際して人員が不要であるという特性を活かし、よく臨時ダイヤが組まれる。

なお、都によれば運転間隔を考慮するとダイヤ改正での増発はすでに限界に達しており、混雑緩和策も車両基地や駅舎の拡張などを行わなければ難しいとのことである。

日暮里〜見沼代親水公園の全線通しの列車を主体としているが、舎人公園地下にある車両基地への入庫を兼ねて朝と夜間に見沼代親水公園発舎人公園行きの列車が設定されている。日暮里側からの方が明らかに需要がありそうだが、そっちは存在しない。

使用車両

全列車が5両編成で運行される。
前述の通りゆりかもめと設計を共通化しているため、内外の意匠もゆりかもめに似せた車両が多い。
先頭部分には展望席が設置されているが、途中駅からだと座れない可能性が高いので、展望席に座りたい場合は始発駅から乗るか、空いている時間帯を狙おう。
なお、本節でいう「全席」とは、展望席以外の部分の座席のことを指すものとする。

  • 330形
2015年に登場したアルミ車体の形式。
1・2次車は輸送力増強用に導入されたが、2022年からは300形置き換え用として3次車が増備されている。
アルミ車体を採用したことで軽量化が図られ全席ロングシート化を達成し、これによって300形に比べて15%以上の輸送力増強が図られている。

  • 320形
輸送力増強のために2017年に1編成のみ製造された。
300形をベースとしたステンレス車で、洗練させたデザインとなっている。
こちらも車体の軽量化によって全席ロングシート化が図られている。

  • 300形
開業時から使用されている車両。
全席をロングシートとすると混雑時に重量超過を引き起こす可能性があったため、開業時に投入された編成はクロスシートを主体としていたが、詰め込みが効かないため2009年に増備された編成は一部座席がロングシートに変更されている。
2022年から330形への置き換えが開始され、2024年度までに全廃される予定。

駅一覧

東京都交通局の保有する鉄道路線では唯一、都営地下鉄線との乗換駅が無い路線である。

  • NT-01 日暮里
起点駅。山手線京浜東北線常磐線京成本線乗り換え。
荒川区最南端の駅で、当線では唯一の定期券売り場が設置されている。

  • NT-02 西日暮里
山手線・京浜東北線、東京メトロ千代田線乗り換え。
ここから尾久橋通りに沿って線路が伸びている。JRホームは少し離れているので隣の日暮里駅での乗り換えがおすすめ。

  • NT-03 赤土小学校前
駅名になっている荒川区立赤土小学校の最寄り駅。

  • NT-04 熊野前
都電荒川線(東京さくらトラム)乗り換え。
東京都立大学荒川キャンパスの最寄り駅で、都電の停留所には「東京都立大学荒川キャンパス前」の副駅名があるが、日暮里・舎人ライナーには設定されていない。

  • NT-05 足立小台
都電荒川線の小台停留所からはかなり離れている。なお地名的に本来の小台はここである。
東京23区内では数少ないケーズデンキの店舗が近くにある。

  • NT-06 扇大橋
計画時点での仮称は「扇大橋北」で、公募により現役名に決定した。
名前の通り扇大橋の近くにある。

  • NT-07 高野
駅名は「こうや」と読む。1970年代まで存在していた足立区高野町が由来。
駅の西側に交通広場があり、東武スカイツリーライン西新井駅方面や北千住駅方面のバスが発着している。

  • NT-08 江北
東京女子医大足立医療センター」の副駅名を有する。
現役で番台が使用されている「おきもと湯」という銭湯が近くにある。

  • NT-09 西新井大師西
駅名の通り西新井大師の西側にあるが、徒歩で20分くらいかかる。まぁ東京ビッグサイト駅国際展示場駅みたいなもんよ。
大師の真の最寄り駅は東武大師線大師前駅なのでそちらを使いましょう。
計画時点での仮称は「上沼田東公園」で、公募により圧倒的応募者多数だった「西新井大師西」に選ばれた。正直言ってどちらも長くて言いにくい

  • NT-10 谷在家
駅名は「やざいけ」と読む。足立区最西端の駅で、都立足立工業高校最寄り駅。

  • NT-11 舎人公園
駅名になっている舎人公園に周囲4方を囲まれており、同公園の地下に車両基地が設置されている。
周辺には北足立市場や倉庫群、トラックターミナルなどが立ち並ぶ。

  • NT-12 舎人
とねり」と読む難読駅。「しゃじん」ではない。
そもそもこの路線名の由来となった舎人地区の「舎人」とは、かつて朝廷や貴族に仕えていた役職のことを指す。
じゃあこの足立区舎人もその舎人さんが由来か~……となりそうだが実は由緒不明である。こんな難読なのに……。
一応文献上では江戸時代以前より「舎人村」という名前で呼ばれていたが確認できるものの、名前が付いたきっかけはわからない。
舎人さんが住んでいた、舎人親王*1が名付けた、アイヌ語の「トネ・イリ*2」が変化したなど明確な証拠が無いので好き勝手にいろんな説が唱えられている。

  • NT-13 見沼代親水公園
終着駅。東京23区内かつ東京都交通局管轄の鉄道駅としては最北端に位置する駅で、駅名の通り見沼代親水公園最寄り駅。なお公園の規模は小さめ。
埼玉県との県境に近く、200mほど歩くとすぐ埼玉県に入る。そのため埼玉の市のコミュニティバスがここまでやって来る。



追記・修正は展望席で全区間の前面展望を楽しんだ後にお願いします。

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最終更新:2023年11月27日 01:37

*1 大化の改新で有名なあの天武天皇の息子

*2 小石が多くて痩せた谷間の土地 みたいな意味