プロレス

登録日:2022/01/04 Tue 19:53:36
更新日:2024/04/05 Fri 21:18:25
所要時間:約 46 分で読めます





プロレスとは「キング・オブ・スポーツ」にして、


最強の格闘技である。





他の格闘技のようにリング上でチョロチョロ逃げ回り


相手の攻撃を避け続けながら好機を窺うような


無様な真似などしない。


鍛えに鍛え抜いた己が身から打撃、投げ技、関節技……


ありとあらゆる技と術を繰り出し


真正面から受け止め合い


受けて受けて受けて受けきって


最後にこれを跳ね退け勝利をもぎ取る。





プロレスとは真の強者だけに許された


最強で最凶な最高峰の


格闘技の王者である。



『一番スゲェのはプロレスなんだよ!』by 中邑真輔























































!!















プロレス(正式名称:プロフェッショナル・レスリング)とは、観客を楽しませる事を目的として行われる、格闘技形式のエンターテイメントである。





概要

プロレスにおいて、選手は予め決められた「ギミック」(キャラ設定)を演じ、「アングル」(ストーリー)に沿って組まれた試合を「ブック」と呼ばれる台本に則って展開する。

……すなわち、始めから勝敗が決まった状態で行われる格闘技である。
出来レースの比喩表現として「プロレス」という言葉が使われることもあるほど。

名前の通りレスリングを基本としているが、条件付きで打撃技も、更には試合形式によっては凶器の使用すらも認められている

ルール上勝敗は決まるものの、あくまで「ショー」なので勝敗は必ずしも選手の評価に繋がらず、観客を楽しませた選手こそが素晴らしいとされる、というのも特徴。
極端な話「白けた空気で100勝した選手よりも、観客を盛り上げて100敗した選手の方が人気・評価が高くなる」という特異な格闘技でもある。

……その特異性ゆえに
「プロレスって格闘技なのか?」と思うのは誰もが通る道で、また「プロレスwww」とボクシングや総合格闘技などの一部ファンに煽られる*1のも多くのプロレスファンが経験する試練。

しかし、スポーツを観戦していてこんな経験は無いだろうか?

「応援している選手(チーム)が勝ったのはいいけど、試合自体はクッソつまんなかった!」
「名勝負を毎回見られたらなー」

普通のスポーツや格闘技が真剣勝負である以上、それはどうしても避けられない。
もちろん真剣勝負であるからこそ生まれる名勝負・名シーンもあるが、それを毎回観たいと思うのもまた人情というもの。

だからこそ、プロレスには台本がある。
応援している選手には名勝負を演じ、勝利を勝ち取ってほしい。
そんな観衆の期待と願望を100%満たす格闘技、それがプロレスだ。


歴史

歴史的には紀元前8世紀頃にイタリア半島の北半分で栄えていたエトルリア文明で盛んに行われていた。
エトルリア人は高度な技術を持つ非常に勤勉な民族で、当時の地中海世界で人口当たりの生産力は最高と推測される程の繁栄を築いていたが、祝祭日には貴族や富裕層が抱える選手がぶつかるプロレスで男女揃って盛り上がっていた。
元々レスリングは戦場で敵を生け捕る為の技術なのだが、エトルリア人の其れは音楽やダンスを組み合わせた高度なショーに進化しており、ギリシャ本土や南イタリアのギリシャ系植民都市の人間からは非実戦的と呆れられていた。
元々エトルリア人は若い女子の体育を奨励する伝統が有り、プロレスはカップルや若夫婦のデートの定番であったのみならず、自分達でブックを組み立ててプロレス式の夫婦試合を行う事も日常茶飯事だった。
ギリシャ系やラテン系の人間にエトルリアの女はエロいと評されているが、肌も露にして夫や恋人とプロレスをするデート姿を慣れない人間が見たら驚くのも無理はない。
エトルリアのプロレス文化はローマへの併呑と、ローマ人がプロレスより南部イタリアの剣闘士試合を好んだ事により廃れていったが、剣闘士の入場演出や選手を貴族や富裕層が抱える文化は剣闘士競技に継承されていった。

また、純粋な娯楽と言う訳ではないが、同時代からペレポネソス戦争時代のギリシャのスパルタ人の結婚式も「ブックに沿った格闘ショー」と言う点ではエトルリア人のプロレス文化と共通点が有る。
スパルタ人の結婚は花嫁側の親の承諾を得る前提ではあるが、男は力で女をモノにしろというルール*2が有り、結婚式のクライマックスは花婿VS花嫁の格闘試合だった。
スパルタ人もエトルリア人同様に若い女子の体育を奨励する伝統が有り、結婚式で無様な敗北をした花嫁は軽蔑され、逆に強烈な技に耐えて奮戦した花嫁は生涯に渡って周囲から敬意を表された。
最終的に花婿が花嫁を倒して子作りするという結末は決まっているのだが、花嫁側が無様に負けるのも拙いので、花嫁側の奮戦場面を演出し、「強い女が更に強い男に倒される」ショーが組み立てられていた。
スパルタがローマに併合され、自治都市の一つになった後は、ショーと化した女子プロレスが存続し、エトルリア文明のプロレス文化が衰退していたイタリア本土からの観光客も観戦していた。
全裸で闘う美女レスラーに挑戦した元老院議員の記録も残っている。


ルール

各団体ごとに独自のルールが設けられている場合もあるが、ここには一応一般的とされるルールを記す。

《勝敗の決定方法》

●ピンフォール
相手の両肩をマットに押し付けた状態でレフェリーが3カウント数える。
相手の両肩がマットについていれば、上に覆いかぶさらなくても単に手を置いたり足で踏んだり、果てはM字開脚で跨ったりしてもカウントされる。
ただしカウント中に相手の肩がマットから離れれば無効となる。変形スープレックス等、技の形によっては両肩付いてない場合もあるがその辺は流される。

●ノックアウト
ダウンした状態でレフェリーが10カウント数える間に立ち上がれない場合は敗北。
カウント中に立ち上がって試合続行可能と見なされれば無効で、両者立ち上がれない場合は両者ノックアウトで引き分け。

●リングアウト
リングの外に出た状態でレフェリーが10カウント数える間にリング内に戻らないと敗北。(20カウントのところも多いが)
リングに戻ればカウントはリセットされるため、場外乱闘中に一旦リングに戻ってカウントを止め、また乱闘に戻るという場面もよく見られる。
平成以降は完全決着が好まれるようになったので滅多に見られなくなったが、昭和期までは互いのレスラーの“商品価値”を下げない方法としてよく用いられていた。

●ギブアップ/タップアウト
前者は口頭で、後者は相手の体やマットを叩く事で降参の意思を伝える。蝶野「Ask him!」

●レフェリーストップ
関節技など攻撃を受けている選手が、これ以上攻撃を受けると骨折などの重傷を負ってしまうと判断した場合にレフェリーは試合を終わらせる事ができる。
不透明決着の代名詞。
その場合勝者は技を仕掛けていた方。
チョークスリーパー系の場合はかけられている側の選手が気絶している場合もあるため、レフェリーが選手の片手を持ち上げて放すという行為を行い、その手が3回落ちたら気絶と判断し試合を止める。
2回とも力なく手を落とした選手が、3回目でいきなり息を吹き返すのはもはや様式美で、これを発明すると共に定着させたのはハルク・ホーガン。

●セコンドからのタオル投入
ボクシングと同様のルール。
これを機に仲間割れストーリーが始まったり、再び同じようなシチュエーションになったときタオル投入を躊躇したりするという展開もたまにある。

●反則行為
凶器攻撃、禁止されている部位(首や目、金的など)への攻撃、協力者の介入などがあった場合、その行為を行った側の選手の負けとする。
王座戦では【反則で勝敗が決まった場合は王座を移動させない】というルールを用いている団体も多いため、ヒールの選手が王座を保持していて試合が劣勢になった際、あえて反則行為を犯して敗北しベルトを死守する、といった光景も見られる。


あと殆ど有名無実化しているが(後述)、本来は拳を握っての打撃やロープを用いた攻撃(ロープを使って首を絞めるなど)も禁止技である。
『タイガーマスク』のOPで「ルール無用の悪党に、正義のパンチをぶちかませ♪」という歌詞があるが、アレも原則は反則である。*3
また、現在のプロレスでは90年代後半の“NWOジャパン”の流行以降、各団体で複数の“ユニット”がしのぎを削っているのがデフォなので、対立する勢力との激しい抗争中だと通常の興行内での決着は殆どがこの乱入→乱闘からの不透明決着というパターンも頻発される。

この辺りが代表的なルール。

そして何より、プロレスをプロレスたらしめている要素は「試合の裁定はレフェリーに全権一任されている」という点である。
その絶対君主ぶりたるやNPB審判団以上。
例えば「○○の状態でレフェリーが○カウント数える」というルールは、裏を返せばレフェリーがよそ見や気絶などで見ていなければ無効になるという事。
だから、例え観客が反則を目撃したり、あるいは全国放送でその模様が放映されたりして反則が誰の目にも明らかであろうとも、それを「反則だ!」と指摘できるのはレフェリーだけなのだ。

特にタッグ戦などでは
  • パートナーがレフェリーの注意を引きつけている間に、リング内の選手が反則行為をする。場合によっては場外に控えていたセコンドが乱入することも。
  • 交戦権を持った選手がフォールされた際、負けを防ぐためにパートナーがレフェリーのカウントを妨害する。
といったシチュエーションがよく見られる。

また、プロレスには「拳を使った打撃」「ロープを用いた攻撃」「相手がロープを手にしているのに攻撃(ロープブレイク無視)」は明確に禁止されているが、同時に「反則行為は5カウント以内に止めなければならない」というルールもあるため、裏を返せばレフェリーから5カウントを取られる前に一旦攻撃を中断した後でなら、これらの攻撃を延々と繰り返すことも可能。
これが禁止されているはずのパンチが多用される理由である。

そしてプロレスルールに頻出する「カウント」というワードも要注意
「5カウント=5秒」というわけではなく、あくまでレフェリーが5つ数えたらという意味で、10カウント数えるのに2分くらいかかってもいいし、何だったらハナから数えない場合さえある。カウントとは?
余りに露骨だとそれが抗争の火種になったり、レフェリーがノックアウトされたりする事態もありえるので、そこまで酷いのは滅多に無いが、初心者が勘違いしがちな点なので注意しよう。
カウントが遅い事で有名だった故ジョー樋口レフェリーは、実際には1秒で1カウントしてた(=他の人が速かった)というのも有名なお話。

