ミッキーマウス

登録日:2023/11/18 Sat 00:01:00
更新日:2024/03/29 Fri 20:54:02
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Citizen of the World あのネズミ しあわせウサギのオズワルド た○ぶえ みんな大好き アニメキャラクター アブ・アイワークス アメリカ人 ウェイン・オルウィン ウォルト・ディズニー ウォルト・ディズニー・カンパニー キャラクターの中のキャラクター クリス・ディアマントポロス ジム・マクドナルド ジャンボリミッキー! スーパースター ティーンエイジャー ディズニー ディズニーキャラクター項目 ディズニーシー ディズニーランド ニューヨーク ネズミ ハツカネズミ ハハッ! ハリウッドスター パイロット ヒーロー ファンタジア ブレット・イワン プレーン・クレイジー ミッキー ミッキーマウス ミッキーマウスマーチ ミッキー&フレンズ モーティマー リア充 リーダー ロードレーサー 万能 世界で最も有名なネズミ 丸耳 主人公 主人公だが中々立たなかった項目 主役 人気者 俳優 僕らのクラブのリーダー 優等生 全ての始まり 原点にして頂点 名前を言ってはいけないあのネズミ 土井美加 堀絢子 多芸多才 太田淑子 始祖 孤児 小幡昭子 山田栄子 強くて明るい元気者 後藤真寿美 愛されキャラ 愛すべきバカ 愛犬家 所要時間30分以上の項目 手袋 指揮者 昔はヤンチャだった 星野貴紀 最強の著作権 榊原郁恵 機械音痴 消防士 王様 田中秀幸 登山家 納得の人気 納谷六朗 細切れにしてやる! 紳士 船長 蒸気船ウィリー 裏声 誕生日に建った項目 説明不要 隠れミッキー 雨男 青柳隆志 魔法使い 魔法使いの弟子







All our dreams can come true, if we have the courage to pursue them.
夢を求め続ける勇気さえあれば、すべての夢は必ず叶う。


I only hope that we don’t lose sight of one thing –––
いつだって忘れないでいてほしい―――


that it was all started by a mouse.

すべては、一匹のネズミから始まったということを。






ミッキーマウス(Mickey Mouse)は、ウォルト・ディズニー・カンパニーのキャラクターである。

KINGDOM HEARTSシリーズにおけるミッキーについては、『ミッキー(キングダム ハーツ)』を参照。






【概要】

みんなご存知、誰もがおなじみ、もはや説明不要。
ネズミを擬人化させたディズニー社のシンボル的キャラクターで、「ミッキー&フレンズ」の中心的存在。
みんなのアイドル、我らがヒーロー、そして愛すべきおバカ、強くて明るい元気者の、世界一有名なネズミである。

ウォルト・ディズニーとアブ・アイワークスの2人によって生み出され、1928年11月18日公開『蒸気船ウィリー』でスクリーンデビュー。
以後、多くのミッキー主演作品が製作され、その愛嬌たっぷりの明朗快活なキャラクターや、歌にダンス、楽器演奏といった多芸多才な魅力が世界中の観客に愛され、カートゥーンを代表するトップスターとして君臨し続けてきた。
今日ではアニメーションのみならず世界のディズニーパークにても、持ち前の愛嬌を振りまきながらゲストたちに夢やユーモア、希望を届けている。

その一方、ディズニーの看板キャラクターであることから、ディズニーの企業としての性質(特に著作権関係)を皮肉る際に恐ろしい独裁者、あるいは業界に君臨しその闇を統べる存在として扱われることも多い。
ペットのネズミにミッキーと名付けたり、それっぽく丸を3つ並べたりしたら訴訟されたとか、無人島に丸を3つ書いたら怒ったディズニーの人間がやってきて助かったとかそういったジョークも数知れず。


【誕生】

ミッキーマウス誕生までの経緯について詳細は、ウォルト・ディズニーの項目を参照。
後述するキャラクター「オズワルド」の存在、そしてディズニー・ユニバーサル間で起きた権利をめぐる衝突はミッキーの誕生を語る上で外せないが、ここでは簡潔に記述する。


1927年、『オズワルド・ザ・ラッキー・ラビット(しあわせウサギのオズワルド)』を手掛けたウォルトとアイワークスは、実写を用いない初のフルアニメーション作品シリーズとして大成功を収める。
ところが1928年、当時の配給会社だったユニバーサル・ピクチャーズと配給手数料を巡って対立。配給業者であったチャールズ・ミンツとユニバーサルはウォルトらへの対抗策として当時ディズニーの下で働いていたアニメーターへの引き抜き工作を開始。ディズニーに所属していたほぼ全てのアニメーターがこれに応じてしまう。
ディズニーに残ったのはスタジオ、そしてアイワークスと数名のスタッフだけだった。
オズワルドの所有権はおろか有力な人材までも奪われたこの出来事は、ディズニーを倒産寸前に追い込ませただけではなく、経営理念にも大きな影響を与えることとなった。

大切なキャラクターを失ったウォルトはアイワークスと共にスタジオ再建に向けて新しいキャラクターの構想を練る。
まずアイワークスは「カエル」「イヌ」「ネコ」といった動物モチーフのデザイン案をウォルトに提案するが、それらはどれもウォルトの目には魅力的に映らなかった。
そこで、オズワルドやアリスコメディの作中でしばしば敵役として登場していた「ネズミ」を主役に抜擢することにした。
このネズミの原案はウォルトが、キャラクターデザインはオズワルドを基にアイワークスが担当した。
ちなみに「ディズニー自身が飼っていたネズミを研究し、耳などを大きくしてデザインした」と語られることがあるが、これは一説に過ぎない。

当初、ウォルトはこのネズミを「モーティマー」と命名したものの、妻・リリアンがこれに反対。「『ミッキー』がいい」と提案され、最終的に「ミッキーマウス」と名付けられたのだった。
なお、妻がモーティマーという名前に反対した理由は、「気取った感じだから」、「『モーティファイ(mortify=屈辱、恥をかかせる)』と響きが似ているから」など諸説がある。

