プロメテウス研究所(SCP Foundation)

登録日: 2017/12/08 Fri 14:57:21
更新日:2022/04/24 Sun 07:40:54
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研究と洞察により、神秘はありふれたものとなります。
いかなる犠牲も必要ではなく、いかなる血も与えられません。
宇宙の扉は私たちに向けて開かれているのです。

私たちと踏み出しましょう。

プロメテウス研究所は、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場する…というより「した」要注意団体 (GOI) である。



概要

財団世界で「アノマリーを世に送り出す」要注意団体なら、それこそ1発限りの出落ちから複数回にわたって登場する団体、はては壮大なストーリーに組み込まれた組織は数知れず。

プロメテウス研究所も、異常なテクノロジーを使って金儲けのためにアノマリーを生産し、その成果を「製品」として送り出すコングロマリット(複合企業)であり、上の文章もぶっちゃけ就活生向けのパンフレットのお言葉にすぎない。

つまり多くと同様に財団やらGOCやらと日夜争ったりしていたのだが、プロメテウス研究所は「報告書が執筆される時代には倒産している」。

しかし発明品は時々見つかったり、一部の子会社や元社員が騒動を起こしたりといったことをしているわけである。



外宇宙の『プロメテウス研究所』

メタ的な話として、プロメテウス研究所は2008年にSCP FoundationはWikidotにサイトを開設された頃のGOCなどと並ぶ最古参GOIのひとつである。
ワンタメ博士やザ・ファクトリーなどと同様の「話の盛り上げ役」で、プロメテウス研究所の役割は「不思議なものを企業として作ってたよ!じゃあなんで特性がわからないんだって?そりゃ倒産して資料が散逸してるからね!HAHAHA!」「既に滅びた企業」、雑に言うなら『出オチ』というわけ。

つまり最近になって産まれたサーキック・カルトゲーマーズ・アゲインスト・ウィードのような練られた設定はなかったのだが、財団や他のGOIの設定が確固としてくると「倒産したとはいえ、なんでそんな団体が存在しえたのか」がテーマになってくるわけである。

そして、それに応えるように「元々他団体や国家相手に異常技術(パラテクノロジー、パラテック)で商売していた株式会社」として「財団やGOCがそもそもプロメテウス研究所の客だった」といった設定が付与されて*1、『なぜか知らないけど本部が大爆発したよ!』というギャグテイスト極まりない倒産理由も、『冷戦後パラテック・バブルが弾けて事業継続が立ちゆかなくなるなかで倒産し、その煽りで様々なトラブルが発生してしまった』といったものに変化していった。

また「なんでパラテックなんかを使えたのか」という疑問の答えとして「エデンの園にいた人たちの生まれ変わりが創始者」といったアンサーが生まれたり、「放浪者の図書館」を営利利用しているとされたり、これと同時に蛇の手歯車仕掛正教から嫌われている団体で、ワンタメとは訴訟に発展しているなどの対外組織関係も出来ていった。




プロメテウス研究所とパラテックの歴史

創立と発展

人類に火を与え、大神の怒りに触れた、プロメテウス。
1892年、その名を冠する組織はラスベガスに本拠を構えた。
SCP-2746(████は死んだ。)の「Agathos」が関与したことは明白であり、他の内戦関与者も参画したものと思われる。

そんなプロメテウス研究所は1998年に倒産するまでの間、アメリカ合衆国政府と機密契約を結び、公的に高品質な電子工学、医学、薬学、自動車、工学、そして「皿洗い機からミサイルまで」という工業製品の調達人としての地位をも築き上げた。何処の三菱財閥だよ。

1939年には既にとんでもなく巨大なパラテックの供給者になっていたプロメテウス研究所は秘密組織ではないが故に一般人を普通に雇用し、多数の企業を抱えるコングロマリットとして存在したのである。

これに対抗してロシア(ソビエト連邦)がGRU"P"部局を作ったが、プロメテウス研究所製品のリバース・エンジニアリングで精一杯だったという。
アメリカでは人がアノマリーを作る。ソビエトロシアでは、アノマリーが人を作る!リバース・エンジニアリングってそういうことじゃねえよって?ごめんなさい許してトマトやめて*2


