食べられる毒キノコ

登録日:2012/04/18 Wed 21:04:01
更新日:2023/12/02 Sat 17:24:21
所要時間:約 6 分で読めます






最初にキノコを食べた者を尊敬する…毒かもしれないのにな……

ただの幸運なバカがたまたま食べたら大丈夫だったのか…? それとも………

飢えで追いつめられた必死さが切り開いた発見なのか…?


食べられる毒キノコとは、食べられる毒キノコの事である。

概要

なんか矛盾してね?と思われるが大丈夫だ問題ない。

というよりそもそもキノコとは、基本的に生物にとってであるものが大半である。
ほぼ体は毒で出来ていると言っても差し支えない。

キノコ中毒には30分や最悪1週間後というラグがある為、身を守ろうにもその頃には食べ尽くされてるというオチもあるが。
そのこともあって迂闊に手を出そうとする輩は居ない……というより知識もなく手を出し続けるとそのうち死ぬ。
毒と言っても様々で特定の生物では猛毒だが人間にはそこまでではなかったり、その逆もあったりするので難しい世界である。

またベニテングダケは人間を即死まではさせないが(とは言え危険なキノコであることには変わりない)、ハエ等の昆虫類には致命的な毒である。
更にハエを誘引する性質まである……まさにハエトリホイホイ…。

因みに、人間ホイホイとして有名なのは世界最強の毒キノコとして悪名高きドクツルタケ
美味しそうな見た目、致命的な毒、そして凄く美味しいと三拍子そろっているホイホイである。
看板に偽りなく死ぬほど美味い。


また、食菌として人気の高いシイタケやマイタケも中毒がある。
それでも図鑑には可食と書かれており、中毒の記述はない。
これはキノコは加熱処理して食べるのが当然だから。
可食とされるキノコは加熱処理で毒成分が消える為、火が通っていれば問題はない。

毒を含んでなければ加熱処理しなくても食べられるものもあったりする。タマゴタケとか。
刺し身やサラダの具として生食されるキノコも一応は存在する。

こういった事は血に毒を持つウナギや、熱で殺菌できるにもあげられるだろう。


つまり毒キノコとは加熱処理しても毒が消えないまさしく煮ても焼いても食えない奴という事である。
それなのに食べられる毒キノコというのも矛盾しているが、
更にー手間加えたりトラップを回避する事で食べられるようになる毒キノコも存在するということである。




なぜ先人達がそこまでして
毒を食べようとしたのかは誰にもわからない



とりあえず乙


以下食べられる毒キノコ

※あくまでも毒キノコです沢山食べると場合によっては普通に死にます。
本当になんで食べようと思ったし。

ベニテングタケ

毎度おなじみマリオのキノコ。食べても残念ながら体が大きくならないし一機UPもしない。
ひとかけら程度なら当たらない場合もある為そのまま焼いて食べたりする。

また水溶性の毒であるイボテン酸の特徴を利用して長野県では塩漬けにして食べられている。
ただし肝心のイボテン酸が旨味成分なので味は落ちる。

因みにドクツルタケの毒として知られるアマトキシンを微量に含んでおり、こっちは塩漬けでも抜けない為、仮に美味しくても沢山食べてはいけません。
というか毒が原因で死なないだけで、1~2本単位を焼いて丸々食べるなどすると洒落にならないレベルで体調を崩します。
腎臓・肝臓が弱い人や、健康でも継続的に食べた場合はどうなるか保証できません。確認のしようがないので分かりません。


ヒトヨタケ

ホテイシメジ

ヒトヨタケはナヨタケ科の毒キノコ。
一夜の名通り傘が開ききると溶けてなくなってしまうという面白い特徴をもつ。ネギ饅が美味そうだ。

ホテイシメジはキシメジ科のキノコ。
北陸地方では人気の高い可食(毒)キノコである。
形がお酒を呑む、お猪口に似ている為チョコタケの愛称をもつ。

どちらも特別な調理方法は要らず(熱は通せよ)普通に食べられる美味しいキノコ。

ただし飲酒は勘弁な。

この二種類の毒成分はアルコール分解の阻害*1。これによってかなり強い二日酔い状態になる。
つまり酒を呑んだらどんなザルだろうが酔拳の達人だろうがぶっ倒れる羽目になる。症状が重いと命にかかわる場合も…。

おまけに毒の潜伏期間は1週間にも及ぶ。
呑兵衛にとっての猛毒キノコである。
一部の酒が飲めない人はアルハラを受けた際に「これを食べさせて酒が飲めない奴の気持ちを教えてやろうか……」とか思うとか思わないとか

