中華一番!

登録日:2011/06/10(金) 23:51:11
更新日:2024/04/09 Tue 14:01:59
所要時間:約 10 分で読めます




『中華一番!』とは、小川悦司による料理漫画

【目次】


【概要】


1995年43号から『週刊少年マガジン』にて連載開始。
特級厨師試験が終わったところでいったん『マガジンSPECIAL』に移動し、1997年1号からタイトルを『真・中華一番!』に改めて週刊少年マガジンに復帰した。
1997年に『中華一番!』のタイトルでアニメ化された。

元は19世紀の中国を舞台に、主人公たる天才料理少年・マオの成長劇を描いた漫画だった
……が、次第に中国全土に散らばる「伝説の厨具」を巡って、中国料理界に暗躍する料理ヤクザ集団ともいうべき料理人組織「裏料理界」と壮絶な戦いを繰り広げる、という壮大なスケールの冒険活劇へと変わっていった。
新エピソードに入る時は、
旅先で困っている人と出会う→料理で解決する→君は一体?→げぇっ、あの最年少特級厨師!?
という『水戸黄門』的なやりとりがお約束


1999年22・23合併号で連載を終了したものの、2017年11月17日より、『少年マガジン』の公式無料漫画アプリ「マガポケ」にて、18年ぶりに続編の『中華一番!極』が隔週連載でスタート。
これまで以上にド派手な料理が頻発し、劇中でもツッコミが入るくらいに中華料理の枠に囚われない古今東西の料理や超能力を駆使した異能の調理技術が飛び出すようになった。ついでにトンデモルビもかなり増えた。

2019年に『真・中華一番!』のタイトルで再アニメ化され、2019年10月から12月まで放送。
また、続編の第2期が2021年1月から4月まで放送された。
1997年版アニメは舞台である中国でも放送され大人気となり、2005年には中国で実写ドラマ化された。




【登場人物】

声優は、1997年版/『真』の順で表記。

マオ一行

  • マオ
CV田中真弓/藤原夏海
主人公。本名「劉昴星」(リュウ・マオシン)。

四川にある菜館「菊下楼」の料理長・パイの一人息子。
両親から才能を受け継ぎ、自身もまた料理人として覚醒して行く。僅かな隠し味でも見抜ける天性の舌の持ち主。
やがて広州にある菜館「陽泉酒家」に入門し、更に最難関と言われる広州特級厨師の資格を習得。
メイリィ達と共に、裏料理界に対抗する鍵「伝説の厨具」を探す旅に出る。
作り上げた料理は「エビチリ炒飯」、「ドラゴン餃子」、「大海老のナッツ揚げ(タレ入り)」、「合鴨肉のソテー胡桃ソースがけ」、「クズフカヒレの腸詰め」、「ミラクルコメット炒飯」、「大魔術猫熊豆腐」等多数。

王道の料理よりも独創的な工夫や奇想天外なギミック・仕掛けを凝らしたユニークな料理を多く作っており、こと土壇場での自由な発想力こそがマオの本当の武器と言われるほどに目を見張るものがある。*1
しかし、同時にその発想力が何かの理由で蓋をされると、途端にスケールの小さな料理になってしまうという欠点も。
『極』では目先の勝負に拘り頭に血が登った結果、惨敗するという失態を犯してしまっている。
また、両親(特に母のパイ)に甘えられなかったという境遇による影響は大きく、それを利用されてしまう一面がクローズアップされている。
その点も含めてやはりまだまだ子供ということだろう。

ついでに割と身内贔屓で、敵を誉めたと思ったら即効前言撤回することも。
餃子勝負の時の「こんなおいしい餃子食べた事ないよ!」⇒「でも、チョウユさんの餃子の方がおいしいよ」が一例。


  • メイリィ
CV:雪野五月(現・ゆきのさつき)/茅野愛衣
フルネームは「周梅麗」(チョウ・メイリィ)。本作のヒロイン。陽泉酒家副料理長・チョウユの一人娘で、マオに対して淡い恋心を持つ。
『中華一番!』時はどちらかというとまた板体型で、お洒落などにも無関心であった。
髪の色はカラーでは鮮やかな赤色で表現されているが作中では茶髪設定らしい。*2
『真』にて髪型等を一新。と同時に背丈も成長し、結構おっぱい大きくなった。*3マオと共に伝説の厨具を探す旅に出る。
原作ではマオが特級厨師になって、旅立ってから陽泉酒家に戻るまでの間は登場しなかったが、アニメでは彼の旅についてきた。

『極』ではケイカにマオが敗北したことで太極料理界に捕まってしまったが、その後少しして太極料理界の目的に必要不可欠な存在であることが判明している。
彼らの目的に必要な「八極聖典」を解読できる唯一の存在がメイリィだからとのことだが、その裏には……(後述)。


  • シロウ
CV:坂本千夏/藤井ゆきよ
日本人と中国人のハーフの少年。マオの事を「マオ兄」と呼び慕っている。
軽い性格で調子に乗りやすいトラブルメーカーだが、やる時はやる。
特級厨師試験から少し後、一人旅をしていたマオと出会って「自分こそが特級厨師試験に合格した最年少の天才少年」と吹聴していた事から起こったトラブルを助けられたのを機に、弟子を自称して勝手について来た。
その後、伝説の厨具を探す旅に同行する。
ちなみに異人館の決戦では審査員を無理矢理やらされたが、自分の舌を信じ、見事にマオを勝利に導く。
また、料理人でこそないが旅の経験で観察力が鍛えられ、終盤ではキヌガサタケを用いたラーメン屋台を開いたことも(麺が伸びすぎと指摘されたが、かなり繁盛した)。
マオと同じくここ一番の発想力と突進力、絶体絶命の逆境を覆すほどの幸運(悪運も含む)を引き込む体質の持ち主。*4


  • シェル
CV:家中宏/中村悠一
通称・鋼棍のシェル。特級面点師*5の資格を持っており、各地を廻っては幾多の料理人と勝負(主に餃子やシュウマイ等)して行き、打ち勝って来た。
陽泉酒家にやって来た際、ふとした事がキッカケでマオとシュウマイ対決をし、見事に敗北。
それから暫くしてマオ達と再会。伝説の厨具を探す旅に同行する。

頬に傷跡のあるワイルドなイケメンで、体つきも大柄かつ筋骨隆々で身体能力もずば抜けて高い。
性格も見た目通り豪放磊落で情に厚く、プライドは高いが自分より優れた相手に対しては素直に敗北を認めて相手を称賛する潔さ、困った人間を見捨てず悪を許さない義侠心を持ち、仲間想いで男気溢れる好漢。
中国全土を旅していたこともあって各地の土地勘や世知にも長けており、バイタリティやサバイバル能力も高いためにマオたちの頼りがいのある兄貴分として活躍する。
武術の腕前も優れていてマオたち一行の護衛を兼ねており、武装した多数の強盗集団を蹴散らす、石造りの柱や壁を砕いて宮殿*6を倒壊させる、背後から尾行してくる裏社会の刺客の気配を敏感に察知するなど、料理人というよりは武将のようなエピソードも多い
その一方で、細かいことを気にしないこと、享楽的で金遣いが荒くて大の酒好きのために酒絡みでトラブルを引き起こしてしまうこともしばしば。

料理に関しては、特級面点師だけあって点心料理の腕前は最高クラスで、マオとシュウマイ対決をした際にも純粋なシュウマイの出来では圧倒していたほどである*7。また基本的な調理技術や調理の知識も高レベル。
筋骨隆々の肉体を駆使して力強くかつダイナミックに小麦粉を練り、抜群の食感の点心料理を作り出す。
調理方法のダイナミックさや豪快で荒っぽい性格とは裏腹に作り出す点心料理は極めて精緻で繊細。
練った麺を数時間かけて弾力を維持したまま紙より薄く引き延ばすことで常識外れの繊細な食感の透明な麺を作り出すというとんでもない技量を持つ。
「点心とは食べた人間の心胸を点改してリラックスさせる料理」という信念の持ち主で、どんなに暗い気分の人間でも思わず心が軽くなるような点心を作ることを理想としている。

