グラジオ(ポケモン)

登録日:2018/04/16 (月) 21:54:37
更新日:2023/12/26 Tue 22:33:17
所要時間:約 9 分で読めます





名前の由来はユリの一種「グラジオラス」からだと思われる。
そういえば、本作のメインキャラクターにはユリを意味する単語から名前を取ったキャラクターがいたが……?


◆概要

一部に剃りこみの入った金髪で、イヤーカフを左耳に二つ着けており、ところどころ破れた服装に鋭い眼差しが特徴。

本作における悪の組織スカル団の用心棒を務める少年。
ひたすらに強いトレーナーであることを求めており、強くなるため団の仲間になったらしい。
グズマからは気に入られているようだが、下っ端連中からは嫌われており、グラジオ本人も仲間意識を抱いている様子は見られない。
むしろスカル団の用心棒と言いながら、スカル団の一員らしい振る舞いは初登場時しかなく、終盤は明確にスカル団と対立している。

最初に出会うのは5ばんどうろで、ハウポケモン勝負で打ち負かしてその後主人公に勝負を挑んでくる。
その後も何度か出会い、ときには勝負を挑んでくることもある。
幼馴染みだったり友人だったりと友好関係にあるライバルが続いた中、シリーズでも久々となる「強さを求めてギラギラしている」タイプのライバルである。
むしろ今まで友達兼ライバルのキャラが多すぎた。

一方で「何があってもコスモッグを守らなければ大変なことになる(要約)」と忠告してくるなど、単純に敵対するわけではない。
その後リーリエとコスモッグがスカル団に連れ去られたことを知ると、エーテルハウスに突如乗り込んできて主人公に唐突なバトルを仕掛けてくるが、
バトルの後には主人公とハウに協力を求め、エーテルパラダイスに乗り込んでリーリエとコスモッグを救出するために奮闘する。




◆素顔

彼はルザミーネの息子で、つまりはリーリエの実兄。
エーテル財団が生み出したポケモン、タイプ:ヌルが実験で苦しめられる姿を見て、いても立ってもいられず、
実験体のうちの1匹を連れ出してエーテルパラダイスを飛び出たのであった。

強さを求める理由も「ヌルを守りたい」という思いがあってのこと。
シナリオ中盤で「コスモッグを守れ」と主人公に忠告するのも弱い者を守ろうとする彼の優しさの表れである。
リーリエとグラジオのことをよく知るエーテル財団職員のビッケは2人とも似たようなところがあり、体を張ってでもポケモンを守ろうとするところがあると述べている。

連れ出した頃の実験体は拘束具を付けられて無理矢理制御された姿、タイプ:ヌルとなって心を閉ざしており、暴れてはグラジオの服を引き裂き、彼はそれを度々自分で繕っていたという。
それでも諦めずに心を通わせ、ついには相棒と言えるほどの絆が芽生えるに至る。
その絆は旅を続けるうちに更に深まっていき、やがてタイプ:ヌルは拘束具を破ってシルヴァディとなり、本来の力「ARシステム」を発揮できるようになった。
ちなみに、リーリエ同様に家にいた頃はルザミーネ好みの服を着させられており、本人は「母の飾りとして母の意図通りに振る舞うことを求められていた(要約)」と語る。

なお、グラジオはヌルを相棒と言ってとても大事にしてはいるが、これはサトシピカチュウのような関係で、他のポケモンをないがしろにしているわけではない。
リーリエにも負けず劣らずのポケモンに対する優しさがあり、ゴルバットがクロバットに進化していたり、途中からルカリオが増えていたりすることからもそれは明らかであろう。最終的にはなつき進化したポケモンを3匹も持つ事になる。



……と、ここまでは至ってマトモなライバルである。
が、グラジオにはひとつだけ非常に残念な要素がある。

酷い中二病の罹患者*1なのである

無口なところはただ単に「言葉少ないのかっこいいと思ってるよねー」とハウにズバリ指摘されているし、
話すときも「フッ」などと前置きするなど、いつも何かとカッコつけたポーズを付けることが多く、ポケモン勝負の際には常に左腕が疼いている
会話の中でいつもやっているポーズについては別作品の厨二病患者みたいなのを想像してくれれば分かりやすい。
ボール投げのスタイルもわざわざ右腕に左手を添え、溜めてから力強く投げている。
ただ、家出以前の生活を考えると、彼の中二病的な振る舞いなどは年頃であるという以上に抑圧されていた反動や、それなりの規模の活動団体代表の令息という出自にもかかわらずなかなかにパンクな服装をしているのは、自分の好きな格好・言動をしたいという願望の表れなのかもしれない。


第一印象ではかなり取っつきづらい性格に見えるし、負けたハウを下に見ているような節がある。
更に二度目の勝負ではわけのわからない理由を並べて*2唐突に勝負を仕掛けてくる。
しかしハウをスカル団の下っ端よりは十分に強いと評し、スカル団の下っ端には無駄に勝負を挑んでも負けるからやめろと言い、ちゃんと力量を見ていることが分かる。

