幻獣拳(獣拳戦隊ゲキレンジャー)

登録日:2016/05/26 Thu 11:29:00
更新日:2023/03/18 Sat 19:03:34
所要時間:約 12 分で読めます





スーパー戦隊シリーズ31作目『獣拳戦隊ゲキレンジャー』に登場する流派の一つである。

激獣拳や臨獣拳を超える「極みの拳」とされる獣拳で、物語中盤から登場。
三拳魔が滅び壊滅した臨獣殿に代わり、ゲキレンジャー達と相対した。


【概要】

臨獣拳を極めた者の内、獣の力を超えた者の中で、この世に13体存在する神秘と幽幻の獣「幻獣」を手本に学んだ拳士達により構成される13の流派の総称。
幻獣拳の基本は幻気(げんき)と呼ばれる金色のオーラのような気を扱うことにある。

組織体系としては、幻獣拳の頂点である「幻獣王」を筆頭とし、
幻獣王を守護する幹部陣四幻将(しげんしょう)
そしてその四幻将直属の配下として幻獣王を補佐する2人の幻獣拳士双幻士(そうげんし)が仕えている。


幻獣拳士は臨獣拳を極めて獣の力を超えた状態に至った者のみがなれるとされ、ロンを通して幻気と対象者の臨気を融合させる「血盟の儀式」が必要。
ロンは儀式を執り行う祭祀としての役を担っており、彼のゲンギ「転臨幻納」が要となるためにロンにしか行えない。
またリンリンシーのようにゲンギ幻身豪天変(げんしんごうてんへん)で肉体を巨大化させる事が可能。

臨獣拳士同様、それぞれが手本とした幻獣の姿を模した獣人形態を持ち、その胸部にはモデルとなった幻獣の頭部が存在する。
ただし幻獣拳を学んだ者は「未来永劫無間道に堕ち、輪廻の苦しみを背負う」とされる。つまり何回生まれ変わろうと永遠に幻獣拳士として生きなければならないということ。


【幻獣王】


強きこと、猛きこと、世界において無双の者…幻獣王リオ


ロンの勧めにより、幻獣拳へと鞍替えした理央が変化した新たなる姿。
幻獣グリフォンを手本とし、臨獣ライオン拳を超越した王のみが習得できる「幻獣グリフォン拳」を会得した。
この拳法を会得した者は、ライオン拳の臨技をさらに強力なものへと昇華できるという。
なお「デザインの肩の形状が空の拳魔カタと似通っている」とプロデューサーに指摘された際、
デザイナーの篠原氏は意識していなかったが指摘を受けて「理央にとってカタは大事な師匠だったから」という理由を後付けしている。


【幻獣拳四幻将】

幻獣拳を実質的に取り纏める4人の幹部。
いわゆる四天王ポジション。

面白くなってきましたね……臨獣殿が

飄々とした態度で臨獣殿を暗躍していた謎の男・ロンの正体。
「調整者」の役割を担う「幻獣ドラゴン拳」の使い手。
四幻将のリーダー格であり、幻獣拳を会得せんとする者は、まず彼と「血盟の儀式」を執り行わなければならない。
幻気で作り出した弓矢を用いる他、強烈な雷を発生させる事ができる。
高い戦闘力を持つ以外に、誰にでも変化けられる能力もあり、諜報や攪乱といった策謀も可能な搦め手も操れる万能キャラ。
反面正体を現しても飄々とした態度や掴み所の無さは崩れず、「ドラゴン拳」がどのような拳法なのかは曖昧なままであったが、その正体は…

詳細は個別項目にて。

モチーフは青龍と十二支の「辰」。
名前の由来は、中国における「龍」の読み方をそのまま名前としたもの。


コイツらはしょせん遊びの相手 既に悲鳴と絶望は十分ヨ~

身長:223cm(幻身豪天変時:60.2m)
体重:116kg(幻身豪天変時:31.3t㎏)

全身を鎧で覆った重厚で厳つい巨漢。
幻獣バジリスクを手本とし、周囲の重力を支配して自身や他者の重さと軽さを自在に操る「幻獣バジリスク拳」の使い手。
鈍重そうな外見に反し、自身のゲンギにより俊敏な動きも可能とするトリッキーな技巧派。
また自らを「不死身」と称し、その自称に違わぬ頑強な肉体を兼ね備えている。


