飯山狐

いいやまぎつね

種別
別名  
住所 島根県出雲市平田町
特徴  久多美村と桧山村との境に飯山という山があり、村境を越えるためにはこの山の人里離れた道を通らねばならず、ここに付近の住民を騙す狐がいた。▼平田町の古平田の古平田寺の住職・宗庵は狐退治を思い立ち、頭巾をかぶって飯山を通った。すると狐が綺麗な娘に化けて色々と言い寄ってきたので、宗庵は「おまえは上手に化けているが、それは何によって幾種類に化けられるか」と尋ねた。変化を見破られた狐は玉を取り出し「これで七変化できます」と答えた。宗庵が己の頭巾を示し、「この頭巾では八変化もできるのだよ」と言うと、狐は玉と頭巾の交換をもちかけてきた。頭巾を得た狐は上手に化けたつもりで村へ行ったが、実際は頭巾をかぶった狐の姿であったため子供に囃したてられ、漸く騙されていたことを悟った。玉を取り返すべく夜な夜な寺を訪れたが、戸が閉まっていて中へ入れない。本堂の戸を大きな尻尾でガンガン叩きながら「宗庵、玉戻せ」と叫んでいると、目を覚ました宗庵が戸を開けた。狐は堂内へ転がり込み、寺の本尊に化けた。宗庵は二体の本尊を見て「うちの本尊はお手を出しなさい、と言うとお手を出さっしゃる。うちの本尊様は手を出さっしゃい!」と言った。そしてそっと手を出した方の本尊を引っ張り下ろし、棒で叩き壊してしまった。夜が明けてみると、そこには大きな狐の死骸が転がっていた。こうして飯山狐は退治され、飯山の道も安心して通れるようになったという。
資料 『ふるさとの民話 第一集 出雲編』酒井董美

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最終更新:2012年12月02日 00:10