点心つくりに使う鋼棍の先端には、料理勝負で倒した厨師たちを表す星型の「撃墜マーク」が刻まれているが、マオには負けたので黒星になっている。
厨具探しの旅の途中、アルカンとの勝負が引き分けに終わった直後にシャンの襲撃を受け、さらにそのさなかの嵐に巻き込まれてマオ達とはぐれてしまった。
その後は敦煌でレオンと共に行動。砂漠で倒れた際に“青眼虎”ミラに助けられたのが縁で惚れ込んでしまい、それが原因でレオンと仲違いし一時単独行動をしていた……が、レオンと離れている間にミラと再会し、料理勝負の結果敗北。敗者の制裁として石塔から転落し重傷を負ったが生還、その後敦煌の厨具「霊蔵庫」を引っ提げてレオン・ミラと共に北京決戦に駆け付けた。
台湾の実写ドラマ版で彼を演じているのは、あの押尾学……。
余談だが、中国語版では紫龍という表記。中国で『聖闘士星矢』が大人気だった影響だろうか。


  • レオン
通称・七星刀のレオン。
該当項目を参照。


  • フェイ
CV:置鮎龍太郎、嶋方淳子(幼少期)/榎木淳弥(真)
後にマオとはライバル関係になる17歳の少年料理人。本名「蘭飛鴻」(ラン・フェイフォン)。甘いマスクの美青年で、料理する姿を見た女性観客達からは黄色い悲鳴が上がり、なんだかんだあって敵サイドの女料理人と共闘した際はその何気ない仕草だけで思わずクラッとさせてしまうほど。
特級厨師試験をマオと共に合格した後、腕を買われて天帝直属の料理人「龍厨師」に抜擢されていた。
その後、蕎親王の旅に同行して北京を出た際に仲間とはぐれたマオと再会、一時行動を共にする中で伝説の厨具「迦楼羅刀」に選ばれた……が、その神秘の力に恐れをなして滝壺に捨ててしまった。
裏との決戦となった北京の大会には、「パイラン」となのって仮面+女装で参加。これは、龍厨師であるフェイは本来大会の進行を行うため参加できないところを、最高の舞台でマオと全力をぶつけ合い決着をつけるためだった。
エンセイとの対戦では滝壺から持ち出した迦楼羅刀を駆使して勝利を収めたが、マオとの対戦の際にまたも捨ててしまっている。
ちなみにマオとの勝負は結局引き分けに終わった。最終回では龍厨師をやめてフリーの料理人となり、マオの旅に同行している。
実は裏料理界の生まれで、赤ん坊の頃にパイに拾われた過去を持つ。

作る料理はマオとは対照的に、課題どおりの料理を凄まじい完成度と格調高さで作り上げるストレートな優等生タイプ。
しかし、『麺と国士無双』という課題に対しては、あえて「絶対佳人」をテーマとし表現することで「国士無双」をも表す、という意表を突く答えも出している(「国士無双」と「絶対佳人」は切り離せないもの、表裏一体だという考えから)。

陽泉酒家の人々

  • チョウユ
CV:大塚明夫/下山吉光(真)
陽泉酒家の副料理長でメイリィの父親。京劇役者みたいなコワモテで何時もポーカーフェイス。漢字表記は「周瑜」。
広州一と謳われる特級厨師で、外套に紋章をあしらっている。
料理に対する情熱と腕前は超一流で、マオにとっては頭が上がらない人物の一人。
モットーは「料理の目的とは、人を幸せにすること」「料理人とは、どれだけたくさん切ったか・炒めたか・食ったかで決まる」。これが示す通りとんでもない大食漢であり、番外編では地元の大食い大会に「大食い仮面」として参加、10連覇を成し遂げている。
ちなみに作中で描かれた料理対決は全部不戦敗だったりする。毒を盛られたり腕を折られたりと散々な人である。
しかし、続編の『極!』ではついにその腕前が披露され、マオでさえもまだまだ未熟なひよっこであると言わんばかりの実力を見せつけた。


  • ルオウ大師
CV:石森達幸/辻親八(真)
陽泉酒家の総料理長。
酒好きでのんびりとした性格のじーさんだが、こう見えても一応は特級厨師である。
技量も卓越しており人望も強いが、店の切り盛りはチョウユに一任しており普段は気ままに過ごしている。
陽泉酒家の伝統「伝統を覆す」は彼の意向に寄るもの。


  • サンチェ
CV:阪口大助→岩永哲哉/岡本信彦(真)
マオの兄弟子に当たる料理人。上海の料理店「龍鎮酒家」の御曹司。過去のとある出来事から刀工恐怖症を患っていたが、マオとの特訓でチョウユに認められる。
しかし、思うところあってその教えを受けることをやめ、上海に帰った後自力で見事に克服。
その後は実家の有る上海に帰省。
裏料理界の陰謀に巻き込まれたが、マオ達と共に腕を振るい危機を乗り切った。この時には刀工の腕が凄まじく上達しており、刀工のスペシャリストたるレオンをして「俺と互角」と言わしめた*8
北京決戦にて「転竜壺」を引っ提げて助っ人に登場。最終回ではマオ達の旅に同行する。


菊下楼の人々

  • リュウ・カリン
CV:引田有美/萩原あみ(真)
「劉珂玲」。マオの姉。結構美人でおっぱいも大きめ。
「真」以降は出番が少なかった。


  • パイ
CV:吉田理保子/高橋美佳子(真)
マオとカリンの母。美熟女。
四川省国営菜館『菊下楼』の料理長で『仙女』と呼ばれるほどの名料理長であり、ショウアンの師匠であった。
ショウアンを四川省特級厨師として自らの全てを伝授し天才料理人として育て上げたが、マオにしてこの母ありなお人好しの性格が災いしてショウアンの悪しき本性と野心を見抜けず、恩を仇で返される形で手酷い裏切りを受けてしまう。
更には腕利きの料理人と財産まで奪われ、多額の借金を背負った挙句に過労で亡くなってしまった。
しかし、ショウアンのことを恨んではおらず、必ず戻って来ると死ぬ間際まで彼を案じていた。
実はかつてマオ同様に世界を裏から牛耳ろうとした裏料理界と壮絶な死闘を繰り広げ、伝説の厨具を求めて大陸中を旅して回ったという過去を持つ。
その当時のことを作った料理や、裏が用いた技や料理と共に日記として残しており、これは半分をマオが、残り半分をショウアンが持っていたが、上海での激突後にショウアンが死に際に置き土産としてマオに渡したことで一冊に戻った。マオが裏の技を知っていたのはこれを読んだためである。
また、この死闘に挑んだ理由は、裏料理界に拉致された夫・マリウを奪還するためだったが、梁山泊へ乗り込んだところでアルカンと引き分けたために果たせず終わっている。


  • ルイ
マリウの一番弟子。クールな一匹狼気質の青年で、カリンからは「ルイ兄さん」と呼ばれているが、マオはマリウの十三回忌で遭遇するまで会ったことがなかった。
龍厨師の一人で、宮廷御膳房のホープと目されている。その肩書に違わず調理技術は超一流でフェイからも「哥々*9」と慕われている。
…が、話が進むにつれ「颯爽と仲間の危機に駆けつけるも空腹のあまり気絶してそのまま拉致される」など残念なイケメン的な一面をのぞかせ始めている。



マオを取り巻く人々

  • ブラン仏領事
フランスからやって来た領事さん。マオとバジャールの米料理対決で、マオの作った「エビチリ炒飯」を他の審査員達と共に絶賛。
マオに軍配を揚げ、敗北したバジャールを解雇。
それが原因でバジャールはマオを逆恨みし、陽泉酒家を放火してしまう。
その後、陽泉酒家に見舞金を支給する。
「ト・ト・ト・トレビアーン!」


