お種狐

おたねぎつね

種別
別名  
住所 広島県庄原市川北町
特徴  百年の功を経た女狐で、この地域の狐どもの女親分だという。 ▽仁衛門という男が、仕事をせずに大分限者になるにはどうすればよいかと思案の挙句、裏山に住むお種狐から変化の玉を取り上げれることを思いついた。それから仁衛門は女房が止めるのも聞かずに毎日弁当を提げて山を歩いた。ある日、山路の向こうからやって来る、子を背負った豆腐屋の娘に出会った。よく見れば尻尾が覗いていたので仁衛門はこれが狐の化けたものであると見破り、お前の変化の玉もわしの被っている帽子にはかなわんじゃろう、嘘と思うならついてこい、お前の一番好きな物を食わしてやると言った。「わたしは、鰻のつけあぶりが好きです」と答えたので、仁衛門は狐を鰻屋へ連れて行って腹一杯食わせてやった。「お金はこの次じゃ」と言って仁衛門が帽子を振ると店主は金も得ていないのに礼を言ったので、お種狐は帽子の威力を信じ込み己の変化の玉との交換を申し出た。仁衛門は渋々の体を装って玉と帽子を取り換えてやった。お種は化けるのも忘れ、帽子を咥えて大喜びで山へと帰っていった。しかし騙されたと気付いたお種が一族を呼び集めて経緯を語ると、一匹の狐が変化の玉奪還に名乗りを上げて山を下りていった。狐は仁衛門不在時にの女房の母に化けて家の前に行き、苦しげに呻いてばったりと倒れた。驚いた女房が介抱すると、母親に化けた狐は変化の玉を仁衛門が手に入れたと聞いたので一生の思い出に見せてもらいたかったが、この病気では見ないまま死にそうだとさも残念そうに語った。女房が仁衛門の言い付けも忘れて玉を手渡すと、母は狐の姿になって一目散に逃げてしまった。
資料 『広島県の民話と伝説』広島県教育委員会

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最終更新:2012年06月04日 15:30