サザエさん時空

登録日:2010/04/22 Thu 21:07:31
更新日:2024/04/19 Fri 00:01:28NEW!
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概要

一部の漫画やアニメ等の設定に見られる、作中に日数の経過や時間の概念があるにもかかわらず、登場キャラクターが年齢的成長・老化をしない現象。


サザエさん」のように、毎年毎年正月や夏休みが巡ってくるにもかかわらず、
登場人物のカツオやワカメはいつまでも小学生だし、タラオは幼児であり、イクラに至っては言葉すら覚えない。
そんな不思議時空である。
夏休みやクリスマスといった季節のイベントが何度描かれてもキャラクターは進級も昇進もしない。

「サザエさん方式」と呼ばれたり、「サザエさん」のみならず似たような状況にある別のモチーフ*1を使って言い表されることもある。



作品中に時間の概念がない、または曖昧な場合や、短い期間内の出来事を長期に渡って辿る方式の場合は、サザエさん時空とは呼ばない。あくまでも、確実に年月を重ねているのに人物が歳をとらないことをサザエさん時空と言う。
なので単に同じ状況のまま日常風景が続くだけではサザエさん時空とは断定しづらい。
大抵は四季や同じ年中行事が複数回繰り返されるか、あるいはどう見ても1年以内に収まらないほどにエピソード数が増えることが指標となる。

サザエさん時空であるにしろ、上記の呼ばない例であるにしろ、その作品世界内のテクノロジーは現実世界の現在とリンクしている場合が多い(わかりやすい例は固定電話→ケータイ→折りたたみケータイ→スマホ)。


なぜこのような方式をとっているかというと、時間の経過による進級や卒業、就職といった要素を加えると、必然的に「日常生活の変化」は避けられない。
「変わらない日常」をコンセプトとした作品にとって、このような「日常の変化を描かざるを得ない」要素は相性が悪い。
また、登場人物の立場が変化することにより、低年齢層の読者が感情移入し辛くなったり、キャラクターが幼いからこそ描けていたネタが成立しなくなってしまうといったことも起こり得る。
このような事情を汲み、多少不自然であったとしても「登場人物の立場が変化しないこと」を徹底しているのである。

ただし、時系列の矛盾が発生して死に設定が多くなったり、新入生や出産といった新キャラを出す機会が限られてしまうといった欠点もある。


◎典型的なサザエさん時空の例


  • サザエさん(語源となった作品。勘違いしてる人も多いが、磯野家以外の文明レベルは現代に準じているため、パソコンや薄型テレビも登場する。)
  • ドラえもん(学年誌版は例外で、毎年進級している)
  • ちびまる子ちゃん(「1970年代中盤」と完全に時代設定を固定しているため。漫画中でも「サザエさんを参考にしました」と記載されている。)
  • クレヨンしんちゃん(公式でも「これからもずっと5才」と言い切っている)
  • 浦安鉄筋家族(初代→元祖の際に2年から3年に進級しただけ)
  • みつどもえ
  • WORKING!!
  • 銭形平次
  • 東方Project(原作者公言)
  • 妖怪ウォッチ(ゲーム2作目では夏休みが終わらないことに疑問を抱いていたが)
  • らんま1/2
  • じゃりン子チエ
  • 湾岸ミッドナイト(登場人物は年齢を重ねないが、社会情勢は変化し、連載当時存在しなかった車種やモノも登場する)
  • ズッコケ三人組(全50巻を全て6年生の1年間で経験したことになっているため、1年間の年表が大変なことに。日付が明言されているイベントが多く、例えば7月の1ヶ月間でお化け屋敷に行くわ、猫誘拐事件を解決するわ、市民オンブズマンになるわ、縄文時代にタイムスリップするわである。しかも後日談の中年3人組では「大震災」以外のエピソードは原則全て実際に起きた扱いというすさまじい力技)
  • プリンセスコネクト!Re:Dive(周年イベントで平然と「キミと出会って◯年」という台詞がある。作中はゲーム内世界という設定のため時間の流れなどが現実からねじ曲がっている可能性はある)
  • 一部のソーシャルゲーム設定上の時間経過は1年以内に収まっているはずなのに、クリスマスやバレンタインといったイベントが毎年行われる。メインシナリオ以外はすべてパラレルと明言している場合も(後述の開き直っている例に該当)。
など


作品中の季節が現実と同様に移り変わり、かつ放送(連載)歴が長い作品。
基本的に「年齢の加算」について作中で触れることはない*2

実写作品でサザエさん時空を採用すると、作中の時間は経過しないのに登場人物(役者)が歳を重ねることとなるため、作品が長期化すると大きな違和感を発生させてしまう。
それが原因でTVドラマ「コンバット!」は打ち切りとなった。