見た目と裏腹に、「~ヨ」という間の抜けた語尾ののんびりとした性格。
ロンと常に行動を共にしているロンの相方のような立ち位置だが非常に口が軽く、口の軽さ故に余計なことを言いそうになるとロンから度々叱責されてはそれを誤魔化しているうちに「ゲホゲホ」という妙な咳払いが癖になってしまった。

臨獣殿での最終決戦ではゲキレンジャー達を得意の重力操作で苦しめるも、メレのリンギ・無効消波により幻気を封じられたことで力を奪われてしまう。
動けなくなったところをゲキレンジャー達の一斉攻撃を受け爆散するが……。

モチーフは玄武と十二支の「巳」。
名前の由来は、中国の地理書『山海経』に出てくる、現れた国に恐慌を齎すという有翼の蛇の怪物「酸與」。


理央様の愛のために、更なる強さを纏ったラブ・ウォリアー!幻獣フェニックス拳、メレ!

「幻獣拳が理央様のためになるなら!」と即断即決で儀式を行ったメレが得た新たな姿。
幻獣フェニックスを手本とし、炎を我が物として意のままに操り全てを焼き払う「幻獣フェニックス拳」の使い手。
この他に、カメレオン拳のリンギも使用可能。


モチーフは朱雀と十二支の「酉」。


  • 幻獣キメラ拳 スウグ(声:なし)

身長:215cm(幻身豪天変時:59.0m)
体重:103kg(幻身豪天変時:27.8㎏)

普段は棺に入り、棺を出ても寡黙どころか発声やコミュニケーションの一つさえ行わず沈黙し続ける不気味な四幻将の一角。
幻獣キメラを手本とし、幻気を使って「肉体のある部分は固く、ある部分は柔らかく」といった矛盾した肉体を作り出すことで、現存する全ての獣拳を模倣できる「幻獣キメラ拳」の使い手。
ただしその強さは技の使い手により著しく左右されるという。

幻獣王の命令のみに従うとされ、自身を従える主がいないことで制御不能の暴走状態に陥って見境なく暴れ回ることもある。
ロン曰く「心が無い」とのこと。喋らないため、名乗りなどの意志疎通は全てロンが代行して行っているが、配下の双幻士からは完全にナメられている。
その正体は理央が唯一勝てなかった激獣拳使い「白虎の男」ことダン。
このダンという男は本作の主人公・漢堂ジャンの父親であり、父親が敵の幹部というお約束の展開をかなりシリアスな路線で持ってきたと言える。

ロンに暗殺されたダンの遺体は丁重に埋葬されたが、ロンは墓からゲンギを使って激気魂を集め、凝縮させてスウグを生みだした
つまりキョンシーのようなもので、言葉を話さないのも自我を持たない激気魂の塊であるが故。
だが意思が完全に無い訳ではなく、臨獣殿から離れた山中で草笛を吹く、息子との戦いの直後に見せた仕草など僅かだが自立行動する場面も。

終盤、息子であるジャンとの一騎打ちの果てに、「抱きしめてくれ」と懇願するジャンの言葉に思わず手を止めるも、ジャンを狙ったロンの攻撃から彼を庇い致命傷を負う。
そして最後に息子をぎこちなく抱きしめた後構えを解き、「トド…メ…を……刺せ……」という意思を示す。
そしてジャンは涙ながらにスーパーゲキクローの一撃をもって応え、スウグは光となって消滅した。

名前の由来は、『山海経』や『周礼』などの複数の中国の古典に登場する白い虎のような幻獣「騶虞」。四神の白虎とは別の存在で、「騎獣(乗り物となる獣)」に分類される。
モチーフは白虎と十二支の「寅」。



【双幻士】

◇ロン配下

ロンにより見出された双幻士達……なのだが、実態は双幻士一のイロモノチーム。
二人とも「気を自在に操る」という技を持ち、互いに他人との接触を拒んで洞窟に長く引き籠った経歴を持つ。
重くなりがちだった終盤のストーリーのある種清涼剤になったかもしれない。


  • 幻獣カプリコーン拳 ドロウ(声:稲田徹
ハッ、来た!
ミーことドロウの『脳内ハードディスクがギガント回転し始めた!』という……現実!