  • ジャン・バジャール
ブラン仏領事お抱えの料理人。
非常にプライドが高く傲慢な性格で、露骨に中国人を見下した態度を取る。
陽泉酒家に客として訪れるが、出された炒飯をボロクソに扱き下ろした挙げ句犬に食わせるという暴挙に及び、陽泉酒家一同の逆鱗に触れたことでマオと米料理勝負で激突。
ブラン領事のお抱え料理人という職業柄、審査員である5人のフランス領事館関係者の味の好みを知っていたためそれを利用して各審査員の好みに合わせたピラフを作って優位に立とうとするが、マオが5人全員の味覚に訴える訴求力を持ったエビチリ炒飯を作り上げたことで敗北してしまう。
マオとの米対決に敗れた後はお抱え料理人の任を解かれ酒浸りの日々を送るほど落ちぶれてしまい、逆恨みで陽泉酒家を放火。
広厨連の幹部の一人・ウェンを買収し、マオに罪を擦り付けて社会的に抹殺しようとしたが最後はリー提督の調査により、見事に悪事をバラされる。
その後、ウェン共々処刑されたと思われる。
因みに台湾で制作された実写ドラマ版では最終的に中華料理の素晴らしさを認め、マオ達と和解(勿論、放火はしていない)。
その後はマオに加勢した事も有る等、扱いは原作と比べると雲泥の差だった。
ちなみに、チャーハンを「焦げ臭い」と笑止したが、おかしいと思わないだろうか?
家庭で作るチャーハンからは(意図的に焦がさなければ)焦げ臭いにおいはしない。
実はこれ、「全身から焦げた臭いを放つが、実際はどこも焦げてない」という、神業な腕を持つ人だけが許されたチャーハンの完成形である。
中華料理の真髄たる「火工」を極めに極め、大火力を自在に制御し、焦げムラを作らず炒飯全体に均一に火を通すことが出来る熟練の料理人にしか不可能なのだ。
奴の不幸はそれを知らなかったことである。


  • 餃子兄弟
兄・カラオ(CV:森川智之)、弟・アル(CV:江川央生)。
流浪の厨師兄弟で、各地で餃子を売りまくっている。広州には餃子大会の賞金目当てでやって来た。
カラオは湖南省認定の特級厨師で非常に高い調理技術を持ち、弟アルの剛力とその技能を巧みに協力して扱いこなす。
一方対戦相手に暴行を加えたりネガキャンで風評被害を起こして妨害するなどかなり卑劣な作戦を使っていた*10が、料理そのものは小細工抜きでレベルが高く、あくまで料理に関しては正々堂々と勝負していた。
餃子大会に出場し、本来対戦相手になるはずだったチョウユの腕を負傷させて出場できなくする事で優勝しようと画策する。高い技術力と弟アルのパフォーマンスにより一時は圧倒的優位に立つが、自身の餃子を食べに来た老人を伝説の料理人ローウェン大師と知らずにぞんざいに扱ったことで墓穴を掘り、代理で出場したマオの焼き餃子に引き分けに持ち込まれてしまう。

最後は自分達の間違いを悔い改め、優勝決定戦では小細工抜きの全力で戦うが、その時作った餃子がどちらも龍をモデルにした蒸し餃子という偶然が発生したことで同じ土俵でのガチンコ勝負にもちこまれてしまい、最終的にマオが皮に仕込んだ2種の皮の膨張率の差を利用したギミックと、餃子の具に練り込んだエビミソで味に差をつけられ敗北。
湖南省の特級厨師ともあろう者がなぜそんな初歩的なミスを犯したのかは不明だが
アルが「兄貴が包丁を握るのは数年ぶり」と言ってることもあり、技術こそ錆びつかせてはいなかったが、ブランクで『餃子料理の基本』を疎かにしてしまったと考えるべきだろう。*11

勝負後は自分たちの至らなさを悟り、マオたちと和解して去っていった。
最終章の満漢全席対決では一料理人として出場するが、途中で棄権しマオ達に加勢。初戦突破の立役者となった。
台湾で制作された実写ドラマ版では裏料理界の一員で、完全な悪役として登場した。


  • シュウラン
広厨連の長老・クァンの孫娘。
幼少時代からクァン達に料理の味見の実験台にされて来た為病気になり、酒以外口にしなくなってしまった。
結果、多くの料理人達を死に至らしめてしまった。
しかし、マオの作った薬膳粥で温かさと健康を取り戻す。


  • クァン長老
CV:佐藤正治
広厨連の長老だが、自分の家族すら料理の味見の実験台としか考えていなかった。
結果、多くの料理人達の命を奪って来たが、最後はマオの活躍により、自分達のして来た事を悔い改め、改心する。


  • 広州餃子大会の司会者
広厨連主催「広州餃子大会」の司会を勤めた、広厨連所属のお兄さん。
眼鏡に満面の笑みが特徴。


  • ハン
CV:中田譲治
特級厨師試験の参加者の一人。
『陶江館の荒武者』の異名を持つガチムチなスキンヘッドの料理人で、ヌンチャク包丁を使い、豪快な料理を作り上げていく。
好奇心から他の料理人の様子を見に来たマオに対し包丁を投げつけて恫喝するなど喧嘩っ早い性格。*12
一方能力その物は非常に高く、一次審査、本試験とも純粋に料理の出来映えが高く評価されていた。
本試験では牛筋麺を披露し良い評価を貰うが、特級厨師の資格に目が眩み、マオの料理とフェイの料理にそれぞれ一点という低い評価を下してしまい、正しい目を持っていないとして失格となった。
会場を去る際、四年後は必ず取ってみせると誓っていた。
尚、アニメ版ではマオ達に謝罪するシーンが描かれたほか、紫禁城での料理大会にも姿を見せている。
後に「極」で料理修行の聖地「厨林寺」を訪れたマオ一行に特徴的なヌンチャク包丁が厨林寺由来であることが明かされ、彼もまたこの寺で修行していたことが明らかになった。


  • タン
CV:古田信幸
特級厨師試験の参加者の一人。
伴林酒家の副料理長で、その腕前はチョウユに匹敵する程ではあるが、発想力に乏しく、中々合格出来ないでいた。
本試験まで進出するも試験の目的を全く理解していない料理を出した為、失格となった。
「今年もダメだったか…三回目だってのに…。」


  • チェリン
CV:深水由美
特級厨師試験の参加者の一人。
本試験では芥子の実の乳液を使用したイカスミビーフンを出した他、マオの首に針を刺し、味覚を麻痺させる卑劣な手段を使った為、失格となり、
更に料理人資格を剥奪されたうえ、広州より永久追放処分となった。


  • リー提督
CV:小杉十郎太
宮廷料理界の総監。
過去にパイと面識があり、マオの良き理解者でもある。
栄えある中華一番!最初のエピソードで登場。菊下楼の総料理長の座を賭けたマオとショウアンの料理勝負を取り仕切り、負けた方は「料理人資格永久剥奪」というあまりにも非情すぎる掟を二人に言い渡す。
出した課題は「麻婆豆腐」。それもただの麻婆豆腐ではなくリー提督の思い出の中にある「特別な麻婆豆腐」の再現だった。困惑する二人に対し「答えは己の記憶の中にある」と意味深な言葉を残して去っていった。
マオはこの言葉を頼りに、過去に四川で「ある事件」が起こった年があったことを見出し、見事課題に答えてみせるのだった。
無事菊下楼の総料理長に就任したマオに対し、手づから紹介状を書いて広州の「陽泉酒家」で修行を積んでくることを命令。これをきっかけにマオの激動の人生が幕を開けることとなる。


  • ヤン知県
福建省の知県(県知事)。眼鏡がトレードマーク。
セイヨの台頭を許し、県の重要産物であるはずのフカヒレ市場が荒廃して行くのを看過するなど役人としての能力には疑問符がつく。
一方シェルの作ったフカヒレ焼売の皮が何であるのかを即座に言い当てるなど舌に関しては確か。


