ゲルググJ

登録日:2012/07/20 Fri 11:23:41
更新日:2024/02/05 Mon 12:19:58
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ゲルググJ(イェーガー)とは、ガンダムシリーズに登場するMS-14ゲルググの性能向上機である。
名前の“J”は“イェーガー*1”と発音される。

元々は『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』にて出渕裕氏によってリ・デザインされた普通のゲルググ、つまり“出渕版ゲルググ”に過ぎなかったが、ガンプラ発売にあたってゲルググの発展型という設定に変更された。






性能

ゲルググJ(イェーガー)
GELGOOG JAGER

型式番号:MS-14JG
所属:ジオン公国軍
開発:ジオニック社
生産形態:少数生産機
頭長高:19.2m
本体重量:40.5t
全備重量:80.3t
出力:1,490kw
推力:178,500kg(21,000kg×5、24,500kg×3)
姿勢制御バーニア数:24基
センサー有効半径:6,300m
装甲材質:チタン合金セラミック複合材

《武装》
大型ビームマシンガン
腕部ビームスポットガン×2
頭部バルカン砲×2
ビームサーベル(非装備説あり)



概要

一年戦争末期にマ・クベ大佐が提唱した“統合整備計画”によって再設計された内の一機。
高い整備性と機能性、空間戦闘のアドバンテージ向上を追求して基本設計から再設計された結果、操縦系と一部パーツをMS-06FZ ザクⅡ改、MS-06R2 リック・ドムⅡと共通としながらも極めて高い性能の獲得に成功した。
外装は統合整備計画外だが同時期に開発されていたMS-14F ゲルググMの物を基調として、よりシャープな印象のデザインとなっている。


主だった改良点は二つ。
一つは各種システム面。ハード、ソフト共にこれまでにザクⅡによって得られたデータをフィードバックした安定性と信頼性に優れた完成度の高い物を採用している。
この安定した射撃システムと基本武装のビームマシンガンとの組み合わせによる精密射撃は驚異的な命中率を誇った。
ジオン最高の狙撃能力をもって確実に獲物を仕止めるその姿はまさしく「狩人」と呼ぶに相応しく、それが名前の由来となった。
この為に「狙撃型ゲルググ」とも呼ばれていたが、実際には狙撃特化の機体ではなく本機はあくまで汎用機である。このあたりの事例は連邦軍にも共通して多い。


そして、もう一つの大きな改良点が推力の超絶強化である。
重力下戦闘を視野から外して空間戦闘への最適化、全身に姿勢制御用アポジモーターの増設、背部には大型スラスターユニットと行動時間延長の為のプロペラントタンクが2基背部に追加された。

それらの改良の結果としてその総推力、なんと178,500kg!
一般的なA型の約3倍、MS-14B 高機動型ゲルググの2倍以上!
ゲルググシリーズの子孫であるMS-14J リゲルグや宇宙世紀0120年代のOMS-14 RFゲルググ、圧倒的な加速力が売りのモビルアーマー(MA)・MA-05 ビグロの更にその上を行っている。
更に言えば後世のΖガンダムはおろかHi-νガンダムユニコーンガンダム、果てはなんとガンダムF91さえ上回っている。

実は単に推力だけ見ても何ら話にならないが、こいつの場合は全備時の推力重量比で見ても2.22。
ガンダムが0.92、Ζが1.8、ΖΖが1.47、νガンダムが1.55。
フルアーマーガンダムMk-Ⅲとほぼ同等、ザクⅢのやや下程度で、こいつのヤバさがうかがえる。

ちなみにフルバーニアンが3.16、ユニコーンが3.33、F91が4.44。

なお、この数値は 公式設定である
まさにモンスター。グラナダのジオニック社技士は魔法使いか何かなのか?
といってもあくまで全スラスターを最大噴射させると言う無茶な使い方なので小回りはきかないと思われるし、
例えプロペラントタンクを着けていたとしても全力で吹かせ続ければすぐに推進剤が切れるだろうが……
また、この超絶機動力はアニメやゲームなどで活かされることはまずない。バランスブレイクするわけにもいかないだろう。