実は「銭形平次」等サザエさん以前の作品にも当てはまるケースは多い。


◎限定的に解除される例

「赤ちゃんが産まれる」などで一時的にサザエさん時空が解除されるパターンがある。
  • クレヨンしんちゃんにおける野原ひまわり誕生の例がその代表。
もちろん、生後間もない状態でサザエさん時空に戻るわけにもいかないのでこのパターンの場合、赤ちゃんだけある程度成長することが多い。
ただし、「クレヨンしんちゃん」ではひまわりより先に誕生した本田ひとし(本田悟史・ケイ子夫妻の子供)も最初は赤ちゃんだったが、原作で再登場した時は歩いたり、水泳を習ったりしているなどひとりだけサザエさん時空が解除されている状態になっている*3
  • ポケモン(アニメ)ではサトシやかつての仲間を含め年齢を重ねず、ずっと10代のままであった……が、サン・ムーン編最終回でバーネット博士が臨月になっている描写があり、その後新無印で博士夫妻の息子レイが登場。その時点で首が据わって身振り手振りで家族の物真似ができる乳児となっていた。
  • コボちゃんでは母親の第二子妊娠時に作者が「三歳くらいまで成長させたい」と宣言、本当に三歳になるまでサザエさん時空を解除した。
  • らいか・デイズではこの現象が複数回起こっており、メインキャラ達は小学6年生のまま、当初は独身だった担任が連載中に2人目を出産している。
他にも、「科学忍者隊ガッチャマン」では、燕の甚平を演じていた塩屋翼が変声期に入ったため、それを作中に反映させる形で甚平のみサザエさん時空が解除されている。
またスヌーピーの出てくる『PEANUTS』では、一部キャラ登場時に「赤ちゃん→他レギュラーと絡める年まで成長」という展開が描かれた。
(シュローダーは主人公と同年代まで、ライナスとサリーは主人公の少し下くらいまで、リランは保育園児になるまで成長した)
かってに改蔵」の泊亜留美はなぜか1人だけサザエさん時空が適用されておらず、登場当初は中学生の後輩キャラだったのが最終話直前には高校三年生の先輩キャラになっていた。最終話で明かされた事実を踏まえると理由はある程度推測できる。

◎開き直っている例

作中で堂々とサザエさん時空を宣言するパターン。
中には時間の進み方が特殊である理由が作中で設定されているものもある。

こちら葛飾区亀有公園前派出所
→作中の「教えて両津先生」というコーナーで「この世界の人達は歳をとらないんだ」・「漫画浦島現象」と宣言。
……が、部長の孫だけが連載中に生まれ、20年以上にわたる連載を経て小学生になったり、超神田寿司メンバーに赤ちゃん・蜜柑(檸檬の妹にあたる)が産まれたりと、いろいろと面倒な時空が流れている。
両さん曰く「成長しないと明らかに不自然なので、おめでたの時などは一時的に時間が進むようになる」。

ケロロ軍曹
→作中で「地球とケロン星では日付のカウント法が違う」と宣言。

銀魂
→お妙さん「私達はサザエさん方式で歳をとってるから」。
⇒…だがその一方で世界情勢は絶えず変化しており、『将軍暗殺篇』から最終章『銀ノ魂篇』にかけてはノンストップで時間が経過している。特に、これまで度々登場していた主要キャラクターが死亡する等、これまでの日常には「後戻りできない」状況になっている。
この事から「年齢はサザエさん時空・ストーリーの流れは後述する『サザエさん時空ではないが時間の流れが遅い例』」に当たると思われる。

さよなら絶望先生
→クラス全員留年。もっとも作品舞台の「真相」を踏まえれば、年齢は普通に加算されていた可能性が高い。

斉木楠雄のΨ難
→日本が火山の噴火によって壊滅する未来を回避するために、楠雄が全世界にサザエさん時空に違和感を持たないようマインドコントロールした上で、
毎年1年時間を巻き戻している(物体の時間のみ戻しているため人々の記憶だけはそのまま加算)。
つまり、実際はサザエさん時空に見せかけたループものであった。

