パックマン

登録日:2022/04/21 Thu 11:47:11
更新日:2023/04/24 Mon 11:59:25
所要時間:約 15 分で読めます




パックマンとは、ナムコより1980年よりアーケード用として発売されたゲーム及び登場キャラクターである。


概要

日本では1980年5月22日よりアーケードゲームとして稼働を始め、その後は海外でも展開され爆発的な人気となった。
このような影響からパックマンはナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)の代表作及び看板キャラクターとして扱われ、他機種への移植や続編、他ゲームの客演も多い。
そして任天堂マリオやセガのソニックと並ぶ日本を代表するゲームキャラクターの1人である
そして2005年には1980年の発売から7年間で総販売台数293,822台を記録した業績を称え最も成功した業務用ゲーム機としてギネス世界記録に認定された。


誕生の経緯

1979年の『スペースインベーダー』のヒットにより戦争をテーマにしたシューティングゲームが多く作られることになった。
このことからナムコの岩谷徹氏は「ゲームセンターに女性が入りづらいのではないか」と思い始め、ゲームセンターの殺伐とした雰囲気を打開すべくパックマンが企画された。
女性でも興味を持ちやすいようメインテーマは「食べる」ということにし、
また女性でも遊びやすくなるよう操作は方向レバーのみとシンプルに、時折コーヒーブレイク(デモアニメーション)を挟んで緊張を緩和、キャラクターはカラフルに……という工夫がされた。
結果として開発者の狙い通り、女性客の引き込みに成功した。


ルール

ルールは至ってシンプルで、その目的は迷路内の全てのドット集めることである。迷路内のドットを全て獲得するとラウンドクリアとなり、次のラウンドへ進む。
前述の通り操作は方向の選択のみと非常にシンプル。ただ曲がり角は一本道でも曲がりたい方向にキーを入れないと曲がれず止まってしまうので注意。

ドットの収集にはモンスターが邪魔をし、モンスターに接触すると1ミスとなる。
しかしパワーエサ(パワークッキー)を獲得することでモンスターはイジケモンスターとなる。
こうなると普段と立場が一転し、ぶつかられるとパックマンに食べられてしまう。連続でモンスターを食べると獲得スコアがアップしていく。
また、モンスターを振り切るためのギミックが用意されており、画面中段の左右の端には反対側に移動出来るワープトンネル、モンスターのみ制約を受ける一方通行エリア(詳細は後述)がある。
そしてパックマンはカーブを曲がるときはモンスターよりインを通るため、スムーズにコーナーを通過するとモンスターを引き離せる。

そして特定条件を満たすことでフルーツターゲットというスコアアップアイテムが出現する。(詳細は後述)

残機3スタート、初期設定では10000点でエクステンド。


登場キャラクター

  • パックマン
主人公。ゲーム内では黄色い丸の体で、欠けたピザのような口をパクパクしている。
筐体やパッケージイラストでは丸い顔に口や目、ピノキオのように長い鼻の顔に手足の付いた一頭身の姿となっている。
初登場時から2000年代序盤では黒目だが、近年の作品では青目であることが多い。

  • モンスター(ゴースト)
パックマンを追い回す敵キャラで全4種類存在し、それぞれ色ごとに挙動が異なっている。
ゲーム開始直後は中央にある巣から現れる。
最初はそれぞれの縄張りを守るように行動し、一定時間が経過するとそれぞれのルーチンに則って行動する。以後この縄張りモードと追跡モードが一定時間で切り替わるようになる。
原則その場でのUターンは出来ないが、モード切り替えの際にはその場で方向転換をする。
また、巣の上下にあるT字の壁の縦棒部分の横が一方通行エリアに指定されており、モンスターはその通路を下から上へは通ることが出来ない。イジケ状態だと順路が逆転する。

  • アカベエ
英語名はブリンキー。
赤色のモンスターで、シンプルにパックマンを追い回し続けるという最も分かりやすい行動パターンを持つ。
縄張りは右上。

最近ではクライドという名前で定着している様子。

  • ピンキー
モンスターの中で唯一英語名も和名も同じ。
ピンク色のモンスターで、先回りしつつパックマンを追い回す頭脳派。
縄張りは左上。

女性ゴーストだったが、紫色のスーが登場してからは男性として定着している。

  • アオスケ
英語名はインキー。
水色のモンスターで、パックマンを中心にアカベエとは点対称な位置を目指すという独特な行動パターンを持つ。
縄張りは右下。

  • グズタ
英語名はクライド。
オレンジ色ということだが、筐体のイラストや一部ゲームだと黄色。
パックマンから遠い時は追いかけ、距離が近付くと離れようとするという自由気ままな行動パターンを持つ。
縄張りは左下。
映画『シュガー・ラッシュ』では「悪役の会」の司会役として登場している。