この他、買収されたレフェリーが偏ったジャッジを下す、対立する勢力のうち一方の選手がレフェリーを務め自軍に有利なレフェリングを行わせる、といった場合もある。


試合形式

基本的には1対1で上記のルールを元に行われるシングルマッチを中心に行われるが、他にも

●タッグマッチ…複数対複数での試合形式。団体戦みたいなもの。
基本的にリング内で戦えるのは一人のみでその他の選手はリングサイドにて待機。
各サイドのポールに結ばれたロープを握った状態でタッチをすることで試合権が移って交代する。
ピンフォールを奪えるのは試合権を持つ選手だけであり、試合権の無い選手がフォールをしてもされても無効となる。
なお「タッグ」と言うと2対2のイメージが強いが、プロレスでは3対3でも10対10でも全部タッグマッチと称される。
単に「タッグマッチ」と呼ぶ場合は2対2を指すことが多いが、それ以上だと全選手数で「6人タッグ」とか「20人タッグ」とか命名される。
あとメキシコ系の団体の場合は「リング外に落ちればタッチ成立」となっているので、
「相手を落として追い打ちでリング外にダイブ→待機していた2人がリングに入り攻防開始」というスピーディな展開もよくある話。
普通にタッチすることもあるのでこの辺はその場のノリ。

●ハンディキャップマッチ…1対2や2対3など人数が等しくない試合形式。
少数側選手の実力を強調したり、体制側が反体制側選手への懲罰として行ったりする場合もある。

●トリプルスレットマッチ…1対1対1。いわゆる三つ巴の状態での試合。
最初に勝利条件を満たした者が勝利するのが基本だが、最後まで生き残った者が勝利というサドンデス形式で行われた例もある。
勿論2v2v2の6人タッグ3WAYという複雑な奴もある。

●デスマッチ…ハードコアとも言う過激な試合形式。
一例を挙げると、凶器(刃物や鈍器など)の使用OKだったり、会場を飛び出したり、リングにガラス片や画鋲をまき散らしたり、サソリなどを放ったり、電流だったり、爆破だったり……そういった過激な試合形式を一まとめにこう呼ぶ。
プロレスラーが血まみれになったり、怪我をするのも日常茶飯事だが、そんな非日常に魅入られるプロレスラーも少なくない。

●バトルロイヤル…3名以上で同時に戦って最後に生き残った選手の勝ち残り戦。
最初から参加選手全員がリングに上がる形式の他、一定時間ごとに選手が次々に入場してくる形式のものも存在する。
ルールも通常ルール以外に、リングから落下したら失格だったり、金網と併用してリング外に脱出すれば勝ち、勝った選手から退場していき最後に残った選手が負け…など様々なルール・形式がある。
ちなみに映画『バトル・ロワイアル』に登場する架空の法律「BR法」も、元はプロレスラー出身の国会議員の発案という設定である。

などなど……この他各団体に更に様々な試合形式があるので、興味のある方は調べてみて欲しい。
主に野外とか野外とか野外。


リング

プロレスにて使用されるリングは約5.5m四方のマット(床板)の四隅に鉄製ポールを立て、それぞれをワイヤーや麻製のロープ3本で囲ったモノが世界標準となっている。
黎明期においては一回の興行でボクシングなども同時に催されていたが、それぞれが全く別の道を歩む過程で独自色を強めていった。
具体的には、ボクシングで用いられるリングロープは現在では4本になっているが、プロレスの場合タッグマッチ等でリングへの出入りやリングの隙間を用いた技が多いため、現代においても3本のままとなっている。
日本のリングロープはワイヤーをゴムで覆ったものが使われているため、勢いよく振られるなどした際に姿勢が悪いいと肋骨などを折ってしまう恐れもあるという。
“なんでロープに振ると素直に返ってくるのか”とツッコミを受けることもあるが、実は“返ってくるのも技術”なのだ。
またマットに叩きつけられる技が多いことからある程度のクッション性が求められるため、リング裏にスプリングを配置し衝撃を吸収する構造になっている。

プロレスの進歩・波及に伴い各国・団体ごとに多種多様なリングを持つようになっていて、実は国際規格は無い。
例えば日本においては、男子選手が一辺が約6.0~6.4m、女子では一辺5.5mのモノが主に使用されていたり、かつて存在した米プロレス団体WCWでは選手達の身体を大きく見せるために小さめのリングを用いたりするなど、リング1つとっても様々である。
中には「世界一硬い」と評されるWWEや、逆に柔らかすぎて殆どトランポリンのようなリングを使っているインディー団体のようなケースも。
多分一番柔らかいのは西口。


選手

プロレスを行う選手の事を専ら『プロレスラー』あるいは単に『レスラー』と呼ぶ。
例外的にWWEは他団体との差別化(と、WWEは自らの興行をレスリングで無いと認めている)のためか『スーパースター』と呼んでいるので、2011年に所属選手のCMパンクが『俺は世界最高のレスラーだ』と自称した際はちょっとした騒動になったほど。
この他、メキシコのルチャでは男性選手を『ルチャドール』、女性選手を『ルチャドーラ』と呼ぶ*4

他のプロスポーツ選手同様、団体に雇用されている社員というよりは団体に所属している個人事業主に近い。
複数団体に所属する選手や、他団体に移籍しても同じリングネームを使い続ける人が多いのはこのため。
それもあってか末期WCW所属の選手達のように、自分というブランドを守るために負けるブックを固辞する選手が出てくることも。

プロレスの特性上、試合におけるリアクションや各々のキャラクター性に合わせた行動など、ある程度の演技力も求められる。

体格

外見的な特徴としては、大きな筋肉の上に脂肪の乗ったいわゆるガチムチ体型が多いことが挙げられる。
これは脂肪の鎧で衝撃を吸収し、身体を守るため。
例えばボクサーのように脂肪の無い身体だと投げ技によるダメージが骨や内臓に響いたり、身体中アザだらけになって必要以上に生々しくなってしまうからだ。

飯伏幸太などレスラーとしては比較的細身の選手もいるが、それでも一般人などに比べれば当然かなり分厚い身体をしている。
また、多少は公称よりも盛られていることがあるとはいえ、世代が進むごとにヘビー級でも小型化の流れが進行しており、ヘビーとJrの垣根が無くなってきているとも。

衣装

かつてはレスリングシューズとショートタイツ(海パンみたいなやつ)、女子はワンピース水着やレオタードといったシンプルなものばかりだったが、時代が進むにつれて衣装も様々な進化を遂げ、一口には語れない面白さがある。

全般的な特徴は、他の競技ほど厳密な規則が無いため自由度が高い事。
試合の進行に支障が無いなら仮面にツノが生えていようが、ヒラヒラがついていようがオールオッケー。
各人自分のギミックに合わせ様々な衣装を纏っているので、見比べたり面白デザインに注目したりするのもまた楽しい。

ショートタイツ
いわゆるビキニ型のタイツ。最も古くから存在しており、プロレスラーと聞いて大抵思い浮かべるであろう衣装。
アントニオ猪木と言えば黒のショートタイツ、ジャイアント馬場と言えば赤のショートタイツ、というイメージがある人も多いのでは?
現在でも様々なカラーリングや模様を施されながら、ベテランから若手まで幅広く使われている。


ロングタイツ
膝下や足首まで覆うタイプのタイツ。レギンス?
力道山が使用するなどその歴史は古い。
サポーターやシューズと一体化しているようなデザインもあるほか、単純に布面積が広いのでド派手な模様を入れやすい。


ショルダータイツ
アマレスで着用されるアレと同一。やはりというかアマレス出身者が着用するケースが多い。
その他巨漢レスラーが上半身を締めて身体への負担を軽減するために着用するケースもある。
肩紐が片側だけのものや、ロング丈のもの、WWEのビッグショーがほんの一時期着用したショートタイツ丈というかスク水スタイルのものも存在する。


ショートスパッツ、ハーフタイツ
ボクサーパンツに近い形状の短いタイツ。総合格闘技で主流のスタイルなので、使用者は総合出身者が多い。


トランクス
他のタイツに比べると裾が広く履き心地はゆったり。
こちらも総合出身者に着用者が多く、ブロック・レスナーは総合格闘技転向前はショートタイツだったが、総合格闘技から復帰後はトランクスタイプを着用している。


全身タイツ
上下とも身体のほぼ全面を覆ってしまうタイプ。
いわゆるマスクマンがミステリアスさを演出するために用いるケースが多く、素顔の選手で全身タイツというのは珍しい。
単純に布面積が広く様々な模様を施す事ができるため、ド派手なコスチュームの選手が多い。

珍しい例として、WWEに在籍するMVPというレスラーは、全身に犯罪を示唆するような不道徳なタトゥーが彫られていて放送倫理的にOUTなため、下は半ズボン丈・上は長袖という『半全身タイツ』とでもいうべき風体である。


道着
空手や柔道で用いられるものと同一。やはりそれら武道の経験者が多く用いる。


パンタロン
裾が広がったロング丈ズボン。膝や脛のサポーターを隠せるので橋本真也やTAJIRIなど、蹴り技が得意な選手に着用者が多い。
また、袴に似た雰囲気になり東洋風の雰囲気を出せるため前述のTAJIRI他、ザ・グレート・カブキや新崎人生など、東洋モチーフの選手にも着用者が多い。


マスク
顔を隠す為のマスク。頭部を全面覆い尽くす様な形が有名だが、ハヤブサのように頭部だけ空いているものや、口元だけ空いているものなど形は様々。

プロレスの試合に出る事を禁じられていたアマレス選手が試合に出る為に顔を隠したのが始まりとされ、以降も正体を隠すための覆面として用いられる事が多いが、中には初めから正体がバレバレなケースも。お前平田だろ!!


