セイコーマート

登録日:2020/07/13 Mon 17:51:21
更新日:2023/08/23 Wed 19:33:06
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おにぎりは温めますか?


セイコーマートとは、北海道を中心に展開するコンビニエンスストアっぽくないコンビニエンスストア
そして北海道のライフラインである。愛称は「セコマ」(本項目では以下この呼び方を用いることにする)、「セイコマ」など。
なぜ「コンビニエンスストアっぽくない」のかは後述。

「そういえば北海道以外だと全然見たこと無いけど?」という人もいるだろう。
それもそのはず、セコマの全店舗数の9割以上が北海道で展開されており、残りの1割未満も埼玉県茨城県にしか無いから。
北海道では店舗数1位を誇るセコマだが、最近セブン・イレブンが数で追いつきつつある。
ただ、他のコンビニチェーンが都市部を中心に展開するのに対して、セコマは2021年12月現在、179市町村中175市町村と「北海道を制覇してみせる」といわんばかりの展開を進めている。
「北海道のライフライン」という表現は比喩でも誇張ではなく、スーパーマーケットも出店しないほどの僻地にもセコマは進出することから、地元住民にとってはとてもありがたい、そして不可欠な存在となっている。
「スーパーや他のコンビニはおろか個人商店もまともに無い、けどセコマなら」という市町村さえある。
そういう経緯もあってか、コンビニチェーンの顧客満足度では、2016年から1位を獲り続けている。
しかも2019年は2位のセブン・イレブンを大きく引き離している。

また、地味ながら現存するコンビニチェーンでは最古参でもあり、これはセブン・イレブン上陸より3年早い。
(日本初のコンビニはココストアだが、現在はファミリーマートに吸収されている。)


「コンビニエンスストアっぽくない」コンビニエンスストア~どこがどう「っぽくない」のか?


さて、先にも書いた通り、セコマは一般の思うコンビニエンスストアとはかなり異なる商売をし独自路線を行っている。
そもそもセコマは元は酒屋から出発したというのもあってか、コンビニと銘打ってはいるが、
その実はコンビニでありがちなあれこれをしていないのである。


  • 24時間営業していないのが基本
コンビニエンスストアと言えば24時間営業をやっているイメージが強いとは思うが、セコマで24時間営業をしているところは少数派
大体が24時まで、長くて25時で閉まる。僻地だと23時で店じまいする店舗も少なくない。札幌など大都市圏でも24時間営業をしている店舗は非常に少ない。
なぜ多いかというと、主にコストの問題から。
深夜労働は人員がさらに必要なうえ、22時から6時までは夜間勤務手当として、通常の賃金よりも25%以上上げる必要がある。
また、僻地にも出店していることで、地元の人からはスーパーの代わり扱いされているので、わざわざ深夜営業までするメリットが存在しないのだ。
最近は「働き方改革」などの影響で24時間営業主義が問題視される中、元々24時間営業がデフォではない、どころか元日でも休むようになったセコマにとってはほぼ無縁の話だろう。

  • 直営が大多数、ロイヤリティもあまり取らない
セブン・イレブン、ローソン、ファミリーマートの直営率は3%にも満たないが、セコマの直営率は80%で、フランチャイズの方が少ないのである。
元々はセコマもフランチャイズが主流だったが、オーナーの高齢化を問題視し、現在ではむしろ直営化を進めている。
そしてフランチャイズでも、ロイヤリティが他の大手だと60%くらいなのに対して、セコマはたったの10%
これもまた、直営が多い故にできることだろう。

  • ドミナント(集中出店)を否定
セブン・イレブンのすぐ近くにセブン・イレブンが、ローソンのすぐ近くにローソンが……などと、
狭い範囲で同じ会社の店をいくつも出店する、これがドミナントである。
だがセコマはこの戦略を真っ向から否定している。
「セコマが既にある場所から半径150m以内に別のセコマの店舗は置かない」主義ということ。