好きな場所:洞窟の奥
好きな食べ物:瓢箪
好きな言葉:羊の皮を被った狼

幻獣カプリコーンを手本とし、「捻り」の動きで様々な気の流れを変質させ悪用する「幻獣カプリコーン拳」の使い手。
コンピューター言語などを混ぜた奇怪で意味不明な話癖が特徴の引き籠り1号。
彼と真っ当なコミュニケーションが可能なのは相方のソジョだけで、それも傍から見たら意味不明を通り越して狂人にしか見えない。
そんなコミュニケーションの光景は、初めて見たメレが「ただの変人コンビ?」と疑問を呈するレベル。しかし実力自体は本物。
なおゲキレンジャーとの決戦時には「貴様らまとめてデリートしてやる!!」と見覚えのあるポーズと共にどこかで聞いた事あるような台詞を聞いた事あるような声で叫んだ。


モチーフは十二支の「羊」。
名前の由来は、中国の地理書『山海経』に出てくる四本角を持つ人食いの怪物「土螻」。


出陣、出陣だよ~!

好きな場所:洞窟の奥
好きな食べ物:瓢箪
好きな言葉:窮鼠猫を噛む

幻獣アーヴァンクを手本とし、体内に溜め込んだ様々な気の流れを淀ませて悪用する「幻獣アーヴァンク拳」の使い手。
相方とは逆に、単語だけで意思疎通をしようとする話癖が特徴の引き籠り2号。
彼のコミュニケーションはドロウ以外の者には理解困難に等しい。


モチーフは十二支の「子」。
名前の由来は、中国の地理書『山海経』に出てくる現れた国に戦乱を巻き起こすという不吉な白い鼠のような怪物「狙如」。



◇サンヨ配下

サンヨ配下の双幻士達。
共通点は、サンヨと同じく悪癖の影響で言動に難があるということ。

  • 幻獣ケイトス拳 ゴウユ(声:喜山茂雄)
コレ、幻気。幻獣拳使い表す、特別な物……

好きな場所:静かな所
好きな食べ物:音
好きな言葉:音を仇で返す

幻獣ケイトスを手本とし、音を自在に操り微細な超音波の超振動を武器とする「幻獣ケイトス拳」の使い手。
遠距離から一方的に相手を打ち倒せる技の性質からあまり敵と会話する必要がなかったため、
いつの間にか必要最小限の単語のみで会話を済ませる癖がついてしまった寡黙な拳士。
大音量の音を撒き散らす拳法の使い手だが、好きな場所は「静かな場所」という変わり種。でも好物は音。


モチーフは十二支の「亥」。
名前の由来は、中国の地理書『山海経』に出てくる、黄色い体に赤い尾を持つ人面の猪のような人食いの怪物「合窳」。
この獣が現われると天下が洪水に見舞われるとされる。


  • 幻獣ミノタウロス拳 シユウ(声:真殿光昭
人間共よ、愉しい悪夢を見せてやるでごじゃる

好きな場所:鏡の世界
好きな食べ物:光
好きな言葉:人の振り見て我が振り直せ

幻獣ミノタウロスを手本とし、鏡の中に構築した異空間に相手を引き込んで翻弄する「幻獣ミノタウロス拳」の使い手。
幻気で生み出した分身と人間を鏡の中で入れ替え、分身を入れ変えた相手に擬態させる技を持つ。
他人に真似されることを嫌い、口調を変えまくった結果ごじゃる口調になってしまった拳士。


モチーフは十二支の「丑」。
名前の由来は、中国神話や中国の地理書『山海経』に出てくる邪神「蚩尤」。
金属でできた牛のような頭を持つ魔人で、戦争を好み、全ての武器を発明した邪神だという。


◇メレ配下

メレ配下の双幻士達。執事とメイドといった感じでメレに付き従う。
共通項は性格の二面性が非常に強いこと。

ココにいる子供たちは皆、私の事が大好きなんです。
だから、帰りたくないってワケでして

好きな場所:ユニコーン城
好きな食べ物:親子の悲鳴
好きな言葉:馬の耳に念仏

幻獣ユニコーンを手本とし、人間の額に角を生やさせて自らの傀儡としてしまう「幻獣ユニコーン拳」の使い手。
馬を彷彿とさせる蹴り技や、両手から生やした剣も武器。
非常に卑劣な能力に反して普段は執事のように丁寧で紳士的な語り口をする癖がある。
一見騎士っぽい外見だが、癖のせいで慇懃無礼な卑劣漢と化している。


