サンリオタイムネット

登録日:2011/03/16(水) 23:08:31
更新日:2023/10/14 Sat 16:37:00
所要時間:約 6 分で読めます





『サンリオタイムネット』とは1998年に発売されたゲームボーイカラー(※全GB対応)用ソフトである。


サンリオのキャラクター達を交えつつ、「ときのかけら」と呼ばれるモンスターを捕まえバトルしていくRPG
「2バージョン同時発売」「モンスターによっては進化する」「通信交換や対戦が売り」と、この時期よくあったメダロットロボポンのようなポケ○ンフォロワーゲーの一つ。
ちなみに発売元はメダロットのイマジニア。

でも、
  • 最初に貰えるモンスターを3匹の中から選んだり、
  • 通信交換や特定アイテムで進化するモンスターがいたり、
  • モンスターが全部で161
というのはちょっと意識しすぎじゃないか?

しかし、BGMは良曲ぞろいで、遭遇した敵の属性、戦局や遭遇済みか否かでSEやBGMが変わるというアイデアが光る。
というか本作から10年以上後の○°ケモンBWですらここまで凝っていない。この点は間違いなく評価できるだろう。
特にラスボス戦の評価は非常に高い。 クソゲーには良曲が多い法則とか言うな


ストーリー

ある日、タイムネットという世界にある「ときのはしら」が何者かに壊されてしまい、世界が過去と未来の2つに分かれ『現在』が失われてしまった。
主人公は「ときのはしら」を修復するため過去世界と未来世界を冒険し「ときのかけら」を集めることになる。



システム

モンスターを捕獲するには、相手を弱らせて「ゲットカード」か「デジカメ」というアイテムを使う。
ただし「ゲットカード」はレベル10までのモンスターしか捕まえることができず使い捨て。
これに対しデジカメはレベル制限も回数制限も無し。
よってデジカメ入手後はゲットカードの存在意義がなくなる。

NPC(トレーナーと呼ばれる)戦で勝利した場合、相手の手持ちのモンスターを1体貰える。
この方法でしか入手できないモンスターもいるが、作中そのことについて説明は無い。

手持ちは6匹まで。それ以外はパソコンに預けることになる。
ポケモ○と違ってパソコンに預けているモンスターにも経験値が入るのは便利っちゃ便利なのだが、おかげで知らない間に勝手に進化してたりすることも。
また、中盤あるアイテムを手に入れることによってマップ上でも手持ちを入れ替えることが可能となる。

どんなモンスターにも付け替え可能な「スキルパック」と「パワーマーク」というアイテムがある。
スキルパックは技を追加でき、パワーマークは耐性を付加できる。


難点?

  • 不親切な終盤
最終マップに進むにはモンスターを161体捕まえ「ときのはしら」を完成させる必要がある。
……のだが、「161種類」ではなく「161」集めることで修復するというのがミソ。
つまり本来ならどんな奴でもいいからひたすら捕まえれば完成するのだが、総モンスター数が161種のためかなり紛らわしく、ここで詰んだと勘違いするプレーヤーが続出した。
しかも当初の予定では「161種類」にするつもりだったらしい。*1
この案が通っていたら、ラスボス戦にすらまともにたどり着けず、実質クリア不可のゲームになっていたことは想像に難くない。

  • マップ全域が危険地帯
RPGとしては非常に珍しく、街の中でもモンスターと普通にエンカウントする。
マップそのものもやたら広く、消耗に拍車をかける。
また、スタート地点のすぐそばにレベルの高いモンスターが出現するエリアが存在する初見殺し的な配置も。
ついでにこのエリアの名前、過去編だと「地下洞窟」である。
どう考えても強敵が出るエリアとは予想がつかないだろう。*2


  • 効果がよくわからなかったり、凶悪だったりする状態異常
「麻痺」や「眠り」などよくある状態異常だけでなく、「爆笑」「無我夢中」といった、ぱっと見では効果がよくわからないものも。
特に凶悪なのが「貧血」で、要は戦闘不能と同じである
このため、追加効果で貧血にする「ライトビーム」などの攻撃技が壊れ技と化している。

  • アイテムのネーミングセンス
特に状態異常回復アイテムの名前が壊れている。ついでにカタカナで見にくい。
眠り回復は「オキロー」、麻痺回復は「ウゴケー」、無我夢中は「レイセイニナレー」……。
まだ「まひなおし」とかの方が直感的で視認性もいいだろう。

  • 技にも経験値が設定されている
ポ○モンでも特定のレベルに達した時に新技を覚えるが、本作では技にもレベルが設定されており、技経験値がたまると覚える仕組み。
技を多く使うほどたまるのだが、これのせいで進化前で強力な技を覚えさせたい場合、進化レベルに達するまでに必死に技経験値を稼ぐハメになり、レベル上げが二重苦に。
一応「パワーかいほう」*3や「れんきんじゅつ」 *4など補助系のスキルパックがあれば稼ぎやすくなるが……。
前者は早い段階で入手できる上に効率がいいこと、後者はいざという時の金策に使える点で差別化されている。