後に名前がスーになったりした後、ブリンキーで定着した。

アイテム

  • ドット
迷路内に240個ある。
これ(とパワーエサ)を全て集めることが目的となる。

  • パワーエサ(パワークッキー)
迷路内に4個ある。
これを取ることでモンスターがイジケ状態となり、倒すことが出来る。
ただ無敵ではないので効果時間内でも倒されて巣から復帰したモンスターに当たるとミスなので注意。
効果が切れそうになるとゴーストは点滅し、やがて元に戻る。
効果時間はラウンドが進む毎に短くなり、ラウンド17及びラウンド19以降は一切イジケなくなるので注意
この「食べるとパワーアップして逆転」という要素はアニメ『ポパイ』から着想を得たものである。

  • フルーツターゲット
各ラウンドにおいてドットを70個及び170個取った際にモンスターの巣の下に出現するアイテム。
取るとボーナス点を得られる。
出現から10秒で消滅してしまうので注意。
出現ラウンド 名称 スコア 備考
1 チェリー 100
2 ストロベリー 300
3、4 オレンジ 500
5、6 アップル 700
7、8 メロン 1000
9、10 ボス・ギャラクシアン 2000 ここからフルーツですら無くなっていく。
1979年発売のシューティングゲーム『ギャラクシアン』の敵キャラクター。
11、12 ベル 3000 チェリーとはスロット繋がりで入れられた。
13~ カギ 5000 開発者の趣味で入れられた。


移植版

世界的大ヒットを記録した本作は多くの機種に移植された。
ここでは代表的なものを記載。

  • Atari 2600
1982年発売。
初となるパックマンの家庭用機への移植で、500万本を売り上げた。
しかしかなり無茶な移植だったためその出来は非常に悪く、アーケード版には遠く及ばない出来だった。
そして、これがかのアタリショックのきっかけの一つとなるのであった。

日本では1984年11月2日発売。
Atari 2600版の僅か2年後であるがアーケード版に負けず劣らずの高いクオリティでの移植となった。
ゲームボーイアドバンスファミコンミニ、バーチャルコンソールなどでも発売。

日本では1990年11月16日発売。
モノクロなのでモンスターの種類は挙動で判断するしかない。

他にはゲームギアなどへも移植されている他、Googleでも遊べる。2010年5月22日のパックマン30周年を記念し48時間限定で公開されたものだが、反響が大きくその後もプレイ可能となった。
迷路の構造はGoogleのロゴを象ったオリジナルのもの。


続編

ドットイートタイプとしては『スーパーパックマン』や『パック&パル』などがある他、海外では『ミズ・パックマン』が発売された。この『ミズ・パックマン』は今に至るまで複雑な経緯があり…。(詳細は後述)
また、Nintendo SwitchではNintendo Switchオンライン加入者特典として本作をベースとしたバトルロイヤルゲームの『PAC-MAN 99』が配信されている。

ドットイートタイプの他には『パックランド』や『パックインタイム』といったアクションゲームも発売された。

アニメ

1982年に『Pac-Man』というタイトルでアニメ化。このアニメをベースに『パックランド』が制作され、ゲーム内にはアニメで用いられたBGMも使用されたがこの関係上BGMの権利がバンナムにはない。
2010年には30周年記念でCGアニメ『パックワールド』が制作。詳細は項目参照。この頃から青目になる。


家族

  • ミズ・パックマン
パックマンの奥さん。
しかし、元々ナムコ(及びアメリカでパックマンの販売を行うミッドウェイ社)が生み出したキャラクターではないのだ。
どういうことかというと『ミズ・パックマン』はゼネラルコンピュータ社が非公式にパックマンのクローンゲームとして制作したもので、そのクオリティの高さからミッドウェイ社から承認を受けたものなのだ。
『ミズ・パックマン』は日本では未発売であったが日本国内では『パックランド』にてデビューした。
しかし、2022年のPS4/Switch版『パックランド』ではパック・マムという、リボンや化粧っ気が無く帽子を被った別人に差し替えられている。