KOFシリーズ
→KOF'94に始まり、'95、'96…と稼働した年に合わせたタイトルがついていたのだが、'95以降、キャラクターの年齢が固定された。
公式小説で「何年も前から受験間近の高校生」という発言があり、サザエさん時空が公式認定された。
にもかかわらず大会の年度は現実通り進んでいくため、「毎年KOFが開催されているのにキャラクターの年齢は一切増えない」という特殊な時空と化している。
そのせいかは不明だが、『KOF XI』よりタイトルから年度を外してナンバリング形式に完全移行した。

◇鉄拳シリーズ
格闘ゲームで明確な「世代交代」が描かれている珍しい例。
『2』と『3』の間で19年の月日が流れているため、「単純にオッサン化・老人化して登場」「息子・娘世代の同性能キャラに世代交代」「コールドスリープしていた本人」など、様々な設定で再登場している。
なお、『タッグトーナメント』は特殊な舞台設定によるオールスターゲームなので、親と娘が共に現役で登場している。

ゆるゆり
→作中内で一度だけ、サ○゛エさん方式(=サザエさん時空)だから季節をすっとばすことになっている、と言及した台詞がある。

◇とどろけ!一番
のむらしんぼによる中学受験漫画。
正確にはサザエさん時空ではないのだが、開き直り方が凄まじく出生届のミスで主人公が実は小学5年生だったということで、強引にもう一年中学受験をやらせるとんでもない展開は語り草。
これは、元々短期連載の予定でコロコロコミック1月号からスタートし、3月号の受験で完結…となるはずだったのが予想外に人気が出たための引き伸ばし策である。
まあ確かに中学受験では不合格なら公立に行くのが普通なので、「同じ主人公でもう一年」が難しいのは事実だが、このウルトラCの発想の転換はある意味伝説級。

など。


◎一人サザエさん時空

番外。一部の人物だけ明らかに年取っていないパターン。
代表例はゴルゴ13
他の再登場するキャラがしっかり年を取って引退したり死んだりする中、今なお現役である。
実はこの時空は作品の制作にも影響を与えており、100巻以降では年齢設定に触れてしまうゴルゴの出生疑惑のエピソードを封印して描かなくなった(稀に描かれるが、偽物と明言される)。
また、ゴルゴは若い外見や肉体を保っているだけで年齢自体は普通に重ねている(=一人サザエさん時空ではない)という見方もある。初期の頃には「作者より1つ年上=1935年生まれで旧日本軍で狙撃兵をしていた」という設定があったが現在それが破綻しつつあることはいわずもがな。
『真のベルリン市民』というエピソードでは、1980年に依頼を受け、2003年に変わらぬ姿で遂行している。つまり、1エピソード内でゴルゴ13の外見が数十年変化していないことが明示されている(少なくとも2003-1980で23年間)。
なおゴルゴの影に隠れがちだが、数少ないレギュラーキャラであるデイブ・マッカートニーなども一向に年を取る気配を見せない、デイブは元々年配といういで立ちではあるが、実は初登場は1971年で、若い頃から超老け顔だったという設定でもなければ、とっくに引退、死亡していてもおかしくない所である*4

「アルセーヌ・ルパンの孫」という設定と時代描写に無理が生じてきたルパン三世とその関係者もこれに近い。

やや変則的な例ではあるが、かいけつゾロリシリーズにおいては姿が変わらないゾロリ達3人とは裏腹に数年ぶりに登場したキャラクターなどは時間が経過している描写が見られることが多い。3人のうちゾロリだけは現実の年齢とリンクして加算されている(それでもほうれんそうマン時点で100歳だったので数十年加算したところで誤差の範囲でしかないが)一方で、彼の弟子であるイシシとノシシは初期のエピソードで「おじさん」呼ばわりされている描写があるのを除けば一切具体的な年齢が言及されていない。物語開始時から30年以上経っていることを考慮すれば1人サザエさん時空ならぬ「2人サザエさん時空」であると言える。

ソーシャルゲームのキャラクターに関しても、複数のサブイベント間で時間経過が明言されているのに歳をとるキャラとらないキャラがいるという、このパターンに似た描写が散見されることも。しかも同じゲームに「寿命が後数年しかない」というキャラがいるので色々とややこしい事になっている。


