ガンダム・ピクシー

登録日:2012/01/11 Wed 21:10:08
更新日:2024/03/21 Thu 21:23:15
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ガンダム・ピクシーとは、SFC版ゲーム『機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079』のオリジナルパート“死にゆく者たちへの祈り”、および同シナリオを題材にしたPS3版「機動戦士ガンダム サイドストーリーズ」に登場する機体。
なお、作中では「ピクシー」と呼称される。


ピクシー
PIXY

基本スペック


型式番号:RX-78XX(RX-78-XX)
所属:地球連邦軍
全高:19.2m
頭頂高:18.3m
重量:39.8t
出力:1,440kW
推力:70,500kg

武装:
60mmバルカン砲×2
90mmサブマシンガン
ビーム・ダガー×2

搭乗者:
ボルク・クライ大尉
コルテス中尉
フレッド・リーバー軍曹
リリス・エイデン少尉

備考:
ビームステルスコート塗布(※効果不明)
生産数3機


連邦軍が極秘裏に開発した機体であり、重力下での白兵戦に特化した設計になっている。
そのため、武装はビーム・ダガーや90mmマシンガンといった近距離戦向けの物のみを装備し、装甲も対実弾兵器用の物に換装されている。

コア・ブロックシステムや宇宙戦装備を廃したぶん細身のシルエットとなっており、アポジモーターの増設と機体の軽量化も成されたため*1地上戦での瞬発力はガンダムを上回る他、ジェネレーター出力やスラスター推力も上回っている。

本機は3機が生産され、1号機はベルファスト、3号機はアフリカに配備された。
作中に登場するのは2号機である。



劇中での活躍


宇宙世紀0079年10月9日、ピクシー2号機をホワイトベース隊に届けるため、ゴビ砂漠基地に駐留しているアルバトロス輸送中隊がこの任務に付いていた。
だがピクシーの破壊を狙うウルフ・ガー隊の襲撃を何度も受け、配備されていた6機のガンキャノンのうち4機が大破。
この事態に護衛小隊隊長のボルク・クライ大尉は、中隊長のノクト・ガディッシュ少佐に対してピクシーの使用許可を再三求めたが、彼はエリート意識が強い上に横暴な書類至上主義者であり、

「軍の命令は絶対、パイロットは命令だけに従えばいい」
「ピクシーはエリートが乗るべき機体であって、貴様らクズ共が乗るべき機体では無い。」
「貴様らクズはクズらしくクズなMSを使えばいい」

などという理不尽な理由から許可が降りず、止むを得ずガンキャノンで防衛任務にあたる事になる。
それでも当初はガンキャノンでどうにか基地を防衛出来ていたのだが、何度目かの襲撃を受けた際にウルフ・ガー隊は最新鋭機のイフリートを投入し、ガンキャノンの性能では基地を守り切れなくなってしまう。
この絶体絶命の状況の最中、仲間の命を守る為に、とうとうボルクは命令を無視して独断でピクシーを起動し、イフリートを退ける。

その後、ボルクがノクトの靴を舐めることで当機の使用を認められ、彼の手により、やはり当機の破壊命令を受けたウルフ・ガー隊の襲撃を二度退ける。
やがて連邦軍上層部が基地を放棄して撤収する事を決定し、その準備を行う際に敵を引きつけるべく囮を務めるが、敵が目の前に迫った事にビビったノクトが、ボルクが目の前で命を賭けて戦ってくれているにもかかわらず、ボルクとピクシーを見捨てミデアで撤退してしまい、ボルクを砂漠に放置してしまう。
そして、ウルフ・ガー隊隊長のヘンリー・ブーン大尉が搭乗するイフリートと無人となった基地で一騎打ちを行う。
その後の結末は作品によって差異があり、以下の通り。

  • SFC版「CROSS DIMENSION 0079」
マルチエンディングとなっており、最終ステージでピクシーが撃破されるか否かで結末が変化する。
ピクシーが撃破されると致命傷を受けたピクシーは爆散し、ボルクは戦死。
イフリートのパイロットのヘンリーは無事にジオン軍の本隊と合流し、後のア・バオア・クー攻防戦にも参加したとの記録が残されているが、その後の彼の詳細は不明である。

