志乃山金成

登録日:2016/06/24 (金) 21:00:00
更新日:2024/02/16 Fri 20:34:43
所要時間:約 7 分で読めます






「ジャック・ヤマシノが、お茶の間をジャック!」
土曜夜7時のバラエティだよぉ。ワカモノに人気の。



志乃山金成(しのやまかねなり)とは、『逆転裁判6』第2話「逆転マジックショー」の登場人物である。


◆概要

ニドミテレビの名物プロデューサーであり、『ジャック・ヤマシノ』或いは『ヤマシノP』として自らテレビにも出演している、
言うなれば『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の菅賢治氏のような人物。年齢は35歳。
彼の企画した番組は彼自身と共に幅広い人気を得ているようで、作中では心音サイバンチョが知っていたほか、
ナユタ検事は彼の番組で紹介されていた行列のできるラーメン屋をわざわざ訪れたことがあるほど。

某ハリウッド俳優のような彫りの深い顔立ちに、良く言えば軽快、悪く言えば軽薄な業界人丸出しの言動が特徴。
普段は乱暴な言葉遣いが目立つが、相手に応じて分かり易く態度を変える。一人称は「ボク」で二人称は「チミ」、口癖は「シクヨロー!」。
ハンディカメラを構えつつカンペを出したり、札束を扇子替わりにして自らの顔を扇ぐなど、モーションもそれらしいものが多い。
その他にも満面の営業スマイルと共に名刺を差し出したり、目をハートマークにして体をくねらせたりと、彼のコミカルなモーションの数々は一見の価値アリ。

服装も、白いハットにサングラス、金のネックレスに金の腕時計、派手なワイシャツの上から真っ赤なセーターを首に巻いて羽織り、
さらにはハーフパンツ+素足に革靴…という一昔前のステレオタイプなプロデューサー像そのままだが、それがかえって新鮮で実によく目立つ。

そんな服装こそ少々時代錯誤感はあるものの、某コーヒー店の物とよく似たタンブラーを持ち歩いていたり、
スマートフォンをフリック入力で使いこなしてSNSで事情聴取の実況をしようとするなど、流行にはかなり敏感な様子。


みぬきのショーを中継するマジック番組のプロデューサーを務めており、事件で番組が潰れて愚痴をこぼしていたところを王泥喜たちと出会う。
しかし、そんな番組を企画する割にはマジシャンという存在についてあまり良く思っていないようで、
「クズみたいなヤツしかいない」「人を騙して金を取ってる」など言いたい放題。王泥喜には内心(お前が言うなよ)とツッコまれていた。
どうやらマジシャンというよりも『或真敷一座』に対する恨みのようなものを持っているようだが…?















以下、ネタバレ注意。















見た目や言動とは裏腹に、その性格は狡猾で陰湿。

詐欺まがいのやり方でみぬきに「放送事故を起こしたら3億円の違約金を支払う」という契約を結ばせており、
殺人事件が起きた時には違約金を盾に『成歩堂なんでも事務所』の差し押さえを強行した。

さらに、王泥喜たちが偶然耳にした菜々野美々との密談では事件への関与を匂わせるだけでなく、
テレビが『第4の権力』であることを自負して「みぬきを有罪よりも酷い目に遭わせる」などの発言もしており、
実際に偏向報道で世間の反感が王泥喜や心音に向かうよう操作するなど、マスコミを使って事務所のメンバーを執拗に攻撃し続けていた。*1


当初は事件が起きた時間帯には犯行現場に居なかったというアリバイによって容疑者から外れていたが、
彼自身が編集して放送したマジックショーの映像に裁判に提出された途端にみぬきが不利な立場になってしまうある細工が施されていたことが判明。
自ら証言台に立って弁明する必要に迫られ、王泥喜たちに反撃のチャンスを与えてしまう。

そして、裁判の休憩時間中に控室で披露した手に持ったハンディカメラを一瞬のうちに消失させるというお遊びから奇術の素養があることを見抜かれると、
それに加えて彼自身の過去を示唆する証拠まで提出されてしまい…?
























いやだなー。言い逃れなんて、するつもりはないよ。必要が無いんだ。
ボクのマジックはタネもシカケも存在しない。本物の・・・・・・・・魔術なんだから。















以下重大なネタバレにつき、ゲーム未プレイの方は注意。

























お望みのものはこれかね?