  • 上海商店組合の長
上海の船上で行われた「マオ一行VS裏料理界」の審査員達。
全員歓楽街や食材市場などといった商店を束ねる各組合のトップであり、「能力のある存在が秩序を保ってさえいればそれが誰だろうと(裏料理界だとしても)構わない」というリアリスト思想。
その宣言通り贔屓抜きに料理の出来だけで優劣を判定してゆく*13が、最後はマオの「魔術猫熊豆腐」に票を入れた審査員が多かった為、マオ達に軍配が挙がった。
「竹林でパンダが遊んでる〜!」


  • ウォン・セイヨ
CV:龍田直樹
マオたちが旅に出た直後、船便を探すために立ち寄った福建省の港湾地区で遭遇した自称特級厨師。
慇懃無礼な口調で徹底的に相手を見下し、床に投げ捨てた料理を足で踏みにじるなど品性の欠片もない下衆であり、金や暴力等の手段に訴えて町の有力な料理店を根こそぎ潰しフカヒレ料理品評会に参加できなくすることで抵抗手段を奪う*14という卑劣な方法で町のフカヒレ市場を独占していた。
が、セイヨが出品する予定だった料理をシェルが作ったものにすり替えるという予想外の方法を取られたことでマオたちの存在がヤン知県の目に止まってしまい、フカヒレ料理品評会出場を許してしまう。
本大会では立場上、粗末なフカヒレしか手に入らないマオ達を前に完全に高を括りいかにも高級そうなフカヒレの姿煮で好評価を得るも、マオが工夫を凝らして作ったフカヒレの腸詰めに敗北。
さらに特級厨師を詐称した三級厨師だったこと*15や町での悪行を品評会の場で暴かれ逮捕された。
その後も「アワビ魔神」「魔勒如来」など名前を変えて悪役兼コメディリリーフとして度々登場している。
登場の度従えている部下が変わるが、最終回に登場した魔勒十二神将は最後の最後までセイヨに対する不満を口にしておらず、意外にも人望は厚いのかもしれない。
「アワビ魔神」を名乗って悪行を働いていた時になんと伝説の厨具「魔青銅器」を手に入れ、その神通力の一部を操って見せている。セイヨのようなドサンピンの下衆が使いこなせるはずがない代物なので、「廃品として処分されそうになっていたところをセイヨが回収したのでその恩に報いる形で手を貸したのでは」と当初マオ一行は推察していたのだが、続編の「極」で「作ったシュウリ自身が一生をかけても破壊できず封印するしかなかった」事実が明かされ、セイヨが魔青銅器を扱えた理由は再び謎に包まれることとなった。
+ 「極」では
今度は日照*16で半ばキャバクラ(というかほとんど性風俗紛い)の料理店を経営しつつ海鼠(ナマコ)大帝を名乗って性懲りもなく暗躍していた。しかも封印されたはずの魔青銅器をどういう訳か再び手にしており、その神通力を持って周辺地域の若い女を洗脳して侍らせる、海鼠の漁業権を独占して地域の財産を食い物にするなどその下衆っぷりは相変わらずのようである。

  • 玉仙大師
齢150を超える中国料理界の頂点「大四」の一人。貧相な姿の老人に見えるが、多数の仙術を身に着けた仙人であり、同時に卵料理の達人。そしてマリウの師でもある。
マリウの十三回忌法要の直前に現れ、マオのチャーハンを食べるも満足せず退店。その際に残した言葉からヒントを得たマオが新たに編み出した奇想天外な玉子チャーハンを絶賛し、「玉子料理を見ればその料理人の性質がわかる」とマオに語った。
その後、マリウがまだ生きていること、そしてマオがこの先「敵」と戦うことになると予言し、去って行った。
その後はマリウの足跡を追って居を構える青兆山を訪れたマオ一行に対し、調理の如何によって全く別の食材であるかのような姿を見せる卵のように、その全体像が(直接対面しあまつさえ師となって料理を教えた自身でさえも)全くつかめず顔すらも思い出せない不思議な存在であると語る。
そしてその足跡を追って太極料理界なる組織も暗躍しているということ、太極一派よりも早くマリウを探し出さねばならないことを告げ、マリウの存在に近づくと輝くとされる「水晶卵」を託した。

  • 水鏡先生
杭州の西湖に居を構える中国料理界の頂点「大四」の一人。風雅な雰囲気を漂わせた青年のような姿だが年齢不詳。占術の使い手で、中国大陸の様々な場所の様子を水鏡に映し出して視ることができる。
保管していた転龍壺がひび割れてしまったことを相談しに来たサンチェに対し、「太極料理界が暗躍していること」、「ひび割れは転龍壺完全復活の兆しであること」、「そのためには他の八厨具と相まみえることが必要であること」を伝え、送り出した。


  • タンリィ
CV:田中正彦
サンチェの父。
「龍鎮酒家」の料理人であり、料理界の重鎮となっているほどの有能な人物である。
アニメ版の過去の回想シーンでは彼の人物像が掘り下げられているが、良くも悪くも厳格な一面が強調されており、妻子に対しては高圧的な態度を取る場面も描かれていた(今で言うとDV男)。

  • "変面厨師"オルファ
玉龍鍋獲得を賭けた西安での麺料理決戦で登場した謎の料理人。「変面厨師」の肩書の通り川劇*17の変面師のような奇抜な仮面を被り派手な出で立ちの服を身に纏った男。
その調理技術はもはや異次元の神域に達しており、手にした青龍刀のような大包丁を巧みに操り、凄まじい刀工技術で食材を劇の登場人物を象りながら華麗に調理してみせ、その実力でフェイ&ルイの龍厨師コンビを軽々と上回ってみせた。*18
「丹鳳門」なる料理店の代表として大会に参加し、初出場ながら名だたる老舗料理店を抑えて決勝トーナメントに進出。後述する太極料理界の「太極宮」から人質として参加させられたフェイ、ルイと対決。前述の華麗な技術で調理を川劇「白蛇伝」に見立てて繰り広げ、出来上がった七色蒸し麺で他を圧倒する腕前を見せつけた。
+ ネタバレ注意
オルファの正体は、
  • 消息不明となっているマリウが「西安にいる」という情報の通り、西安で初登場した。
  • オルファを見たときにマオが感じた「不思議な懐かしさ」
  • 変面術の源流である川劇は「四川」の伝統芸能であること
  • 手にしている青龍刀のような大包丁は「マリウの泉」と呼ばれる泉に刺さっていたもので、マオ一行が抜こうとしたがびくともしなかった。
  • 更にその泉はかつて「『マリウ』と名乗る旅の料理人が手にしていた包丁を地面に突き刺したところから泉が湧いた」という伝承がある。
  • 調理技法の端々に四川料理の調理技法が見え隠れする。その技術を見たルイも師であるマリウを連想していた。
  • 仮面で顔を隠していることや変面によって次々仮面の表情が変わってゆく点がマリウの「誰もがその顔を思い出せない」という特徴と奇妙に符合している。
  • 超一流を超えて異次元の域に達している調理技術。
  • 「圧倒的大スケール」「奇想天外なギミックを組み込んだ料理」という料理の特徴がマオの料理の特徴と酷似している
  • 玉龍鍋が継承者として認めた=八厨具全てを扱える人物である*19という点がそのまま玉麒麟たるマリウに当てはまる。
という描写から後述するマオの父「マリウ」ではないかという疑惑が非常に強い。無論あまりにも露骨すぎる描写からミスリードである可能性も否定できないものの、現状明確に八厨具を全て扱えると明言された人物がマリウしかおらず、本人である可能性も大いにあるといえる。




厨林寺

「極」で登場した山寺。元は少林寺の料理人たちが起こした修行の場。
開山以来受け継がれている「真の目的」のもと、全員が腕のある料理人であると同時に武術を極めた僧兵であり、ラモンをして「50年、100年じゃ到底攻め落とせない」と言わしめるほど。
チョウユやルイ、フェイ、ハンなどもかつてここで短期間修行を積んだことがある。

寺の奥にある「八霊塔」には伝説の厨具に関する真実を記した「八極聖典」が封印されているが、現在の厨房長であるオウカですら近寄ったことはなく、ここを警備する僧兵たちは寺の中でも最強クラスの連中である。