  • 僻地だろうが需要があるなら出店する
直営化によって、フランチャイズではやりにくい、僻地への出店を比較的容易にしている。
僻地と言っても人口の少ない村のような所ばかりではなく、人口こそそれなりにいるが立地が悪く物流上の問題が多い地域なども含まれる。
分かりやすいのが稚内市で、人口は3万人程度と道内の自治体としてはそれなりに多い方ではある。
が、ご存知の通り日本の北端に位置する自治体なので物流上の効率が悪く、チェーン店は軒並み出店を諦めている。
そんな中でセコマは市内各所に店舗を展開しており、例えば稚内駅にもコンビニが併設されているが勿論セコマ。
このように 稚内市内にあるコンビニは全てセコマ という状態が長らく続いていた……しかし2023年8月、そんなセコマの牙城にローソンが2店舗を新規オープンさせて殴り込みをかけてきた。
最北端の地のコンビニ戦争、今後果たしてどうなるのか!?

  • コンビニなのに折込チラシ
今では折込チラシを入れるコンビニも増えてはきたが、セコマのチラシは最早スーパーマーケットのそれである。
様々な特売の情報やクーポンまであるので、北海道に滞在するなら、是非見てみるといいだろう。

大手コンビニチェーンではおでんだったり肉まんだったりを置いていたりするものだが、
セコマではまずその光景は見かけない。
これは「大手でできることはやらず、大手でできないことをやっていく」と語る代表取締役社長の意向である。
そして、その「大手ではやらないこと」の代表が……

  • ホットシェフ
このホットシェフである。
セコマのホットシェフは弁当や総菜などを店内で調理しているため、作りたての味を楽しむことができる
特に人気なのはカツ丼で、あのフワフワした甘いとじとジューシーで柔らかい豚肉の食感は、食べた人を間違いなく虜にするだろう。
他にも豚丼や回鍋肉丼、フライドチキン、フライドポテトやおにぎりなどもかなり人気がある。
そしてこのホットシェフ、なんとガス調理である。
このため、2018年で起きた北海道胆振東部地震による大規模停電(ブラックアウト)が発生した際も、ほとんど平常運転で営業できた。当時勤務されていた店員の皆さま、大変な中本当に、本当にありがとうございました。
ただし、ホットシェフが名物とはいえ店内キッチンがあるのは実は全店舗中だいたい半数程度なので、セコマを見つけたときは「HOT CHEF」の表示もあるか確認しよう。

  • 豊富なプライベートブランド
惣菜や牛乳はもちろん即席麺、冷凍食品、果てはトイレットペーパーまでプライベートブランドを扱っている。
特に小皿に載せるような惣菜は、100円ちょっとという安価で販売されている。
種類も多く、他のコンビニには無い明確な強みである。
物価の比較的安い北海道からしても、この値段はかなり安い。
なぜ安いかというと、セコマで扱われるプライベートブランドは、自社の工場で生産されているのはもちろんのこと、卵は農家との専属契約、野菜に至っては一部を自社で栽培するという、生産から販売までを徹底して管理しているため、あの値段が実現できているというわけ。

  • 豊富すぎる酒の取り扱い
前述の通り元が酒屋なだけあり、さらに直営店の多さもあってか、酒を扱う店舗が非常に多い。
そしてただ何種類か片手間に置いているとかいうレベルではなく、種類も滅茶苦茶多いし、値段もリーズナブルで味も良いので、大人になって北海道に来たらセコマで酒を買うのも悪くない。ハスカップサワーはおいしい。


こんなに人気ならなぜ全国展開しないのかと思う人もいるだろう。
しかし、道外では苦戦しているのが現状
実際、かつては兵庫県にもあったが既に撤退している。埼玉県と茨城県に少しだけあるのは、ものすごくざっくり言うとフランチャイズの関係(詳しくはググってね)。
この原因は、先ほども言ったようにサービスを自社で賄っている部分が多すぎるので、全国展開してしまうと、その質が確保しきれないという側面がある。
セコマの人気と信頼は、地元に密着し、ライフラインとしての役割を担っているからこそ。


追記・修正はホットシェフのカツ丼を食べたことがある人にお願いします。

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最終更新:2023年08月23日 19:33