  • パックベイビー、パック・ジュニア
二人の子供で、ベイビーの方が長女でジュニアが兄で長男。
日本での初登場は『ハロー!パックマン』より。


客演

ナムコの代表キャラクターとして多くのゲームにゲストとして登場しており、『ファミリースタジアム』の「ナムコスターズ」や『ストリートファイター X 鉄拳』、『マリオカートアーケードグランプリシリーズ』、『大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ』など多岐に渡る。
変わったところだと、『テイルズ オブ ジアビス』のジェイド・カーティスのベルトがパックマンを意識したデザインになっている事で有名。

また映画作品に登場することもあるが、パックマン本人ではないとはいえ何故かヴィランとしての登場が多い
映画『ピクセル』や『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』ではパックマンを模したヴィランが人々を恐怖に陥れている。


スマブラでの活躍

バンダイナムコゲームスが開発に携わった『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS/Wii U』よりファイターとして参戦している。
スネーク、ソニック、ロックマンに次ぐ4人目の他社参戦キャラで、forの他社参戦キャラとしては最後に発表された。
参戦ムービーでは同じく1980年にデビューしたMr.ゲーム&ウォッチと共演した。(ちなみにこのムービーまでMr.ゲーム&ウォッチの続投についての情報が一切無かった。)

次回作の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』にも続投。
前作と比べ他社参戦キャラも増えたが後に追加DLCでカズヤが参戦するまではバンナム枠はパックマンのみだった。

普段は『パックランド』などの手足の生えた姿だが、一部の技では丸いピザ欠け姿で攻撃する。
2010年代のパックマンといえば前述の青目が主流だが、オールドパックマンとしての参戦なので黒目。
また、パックマンといえば黄色以外ありえないからかカラーバリエーションでは体色は変化せず、靴と手袋のみ変化する。
特設リングのリングネームは「黄色い伝説」。これまでの偉業の数々を称えるにピッタリな称号である。

ファイターとしての性能は近接技の他に独特な飛び道具や設置技を使いこなすトリッキーなファイターとなっている。
パンチやキックといった体術や『パックマン』関連のアクションやアイテムを使った技の他、『マッピー』に登場するトランポリンや『ギャラガ』に登場するトラクタービームといった他のゲームからの技も使う*1

アピールも特徴的で、上アピールは懐かしのSEと共に掌にランダムで様々なナムコキャラを出現させるというもの。通称:「ナムコうらない」。
3DS版とWiiU版で登場キャラクターが一部異なる。
『SP』では両機種のキャラクターが全て登場し、更にキャラクターも追加された。

アイテムにはスペシャルフラッグ*2とボス・ギャラガが登場し、アシストフィギュアにはモンスターズが登場。
また、3DS版のフィールドスマッシュの敵キャラには『ディグダグ』のプーカァと『ゼビウス』のバキュラが登場し、WiiU版には『妖怪道中記』や『スカイキッド』などのBGMが収録。

これらのことからパックマンとしての参戦だけでなく80年代のナムコそのものの参戦とも言えるであろう。

3DS版とWiiU版ではホームステージが異なっており、3DS版ではパックメイズ、WiiU版ではパックランドが登場。

パックメイズは『パックマン』の迷路で戦うステージ。
原作通りモンスターが徘徊している。
ステージ内のドットを100個集めるとパワーエサが出現。取得すると一定期間パワーアップし、モンスターも倒せるようになる。
パワーエサは自分で出現させた分しか取れないが相手のパワーエサは破壊可能。たまに誰でも取れるパワーエサが出ることも。
また、フルーツターゲットはドット数個分の価値がある。
モンスターがイジケ状態になって見えるのは実際にパワーエサを取ったプレイヤーの画面のみという3DSの特性を生かした仕様だったため、『SP』には続投しなかった。

パックランドは『パックランド』の世界を冒険する強制スクロールステージ。
原作通り消火栓や崩れる丸太橋といったギミックが行く手を阻む。
隠しフィーチャーが存在し、発見することで様々な恩恵を受けられる。
妖精の国に着くと妖精のママが魔法の靴をくれるので取ると無限ジャンプ…ではなくジャンプ力アップの効果が得られる。
ここからの帰路は左スクロールとなる。
家に着くとトリップが終了し、また最初から始まる。
こちらは『SP』にも続投している。
『パックランド』には本来BGMがあるが、前述の通りこのBGMにはナムコ側に権利がないので残念ながらスマブラには未収録。