ピクシーを撃破させずにイフリートを撃破すると、死に際のヘンリーから「貴様こそが真の強者だ」「全力で戦えて楽しかった」と称えられ、ヘンリーは戦死。
後にボルクはピクシーとの戦いで負傷した、ウルフ・ガー隊の唯一の生き残りとなったサキ・グラハムを救助し、「私を捕虜にする位ならば殺せ」と迫られるものの、それでもボルクは基地が既に放棄されていて自分以外はもう誰もいない事と、ヘンリーの武人としての生き様をサキに伝え、サキに対して「折角拾った命なんだから無駄にするな」と説得。
負傷したサキを基地に連れて行くものの、その後の2人の消息は不明となっている。

なおノクトに関しては詳細が描かれていないが、上層部から与えられたピクシーの移送任務を無視した挙句に敵前逃亡をしでかしただけでなく、正当な理由も無しにボルクに対して自分の靴を舐めるよう命令する、さらにはボルクを砂漠のど真ん中に放置して逃亡するという悪質な虐待行為まで行った事から*2、仮に連邦軍本体と合流出来たとしても拘束されて軍事裁判にかけられて有罪判決を受けるのは間違いなく、最悪銃殺刑となる可能性も充分に有り得る。

  • PS3ソフト「機動戦士ガンダム サイドストーリーズ」
最終決戦はピクシーの勝利で固定されており、ヘンリーは仲間に詫びつつも自分が満たされているのを実感して散り、ただ1人残されたボルクは「これは一体何のための戦いなんだ」と嘆く事しかできなかった。
後に連邦軍がボルクの救助とピクシーの回収の為にミデアで駆けつけるものの、無人の基地の中にピクシーが放置されており、ボルクの姿はどこにも見当たらず行方不明となっている。
またノクトは脱出しようとしたところを、サキにミデアに潜入されて自爆された事で死亡している。

  • Code Fairy
オデッサ作戦と同時期の北米戦線に「初期配備型」とされるグレーの機体が配備。
ジオン軍特務部隊ノイジー・フェアリー隊を追う特殊部隊ウィッチハント隊のリリス・エイデン少尉に与えられ、アリゾナ砂漠の戦闘でノイジー・フェアリー隊と衝突するが、取り逃がしてしまう。

その後はリリス専用に赤いパーソナルカスタム「ガンダム・ピクシー(LA)」として新生。
スラスターや装甲が追加され、武装もビームガン、バルザック式380mmロケットバズーカ、ビームサーベル、ツインビームスピアに一新された。
装いも新たにノイジー・フェアリー隊を追い続けた末にティターニアとの決闘に敗北。
損傷するも撃墜はされず、ケープ・カナベラル基地にて無事終戦を迎えた。




漫画での活躍


劇中に3機製造された中の1機と思われる機体が登場。

緑色系統のカラーリングになっている。
2015年に『戦場の絆』でエクストラタイプとして支給された際は「北米戦線カラー」と名付けられている。

作中最凶の戦闘狂であるコルテスが乗り込み、「最後の敵」として立ち塞がった。


因みに、最初はGファイター合体したGアーマー形態での登場だった。
そのため、戦闘機からいきなり手が出てきたことを驚かれていた。
ピクシーはGファイターの上に乗りダガーを構えて戦うが、ライトライナーがGファイターに特攻したため地上での戦闘になる。

ユージが乗るジム・ストライカーを苦しめ、ネメシス隊とスレイプニール隊によるフォーメーションを、片腕を失いながらも打ち破り片っ端から大破させるなどの暴れっぷりを見せた。


その後、キャリフォルニア・ベースにて再びユージのジム・ストライカーと交戦。
当初はユージを圧倒するが、ウェアラブル・アーマーをパージして絶大な推進力を発揮したストライカーは捕捉し切れず、
最後はユージのボクシングスタイルが乗り移ったかの如くビーム・ダガーを受け止めて赤熱したストライカーの拳による猛烈な連打を受けた末、
渾身の右ボディアッパーをコクピットに叩き込まれるという、ゴッドガンダムさながらの一撃を喰らい、撃破された。

ユージと地上で初めて相対した時、近くに潜んでいたザク数機を超級覇王電影弾ばりの回転攻撃で瞬く間に細切れにする姿は衝撃的。


作中では「ガンダム」の強大さを見せつけていたが、「最後の敵」な事とパイロットが腐りきった殺人狂だったことに不満を感じたファンも少なからずいる様子。

また、ビーム・ダガー装備は2号機だけという設定とも矛盾している。
まあ、2号機以外の兵装は不明なのだが。


ちなみに、この時の戦いは続編の『KATANA』においてユージのトラウマになっていることが明かされた。

なお、2011年から発売されている『ガンダム パーフェクト・ファイル』には愚連隊での交戦記録が記されている。



ゲームでの活躍


Gジェネシリーズ
初代から参戦。ガンダムを開発していけば入手できる。
ほぼ上記の設定通り、地上専用。正直性能・HP共に低い。
しかし二刀流ビーム・ダガーにロマンを感じ使う人は少なくなかった。