◎いきなりサザエさん時空に突入する例

実は当のサザエさんがこのパターンの代表。
連載開始当初はサザエは独身で就職すらしていたし、お隣りさんの引っ越しもあった。ワカメも幼稚園児だった。

他にもアガサ・クリスティーの『名探偵ポアロ』シリーズもシリーズ前半では「ヘイスティングスの結婚及び海外移住」等「時間が進んでいる描写」が見られ、
WW2中に執筆された最終作『カーテン』(発売は作者の逝去直前)は「WW1直後の第一作から数10年後」という設定で描かれた。
だが戦後もポアロ作品が書かれ、『ヘラクレスの冒険』(初期から実時間・作中時間共に約20年くらい後の話)が書かれた後、
「ヘイスティングスが海外に去った後、ポアロが元気な時代」設定で話が続いたため結果的に「サザエさん時空」と化した(最終執筆作品『象は忘れない』内では「知人は殆ど墓の下」とも記されているため一人サザエさん時空の可能性もあり)。
ペンギンの問題」でもこれに該当する話があり、何十年も大金を追いかけたり眠ったり巨大観覧車に乗ったりしている内に高齢者になってしまうというオチの話がある。もっとも、次の話では何事もなかったかのように若返るが。

『探偵神宮寺三郎シリーズ』もシリーズ初期は作品ごとにキャラが加齢していたのだが、途中から年齢が固定となり、コナンのように携帯、スマホ等文明のみ変化するようになった。

途中からサザエさん時空に突入する明確な理由と説明のある作品には実は『To LOVEる -とらぶる-』が該当する。連載当初の『To LOVEる』はキャラクターの進級が行われるなどの時間の進む描写があったが、作中における2年目以降はロリ担当の小学生妹キャラを中学生に成長させてはいけないという実に理にかなった作者の考えのもと、サザエさん時空に突入した。
また、『プリパラ』も主人公の子が1年目から2年目になった際に進級したが、ToLOVEると同様の理由により年齢が止まり、小6のまま四季の各季節のグランプリを三回行ったり、誕生日イベントが2回来たり、挙句の果てには毎年毎年「小学6年生!!!!!」と自己紹介したりと途中から完全に開き直りモードに突入している。


◎続編(またはその後の客演等での)でサザエさん時空

◆プリキュアシリーズ
Yes!プリキュア5』では続編の『GoGo!』にてサザエさん時空に突入している。
理由は続編の案として「こまちとかれんを卒業させ、新しいメンバーにする」という案に対して、
プロデューサーの鷲尾が「やはりこのメンバーでなくてはいけない」と反発したため、その配慮である。
この件を受けて以後のプリキュアシリーズでは人気がいくら高くても続編は一応作らないことになっている。

フレッシュ!プリキュア放送以降はその年までのプリキュアが全員登場するプリキュアオールスターズシリーズが毎年制作されるためか、
ハピネスチャージプリキュア!までは最終回でも年を取らず終わり基本的にサザエさん時空となっていた。
デザインの都合とか、大人の姿だと女児たちが感情移入し難くなるというのもあるかもしれないが。

だが、Go!プリンセスプリキュアの最終回エピローグではプリキュア4人の大人になった姿が描かれており(顔は描かれてはおらず後ろ姿と声のみ)、
翌年の魔法つかいプリキュア!では49話のBパートにて大学生になった朝比奈みらいとリコの姿が描かれていた(こちらは顔まで描かれている)。
プリキュアオールスターズが劇場版HUGっと!で一つの集大成を迎えたこともあり、以降も作品によっては成人した主人公たちの後日談が描かれている。

ちなみに小説版等のスピンオフでは最初からこの手の縛りはない。


◎厳密にはサザエさん時空ではない例

作中時間の流れが現実に比べて遅いながらもしっかりと時間が経過している、あるいは短い期間で起こった出来事を長期連載で描く作品がこれに相当する。
ストーリー仕立ての作品は自然にこのパターンになるが、そうでない場合は意図的にこうする場合が多い。
いつまでもキャラが成長しない(極端に遅い)点が同じなので誤解を受けることがあるようだ。サンデーの連載作品に多い。ただし、季節の変化が起こっていたり時事ネタが入るなどサザエさん時空でなければ説明がつかない現象が起きているケースもあり、事実上のサザエさん時空と見なすこともある。

また「時間の流れが遅い」パターンは、一試合を何話にも渡って描くスポーツ漫画の場合も必然的に該当する。
が、そこはお約束だったり、時代描写も据え置きになったりするのでサザエさん時空かどうかが取りざたされる事は少ない。

名探偵コナン
この手の作品でも、特に有名かつ現実世界との差が大きい例。
もう20年以上も連載が続いているが、作中では新一の失踪から数ヶ月、アニメでは半年しか経過していない。どれだけ季節が移ろうが数ヶ月*5
その一因は、時間が進みすぎると工藤新一の行方不明が公になり、高校生探偵ならぬ行方不明かつ留年探偵になるからだろうか。
ちなみにこの関係で原作では季節イベントネタはイベント一つにつき一エピソードのみという縛りが設けられている。特定の日付でなければ問題なく、クリスマスシーズンというくくりでは何度かあったり、正月も元旦等でなければ何度かイベントを行っている。それでも人間関係の変化が反映されて後述の『ぬ~べ~』の様に無理が生じているが……