必殺ワザ

  • 通常必殺ワザ:フルーツターゲット
フルーツターゲットをぶん投げる。
溜めるとチェリー→ストロベリー→……→ベル→カギと順番に変わっていき、それぞれ威力だけでなく挙動も異なる。溜めは保持可能。アイテム扱いなので誰でも拾える。

  • 横必殺ワザ:パワーエサ
パワーエサを取り出し、パワーエサ目掛けてピザ欠け姿で突進する。ボタン押しっぱなしで遠くに飛ばせ、軌道も調整出来る。
パワーエサ取得直後が最も威力が高く、スーパーアーマーも付く。
攻撃を受け技が中断されるとパワーエサが落ち、回復アイテムになる。

  • 上必殺ワザ:パックンジャンプ
『マッピー』のトランポリンでジャンプする。
一度使っても消滅せず、跳ねる度にジャンプ力も上がる。残ったトランポリンは誰でも利用出来る。トランポリン自体にも喰らい判定があるので盾にもなる。
原作通り耐久値があり、跳ねる度に青→黄→赤と色が変わる。赤の時に踏んでも跳ねられずしりもち落下状態となってしまう。この性質を利用するとトランポリン自体がトラップと化す。
パックマンのみトランポリンの状態に関わらず跳ねた後は必ずしりもち落下状態になる。
一部のしりもち落下状態になる技を持たないファイターはこのためだけにしりもち落下モーションが用意されている。

  • 下必殺ワザ:消火栓
『パックランド』の消火栓を取り出し、真下に設置する。
空中で出せば消火栓を直接敵にぶつけてダメージを与えられる。
設置された消火栓は一定時間毎にマリオのポンプと同じような押し出し効果のある水を放つ。
消火栓自体をすり抜けることが出来ないので簡易的な地形となる。復帰阻止にも使える。
そして消火栓にある程度ダメージを与えるとふっとび、強力な飛び道具となる。ただ、これは他ファイターも同様で、ふっとばしたファイターの飛び道具になるので注意。
このように用途が多岐に渡る技なので、状況に応じて使い分けたい。

『スーパーパックマン』同様パワーエサとスーパーパワーエサを食べ、巨大なドット絵のスーパーパックマンに変身。
そのままフィールドを爆進し、敵を食べまくる技。
食べられた相手は目だけになってふっとぶ。
演出のみであるが相手ファイターに当てるとどんどんスコアが増え、最終的に7650点入るようになる。
『WiiU』のイベント戦及び『SP』のクリアゲッターではこれで7650点取るという課題もある。
『SP』では高速で何度も画面を横切りながら攻撃するという技になった。

余談

海外での表記は「PAC-MAN」
これは当初「PUCKMAN」で表記していたが、PをFに変えられる悪戯を懸念したミッドウェイ社の要請に基づいた結果である。

知名度の高さからパックマンに似た形状や行動をパックマンと例える事もあり意外な所で使われていたりする。
事例として将棋には「パックマン戦法」と呼ばれる奇襲技が存在する。歩をわざと相手にパックリと食べさせて罠にかける技である*3



追記・修正はパワーエサを食べてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ナムコ
  • バンナム
  • スパロボ参戦作
  • バンダイナムコゲームス
  • スマブラ
  • スマブラ参戦キャラ
  • AC
  • アーケードゲーム
  • FC
  • ファミコン
  • ファミリーコンピュータ
  • パックマン
  • 岩谷徹
  • ドットイートゲーム
  • ゲーム
  • GB
  • GBA
  • ピクセル
  • ゲームボーイ
  • ゲームボーイアドバンス
  • 黄色い伝説
  • ゲームギア
  • Google
  • 一頭身
  • 既婚者
  • 何故かなかなか立たなかった項目
  • 食いしん坊
  • パックアドベンチャー
  • 仮面ライダーエグゼイド
  • バンダイナムコ
  • GG
  • NGP
  • ネオジオポケット
  • Nintendo Switch
  • PS4
  • MSX
  • Xbox360
  • 仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年04月24日 11:59

*1 トラクタービームは『パック&パル』でもパックマンが使用していたが使用するためのアイテムはボス・ギャラクシアンで、効果はビームで直接モンスターを攻撃するというもので、敵の捕縛に使うものではなかった。

*2 ナムコが開発した『スターフォックスアサルト』にも登場していたため、フォックスファルコとはスマブラより前に共演済。

*3 商標の都合で「4四歩パックリ」と紹介される場合もあり、かつてNHKの将棋番組で本戦法を紹介する際はこの名称が使われていた時期があった(現在はそのまま使われている)。