  • 明らかに進化系にしか見えないのに無関係なモンスターが多数存在する
殆どがゲーム内のイベント関係。
特にレクスウォーカーの入手条件は鬼畜。


  • ノーヒント謎解き
とあるシナリオ進行に関わる重要アイテムは質問が相次いだらしく、当時の公式サイトで入手方法が載せられた。
もっともメイン層である小学生が自力で公式サイトまでたどり着けたかは大きな疑問が残る。
本作のリリースは一応win98登場後ではあるが、ネット(というかパソコン)が低学年まで広まっていたとは言えない時期だった。

  • 鬼畜すぎるラスボス戦
直前に戦うライバルはレベル40代前半なのに、ラスボスは堂々の99
それだけならまだ良かったのだが、3ターン(初回は4)ごとにしもべのモンスターと交代し、しもべを一撃で倒せないと回復してくる
もちろん、こんな戦法を取ってくる敵はラスボスのみである。
そしてやっとの思いで倒しても、まさかの連戦……心を折られたプレイヤーも少なくないだろう。
一応レベル表示はあくまで演出で、最初にもらったモンスターをレベル60くらいにしてれば倒せる調整にはなっているのだが……。
そんな鬼畜ラスボスの詳細はこちらの項目で(ネタバレ注意)。

  • ミュ○ポジションの所謂『幻のモンスター』が4体も存在する
そのため161種類全て集めるのは至難の業。
配布イベントも4回しかない上多くが抽選だったため、おそらく 正規手段でコンプできた人はほぼゼロに近い と思われる。*5
いくらなんでもこの知名度でこの数はあまりにも無謀すぎる
特にパッケージに堂々と載ってるタイムサーファーが手に入らないのは痛い。
しかも全種コンプしないと、図鑑完成と見なされない*6
ポケ○ンの場合、配信限定以外をコンプで図鑑完成と見なされるのだが……。


  • 属性相性が露骨に似ていて、かつ分かりづらい
「ひかり」「ほのお」「みず」「つち」「かぜ」「れい」「アイス」「エレキ」「ESP」……はまだいいとして、「レーザー」「ヒート」「ボム」「マシン」といったかなり特殊な属性も存在する。カービィか何かか?

また、「マシン属性*7がひかり属性にこうかばつぐん」「ボム属性がかぜ属性を半減」など、イメージじゃ分かりにくい相性も。
「ほのお」と「ヒート」*8、「ひかり」と「レーザー」もぱっと見では少々紛らわしい。

  • ミドルネームシステム
今作に付けられるモンスターのニックネームはミドルネームである。
ミドルネームは語尾に付き、例えばスノーダルマンに「ゆきのキング」と付けると「スノーダルマン・ゆきのキング」となる。
つまり元の種族の名前を変える事は意地でも出来ない
「さいこ・キネシス」「Ms.ターマリー」「ホイ・チン」といった・付き名称のモンスターも少なくないのに…。
腹いせに「ホイ・チン」に「コ」とでも名付けてやるか。

  • モンスターのデザイン
イーピーやバサディアン、ドルフィ*9など良デザインも多いが、それ以上に色々な意味でインパクトに残るモンスターが多い。
ここではその一部を紹介しよう。

ウンチンボーヤ

あまりにも直球すぎる名前と姿で、このゲームを語る上で外せないと言っていいモンスター。糞ゲーたる所以。
ネタモンスターならギリ許されるかもしれないが、なんとこいつは過去編で最初にもらえる、ポケモ○で言う御三家ポジションなのである。
さらに戦闘に出した時のセリフは「……ぷりぷりぷり ぷーっ!」
進化するとウンチンライダー (ウンチンボーヤがゴーグルつけておまるに乗っている)
最終形態がウンチンセンム (ウンチンボーヤがスーツ着て葉巻を吸っている)
……というコロコロコミックに出てきそうな変身を遂げる。

とまあこんななりだが、漫画版では主人公の仲間の中で唯一進化を果たした上に「寡黙で実力を秘めた仕事人」という渋いキャラ付けがされておりちょっと優遇気味。

オスパリアン

「いくリアン!」
なんかエイリアンのような外見だが、実はこれ、未来編の御三家イーピーの最終進化系。
第二進化のオスパルまでの有袋類風の愛らしい外観から一転、ヒョロリとまさかの宇宙人化である。
イーピーは当時の人気投票で1位になった人気モンスターだけに、この無情な変貌にショックを受けた人も多かったとか。
しかし屈指の強力さを持つ連続技「カオスストライク」を習得するため、通常戦からラスボス戦まで活躍できる。*10

チコット

金銀』から登場したネイティ似ているとよく言われるモンスター。
もっとも初出はこちらのほうが先である。
属性が「レーザー」(あちらはエスパー)、緑色で丸い鳥型という点で取りざたされるが、比較的よくあるデザインであり、殆ど偶然のようなものだろう。
むしろチルットに近いかもしれない。

ガンタク

化粧の落とし後を魚拓になぞらえて「顔拓」としたセンスは面白いが、こんなのがヒラヒラ飛んでる所に遭遇したらと考えると……一反木綿かよ。
ちなみに、ラストダンジョンの火星基地のてっぺんにこいつが描かれている。
(張り付いている?)


