クィリナス・クィレル

登録日:2018/04/17 Tue 21:55:06
更新日:2024/04/02 Tue 15:38:00
所要時間:約 5 分で読めます




ハリー・ポッターシリーズに登場する魔法使い。
ホグワーツ魔法魔術学校の「闇の魔術に対する防衛術」の教授。

演:イアン・ハート
日本語吹替:横堀悦夫

ニンニクの匂いをぷんぷんさせたターバンを巻いた神経質な男。ターバンはゾンビを倒したお礼としてアフリカの王子にもらったもので、匂いは吸血鬼避け。
喋り方も吃音気味で、さらに何かに怯えているように常におどおどしている。

生徒からも「肩すかし」と評されているが、狼人間に噛まれた傷の処置法など、授業については一応ちゃんと教えているらしい。

ルビウス・ハグリッド曰く、ハリーが就学する1年前はアルバニアで修行していたというが、
「秀才であるが、アルバニアで修行中に吸血鬼に出会い、鬼ババとの間に嫌なことがあったらしく、それ以来人が変わってしまった」とのこと。
ちなみに、それ以前は「マグル学」の教授をしていたことが明かされている。

ハリーとの初対面は、11歳の誕生日にハグリッドと共に初めてダイアゴン横丁に買い物に行った時であり、吃音気味にハリーの名を呼びつつ歩み寄り、握手を交わした。

同僚の中では、何故かセブルス・スネイプに因縁をつけられて森の中で尋問されるなど、スネイプとはかなり緊迫した関係となっている。

生徒の間では「スネイプが『闇の魔術に対する防衛術』の教授のポストを狙っている」等と噂され、
後日すすり泣くクィレルを目撃したハリーたちは「スネイプが「賢者の石」を狙って脅迫している」と考えたが…。










【以下、ネタバレ】





「ポッター、ここで君に会えるかもしれないと思っていたよ」





「賢者の石」を狙い、盗み出そうとしていたのはクィレルだった。

グリンゴッツに強盗に入って「賢者の石」を盗もうとしたのも、トロールを招き入れて大混乱に陥らせた*1のも、クィディッチでハリーの箒に呪いをかけて殺そうとしたのも、全て彼の仕業。

普段の自分が周囲に「頼りない」「気弱」と見なされていることや、一方のスネイプがスリザリン寮生以外から意地が悪いと嫌われていること、
さらに「賢者の石」を捜索するハリーたちにスネイプが険悪な態度をとっていること等を利用して、スネイプに疑いの目を向けるよう仕向けつつ、その隙に「賢者の石」を盗もうと画策していた。

一方、スネイプはアルバス・ダンブルドアの指示でクィレルの動向を探っていた。

つまり、

  • ×賢者の石の隠し場所に押し入ろうとして、脚を三頭犬に噛まれた
    →○クィレルを追って禁じられた部屋に入ってしまい、三頭犬に脚を噛まれてしまった。
  • ×クィディッチの試合中に箒に呪いをかけ、ハリーを殺そうとした。
    →○呪いの呪文を唱えていたのはクィレル。スネイプは反対呪文でハリーを救おうとしていた。*2
  • ×再びハリーを狙って、その次のクィディッチ試合の審判を買って出た
    →○クィレルの妨害とハリーの保護を最もしやすい位置を取るため。*3
  • ×森でクィレルを尋問し、賢者の石を手に入れる方法を聞き出そうとした。
    →○クィレルがどこまで「賢者の石」について知っているか探りを入れていた。

クィレルが「賢者の石」を狙っていたのはヴォルデモート卿のため。

修行中、ハリーによって打ち倒されたヴォルデモートの魂に出会い、彼に忠誠を誓って自身の後頭部に寄生させた。
ターバンは後頭部のあの人の顔を隠すためのもので、普段の吃音等の「おどおどビクビクしたクィレル先生」は演技。
人畜無害な教授と思わせながら、永遠の命を献上すべく、ユニコーンの生き血を飲んだり、「賢者の石」を狙ったのである。

そして、ハリーたちを出し抜いて「みぞの鏡」に辿り着いたクィレルだったが、何をしても「賢者の石」を取り出せず、
鏡に「賢者の石」をヴォルデモートに捧げる彼自身の姿が映るのみであった。

困り果てるクィレルに、ヴォルデモートは「小僧(ハリー)を使え」と指示。
クィレルに強いられて「みぞの鏡」の前に立ったハリーは、本来鏡に映る自らの願望ではなく、自分がそのまま映っていることに困惑するが、
鏡の中のハリーは、あたかも鏡の前のハリーに向けるかのようにウィンクすると、手に持った「賢者の石」を自らのポケットに入れる。
直後、自身のポケットにも「賢者の石」が現れた=石を自分が手に入れてしまったとハリーは悟り*4
咄嗟に適当な嘘を並べて誤魔化そうとするが、それを見破ったヴォルデモートは、クィレルに力ずくで「賢者の石」を奪わせようとする。