こうしてミッキーマウスは誕生した。

シリーズ初のアニメーション映画として『プレーン・クレイジー』や『ギャロッピン・ガウチョ』が製作されるも、諸事情(後述)で配給会社に相手にされず一時お蔵入りとなった。
ちなみに、当時は契約上残り3話のオズワルド作品を製作しなくてはならなかったため、ミッキーのスクリーンデビューは遠のくと思われていたが、アイワークスがオズワルドと同時進行でミッキーのアニメも描くという天才的な仕事ぶりを発揮したことで、『プレーン・クレイジー』は予期していたよりも早く完成したのだった。

1927年に公開されたワーナー・ブラザース制作のトーキー映画「ジャズ・シンガー」を鑑賞したウォルトは「これからはトーキーが主流になる」と確信。続く第3作『蒸気船ウィリー』は声や効果音を吹き込んだトーキーの短編アニメとして作られることとなった。
キャラクターが奏でる音楽、要所でコミカルさを生み出す斬新かつ効果的なサウンドトラックは観客に衝撃を与え、同作を大ヒット作へと導く。

それからはご存知の通り。ミッキーは瞬く間にアニメーション映画界を席巻するスターへと飛躍するのであった。


【特徴】

年齢は不明。しばしば「ティーンエイジャー」と説明がなされているが、車や飛行機、船を運転していることから10代後半は行ってると思われる。だが、息子がいるグーフィーとタメだったり(初期のみ)酒やタバコも嗜んでいたりなど年齢設定については謎が多い。少なくとも中年じみた言動は見られないため「若者」と呼べる年代に落ち着いているようだ。

実は「孤児」という設定がある(ミニーも同様)。きょうだいや親戚は登場しているものの、両親は一度も顔を見せたことがない。また、ミッキー自身が孤児院にいる子供らの世話をする作品もある。

国籍は設定上アメリカ合衆国だが、東京ディズニーリゾートのショップであるボン・ヴォヤージュの外壁に書かれたミッキーのプロフィールには「Citizen of the World(国際人)」と書かれており、特定の国籍を持っていないことにされている。また、出生地はウォルト・ディズニー・スタジオの所在地でもある「カリフォルニア州バーバンク」と記されている。


◆外見

長い歴史の中で、ミッキーのキャラクターデザインは大幅な変化を繰り返してきた。
基本的にオリジナル作品のデザインを維持しつつ新作で活躍し続けるディズニーキャラクター達の中でも、様々な顔を持つミッキーは異質な存在である。
だが、いつの時期のミッキーも大きく黒い円形の耳や突き出た黒い鼻など彼を象徴するパーツは共通している。
ネズミらしく細長いしっぽが生えており、ズボンを履きつつしっぽだけを尻から出すこともあれば、テーマパークでのミッキーや一部作品ではしっぽを隠している。

様々な衣装を着こなすが、基本となる服装は、大きな白いボタンが2つ付いた赤いショートパンツと黄色い大きな靴で、上半身は何も着ない。下半身に何も履かないドナルドとは相反するものとなっている。

●「オールドミッキー」と「ニューミッキー」

特に広く知られたミッキーのデザインは、黒目が大きく顔部分の肌色が白い「オールドミッキー」または「クラシックミッキー」と、白目がちになり肌がベージュに塗られた「ニューミッキー」の2種類がある。

オールドミッキーは通称「黒目ミッキー」とも呼ばれている。由来は黒目が大きいためだが、厳密には「白目が描かれていない」のではなく、目と肌の輪郭線やウインクする時の瞼がデザインの都合上省略されていることからそのように見えるだけ。実際には顔面の上半分のうち白い部分全体が白目である。これはミッキーが暗闇の中にいるシーンや顔を黒塗りにするシーンや、デザインが共通するミニーのまつ毛やウインクの描写などでその存在を確認することができる。『プレーン・クレイジー』など極初期に製作された作品では、目の輪郭が描かれていることからその名残を見ることができる。
瞳に三角の切れ込みが入った「パイカット・アイ」で描かれていた時期もあり、このデザインを採用したグッズも多数販売されている。

ニューミッキーのデザインはミッキーの表情をより豊かに描写することをねらったリニューアルの名目で新たに作られたもので、1939年7月21日公開『ミッキーの猟は楽し』で初お披露目となった。こちらにも「白目ミッキー」という通称がある。
当初の目は細長かったが、50年代頃からは徐々に幅が広くなり、黒目の比率が大きくなった他、眉も描かれるようになり徐々に濃い顔つきに変わっていった。
ちなみに現在テーマパークに登場するミッキーの顔はこの頃のデザインをベースにしている。
だが、80年代以降は従来の小さく細長い目に戻っており、眉も消えている。

旧来のオールドデザインは現在もなおグッズや一部の作品で使用されており、レトロデザインとして多くのファンに愛されている。
また、『ミッキーマウス!』(2014年)のミッキーは、オールドをベースにした新しいデザインで肌も白に描かれている。

●耳

テーマパークでもゲストがよく付けている大きな丸い耳がミッキーのチャームポイント。

耳は球形ではなく平べったいのだが、アニメーション上ではミッキーがどの角度を向いていてもカメラに対し常に2つが横並びで円形のように見せるという特殊な描かれ方をしている。たとえば真横を向いている時は、手前側の耳が後頭部に、奥側の耳が頭頂部に移動するようにして描かれる。

『ミッキーのアルバイトは危機一髪』では、耳の中まで脳味噌がたっぷり詰まっていることが判明している。だが、TVシリーズではしょっちゅう耳が取れるギャグを披露しており、一部の回では耳をなくしたせいで音が聴こえなくなってしまうというトラブルに遭っている。彼を象徴する耳については未だ謎が深まるばかりだ。

●手袋

白い大きな手袋を身に着けている。肌身手放さず身につけており、外すのは入浴時ぐらいでその時すら着けたままの場合もある。
誕生からしばらくは素手だったが、『ミッキーのオペラ見学』から手袋をするようになった。
一見何の変哲もない白手袋でありながらミッキーのアイコン的存在とも言え、グッズも売られている。