◆正体

第2話の事件の真犯人。
そしてその正体はなんと、事件の被害者だとされていた元或真敷一座のマジシャン『Mr.メンヨー』その人であり、
2年前に復活して今回のショーに参加していたMr.メンヨーこと伏樹直人(ふしぎ なおひと)は彼が奇術のスキルを仕込んでデビューさせた二代目だった。*2

正体を暴かれると、それまでは飄々としていた態度や雰囲気が怜悧な物に一変。
一瞬でワイシャツの襟を立てると羽織ったセーターをマントのように翻し、口調もかつて同じ一門であった或真敷バランの様な仰々しい物に変貌する。 
そして、コインやカードを用いたクローズアップマジックを披露しつつ、泰然自若とした態度で反論を開始。*3
前述したように、「犯行時には犯行現場にはいなかった」という鉄壁のアリバイを武器に弁護側を完全に黙らせてしまった。

専用BGMは『Mr.メンヨー ~仮面の魔術師』。
彼の豹変と共に流れるこの曲はBGM『或真敷一座』のアレンジであり、そのダークな雰囲気が印象深くファンからの人気も高い。


彼の犯行はドッキリ番組の企画に巧妙に偽装されており、出演者が台本通りに動くと被害者が自動的にトラップにかかって死亡してしまうという恐ろしい物だった。

最終的にはそれも暴かれてしまうものの、事件が起きた直後に犯行現場に忍び込んで全ての証拠を隠滅していたことが幸いして検察側を味方につけることに成功。
勝利宣言までするが、実は美々の犯したとあるミスによって計画に狂いが生じていたため、
証拠隠滅の際にそれに気づいて慌てて軌道修正を図ったことが仇となり、遂に事件の真犯人であると立証された。


自らの弟子を殺害した動機は、マジックショーの共演者であるみぬきにその殺人の罪を着せることで、
彼女が象徴する『或真敷一座』を現在の仲間である『成歩堂なんでも事務所』のメンバーごと社会的に抹殺するためであり、
二代目Mr.メンヨーはその為だけに必要な【被害者役】として利用され殺害されてしまった*4

彼がそこまでして或真敷一座を目の敵にしていた背景は、
「一流のマジシャンとして有名になる」という子供の頃からの夢を抱いて一座へ入門した彼を、
たった一度のミスで右腕に怪我を負った事を理由に、天斎が一座から破門してしまった事に対する逆恨み。

こう書くと如何にも天斎の行為が行き過ぎであるかのように思えるが、実際は「今の未熟な技術では再び彼が怪我を負うと危惧した天斎に舞台を降板して修行に励むように指示されたにもかかわらず、持ち前の傲慢さからそれを拒否して舞台に上がろうとしたことで天斎の堪忍袋の緒が切れた*5」というのが破門に至った本当の経緯であり、
もし仮に怪我が無かったとしてもその性格から結局は破門されていたであろうことは想像に難くなく、犯行の残忍さもあって同情の余地は皆無だと言える。
何なら当時の破門直前に制作されたポスターは彼の右腕負傷後に制作されたと思われる事から勝手に自分を入れたポスターを制作する事で舞台に上がる既成事実を作ろうとした可能性すら考えられる為、
破門の理由として考えても残当としか思えない。



‥‥‥‥‥‥‥フッ。

バカを言ってもらっちゃあ困る。

ワタシのマジックは本物の魔法。
暴くことなど不可能なのだよ。

さあ、今こそお見せしよう!

或真敷を超える真の魔術をッ!

全ての企みが王泥喜によって暴かれても自分のマジックは本物であると豪語し、或真敷よりも優れた真のマジックを披露する事でそれを証明しようとする。
そしてマントに見立てたセーターの内側に優海・バラン・ザック・天斎と一座の面々を模した仮面を次々と出現させ、積年の恨みを晴らすかのように燃やし続ける。

燃えろォッ!

滅びよッ!

或真敷の一族よ‥‥
燃え尽きるがいい‥‥

我が業火のエジキとなるがいい!

このMr.メンヨーが‥‥
引導を渡してくれよう!

そして、或真敷の最後の後継者であるみぬきの仮面を出現させ、それを燃やそうとするのだが…

え‥‥ッ!

みぬきの仮面の代わりに出現したのは、自分を象徴するMr.メンヨーの仮面だった。

ち、違う! これじゃない!

途中から何故かマジックの仕掛けが正常に作動しなくなってしまい、この事に慌てた志乃山はすぐにみぬきの仮面を出現させようとする。
だが最後に出現したのは、自分の本性の暗喩か、はたまた殺された二代目・伏樹が笑いに来たのか、血に塗れたMr.メンヨーの仮面だった。

ひっ!
うわあああああああああ!

この事に驚き動揺した志乃山はマジックを中断し、自分は悪くないと訴えかける。

ワタシは悪くない! 違うんだ!

わ、ワタシは悪くないのだ!
ワタシのせいじゃないぞッ!

わ、ワタシも被害者なんだよ!

するとどこからともなくスポットライトの光が出現し、志乃山を明るく照らし出す。

うわ!

な、なんだ?

うわ!

そのスポットライトの光は一つ、また一つと増えていき、志乃山にこれでもかというほどに浴びせられる。*6

うわあああああああああ!

やめろおおおおおおおおお!

おのれえええええええええ!

あるまじきいいいいいぃぃぃぃぃ!