が、シリーズへの参戦はある時期を境に音沙汰が無くなる。イフリートは出てるのに何故……。
本機の復活を望む声は大き……かったのか『オーバーワールド』にて復活した。
が、事もあろうにビームダガーでの連続攻撃である「ノーザンライト・アタック」がビーム格闘ではなく必殺技属性であるため、フルアーマーやPS装甲で受け止められる。あのさぁ……*3
ジェネシスでも登場、しかもピクシーが中々の性能である。必殺技属性もGガン不在なので削除された事により「ノーザンライト・アタック」は特殊格闘となった。

機動戦士ガンダム 戦場の絆
コスト200の格闘機。地上専用。
扱いやすいマシンガンと比較的軽い挙動がウリの機体。
特に空中機動性がバツグンで、タックル威力も他格闘機と比較するとわずかに高い。
その反面装甲は非常に脆く、セッティング次第ではコスト120の陸戦型ジムに劣ることも。

射撃武器に90mmマシンガンA/B/C/ビーム・ダガーB
サブウェポンは頭部バルカン砲
格闘武器はビーム・ダガーA

最大の特徴は、メインの射撃のマシンガンを捨てて装備するビーム・ダガーB。
通常3回までの格闘攻撃を6回までに増やす事が出来る。
最大威力は目を見張るが、コストアップに加えて射撃手段が射程の短いバルカンのみになってしまうので注意。

余談だが、ロールアウト初期のダガーBには、通常6回までの連撃を8回まで増やす方法が存在した。
AAA→B→AAA→Bと格闘攻撃をすることで、大半のMSを瀕死もしくは撃破まで追い込むことが可能だった。
無論放置されるわけがなく、後のバージョンアップで修正されてしまったので現在は使用不能。

ギレンの野望シリーズ
ジオンの系譜で初登場。機体性能はアレックスに匹敵する運動性、高い攻撃力と高性能ではあるが、ワンオフ機としては
耐久力が低い。おまけにピクシーが作れる頃には大体地上戦が終わっており、再び地上で戦うだろう第二部では
既に他の量産機作ったほうが効率的と、ほとんど出番が無い。
あるとすれば、ジオン編や他勢力プレイ時、開発プラン入手や第一部クリア時に何かの拍子にコッソリ自軍に入ってきた場合か…。
グリプス戦役のMSも控えているせいで、高性能ながら「居たの?」扱いされる不遇の機体であった。

が…奴は化けた。

機動戦士ガンダム 新ギレンの野望』では機体の開発速度が思いっきり縮んでおり、ピクシーを早い段階で投入できる。
そしてこのゲーム、高性能なワンオフ機は生産制限がかかっており、ガンダム等は1機しか作れないのだが、
ピクシーは原作の時点で複数ある設定が反映されたのか、5機も作れる。
そして肝心の機体性能は、なんとアレックスを越える運動性を獲得しており、地上の覇者と言える。
耐久がやや低いものの、優秀なパイロットを載せるとそもそも被弾しないので、撃墜されるのが難しいレベルになる。
OPムービーにもイフリート共々出演するし、知名度がにわかに向上した作品である。
アムロ編でガンダムを取り上げられたアムロに渡してやれば、大活躍を見せてくれる事だろう。

●機動戦士ガンダム サイドストーリーズ
ミッシングリンク』編で、スレイヴ・レイス隊のフレッド・リーバー軍曹の機体として青色に塗装され登場。
愚連隊に続きビーム・ダガー装備でパイロットはやはり好戦的である。
同作では本来のライバル機であるイフリートとの共闘も描かれた。
一度、スレイブ・レイス隊から連邦に回収されるも、裏工作で再びスレイブ・レイス隊に舞い戻り、ダイバーが登場し、大暴れすることとなる。

