文献情報

  • 原田実: 江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統, 星海社新書52, 講談社 (2014).

概要

ブックカバーに書かれている次の2点が最も明快です。
  • 「江戸しぐさ」は偽史であり、オカルトであり、現実逃避の産物として生み出されたものである。
  • 本書は(略)懐疑的立場から「江戸しぐさ」を論じる初めての書籍である。

「掛け算」への言及

「教育現場に蔓延する奇妙な話」と題する中で、TOSSや、中国地名のカタカナ表記を批判的に取り上げたあと、第1刷の197頁では、算数の指導について次のように記載しています。

 また、小学校の算数では掛け算については、問題文通りの順番に数字を並べなければ答
えがあっていてもバツをつけるという指導が広まっている。
 具体的に説明すると、「りんごを3つのせたさらが2まい」ある場合のリンゴの合計につ
いて、3×2と書いたなら、答えを6としても間違いあつかいされるというわけである。
 そのような考え方になれてしまうと、後で乗法の交換法則を学んだ時にかえって混乱す
ると思うのだが、現在の小学校教師はカップリングを考える腐女子の如くに掛け算の前後
にこだわることを余儀なくされている。

しかし話がつながりません。3×2の式は、「問題文通りの順番に数字を並べ」たものです。
第3刷では以下のように修正されました。

 また、小学校の算数では掛け算については、一つ分の数×いくつ分の順番に数字を並べ
なければ答えがあっていてもバツをつけるという指導が広まっている。
 具体的に説明すると、「りんごを3つのせたさらが2まい」ある場合のリンゴの合計に
ついて、2×3と書いたなら、答えを6としても間違いあつかいされるというわけである。
 そのような考え方になれてしまうと、いかに単位が重要といっても乗法の交換法則との
面でかえって混乱すると思うのだが、現在の小学校教師はカップリングを考える腐女子の
如くに掛け算の前後にこだわることを余儀なくされている。

外部リンク

最終更新:2014年10月30日 06:40