おおらかな性格のハウにすら呆れられ、辛辣な言葉を投げかけられ、一方でグラジオもハウを「呑気」や「甘い」とバッサリ斬るなどお互いにかなり辛辣な言葉を投げかけているが、それでもお互いに相手のことを認めている。

御曹司だけあってか礼儀はわきまえており、エーテルパラダイスでの騒動が一旦落ち着いたときには巻き込んだ詫びと協力の礼としてルザミーネのコレクションにあったマスターボールを主人公に渡してくれる。

ウルトラスペースへ行くためには伝説のポケモンの力が必要となることや、ポニ島のしまキングが手掛かりを知っていることを一夜で調べ上げるなど、騒動終結のために裏方として果たした役割も大きい。
更に全ての騒動が終わったあとにはラナキラマウンテンのふもとで主人公を待ち受け、感謝の言葉を述べに来る。
「自分は不器用だから勝負でお互いを高め合うことしかできない(大意)」として勝負を挑まれるが、勝負が付いたあとには主人公に賞賛の言葉を述べてくる。

そして最後に「オレたちは仲良しではない。でも悪くない関係だ。これからも勝ち続けろ。」とエールを送ってその場を去る。

……と、これだけなら良い締めくくりだが、プレイヤーの多くには戦闘直前のカッコつけたポーズのままエレベーターを降りてくるというシュールな姿が印象深く刻み込まれた。
ここぞというときに中二病全開である。


◆手持ち

シナリオ中では五回戦うことになる。
  • 一戦目(5番道路)
【サン・ムーン】

ズバット  ♂ Lv.17
タイプ:ヌル Lv.18

【ウルトラサン・ウルトラムーン】

ゾロア   ♂ Lv.17
タイプ:ヌル Lv.18
ズバット  ♂ Lv.17

  • 二戦目(ロイヤルドーム)
【サン・ムーン】

タイプ:ヌル Lv.19

【ウルトラサン・ウルトラムーン】

タイプ:ヌル Lv.20

  • 三戦目(エーテルハウス)
【サン・ムーン】

ゴルバット ♂ Lv.37
ニューラ  ♂ Lv.37
タイプ:ヌル Lv.38

【ウルトラサン・ウルトラムーン】

ゴルバット ♂ Lv.42
ゾロアーク ♂ Lv.42
タイプ:ヌル Lv.43

  • 四戦目(ラナキラマウンテン)
【サン・ムーン】

クロバット  ♂ Lv.52
マニューラ  ♂ Lv.52
ルカリオ   ♂ Lv.52〈ハガネZ〉
シルヴァディ  Lv.53〈ファイヤーメモリ/ウオーターメモリ/グラスメモリ〉

【ウルトラサン・ウルトラムーン】

クロバット  ♂ Lv.53
ゾロアーク  ♂ Lv.53〈アクZ〉
シルヴァディ  Lv.55〈ファイヤーメモリ/ウオーターメモリ/グラスメモリ〉
ルカリオ   ♂ Lv.53(Lv.55)*3

  • ポケモンリーグ〈チャンピオン防衛戦〉
【サン・ムーン】

クロバット  ♂ Lv.63
マニューラ  ♂ Lv.63
ポリゴンZ    Lv.63
ルカリオ   ♂ Lv.63〈ハガネZ〉
シルヴァディ  Lv.63〈ファイヤーメモリ/ウオーターメモリ/グラスメモリ〉

【ウルトラサン・ウルトラムーン】

クロバット  ♂ Lv.68
ゾロアーク  ♂ Lv.68〈アクZ〉
ポリゴンZ    Lv.68
ルカリオ   ♂ Lv.68
フシギバナリザードンカメックス ♂ Lv.68
シルヴァディ  Lv.70〈ファイヤーメモリ/ウオーターメモリ/グラスメモリ〉


やはりというか中二病チックな面子である。
序盤でのヌルは攻略段階では場違いに高い能力を持つので注意。
五戦目ではルカリオはSMのみハガネZを持っており、シルヴァディは主人公の選んだ御三家に有利なタイプのメモリを装着している。
主人公のチャンピオン就任後は挑戦者として挑んで来る。
防衛戦では新たにポリゴンZが加わる。性格が丸くなって通信交換してくれる友達ができたのだろうか。
『USUM』ではニューラ系統に代わり一戦目からゾロア系統が入っており、防衛戦では主人公の御三家と同じタイプのカントー御三家が新たに加わる。
攻撃面ではそれなりにバランスの取れた構成だが、『SM』でも『USUM』でも特にシナリオでは防御面でかくとうタイプに弱い構成なので対策は容易な部類。
旅パをバランスよく組んでいればそこまで苦戦はしないだろう。

ちなみに四戦目までの肩書きは「スカル団」、五戦目と防衛戦では「ポケモントレーナー」となっている。
戦闘開始時の背景は四戦目までスカル団扱いで、戦闘開始時にスカル団マークのカットインが入る。
五戦目の背景はここでしか拝めない超レアもの。
防衛戦を除く戦闘BGMは全て同じで、イントロで使われるベースが印象的な曲である。{&『ポケダン』の『逃亡の旅』によく似ていると言われる。