その他の装飾品
上記の他、選手のキャラクターを立たせるために様々な装飾品が施される場合も多いが、多くの場合は入場後に取り払われる。マントや帽子の類がそれに当たる。
中にはフルアーマーヨシヒコのようにバズーカやらピコハンやら満載でリングに上がったところ、全てレフェリーに引っぺがされた例もある。汚いさすがヨシヒコ汚い。

90年代前半まではタイツの柄を派手にする位のもので、上記までのテンプレが守られていたのだが、蝶野正洋が悪役転向すると共にマルティナ夫人のデザインしたスタイリッシュなコスチュームを纏い人気を博したのに伴い、以降の世代のレスラー達も単純に“格好いい”と言えるコスチュームを纏うようになったという分析も。


プロレス用語

ブック/アングル/ギミック

どれもプロレス特有の用語で、それぞれ

ブック→「各試合毎の台本・脚本」
アングル→「抗争など長期間に渡る選手同士の絡みやストーリーライン全般」
ギミック→「キャラ設定」

を指す単語。

「ブック」は各試合毎の台本で、その存在は基本的に隠されているが団体・選手・ファンの間で「存在しているけど、していない事にしてある」のが実情。
いわゆる暗黙の了解というやつ。

その存在こそ今となっては公然の秘密となっているが、実際試合のどこからどこまでが台本なのかは明言されたためしが無く、90年代WWEの裏側を追ったドキュメンタリー『ビヨンド・ザ・マット』では「アドリブ7:台本3」と言っていたが、他団体も同じとは限らない。
中には勝敗しか定められていないものから、会場内のギミックを使う都合上事細かに決められている場合もあるらしい
実際問題団体によっては年間200試合近くやるので、毎度毎度演劇のようなガチガチの台本を作るのは無理がある。
むしろ大半がアドリブなのに、そこに格闘技としての面白みを感じさせる事ができる、という点がプロレスの凄みとも言えるだろう。

アメリカでは昔からその存在が知られているため、割と荒唐無稽でむちゃくちゃなブックも多い一方、関係者らが長らくその存在を否定し続けていた日本では「真剣勝負」「れっきとした格闘技」として扱われてきた。
このためブックの存在が明るみに出た時には「やらせ」「茶番」などの批判が噴出する事態となってしまった。

ブックの内容は試合展開が細かく示された物から勝ち負けのみしか決められていない物まで団体や興行、試合によって様々だが、・「不測のアクシデントでもない限りこれを破る事はあり得ないし、あってはならない」という不文律が存在する。
しかしブック破り事件自体は古今東西で幾度となく起きているが、それらはあくまで試合中の事故やハプニングをフォローする為に選手やスタッフ個人の独断によって止む無く行われる事が殆どな一方で、モントリオール事件のように「会社側が、しかも一選手を陥れる為にブックを破った」という事件もある。

いろいろ言われるが、映画やドラマに脚本がある事を批判するアホが(多分)いないのと一緒で、お前らの嫁がお前らに惚れないのと一緒なので、その辺を割り切って観られない人はそもそも向いてないかも知れない。

「アングル」は抗争や共闘、友情、恋愛、結婚、離婚などなど……選手・団体間のストーリーラインの事。
変身ヒーローに喩えるなら、ブックは変身してからの台本で、アングルはストーリー全体のドラマを指す。
ウルトラマン』で言うと「ウルトラマンがバルタン星人と戦い、スペシウム光線で撃破する」がブックなら、「核開発で故郷を失ったバルタン星人が地球侵略を思い立つ」事がアングルだ。
基本的には

抗争開始
→各地を転戦しながら様々なストーリーを展開
→大きな大会で決着
→大会の決着を受けて新アングルスタートもしくはアングル継続

の繰り返しで進んでいく。
テレビ放送やネット配信、録画という概念が無かった時代はあまり重視されなかったが、WWEがケーブルテレビによる全国放送という大革命を起こしてからは、NHK大河ドラマかと思うような大々的なストーリーを展開し、全米を席巻した。

「ギミック」は、前述の通りレスラーそれぞれのキャラ設定のこと。
楽しいアニメに個性的なキャラが多いように、プロレスもまたレスラーの魅力が興行の成功を左右する。
キャラ付けの仕方は様々で、国内では特に獣神サンダーライガーが分かりやすい例だが、そこまで露骨なキャラ設定でなくとも、単純に総合格闘出身→打撃技多め、アマレス出身→関節技の名手のような経歴からキャラが決まる場合や、テキサス出身→カウボーイスタイルのような出身からキャラ付けされる事も多い。


ベビーフェイス/ヒール

要は「ヒーロー」と「ヴィラン」、「善玉」「悪玉」のこと。
1920年代のアメリカで、興行を盛り上げるため勧善懲悪的な試合を組み始めたことから生まれた概念で、分かりやすさ重視のアメリカンプロレスでは特に強調される。

ベビーフェイス

正義の味方として傍若無人なヒールをぶちのめす、みんなのヒーロー。単に「ベビー」とも。
団体の顔とも言えるレスラーが多く、元々はヒールだったが、ベビーフェイスを越える人気を得たためベビーフェイス化する事もある。
ヒールからベビーになる事を「フェイスターン」「ベビーターン」と呼ぶ。
ただ、人気があるからと言ってフェイスターンすれば良いという訳ではなく、ベビーになったことで個性が薄まってしまって人気が落ちる事も多いため、安易なフェイスターンは褒められない事が多い。

キャリアの全部または殆どをベビーフェイスとして過ごしたレスラーの事は「スーパーベビー」と呼ばれる。

80年代までは典型的正義の味方といったキャラクターも多かったが、90年代以降はヒール系のキャラクターでありながらルールにも組織にも縛られないアウトローなダークヒーロー、ストーン・コールド・スティーブ・オースチンザ・ロックといったレスラーが人気を博し、彼らのフォロワーも多く誕生した。

逆に、あの手この手で悪事を働くヒールに比べ最終的にヒールを倒せばベビーフェイスとも言えるため、勝ちパターンさえ確立してしまえば、多少プロレスの技術が拙くともなれてしまう役割だとも言える。
この辺りは日本のアニメや特撮、時代劇辺りをイメージしてもらえばわかりやすいと思うが(特に昭和期の)敵は毎回個性的なキャラクターが登場し多種多様な作戦で悪事を働くが、ヒーロー側は毎度同じ方法で成敗する。というのと同じアレである。
無論、ここに来るようなオタク諸兄には言うまでもないが、様式美とマンネリは紙一重。だが毎度同じような流れだからこそ「いよっ!待ってました!」というカタルシスや、いかにその展開に持っていくかという緊張感も生まれるため、何も悪い意味だけではない。


ヒール

あの手この手で悪事を働いて観客のヘイトを集めるのがお仕事。
凶器攻撃や試合への介入、多人数でのリンチといった反則行為を平然と行い、相手選手だけでなく時には観客にも攻撃する(さすがに技はかけられないので、主に罵詈雑言を浴びせる)など、その悪行は多岐にわたる。

ここで再び昔ながらの勧善懲悪もので喩えよう。
作品にも依るだろうが、基本的には「悪党が悪さをする→正義の味方がそれを知る→悪事の最中に正義参上!→手に汗握る攻防の末、正義の味方が悪党を成敗!」というのがこの手の作品の基本形である。
即ち、悪があるからこそ正義があり、悪が強ければ強いほど、正義の強さが際立つという構造になっているという訳。
故にヒールには「あらゆる手段で観客のヘイトを集め、説得力のある攻撃でベビーを痛めつけつつ、これまた説得力のある受身とやられっぷりでベビーの強さを演出する」という非常に高度な技術とプロレスの優れたセンスが求められる
このため比較的ヒールにはテクニシャンが多く、コアなファンや同業者から尊敬される人物や引退後に後進の育成に力を入れる人物が多い。

また、嫌われ者を演じて観客をヒートさせ、会場中から沸きあがるブーイングを一身に受けるという役回りだからなのか、ヒールには人格者が多いとも言われている。
当然、ギャップで余計にそう感じる部分もあるだろうが、そもそも台本や相手の特性、試合の流れに観客の反応その他諸々あらゆる情報から試合をコントロールする立場上、エゴが強すぎる人物には向かないのも事実である。

え?じゃあベビーは逆にエゴイストだらけなのかって?ノーコメントで。

こうした実情が知られるようになったこともあり、近年では芸能人(坂上忍・クロちゃん・梅沢富美男等)のキャラや悪役全般を表す表現として、プロレスと無関係な場面でも使用されるようになった。

ヒールの種類
ベビーと違ってヒールはいくつかの類型に分けることができる。

★外国人
世界中のプロレス団体で登場する定番ポジション。
日本のプロレスの基礎を築いた力道山率いる日本プロレスにおいても、強大なアメリカ人レスラーを(表向きは、だが)日本人である力道山がぶちのめして行く姿に観客は熱狂した。
その性質故にキャラ付けはそのときの世界情勢に左右されやすい。特に顕著なのがWWEにおける外国人レスラーで
●イラン出身でアラブ系レスラーの先駆けとなったアイアン・シーク
●ソ連が嫌で亡命してきたのにソ連人役をやらされたユーゴスラビア人レスラー、ニコライ・ボルコフ
●みんな大好き。嫌味な英国紳士ウィリアム・リーガル師匠
●アメリカのアフガニスタン侵攻にフランスが反対したため結成されたフランス系カナダ人ユニットラ・レジスタンス
などなど……
極めつけにWWEに入団が決定したKENSO(鈴木健三)は「ヒロヒト*5」のリングネームでデビューする予定だったというエピソードがある。

ただし近年はコンプライアンス的な観点からか、露骨な外国人ヒールは減少傾向にある。
また交通の発達やインターネットの普及により、外国・外国人が身近な存在となり、誰もが世界中のプロレス団体の試合を観戦したり各国のレスラーの情報を集めたりすることができるようになったため、「未知の外国人選手」というポジションが昔より確立しづらくなったのも影響しているだろう。

因みに、かつて三大タイトルと呼ばれたNWA、WWWF(-WWF-WWE)、AWAの“世界王者”も実はこのカテゴリーで、長期に渡ってベルトを保持した選手程に実はベビーの正統派以上にヒールの悪漢、曲者の率が高かったりする。
……というのも、かつての世界王者は現在のように一つの団体のトップでは済まずに同テリトリー或いは同盟内の各地ローカル(かつての日本もその一つ)の有力選手挑戦を世界中を移動しながら毎日のようにこなさなければならなかったからで、結果的に“地元のヒーロー”が挑戦する相手→“世界チャンピオンであっても地元にとっては悪役……の構図になることが多かった為。
このためにリック・フレアーあたりが代表格として語られるが、かつての世界王者は反則や不透明決着、引き分けを駆使して相手を引き立てつつも絶対にベルトを渡さない仕事を基本的に徹底していたのだ。
こうした流れはプロレス興行が興行と同時かそれ以上にTVの視聴率やPPV売上を重要視すると共に廃れていったが、フレアーは世界王者としての実績と実力を活かして、今度はヒールの立場ながら仲間と共にシングルからタッグのタイトルを独占してやりたいほうだいする新しいヒール像を生み出してみせた。
このときにフレアーが生み出したユニット“フォー・ホースメン”の方法論は後述の“N.W.O”以降のトップ選手による悪役チームも踏襲している所である。


★外敵
上は外国、こちらは団体。他団体から挑戦してくる選手が演じる役どころ。
日本においては往時の新日vs全日対抗戦や新日とUWFインターナショナルなどあったが、こちらは【団体対抗戦】となるためこの例には当てはまらない。
あくまでも「他団体に参戦」というのが前提である。
WWEの躍進以前のアメリカでは全米のプロレス団体がそれぞれテリトリーを持っており、その他のスポーツ同様地域密着的要素が強かったため、その傾向が強かった。
変則型としては「ライバル団体から移籍してきた選手」というケースもある。
実際は正式に移籍してきているが、ストーリー上は他団体からの殴りこみという設定で登場し、その団体やファンの悪口を言うなどしてヘイトを稼ぐなどする。
ただし、必ずしも「外敵=ヒール」というわけではなく、外敵側の格が大きすぎると他団体に登場してもベビー扱いという場合もある。
例:WWEの新人番組NXTにて歓迎された獣神サンダーライガーや、アメリカ修行の際ヒールと思って入場したのに余りの大歓声に素でビビッていた小橋健太など。