逆に言えば、もはやサザエさん時空と見てもおかしくも無いのにしっかりと時間は進んでいる。この間の犯罪発生率やケータイ・スマホの普及には触れないであげてください
時間は進んでいないせいで、逆に米花町の事件率はとんでもないことになっており、ギャグ漫画『名探偵コナン 犯人の犯沢さん』はそれを題材としている。

作者自身も、何年連載しても江戸川コナン達が小学1年生であることを4コマでネタにしていたりする。
工藤新一の異名が「平成のホームズ」、怪盗キッドの最近(原作1076話)の異名が「令和魔術師(ウィザード)」など開き直っている節も。

◇その他代表例
9年近く連載していたが、ストーリー上は夏休み中にイカ娘が上陸して、最終回で夏休みの終わりを初めて体験するため、作中時間は長くて2か月。夏休み以外の時期を描いたエピソードは全て番外編扱いになっている。
時間の流れが遅いパターンでも特に極端な例。
ちなみにアニメでは1期最終回で1年経過した設定が2期で反映されていないが、サザエさん時空化したのか時系列のシャッフルなのかは不明。

連載期間は13年間だが、作中時間は2004~2005年の一年間。

2003年の連載開始時点では夏休み前、2015年の13巻で初冬。

3年あまりの連載だが、作中ではわずか数日の話。その数日でジョルノ・ジョバァーナディアボロを倒し、パッショーネの新たなトップに就いた。

連載期間は6年間で、広の転校から進級までなので作中時間は一年未満。後述のようにゆきめを中心に時系列などを整理するとどう考えても無理がある。

中断期間の長さの影響で、作品の舞台の年代ではありえない通信機器が登場。

日常系作品のため勘違いされることもあるが、特にサザエさん時空というわけではなく入学から卒業までの3年間をほぼ時系列に沿って描いている。
本作を含む日常系作品の代名詞ともいえる「まんがタイムきらら」系列誌の作品だが、サザエさん時空の作品は少ない。
アニメ化した作品の中で明確にサザエさん時空なものはギャグ作品である「キルミーベイベー」くらいである。
ゆゆ式」がやや特殊な形を取っており、一見2年生の時間軸を繰り返しているように見えるが、作者によると1年を繰り返しているのではなく、通常通りに経過した1年から掲載時期に近い季節の出来事を抜粋している時系列のシャッフル形式であるとのこと。

時事風俗の経過はリアルタイムだが、作中の経過年数は約9年。

時事については掲載時準拠。

テレビ番組で取り上げられたことがある。

サザエさん時空ではないと明言。そのため公式に「かなりの過密スケジュールで(描かれてきた)騒動が起きた」とされている。

原作小説は刊行開始から約15年で既刊40巻以上になっているが、作中の時系列の経過がめちゃくちゃ遅く、まだ5ヶ月ほどしか時間が経過していない。
原作の時点で既に過密スケジュールなため、その穴を埋めるようにして作られている『とある科学の超電磁砲』は制作が色々と大変らしい。

  • クッキングパパ
登場キャラが結婚・出産する、連載開始時は子供だったキャラが成人するなど一見サザエさん時空風の漫画の中では、中々早いスピードで時間が経過している。
ただし、その進み具合の割りに主人公の荒岩一味など大多数のキャラの見た目はほとんど変わっていない。

TV版はサザエさん時空のようだが、原作は基本的に出版年=舞台年で、機関車の年齢を言及する際「95歳」と書かれた巻の5年後の巻では「100歳」と言い切っている*6

季節毎のカオスなイベントが風物詩となっており、年末には除夜の鐘撞、年明けには新年の挨拶と初詣が通例となっているが、
2023年2月現在、メインストーリーは同じ年の春から秋にかけての半年程度の時間しか経過していない。
作中の舞台は「ある年代に文化風俗が固定された移民宇宙船団」であり、メインの舞台は「2010年代後半の東京」がモデルであるため、
現実の風俗の変化に対して劇中の描写が置いて行かれる問題に対する一種の回答と理由付けとなっている。