光を浴び続けた志乃山は立ちくらみを起こし、力なくその場にへたり込んでしまったのだった…。



全てが終わった後は、せめて一矢報いるべくなのか
「或真敷一座の後継者であるみぬきですらダマされたマジックを私は作った。つまり、私は或真敷に勝ったのだ!」という負け惜しみを言いつつ連行されていった。
もっとも、素人の王泥喜にトリックを暴かれた事を棚に上げているうえに、自覚こそないものの王泥喜の素性*7を考えるとなんとも皮肉な結末である。


なお、彼はみぬきを確実に破滅させる為、彼女の養父である成歩堂龍一率いる『成歩堂なんでも事務所』を長期間にわたって監視し続けていた節があり、
成歩堂が真宵を迎えにクライン王国へ向かうために事務所を空けた、その絶妙なタイミングで事件を起こしている。

さらに、特定の人物を社会的に抹殺するためだけに、ターゲットとは何の繋がりもなかった人物を被害者に仕立て上げてから殺害したのも彼が初めてであり、*8
この異常なまでの執念深さは『逆転裁判4』の黒幕だった人物を彷彿とさせるものがある。…ただしその手際には大きな差があるが。

事実、それだけの犯行計画を自ら考案・実行できるだけの思考力と行動力、
契約書やマスコミなどあらゆる手段を使ってターゲットを徹底的に追い詰める容赦の無さ、純粋に自分を慕っている人間を自身の復讐の為だけに殺すという非情さ、
そして上述した事件解決後の反省の色の無さなどを見るに、恐らくシリーズでも最悪クラスの犯人であるが、そのデザインや豹変っぷりと併せて高い人気を誇る。

また、その正体が『4』シナリオで大きく取り扱った或真敷一座に強く関わる人物であり、
一座を離れてからの境遇や "エンターテイナー" としての在り方も見事にみぬきと対極になっていることから、
実質的な『4』の真のラスボスに相応しいキャラとしての呼び声も高い。




◆余談

Mr.メンヨーとしての彼のモチーフはトランプのジョーカーであり、名前の由来はそれぞれ以下の通り。

苗字   → 詐欺師を意味する「山師」のプロデューサーである事から「山師のP」=「ヤマシノP」、それを業界の人間らしく逆から読んで「シノヤマ」。
下の名前 → 将棋のルールの一つであり、にわか金持ちを意味する言葉でもある「成金」を逆さにして「金成」。

また、本性を現す前は普通に両腕を使っているものの、本性を現してからは左手のみでマジックを行っており、
「過去の怪我による後遺症で右手ではマジックに必要な繊細な作業をすることができなくなったのではないか」という推測がプレイヤー間でされている。

Mr.メンヨーの決めポーズである「右手の親指と人差し指で帽子のつばを抓む」仕草をした際、二代目の伏樹は残りの中指・薬指・小指を綺麗に開いているのに対し、
ポスターで確認できる負傷後の初代Mr.メンヨーや現在の志乃山の場合は中指と薬指が歪に曲がっていることからも、この右手に関する推測の信憑性は高い。
何ならブレイクモーションでのミスは右手を使ってみぬきの仮面を出そうとした際に起こっている。

ちなみにみぬきが行った剣のすり替えマジックだが、わざわざヤマシノが編集しているところを見るに、みぬきオリジナルのものだったのだろう。
ということは、このマジックの映像を編集できたヤマシノは、自分ですり替えのタイミングを見破ったことになる。
やはり、マジシャンとしての腕前は相当のものだったのだろう。



「ジャック・ヤマシノがアニヲタwikiをジャック! 追記・修正、シクヨロー!」

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最終更新:2024年02月16日 20:34

*1 裁判でも「応援」と称して大量のサクラを傍聴席にセッティングし、みぬきを罵倒させて精神的に追い詰めるという卑劣な行為に及んでいる。

*2 伏樹は元々初代Mr.メンヨーこと志乃山に憧れて奇術師を志したアマチュアマジシャンであり、テレビの取材でその事を知った志乃山にスカウトされた。

*3 札束で顔を扇いでいた偽りの顔との対比がうかがえる。ちなみに、燃やしているのは或真敷天斎を象徴するスペードのA。

*4 なお、被害者がスカウトされたのは『4』の作中と同時期の2年前。当時の一座は没落状態ではあったが、バランが一座復活のための大がかりなショーを企画し、みぬきも小さなショーを開ける程度に成長しているなど復興の芽が出始めている頃でもあり、それを踏まえると彼のスカウト自体が最初から復讐の駒として使い捨てることだけを目的としていた可能性がある。

*5 何ならその数十年後である事件中や裁判中の動きを考えると怪我の重さが「現代まで長引く程の後遺症が残る程の大怪我」とも考えられる為、怪我前よりもマジックの洗練度と言う意味で大きく落ちかねない=さらに怪我を負いやすい状態でショーをやらせるのは、と考えて修行に回したのは普通に師匠として真っ当な行動である

*6 表向きの顔がテレビ局のプロデューサーであったことや、言い訳の文言から推測するに、モチーフは恐らく記者に囲まれてのフラッシュ攻めだと思われる。

*7 みぬきの異父兄である彼にも、当然或真敷一座の血が流れている。

*8 殺人教唆まで含めると『逆転裁判2』に登場した綾里キミ子という前例があるが、直接被害者を手にかけたのは彼が初。