「そういえばなんでミッキーは手袋をしてるの?」と一度は疑問を浮かべた人も多いだろう。
その答えは「白手袋は文明を象徴し、同時に『人間』を意味する」というもの。

知っての通り、ミッキーは2足歩行で言葉を話し、衣服を着て極めて人間的な文明社会の中で生活している。つまりミッキーマウスは人格を与えられたいわゆる擬人化キャラクターであり、ただの「ネズミ(=動物)」ではないのである。

もちろんディズニーキャラクターで手袋をはめているのはミッキーに限らず、ミニーやグーフィー、ホーレスやクララベル、三匹の子ぶたやビッグ・バッド・ウルフなど多くの擬人化キャラクターが同様の理由で手袋をしている。一方でプルートやチップとデール*1などは手袋をしていない。ドナルドやデイジーなどダックファミリーがしていないのは、既に「白い羽で覆われた手」というデザインを持っていることで手袋を付ける必要性がなかったためである。

ミッキーたちに白い手袋を付けた理由には、この他に「手と体が同色だと、手の位置や動きが分かりにくかったから」というものもある。手はキャラクターの動作において重要なパーツの一つ。その視認性の向上をねらった意図も手袋にはこめられているのだ。



◆性格

ミッキーの基本的な性格は、明るくて勇敢、好奇心旺盛で負けず嫌い。ミッキーがしばしばウォルトを体現した存在であると語られるように、彼の性格そのものであると表現する者も多い。

初期では現在よりかなりヤンチャで短気、そして結構いい加減な性格だった。
雑用係など何らかの職に就いているが、仕事を真面目にする描写は少なく、暇さえあれば口笛を吹いて踊りだす。
気が短く、自分の失敗を周囲に笑われると相手に物を投げつけるなど暴力に訴えがち。
既にカップルという関係を築いていたミニーとも今ほど相思相愛の仲とは言えず、その短気な性格が仇して喧嘩になることも多かった。
それ以外でもミニーに対する扱いが荒っぽく、キスをねだって彼女に拒まれると怒って危険な操縦をして彼女を怖がらせた上で再びキスを迫るという暴挙に出たこともある。さすがに強引過ぎたためビンタをお見舞いされそのまま逃げられた(『プレーン・クレイジー』)。
同じくミニーが好きなピートに彼女を取られる悲惨なオチで終わる作品もある。

そんな完璧でないミッキーこそがこのキャラクターの魅力であると評価するファンも多い。

歌や楽器の演奏が得意で、本来楽器でない物や動物を用いて演奏を披露したこともある。ピアノの腕も一流だが、電子オルガンの扱いは苦手としている*2。『ミッキーマウス・ワークス』の「ミッキーのピアノレッスン」ではピアノ初心者という設定で練習に悪戦苦闘していた。
指揮者としての才能も『ミッキーの大演奏会』などで周知されている。

基本しっかり者に見えるが実は結構うっかりもやらかしがちで、特に目立つのが大の遅刻魔であるという点である。
有名なのが『ミッキーのダンスパーティ』(1947年10月3日公開)で、自ら決めたにもかかわらずミニーとのデートの約束をド忘れし、一時間以上も寝坊してしまったこともある。大事なイベントを控えた日に限って時間にルーズな一面が仇となり、重ねた失敗は数知れない(?)。
トゥーンタウン『ミニーの家』で聴けるミッキーからの留守電にもデートに遅刻する旨の連絡が入っている。とはいえこちらは「ムービーバーンでのファン対応が長引く」*3という仕事の都合であり、事前連絡がされている分寝坊よりマシではあるが。
なお、テーマパークで会えるミッキーはきちんと時間通りに現れるのでご安心を。

機械との相性も悪く、ミッキーの手に渡った新型家電やロボットの多くは、彼のメカ音痴っぷりのためにバラバラにされる運命を辿る。

ヒーロー的な面が認知されるようになってからは、困っている人を見捨てることができないお人好しとして描かれることも多くなった。

●性格の変化

登場してからしばらくはやりたい放題だったミッキーにも、やがて転換期が訪れた。
人気を獲得しスターへの階段を昇り始めるにつれ、「スターなりの変化」を求められるようになったのだ。
発端はミッキーを愛する子供たちの保護者からの物言いだった。「過激で下品、悪魔のような性格だ」とクレームが付き始めたのである。
これは、大恐慌時代当時の貧しい子供たちにとって、映画は安価で楽しめる貴重な娯楽で人気があったことも関与している。

既に看板キャラクターとなったミッキーへのこうした批判を看過できるディズニーではなかった。
こうして「悪魔」と呼ばれたミッキーは、スローペースではあるものの徐々に落ち着いたリーダーシップがある品行方正な性格へと変化していった。タバコを吹かさなくなったのはもちろん、暴力もふるわない、短気 で好戦的な性格までもが時代の変化によって丸められていく。
アメリカを襲ったかつての大恐慌で現実への希望を失いかけていた人々は、いつも笑いと明るさを与えてくれるミッキーをいつしか「アメリカン・ドリーム」復活の象徴と呼んだ。
人々のムードにも影響をもたらす映画文化のシンボルは、それ自身が持つ形質に対しても敏感たるべき存在と見なされていたのである。

こうしたかつての性格は、後に登場したおなじみドナルドダックへと引き継がれた。
「短気で無作法なドナルド」と「冷静で賢くマジメなミッキー」の対立はいくつかの短編で描かれており、これらは当時の観客にとって、以前までやんちゃだったミッキーの大きな変化を印象付ける作品群ともなった。
やがてはグーフィーも主役に参戦。リーダーのミッキーがドナルド・グーフィーとトリオで様々なことに挑戦するシリーズが作られた。
ミッキーの持っていた短気な性格はドナルドへ、ドジでマヌケな面はグーフィーへ受け継がれていくことで、ミッキーはますます優等生キャラとしての出世街道を歩んでいくことに。

