混沌の黒魔術師

登録日:2013/03/21 Thu 16:05:24
更新日:2023/10/15 Sun 19:40:47
所要時間:約 8 分で読めます




黒き混沌の魔術師…!

マジシャン・オブ・ブラックカオス!!




《混沌の黒魔術師》とは、遊戯王OCGに登場するモンスターである。
かの「開闢の使者」と「終焉の使者」を輩出した「混沌を制す者」の次に発売された「暗黒の支配者」に収録された。

かのブラック・マジシャンが光と闇の洗礼で進化した儀式モンスター《マジシャン・オブ・ブラックカオス》のリメイクカード。
リメイク元は星8にして攻撃力2800とステータス的には悪くないが、如何せん効果がないことに加え儀式召喚の手間がネックであった。

《エルフの剣士》や《暗黒騎士ガイア》など、遊戯の使用モンスターがリメイクされるのは何度かあるので珍しいことではない。

しかし、彼の場合はそれらの中でもトップクラスに強力な1枚となってしまった。

効果モンスター
星8/闇属性/魔法使い族/攻2800/守2600
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
自分の墓地から魔法カード1枚を選択して手札に加える事ができる。
このカードが戦闘によって破壊したモンスターは墓地へは行かず
ゲームから除外される。
このカードがフィールド上から離れた場合、ゲームから除外される。


……ん?

このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
自分の墓地から魔法カード1枚を選択して手札に加える事ができる。


遊戯王OCGにおいて、魔法カードはゲームを進行させる上で極めて大きな働きを持っている。
手札から任意のタイミングで、特殊なケースを除き1ターンに何枚でも発動できるからである。
強力な効果を高い即効性のもとに使えれば、それだけで自分に有利な展開へ持っていける。当然のことだろう。

それゆえ魔法カードは、基本的に再利用が難しくなるようデザインされている。
魔法回収効果を持つカードでも、汎用性のそれなりに高く条件の緩い《魔法石の採掘》ですら、

(1):手札を2枚捨て、自分の墓地の魔法カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。

……と1枚回収につき2枚もの手札を失う計算となる……のだが。

さて、「彼」はどうであろうか。
なんと召喚or特殊召喚する「だけで」魔法カードを再び手札に呼び込める。

通常召喚した時こそリリース*1で2枚のカードを失うが、特殊召喚すればそんなもの関係ない。

特に《死者蘇生》との相性は抜群であった。
回収効果が発動する時点では《死者蘇生》は既に墓地に存在するため、このカードの特殊召喚に使用した《死者蘇生》を即座に回収可能。

「《混沌の黒魔術師》を蘇生」→「《死者蘇生》を回収」を繰り返すことで1枚の《死者蘇生》で墓地の《混沌の黒魔術師》をすべて出すことができた
これは装備魔法の《早すぎた埋葬》ではできない芸当である。

攻撃力2800というステータスも実に都合がよく、3体出せば2800×3=8400となり、相手の初期LPを削り切れる数値になる。

無制限の時には《苦渋の選択》でお手軽に1ショットキルが行えた。
《苦渋の選択》で《混沌の黒魔術師》を3枚、《死者蘇生》、《ハーピィの羽根帚》か《サンダー・ボルト》を選ぶ。

相手は高確率で《混沌の黒魔術師》を選択するので、適当なタイミングで召喚ないし特殊召喚すれば、墓地の《死者蘇生》を拾ってコンボ始動。
そうでなくとも《ハーピィの羽根帚》か《サンダー・ボルト》でフィールドを荒らせる。

死者蘇生》《早すぎた埋葬》《リビングデッドの呼び声》のいずれかが発動可能な状態で《苦渋の選択》を使えばほぼゲームセットであった。


……これだけでも十二分に強力なのだが、彼にはまだ別の効果が残っている。

このカードが戦闘によって破壊したモンスターは墓地へは行かず
ゲームから除外される。

他のTCGと比較しても、遊戯王OCG墓地のモンスターを再利用することが多い
モンスターが自力で墓地から舞い戻ったり、はたまた眠れる彼らを他のカードの効果で蘇生させたり手札に呼び戻したりと、その利用法は多岐にわたる。また、《クリッター》や《キラー・トマト》などのように、「墓地に送られること」が効果のトリガーとなるモンスターも数多く存在する。

