社の前位には無数の武者たちが待ち構えていた。
大陸をつなぐ橋にいた二名の武者もいる。
そして、炎をまとった巫女がいる。
卑弥呼だ。
百の時を越えてこの国を支配してきた神魔。
輝きに包まれた美しい巫女の姿は民衆が見れば神々しい神と映るであろう。
しかし冒険者たちの目には、憤怒の炎に身を包む地獄の使いに見えた。
卑弥呼は高き場から見下ろすように冒険者たちを見て言った。
「飛んで火に入る夏の虫とはまさに
そなたたちの事を言うのであろうな。」
武者たちが刀を構えた。
卑弥呼は片手を上げて冒険者たちを指した。
「異国の者よ。
何故、わらわがお前たちを
滅ぼすかわかるかえ?」
卑弥呼に見つめられるだけで炎に包まれて焼かれているかのような恐怖が湧き上がってくる。
そして審判を下すかのように、異国の冒険者たちに卑弥呼は言った。
「お前たちは遺跡を荒らし
あの忌まわしき文明に
再び近づかんとする。
過ぎた文明など要らぬ。
野生に帰り自然と生きよ。
自然を畏れる弱き存在。
それを忘れる文明など
わらわが全て滅ぼそう。」
鎧武者の大男が先頭に立ち薙刀をこちらに向けた。
小柄の武者が刀を抜かずに手をかけて腰を落とした。
卑弥呼が詠唱を始め、紅蓮の炎が舞い上がった。