一方、かつてのミッキーを知る者が抱いたのは「欠点を失ったミッキーの存在意義」への疑念だった。
ミッキーの人気低迷を憂いたディズニーは、ミッキーの性格にさらなる改良を加えた。過激な言動を封印してきた代償としておちゃらけた言動やドジ要素を解禁させ、しばらく大人しかったミッキーをより活発で自由なキャラクターにさせたのである。
こうしたディズニーの反省の意をこめたミッキーのプチリニューアルは、『ミッキーのつむじ風』(1941年2月14日公開)とそれ以前の作品との比較によって影響を濃く見ることができる。

こうした経緯もあり、制作時期やシリーズによってミッキーの性格には少なからず違いが見られる。
世代やミッキーを初めて知ったきっかけによって彼に対するイメージが異なるのはそのためである。
ディズニーパークで広く知られた「ヒロイックで紳士的なミッキー」に慣れ親しんでいたのが、一部のアニメで「ハチャメチャでダメダメな部分や腹黒さもあるミッキー」を観てそのギャップに驚いたという声も多いのではないだろうか(その逆もまた然り)。

ディズニー側も初期特有のヤンチャだったミッキーを過去に捨て去ったわけではなく、近年のTVシリーズにおいても初期に近いキャラクター像を復刻させることが多い。



◆声

ミッキーと言えば、あの裏声のようなソプラノボイスも特徴のひとつである。そのインパクトと知名度の高さから、誰もが一度は真似をしたことがあるのではないだろうか。

ウォルト・ディズニーが最初に声を演じた頃から、ミッキーの声は今も変わらず高音で演じられている。なお、日本語版ではポニー・バンダイ版まで女性が吹替を担当していたため、原語版の男性声優らによる声質とは大きく印象が異なるものだった。

そもそもなぜミッキーの声はあんなに高いのかについては、「後任が決まりやすいように誰が演っても同じような声にしたから」などの説が挙がっている。だが、実際これに明確な理由はなく「ウォルトがそういう風に演じたから」としか答えようがないのが現状である。
長年初代声優としてミッキーの声を担当していたウォルト自身にとっても、この声は高齢になるにつれ発するのに苦労していたそうだ。



【おもな主演作品】

★は映画作品、●はTVシリーズ、○はディズニージュニアのTVシリーズ。

★蒸気船ウィリー(1928年11月18日公開)

ご存知、ミッキーのスクリーンデビュー作品。ミッキーの歴史を語る上で外せない一作であり、本作をルーツにしたグッズも多く販売されている。
蒸気船の乗組員であるミッキーは、勝手に船を操縦するわ、仕事そっちのけで演奏会をおっ始めるわで、船長のピートにどやされてしまう。

操舵輪を操りながら口笛で『Steamboat Bill』を奏でるミッキーのシーンは、彼の原点を象徴するワンシーンとして非常に有名。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ作品のオープニングクレジットにもこのシーンが使われている。
ネコの尻尾を引っ張ったり授乳中の赤ちゃんブタを蹴り飛ばしたり…現在のイメージでは考えられないバイオレンスなミッキーの姿もまた、初期特有の自由奔放だったキャラクター像を存分に味わえる(なお後者のシーンは一部ソフトでは削除されている)。

ちなみに「世界初のトーキー(音声付き)アニメーション映画」と言われることがあるが、これは間違いなので注意。
正確には「世界で初めてサウンドトラック方式を採用したアニメーション映画」。この作品がアニメーション映画界に新風を巻き起こした歴史的一作であることには変わりはないだろう。

2024年に『蒸気船ウィリー』に登場したミッキーはパブリックドメイン(共同財産)となり、このミッキーの二次創作が可能となった。早速アメリカではホラー映画やゲームが制作されている*4

★ギャロッピン・ガウチョ(1928年12月30日公開)

★プレーン・クレイジー/飛行機狂(1929年3月17日公開)

『蒸気船ウィリー』よりも前に製作されたミッキーマウス作品だが、再制作につき公開が延期となりそれぞれシリーズ2作目・3作目となった。
これは、当初音声のないサイレント映画として作られ試写もされたものの、配給会社から「他のサイレントアニメと代わり映えしない」と好評を得られなかったためである。後に世界で初めてサウンドトラック方式を採用し製作した『蒸気船ウィリー』の成功を機に、これらの作品もトーキー映画として作り直されることとなった。
ディズニー公式では「キャラクターの誕生日=スクリーンデビュー日」と定義しているため、『蒸気船ウィリー』をミッキーのデビュー作としているが、こうした経緯から最初に製作された『プレーン・クレイジー』を真のデビュー作と位置づけるファンも少なくない。
実際、両作品に登場するミッキーのデザインは『蒸気船ウィリー』および第4作目以降と大きく異なる(『ギャロッピン・ガウチョ』は途中まで)。

要するに、
製作日:プレーン・クレイジー>ギャロッピン・ガウチョ>蒸気船ウィリー
公開日:蒸気船ウィリー>ギャロッピン・ガウチョ>プレーン・クレイジー
ということ。

★ミッキーの大演奏会(1935年2月23日公開)

ミッキー主演作では初のテクニカラー作品。
ミッキー指揮の下、仲間たちによる野外コンサートが開かれた。ところがそこへアイスクリームを売り歩くドナルドや大嵐の邪魔が入り…。
本作や劇中に登場する指揮者姿のミッキーは現在に至るまであらゆる場でフィーチャーされている。

ファンタジア・魔法使いの弟子(1940年11月13日公開)

ディズニーの長編アニメーション第3作で、映画史上初のステレオ再生方式を導入した歴史的作品。指揮者・レオポルド・ストコフスキーとフィラデルフィア管弦楽団が出演する実写パートとクラシック曲をバックに描かれたアニメーション8編による構成。
ミッキーはその内第3編『魔法使いの弟子』(作曲:ポール・デュカス)にて、大魔法使い・イェン・シッド弟子として登場する。
ある日、水汲みを楽にこなそうと閃いたミッキーは師匠が使う魔法の帽子をこっそり拝借。に命を吹き込んで代わりに水汲みをさせるが…。

この頃には本編で優等生ポジションに位置づけられつつあったミッキーだが、久々に横着で迂闊な部分を見せている。

●ミッキーマウス・ワークス(1999年 - 2001年)



ハハッ、うわ~驚いたなぁ、ハハッ!

