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 ある昼下がりのある喫茶店に一人の少女が座っている。
その姿は文学少女と呼ぶに相応しく、一度も染めた事のないであろう黒い髪に、素足を見せまいとする程長いスカート履き、薄茶色のカーディガンを羽織っている。
また日に焼けていない程白い肌がより一層と文学少女を彷彿とさせるのだった。

 そのハギノは、一人本を読んでおり時折店の時計を見て、時間を気にしている。
その様子から誰かを待っているようだ。

「まだかなぁ……」

とハギノは一人呟いた。
 時計を見ると既に十四時過ぎを指していた。
待ち合わせ時刻が十三時頃だった事を考えると優に一時間近く過ぎていることになる。
「もしかして、待ち合わせ場所間違えちゃったかなぁ……」
自信なさげに呟いた声に答える声は当然なく、ますます不安になっていくのだった。
不安ならばメールなり、電話なりをすればいいのだが、もうすぐ来るかも知れないという思いや迷惑になるかもという思いが邪魔をしてなかなか行動に移せない。

「うぅ……どうしよう……。でも、もしかしたら事故に巻き込まれてるかもだし、電話してみた方が良いのかなぁ……?」

悶々と考えるが答えは未だ出ないハギノ。
そう考えている間にも時間はどんどんと進み、時刻は十五時を示そうとしていた。

「うぅ~」

遂には机に顔を伏せ、思考を放棄してしまうのであった。
ハギノが沈黙したことで店内に静寂が満ちる。
その静寂も数秒後には来客を知らせる鈴の音によって、終わりを告げる。

「いらっしゃいませ。お一人ですか?」

店のマスターが来客に聞くと、その客はこう言った。
「いえ、待ち合わせなんですけど」
その声は低く、青年男性のようだ。
青年はそう言うと、自分を待っているであろう人のもとに向かった。
青年、ミヤタはハギノの座っている席の前に立ち、机に伏せているハギノに向かい、謝罪を口にした。

「ごめんな。ハギノ待たせたな」

あまり反省をいるようには見えなかったが、それでもハギノは顔を上げ、嬉しそうにニコニコと笑った。

「平気です……。来てくれて嬉しいです」

とミヤタに言う。
それを聞いたミヤタはハギノの向かいの席に座り、まるで何でもなかったみたいに注文をするのだった。
その姿を見てより一層笑顔を深めるハギノであった。
そんなハギノの小さな葛藤は頭の中からすっかり消え失せ、ただただミヤタとの時間を楽しむのであった。

終わり