機動性を重視した為にシールドを保持していないが、装甲材の変更で防御力の低下は最小限に抑えられた。
つまるところ、特筆すべき弱点は、無い。


超高性能な機体だけあって指揮官クラスのエースパイロットの搭乗を想定しており、頭部にはブレードアンテナ、背部のスラスターユニットにはレーザー通信用のアンテナユニットを装備していた。


以上のように、ライバル的存在のジム・スナイパーⅡと同様に一年戦争最強のMSの内の一機として陽の目をみたゲルググJではあったが、
開発が終戦間近だったことや既にF型が生産されていたこともあって生産台数は極めて少なく、参加した作戦も少なかった。
結局、原型のゲルググと同様に華々しい活躍の場に恵まれなかった悲劇のMSであったのである。


余談だが、基本色はシャア・アズナブル大佐専用機のような赤いカラーリングである。
MS-07BグフやMS-09ドムの正式採用カラーが試作機に乗ったエースパイロットのパーソナルカラーにあやかって制式カラーとなった例があるので、似たような事情なのかもしれない。


武装

  • 大型ビームマシンガン
本機のメインウェポンとなる長射程・高出力のビーム兵器。
パルス状のビームを連続発射することが可能で、威力はノーマルタイプのビームライフルを上回る。
開発当時としては破格の精度の照準器を採用している為に命中精度が非常に高く、連射と単射の切り換えによってスナイパーライフルとしても機能する。
大型なので取り回しは悪いが、ビーム兵器なので反動が小さく片腕でも十分扱えるので、パイロットの腕で十二分にカバー出来る優れ物。

ゲルググJの専用装備という訳ではなく、通常型のゲルググや高機動型でも使用出来る。


  • 頭部バルカン砲
F型と同様、頭部に備えられた牽制用のバルカン砲。


  • 腕部ビームスポットガン
両腕部に装備されたビーム式の機関砲。
ジム・コマンドの装甲を貫通する威力があるものの、シールドには弾かれる程度。
実はまだ未完成で、F型の110mm機関砲で代用していたという説がある。


  • ビームサーベル
実は設定には格闘装備の記述が無く、装備の有無に関しては諸説ある。
一応、一部の作品では装備している場合もある。


  • ジャイアント・バズ / シュツルム・ファウスト
旧キットのインストなどによれば装備可能。
これらに限らず、ジオン軍製のMS用火器はおおよそ使用可能であると思われる。

シュツルム・ファウストはウィンキー時代の『スーパーロボット大戦』などではよく装備していた。
第3次スーパーロボット大戦では容量の関係上か、「スツルムファウスト」と表記されている。



バリエーション

◆シン・マツナガ専用ゲルググJ
ジオンのエースパイロット“白狼”ことシン・マツナガ大尉の専用機機体色が白になった以外、形状は従来と変わっていない。
『戦略戦術大図鑑』によればシン・マツナガ大尉が連邦軍のソロモン攻略戦間近になって突然本国に召還されたのはこの機体を与える為だったといわれている。(ただし、政治的な事情が絡んでもいたらしい)

詳しい戦果は記録されていないが、ア・バオア・クー攻防戦に参加したとも、終戦直後アクシズに逃げ込んだジオンの残存部隊を追撃した連邦艦隊を壊滅させたとも言われている。

漫画『虹霓のシン・マツナガ』に登場した物はビーム・スポットガンからビームサーベルを発生出来るように改良されている。
また、単行本の表紙ではゲルググMと同じ形のビームサーベルも使用しており、ジオン系にしては珍しくビームの色がピンクである。

◆『SDガンダムMk-Ⅳ ~夢のマロン社宇宙の旅~』版
ノーマルゲルググとも違うザクのようなグリーンカラーで青いモノアイの機体。
いきなり宇宙世紀の世界(?)に現れたガブスレイ号が地球に落っこちるシーンに登場。

この作品の内容から考えるに、設定初期のように出渕デザインの量産型ゲルググだと思われる。


◆ファビアン・フリシュクネヒト機
『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』に登場。
アクシズ内の急進派に属していたファビアン・フリシュクネヒト少尉の搭乗機。
少尉はハマーン暗殺未遂事件の末にアクシズを追放されたが、シャアによって助命された経緯があった為、後にティターンズに襲撃されたクワトロ・バジーナの救援に駆け付けた。
プロペラントタンクが廃された代わりにFS型のシールドを装備している。