ミッキー&フレンズの短編アニメがTVシリーズとなって久々の復活。
ここしばらく良い子キャラだったミッキーもクラシック時代に回帰したかのようにヤンチャキャラを炸裂。遅刻魔でウソが下手、機械と相性が悪いという欠点も色濃く描かれている。ドナルド・グーフィーも揃っての3バカシリーズでも大騒動を巻き起こす。

ハウス・オブ・マウス(2001年 - 2003年)

全3シーズン52話が製作されたTVシリーズ。舞台はミッキーが仲間と経営するナイトジャズクラブ。お客としてやって来るディズニー映画のキャラクター達を、ある時は丁重にもてなし、ある時は騒動を起こし、またある時はクラブ存続の危機に瀕するというクロスオーバー作品。
『ミッキーマウス・ワークス』の続編にあたり、実質リピート放送枠も兼ねている。
ミッキーはクラブ経営者兼ショーの司会を担当。たまに頼りない部分も見せるが、経理担当のミニーら従業員の支えを受けつつスター達が集うクラブの一夜を盛り上げる。

○ミッキーマウス クラブハウス(2006年 - 2016年)



ミースカ・ムースカ・ミッキーマウス!

プレイハウスディズニー→ディズニージュニア枠の、ミッキーマウスシリーズ初の子供向け教育TVシリーズ。後に派生作品や後続シリーズが多数作られることになる。
ミッキーを模した仕掛け満載の共同施設「ミッキーマウス クラブハウス」を舞台の中心にし、毎回周囲を取り巻くあらゆる問題を3、4つの道具からなる「マウスケツール」を使い、ミッキーたちが視聴者と共に解決していくという内容。
ミッキーはクラブハウスの案内人。事あるごとに画面の向こうにいる視聴者へ話しかけるように会話を行う。
教育アニメという位置づけであるため、ミッキーの性格は非常に優等生的で欠点らしい欠点は見られない。他のキャラクターの言動も大人しめで、本来悪人だったり敵対していたりするキャラも友好的だったりする。

●ミッキーマウス!(2013年 - 2019年)

全5シーズン94話+スペシャル2話が製作されたTVシリーズ。コメディ主体のミッキーマウスシリーズとしては『ハウス・オブ・マウス』以来となる。
キャラデザは白黒時代をベースに全く新しいアートスタイルへ刷新。歴代で最もポップな印象を与える独特のコミカルな作風が特徴である。
「ミッキーの原点回帰」がコンセプトであるため、ミッキーやその仲間たちの性格も長らくご無沙汰していたドタバタ色の激しい特色が前面に押し出されており、もはや原点すら上回るカオス描写満載のシリーズに仕上がっている。
股間にアイスクリームをぶちまけてアヘ顔になるミッキーが見られるアニメなど本作が最初で最後だろう。
変顔・ちょいグロ表現などファンによっては若干好みが分かれそうな描写も多いが、いざという時はミッキーがヒーローらしい活躍を見せたり綺麗なハッピーエンドで締められる回も存在し、幅広い層のファンが楽しめる仕掛けが要素に散りばめられているのも大きな特徴の一つである。
舞台は欧米のみならずアジアや中南米など世界各国に渡り、各地の文化や風習を世界観やギャグに取り入れた完成度の高い作風も魅力。もちろん日本編のエピソードもあり、東京名物(?)満員電車にミッキーが悪戦苦闘する。

ミッキーマウスとロードレーサーズ(2017年 - 2019年)

○ミッキーマウス ミックス・アドベンチャー(2019年 - 2021年)

「クラブハウス」の後続番組。「ホットドッグヒルズ」を拠点に、ロードレーサーのミッキーたちが世界各地を冒険する。
クラブハウスより教育要素は薄まっており、レースを題材としている事もありストーリーのテンポは早めで、視聴者と会話する演出もほとんどない。

●ミッキーマウスのワンダフルワールド(2020年)

「ミッキーマウス!」のスタッフが再集結して製作された新シリーズ。Disney+で配信中。
キャラデザ・構成・狂気の演出は「ミッキーマウス!」と同様だが、1話の時間が少し長め。ミュージカルパートも増加している。
前作以上にディズニー本家による自虐ネタ(?)が満載。ディズニーの歴史を知れば知るほど笑えるマニアックネタに溢れている。
全20話のレギュラー回終了後、季節を題材にしたスペシャル回が4話製作された。
そしてディズニー100周年・ミッキーマウス95周年にあたる2022年には最後のスペシャルエピソードとなる『蒸気船シリー』が公開。
そのタイトルが示す通りスクリーンデビューして間もない昔のミッキーが、ひょんなことから現代で大暴れ。やんちゃだった過去の自身を止めるべく現在のミッキーが取った行動とは…?

○ミッキーマウス ファンハウス(2021年 - )

「クラブハウス」の系譜を受け継いだ新TVシリーズ。ファンハウスの森にいる魔法の家「ファニー」とミッキー達が楽しく遊ぶ。


【関連キャラクター】

●ミニーマウス
言わずと知れたミッキーのガールフレンド。ミッキーと共に、1928年11月18日公開の『蒸気船ウィリー』でスクリーンデビューした。

外見はミッキーと瓜二つだが、初期作品群では一輪の花を挿した帽子、それ以降は大きなリボンなどを頭に身につけている。大のおしゃれ好きで歌やダンスも得意。
常にミッキーの事を恋い慕っている一途な女の子。だが彼の時間にルーズな性格には度々困らされているらしく、『ミッキーのダンスパーティー』では「遅刻したら別れる」と手厳しい宣告もしている。
ミッキーとは相思相愛だが、少し気が強く時々彼を尻に敷いている。