ツルタケ

いいダシがとれるキノコとのことだが当然生で食べると中毒する。そもそもよく似たキノコが多いので素人には判別が困難。

そもそも熱を加えても毒があると説明されたりされなかったり、昔は熱を加えれば無害と言われていた、と書かれていたりとよく分からない。
これらの特徴から食べるなと推奨されていることが多い。
余談だがこの種の仲間であるカバイロツルタケは生で食べても中毒しない。

似た菌の中にはタマゴテングタケモドキ(特に幼菌の頃)なども入っており、カバイロツルタケも含めて状態によってはかなり似ている。
全ての茸に言えることだが、安易な断定はすべきではない。

アミガサタケ

シャグマアミガサタケ

アミガサタケはアミガサタケ科の毒キノコ。
蜂の巣のような特徴的な傘をもち、中はすっからかん。
毒物指定のヒドラジンを含むが、その希少性と高級さから中国ではキノコの皇帝と称えられる。
なお、西洋で言う「キノコの皇帝」はタマゴタケのことなので注意。

シャグマアミガサタケはアミガサタケと名前がつくが、フクロシトネタケ*2科の毒キノコ。

要するに全くの別種であるが特徴は互いに似ている。
脳ミソ、またはウルトラ怪獣のゴーデスみたいな傘が特徴的なキノコである。
ほんと良く食べようと思ったな!

西洋では高級食材扱いされる可食キノコで、フィンランドでは市場で普通に売っている。※毒ですよ
何故か毒抜き前の乾物や缶詰などの加工品もある。毒だっつってんだろ!

毒の主成分はギロミトリン。体内で代謝されることでモノメチルヒドラジンという有害物質と化す。宇宙関係に詳しい人はピンと来るかもしれない。
人工衛星やミサイルに使われるヒドラジンスラスターの燃料、MMHである。
この物質の毒性は桁違いに強く下痢嘔吐に始まり溶血、肝不全・呼吸麻痺を引き起こす猛毒。普通に死ねる。

…ほんと…なんで食べようと…思ったし…。
とは言え、北欧という過酷な環境を考えればそういう風習が出来てしまったことに納得は出来る。
飢えが関係しているかは分からないが、そうでなくとも土地柄、食べ物の種類も少ない上に保存などのために独特の匂いや味がするものがとにかく多い。

もっと言えば北欧の人も 猛毒の塊 であるコンニャクイモを健康食品に変えたり、 テトロドキシンを大量に含む魚 を専用の資格まで定めてちょいちょい死者を出しても食い続ける国の人間には言われたくないだろう。

この猛毒は水に非常に溶けやすい為、茹でて茹で湯を捨てる茹で溢しという方法で毒抜きが出来る。
2回ほど茹で溢せば9割は毒を取り除ける。が、もちろん0には出来ない為、沢山食べるのは控えましょう。


と書くと「なんとも簡単な調理方法で抜けるんだな」と思われるだろうが大間違いである

ギロミトリンは茹でるだけでも毒性の高いモノメチルヒドラジンに変わる上、
先に述べた通り毒成分は非常に水に溶けやすい為なんと水蒸気に猛毒が乗る

家庭でお手軽簡単に毒ガスの発生である

その為、毒ガスが溜まらないように風通しがよい場所で毒抜きを行う。締め切った部屋の中などは問題外。
また近隣に人がいないことを確認し、本人も蒸気を絶対に吸わないこと。猛毒なので死にます。

一応断っておくとアミガサタケのヒドラジンは微量な上に水より沸点が高く、茹でる程度の温度では反応もしない(高温になれば窒素酸化物やアンモニアを発生する)。勿論、注意は大事

が、ゆで汁を料理に使おう等とは思わないように。採れたのはダシではなく毒である

そしてシャグマアミガサタケの方は毒含有量は尋常じゃないので先に述べた通りの事態が起こってしまう。
蒸気を出さないこと、絶対に吸わない事が大事である。
というかシャグマに手を出さないこと


※注意※

当たり前の事だがこれらの毒キノコが食べられるのは先人のたゆまぬ執念と屍のおかげである。
図鑑における食毒不明のようにまだ食べられておらずもしかしたら食べられるものもあるかもしれない。
だがそんな好奇心の結果永らく毒性不明だったカエンタケのようなキノコにあたってはシャレにならない。


素人の天然キノコ採取は
絶対に止めましょう


好奇心は人を殺すのだ。





追記・修正はシャグマアミガサタケの毒抜きが終わってからでお願いします。

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最終更新:2023年12月02日 17:24

*1 酵素の働きを阻害する。

*2 ノボリリュウともいう。