倒産と混乱

第二次世界大戦と同時期の第七次オカルト大戦、その後の冷戦下でもアメリカ政府から多額の支援を受けていたプロメテウス研究所はMC&D社や画材を探していたAWCY?、他にもマナによる慈善財団、カオス・インサージェンシー、マクスウェリズム教会と提携。さらには財団やGOCもプロメテウス研究所の超お得意様だったのである。いつしかパラテック市場を恣にし、ブラックマーケットにもプロメテウス研究所製品が多数流出。アナハイムじゃねえかとか言わない
この頃にはあまりにプロメテウス研究所はでかくなりすぎて、子会社が潤沢に稼いで独立できるようになっていたり、別の会社は逆に首が回らなくなったりとめんどくさいことになっていた。

そんな団体が国家からテロリストまで何でも客にする………となればどうなるか。


冷戦が終結して米国政府のパラテックへの関心が薄れると、上記のゴタゴタもあって資金難に陥って倒産。
一大供給者がいなくなったことで大混乱に陥ったパラテック市場では、ザ・ファクトリーの粗悪なブツが売れるようになったり、ワンタメ博士印のアノマリーが流通するようになったり、失業したロボット技術者を雇い入れたアンダーソン・ロボティクス社にGOCが業務提携を行ったりした。
歯車仕掛正教は歓声をあげ、逆にマクスウェリズム教会は悲嘆にくれたという。

そんななかで財団とMC&D社だけは速やかに行動した。
財団は元プロメテウス研究所社員を片っ端から雇用し、さらに残存施設、資料を探せる限り接収。こうすれば他社のプロメテウス製アノマリーの流出が減り、パラテック研究に力を注ぐこともできる。
マクスウェリズム教会などの支援で営業を続けている子会社や他団体へ流出した人材の動向も注視しているようだ。

MC&D社はプロメテウス研究所が独占的に握っていた取引ルートを速やかに自分たちで独占。既存企業とのルート含め、ブラックマーケットにおけるありとあらゆるコネクションを掌握する。

また放浪者の図書館に向かった元社員もおり、彼らはかつて反目していた蛇の手のメンバーと上手くやっているようである。
なおマナによる慈善財団は安定した技術を得られなくなり方法の再構築を試みている。頼むからもう諦めてくれ。


SCP-JPカノン『1998年』において

…とまあ、こんな具合に正史では滅んだプロメテウス研究所であるが、世界観によっては生き残ってる場合もある。
その最たるものが日本支部のカノン1998年だろう。

『1998年』の世界では1998年に大規模な事件が発生、ヴェール崩壊…すなわちSCP財団やらGOCやら異常なあれこれやら何やら、つまり隠されていたモノが全部一般社会にバレてしまい、結局超常技術やら何やらが一般社会に浸透していった、という世界観となっている。
この世界でもプロメテウス研究所は潰れかけていたのだが、ヴェール崩壊による社会秩序のさらなる不安定化を防ぐため財団とGOCはプロメテウス研究所を生き残らせるという選択をとった。
結果、事件の事後処理や一般社会への進出により業績のV字回復を成し遂げ、世界に冠たるパラテック企業に上り詰めている。

プロメテウス研究所の関連会社

アルゴ・オートモーティブ

登場作品:SCP-2308
自動車メーカー。旧名プロメテウス・オートモバイル・グループ。
元々はプロメテウス・コングロマリットの一部だったようだが、1998年に同社が崩壊したことに伴い独立。
その後は時間的異常を利用した開発・投資を行い多大な利益を得ていたが、2008年の世界金融危機…いわゆるリーマンショックの影響で大ダメージを食らう。
その上前述の時間的異常のためどうせ売れないにも関わらず2009年モデルの自動車を開発しなくてはならず、それがとどめとなって倒産した。

ネレウス・マリーン・システムズ

登場作品:SCP-1342-JP、Tale『入札説明書2018/09/01』
日本支部発祥のプロメテウス研究所傘下の造船会社。略称NMS社。
登場作品においてはひゅうが型護衛艦をベースとした異世界への渡航が可能な武装艦の建造という荒業をほぼ成し遂げてるあたり、通常の造船という面でも高い技術を持っていたと思われる。
プロメテウス研究所崩壊と同時に同社も壊滅。なんらかのインシデントによるものだったようで、少なくとも同社所有の造船所では犠牲者が出たようだ。
登場作品からはGOC及び艦隊司令部と付き合いがあったことが伺える。


プロメテウス研究所製アノマリー

SCP-148 - The "Telekill" Alloy(『テレキル』合金)