墓地はこのゲームの戦略の可能性を広げてくれる領域の1つであり、そこにモンスターが存在するだけで逆転への布石ともなりえるのである。

しかし、《混沌の黒魔術師》は無慈悲にも戦闘破壊したモンスターをゲームから除外してしまう。

後述する通り、除外されたモンスターをライフコストと引き換えに再利用・大量展開するカードは当時からあったのだが、そもそもこのモンスターの攻撃が通っている時点で1キル目前であるため、ライフコストの捻出は不可能に近かった。

最後の効果はフィールドから離れる場合はゲームから除外され、再利用が難しくなるというもの。

これも元々はデメリット……だったはずである。

遊戯王OCGでは墓地蘇生がキモであり、除外されたカードは再利用し辛いというのが一般的な認識であった。
が、同じパックに2000ライフを支払う代わりにお互いに除外されたモンスターを可能な限り特殊召喚する《次元融合》が登場。

ぞろぞろと3体で舞い戻っては複数の魔法カードを回収するあまりに笑えない光景も珍しくなかった。

このような頭を抱えたくなってくる効果を兼ね備えている彼がぶっ壊れでない筈がなく、当時の環境を荒らし回った1枚となった。
そんな彼を流石のKONAMIも放っておくはずがなく、登場からたったの3か月で制限カードに指定される。

その後は相性のいいデッキが減ったことで、【魔法使い族】で細々と活躍していた程度だった。

だが、環境は変わるものである。

先攻を取った上で後攻1ターン目の相手ターン開始時にライフを0にする凶悪な1ターンキルデッキ【ドグマブレード】、運に多少左右されるとはいえ一瞬で凄まじい数のモンスターを展開し一斉に殴りかかり、さらに射出してとどめを刺す【カオスゲート】といった1キルデッキでの中核を担うこととなった。

あろうことか先攻1ターンキルを助長することになってしまったため、2008年の9/1をもって禁止カードの檻へとぶち込まれた。
当時よりも更にイカれた魔法カード、及び魔法使い族サポートの増えた今、恐らく彼の姿を公式戦で見ることはもうないだろう。




しかし、多くの禁止カードがエラッタによって釈放されているので、もしかしたら帰ってくる可能性もあるかもしれない…







そうだ、貴様らは今から伝説を目にする…!





― 我、帰参セリ ―


効果モンスター
星8/闇属性/魔法使い族/攻2800/守2600
「混沌の黒魔術師」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンのエンドフェイズに、自分の墓地の魔法カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
(2):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊したダメージ計算後に発動する。
その相手モンスターを除外する。
(3):表側表示のこのカードはフィールドから離れた場合に除外される。

2015/4/1の改定に伴い、エラッタされて制限カードに復帰した。

魔法回収効果は同名制限つきで1ターン1度かつ、エンドフェイズに発動と変更された。
召喚して即回収することが不可能になったため、エラッタ前の様なループコンボに悪用出来なくなった。

また、相手モンスターを除外する効果が永続効果ではなく誘発効果になったので、チェーンされる隙が出来た。

全体的なカードパワーは下がってしまったものの、基本的な性能はそのままである。
前述の《光と闇の洗礼》や《黒魔族復活の棺》等、相手ターンに特殊召喚する手段が豊富なので
相手エンドフェイズに出して魔法回収→自ターンで攻める、といった使い方が主になるだろう。

なお、使用率がそれほど伸びなかったため、2015/10/1の改正ではまさかの無制限となった。
ブラック・マジシャン】や【魔法使い族】で3枚積みできるのは嬉しいことだろう。