こちらも季節毎のカオスなイベントが風物詩となっており、年末には大掃除、年明けには新年の挨拶が通例となっているが、
設定として公開されているわけではないものの、艦娘達が時事ネタに触れる事がある事からゲーム版に限っては現実世界と時系列と情勢がリンクしていると見られている。
具体的には、平成から令和に元号が変更されているし、コロナ過も発生して不要不急の外出を控える艦娘もいる。あとコロナ過でコミケは中止になったので秋雲の限定グラが出ないという事もあったり
中にはサービス開始時には存在していた番組を視聴していると思われる発言をしていた艦娘が、後の台詞追加で番組が終わってしまった事を寂しがるなんて例も。
この時はまだ残っていると言っていた「倶楽部」も終わってしまったが、それはまだ反映されていない
とはいえ、ある程度の取捨採択はされているようで一部英艦娘が忠誠を誓っている「女王陛下」については、さすがに取り扱えないと判断されたらしく現実世界の英国女王陛下の逝去後も一切台詞の変更はないため、未だ健在であると解釈もできる。
その一方で、「聖ジャベリン」の活躍を知っているジャヴェリンなんて例もある……


◇時系列のシャッフル
「作中では時間は確かに経過している」が、「細かい時間の経過を描かない」パターン。
島田荘司の『御手洗潔シリーズ』や今は亡き栗本薫の『伊集院大介シリーズ』等が該当し、
「初回以前の時系列」/「発表時に近い時系列」/「初回からさほど離れていない時系列」を舞台にした作品が入り混じっている。
個々の時代の中では年月の経過を描かない為、複数のサザエさん時空を行ったり来たりしているとも言えるか。

ちなみにミステリーでは『ホームズシリーズ』がこの手の金字塔で、このためシャーロキアンたちが年代考察をやった所、時系列が極めてややこしい事になってしまったというオチがある*7

『ストリートファイターシリーズ』では登場人物の生年月日や出来事に対して厳密に西暦まで設定されていることもあり、現在時系列で最も後なのは1998年のストIIIで、それ以降の作品はいずれもストIIIの前ということになっている。


◎一時的に突入した例

限定的解除の逆。例えば『幕張サボテンキャンバス』では大学生の日常を1年生の後半から普通に過ごした後、3年生編だけ1,2回繰り返した。
その後4年生編以降は正常時空で進んだ。

SKET DANCE』も一時期は時系列が停滞していた(作中でも「いつまで高2の秋やってるんだ」とツッコまれた)が、
基本的にはゆっくりながらも時間が経過しており、上級生の卒業等も描かれている。


◎最終回や後日談で解除された例

あさりちゃん』では、本編中は学年が固定されていたが、最終回で主人公が進級し、その後発表された後日談では進級後の話が描かれた。

地獄先生ぬ~べ~』も本編中は学年が固定されて四季を繰り返していたが、最終話付近で進級間近のエピソードが描かれ、作中の物語は1年間の出来事ということになった。
上記の名探偵コナンと同じくゆっくりと時間が進んでいたと見ることもできるが、登場人物が単行本のミニコーナーでサザエさん時空に触れていたりする。
四季を繰り返したせいでゆきめとのエピソードだと冬にゆきめが初登場し、童守町にやってきて夏のエピソードを挟みつつ秋に一度死別し、その後冬に復活したゆきめと再会し、夏に童守町に帰ってきて、また冬に山の神と決着を付けて…とどう考えても1年じゃ足りない。

ARIA』も登場人物が年をとらないまま四季を繰り返していた*8が、ある人物の進級と卒業が描かれてから時計の針が動き出し、合わせて物語は終幕に向かっていく。
作者の天野氏は「これまでは終わらない放課後をテーマに作品を描いてきたが、このARIAは明確な次のステップが見える形で終わらせよう」と連載前からこの形を決めていたという。
最終回やアニメ等ではさらに数年経過した姿も描かれている。

ズッコケ三人組』は、主人公らが40代になった「ズッコケ中年三人組」にて解除され、
1年1冊ずつ刊行されている同作ではキャラがリアルタイムに1年に1歳ずつ年を取っている。

人造昆虫カブトボーグVxV』は46話を境にサザエさん時空が解除され、クリスマス回の次回に夏休みの宿題回をやるなど猛烈な勢いで時間が経過していった。*9
これは46話(山田一郎の死)をきっかけに止まっていた時間が動き出し、世界の終局=最終回に向けて登場人物が次々に死亡していくという当初の構想の名残とのこと。