★エゴイスト
自分の実力や実績、容姿、出自などを鼻にかけて尊大に振舞うタイプ。
歴史としてもかなり古く戦後すぐの頃活躍したゴージャス・ジョージなどは「田舎者を馬鹿にするド派手で厭味なシティボーイ」として、数多のレスラーに大きな影響を与えた。
分かりやすいキャラクター性ゆえか更に細分化できるほど種類が多く
●シティボーイ系…ゴージャス・ジョージ、リック・フレアー
イケメン/チャラ男系…ショーン・マイケルズ、ジョン・モリソン
●成金系…ミリオンダラーマン(テッド・デビアス)、ジョン・ブラッドショー・レイフィールド
●実力/実績自慢系…カート・アングルザ・ロックオカダ・カズチカ
●出自自慢系…トリプルH(没落貴族キャラのポール=レヴェック時代)、ランディ・オートンやアルベルト・デル・リオといった二世・三世レスラー
などなど。


★おバカ/へタレ
「コミカルヒール」とも呼ばれる観客を笑わせるポジションのヒール。
エゴイストヒールに近いが、その言動や行動が頓珍漢だったり子供っぽかったりするため笑いものにされ、尊大な態度を見せてはベビーにシバキ倒されさらに笑われる。時には同じヒールからまでも笑いものにされる。
といっても、笑いをとりつつ試合をコントロールする性質上、技術が伴わないと務まらない役回りでもあるため、高い技量を求められる難しいポジションでもある。


★狂人
「サイコヒール」とも言われる危険人物キャラ。
反則行為や残虐な技を平然と行ってヤバイ笑みを見せたり、逆に無表情を貫く事で非人間的な怖さを演出したりする。
後述のモンスター系とも相性が良く、大柄だったり筋肉質な人物が多い。
ベビーターンすると無個性になりがちだが、元々感情の無い殺人マシーンだったのに、他の選手との交流しているうちに人間性を獲得していったケインという例も実在する。(なお、結局かなぐり捨てる模様)


★モンスター
飛びぬけて身長が高い巨人や200キロに届こうかという巨漢レスラー。名前に「ジャイアント」や「ビッグ」が付きやすい。
デカイ!コワイ!強い!というシンプルさゆえ、観客の印象にも残りやすいのが売り。
その体格から来る身体的な負担が大きく短命なレスラーも多いが、モンスター系のレジェンドであるアンドレ・ザ・ジャイアントや、アメリカで悪魔と恐れられていたジャイアント馬場のように長く活躍した人物もいる。
ごく一部を除いて動きが鈍重な選手が多く、ベビーフェイスのスピーディーな攻撃に翻弄されるという、まるで五条大橋での義経と弁慶の邂逅を思わせるような展開となる場合が多い。
一方、その体格を生かした説得力抜群の戦法で一発KOという展開が多いからこそ、という側面もある。


★怪奇系
オカルティックな力を駆使するファンタジックなポジション。上2つと属性を兼ねている場合も。
やれブードゥーがどうとか闇の力がどうとかいったギミックが盛りに盛られ、神出鬼没だったり攻撃が効かなかったりと人間離れした戦闘力を持つレスラーが多い。
……まあ言うまでもなく陳腐化しやすく、台本の存在が認められているアメリカでさえ長く活動した選手は少ない。
しかしながら地獄の墓堀人おじさんのような例も存在するため、決してネタキャラ枠ではない。


★反逆者
団体のフロントやトップレスラーへ反旗を翻すアウトロー。
これを機にベビーがヒールターンしたり、ヒールユニットが分裂したりするストーリーが定番。
90年代前半までは上記までのテンプレ的な悪役パターンが守られており、ヒールはあくまでもヒールという扱いが殆どだったのだが、新日本プロレスにて蝶野がヒールターン→一匹狼のアウトローキャラを経て、曲者のヒロ斎藤と若手の注目株の天山広吉を引き入れて“狼群団”を結成して独自の人気を得ているのを見て、WCWにてホーガンとエリック・ビショフの発案により外敵ポジのケビン・ナッシュ、スコット・ホールを引き入形で“N.W.O”が誕生。
社会現象となる程の人気を得る中で悪役でも最も人気の高い選手、ユニットというのが定番化することになる。
因みに、このN.W.O”人気に対抗する形でWWF誕生したのが前述のストンコやロック様なのだが、彼等はベビーの立場でもヒールの立場でも“両方の属性を兼ねたスーパースター”であり、以降はこれが定番となっている。


塩/しょっぱい

「つまらない」という意味で、つまらない試合を「塩試合」と呼ぶこともある。
元は相撲用語で、弱い力士は土俵に撒いたが身体に付く事から来ている。
前述のように、プロレスにおいては勝ち負けそのものよりも「盛り上がり」が重視されるため、必ずしも「しょっぱい=弱い」とは限らない。
近年ではさらに転じて、素っ気ない対応を「塩対応」と呼ぶなど、格闘技以外の業界にも広まっている。




!?


ストロングスタイル/王道プロレス

前者はアントニオ猪木が、後者はジャイアント馬場が提唱したプロレスのスタイル。

ストロングスタイルとは「カール・ゴッチのようなレスリング技術による攻防と力道山のケンカスタイルの融合」とされ、猪木が設立した新日本プロレスに今でも受け継がれている。
黒いショートタイツに膝のサポーターやレガース無しの衣装はストロングスタイルの象徴とされていて、新日の新人選手は皆この格好からそのキャリアをスタートする。

王道プロレスは「リング内での精神的、肉体的な勝負や受けの美学に拘ったプロレスの試合形式、および試合に臨む態度そのもの(本家Wikiから転載)」と、やや観念的な部分が強い。
もう少し詳しく言うと「リングアウトや反則行為による決着の否定」「絞め技は痛め技で、決め技はド派手で危険な投げ技や打撃技」「とにかく技を受けて受けて受けきる忍耐力と肉体」といった信条を特徴とする。
全日本プロレスが標榜した「明るく、楽しく、激しいプロレス」というのも、「激しい技の応酬と明快な決着でお客さんを楽しませる」という、王道プロレスを端的に言い表したものである。

なお、前者に関しては「小細工抜き」「力技」「強引」等の比喩表現として、プロレスファン以外の人も浸透している。


バンプ

受身のこと。「bump」=「衝突」
高所からの転落などを指して「ハードバンプ」と呼んだりする。


ガチンコ

今では「真剣(勝負)」「本気」「マジ」といった意味で、また「ガチで」と省略して使われることが多いが、本来は試合中に台本を無視して他の格闘技のような真剣勝負を行う事を指す。
「セメント」とも言われ、プロレス的な見せ技には向かず純粋に相手を痛めつけてしまうような技は「セメント技」と呼ばれる。
基本的にこの手の物は総合格闘技へ移行してしまっているので、プロレスで起こるときは「ガチンコ」というのが基本。
本当に起きてしまった場合は裁判沙汰になるレベル。

英語では「シュート」と呼ばれ、逆に台本に徹することは「ワーク」。


ジョブ/ジョバー

簡単に言うと「台本に則って負け役を演じること」と言わば「やられ役」
しかしやられ役と侮る無かれ。
相手の良さを引き出しつつ観客を満足させるためには、非常に高い技術とプロレス脳が求められるため、勝ち星は少ないのにキャリアはベテランとは即ち、団体から全幅の信頼を置かれた真の職人とも言えるのだ。

分かりやすい例を挙げれば、碌な勝ち星も無くひたすら笑われ役をこなしながらも、スター選手ですら出入りの激しいWWEで14年間も現役を続けたFUNAKI(船木勝一)、最弱であることを逆にアイデンティティとしていたドラゲーのこのまま市川(元・ストーカー市川)、その市川と東西の横綱と称された元K-DOJOのDJニラ、勝ち負けを超越して劇場という言われ方をしていた元ノアの井上雅央などがいる。


ジュース

流血のこと。血糊を使うこともあれば、剃刀等で額などを傷つけるケースもある。
ちなみに不慮の事故で流血した場合は「生ジュース」と呼ばれる。おいしそう。


メジャー/インディー

音楽業界の用語としても使われるアレと同じ。
全国巡業をしたり両国国技館や東京ドームといった大きな会場で大会を開いたり出来る大きな団体を「メジャー団体」、特定の地域に根ざし、大会はもっぱら市営体育館のような場所で行う小さな団体を「インディー」と呼ぶ。
一時期は新日・全日・ノアの3団体をメジャーと呼んでいたが、ドラゲーの成長やDDTのノア買収*6によってよくわからない状況になっている。
とりあえずは伝統でこの3団体がメジャー、ドラゲーとDDTと大日本辺りを「準メジャー」、他をインディという扱いにされている場合が多い。近年力をつけてきたGLEATはメジャーにもインディーにも属さない「ベンチャー」を称している。
特に規模の小さい団体は「どインディー」や「草の根インディー」と呼ばれる。


女子プロレス

名前の通り女性選手によるプロレス興業のこと。略して「女子プロ」とも呼ばれる。
歴史は古く、アメリカでは1930年代末頃、日本では男子より早い1948年頃に始まったとされている。
初期から近年に至るまで、世界的には男子による試合の添え物程度の扱いを受けていた時期が長く、互いの下着を奪い合う「ガーターマッチ」のようなお色気路線のキャットファイトをさせられる事が多かった。

これは業界最大団体のWWEとて例外ではなく、お色気路線の試合で無くとも、女子の試合は興業の前半やビッグマッチとビッグマッチの間に差し込まれ、半ば観客の箸休めや休憩時間扱いされる事もよくあった。

一方、日本では力道山が「プロレスはオンナにできるものではない」との圧力をかけて一時的に断絶するが、程なくして復活。
1955年に蔵前国技館で行われた「全日本女子プロレスリング王座決定トーナメント」の成功を契機に、70年代後半から90年代にかけて多数の女子プロレス団体が乱立し、お色気路線に頼らない本物のプロレスで隆盛を極めた。
その結果、未だキャットファイトの域を出ない他の地域をぶっちぎって、異常進化とも言える発展を遂げる事となる。
ビューティー・ペアのように、試合前にはアイドルよろしく持ち歌を披露し、レコードデビューして大ヒットを記録した者もいる
男子顔負けの危険技や苛烈な攻防は世界中のプロレスファンを唸らせ、今では「Joshipro」という単語を世界中のプヲタが口にするとまで言われている。