  • オウカ
厨林寺料理長。壮年の僧侶で盲目だが、その料理の腕はマオを圧倒するほどの凄腕。
温厚で穏やかな物腰ながら、武術や気功の扱にも長けている。
八仙の一人スワンの宿敵とされ、彼と抗争を繰り広げてきた。視力を失ったのは三年前のスワンとの武力激突の際、業火でスワンを焼き尽くした際の余波が原因。

  • ガイ
厨林寺の修行僧。非常にストイックな性格であり、修行の場によそ者が入って来ることを嫌う。
そのため当初はチョウユの紹介で訪れたマオに対しても武術による入門試験を課して追い出そうとしたが、己を見つめ直し一瞬「無」の境地に至ったマオに圧倒され、実質的な敗北を喫する。
その後はオウカの助言もあって渋々マオとシロウの入門を受け入れ、修行をつけている。
その後はメキメキと力をつけてゆくマオの成長を内心喜んでいたり、八霊塔での料理勝負に望むべく塔の扉の開放に挑んだ際は、心のなかで応援していたりとツンデレ気味な姿も見せるようになった。

裏料理界

陰から料理会を牛耳ると言われている闇料理人の集まりで、任務に失敗したら組織から暗殺されるのは当然。
勝つためならば盤外での卑劣な手段も躊躇なく使う悪の組織のお約束が詰まった連中の巣窟。これ料理漫画ですよね?
我らこそが真にして究極の料理人であると表舞台に現れたが、マオ達の活躍により首領のカイユが敗北してしまった為、そのまま解体されてしまった。
後に続編の『極!』で語られた内容によれば、元々は太極料理会に属する一派であったが、そこから暴走して離反したのが、この裏料理会ということらしい。
詳細は項目を参照。

太極料理界

裏料理会の源流に当たり、いわばこちらが表と裏を含むあらゆる料理会の中枢として存在している。
宋時代の偉人“及時雨”宋江率いる英雄たちに仕えた料理人たちが、後に伝説の厨具を生み出した料理人・シュウリを中心として立ち上げた組織であり、裏料理界はこの組織の過激派が分離し、梁山泊で細々と長らえていたところをカイユによってまとめ上げられたことで生じた分派である。
裏以上に徹底的な姿勢で料理の追及を行っており、そのためならば才能ある料理人の拉致や暗殺も辞さない危険な集団であり、歴史の裏で龍厨師たちと暗闘を続けてきた。
現在のメンバーはシュウリの子孫で構成されており、伝説の厨具と、厨具に認められるだけの腕を持つ料理人を集めて、不老不死の人間を量産して武力による世界征服を企んでいる。
伝説の厨具を継承する資格を持つ「朱雀厨師」と、8人の最高幹部「鳳凰八仙」によって構成されているが、裏ほど上下関係に差があるわけではない模様。
また関係者の異名は今のところ全て水滸伝に登場する梁山泊百八傑及びその関係者の異名に由来している。

厨具のうち、「真」最終回でフェイが放棄した迦楼羅刀を保持しており、後に玉龍鍋の片割れも強奪している。



鳳凰厨師

別名「鳳凰八仙」。太極料理界の最高幹部たち。
一応太極料理界という括りでははあるものの「五虎星」と異なり横の繋がりは薄いらしく、八人がそれぞれ別々の拠点を持ち独自の勢力を率いている。一同に集うのも首領のタイからの招集が掛かったときくらいで、常に梁山泊を拠点に集団で活動していた五虎星とは大分様子が異なる。
どちらかというと「共通の目的の為に各々勝手に活動している」ような状態。
その実力はジュチ曰く「梁山泊の面々や、特級厨師や龍厨師では逆立ちしても勝てない」「人間じゃない、仙界のバケモノ」レベルらしい。
そして、彼らとの戦い「太極料理勝負」は命がけであり、敗者は様々な手段で抹殺されることになる。無論それは当の八仙ですら例外ではなく、そして当人たちもそれを当然の常識として受け入れている。
8人がそれぞれ一つ伝説の厨具を継承する「真の使い手」であり、単に力量を認められただけの者と違い厨具の真の力を引き出す事が可能。
またどういう訳か30年以上前から全く姿が変わっておらず、その存在自体にも不可解な部分が多い。*20

  • “托塔天王”*21タイ
鳳凰八仙の一人にして、太極料理界の首魁。
現状は後述するスワンの回想でのみ登場しておりその詳細は不明。
継承する厨具は「玉龍鍋」。


  • “母夜叉”*22アルニャン
続編「極」で登場したシャンの姉貴分で、マリウを追うマオの命を狙っている。
巧みな変装技術と、生物が抗えぬ『母性』を駆使して高度な幻術に嵌めてしまい、凄腕の料理人であったマオの母、パイにすら成りすます程の腕前を持つ。*23
包容力のある穏やかな雰囲気の持ち主の美女。しかし一度怒らせると、二つ名が示すように夜叉のごとき形相特徴に変貌する。
加えてシャン以上に狡猾な性格、かつ自ら工作を行う行動派でもあり、ルイの暗殺を試みる、マオを幻術に嵌めて操り太極に引き込もうとするなど、盤外戦術も多用する。特に周囲になんの疑問も抱かせないまま当たり前のように集団や組織の一員として溶け込み馴染んでしまう人心収攬術は恐るべきものであり、セイヨの料理店に潜入した時は誰からも野心を疑われる事なく人気接待嬢としての地位を確たるものとして完璧にに気配を消していた。
一方で同志である他の八仙に対しては今のところそのようなゲスい態度は見せておらず、特に後述のジェランには珍しく弱音を吐くような姿も見せるなど親しげな様子で仲間意識は強い様子。自ら前線に赴いて命懸けで任務を遂行しようとする様子や、命懸けで自身を救ってくれたシェルに恩義を感じて命を助ける純情な一面も見せており、「野望のために組織や仲間すら欺き利用する悪女」なのか、「信念に殉じるためなら手段も問わない鋼の女」なのかは現時点では謎に包まれている。
作中では玉仙大師に会うため青兆山を目指すマオ・ルイ一行の前にシャンとコンビで「肉まん姉妹」を名乗り登場。暴漢*24に襲われたところを救われたことで一行を私邸に招き、特産の魔芋(コンニャク)で歓待する。…と見せ掛けて一行を殺害しようとするも、既のところで感づかれて失敗。そのまま行方をくらます。*25
続いて青兆山に到着したマオ一行の前にシャンを引き連れて再度登場。マオたちの非難をそらとぼけた態度でかわし、案内人のアマンにいつの間にかマオ達の荷物からスリ盗っていた岩塩塊を手土産に媚を売って案内を頼もうとするが、入山人数の上限を理由に突っ撥ねられ、なし崩し的に入山の権利を賭けてマオとの筍料理勝負に挑むことになる。
シャンの妨害でマオたちが不利だったとはいえそれとは関係なしに圧倒的な調理技巧で極上の料理を作り上げ、マオすら自身の勝利を確信しきれないほどの異次元の力量を見せつけたが、ここに来てシャンの特大のやらかしが炸裂したことで料理の致命的な欠点を克服してしまった*26マオが一歩リードしたことで敗北。自らに打ち勝ったマオをまるで母のように抱き締めて褒め称え、一時撤退を決めて去っていった。
その後下山してきたマオに対しパイに扮して接近。実は先ほどの抱擁はマオの首筋に幻覚作用のある毒針を刺すための工作であり、ツボを狙った針と幻覚毒を利用してマオを洗脳しにかかる。しかしすんでのところで失敗し、玉仙が託した水晶卵の一つを盗んで逃走した。
継承する厨具は「霊蔵庫」。