WikidotでSCP Foundationが始動した2008年から存在する古参オブジェクトの一つ。
プラチナとイリジウムをベースにいくつかの金属を混ぜあわせた合金。
ただし中には一部未知の物質が含まれており、そのためなのか、生物に近づけると精神影響を遮断できる。
このため、精神影響をもたらすオブジェクトに対してはテレキル製の装備をつけることで対応するのが日常茶飯事。
シガーロスちゃんクレフ博士が終了しに行った際に手に持っていた剣もテレキル製であり、
これを使ってコンドラキ博士と大立ち回りをしている。

しかしこのオブジェクト、かなり厄介。
長期間にわたってテレキル合金の近くにいると脳味噌がばかになってしまい、
喋れなくなる、理性が失われるなど面倒くさい性質が一気に発生して最後は廃人と化す。
あと、精神影響をもたらすオブジェクトの近くにいると体積は増えないのにどんどん質量が増加する(重くなる)。
上述の性質から、「テレキル合金自体がテレキル合金を重くする」アノマリーであるため、延べ棒は均等に各財団施設に分配されている。

一見すると単なる便利アイテムに見える(実際初期の多くの報告書・Taleではそういうポジションのアノマリー)が、
やはりオブジェクトだけあって相当危険。


SCP-155 - Infinite Speed Computer(速度無限のコンピュータ)

約半径5mの球形時間歪曲フィールドを展開し、理論上無限の速度で計算ができる素晴らしいコンピュータ。
ただしフィールド内では演算で発生した熱と放射が蓄積され、計算終了時に一気に放出されるため、
計算するもの如何では放射線による汚染を引き起こし、辺り一帯を溶解させる。


SCP-1914 - Refurbished Infantry Personnel(再生兵士)

第一次世界大戦中にプロメテウス研究所によってラテックス、鋼棒、自動車用ピストンなどありとあらゆる自動車部品に置き換えられた兵隊さん。
ご出身はイギリスはバーミンガムのようだ。
戦火で手足が千切れたが、その後回収され、何者か(後に財団が彼のパーツの取替手術中にプロメテウス研究所の刻印を発見)によって改造されたという。
この兵隊さんいわく、自分の戦友たちも多数改造されたようだが、成功したのは彼のみであったらしく、
また彼自身も試作品であり完全には身体が機能しない。まあ自動車部品で置き換えられて生き返る時点でなにかおかしいけど。

SCP-2970 - Holy Misplacement(聖なる誤配置)/機動部隊τ-5"サムサラ"

SCP-2970報告書からリンクとして前後に辿れる記事を総合して説明する。
授く主は10世紀頃北アフリカに降臨した神格であり、人類を変革し上昇させることを意図していた。本来霊的な存在であったが、機械をインプラントした体長15メートルの巨人として受肉し、「伝導者」としてムーア人の少年に自らのものと同様の改造を施した。その後彼の信者は現在のスペインにてキリスト教とイスラム教の双方から異端とみなされ攻撃され、伝導者はスペイン北部の洞窟に潜んでいたところをキリスト教の悪魔祓い師により悪魔と思われ封印された。
授く主は「精神」「心」「肉体」の3つに自らを分割し、「心」を伝導者の中に、肉体をスペイン南部の洞窟に隠した。
伝導者はその後救難信号(彼の意図では無いらしく、なぜ発されたのか不明)により財団に発見され、SCP-2970として収容されたが、彼の記憶を調査するための財団の手術により記憶を取り戻した上に「精神」の呼び声を聞き、脱走してスペインに向かった。
授く主の肉体はプロメテウス研究所により発見、研究され、その肉体を元とした不死の兵士を作る「サムサラ計画」がスタートした。プロメテウス研究所の崩壊後、計画は財団に受け継がれ、不死のサイボーグクローン兵士である機動部隊サムサラとして完成した。
「精神」はプロメテウス研究所により抽出され、スペインのグラナダにある研究サイトत-1に囚われた。精神の呼び声によりत-1に向かったSCP-2970と、それを追う機動部隊サムサラにより「精神」「心」「肉体」の三者が再び揃うこととなった。この先の展開はtaleがマルチエンディング形式となっているため分岐している。
なお、「授く主」に傾倒した蛇の手メンバーと信者の子孫により再降臨させる儀式が遂行されたが、SCP-2970の証言によりそれを察知した財団が、機動部隊サムサラを投入した「アズール・ペレグリン作戦」を実施、阻止している。