ちなみに、女子プロレスラーと聞くと神取忍やアジャ・コングのような容姿を想像する人も多いのではなかろうか?
ああいったタイプの選手がトップを張るのは日本くらいで、他の地域では見た目も美しい選手が1番人気になりがち。

現在ではさまざまな要因から、かつての栄光からはほど遠い小さなシーンになってしまったが、逆に今ではWWEが女子選手の試合に力を入れ始め、強さと美しさを兼ね備えた女子選手による本物のプロレスで人気を博している。
かつては「ディーバ」と呼ばれ持て囃されてきた女性選手が、今では「見てくれだけのヘタクソ」のようなニュアンスで用いられるなど、隔世の感を感じずにはいられない。
また、日本でも2011年に団体を旗揚げした「スターダム」が新日本プロレスと同じブシロードグループ傘下に入ったため、各メディアへの露出や新日本プロレス側とのタイアップや合同興行を行ったりと再びその人気を再燃させようとしている。


学生プロレス

大学のプロレスサークル・同好会によって行われるプロレス。
学園祭等で試合を行うなどするのが主な活動。部室に入り浸ってプロレス動画を観るだけでは活動とは言いません。

専門の教育や訓練を受けていない選手によって行われるため、一般のプロレスファンからは「技術が拙い」「身体ができあがっていない」「試合がつまらない」「お遊び」といった批判を受けやすく、露骨に見下すファンも多かった。
しかしながら棚橋弘至や真壁刀義のように、学生プロレス出身にも関わらずメジャー団体で人気を博したレスラーも増えてきており、以前に比べれば否定的な声は小さくなってきている。
彼らの他学生プロレス出身者として著名なのは、華麗な空中殺法と悲劇的なキャリアから伝説となったハヤブサ、「姐さん」ことMEN'sテイオーに「男色殺法」で知られる男色ディーノなど。
プロレスラー以外ではレイザーラモンHG・RGの両名やユリオカ超特Q、TBSラジオのプロデューサー橋本吉史などがいる。

2000年代以降はただでさえ少子化で生徒数が減少しているところに、プロレス人気の低迷もあって大学単位での活動が難しく、地方単位で大学間交流を活発に行いなんとか活動しているのが現状のようだ。

ちなみに、学生プロレスラーのリングネームは実在のプロレスラーをもじったものや下ネタが多い。
上記の人物達でいくと
【現在】 【学プロ時代】 【元ネタ】
ハヤブサ 肥後ずいき 熊本県に伝わる伝統的ディルドー
MEN'Sテイオー テリー・ファック テリー・ファンク
男色ディーノ 男色ディーノ 男爵ディーノ
レイザーラモンRG チン先真性 新崎人生
※そもそも「レイザーラモン」自体、WWEのプロレスラー「スコット・ホール」の昔のリングネームから来ている。


……うん、そういうところだと思う。


文脈

ブックやアングル、時には現実の出来事や背景までも巨視感的に捉えた物事の筋道。
個々の試合の出来以上にこれを重視するファンも多いが、ある程度の知識と情報処理能力が要る。


マーク/スマート

前者はプロレスを台本の存在しない真実の闘いとして楽しむファンを指し、後者は台本の存在を了解したうえで楽しむファンのこと。
どちらが正しいとか優れているとかでは無く、個々の楽しみ方の問題なので互いに尊重しよう。

ガンダム』をロボットものとして、あるいは人間ドラマとして、はたまたキャラクターコンテンツとして楽しむのか。
さぁどれが1番正しいでしょうか?なんて言おうものならどうなるか火を見るよりも明らかなはず、といえば伝わるだろうか。


ケーフェイ

プロレス興業を行うに当たり守らねばならないタブーや暗黙の了解。

例えばアニメの作品内やイベント、ライブ等で仲の良いやりとりをする声優同士が実は仲が悪くて、裏では互いに罵りあっている。といった噂を聞いたらどう思うだろうか。
尊い展開も和気藹々としたやり取りも、全て空虚な嘘っぱちに見えてしまって素直に楽しめなくなる人が多いのでは無かろうか。

これを防ぐためにプロレスラーには、公私の隔てなくキャラクターを演じる事が求められる事が多く、ベビーフェイスの選手がスキャンダルを起こして人気が下がったり、役割を下されたりするようなケースも実在している。

もっとも、それをネタにヒールターンという最終手段が残されている分、いくらかマシとも言えるが。


フィニッシュホールド/フィニッシャー

要は必殺技。
コレを喰らったらおしまいだという説得力と、その選手だけのオリジナリティーが求められる(同じ技を別の名前で使っている選手も多いが)。

スタン・ハンセンの「ウエスタンラリアット」のような抜群の説得力を持った技もあれば、ザ・ロックの「ピープルズ・エルボー」*7のように、格闘技的には全く意味も威力も無い技もあるが、大事なのは「コレが必殺技ですよ」という認識を観客に持たせる事である。
実際、ピープルズエルボー初披露からしばらくはファンや批評家は冷笑的に捉えていたが、彼がスターダムへと上り詰めるに従い「スポーツエンターテイメント界一シビれる技」へと昇華されていった。

一方で説得力重視の技も手放しに喜べない部分がある。
説得力があるとは即ち「普通に喰らったらマズい技」でもあり、技の高度化・高威力化が進むにつれて、まともに受け身も取れない技が横行、それによって選手生命どころか人としての命さえ縮めてしまった例も決して少なくない。
故に「見た目のインパクトは抜群だが、受け身が取り易い(怪我をさせにくい)技」とそれを実現する技術が求められ、そうでない技は受け手を選ぶという問題を抱えている。
それによって結果的に技の「格」が上がるという側面もあるが、それでも危険技には変わりなく、おいそれと繰り出せない状況に変わりは無い。


シグネイチャームーブ

試合中に繰り出されるその選手特有の動きや技。
フィニッシュにはならないが選手の個性を演出する重要な要素であり、ただの繋ぎ技や痛め技にとどまらない人気を持つ。



各国のプロレス事情

アメリカ

プロレスの本場らしく非常に盛んで、興行規模世界一のプロレス団体WWEを筆頭に「インパクト・レスリング」「ROH」やデスマッチ団体「CZW」が有名。最近元WWEのレスラーを中心としたAEWが結成され勢力を伸ばしている。

アメリカンプロレスの特徴と言えば、分かりやすく派手な大技やパンチ・キックの応酬や、演出過剰なブックに荒唐無稽なギミックとアングル。

しかしこれはあくまでWWE台頭以降の特徴であり、それ以前は各州毎に団体が存在し互いの縄張りを守りながら、伝統的でストイックな興行をしていた。故・ジャイアント馬場氏はその時代にアメリカ遠征を経験した事もあり、往年のアメリカンプロレスのスタイルを日本にも根付かせようと尽力した。

とは言え、世界最大のプロレス業界だけあって大会規模も演出も他の追随を許さず、ド派手な興行は単純に見ていて痛快である。

《主な団体》

 World Wrestling Enterteinment
 アメリカ最大にして世界最大のプロレス団体。
 ニューヨークをテリトリーにする一団体に過ぎなかったが、稀代の辣腕経営者ビンセント・ケネディ・マクマホンJrが祖父の代から続く団体を世界一の団体へと押し上げた。
 莫大な資金を背景にしたド派手な興行や、やりすぎ感すら感じさせるドラマが売りではあるが、ビンスの娘婿トリプルHが現場を任されて以降は、正統派な試合展開も増えている。
 なお、世界でも非常に珍しくブックの存在を事実上公言している団体で、それ故か「Pro-Wrestling」という単語を使わず「Sports Entertainment」、「プロレスラー」ではなく「Super Star」など独自の用語を多用するのも特徴。

  • WCW / ECW※共にWWEに吸収合併
 World Championship Wrestling / Extreme Championship Wrestling
 どちらもかつて存在し、現在ではWWEに吸収合併されたプロレス団体。
 WCWは、かのCNN創設者にして億万長者のテッド・ターナーをオーナーに持つ金満団体で、その豊富な資金を湯水の如く使いまくり、一時WWEを破産寸前まで追い詰めたが、フロント全員プロレス素人というポンコツっぷりにより次第に凋落。最後は二束三文の金額でWWEに買収された。詳しくは項目で。
 ECWはフィラデルフィアを拠点としたプロレス団体。名プロデューサー、ポール・ヘイマンの手腕により全米中の濃い目のオタクから絶大な支持を獲得し、上記2団体に次ぐ第3の団体として君臨した。が、やっぱりこちらも経営がポンコツで、WCWを買収するついでのようにWWEに買収された。

  • インパクト・レスリング(旧TNA)
 WCW/ECW亡き後、アメリカ第2の団体に躍り出た団体。旧来からのファンには「TNA」の名前でおなじみ。
 全米統一を果たしたWWEから解雇されたり脱退した選手たち、旧WCW/ECWの中でWWEに所属しなかった選手を中心として人気を博したが、オリジナルのスターが少なすぎたり色々あったりで、今ではだいぶ小さな団体となっている。

  • AEW
 All Elite Wrestling
 創設は2019年5月という、世界的に見てもかなり若い団体。かつて新日本のトップに君臨していたケニー・オメガやROHを中心に活動していたヤング・バックスら中心になって行われたイベントが旗揚げきっかけの一つ。
 往時のインパクト・レスリングのように元WWE所属のレスラーを中心に結成されたため、そちらからのファンが多い。旗揚げ早々COVID-19騒ぎで大変そうだが、着実に力をつけていき、現在はROHを買収するなど名実ともに全米第2位の団体に成長している。
新日本やDDTなど国内団体との交流などが盛んで、特に女子プロでは里歩、志田光らが王者に輝いている。

  • ROH
 Ring of Honor
 アメリカインディー団体の雄。所属選手が後にWWEのトップに上りつめたり、日本の団体との交流が盛んだったりと何かと目立つ団体でもある。NOAHや新日本との親交があったことから分かるように、アメプロよりかは日本に近いスタイル。2018年ごろから経営が厳しくなっていき、2020年のコロナ禍以降は興行数が激減。その後はAEWの事実上の参加団体になっている

  • CHIKARA
 アメリカでは珍しいルチャ団体。 

  • CZW
 Conbat Zone Wrestling
 アメリカのFMW、あるいは大日本プロレス。選手全員頭が大仁田厚みたいなデスマッチ団体。
 「デスマッチ・ジーザス」の異名を持つネクロブッチャーを始めとしたイカレポンチの巣窟だが、今でも元気に血まみれになっているあたり、プロレス団体としての実力は本物。