  • “母大虫”*27ジェラン
西安にある太極料理界の拠点のひとつ「太極宮」の責任者。継承する厨具は「魔聖銅器」。
「美しい料理」の追及に余念がない傍ら、「太極料理界は裏ほど甘くはない」と語る、SM女王然とした女性。側近は女性で固めており生粋のレズビアン。
眼鏡にかなわない料理を作った料理人を容赦なく処刑したり、要求に間に合わない部下の指を切り落とすなど、性格は冷酷。*28
その一方で裏料理界で発展した独自の技については把握できておらず、裏から流れてきたシャンに対しては一目置いているなど見込みのある料理人には一定の敬意を払う大幹部らしい度量も備えている。
ベネチアンマスクで顔を隠しており、抜群のプロポーションを持つ美女だが、人前であろうと構わず全裸かローブ1枚で過ごしている。*29
スワンの30年前の回想では仮面を被っておらず素顔を見せていた。
作中では西安での麺料理大会の際に初登場。拉致したフェイと腹が減りすぎて勝手に倒れて捕まったルイに対し料理対決で勝ったほうの命を助けると宣告するが、二人が示し合わせて引き分けに持ち込んだのを見て感心。ルイを人質としつつ、失態を犯した部下の女官二名を汚名返上のチャンスも兼ねてフェイの監視役兼助手として送り出し、麺料理大会の景品である玉龍鍋獲得を狙う。
アルニャンの活躍で玉龍鍋を手に入れたあとは前述の女官を引き連れてタイに玉龍鍋を引き渡しに向かったが、立ち寄った日照(リージャオ)でなんと自身の継承厨具である魔青銅器と懲りずに悪巧みをするセイヨを発見。セイヨの風俗店に乗り込むと案の定役得とばかりにおにゃのこと戯れつつボンデージ姿のSM女王様スタイルに華麗な大変身を遂げてセイヨをムチでシバき倒し、魔青銅器の在り処を吐かせる。しれっと連れている虎の名前が判明したり、今まで魔青銅器と呼ばれていた厨具の名前が実はセイヨが勝手に命名しただけだったことが発覚したりなど重要情報が次々明かされているのだが、セイヨ再登場以降の一連の話のインパクトに飲まれていまいち影が薄い気が…&

  • “混世魔王”*30ケイカ
ストイックな性格の青年。
崋山をアジトとして活動しており、「鶏料理において自分に勝る者はいない」と豪語する自信家。
ラモンに依頼して各地から有望株の料理人を拉致させており、集めた料理人を徹底的に鍛え上げて伝説の厨具を扱える人材を見出すことを目的としている。
その自信は決して虚勢ではなく、白羽帯なる布帯を手足のごとく自在に操り、鶏の下処理から本調理までこなしてしまうとんでもない技を駆使し、
油淋鶏対決では油術を極めた太極秘技「発皮羽通油」(ハッピバーデーツーユー)を使い、油だけで鶏の旨味を引き出した超王道油淋鶏を作り食したマオが『料理人として真正面から負けた』と認めスランプに陥るほどの完敗に追い込んだ。
継承する厨具は「迦楼羅刀」。


  • “霹靂火”*31ラモン
「転龍壺」の継承者。
およそ太極料理界の最高幹部とは思えないようなノリの軽い朗らかな青年だが、時折底知れない凄味のある顔を見せる事がある。
各地から誘拐した厨師を崋山へ運ぶのが役割であり、飛行船「マイカオーフェイジン号」の船長を務める。
一方で太極料理界の掟に反し、敗北した料理人でも有望株に関しては助命を提言したり手ずから救出する*32、自身を「ただの運び屋」と自称するなど不自然なほどの「いい人ムーブ」を見せつけており、敵側で一番真意の見えない人物でもある。

生体電流を操る超能力を持った電気人間であり、手にした得物の棘付き鉄球「狼牙棒」から自在に放出して静電気を操作することができる…というかもはやフォースのような様相を呈しており、遠隔操作で食材を手元に引き寄せる、フォースライトニング電撃を浴びせて肉の熟成を促す、挙げ句遠隔操作で多数の調理工程を同時並行するなど人間業ではない。
ちなみに旨い料理を食うと味覚への刺激が生体電流を加速し、無意識に稲妻となって放出され可視化されるというよくわからない体質の持ち主であり、部下曰く稲妻10本が満点とのことだが、明らかにそれ以上の本数が飛んでいたりする。
八霊塔での料理勝負ではサンチェと対戦し、辛くも勝利。だが直後、敗者を処刑する稲妻から転龍壺を覚醒させることでサンチェを守っている。


  • “雲裏金剛”*33スワン
嵩山の太琳寺を根城に、人間の欲望の解放とその果ての救済を説く破戒僧。
全身に包帯を巻いており、激しい物腰の持ち主。
凶星揃いの八仙にあって「最凶」と呼ばれる一方で紆余曲折の末マオと料理対決に挑んだ際は食材を取り合って子供じみた喧嘩を始めて部下やラモンに呆れられるなど人間臭い一面も見せる。
八仙の中でも独自の存在感を持っており、全身を女官に縫わせて「修復」し、「赫酒」と称して血を飲む習慣がある。
太極料理界から奪取され、厨林寺に封印されている「八極聖典」を狙っており、その目的に並々ならぬ執念を燃やしている。

その正体は伝説の厨具全てを用いて調理された「不老不死の料理」を食べた男であり、同時にメイリィの高祖父に当たる存在。その年なんと300歳。あの大四の玉仙老師の2倍もの歳月を生き続ける化け物である。
ただし不老であっても不死が完全ではなく、肉体が崩壊しかけている*34ため、それを防ぐために八極聖典を狙っている。またその影響から贅を凝らした料理を食べると食材の生命力を吸収して身体が再生する特異体質の持ち主。
実は過去数度に渡り「不老不死の料理」を食べて寿命を延ばしており、最後に食べた30年前時点で既に270歳。*35しかし不完全な「不老不死の料理」は単に寿命を伸ばすだけに留まるだけでなく食べた者の肉体に苦痛を伴う何らかの副作用を引き起こすようで、30年前に食べた「極めて完成に近い」料理を食べた際には想像を絶するような苦しみを味わったらしい。
八霊塔での料理勝負ではマオと対戦。「三界皆苦」料理対決にて己の「(ドゥッカ)」を表現すべく、己の過去と向き合うこととなる。
+ 過去
かつて太極料理界の平構成員だった頃、スワンは当時の首魁ツァイの妻であるメイランと共に八極聖典の解読にあたっていたが、いつしか二人は道ならぬ恋に落ちる。メイランがスワンの子を身籠ったのが発覚したのを切っ掛けに二人は太極料理界を脱走。*36スワンの子は無事産まれるがメイランは産後の肥立ちが悪く、死の病に冒されてしまう。
メイランを救うべくスワンは決死の覚悟で太極料理界から八厨具を強奪し、それまでに解読した八極聖典の情報を基についに不老不死の料理「八厨霊菜」の試作品を完成させるがあと一歩間に合わずメイランは帰らぬ人となってしまった。
メイランを救えなかった無念と己の無力に絶望したスワンは不老不死の妄執に取り憑かれ、以後八厨霊菜の完成に全てをかけて邁進し始める。そして30年前についに「極めて完成に近い」料理を作り上げるが、前述の通り壮絶な副作用により全身が生きながら腐ってゆくような状態に陥る。この一件で決定的に精神を歪めてしまったスワンはその肉体的、精神的苦痛から逃れたい一心で欲望に溺れ続ける日々を過ごすようになったのだった。
つまり厨林寺に戦争を仕掛け続けていたのは八極聖典獲得にかこつけたとんでもない八つ当たりである。
本調理では極まった気功術でもはや誰も突っ込まないがほとんど超能力も同然に砂を自在に操り、仏教僧のくせにミイラ人間ネタに引っ掛けた古代エジプト風の演出で砂に蓄えた熱で食材を完璧な状態に仕上げる超絶技巧を披露。不老不死に賭ける己の信念とメイランの追憶を「永遠不滅」という形で表現した中華料理なのに熱砂披薩餃(サッピアカルツォーネ)」を創りあげ勝利を確信する。
しかし返すマオの「回転寿司」に「輪廻」「世代交代」という形で表された「(シューニャ)」を見出し、己の理想の歪さを自覚。食べて300年の寿命を受け入れ、自ら敗北を宣言する。最期はラモンに世話を焼いてくれた事への感謝の辞を述べ、砂となり死亡。その魂は八極聖典に宿ったメイランの魂に迎えられ、永霊刀の龍と共に天高く昇っていった。結果として八仙最初の脱落者となった。
継承する厨具は「永霊刀」。


