怪奇大作戦

登録日:2019/11/25 Mon 23:11:10
更新日:2024/04/09 Tue 14:06:39
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凄惨な事件に隠された謎を追って、今日もSRIの活躍は続く!


『怪奇大作戦』は、円谷プロが制作した特撮ドラマ。
1968年9月15日から、1969年3月9日までTBS系列で放送された。
現代社会で次々に発生する怪奇事件に、SRI(科学捜査研究所)が科学の力で立ち向かい、解明する姿を描く。


【概要】

ウルトラセブン」の後番組として、怪獣ものに代わる新たなテーマとして「ゲゲゲの鬼太郎」に代表される「怪奇もの」に着目し、企画・制作されたという経緯を持つ。
モンスターや心霊現象を題材にした話もないわけではないが、基本的には現代的なSFの趣が強く、後年の「Xファイル」シリーズなどを彷彿とさせるような作風となっている。
また、社会風刺やサイコスリラーとしての要素も併せ持つ。

設定としては「科学を悪用する者と科学で犯人を暴く者」との対決を描き「ウルトラマン」のようなスーパーヒーローは登場せず、かといって「ウルトラQ」とも違う、あくまでも事件の黒幕は犯罪を起こした人間とその心の闇であるとして設定されている。

ドラマ部分においても、従来どおり子供の視聴者は確保するとしながらも年齢層を拡大。
人間を主役としてリアリティを尊重し、恐怖を強調したサスペンスとなっている。
当初は特殊車両やコスチューム、少年隊員といった子供向けの要素も幾つかあったが、初期のうちに廃され*1、ハード路線を拡大していった。
当時の怪奇ものにあるような、人間が溶けたりバラバラになるといったショッキングなシーンも「ウルトラQ」の「悪魔ッ子」などの反響や経験もあってか積極的に採用されている。
特撮面では怪獣ものでお馴染みの大型兵器は登場せず、犯人がトリックに用いるものや謎を解明する機材などを充実させて怪獣ものとは明確に区別。
怪人などが登場しても、それらは歪んだ科学の犠牲者であったりする事が多く、前作までの明らかなモンスターは登場しない。

出演者についても、当時すでに多くのドラマや映画に出演していた勝呂誉氏を起用するなど、これまでの「空想科学シリーズ」からの更なる発展として企画された意欲作でもあった。

しかも、確かに「ゲゲゲの鬼太郎」は当時「妖怪ブーム」を巻き起こしたが、最初にこの企画が出された時はまだ「鬼太郎」はアニメが始まったばかりでブームは起きておらず、円谷プロの先見性の高さがうかがえる。

平均視聴率は22%で、20%を下回ったのもわずか二回のみと充分に立派な数字を記録したが、スポンサーやテレビ局からしてみると過去作の「ウルトラマン」が36.7%、「ウルトラセブン」が26.5%という実績を残していることもあって“期待はずれ”と見なされたらしく*2、残念ながら1クール終了時点で2クールでの終了が決定。
円谷プロは当時「栄光」と言われた「タケダアワー」から脱落してしまった*3

SFドラマとしての科学考証は割と大雑把な部類に入り、各回によって脚本や演出のクオリティのばらつきが激しいのも難点といえば難点。
もともと不条理な題材を取り扱っているということもあり、事件を解明しても根本的な解決には至らなかったり、宙ぶらりんなままオチを迎えるエピソードも少なくなかったりする。

しかし、高い特撮技術によるハードなサスペンスドラマは高い評価を得、後年この路線を大人向けにリメイクした『恐怖劇場アンバランス』を制作した他、現在においてもリメイク作品が度々制作されるなど根強い人気を誇っている。


【登場人物】

◆SRI

元警視庁鑑識課長・的矢忠が日本における科学捜査の必要性を痛感し、私財をうって造り上げた民間組織。
中心メンバーである、優れた科学知識を持つ牧史郎と、運動神経抜群の三沢京助を中心に怪事件に立ち向かう。
詳しくは「SRI」を参照。

◆的矢忠
演:原保美
SRI所長。

◆三沢京助
演:勝呂誉
熱血漢の行動派。

◆牧史郎
演:岸田森
SRIの頭脳。

◆野村洋
演:松山省二
SRIの若手メンバー。

◆小川さおり
演技:小橋玲子
SRIの紅一点。

◆次郎
演:中島洋
初期に登場していた少年隊員。
存在が内容と絡めづらかったために早々に消滅。

◆町田大蔵
演:小林昭二
SRIに事件の解決を依頼し、共に捜査にあたる刑事。


【エピソード】



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最終更新:2024年04月09日 14:06

*1 設定が消滅したわけではなく、出番はわずかだが登場している

*2 なお、これらの視聴率については、当時は現在よりもテレビのチャンネル数自体が少なかったりするなど、現在と同じ基準で考えることは出来ない点に留意されたし。

*3 ちなみに本番組の後は『キャプテンウルトラ』の東映が引き継ぎ、直の後番組『妖術武芸帳』(主演は本作にもゲスト出演した佐々木功)は1クールに留まったものの漫画原作の『柔道一直線』がヒットする事になる。