メキシコ

メキシコのプロレスは「ルチャリブレ(自由な戦い)」と呼ばれ、覆面レスラー達が派手な空中殺法を繰り広げるのが最大の特徴……と思われているが、本質は複雑な関節技(ジャベ)の応酬
相手にしがみついてグルングルン回ったらいつの間にか変形の卍固めになっていた…という派手さと複雑さを兼ね備えた技もあるが、基本的には地味。
垂直落下系の技が禁止されているのもそれに拍車をかけている傾向。
他の特徴としては体重分けがやたらと細かい*8、マスクマンが多い、遺伝子的な物なのかむっちり体型が多い、家族そろってルチャドール*9なんかも特徴。

他の地域と比べても独自色が強く、レスラーの事を「ルチャドール(女性は「ルチャドーラ」)」、ベビーフェイスを「テクニコ(女性は「テクニカ」)」ヒールを「ルード(女性は「ルーダ」)」と呼ぶ、三番勝負が多い、タッグは6人や8人制が多い、他国のプロレスとは逆の動き(左側でかけるのが普通の技を右側でかけるなど)をする……など、非常に個性的なプロレスシーンとなっている。

覆面レスラー(いわゆるマスクマン)の覆面は神聖なものとされ、マスクを剥がされたら引退するというのが不文律となっているのも大きな特徴で、マスクを賭ける=引退をかけた試合は「マスカラ・コントラ・マスカラ」と呼ばれる。*10
引退まではせずともマスクを剥がされた時点で本名や出身地などが公表され、以後もマスクをつけての試合は認められないなど、大きなペナルティを受けることとなる。
このため、マスクを賭けた試合は深い遺恨への決着試合として用いられ、その他のビッグマッチを差し置いてメインマッチとなる事が多い。
それだけルチャのレスラー達は覆面を大事にしており、その象徴と言えるのが「白銀の聖者」等の異名でメキシコでは広く知られた伝説のルチャドール「エル・サント」で、人前では決して覆面を脱がずそれは死後、埋葬の際にまで覆面を着けたままと徹底したものであった。
この他にも互いの髪をかけた試合は「カベジェラ・コントラ・カベジェラ」と呼ばれ、それらのように何かを賭けて闘う試合をまとめて「コントラマッチ」と呼ぶ。

日本からは獣神サンダーライガーを始めメキシコ修行に行くレスラーが多く、メキシコ仕込の空中殺法やハイスピードな闘いで「ジャパニーズルチャ」と呼ばれる独自のスタイルを確立した。

《主な団体》

  • CMLL
 Consejo Mundial de Lucha Libre
 前身も含めれば1931年設立という、世界的に見てもトップクラスに古い団体。
 2000年代末からは日本との交流も盛んで、日本人が王者に輝いたことが複数回ある。

  • AAA
 Asistencia Asesoría y Administración
 元CMLLのブッカーだったアントニオ・ペーニャが1992年に設立した団体。
 後にアメリカで大活躍するレイ・ミステリオやシコシスを擁し、CMLLを追い抜くほどの人気団体となった。

  • UWA
 Universal Wrestling Association
 メキシコでは専らLLI(Lucha Libre Internaciónal)と呼ばれている。
 メキシコ屈指の団体だったが、1995年に所属選手の殆どがAAAに移籍するという大事件が起こった挙句、97年には団体代表が誘拐されて、その身代金を支払うために常設会場を売り払うという前代未聞の大事件により消滅することとなった。
 そのまま歴史の闇へ忘れ去られていく運命かと思われたが、なんと2018年に復活。しかも会長はアントニオ猪木の右腕にしてWWE殿堂者・新間寿氏が就くという事で大きなニュースとなった。


日本

前の2つと並ぶ三大プロレス名産地の1つ。
長らく「プロレスはれっきとした真剣勝負」という姿勢を貫いてきた経緯もあって、世界的に見ても競技性が強く、高い技術や硬派な試合展開などから評価が高い。
元々はアメリカからもたらされたプロレスを自己流にアレンジするその姿は、さすが変態国家・魔改造国家としての面目躍如といったところ(?)。

60年代から「英雄」力道山、その門下のBA砲などによるプロレスが盛んで、テレビ中継はプロ野球に並ぶ視聴率を獲得。
まさに国民的スポーツと言えるくらいに評価が高かった。
しかし、1990年代以降は新団体の乱立や中継番組の減少あるいは深夜降格、総合格闘技の台頭などで人気が低迷。
その後WWEに影響されたハッスルの台頭、新団体の更なる設立や女性ファンの獲得などで一定の巻き返しを図り現在に至る。

選手面では90年代初頭にジュニアヘビー(いわゆる軽量級選手)によるハイスピードでテクニカルな技の応酬や、闘魂三銃士全日本プロレス四天王による過激でハイレベルな試合展開は世界中のファンを魅了し、数え切れないレスラーに影響を与えた。
それゆえインターネットが普及する以前から世界中のマニアや業界人の間で人気が高く、海外へ遠征に行った日本人レスラーが海外での自身の知名度に驚いたり、それどころか遠征に行ってないレスラーすら知られていたりとその手のエピソードは枚挙に暇が無い。

この他、「延髄切り」や「フジワラアームバー」といった技名や、「道場」という言葉もそのままの意味で普及しており、WWEなどで活躍した解説者タズのようなプロレスオタクな人物が実況をすると「エンズイギィリィ!」「ミッチノックドゥラァァイバァァ!!(みちのくドライバー)」といったワードが飛び出す。
どこかマッポーめいたアトモスフィアを感じるのはきっと気のせい!アバーッ!

他の特徴としては日本プロレスの立役者となった力道山が相撲出身だったため、日本のプロレス用語には相撲用語が多い事や、他国では添え物扱いだった女子プロレスが男子と遜色ない試合をする事も挙げられる。

《主な団体》

  • 新日本プロレス
 略称はNJPW、新日。
 日本初のプロレス団体「日本プロレス」を追い出されたアントニオ猪木によって結成され、現在では日本一の団体となった日本プロレス界の盟主。
 設立の経緯から民放キー局のテレビ朝日が主要株主となっており、同団体の試合を中継する「ワールドプロレスリング」は放送開始50年を超す長寿番組となっている。

 ライバル団体の全日本プロレスと切磋琢磨しながら80年代~90年代に隆盛を極めたが、折からの総合格闘技ブームや元レフェリーのミスター高橋による暴露本による逆風のせいで一時は苦境に立たされた。その後みんな大好きブシロードが筆頭株主となって以降徐々に人気を取り戻していった。
 冬の時代を支えたエース・棚橋弘至、スイーツ大好き・真壁刀義、アニヲタ的には声優の三森すずこ氏との婚約が話題となったレインメーカー・オカダ・カズチカ、女児誘拐を未然に防いだとして一躍時の人になったドミネーター・グレート-O-カーンなど
 プロレスファンでなくてもバラエティ番組などで一度はその名を耳にした事があるであろう選手の多くが名を連ねている。

  • 全日本プロレス
 略称はAJPW、全日。
 内部のゴタゴタから日本プロレスを脱退した故・ジャイアント馬場によって設立された。
 馬場氏が持つコネクションを生かして海外のスター選手を次々招聘。「明るく、楽しく、そして激しく」を標榜した興行で新日本との熾烈な争いを繰り広げていく。
 90年代になると全日本プロレス四天王を中心とした苛烈な試合展開で人気を博すが、
 2000年代にプロレス人気の凋落と内部のゴタゴタもあって、徐々に新日には水をあけられていく。

 現在では新日と随分差がついてしまったが、それでも今では珍しくなった190cm代の大型選手が多数在籍し、また宮原健斗を中心とする、ジェイク・リー、青柳優馬ら新世代の台頭もあり今でも日本第2位の団体として活動している。


  • プロレスリング・ノア
 略称はノア。
 「ノアだけはガチ」でおなじみのプロレス団体。
 元全日本プロレス四天王三沢光晴が設立し、全日本由来のハードな試合でファンの支持を獲得。
 硬派なスタンスから「他団体は台本ありきだが、ノアだけは違う*11」といったファンを生み出していったが、
 かえってそれが排他的な雰囲気を醸成してしまい、そこに主要選手の高齢化や脱退、試合内容のマンネリ化、
 更に三沢光晴氏が試合中の事故で亡くなってしまう事件がトドメとなって、その勢いは完全に削がれてしまった……。
 2018年末に清宮海斗が注目を集めるようになり、SNSを積極的に活用した広報活動などで少しずつ世間に存在をアピールしつつ、コロナ禍の2020年以降は無観客興行を積極的に配信。潮崎豪vs藤田和之の凡そ30分に渡る視殺戦、清宮の「オカダ・カズチカと戦いたい」発言、殆ど交流のないドラゲーからEitaのサプライズ参戦など大きな話題となった。
 2022年現在はサイバーエージェント傘下のサイバーファイトの1ブランドで、DDTとは実質兄弟団体となっている(ただしDDTとは基本的にCF集合のお祭りイベント以外では交流は薄い方向)。


  • プロレスリングZERO1
2001年に新日本プロレスを退団した橋本真也が『ZERO-ONE』として設立した団体。ノアや全日本プロレスなど他のメジャー団体とも積極的な交流戦を行い、橋本と因縁浅からぬ小川直也とのタッグ『OH』砲の登場。2004年には総合格闘技PRIDEを運営するドリームステージエンターテイメントと協力しハッスルを立ち上げプロレスの認知度向上に貢献した。
しかし様々な要因が重なり一度解散。翌年には橋本と一部のスタッフを除いたメンバーで再出発。ZERO1-MAXに名称を変更し、ZERO-ONENo.2だった大谷晋二郎が代表に就任した(しかし橋本と不仲ではなく同年7月に橋本が病で40歳の生涯を終えた際には心から死を悼み、ファンとの合同葬にも参列した)その後2009年に現在の名称に変更。
大谷のプロレスに対する熱い想いと人情に厚い人柄がふんだんに盛り込まれ、全国各地を回ってプロレスを通していじめ撲滅を訴えるチャリティー活動などにも積極的に行い、アメトークでその模様が取り上げられた事もある。
2020年から続く新型コロナウイルス感染拡大により興行が打ちにくくなったことや2022年4月に旗揚げ20年興行メインイベントにおいて、長年団体を引っ張ってきた大谷が試合中相手の技で頚髄を損傷しリハビリ生活を余儀なくされた事もあって、メジャー3団体に比べ大きく水を開けられてしまってはいるものの、亡き橋本の座右の銘でもある『破壊なくして創造なし!』の精神と現役復帰を目指し怪我に立ち向かう大谷の熱い心はファンや団体を問わずレスラー達の指針となっている


  • 大日本プロレス
 日本最大のデスマッチ団体で、定番の有刺鉄線だけでなく、画鋲・ガラス・サボテン・サソリ・ワニまで用いるという独創的な興行で人気を博した。
 一番の売りは蛍光灯でオブジェを作って壮大に破壊する「蛍光灯デスマッチ」。
 こうして書くとイロモノに見えるが、試合そのものは硬派。
 凶器抜きで真面目なプロレスを行う「ストロングBJW」という部門もある。