  • “神行太保*37”ヒョウカ
スワンの回想でのヒョウカは鎖で鐘のようなものを2つぶら下げた長棒を携える女。見る限りでは非常に小柄で年端も行かない少女のようにも見える。
継承する厨具は「貪狼壺」。ラコンやシェルと同じく「長い棒」を獲物としている事と貪狼壺がミンチを作成する機能を備えている事を鑑みるに恐らく点心を得意とする料理人だと思われる。
125話で本格参戦。初出が30年前の姿であるため現在はどうなのか不明だったが、やはり回想と変わらぬ姿で参戦した。太極料理界第三位の実力者。
最大の特徴は冷気を操る厨師だという所。
周囲の人間を氷漬けにする、瓶に入った水で瞬時に氷牢を作る、冬瓜を凍らせて氷細工を作る、流した涙が凍る、厨房にスケートリンクを作る…等、先述のラモンに負けず劣らずの人外っぷりを見せる。(シロウ曰く『異常能力八仙の新型』)
神行太保の異名に恥じず千里の道を不眠不休で走ってきてすぐに料理ができる辺りスタミナも人外レベル。
比較的冷静な性格らしい。…と自称しているものの本人の素の性格は猛烈な負けず嫌いのガキンチョのような有様。*38
料理勝負では駆けつけてきたフェイとの対決が決定。どうやらフェイとは浅からぬ因縁があるようだが…?

  • “神機軍師”*39ウー
回想でのみ登場している詳細不明の八仙の一人。巻布で顔を隠し大きな丸盾を携えた大男。
継承する厨具は「玉龍鍋」。2つある玉龍鍋の片割れであり、もう片方を組織の長であるタイが継承している事を鑑みると恐らく組織のナンバー2格と思われる。


朱雀厨師

裏でいう麟厨師に相当する存在。
全員が太極料理勝負によって、命がけの戦いを切り抜けた末に伝説の厨具を操る資格を得た超・実力派の集まり。
とは言え既にマオたちも八仙級の化け物と戦い裏料理会すらも打倒した実力者のため現状は半モブの下っ端的な扱いになっている。

  • “八臂那鉈”*40コウジュ
朱雀厨師の一人。マオとの戦いに臨むケイカに招集され、助手を任された。

  • リホウ
太極料理界の河南省洛陽における出店の一つ「洛水酒家」の料理長。朱雀厨師の一人で、異名は不明だが「朱雀厨師五人衆」なる幹部集団の一人らしく他の無名モブとは一線を画する実力の持ち主。
同地の名物料理「洛陽水席」、その中でも極まった達人にしか作る事が出来ない「牡丹燕菜*41」を得意とする。
流石に出店の料理長を任されるだけあり肩書に恥じない高度な刀工と調理技術を見せつけたが、「技術偏重で発想力や独自性に乏しい」という特級厨師試験で登場したタンと全く同じ欠点*42があり、それが致命的な敗北へと繋がってしまった。
情報を聞きつけて殴りこんできたチョウユを相手に、彼が持参した永霊刀と捕まったマオとシロウの身柄をかけて料理勝負を挑んだが、あえなく敗北。
永霊刀を強引に奪おうとしたことで厨具の怒りにふれ、右腕が破裂する重傷を負い再起不能となった。

  • “一丈青”シャン
CV:岡本麻弥/甲斐田裕子(真)
裏の料理人。グラマラスなスタイルをした妖艶な美女だが性格は性悪。
本作におけるお色気要員の1人であり、露出度が高い衣装が特徴である上、DVDジャケットではパンチラを披露していた。
上海の船上でマオ達と対決しており、三回戦で同門だったレオンと対決。
蟹玉と蟹スープを作り、審査員達の味覚を蟹スープの強力なエキスで狂わせ、レオンを失格にしてしまう。*43
上海での対決時はレオン同様七星刀を持っていたが、これはレオンが手にかけ川に転落した刀鍛冶・ラァチェを介抱し、その礼として作らせたもの。そのラァチェは完成後に殺害している。
その後、レオンと刃を向け合うも、魂魄となって七星刀に宿っていたラァチェの魂までは欺けず、彼女の七星刀は無惨にも砕け散ってしまった。
レオン戦までは狡猾な強敵のようなポジションだったのだが、それ以降は驚き役としての役割が多くなっていった。
『極』では太極料理界にしれっと転向。
姉貴分のアルニャンと共に「肉まん姉妹」を名乗って行動。マオの父・マリウについて、裏の源流と深い関係があることを示唆している。
ちなみに当初は素性を隠して私邸に招いたマオたちを歓待していたが、「そんな美人でこれほどの料理が作れるのは他にいない」という理由からあっさりマオに正体を見破られた。*44


【テレビアニメ】

中華一番!

1997年4月から1998年9月までフジテレビ系で放送された。
原作連載中のアニメ化だったため、アニメ化されたのは「真」の途中まで(一部エピソードのカットや入れ替え、アレンジがある)。
野球中継や特番での放送休止が多く、全52話だが放送期間は1年半にわたる。

スタッフ

企画:金田耕司
監督:案納正美
キャラクターデザイン:岸義之、二宮常雄
美術設定:伊藤主計
音楽:太田美知彦
音響監督:藤野貞義
料理監修:服部栄養専門学校
アニメーション制作:日本アニメーション
アニメーション制作協力:スタジオぴえろ
製作:フジテレビ・日本アニメーション

真・中華一番!

2019年2月4日にアニメ「真・中華一番!」制作決定の情報が公開された。約二十年ぶりのアニメ化。
2019年10月より同年12月までMBS、TBSほか”アニメイズム”枠にて放送される。全12話(第一シーズン)。
放送終了直後に続編制作を発表。2020年9月7日には新キービジュアルともに2021年に放送されることが発表された。exit2021年1月から13話以降が開始。

タイトル通り、「真」の冒頭から開始、これらのエピソードを主軸となる。無印テレビアニメ版で取り上げていなかった以降の話は16話からとなる。
また、キャストも過去作から一新された。

スタッフ

原作:小川悦司
監督・シリーズ構成:川崎逸朗
キャラクターデザイン:長谷川早紀
アニメーション制作協力:Production I.G
アニメーション制作・制作:NAS
企画・制作:JY Animation
製作:「真・中華一番!」製作委員会


シロウ「マオ兄ィ、追記・修正頼むぜ。」
マオ「ダメじゃないかシロウ。追記・修正位最後までやらなきゃ。」

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最終更新:2024年04月09日 14:01

*1 例えばショウアン戦での豆腐料理対決では、シャンの妨害によって料理開始直前に食材の豆腐の材料の大豆をダメにされるという致命的な状態に追い込まれながら、その状況を逆手に取り即座に切り返しの手段と料理完成を間に合わせるための方法を思い付いて見せ、妨害したシャンを戦慄させている。

*2 真の2話でシロウが「茶髪娘」と呼んでいる。

*3 胸にはかなりの自信があるらしく、『極!』で恋敵の女性料理人が出てきた際には、「胸しか勝ってる所ないけれど」と言うくらい。

*4 シェルがマオと出会ったのも、シロウの作ったシケた五目野菜炒めがきっかけ。

*5 面点師とは点心料理の専門家のこと。点心とは麵料理や餃子、焼売などの小麦粉を使った軽食。軽食とはいっても中華料理では非常に重要な位置にあり、一流の面点師は一流のシェフに劣らない権威を持つとされる。