後年、ハンギョドンやバッドばつ丸の生みの親である井上・ヒサト氏によって、既存キャラクター以外の全てのモンスターがデザインされていたという衝撃の事実が明かされた。*11
ちなみにガンタクはラスボスの顔を連想してデザインしたという。*12


登場人物

  • 主人公
男女を選択可能。選ばなかった方はライバルとなる。
ちなみにどちらも一人称は「わたし」

  • 時の老人
主人公にタイムネットを救ってほしいという内容のEメールを送った爺さん。
物語中でも度々登場して助言を残していくが、ことごとく曖昧でいまいち役に立たない
割と序盤の方に実家が建っており、押しかけるとモンスターのミドルネームを自由に変えられる。

  • ハローキティ
ご存知サンリオキャラクター。
ショップや休憩所の市場を独占しており、受付担当。

  • ザッキー
タイムネットを破壊しようとする謎の人物。明太子唇が目と繋がっており、かなり凄い顔をしている
帽子がキティっぽいのでキティラーだと思われるが、こっちが本体らしい。

他サンリオキャラクター多数。
一部のキャラ設定に大幅な変更がある他、ハンギョドンだけ何故かイベントで戦うモンスター扱い
しかもヒーロー衣装のグレートハンギョ、機械化したハンギョドンロボと妙な進化を2回もする。


漫画版

小学五年生小学六年生において『冒険時空タイムネット』というタイトルで漫画が連載された。
原作は本作シナリオを手がけた山田桜丸、作画は征矢浩志。山田桜丸はのちの直木賞作家・桜庭一樹氏である。

大人の事情でサンリオキャラクターは登場しない。
じゃあなんでメディアミックスした……と言いたいが版権周りが非常に面倒なので仕方ないのかもしれない。
実際、様々な年代のサンリオキャラが登場する他の企画を見ると版権表示がすごい事になっているのが見られる。
妙にエロいし、下半身がもげるなどグロ描写も多く、読者に衝撃を与えた。ボンボンでやれとか言わない
現在ではプレミアがついているらしく、2万円以上の値段で販売されていたとの報告もあるほど。
さらに99年春の東京ゲームショウでは第0巻が配布されている。普通の単行本でさえプレミアがついていることを考えると、そのレアさは計りしれない。



桜庭氏以外にも、のちにとあるvtuber事務所の生みの親となる谷郷元昭氏がディレクターとして参加している。*13


ちなみに...

かつて、当時のスタッフが貴重な開発時の裏話を語ったブログがあった。
詳細は ココ
「ポ●モンのパクリのクソゲー」というもっともな意見

はっきり言って、ひどいゲームなんだけどね。

(ウンチンボーヤについて)「サンリオの某大御所デザイナーさんがデザインしたから」という理由でこれを拒否すらできないなんて……。
この業界に夢を持って入ってきて、少しでも楽しくて素敵なゲームにしようと意気込んでいた駆け出しプランナーにとってはあまりにも精神的苦痛でした……。

初期モンスターが排泄物になってしまった時点で、作ってる方も萎えるよなぁ……。



追記・修正は161 のかけらを集めてからお願いします。


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最終更新:2023年10月14日 16:37

*1 https://twitter.com/kazamaturi_siki/status/1713014744347795737

*2 なお、未来編では「ウラニューム鉱山」にあたる。過去編よりはいくらか警戒しやすい名前である。

*3 攻撃を受けると攻撃力大幅アップ

*4 敵をお金に変える技。捕獲と同じ処理をしているため、成功した場合技経験値が入らないことに注意

*5 スターダストに関しては、ソフトに同封された参加証を持って99年次世代ワールドホビーフェアに行けば誰でも入手できた

*6 有志の解析によると、コンプした状態で時の老人に図鑑を見せると、ポケットプリンタ対応の認定書画像が表示されるらしい。

*7 余談だが、マシン属性の攻撃技はわずか2種類の上にスキルパックにもないばかりか、タイプ一致で使えるモンスターも3種類しかいない冷遇ぶりである。おまけに最強技の「はどうほう」は溜め技という使いづらさ。

*8 名前の通り「熱」属性であり、冷やされるだけで溶かせないせいか「アイス」に弱い。「ほのお」が「アイス」に強い事を考えるとまだ飲み込みやすい……か?

*9 当時の人気投票で御三家や幻、看板ポジだったバサディアンに囲まれる中、ごく普通の野良モンスターかつ性能面でもこれといった長所がないというポジションながら、8位に食い込む大健闘を見せた。

*10 というか本作の連続技は一発の威力からしてそれなりに高いため壊れ性能で、タイプ不一致でも自力で覚えるだけで一定の評価を得られるほど。また、スキルパックの「ライジングサン」にお世話になった人も多いだろう。

*11 https://twitter.com/antatowataC/status/1394191531930570752

*12 https://twitter.com/antatowataC/status/1394210275834748928

*13 この縁かはわからないが、2022年にそのvtuber事務所とサンリオのコラボが実現した。