  • みちのくプロレス
 日本初のローカル団体として、岩手県盛岡市にて設立されたプロレス団体。
 ジャパニーズ・ルチャの第一人者ザ・グレート・サスケが設立した団体だけあって、日本を代表するルチャ系団体でもある。
 一時拠点を宮城県仙台市に移していたが、現在は再び盛岡に拠点を戻している。


  • 大阪プロレス
 前述のみちのくプロレスを脱退したジャパニーズ・ルチャの顔役スペル・デルフィンが大阪府にて設立した団体。
 設立者が設立者だけにルチャ要素の強いスピーディーな展開と、大阪らしさを前面に打ち出したコミカルな試合で老若男女に親しまれた。
 常設会場が閉鎖されたため一時は存続を危ぶまれたが、その後は巡業形式からプロレスプロモーションという形で活動を再開。2022年にかつての所属選手の一人で元三冠ヘビー級王者のゼウスに経営権を譲られる形で団体として再興。タイガースマスク*12)やブラックバファローらありし日の大阪プロレスで活動していたメンバーも集まり新たな船出をスタートさせた。


  • DRAGONGATE
 略称はDG、ドラゲー。
 ジャパニーズ・ルチャの象徴ウルティモ・ドラゴンが設立したプロレスラー育成学校「闘龍門」を前身として、兵庫県神戸市に設立された団体。
 所属選手の多くが身長160~170cm/体重70~80kg台と他団体に比しても小柄な事や、アメリカンプロレスのようにギミックやマイクパフォーマンスを重視する姿勢など独自色が強い。
 イケメン選手の在籍、軽量級選手による華麗な空中殺法や目まぐるしいユニット抗争などから、根強い人気を誇る。


  • DDTプロレスリング
 DDTはプロレス技のDDTにかけて「Dramatic Dream Team」と略となっている。
 「文化系プロレス」「小さなWWE」と呼ばれるエンタメ第一の興行スタイルで「西の大阪、東のDDT」と言われたり言われなかったり。
 リングを飛び出しての「路上プロレス」「キャンプ場プロレス」、
 脚立がベルトを巻いたこともあるどころかベルトがベルトを巻いた事があるどこでも王座戦「アイアンマンヘヴィメタル級王座」、
 演劇的な要素を多く含んだ「マッスル」
 などなど変わった試合・興行が多く、
 所属選手もゲイレスラーの男色ディーノ率いるフェロモンズや煽りPVならぬ「煽りパワーポイント」で有名なマッスル坂井スーパーササダンゴマシン、創作昔話ごんぎつねでお馴染み、俳優・渡辺哲の息子のアントーニオ本多、さらには「ダッチワイフ(人形)」のヨシヒコ*13など、
 ネタ要素が多すぎるきらいもあるが、新日の人気レスラーになった飯伏幸太やケニー・オメガ、後にAEWとの二団体所属になる竹下幸之介など、選手の実力そのものは本物。
 ノアの所にも書いたが、現在はノアと兄弟ブランドとなっており、2021年以降はさいたまスーパーアリーナにてサイバーファイトに属する団体全てが参加する「CYBER FIGHT FESTIVAL」が恒例行事になりつつある。


  • UWF
 従来のプロレスにおける「受けの美学」を否定し、打撃や関節技を中心とした派手さの無い「本物の格闘技」を追求したスタイルで玄人に人気を博し、一時代を築いた。
 佐山聡を中心とした第1次政権、前田日明を中心とした第2次政権を経て多くの実力派レスラーを輩出したものの、他団体への挑発的な態度、経営面では常に苦境に立たされており内部のイザコザも絶えず、良くも悪くも話題性に事欠かない団体であった。
 UWFそのものはいくつかの団体に分裂して消滅。その分裂した団体も現在は「パンクラス」を除いて全て消滅したものの「Uの遺伝子」は現代における総合格闘技の時代を築く礎となり生き続けている。 


  • GLEAT
 リングスなどで活躍した田村潔司らが中心になって設立された新興団体。運営はリデットエンターテイメント。*14
 独自のルールを設けた現代のUWF「LIDET UWF」、#STRONG_HEARTS、BULK ORCHESTRAなどのユニット抗争が中心の「G PROWRESTLING」、プロレスラーによる本格的総合格闘技「GLEAT MMA」と大会ごとに特色の違う3つのカラーを打ち出している。
 設立当初から他団体との交流・対抗戦を積極的に行っており、旗揚げ戦には一切接点のなかった新日のSHOが参戦して大きな話題になった。


  • 西口プロレス
 プロレス…プロレス?
 キャッチコピーが「お笑い格闘集団」なことから察せられるがプロレスという名前の茶番劇、またの名を漫才。
 長州小力などがプロレスワザも一応仕掛けながら色々やっている団体です。
 なおリアルプロレスラーとの絡みも少なくなく、西口の興行に鈴木みのるや曙、高山善廣が参戦した他、元メンバーのハチミツ二郎(東京ダイナマイト)は大仁田厚と電流爆破デスマッチを行ったり、ばってん多摩川(現:ばってん×ぶらぶら)は後に九州プロレスに入団しリアルプロレスラーに転身した。


  • スターダム
 設立は2011年と歴史としては浅いが、WWEに移籍する事になる宝城カイリや紫雷イオらを輩出。
 さらに2019年から新日本プロレスと同じブシロード傘下に入ると一気に人気が加熱。メディアへの露出も一気に増える事となり、近年では『行列の出来る相談所』(日本テレビ)の企画で番組レギュラーのフワちゃんをプロレスデビューさせたり*15、同じブシロード傘下の新日本プロレスとのコラボで新日本プロレスとの合同興行を行ったり、IWGP女子王座を設立させたりと、現在女子プロレス人気を再燃化させる中心的存在として注目されている。


  • 東京女子プロレス
 スターダムに遅れること2013年にDDTプロレスの社長高木三四郎と元NEO女子プロレスの甲田哲也氏が中心となり設立された女子プロ団体。当初は中心メンバーになるはずだった選手が諸事情により旗揚げを待たずに退団。デビュー前の練習生によるマットプロレスやアイドルのライブを融合した小規模なイベントを行うなどどん底からのスタートだったが、生え抜き選手たちの成長と共にプロレス団体として頭角を表し、旗揚げ10年目の2022年には単独で両国国技館大会、大田区総合体育館大会を成功。近年はアメリカでも単独興行を行い現地ファンを熱狂させた。
 元所属のウナギ・サヤカ曰く「他の女子プロレス団体と東京女子プロレスは全く違うジャンル」と言われるほど女子プロレス団体の中でも異色の存在。ゆるふわで明るい雰囲気を持ちDDT系列らしくイロモノ的な一面も覗かせる。芸能活動を兼任している選手が多く、モデル、役者、アイドル、元お笑い芸人と所属選手のバリエーションが様々。近年ではSKE48の荒井優希がデビューしたことでも注目を浴びた。一方で他団体との交流はほとんどなく事実上の鎖国体制を貫いている。*16最近では緩和の傾向にあり海外団体(AEW、EVEなど)から有望選手を招聘するなど交流に力を入れている。
NOAH、DDTと同じく現在はサイバーファイト傘下の一ブランドである。


カナダ

地理的な事情からアメリカの影響が強く、カナダ出身のレスラーは非常に多い。
名伯楽スチュ・ハートが設立したプロレス道場「ハート・ダンジョン」出身者のハイレベルなレスリング技術を持つレスラーたちが有名。

《主な団体》

  • スタンピードレスリング
 Stampede Wrestling
 戦後ニューヨークで活躍し、数多くの名選手を育てた名伯楽スチュ・ハートが設立したプロレス団体。
 1984年にWWE(当時はWWF)に買収されて以降は復活したり消滅したりを繰り返しているが、その名前は世界中のプロレスファンの胸に刻み付けられている。

  • AGPW
 Atlantic Grand Prix Wresting
 知名度は低いが、現在の代表はかつての経営者の息子にして、WWEの名ヒール・ユニット「ラ・レジスタンス」のメンバーレネ・デュプリ。


イギリス

「キャッチ・アズ・キャン」という古くから伝わるレスリング技術を駆使したレスラーが多い。
プロレスというより通常のレスリング(アマレス)に近い。見た目は地味だが、人体構造の理にかなった痛め技が多く、玄人好みな攻防からファンも多い。

このほか、ドイツやスイスなどヨーロッパ各国にプロレス団体が存在し、一つ一つの団体は決して大きくないながらも、非常に盛んに行われている。


プロレス技

ここまで散々語ってきたように、プロレスとは「格闘技」であると同時に「エンターテイメント」である。
なので普通の格闘技と違って相手の攻撃を防ぎつつ、相手を確実にしとめる技でノックアウトするといったものではなく、とにかく見栄えが良くて相手にも観客にも分かりやすく、かつ安全な技が求められるのだ。

打撃技は相手の胸板や太股といった筋肉が集中する場所に当て、関節技も決して致命的な角度まではかけず、互いに身体の破壊では無く、あくまでも「ショー」に徹する事が求められる。折ったぞー!!

ハルク・ホーガンスタン・ハンセンが若手時代に看板選手を怪我させてしまったことで干されてしまったり、WWE等で活躍したカナダ人レスラーブレット・ハートが「相手に怪我をさせた事がないこと」を自身の誇りとしていた事からも、プロレスの特殊性がわかるだろう。

プロレス技の多くは、専門の訓練を受けたプロだからこそ耐えられる技、受け身一つで誇張でも何でもなく生死が別れる技が多いので、面白半分で技をかけたりかけられたりしていると冗談抜きで死ぬ
「受身の天才」と言われながら、普遍的な投げ技である「バックドロップ」を受け損ない、リングでその命を散らした三沢光晴の死を忘れてはならない。

元がレスリングなのでレスリング由来の技も多いが、時代が進むにつれて世界中の様々な格闘技を吸収し、実質総合格闘技のようになっている。

ここに列挙するのは余りにも項目が冗長になってしまうため、詳しくは プロレス技 のタグで検索していただきたい。


比喩としての「プロレス」

前述の通り、「台本を元に行われる真剣勝負」という特性から『ガチに見せかけたやらせ』というような場面で「○○○はプロレス」というような比喩に使われる事がある。

当人同士が仕掛けずとも、宣伝のために企業側やメディアがライバル関係があるように演出するケースもあるので、乗っかりすぎには要注意。

また、半裸の2人がリングでドッタンバッタンする事から、ベッドで仲良くくんずほぐれつ汗をかくアレの事も「プロレスごっこ」と呼ばれることがある。

お父さんとお母さんがソレをしている事を「プロレスごっこ」だと思っていたキッズの諸君、トラウマに負けずに強く生きて欲しい。


ファン

近年ではプロレスファンの事を「プヲタ」、特に女性ファンの事を婦女子に掛けて「プ女子」と呼称する事が多い。
プロレスという特殊な格闘技のファン故か、他競技のファンに比べてオタクっぽいイメージを持たれたやすく、特にプロレス人気が低迷した00年代以降はその傾向が強い。