リゲルグ(オーラフ・デール機)
雑誌企画『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』及び番外編『機動戦士Ζガンダム外伝 審判のメイス』に登場するネオ・ジオン軍残党のオーラフ・デールのリゲルグはゲルググJがベースとなっている。
外見以外の仕様そのものは通常のリゲルグと変わりないが、ビームライフルの代わりにゲルググJのビームマシンガンをそのまま持っている。


◆タグ軍曹機
U.C.0082年の月で起こった事件を描いたフォトストーリー『機動戦士ガンダム0083 with ファントム・ブレット』に登場。
ザメルの主砲を用いてゲリラ戦を仕掛けるジオン残党「ザメル砲部隊」のタグ軍曹の乗機で、高い狙撃性能を見込まれて測距手(ザクⅡ)からのデータを受け取り装填手と射手を務める。
機体そのものはスパイクシールドを持っているくらいでほぼ原型機そのままだが、カラーリングが渋めのグリーンなのが特徴。



ゲームでの活躍

戦場の絆
○ゲルググJ
コスト240の狙撃型→REV.3からはコスト220or240の支援型機体で仕様上陸戦にも対応出来るようになってる。
連邦のジム・スナイパーⅡのライバル機。
射撃武器はビームマシンガンでマニュアル狙撃タイプとなっている。またセッティングにより武器の特性と射程が異なっていたが
REV.3からはダブル・カートリッジシステムによりセッティングとメイン武器性能の連動ではなく、メイン武器3種類による使い分けの仕様となった。
最大射程でも連邦のジム・スナイパーⅡよりも短く体力が低くなる反面、メイン武器が連射式でダウンを取りやすい点や、サブ武装による自衛力で勝っている。

メイン武器のビーム・マシンガンはAがダブル・カートリッジシステムの対象となり、単発式のビーム・ライフルと1トリガー3連射の狙撃タイプの弾を使い分ける。
Bは1トリガー12連射かつ本機体で最も射程距離が長いタイプの弾で、ダウン値が低く累積ダメージを稼ぐタイプの立ち回りが可能。
Cは単発式でA・Bより射程は短いが、ダウン値の高さとスコープの移動速度に秀でている。

サブ武器はビーム・スポットガンAorB
Aはダウン値が高く6連射
Bはよろけの取りやすい単発(コスト+20)
格闘武器はビーム・サーベル。狙撃型時代は1撃のみだったが、支援型になってからは2撃となった。

ジム・スナイパーⅡと比べて基本的にメイン武装が単発、3連射、全弾発射となるため、用途による使い分けがしやすい。
サブ武装もハンド・グレネイドに比べれば、近接戦闘に向いているかもしれない。


○ゲルググJ(SM)
コスト260の射撃機体
ジム・スナイパーⅡ(シャドウズ)と同様にダブル・カートリッジ・システムが採用され、メイン武装を狙撃仕様の「カートリッジ2」に切り替えることが可能

メイン武装はビーム・マシンガンA・B
カートリッジ1の性能は同じだが、2の性能はAの場合、弾数30発の1トリガー3発発射でダウン値が高め
Bは弾数24発の12発発射で、ダウン値が低めであり、高バランサー機に大ダメージを与えることが可能。Aに比べればリロード速度が速い

サブ武装はビーム・スポットガンA・B
Aは弾数16発の1トリガー4発発射で、ダウン値が高く自衛に向いている
Bは弾数15発の3発発射で、敵をよろけさせやすい。ダウン値は低めなので自衛力は低いが味方のカット等に向いている

格闘武装はビーム・サーベル


ガンダムバトルシリーズ
ビームマシンガンと狙撃ビーム、実体弾のラピッドキャノンを使いこなずオールラウンダーであり、特に機動性は後のジェガン並という設定通り優秀な機体。


Gジェネ
初期から登場し、感覚としては「狙撃ができるゲルググ」くらいでパッとしなかったが、「OW」にて狙撃銃が通常化。これにより射程1~9まで届くようになった。またマツナガ機も登場している。

