3の2 ようこそ、戦争屋の世界に。



「たこつぼ」を掘って、中に入る。
たこつぼってのは、落とし穴みたいなもんだと思ってくれればいい。
直撃さえ喰らわなければ、爆風を避(さ)けられる。避(よ)けられる。


大海原の船。甲板から見える夜空は半球ドーム。

盆地の山々に囲まれた平野部からの夜空は、角度10度くらいが
水平線から地平線になってて、180度見えなくて160度見える。

カルデラ湖、の水面からは山際が周囲をもうちょっと覆ってて
角度30度くらいが見えなくて、夜空の120度範囲が見える。
すり鉢の底、漏斗(じょうご)の落ちる方の穴、入れる方じゃなくて。

たこつぼでは、角度80度くらいが掘った土壁になって、
見えるのは天井の角度20度範囲くらいの空。

円柱の底から、円柱の上にある開口部を見る。
その先に、空。

マンホールの蓋(ふた)を透明にしたものを「たこつぼ」の
開口部に填(は)める。

肩幅ってのがあるよね。それを満たすだけの直径が円柱には求められる。
「一つ目小僧」でないから、左右の眼による視野差もあるけど、
取り敢えず無視。

肩幅である円柱の直径と、頭部から「透明マンホール蓋」までの距離が、
要するに、「肩幅=透明蓋直径」と「頭部中心の視点=網膜を点とする」
これが作る二等辺三角形が視野角になる。

たこつぼの中で夜を過ごす。

たこつぼは地面に掘ったんだけど、地球という観点からは、
平面に掘ったんじゃなく、球面に掘った。

夜空の「ある範囲」だけが、見える。

動かなくなった天文台。
天文台は部屋そのものを地転回し、
望遠鏡の筒を上下にする為、これまた回転する。

たこつぼは動かなくたった天文台。

それでも視野角があるから、夜空の向こうに何万光年も先の星々を
視野内に同時に見る。星々は互いに何万光年も離れている。

夜が更け、深夜になり、未明に。

動かない天文台は、好きな星座を視野に入れることはできないが、
地球は回転している。それとも夜空は回転している。
見える星々が替(か)わっていく。

今夜は定時郵便配達がなかった。

翌朝、ジャングルの色鮮やかな鳥が空をかすめる。
日中の光は、深宇宙を感じさせない。水蒸気の影響か。大気中の。
海の中の透明度みたいなものが、空気の空間にもある。


そうそう、望遠鏡を覗いて星々を見るとき、円の内部に光を輝点群を見る。

それを写真乾板に焼くとき、乾板は長方形。
どうも、人間の技術は円を扱うより矩形(くけい)、長方形とか正方形の
四角形の方が扱いやすいとする。

まず、この円でも四角形でもいいんだけど、これ平面ぽい。

天文台の部屋回転と望遠鏡の角度回転を瞬時(0時間)に行えば、
全天を一瞬で撮影できる。もちろん天文台は地球上にあるから、
地球という球体の土塊(つちくれ)があるから、
全方位は見えないんだけど。

まあ、ほとんど一瞬にして撮影いくつもしたとする。
今度は張り合わせの作業。

四角だと埋め尽くすことが重なりなしにできる気分だけど、
丸い円だとできないな。実際は四角でも円でも重なりを使って
作業するけど。


さて、話を戻して、

昨夜来なかった定時便は、いま来た。ヒュー、ヒューという音。
俺の「たこつぼ」からはまだ見えない。

この音は映画の見過ぎて、地上じゃ爆発音だけで、
爆撃機の腹が割れての爆弾の風切り音なんて聞こえやしねえ。
 //たこつぼの外の人には聞こえるのかもだが。

見えないが、爆撃機の編隊が通過してるらしいのが、爆音、
爆弾の爆発音じゃなくて、エンジンの。が、聞こえる。

「透明なマンホール蓋」、原点Oの周辺。x^2+y^2=1とすると、
その延長上の近辺を真っ直ぐ爆撃機編隊が進んでいるのがイメージできる。

爆音が聞こえるから、x^2+y^2=10ぐらいの範囲内で直進している。
と、思われる。

敵機の高度を地上1000メートルぐらいとすると、
俺の意識は、そこにある。
「透明マンホール蓋」縁(へり)と俺の頭部までの距離が作り出す視野角。
その延長したところ地上1000メートルでの、
二等辺三角形の底辺長さ1には、敵機はいま、見えないということ。

マンホールの大きさ、つまり、己の肩幅の大きさではない。

どうだろう、自分はいま地面マイナス1から2メートルあたりにいるのに、
敵機を意識したとき、地上1000メートルと地面の距離、奥行きを忘れてる。

いや、もちろん、真上に爆弾が見えたとき、徐々に大きくなっての、
待ち時間が距離(高度)として認識できるけど、

つい、敵を探査するとき、自分側の高さを忘れて、敵高度を水準と思ってしまう。



もちろん地球の丸みに対して、高度1000メートルと地中1~2メートルなんて
平面、平行な平面に過ぎない。だが、光が有限の速度となった世界ではどうなる。



小さな島を守ってる日本軍を相手にするときは、準備爆撃として、
砂浜周辺のジャングルを爆撃しとけばいい。見えなくてもだ。

「たこつぼ」からは、ジャングルの木々が空を覆っても、枝の隙間から
空が見える。

ブラインド、簾(すだれ)、部屋の中の人にとっての粗い網目までの距離と、
道路からの通行人にとっての粗い網目までの距離が非対称と同じ。


ところが政治的に北の本拠地を直接叩けない、
ソ連との万が一を恐れてかもしれないし、
戦争長引かせて儲けようかもしれないし、
アメリカの精神を濁らせようとしたのかもしれないし、

ま、それはどれかとか、どれでもいいし、どうだっていい。
なにかを知っているなんてのは、支配者に己の気分を重ねられないものが、
それなら黙るが普通だが、幻想に集まるものは、症状として。

と、これは放置で、

ジャングルの一塊が大きい。500ポンド爆弾ぐらいじゃ虱(しらみ)潰せない。
ナパームや気化爆弾(こんときあった?知らん。軍オタじゃねーんで。)は、
面攻撃ができる。

数学者が「たこつぼ」にいたら、彼等の肩幅は無限小にできるから、500ポンド
爆弾じゃ効果がないが、ナパームや気化爆弾なら効く。

だが、いかんせんジャングルが大き過ぎる一塊(ひとかたまり)。
日本軍をやったときのようには、見えんでもそこにいると予測できんから、
予算に制約。


ジャングルを通っての北から南への補給線を叩きたい。
そこで枯葉剤だ。ジャングル全部を枯れさす必要はない。
北と南の間を裸にすればいい。線で十分だ。

境界線に一定の幅があれば、ベトコンの移動が空から見える。

ベトコンにとって、南へ行ければ仕事を成した。北に居れば、まだ。
自分の存在はどちらか。

空からは、どこにいるかの二分法。
叩けるのはその間。



「たこつぼ」が連続した塹壕線。
部屋回転ができなくなった天文台。でも、望遠鏡筒(つつ)の角度回転できる。



まっ、こんなところで、仕組みに直接行こう。
数学者の好きな規格化へ。

以上を、平面で四角な座標から、立体的で球な座標にする。



Fri Dec 28 20:00:44 2012

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メモ 捨て


これだけは追加しておこう。
北極星の回転。

首戻しによる有限
点注目で無限性獲得回転停止
自分が廻ってる落下傘開く前の降下で。レッドアウト。


先に進む為。


指望遠鏡は面
爪先はほとんど点な面 ピンホールカメラ
最終更新:2013年01月05日 22:59