前述の『斉木楠雄のΨ難』では、終盤で楠雄が火山の噴火から日本を守ったことで解除されている。


◎一見サザエさん時空に見えるが、そうではないと明言された例

日常をコミカルに描いた作品で、知らずに読むとサザエさん時空だと錯覚するが、設定上はリアルタイムかそれに近いペースで時間が経過している例。

らき☆すた』は日常系、おまけに女の子ばかりの漫画なのでサザエさん時空を辿るかと思いきや、まさかの正常時空。
受験に差し掛かるとネットの書き込み等で「どうせサザエさん時空だろww」とネタにされていたが、いざ本当に進学して正常時空と分かるとファンからは非難が集まった。何と身勝手な
この辺りは作者サイドも把握していたようで、「実は受験周りのエピソードはこなたの夢だったと見せかけてやっぱり現実だった」というややこしいネタも存在する。
ちなみにこれには「正常時空編」と「書きたいネタを優先してる編」が同時連載されていたという事情もある。
そのため「書きたいネタを優先してる編」では相変わらず高校生であったりする。

『太蔵もて王サーガ』では学園を舞台としたギャグ作品ながら季節に沿って物語が進行し、登場人物が進級している。
単行本の作者説明では「この作品はリアルタイムに沿って主人公たちを進級させます」とハッキリ答えており、その点について読者から驚きの声が寄せられたことを明かしている。
進級させた理由として、
○修学旅行といったイベントを違和感なく挿入できる
○新入生という形で新たなキャラを登場させやすい
そもそもこの漫画が3年も連載出来たとしたらそれで十分すぎる
と説明している。(実際には2年で打ち切り)

奇面組シリーズでは、中学時代の『3年奇面組』から進級によって高校時代の『ハイスクール!奇面組』へと作品が移行し、更に高校生活3年間を描いた後、「卒業前に作者がタイムマシンで過去に戻り、未公開エピソードを拾っていく」という無茶苦茶メタな力技を繰り返して高校3年生時代を何年も描いた

メガミデバイス』は現代から30年後の未来のバトルホビーという設定であるが、
当初は初リリース年に則り2046年が舞台と設定されていたが、リアル時間経過に伴って舞台年も伴って進行しており、
2019年にリリースされたホビージャパンコラボモデルは、メガミデバイス世界では『ホビージャパン』創刊80周年記念付録(HJは69年創刊)という設定だったり、
アリスギア』は18年時点で「30周年を迎えた超ロングランスマホゲーム」→23年には「35年目のスマホゲーム」と、
あちらでは老舗MMOもビックリのトンでもない事態を起こしたりしている。

変わり種として、『ピューと吹く!ジャガー』は連載中ずっと登場人物が老ける様子が無く、
いかにもサザエさん時空前提でストーリーを進めておきながら、最終回で唐突に「時間が進んでいた」と解除。
急な老化とツッコミ役は自身も知らなかったという大混乱の果てに連載を終えた。


◎ゲームシステムの都合例

ゲーム中で月日が経過するタイプのゲームでは、その作中でサザエさん時空が成立している場合がある。
主にシミュレーションゲームで確認される例であり、プレイ中での年齢加算を管理していたらキリがないため仕方ないだろう。
THE IDOLM@STERシリーズなんかがこれ(765ASのみ2発売に際して年を取っている)。例えばシャイニーカラーズではW.I.N.G出場までに1シーズン8週を4シーズン、
つまり8ヶ月が経過している事になっている。しかし当然ながら19歳の結華や恋鐘、冬優子が成人組の仲間入りをする事はない。
ただし彼女らの誕生日は12~2月なので誕生日後の2~4月にプロデュース開始すればギリギリ矛盾はしないよう調整されているようにも見える。誕生日コミュも時節イベントも当然存在するけど。
アイマスシリーズ他作品の「アイドルマスターミリオンライブ シアターデイズ」では劇場のホワイトボードで「クリスマス」「ハロウィン」「お正月」などの四季や新年関連の記述があるし、元旦には「新年のあいさつ」もやっている。
そして、ゲーム内で既に複数回新年のあいさつやハロウィンをやっている
もし本当に時間経過してしまうと小学生組は全員中学~高校生、高校生組は全員大学生or社会人になるし、静香とか親にアイドル引退させられてキャラごと消える可能性あるし仕方ない。

輪をかけてカオスな事になっているのが『ウマ娘 プリティーダービー』で、基本1年1回開催の現実のレースを扱っている都合上、育成のたびに6月頃のデビューからシニア期終了までおよそ2年半を費やす形になるが、最初から生徒会長として活動してるシンボリルドルフが進級・卒業したり、飛び級入学した天才少女のニシノフラワーが成長したりするような事は一切ない。
そして史実のレースを順になぞっていくストーリーモードに至っては、冒頭でオグリキャップのラストラン(1990年)が描写され、1期最終章でスペシャルウィークグラスワンダーの有馬記念(1999年)を扱っているため、史実に置き換えた場合9年は経過する計算になる。