しかし、闇に魅入られたクィレルは母の愛に護られたハリーに触れることすらできずに致命傷を負う。
そして彼を見限ったヴォルデモートが彼の身体から抜け出た直後、死んでしまった。

なお、実写映画版では、ハリーに触れられたところが焼け焦げたかのように崩れ落ちるのを見たクィレルが絶叫。
その様子から「クィレルは自分に触られると皮膚が焼け焦げる」と知ったハリーに力いっぱい顔に手を押し付けられ、
顔が完全に焼け焦げた後、数歩迫ったところで全身が崩れ落ちて絶命*5という、壮絶な最期を迎えている。




余談

「ポッターモア」及び、「エッセイ集 ホグワーツ権力と政治と悪戯好きのポルターガイスト」にて彼の裏設定が公表されている。

1967年の9月26日に誕生、混血で独身。1992年の4月に死亡したため、享年は24歳。作中でも「若い」と言われていたが本当に若かった。
ホグワーツではレイブンクロー寮に所属。
おどおどしたり神経質な性格なためか(断定を避ける言い方であるが)からかわれるタイプであったとされる。

「見返してやりたい」欲求にかられ浅はかだった彼は弱体化したヴォルデモートを見つけ出せば最悪でもヴォルデモートを発見した男になり、さらに上手く行けば彼を自分の力を上げることに利用できるのはないかと考えて捜索し、運悪くも目的通り彼を発見してしまう。
そして、ホグワーツの教師であることが知られた途端になすすべもなく取り憑かれてしまった。
彼の魂はヴォルデモートの支配に抵抗していたが、いくら弱体化していてもヴォルデモートには抗えず、徐々に犯罪・殺人などを強いられていくことになっていった。

原作でクィレルは、ハリーが初めてダイアゴン横町に入り「漏れ鍋」を訪れた際、握手を求める客たちの中に彼が混ざり、握手を交わしているが、愛の魔法によるダメージは入っていない。
グリンゴッツ銀行の後に「ご主人様は激怒し、より間近で私を見張るようになった」と言っていることを踏まえると、その頃から肉体に変異が起きるほどヴォルデモートの支配と同化が高まったといったところか。
この状態は擬似的な分霊箱に近かったとされる。

このあたり本編で彼の語っていた経緯とは異なるが、精神や人格すらヴォルデモートに都合の良いもの歪められ、本来の自我はほとんど表に出ていなかったということかもしれない。
実際、死喰い人でさえ「闇の帝王」「わが君」などと呼ぶ主君を「ヴォルデモート卿」と平気で口にしている。

ヴォルデモートの邪悪な支配と、クィレル本来の魂の抵抗による負荷で肉体と精神は精も根も尽き果てていたとされ、最終的にこれが愛の魔法が致命的なダメージになった原因と思われる。
善や正義かはともかくとして、自分の内側に巣食うヴォルデモートと歯が立たなくても戦い続けていたため、彼本来の性根は悪に完全には屈しなかったのだろう。

また、本編でも上述したように「秀才」と呼ばれるだけの卓越した能力を見せている。当時、ヴォルデモートには肉体がなかったので、魔力面の補佐は不可能。にもかかわらず、
  • 本人曰く「トロールに関しては特別な才能がある」とのことで、大パワーとすさまじいアホさを誇るトロールを意のままに遠隔誘導したり、果てはあっさり倒してしまった。
  • スネイプでも完全には抑え込めない呪詛を掛ける
  • 機敏で捕えにくいことで知られるユニコーンをあっさり捕殺する
  • ヴォルデモートの知恵を借りてだろうが他の教員の施した防御を突破する
  • 杖無しで何種もの強力な呪文を操る
  • グリンゴッツ銀行を破る
など、随所で優れた能力を見せている
ヴォルデモートによる教授もあったろうが、基本的にはクィレルの実力によるもの
自惚れが過ぎて身を亡ぼす羽目にはなったものの、そうなるだけの力量を備えた魔法使いだった。


追記・修正はターバンを巻いた人がお願いします。

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最終更新:2024年04月02日 15:38

*1 その間に「賢者の石」の在処を探るため

*2 事情を知らないハーマイオニーはスネイプの集中を途切れさせるために魔法で妨害工作を行ったが、それにスネイプが慌てた拍子にちょっとした騒動が起き、それによってクィレルの集中が妨げられたため、呪いの効力も失われた。

*3 この時はダンブルドアも試合を観戦しつつ目を光らせていたため、クィレルは何かしようにも出来なかった。

*4 ダンブルドアは「みぞの鏡」の前に「石を見つけたい」とだけ願う者が立った時、その者に「賢者の石」が渡るような仕掛けを考案していた。欲望に塗れた者が手に入れたら間違いなくロクなことにならない物であるが故に、「石を使いたい」と願う者の手には渡らないように仕向けたのである。

*5 ヴォルデモートはその死後、彼の遺骸から抜け出ている。