モチーフは十二支の「午」。
名前の由来は、中国の地理書『山海経』に出てくる、虎の牙と爪を持つ一角馬の怪物「駮」。


  • 幻獣ピクシー拳 ヒソ(声:潘恵子)
行ってらっしゃいませメレお嬢様

好きな場所:人の周り
好きな食べ物:丸い物
好きな言葉:刃は切れるが重宝

幻獣ピクシーを手本とし、無数の鋭い刃物と流麗な円舞を組み合わせて舞うように敵を切り刻む「幻獣ピクシー拳」の使い手。
敵味方関係なく、常に円の動きで相手の周囲を包囲して行動していたが、行動しすぎたせいで
目上の者(味方)の周りで全てを丁寧に世話するようになり、甲斐甲斐しくメイドのように振る舞う癖がついてしまった。
双幻士の紅一点で、上司であるメレの事を「お嬢様」と呼び彼女に仕える。


モチーフは十二支の「卯」。
名前の由来は、中国の地理書『山海経』に出てくる、兎の体に鼠の頭を持ち、背中の羽根で空を飛ぶ怪物「飛鼠」。
中国ではムササビや蝙蝠のことを指す名前でもある。



◇スウグ配下

スウグ配下の双幻士達。
コミュニケーション能力絶無なスウグと対照的に自己主張が強いのが特徴。
両者共に仲が悪く、「犬猿の仲」の諺のように、顔を合わせる度に取っ組み合いの喧嘩をしている。
また実質ロンの操り人形であるスウグの存在は両者共露骨に見下している。

  • 幻獣ハヌマーン拳 シュエン(声:柴本浩行)
野郎共、町中でイタズラだ!
人間共に、悲鳴と絶望のクリスマスプレゼントをくれてやれ!

好きな場所:賑やかな所
好きな食べ物:何でも食べる
好きな言葉:猿は人間に毛が三本足らぬ

幻獣ハヌマーンを手本とし、大量の分身を生み出し操っての集団戦法を得意とする「幻獣ハヌマーン拳」の使い手。
分身にはみな微妙に異なる性格や個性を持たせることができ、相手をより翻弄させることが可能。
しかし分身が精巧すぎる反面、自分が分身なのか本体なのかこんがらがってしまう癖がある。
非常に不真面目で、終始ふざけた態度を取るノリが軽く悪戯好きな性格。


モチーフは十二支の「申」。
名前の由来は、中国に出てくる兵乱を齎す猿の怪物「朱厭」。現れた国は戦争に見舞われるとされる。


  • 幻獣ケルベロス拳 コウ(声:安井邦彦)
ハッ!お前等を採点するなら、テクニックゼロ!パワーゼロ!
みっともなさだけMAXだぜ!!

好きな場所:地獄
好きな食べ物:骨
好きな言葉:犬になるなら大家の犬になれ

幻獣ケルベロスを手本とし、幻気で出来た首輪を自在に操り、首輪を相手に嵌めさせることで苦痛を与え苛む「幻獣ケルベロス拳」の使い手。
五毒拳のリーダー「ブラコ」の弟なのだが兄弟仲は悪く、仇討を望むとか死を悼む等といった肉親に対する情は皆無。
「自身が四幻将の座に就く」ことを目論むプライドの高い野心家で、上司であるスウグを「木偶の坊」呼ばわりしたり、戦う相手を「踏み台」と称し露骨に見下した態度を取る等態度は悪い。
一方で真面目な一面もあり、基本不真面目なシュエンとは反りが合わず死ぬほど険悪な仲。


モチーフは十二支の「戌」。また兄弟故か所々ブラコに似た意匠のデザインを持つ。
名前の由来は、中国の地理書『山海経』に出てくる豹や牛の要素を併せ持つ犬のような怪物「狡」。
現れた国に吉兆を齎すとされる。
他がロクでもないのにこいつだけいいヤツである。



【余談】

裏モチーフは「十二支の獣」で、四幻将の場合はそれに+αとして「四神の獣」が加わる。
名前の由来は、中国の地理書『山海経』に登場する中国における伝説の怪物。「山海経」とか子供どころか大半の大人でもわからんぞという言葉は禁句。
またデザイン自体も金を基調とした豪奢なもので統一されている。



追記・修正は幻獣を手本に学んだ方がお願いします。

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最終更新:2023年03月18日 19:03