他にはモンスターファームシリーズではプレイしていけば数年どころか100年単位で年月が経過するが年を取って寿命を迎えるのはモンスターのみ。
ホリィやコルトたち調教助手をはじめとしたNPCは一向に年を取らないためよくネタにされている。攻略本ではモンスター用延命アイテムをちょろまかしてるのでは、なんて説が唱えられたことも。
ダービースタリオンシリーズなんかも同じパターン。
ファイナルファンタジー11ではゲーム中で確認できる年は2021年5月現在天晶暦1378年なのだが、シナリオ上では常に天晶暦884年として扱われている。「20年前の戦争」どころかもはや500年も昔の話になってしまう。
コーエーのアクションゲームの無双シリーズも史実を元にしている為時代は進んでいるが、キャラが加齢する事は特殊ケースを除いてない。
おかげで徳川家康や本多忠勝が少年期であろう時代からおっさん顔と声だったり、幸村が少年の時から仕えているのに姿が美少年、美少女から全く変わらない佐助やくのいちといったシュールな光景を目の当たりすることも多い。
この極めて極端なケースがシヴィライゼーションシリーズで、各文明ごとに実在の歴史上の人物を指導者に据えているのだが、紀元前4000年からスタートして21世紀もしくはそれ以降まで続くため、6000年以上歳を取らないというとんでもない事態になっている。


◎国外での作品でのサザエさん時空

サウスパーク

スタン達4人組を始め子ども達は当初3年生だったのだが、
シーズン4の11話「Fourth grade」で4年生に進級してからはその後のエピソードでは一切進級していない。
これは上記のいきなり突入したパターンである。ただし後のシーズンでスマホやipad、ps4、xboxといった
最新機器が出ているので歳をとってないだけで時間は進んでいると思われる。

HITMAN(ゲーム)

ダイアナやエリック・ソーダース等の他の人物は20年の月日で年相応の見た目になっているのに対し、主人公である47だけはゴルゴ13のように一人だけ年を取っておらず、30代のままである。


◎番外

アニメ『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』では、サザエさん一家をオマージュした畑山・森野家はこのサザエさん時空をネタにしてか、
家族全員が地球誕生と共に現在の姿のままで生まれ、そのままの姿で数十億年という悠久の時を生きてきており、さらに外部からの攻撃的な働きかけ(銃弾・高圧電流・肉食昆虫など)が全く効かない、不死というレベルすら遥かに超越した不滅の肉体を持っている(仮に肉体を完全に滅したとしても、すぐに復活する)という不老不死の超人一家という存在として登場した。

綾辻行人の短編『伊園家の崩壊』は、直接明言はされていないが、サザエさん時空が突然解除された世界を舞台にしている。





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最終更新:2024年04月19日 00:01

*1 「名探偵コナン」の舞台となる米花町など。

*2 原作版のクレヨンしんちゃんなどではごく稀に見られるが

*3 アニメでは赤ちゃんのまま。

*4 ちなみに初期のレギュラーキャラとして有名なMI6のヒューム部長の初登場は1969年で、MI6退職後の1979年にゴルゴに最後の依頼をして病気で死去。こちらはサザエさん時空とも言えない程度の期間の登場となっている

*5 なお、年代が間接的に描写されている場面に関しては逆算すると、ものの見事に西暦が違っている。

*6 ちなみに鉄道車両は見た目が変わらなくても無問題だが、人間の局長はしっかり老けており、第15巻では後頭部に黒髪の残ってたおっさんが第23巻で白髪の老人になっている。また、TV版の「トップハム・ハット卿」に当たるツルハゲの局長は原作初期(第9巻頃まで確認できる)にしか出てこず、それから前述の「後頭部に毛のある局長」になっている。

*7 他の話と矛盾があるならまだしも、「四つの署名」、「赤毛組合」、「恐怖の谷」など同じ話内で明言された年月日同士に矛盾がある作品も存在する。 王道として「ワトソンのうっかりミス」という叙述トリック(?)が発生してたという解釈がある。

*8 1話だけ誕生日のエピソードがあるが何歳になったのか語られておらず、キャラクタープロフィールに年齢設定はあるもののいつ時点のものかの指定がない。

*9 時系列シャッフルではなく、それまで登場人物が小学4年生だったのが48話では5年生になっており、最終回の予告編では「もうすぐ中学生」と言われている。