●プルート
ご存知ミッキーの愛犬*5。スクリーンデビューしたのは1930年9月5日公開『ミッキーの陽気な囚人』だが、この時は警察犬としての登場で名前もなく、次作『ミッキーのピクニック』では「ローヴァー」という名前だった。「プルート」という名と「ミッキーの飼い犬」という設定が初めて与えられたのは、1931年4月30日公開『ミッキーの大鹿狩り』である。ちなみに名前は、プルートが初登場した1930年に発見された冥王星に由来する。

少々ドジで気が弱く、大柄だが痩せ型であまり強くなく、小動物にもコテンパンにやられるなどしばしば情けない姿を見せている。一方で飼い主のミッキーに対する忠誠心は強く、彼のためならばどんな危機にも立ち向かうことができる主人ゆずりの勇気も併せ持っており、忠犬と呼ぶに相応しい活躍も多く見せる。
ミッキーの厳しい躾けが行き届いているとも言えるが、そんなミッキーも少々理不尽な理由でプルートを叱りつけたりしており*6、それがきっかけで喧嘩になるパターンも少なくない。ひどい時には家出をしたこともあるが、結局は互いを想う力によってきちんと仲直りしている。

●モーティ(モーティマー)・フェルディ(フェルディナンド)
ミッキーの姉・アメリア・フィールドマウスの子供。すなわちミッキーの甥にあたる。たまに間違われるが決してミッキーとミニーの子供ではない。
どちらもミッキーをそのまま幼児化させたような外見で、やんちゃな性格もミッキー似。モーティは赤い服、フェルディは青い服を着ることが多いようだが、全く別の色だったり基本ペアルックが多いため判別は不可能に近い。

『ミッキーの道路工事』(1934年6月16日公開)でスクリーンデビュー。ミッキーのスチームローラーを勝手に動かして街中を巻き込む大騒動を起こしてしまう。
以降の短編アニメでの出番はモブ程度の扱いが数作ほどで、TVシリーズで主役も務めた同じく甥っ子キャラのヒューイ・デューイ・ルーイと比べると知名度は低く、コミックや絵本、グッズで見かける機会が多い。

●ドナルドダック
ミッキーの親友にして悪友。
決して犬猿の仲というわけではないが、ドナルドからは時折一方的な嫉妬の炎を燃やされている。当のミッキーは長年の付き合いということもあって彼の性格を知り尽くしているためかあまり気にしていないらしく、何か協力を要請する際にも簡単にドナルドを手駒にしてみせている。それ以外でも冷めた態度を取ることがあり、こうしたクール(?)な気質もドナルドにとって苛立ちの種となってしまっているのかもしれない。

●グーフィー
ミッキーのもう一人の親友。
ドナルドと比べるとグーフィーには比較的甘い顔を見せることが多く、周囲と比較しても彼の失敗を責めることも滅多にない。彼の無茶な望みなども全力で叶えようとドナルドも巻き添えに奮闘するなどかなりのグーフィー想いである。

●ピート
ミッキーのライバルであるヤマネコ。スクリーンデビューは『Alice Solves the Puzzle』(1925年2月15日公開)で、ミッキーやオズワルドよりも古参のディズニーキャラクター。
『蒸気船ウィリー』をはじめミッキーの上司や顧客など目上の立場としての役が多いが、理不尽で横暴な言動が多い故に正義感の強いミッキーと対立しがち。

基本的にヴィランズとして描かれているため最終的にミッキーに敗れるものの*7、乱暴な言動を除けば本質的に間違った事はしていないことも多く、客観的に見ると「ピート悪くなくね?」と感じる作品も少なくない*8
また、『ミッキーマウス・クラブハウス』など普通にミッキーと仲良くしている作品もあり、近年では悪人というよりもイタズラ好きという一面が強まっている。
『ミッキーマウス!』では、ミッキーから自分以上に嫌われているモーティマーに激しく嫉妬し落胆するなど、「ミッキーの宿敵」という肩書きに強い誇りを持っているようだ。

●モーティマー・マウス
『ミッキーのライバル大騒動』(1936年6月20日公開)に登場した、ミニーの幼馴染。ミニーを巡ってミッキーと対立する。「モーティマー」の名の由来はミッキーの没ネームから。

上記作品はミッキーがオールドデザインだった時期だが、白目がち・肌に色が塗られているなどデザインは後に誕生するニューミッキーに近い。鼻と前歯が長くひげが生えている。
ミッキーより長身だが、キザでイヤミな性格。格好の良さをアピールしミニーをすっかり夢中にさせるが、脱走した猛牛に恐れをなしてミニーを置いて退散。実はヘタレな一面が露わとなり、結局ミニーはミッキーを選ぶのだった。

クラシック短編ではこの一作しか登場しないゲスト扱いだったが、後に『ミッキーマウス・ワークス』、『ハウス・オブ・マウス』などTVシリーズでは準レギュラーとして多く登場した。ピートほどではないが、現在でも度々ミッキーの恋敵として立ちはだかる。ミニーを取られかけた件を根に持っているのか、ピートとは友好に接することもあるミッキーでも彼のことは毛嫌いしている。特に「ハウスマ」ではミッキーが誰もが認めるスターとして周知されていることが前提になっているため、他のディズニーキャラからも軒並みヘイトを集めている。
ミッキーには意地悪ばかりするが数少ない友達だとも語っており、ミッキーを死なせてしまったと思い込んだ時(実際は本人の芝居)は本気で悲しんだり、(ミッキーの手違いで)愛の告白を受けた時には満更でもない反応を見せていた。

なお、ミニーの叔父にも「モーティマー・マウス」という名の人物がいるが、こちらのモーティマーとは別人である。



【担当声優】

◆英語版

●初代:ウォルト・ディズニー(1928年 - 1947年)
初期ではミッキー作品で製作・監督・脚本や製作総指揮として携わっていたウォルト自らが47年までミッキーの声を兼任していた。最初期はミニーやピートなどの声優も担当していたが、こちらはすぐ別の声優に替わっている。

●2代目:ジム・マクドナルド(1947年 - 1977年)
我々は、ウォルトの代役を務めているんだ。

1947年をもって、経営者としての実務が多忙を極めたことと声が衰え高音が出せなくなったことを理由にウォルトがミッキー役を降板。それまでディズニー映画の音響効果を担当していたジムに引き継がれた。
上記の「ボスの代わりなのだから、我を出したミッキーを演じてはいけない」という信条は、後任のウェインにも受け継がれている。