◆その後

『サン・ムーン』と『USUM』のシナリオ中で基本的に大きく行動が変わることはないが、殿堂入り後の行動は大きく異なっている。

『サン・ムーン』ではエーテル財団代表の母・ルザミーネがウツロイドの毒に冒され、リーリエに連れられて治療のためカントー地方へ旅立つため、母不在の穴を埋めるべくエーテル財団代表を代行する。
ビッケなど周囲のサポートもあるのだろうが、わずか10代にして大組織をまとめ上げるというのはなかなか優秀である。

『USUM』では展開の変更によりルザミーネたちがカントーへ行くことはなくなったが、今度は彼がエンディングで武者修行の旅に出るためアローラ地方を旅立つ。
なお、現実時間にして一ヶ月ほどで帰ってくるのでそれっきりの別れではない。

殿堂入り後にはエーテルパラダイスのラボに残っていたタイプ:ヌルの1匹を「こいつに広い世界を見せてやってほしい」として主人公に譲ってくれるイベントがある。
『USUM』では手渡す役がビッケになっているが、こちらもグラジオの意思に基づいて主人公に手渡される。主人公のことをライバルとして見ているものの信頼している様子がうかがえる。
この他チャンピオン防衛戦の挑戦者として現れ*4、ランダムではあるが再戦することができる。

なお、エピソードRR終了後のビッケとの会話で、カントー地方へ行った理由を「バカンス?」と聞くと、
「グラジオさまがバカンスはちょっと考えにくい」という答えが返ってくる。やっぱりなんだかんだ言いながら真面目なトレーナーではあるらしい。
また、ヌルに破られた服をグラジオが自分で繕っていた話はビッケから聞ける。


アニメ版において

原作同様にリーリエの兄として登場。
スカル団の用心棒ではなく、訳あって1人でさすらうトレーナーとなっている。
手持ちは原作と異なり、ブラッキーとまよなかのすがたのルガルガンを連れている。
愛想こそ無いが本編に比べればかなり人当たりが良く、サトシからいきなりバトルを挑まれてもすんなり応対してくれたり、サトシのイワンコの進化を陰ながら助けたりしていた。

因みに雑誌での初報ではかなり悪そうな顔をしており、視聴者から性格の改変を恐れられていたが、全くそんなことはなかった。同シリーズお馴染みの顔芸も、回数こそ少ないもののちゃんと披露している。
しかし一方中二病は原作よりも悪化しており、Zワザを繰り出したり、シルヴァディのメモリを付け替えるときなど、何かにつけて大仰でカッコつけた恥ずかしい口上を述べることが多い。
アローラポケモンリーグではサトシと対戦するも破れる。

その後、『サン&ムーン』終了後は家族で父親探しの旅に出る。そしてついに……!

CVの岡本信彦氏はアニポケ初出演だが、『ORAS』のスペシャルアニメーションでユウキ役を演じたことがある。


◆『ポケスペ』において

第14章にて登場。
ゲームと異なり、登場当初はスカル団に所属していない。ただ、一時期だけスカル団に身を置くのはゲームと同じ。
バトルの実力はとても高く、手持ちはタイプ:ヌルとポリゴン。図鑑所有者二人も正面から戦って勝てていない(2018年時点)程。
自身の目的は「ウルトラビーストの殲滅」で、その重責から他人を全く信用していない上、傷つけることにも全くためらいがない。
グラジオがそこまで抱え込む理由は、本作におけるUBがタイプ:ヌル以外ではほぼ太刀打ちできないことにある。UBにはキャプテンが束になってもカプであっても敵わないため、必然的にグラジオしか対処できないことになる。
サンからは目的のために手段を選ばない点を敵視されているが、ムーンからは事件の核心を握る者として協力を求められている。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ポケモン
  • SM
  • USM
  • ライバル
  • スカル団
  • エーテル財団
  • タイプ:ヌル
  • シルヴァディ
  • 中二病
  • ポケモン登場人物項目
  • グラジオ
  • アローラ地方
  • ポケモントレーナー
  • 用心棒
  • チャレンジャー
  • 岡本信彦
  • モーテル
  • 毒親育ち
  • 金髪
  • 内山昂輝
  • 本当は優しい人
  • ツンデレ
  • 母との不和
  • 複雑な家庭事情
  • 疼く左手
  • 育ちのいい中二病
  • 逃避行
  • 残念なイケメン
  • ピアス
  • 剃りこみ
  • サトシのライバル
  • アニポケボスキャラ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年12月26日 22:33

*1 公式設定で中二病。設定資料集にまで「中二病っぽく」という記載がある

*2 『SM』…オレの怒りをお前にぶつける、『USUM』…不甲斐ないおれをぶっ飛ばせ

*3 主人公が最初にニャビーを選んだ場合のみ、ルカリオのレベルが何故かLv.55になる

*4 USUMは武者修行からの帰還後という条件が付くが、基本的な部分は一緒