細かい点だが、エラッタ前の回収効果は「時の任意効果」ゆえに《ディメンション・マジック》で除去を行った際にタイミングを逃すことになっていた。*2

だが、エラッタ後は魔法の回収がエンドフェイズにずれこんだため、タイミングを逃すことが無くなった。



関連カード


このモンスターの収録された「暗黒の支配者」にはこんなカードも収録されている。

《光と闇の洗礼/Dedication through Light and Darkness》
速攻魔法
(1):自分フィールドの「ブラック・マジシャン」1体をリリースして発動できる。
自分の手札・デッキ・墓地から「混沌の黒魔術師」1体を選んで特殊召喚する。

このカードの大本である《ブラック・マジシャン》を進化させてこのカードを出せるという、《ブラック・マジシャン》→《マジシャン・オブ・ブラックカオス》の進化を意識したカードである。

速攻魔法なのでバトルフェイズに発動することもでき、師匠を混黒に変換して追撃が可能。
相手のフィールドが空いていれば2500(ブラマジ)+2800(混沌)=5300ダメージを与えられる。

エラッタによって混黒の魔法の回収がエンドフェイズに持ち越されたため、即座に魔法を回収することはできないが、相手ターン中のエンドフェイズに使うなどすればほぼ確実に回収できる。

《ブラック・マジシャン》のカード名が記載されていることで優良なサポートにも対応し、サクリファイス・エスケープにも利用できるなかなか便利な1枚と言える。


エラッタ前ならば《ディメンション・マジック》と魔法使いモンスター一体で1ターンキルも可能であった。
このカードの分の1枚のディスアドバンテージは前述した魔法回収効果で帳消しになり、その魔法カードで追い打ちを掛ければ逆にアドバンテージを得ることすら可能であった。

一時は《混沌の黒魔術師》が禁止カードに指定されていたため、このカードは《避雷針》に続く「意味の無いカード」の一枚に成り果てていた。

もしも「混沌の黒魔術師」のテキストの一文目で、
「このカードは通常召喚できない。
《光と闇の洗礼》の効果でのみ特殊召喚することができる」
…とでも書かれていれば禁止は免れたのかもしれない。

とはよく言われていたことである。

なお、遊戯王においてカオスの力が「光と闇が溶け合った力」と定義されている。
しかし、実際はリリースするブラマジも、召喚される混黒も闇属性であり光の要素は一切存在しない。あれ?



《滅びの呪文-デス・アルテマ》
速攻魔法
(1):自分フィールドにレベル8以上の魔法使い族モンスターが存在する場合に発動できる。
フィールドのカード1枚を選んで裏側表示で除外する。
(2):魔法&罠ゾーンのこのカードが相手の効果で破壊された場合に発動できる。
デッキから「マジシャン・オブ・ブラックカオス」または「混沌の黒魔術師」1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

《マジシャン・オブ・ブラックカオス》の必殺技カードに混黒も対応されOCG化。

(1)の効果はモンスター・魔法・罠全般に対応し、対象を取らず、表裏問わない裏側除外という単体除去なら最強クラスの効果。
このカードは多くの場合星8魔法使いが出しやすいデッキにこの効果目当てで積まれることとなるだろう。

余談だがOCGとしてのこの効果はデスとアルテマというよりバニシュデジョン大先生のはないきの方がイメージしやすい気も…。

(2)の効果で混黒を呼び出しデスアルテマ回収→発動が出来れば理想的だが
破壊は相手依存なので使えればラッキー程度と考えておいた方が良いか。



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最終更新:2023年10月15日 19:40

*1 当時は生け贄

*2 《ディメンション・マジック》は特殊召喚を行った後に任意でモンスター1体を破壊できるが、この2つの処理は同時ではない扱いである。よって、特殊召喚を行った直後に《混沌の黒魔術師》の効果が誘発するはずが、モンスターが破壊されたという別のタイミングになってしまうのでタイミングを逃す。