●3代目:ウェイン・オルウィン(1977年 - 2009年)
子供向け番組『The New Mickey Mouse Club』(1977年 - 1978年放送)(映画では『ミッキーのクリスマスキャロル』が最初)からは、音響効果部門に所属していたウェインがミッキーを演じることになった。
現時点で原語版の中では最も長くミッキーを演じた声優であり、映画の他、TVシリーズやゲーム作品の声も担当したことから、ミッキーの声としての認知度も非常に高い。
1991年、ミニーマウス役の声優・ルシー・テイラーとハワイで結婚。2008年には夫婦揃って「ディズニー・レジェンド」を受賞した。
2009年5月18日、糖尿病による合併症のため死去。63歳だった。

●4代目:ブレット・イワン(2009年 - 現在)クリス・ディアマントポロス(『ミッキーマウス!』、『ミッキーマウスのワンダフルワールド』、『ワンス・アポン・ア・スタジオ』2013年 - 現在)
ブレットは当初病気療養中だったウェインの代役として出演していたが、復帰も叶わず亡くなったため正式に4代目となった。
カナダ出身の俳優・コメディアンであるクリスはTVシリーズ『ミッキーマウス!』『ミッキーマウスのワンダフルワールド』のミッキーを担当。なぜブレットでないかは不明だが、ミッキーのキャラクターが別物レベルでぶっ飛んでいるからだろうか*9。ただしクリスは、ディズニー100周年記念映画『ワンス・アポン・ア・スタジオ』でもミッキーを演じている。

1934年頃は、初代ドナルドダック役のクラレンス・ナッシュがミッキーを演じていたことがあった。

◆日本語吹替版

●小幡昭子(1960年代) - 日本コロムビア版
●堀絢子(1973年) - NETテレビ『ディズニーぱれーど』
●榊原郁恵(1979年) - テレビ番組『ミッキーマウス50周年スペシャル』『ミッキーマウス大会』TBS版
●太田淑子(1981年) - 『ファン・アンド・ファンシー・フリー』TBS版
●後藤真寿美(1984年 - 1988年) - ポニー版・バンダイ版(廃盤)
土井美加(1984年 - 1988年) - ポニー版・バンダイ版の一部(廃盤)
●山田栄子(1984年 - 1985年) - 日本テレビ『ミッキーマウスとドナルドダック』

田中秀幸
1980年代後半、東京ディズニーランド開園直後に行われていたパレード、ショーにおけるミッキーの声を演じていた。日本語版では初の男性声優によって演じられたミッキーである。
なお田中は『ミッキーの王子と少年』でミッキーにそっくりな王子役を演じていたことがある。

●納谷六朗(1989年 - 1991年) - BVHE版初代
ディズニー作品の日本語版配給がポニー・バンダイからBVHEに移行されてから最初の声優。だが担当期間は極めて短かったため、納谷演じるミッキーを聴ける機会は非常に少ない。

青柳隆志(1991年 - 2018年) - BVHE版2代目
本業が声優でない人物の起用は榊原(タレント・女優・歌手)以来2人目となる。その上大学教授・文学者の起用という異例のキャスティングに驚いたファンも多いと思われる。
日本語版声優では現在最も長期に渡りミッキーを演じた声優でもあり、現在最も多くの媒体で聴けるのも青柳ボイスである。
2018年7月頃をもって27年に渡り演じてきたミッキー役を突如降板。後述の星野貴紀にバトンが引き継がれた。当時は降板理由は不明だったものの、2021年に自身のTwitterにて2018年7月1日に脳梗塞に倒れたことによる降板であると明かされた。

星野貴紀(2018年 - 現在) - BVHE版3代目
青柳の降板に伴い3代目に就任。『キングダム ハーツIII』では収録途中の交代だったため、青柳・星野両名が出演している。



【関連楽曲】

●ミニーのユー・フー!Minnie's Yoo Hoo
『ミッキーのフォーリーズ』(1929年8月28日公開)でミュージカルレビューの出演者であるミッキーが披露した歌。恋人・ミニーへの思いの丈を綴った一曲。
ディズニーが製作した短編映画で初めて明確な歌詞が付けられた歌であり、「世界初のアニソン」とも言われている。
『フォーリーズ』でお披露目後、1930年にこの曲のミュージックビデオが製作され、ミッキーのテーマソングとして徐々に認知度が上昇。1930年代前半の多くの短編映画のタイトルカードでこの曲が使用されていた。

『ミッキーマウス・ワークス』のメインテーマは、この曲を大幅にアレンジしている。

●ミッキーマウス・クラブ・マーチMickey Mouse Club March
通称『ミッキーマウス・マーチ』。1955~1960年にアメリカ・ABCで放送されていた子供向け番組『ミッキーマウス・クラブ』のオープニング曲として製作された。
以降、『ミニーのユー・フー!』に替わる「ミッキーの新しいテーマソング」として広く知られるようになる。日本でも特に有名なディズニーソングの一曲であり、音楽の教科書にも掲載されていることがある。事実「ミッキーの歌」と聞いて多くの人がこの歌を一番に連想させるのではないだろうか。
行進曲風のリズムに乗せた歌詞は、番組タイトルにもなっている「ミッキーマウス・クラブ」のリーダー・ミッキーを仲間たちが讃えるといった内容。『ピノキオ』のジミニー・クリケットも歌唱に参加している。ドナルドだけは相変わらずミッキーに焼き餅を焼いているのか、合いの手で耳を塞ぎながら「ドナルドダック!」とコールするなど自分勝手に振る舞う。
後年、多くのアレンジバージョンが作られている。特に『ユーロビートver.』は東京ディズニーランドの観客参加型ダンスイベント『Club Disney スーパーダンシン・マニア』で使われた経歴や、DDRにも採用されたことから根強い人気を誇る。
この他にも野球選手の応援歌から駅の発車メロディーまであらゆる場面で聴くことができる。