SCP-2999 - The Black Cat and the White Rabbit(クロネコとシロウサギ)

Pitch Havenに関わるオブジェクト。
PCのOSの形で存在しモニターごと収容されるSCP-2999-Aと、クロネコの骨格にされたヘイワード博士ことSCP-2999-Bで構成される。

SCP-2999-AはPCに入れられることでそのPCを乗っ取って発話できるようになり、
定期的に苦痛を訴えて違うPCに入れて欲しいと懇願する。
SCP-2999-Bは剥製にされた、黒く若いイエネコの知性ある骨格で、プロメテウス研究所によって改造されたヘイワード博士本人。
SCP-2999-Aがサラを騙って自らを騙していたことでショックを受け、人間不信に陥っている。
一応財団には従順だが(元職員としての義理か?)事件のショックでかなり非協力的。

…なお、Pitch Havenを前提に書かれてるせいで、全体のストーリーを把握していないとさっぱり不明。
各シリーズ最終番号の中ではぶっちぎりの難解さを誇る*3


SCP-3263 - Mr. Headgeworth´s School for the Magically Gifted(魔法の才ある者たちのための私立ヘッジワース学園)

プロメテウス研究所の刻印がされた3つの機械の総称。
ひとつは電子レンジの形をした物質転送機で、これにいれたものは特定の座標に送ることができる。
財団は当初これによって送られた封筒の方をSCP-3263に指定していたが現在は封筒はナンバリングから外れている。

ふたつめは中心部にボタンがある小さな金属機器で、ボタンを押すととあるお城の正面入口に転送される。
当初は完全に木製だと思われていたが、後に機械であることが判明した。

そして三番目はその城にあるでかいコンピュータで、電子レンジで送られた封筒をうけとった12人の脳味噌に接続されている。
このコンピュータをシャットダウンする方法は発見されていない。また12人のうち3人は別に死体を発見されている。
コンピュータの画面上には彼らが謎の中年男性に師事して『魔法』を学ぶ様子が確認されているが、
財団いわく既知の異常科学分野において確立された概念とは異なる、『ハリー・ポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』の魔法に近いものらしい。
(つまり正しい魔法じゃない)
生徒たちの外見は永遠に老化しない。

因みに送付される手紙は以下のようなもの。

[受取人の名前]様、

自分が仲間たちとは違っているという事に、あなたは既にお気付きでしょう。あなたは普通の人々が夢見ることしかできない奇妙で素晴らしい能力を持っています。あなたは一人きりではありません。この世界の下には、あなたのような人たちに加えて、あなたの最も奔放な想像さえも越えた生き物と場所で満ちている秘密の世界が存在します。

私はあなたに能力を学び育て、この素敵な世界を自らの身で経験してほしいのです。私は魔法の使い手として、そして一人の人間として、あなたの完全な可能性を引き出したい。すべき事はこの護符の中央にあるスイッチを押すだけ — あなたは魔法によって、魔法の才ある者たちのための私立ヘッジワース学園へ転送されます。校舎は老朽化しているように見えるでしょうが、それは目眩しに過ぎないと保証します。すぐにでもお会いできれば嬉しいです。

敬具、

ミスター・ヘッジワース、魔法の才ある者たちのための私立ヘッジワース学園 学園長

プロメテウス研究所がこんな悪趣味な城とコンピュータを作って何をしたかったのかは不明だが、
使用した人は元GOCのエージェントで、GOCを離反した後蛇の手などのいくつかの要注意団体に関わりを持ったとされる人物であることが
GOCの協力で判明しているため、プロメテウス研究所は単に頼まれて(というか金を積まれて?)作っただけなのかもしれない。


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最終更新:2022年04月24日 07:40

*1 なお旧設定では財団がプロメテウス研究所とは仲が悪かったという設定だった。一部オブジェクトは旧設定時代に書かれたものであるため、描写に齟齬が生じている。

*2 リバース・エンジニアリングとは、機械を分解したり、機械語を人間の読める形に逆コンパイルしたりしてその製品の仕様を調査することであり、機械が人を作ることではありません。

*3 尤も3999はメタながらも単独で読めるオブジェクトであり、999は可愛いくすぐりオバケ、1999はAWCY?の作品であるため、Hub前提オブジェクトである2999が一番難しいというのは当たり前であり、単体に限って言えばヒントが少ない3999の方が難しいかもしれない。