SCP-209-JP

登録日:2016/12/04 (日) 23:58:43
更新日:2024/04/07 Sun 08:13:43
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一時はどうなることかと思ったが、これで安心だ。 - ██博士


SCP-209-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。

オブジェクトクラスは「Safe」。収容方法が確立されているオブジェクトである。
またJPのコードが示す通り日本支部の管轄にある。


◆概要

このオブジェクトはどんなもんなのか?
外観としては、15世紀末頃に作成された全丈235mmのヒノキ製の大日如来像(マハー・ヴァイローチャナ、座禅を組んで印を結んでいる)である。
コイツが何をするのかというと、認識災害を引き起こすのである。*1

影響を受けてしまうと、危機を察知する能力や危機管理能力に欠けるようになり、現状が「安全である」「安心できる」ものであると認識するようになる。それがどんだけ危険なものかは、他のSCPを一つでも知っていればわかるだろう。
幸いと言っていいのか、危機管理能力は教育により再度身につけることが可能であると判明しているものの、直ちに影響を除去する方法はまだわかっていない。


確保された当時は、この効果は目視によるもの=このオブジェクトを視認することで発生すると考えられていた。
ところが、SCP-209-JPを目視しないよう収容してから3カ月後、複数名の職員の危機管理意識の欠如から、日本支部が収容していたオブジェクトの収容違反事案が発生。100人以上もの職員が死亡するという大惨事に発展した。

これを受けての追加調査の結果、なんとコイツは長期間目視されていない場合、自身に近い位置にいる数十人から数百人の人間に効果を及ぼすことが判明した。つまり誰かが見てないと影響が広がるが、見た人は見た人で認識災害に見舞われる。
お前は本家の元祖SCPか。

この調査結果を受け、SCP-209-JPの収容プロトコルは現在のものに改訂されている。
これにより、影響はSCP-209-JPを目視したDクラス職員に限定されるようになり、再収容はなんとか成功。また対象のDクラス職員は「財団の危険性」を認知することが少なくなり、勤務態度が劇的に改善するというおまけつきである。

なので、SCP-209-JPの追加調査および追加実験は現在計画されていない。職員およびオブジェクト自身の安全は十分に確保されているからである。


ちなみに肝心の特別収容プロトコルだが、板厚20mm以上の透明なアクリルケースに入れたうえで反抗的Dクラス職員の居住エリアに設置する、という簡素なものである。


SCPオブジェクトは数多く、Safeと言えども決して安全ではないのは財団では常識である。
どっかのお天道様のように比較的無害なKeterもあれば、収用違反=世界破壊なんて物騒なSafeもある。
しかしそれでも、この仏像に限って言えば、文字どおり「Safe」と言えるだろう。

そういう意味では、逆に珍しいオブジェクトともいえる。


















あれ?










ちょっと待っていただきたい。


冷静に考えてみよう。
コイツの特性と収容プロトコルはなんだっけ?



  • 特性:視認した者(長期間視認されなければ周辺の大人数)から危機意識を奪い安全だと錯覚させる。正確な範囲は不明
  • プロトコル:板厚20mm以上の透明なアクリルケースに入れたうえで反抗的Dクラス職員の居住エリアに設置する。もちろんそこに行けば確認可能


で、その結果影響は使い捨てであるDクラスに限定されている。よって安心であり、コイツに関する実験や研究は一切計画されていない。
ちなみにアクリルとは、強化ガラスの数百倍の衝撃強度、透明度を誇る物質。紫外線に弱い、擦り傷に弱い。
水族館とかにも使用されているものであり、当然ながら透明。


……うん。





全然収容できてないじゃねえか!?





ちょっと考えればわかることだが、コイツの与える影響は明らかな認識災害である。
緋色の鳥のようにそれ自体が究極に危険というレベルではさすがにないが、そのレベルのものがゴロゴロある財団で、例えDクラスと言えど「安全だ、安心だ」と認識して、危機意識がなくなったらどうなるかは明白である。

そんなもんを、目視できる環境で、しかもどっかのサイトの収容室ならまだしも居住区に置くこと自体がどうかしている。

というか、Safe認定はそもそも「現時点において完璧かつ確実で永続的な収容下にあると十分に判断できるか、あるいは故意に活性化させない限りはその異常な影響が発現しない」とされたオブジェクトに与えられるものであり、現状のコイツはまず当てはまらない。

常に影響を発現中、認識災害を発生させる正確な範囲が不明、収容方法が確立していない、そもそも日本支部自体が影響を受けて収容自体が出来ていないことを考えれば、Keterクラスへの分類が適切だろう。


一番問題なのは、コイツが現状日本支部内で実質的に野放しであり、しかもこの状況を危険と判断できる人が誰もいないため、本部へも連絡されず危険性の解明も行われない、ということだろう。
収容違反ってレベルじゃない。
そして、危機意識が欠如し、根拠もなく現状を安全安心と捉えてしまうことが、財団においていかに危険で愚かなことであるかはご承知の通りだ。
事実、コイツの影響によって一度は大規模収容違反が発生している。そして、現状起きていないからと言って二度目が起きない保証はどこにもないのだ。






SCP-209-JP

Safeクラスオブジェクト



どこがSafeだ。


追記・修正はSafeクラス認定を受けてからお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-209-JP - Safeクラスオブジェクト
by dr_toraya
http://ja.scp-wiki.net/scp-209-jp

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最終更新:2024年04月07日 08:13

*1 行動や考え方そのものに影響を与えるわけではないためミーム汚染ではない。混同しがちなので注意