モノアイガンダムズでは主人公のライバルキャラ、アイン・レヴィの機体。

アインはこの頃シグの部下だったはずだが何故かアインはJなのに、シグはJより性能が劣るゲルググMに搭乗している。


ギレンの野望(シリーズ)
二作目のジオンの系譜からずっと出ている……のだが何故かどのナンバリングでも本機そのもの扱いが悪い

根本的な問題としてどのナンバリングでも宇宙でしか使用できない為活躍できる場面が限られるし、シールドを持たない為火力を活かそうとして隣接すると思わぬ消耗を強いられる。
そして大抵のナンバリングで設定が安定してないビームサーベルを没収される

ジオンの系譜では三機編成扱いで登場し支援攻撃ができるが、如何せんギャン量産化計画を選らんだ場合のギャンキャノンが索敵も火力も優秀な量産型支援機として君臨。
今作にはギャン側には海兵隊仕様がないにもかかわらずゲルググMを捨ててまでギャンキャノンのためにギャンを採用されるため、ゲルググを量産化しないと出てこない本機は出番がなくなりがち。

そして次のジオン独立戦争期ではギャン側に海兵隊仕様と本機のミラー機体といえるギャン・クリーガーが登場。
今作は格闘が特殊で目の前の敵を倒して格闘回数が余っている場合他の生きてる敵機を斬りに行く仕様のため楯を持つ格闘の鬼のクリーガーがめちゃくちゃ強力。
そして生産制限の仕様上でゲルググキャノンとゲルググJはそれぞれ単独10機しか作れないのに対してギャンキャノンは20部隊60機も作れるため格闘も生存性も支援火力もギャン側の方が上という散々な結果に

アクシズの脅威無印ではギャンキャノンが単機編成になったため大幅弱体化したが、今度は本来なら先に開発されるはずのゲルググキャノンに火力も格闘も大幅に劣るという目を疑うような貧弱火力に
そしてクリーガーと違い宇宙でしか動かせずあちらは錯乱幕戦法と相性がいいため使い勝手では劣る。
但し、逆シャア世代まで扱うようになった本作では、EDまで通用する高性能MSであるバウの開発のために何故か本機の開発が必要なため、戦場での出番こそないが取り敢えず作る必要だけはできた。

アクシズの脅威Vでは久々にゲルググとギャンの量産化の選択イベントが復活。そのためゲルググをスルーしてもバウは開発できる。
ゲルググJを開発すればバウの開発レベルは早くなるが、そもそも今作のバウは体感的な使い勝手の良さはそのままでZガンダムやキュベレイと同じぐらいの時期に開発が大幅に前倒しされているため、生存性に優れ錯乱幕戦法と相性のいいギャンを捨てる価値があるかといわれると…。
というか、開発意義が機体そのものではなく後の世代の壊れ性能のバウのためって哀しすぎないか。

新ギレンの野望ではタックルが排除され代わりのサーベルももらえなかったために近接戦闘が全くできず火力がガタ落ち
横でギャンクリーガーが射撃終わったとも得物のビームランスで敵陣をズンバラリンしていく姿を見せつけられたり、射撃で仕留めきれず逆にガンダムに接敵されて切り刻まれたりされると悲しくて涙が出てくる。



プラモデル

0080メディア展開時に旧キットが1/144スケールで発売。

後にHGUCにてキット化。武器は大型ビームマシンガンが付属している。
シリーズとしては古いため、右手首がビームマシンガン専用の武器持ち手しかなく、関節の可動範囲は狭め。
形状も設定画よりやや細い印象。
しかし、必須となるシール類はモノアイ周りくらいで色分けは優秀。

その後プレミアムバンダイでシン・マツナガ専用機も発売。
ビームサーベルと通常の右武器持ち手、左平手が新たに付属するが、ゲルググMのランナーを流用したものであり、サーベルの柄と刃が分割されておらずピンクのクリアパーツが使用されている。
なお、ビームスポットガンに穴は開いているがHGサイズのビームサーベルは径が合わないので刺すことは不可能。
ただし、穴自体はあるのサーベル軸と同じ径のピンバイスで軽くほじれば装着できる、超簡単。





ルビコン作戦に囮として参加したパイロットは追記・修正をお願いします。

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最終更新:2024年02月05日 12:19

*1 ドイツ語で狩人・猟兵を意味する