代わりに台頭してきた総合格闘技ファンに押され「プロレスwww」と煽られ、女性からは白眼視され、うっかり飲み会で熱弁しようものなら「そういう人」というレッテルを貼られ…………
まるで昔のアニメオタクのような扱いを受ける人も少なくない。

しかしながら現在では、新日本プロレスが女性や子供を中心とした新規ファンを獲得した事で、いくらかその偏見は軽減されている。


入場曲

さて、プロレスと言えば忘れてはいけないのが選手の入場曲である。
日本においてではあるがビリー・グラハムというプロレスラーが入場時に曲を流す演出を行ったのが最初とされている。
その後にミル・マスカラスの入場に曲を流す演出を行って本格的に定着、以降は他のプロレスラーの入場時にも曲が使われるようになったとされている。
一言で入場曲と言ってもなんでこの曲なの?と思われそうなネタ枠から雰囲気もマッチしてるガチ枠と多様であり、
さらに言えば使われる曲も選手の為だけに作られた実質的なオリジナル、原曲をアレンジしたものなどバリエーション豊富である。

例えば、アントニオ猪木の入場曲として有名な「炎のファイター」は元々はモハメド・アリのドキュメンタリー映画で使われた曲が基になっており、異種格闘技戦での健闘をアリに称えられてプレゼントされたのをアレンジしたのが始まりだったり、
今日では乱闘シーンのテーマとして有名なスタン・ハンセンの入場曲「サンライズ」も、元々はスペクトラムというユニットの同名の曲が原曲であったりと、
曲が使われるようになったきっかけやチョイスされた理由等も選手ごとにバラバラなのだ。

そして曲や選手によっては曲のリズムに合わせて名前をコールする(例:ジャンボ鶴田の入場曲Jのリズムに合わせて「鶴田、オー!」や三沢光晴の入場曲スパルタンXのリズムに合わせて「みっさっわ!みっさっわ!」等)のも楽しみ方の一つで、ファンによっては入場曲込みでプロレスという人もいるようだ。



プロレスを題材にした作品

娯楽スポーツとしての歴史は深いことから作品数は多いものの、ブックやアングルといった「裏」まで描かれた作品は殆ど存在しない。
そのためプロレスを題材にした作品の殆どは、ド派手な総合格闘技的な作品になりがちなのが実情。

これはそういった裏があると明言している団体が事実上WWEしか無い事や、プロレスという「夢」を壊すまいとするクリエイター・ファン双方の想いが強い事による。
プロレスの真実を描けばプロレスファンから非難され、プロレスの夢だけを描けばリアリティは無くなる。もう、どないせいと……?

『キン肉マン』シリーズや『プラレス三四郎』が人気を得たのも、現実離れしたファンタジー要素が強ければリアリティに拘る必要があまり無い、というのが理由の一つかも知れない。


プロレスそのものを題材としたもの

●ジャイアント台風(漫画)
●タイガーマスクシリーズ(漫画、アニメ)*17
●プロレススーパースター列伝(漫画)
●1・2の三四郎(漫画、映画)
●リッキー台風(漫画)
●プロレス・スターウォーズ(漫画)
●世界でいちばん強くなりたい!(漫画、アニメ)
●ロリクラ☆ほーるど!(漫画)
●アグネス仮面(漫画)←反則にも礼儀あり等、微妙に裏側も取り入れた珍しい作品。
パパはわるものチャンピオン(絵本、映画、漫画)
●お父さんのバックドロップ(小説、映画)
●マッチメイク(推理小説)
レスラー(映画)
●ガチ☆ボーイ(映画)
●俺の家の話(TVドラマ)
●ここが噂のエル・パラシオ(漫画、ドラマ)
けものみち(漫画、アニメ)
●ももプロZ(漫画)
レッスルエンジェルス(ゲーム)
ロックアップ 我等あかつきプロレス団(漫画)
●ファイヤープロレスリングシリーズ(ゲーム)
●エキサイティングプロレスシリーズ(ゲーム)
●マッスルボマー(ゲーム)
●ファイヤースープレックス(ゲーム)
最狂超プロレスファン烈伝(漫画)

プロレスを下敷きとしたバトル作品

キン肉マン(漫画、アニメ)
プラレス3四郎(漫画、アニメ)
プロレスの星 アステカイザー(特撮)
ウルトラマン※プロレスそのものとは関係ないが、そのファイトスタイルはプロレスを参考にしている。
甲虫王者ムシキング※こちらもファイトスタイルがプロレスを参考にしており、ムシキング・テリーというプロレスラーとのタイアップも行った。
紅の戦艦(漫画)

プロレスが題材となる話がある別の題材の作品

空手バカ一代(漫画、アニメ)※アメリカ遠征編及び木村編
バキシリーズ(漫画、アニメ他)
●格闘美神武龍(漫画、アニメ、ゲーム)※最初の長編がプロレス挑戦編
名探偵コナン汚れた覆面ヒーロー

プロレスに縁深いキャラクター

※なお、格闘ゲームにおけるプロレス使い設定のキャラはあまりに多すぎるので割愛

プロレスラーのキャラクター

アイアン木場、その他多数のプロレス出身の格闘家(タフシリーズ)
マウント斗羽アントニオ猪狩他多数(バキシリーズ)
○グレート巽他多数(餓狼伝)
国会議員(浦安鉄筋家族)
・・・ここまで全員馬場と猪木じゃねーか!

○アポロニア仮面(ジャングルの王者ターちゃん)
○『レスラー会見』に登場するレスラー*18(『みんなのリズム天国』)
○オニバンバ(ウルトラ怪獣かっとび!ランド
ピラザウルス(仮面ライダー)
○ゴリラマルガム(仮面ライダーガッチャード

プロレスラーそのものではないが、プロレスラーをモチーフとしたキャラクター

○万堂栄子(たたかえ!たらんてら)※まだ就職してはいないので学生プロレスラーである
○神田鳥忍(クレヨンしんちゃん
マスク・ド・マスキュリンBLEACH
○千顔マン(とっても!ラッキーマン)
エルコンドルパサー(ウマ娘 プリティーダービー)
(なぜかアニメのウマ娘のみなさんは彼女以外もやたらプロレス技を使うシーンが多い)
黄蓋(三國無双)(無双シリーズ)
ウルトラマンゼット ベータスマッシュ(ウルトラマンZ)
レスラーG、仮面ライダーガッチャード アントレスラー(仮面ライダーガッチャード
ジーザス・バーチェス、アブドーラ&ジェット、ファンク兄弟ONE PIECE
キラービー四代目雷影・エー(NARUTO‐ナルト‐)
カイリキールチャブルガオガエンロイヤルマスクマスクド・ピカチュウポケットモンスター
ケツァル・コアトル(Fate/Grand Order)

プロレスファンまたはプロレス技を使うキャラクター

ミッシェル・K・デイヴステラフォーマーズ
霧沢風子(烈火の炎)
○鬼塚英吉(GTO)
○冷越豪(奇面組シリーズ)
島田美波(バカとテストと召喚獣)
○呂蒙子明(一騎当千シリーズ)
福田のり子(アイドルマスター ミリオンライブ!)
日野茜(アイドルマスター シンデレラガールズ):ラグビーキャラのはずなのだが、なぜか時々プロレスネタが混ざる
千鳥かなめ(フルメタル・パニック!)
早乙女優美(ときめきメモリアル)
向坂環(ToHeart2)
ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト(Fateシリーズ)
○エレン・クルーガー(進撃の巨人)
○島帰りの龍(助け人走る)
○勘平(必殺仕切人)
ΖΖガンダム(機動戦士ガンダムVSシリーズ)


この項目を追記すればどうなるものか、危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。
踏み出せばその追記が道となり、その修正が道となる。
迷わずやれよ。やればわかるさ。

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最終更新:2024年04月05日 21:18

*1 当然ながらボクシングや総合格闘技ファンの全てがこう思っている訳ではない。両方好きな層も当然ながら存在する。

*2 ギリシャ神話の主神ゼウスが、自身の娘に恋をして相談に来た冥王ハデスに「力づくで強引に嫁にしろ」と扇動しているので、古代ギリシャのある時期までは略奪婚は悪い事だとは思われていなかったとされている。

*3 話せば長くなるが、タイガーマスク(伊達直人)も中盤で馬場から「頼りすぎなければ反則も大いにやれ!」と励まされたことで試合中に使いまくるようになるのだ。

*4 メキシコの公用語であるスペイン語には男性名詞と女性名詞の区別があるため。

*5 昭和天皇の諱・裕仁から

*6 正確にはDDTの親会社であるサイバーエージェントに株式を譲渡した形。なおDDTの社長である高木三四郎はNOAHの社長も兼任しているが、あくまでも経営の効率化を図るためでマッチメイクには参加しないとしている。

*7 左右のロープに飛んで加速を付けた後、「立ち止まって」エルボーを食らわせる。加速とは?

*8 日本では「ジュニア・ヘビー」、米国では「クルーザー・ヘビー」の2階級の所を、CMLLでは「スーパーライト・ウェルター・ミドル・ライトヘビー・ヘビー」の5階級に分けている。

*9 ギミック抜きで「誰それの息子」というレスラーが多数居る。

*10 ちなみに化粧品の「マスカラ」はイタリア語で、語源は「覆う」と同一だが、これとは関係ない。

*11 とある外国選手は「ノアはアドリブの部分が非常に多かった」とコメントしていたが、このコメント自体も台本の可能性が否定できないので詳細は不明。

*12 当時は同じく全日本プロレスに所属していたイザナギ(丸山敦

*13 興行内では生きている人物として扱われるのがお約束になっている。

*14 2019年からCA傘下に入るまでNOAHの運営を行っていた。

*15 この試合の中継は『行列』内で実施したが、結果地上波のプライムタイムで女子プロレスを全国放送するという快挙を成し遂げている。

*16 完全な鎖国ではなく、他団体の選手を東京女子に招聘することが多い。しかし所属選手が(DDTや年一回のサイバーファイトフェスを除く)他団体の興行に参戦することは非常に稀で、例として同じく他団体参戦に慎重な姿勢をみせるスターダムも参加した「後楽園ホール60周年記念還暦祭」にも選手を派遣しなかった。

*17 なお実写映画版は原作における地下デスマッチ編が題材なので、プロレスの映画ではない。

*18 名前は不明だが、血液型はA型で初防衛に成功したという設定があるらしい。