ジャンボリミッキー!
『ミッキーマウス・マーチ』をTDRのダンスイベント用に大幅アレンジした楽曲。
詳しくは当該項目を参照。

【シンボルとして】

ミッキーの耳と頭を表した3つの円(黒塗りが基本)からなる「ミッキーシェイプ」は、ミッキー本人はもちろんミッキー&フレンズ、ひいてはディズニーそのものを表すシンボルとして幅広く用いられている。このマークを見てミッキーやディズニーを想起しない人はまずいないと言ってもいいほどには、アイコンとしての機能性は非常に高いと言えるだろう。

加えて、小さな子供でも覚えやすい形状で簡単に表現できるというメリットも兼ね備えている。また、丸い形をした物体やキャラクターに愛着を感じやすいとされる乳児がミッキーを知りそして触れる機会が多いのも、このシンプルかつ親しみやすいデザインが少なからず関係していると考えられる。



【隠れミッキー】

誰もがひと目で「ミッキー」を認識できるシンボルということで、ディズニー作品やテーマパークなどには「隠れミッキー(ヒドゥン・ミッキー)」と呼ばれる隠し要素が散りばめられている。
そもそもディズニーの象徴ということもあり、テーマパークでミッキーシェイプを見かける機会は非常に多いのだが、パーク内の地面や壁面、ミッキーと無関係な壁画やオブジェなどよく見ないとわからない場所に配置されたシェイプをこう呼ぶ。
元はパークのデザインに携わったアート関係者によるほんの遊び心から生まれたもの。今日ではディズニーランドを違った視点から楽しむための定番ネタと化している。

ディズニー・ピクサー映画でも隠れミッキーが稀に出現することがあるが、一時停止しない限り見落としやすいため難易度はテーマパークより高まる。

なお、厳密に「隠れミッキー」はミッキーシェイプのみとは限らず、ミッキーの全身シルエットだったり彼の名前や誕生日などを暗示したものだったりと多岐に渡る。
また、ミッキー以外にもミニーやドナルド、グーフィーなどの隠れフェイスも存在する。パークへ遊びに行った時にはぜひ探してみよう。



【余談】

  • パソコンのマウスの移動距離*10の単位は「ミッキー」と呼ぶ。「1ミッキー」は100分の1インチ(約0.25mm)。これを命名したのはマイクロソフトのプログラマーで、ジョーク感覚で名付けたという説がある。

  • TDRファンの間では、ミッキーは「雨男」と呼ばれることがある。どういうことかと言うと、昔からTDRでは記念すべき節目の日などに限って雨天でイベント・ショーが中止になるというジンクスがあり、いつしかパークの顔であるミッキーが雨男ではないのかと囁かれるようになったためである。
    まず、全ての始まりである1983年4月15日・東京ディズニーランドのグランドオープンの天気は生憎の雨模様だった。その後も、ランドが15周年を迎えた1998年4月15日も雨で、東京ディズニーシーが開園した2001年9月4日も雨、リゾート20周年を迎えた2003年4月15日も雨…さらには東日本大震災の影響で一時休止していた夜間営業を再開した2011年4月23日も雨、リゾート35周年の2018年4月15日も雨、40周年の2023年4月15日も雨だったのである。もちろんミッキーの雨男呼ばわりについてはネタで言われているだけで、開業記念日に雨が降りやすいのには気候的な理由もあるのだろう。

  • ご存知の通りディズニーは版権に厳しいため、世界一有名といっても過言ではない知名度である割にミッキーのパロディキャラクターというのは少ない。しかし恐れ知らずというのはどんな場所や時代にもいるもので、明らかにミッキーを真似たキャラクターグッズやきぐるみは世界各地のエセテーマパークなどに跋扈している。そういったことをするのは主に中国というイメージだが、日本の法人が販売しているものでもどうみても無許可だろというのはちらほらと存在しているので困ったものである。有名なのは「たこぶえ」であろう。
    • 手塚治虫の長編漫画「メトロポリス」には「ミキマウス・ウォルトディ・ズニーニ」という突然変異の巨大ネズミが登場する。胴体はともかく、頭はどこからどう見てもミッキーマウスそのもの。といっても、なにしろ手塚先生はディズニー側に影響を与えるほど偉大な人なんで……

  • 知名度の高い歴史的なキャラクターであることから、英語圏では「Mickey Mouse」が俗語としても用いられている。一例を挙げると、初期のミッキー映画は単純で陳腐だという理由で当時はひどくこき下ろされていたことから「くだらないもの」「退屈なもの」「三流」「時代遅れ」「(単位が取りやすい)楽勝科目」など悪い意味を含んだ俗語として使われている。ファンとしてはなんだか不愉快な言い様に聞こえるが、現地人でも「ミッキー」がそのような喩えにされていることを知らない者が多い。
    辞書にさえ否定的な意味を持つ「スラング」としてその名が載ったミッキーマウス。90年以上に渡り活躍してきた彼の半生は決して順風満帆続きではなかった事実を現しているかのようだ。






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最終更新:2024年03月29日 20:54

*1 人語を話し人格を与えられているが、基本的に「野生のリス」として扱われる。

*2 『ミッキーの誕生日』。

*3 『ミッキーの家とミート・ミッキー』でのグリーティングおよびゲストとの記念撮影のこと。

*4 尤もこれはアメリカでの事であり、日本国内ではかなり前にパブリックドメインとなっている。またミッキー自体の版権や商標が放棄された訳ではないため注意されたし。

*5 ただし作品によってはミニーやドナルド、グーフィーのペットとして登場する場合もある。

*6 『ミッキーとアザラシ』など。

*7 ただし『バーン・ダンス』など初期作品ではミニーを取られるなどミッキーが負ける展開もあった。

*8 『ミッキーのドキドキ汽車旅行』など。

*9 作中ではミッキーがけたたましい悲鳴や奇声を上げたり、突然声色を変えたりなど従来では見られなかった特色が多い。

*10 画面上の移動距離ではなく、手元のマウスの移動距離。