*6 ウォン・セイヨが詐欺で稼いだ金で建てたもの。

*7 ただしシュウマイを軽食としか捉えていなかったシェルに対して、マオはシュウマイを並外れた発想により宴席料理に発展させてみせたことから、シェル自ら敗北を認めた

*8 新アニメ版では刀工恐怖症こそ克服したものの技術までは不完全でたまに包丁が乱れるとされ、原作および旧アニメでの裏料理界との戦いもカットされてしまった

*9 兄貴、兄さんと言った意味

*10 このような卑劣漢と化したのには過去のある出来事が原因であり、旧アニメ版ではそのことが特に掘り下げられていた

*11 マオの餃子を試食したカラオはすぐに味の差に気付いており、エビミソの存在を知らなかった訳ではない。

*12 一応補足しておくと特級厨師試験は4年に一度しかなく、また一次試験を突破できる人数はわずか五人の狭き門であるため、他の受験者に自分の料理の内容を知られ模倣されるのはなんとしても避けたいだろうし、マオの存在を不快に感じるのも仕方はなかった。マオも直後フェイにその点について釘を刺されている。

*13 シャンの色仕掛けに釣られたかのようなシーンもあったが、その際も判定の理由自体は味の優劣(といってもそれすらもシャンによって仕組まれたものだったが)で決める点だけはぶれなかった。

*14 フカヒレの各店舗の配分は毎年開かれるフカヒレ料理品評会で決められるとされており、ここに出品できないということはすなわち料理店の命であるフカヒレが手に入らないということ。これにより店が経営難に陥る→品評会に出られない→フカヒレが手に入らない→ますます経営難になるという悪循環が形成されてしまった。

*15 品評会では「作るのに非常に繊細な技術を要する」フカヒレの姿煮を出しており味も高評価だったし、前年度の品評会で出したフカヒレ餃子をヤン知県が言及する…など意外にも出品した料理の評価は高かったが、最終回に至るまで一度も自力で料理しているシーンが無かったことや、金で料理人を引き抜いていた事を見るに、自力で作ったかどうかに関しては大分怪しい。

*16 山東省の南部にある地域。黄海に面し東には青島もある海運の要衝。

*17 京劇に似た形式の四川省の伝統芸能。いわゆる変面芸の源流。

*18 勝負自体はアルニャンの妨害によって水入りになり結果は出なかったものの、逆に言えば妨害してでも止めなければそのままオルファが圧倒していた。

*19 玉龍鍋はその継承者が全ての伝説の厨具の主となるという伝承があるため。

*20 少なくとも不老の存在ではなく、(後述するスワンを除き)幾度も代替わりを繰り返しているらしい。

*21 水滸伝の登場人物である晁蓋の異名。彼のみ梁山泊軍結成前に戦死したため百八星に数えられていない。

*22 梁山泊百八星の一人、孫二娘の異名。女性だが非常に苛烈な性格で、旅人から金目の物を奪った挙げ句殺害して人肉饅頭にして自身と夫で経営する料理屋で出したという凶悪性からこの名がついた。

*23 マオも幻術に嵌っている最中とはいえ、料理の違いに気付けば即座に看破出来ただろうが、彼女はパイの腕前さえも完全にトレース出来るという証左であろう。

*24 もちろん太極料理界の手の者でありマッチポンプ。

*25 この時の描写はコンニャクの花が放つ腐肉のような悪臭や魔芋が肉の代用品になるという話題などどこかカニバリズムを連想させるような不穏な雰囲気だった。恐らく前述の孫二娘の人肉料理屋の元ネタに因んだ展開だと思われる。そういえば「二娘」も中国語式だと「アルニャン」と読めるが…?

*26 筍を使ってマオが作ったのは「春巻」。しかし春巻には味の決め手となる「肉」の存在が不可欠であり、肉として使える禽獣も調理場付近には生息していないことも事前にシャンが確認していたため失敗作になるはずだった。が、マオを歓待した際に魔芋肉の作り方まで話してしまったことと、まるで使ってくださいと言わんばかりに岩塩塊を盗んだ際に魔芋を代わりに置いてきたことが仇となりこの致命的な弱点を「魔芋肉で」克服させてしまったのである。またしても妨害を逆手に取られてしまうシャンなのであった。

*27 梁山泊百八星の一人、顧大嫂の異名。「大虫」とは虎を指す言葉であり、文字通り女でありながら猛虎の如き豪傑だったためその名が付いた。ちなみに彼女も孫二娘同様夫婦で料理屋を営んでおり、太極料理界が出店を持っているという設定はここに由来する可能性が高い。

*28 しかし失態を犯して一度処刑を宣告した部下の女官に対しなんだかんだで挽回のチャンスを与えるなどの一面も。ちなみに結局処刑は見送ったのか後にジェランが再登場した際には再び側に仕えている姿が見られた。レズなので女には甘いのかもしれない。

*29 これまで女性の裸体に関してはうまくボカしたり髪や物で隠したりしてきたが、ルイの三不粘を食べたときのリアクションでついに誤魔化しが効かなくなりこの作品初の黒海苔発動と相成った。流石に公衆の面前に出る際は色々マズいのかドレスを身に纏っている。因みにシリーズ通しての黒海苔初発動は前作「真」最終章でのセイヨの○ン隠しだったりする。

*30 梁山泊百八星の一人、樊瑞の異名。西遊記に登場する同名の魔物の頭に由来する名前で、二人の部下もそれぞれ西遊記に由来する異名を持つ。

*31 梁山泊百八星の一人、秦明の異名。非常に短気で怒りっぽく、また割れ鐘のような大声で怒鳴る事からこの名が付いた。

*32 後述の通りサンチェを処刑から救った際は「サンチェ師傅はこんなところで死んでいい料理人ではない」と明言した上で、タイに報告すると息巻くスワンに対し「好きにしなよ」と冷たく言い捨てている。

*33 百八星の一人、宋万の異名。宋江体制下で梁山泊が再編される前から梁山泊軍に所属する最古参のメンバーの一人。

*34 包帯の下の肌は緑青に例えられるような不気味な色らしく、どうも生きながら肉体が腐ってゆくゾンビのような状態らしい。

*35 この回想ではラモン、ケイカ、アルニャン、ジェランら八仙が現在と全く変わらない姿で登場しており、八仙の人物像に大きな謎を残している。またこの際八仙が一同に会しており、各メンバーの前にはそれぞれの継承する厨具が置かれていた。

*36 ツァイはかなり冷酷な性格だったらしく、太極料理界を棄てて逃避行に出ることにメイランは全く躊躇いがなかった。

*37 水滸伝の登場人物、戴宗の異名。神行法という俊足を得られる道術の使い手という意味。

*38 スワンが倒された事に憤り上から目線でマオの寿司をこき下ろしたかと思えばその事に喰って掛かってきたメイリィにキレて氷牢に閉じ込めるなど沸点が低くシローにも「どこが冷静だヨ!??」と突っ込まれている。もっとも慕っていたスワンが死んだショックから冷静さを欠いていたのもあると思われるが。

*39 梁山泊百八星の一人、朱武の異名。百八星の内地煞星72名の首座であり、公孫勝を補弼する副軍師。ちなみに公孫勝の異名は「入雲龍」。あのカイユの異名と同じである。

*40 百八星の一人、項充の異名。混世魔王こと樊瑞の山賊時代からの部下の一人。ちなみにケイカとの料理勝負の際に連れて来られたジュチの異名「飛天大聖」も樊瑞の部下である李袞の異名だったりする。

*41 洛陽水席24品のメインディッシュ。飾り切りにして牡丹を象った食材と、髪のような極細切りで燕窩(ツバメの巣)のような滑らかな舌触りを引き出された大根を使ったスープ料理。中華一番極当時の時代では「燕菜」とだけ呼ばれており、牡丹燕菜の名はかの周恩来によって命名されたもの。

*42 実際彼が作った牡丹燕菜はそれこそ「牡丹燕菜」と画像検索すれば写真が出てくるようなお手本通りの物でしかなく、対戦したチョウユにも酷評されていた。

*43 カニの味に舌を慣れさせることで麻痺させ、レオンの料理を食べた際にカニの風味ではなく油の部分だけを感じるよう仕向けていた

*44 ちなみにこの際マオたちの持ち物を盗んで加工が困難なこんにゃく芋にすり替えておいたことが仇となって後に屈辱的な敗北を喫することになる。この女、相変わらずやることがセコい上に詰めが甘い。