上述のように『死にゆく者達への祈り』編でも登場するが、ジオン軍サイドが主役のため敵役である。

●機動戦士ガンダム バトルオペレーション2
コスト400の強襲機として実装。地上専用。
格闘兵装のビーム・ダガーは比較的広範囲に届き、最大の特色であるステルス能力を利用した奇襲戦法が基本戦術。
一方射撃兵装が貧弱なバルカン/マシンガン系とグレネードしかないこと、同コストのアイザック、一段上のコストのジェダといったアンチ・ステルス持ちの機体がいると強みが失われた貧弱な機体になり果てること、エースマッチでエースになると機体位置が敵に明かされてしまう事などの事情から、レート戦では地雷機体という印象を植え付けられてしまっている感は否めない。

Code Fairyのクリアデータを所持しているとリリス・エイデン機を入手可能。
こちらはコスト500。ステルス性がない代わりに比較的オーソドックスな強襲機。

●機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy
北米戦線に投入されたピクシー[初期配備型]と別名義の機体が登場。
1~3号機のどれかなのか、それ以外なのかは詳細不明。
パイロットはリリス・エイデン少尉。
このピクシーは改修され増加装甲を随所に盛られ、
ビーム・サーベルとジム・ストライカーのツイン・ビーム・スピア装備になった。
更にロケットバズーカ、ビーム・ガン装備して中距離対応もしていると今までのピクシーから大幅な性能変更されている。
白兵戦の試験機の色合いが強かったピクシーを実戦的な改修を施したとのこと。
機体カラーも全身が赤くなっているためレッドウォーリアを彷彿とさせる。


立体化

これまで立体化されたことはなかったが、2018年にプレミアムバンダイ限定でHGUC化された。
陸戦型ジムの関節を流用しているので特に可動域が優れているという訳では無く、当時のキットでは良くも悪くも無難な位置に類する。
反面、余計なパーツが無く躍動感を売りとする本機のアクションポーズの取りやすさはさすがと言った所で、様々なポージングに違和感なく対応してくれるのは随一の魅力といったところか。
90㎜サブマシンガンとビームダガーのサーベルエフェクトが付き、後者は派手なエフェクト版も付属。さらに特徴的なマーキングシールもついてくる。
後にカラーリングを変えたフレッド・リーバー専用機も発売。

過去に、B-ClubからMG陸戦型ガンダムのパーツを使って再現できるガレージキットが販売された事はある。
それとは別に1/144サイズとして、HGのオーガンダムを使用するガレージキットも発売された。

再販の目途が全く立っていない為、2023年現在はいずれも入手困難となっている。

余談

極秘に開発された、ということからわかる様に開発経緯については一切不明。
投入された技術についても不明瞭な点が多く、型式番号、頭部の形こそガンダムタイプのものだがそもそもガンダム(RX-78系統)の派生機では無いという説もある。
また、地球連邦陸軍(E.F.G.F)が「G-4計画」に基づき製作されたとも言われている。


機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク』でのピクシーはベルファストに配備予定だった1号機を裏工作により入手したとも、消息を絶ったボルク・クライ大尉の2号機を密かに回収したとも言われている。
これによりピクシーは現在までに2機、もしくは3機ともストーリーに登場したことになる。
しかし、上述のCode Fairyにて3機以上存在した可能性が出てきた。

デザインは大河原邦夫氏が担当。
耳の丸いモールドや頬のダクト等ジム・コマンドと共通点が多いように見えることから、ジム・コマンドのベースとなったガンダムを想定してデザインされたというゲームに関する都市伝説も存在していたが、ゲームデザイナーの神谷春輝によれば実際には「忍者」をイメージしたらしい。

一部ではガンダムマックスターと頭部が似ているとの声もある。


立ち絵の画稿はいくつかある。

  • ゲーム説明書
  • 『B-CLUB』ゲーム紹介記事(ちなみにカラーリングは初期稿)
  • ガンダムエース付録『コミックス MS COLLECTION』(愚連隊のもの)
  • ミッシングリンク


ピクシーは地上戦用の機体だが、実際は宇宙戦にも対応出来る可能性が高い。
というのも、幻に終わった『CROSS DIMENSION 0079』のオリジナルストーリーは最終的に3機のピクシーとイフリートが宇宙で決戦、という流れになる予定だった為。
実際、ライバルのイフリートは宇宙でも使用出来ることが明かされている。




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最終更新:2024年03月21日 21:23

*1 RX-78-2と比べると重量は約4tも減量していながら推力は約15tも増している。宇宙世紀の18m級MSとして重量30t台というのは破格の軽さである。

*2 上層部には「ボルクは自分の命令に従わずにピクシーを持って脱走し、ピクシーと共にジオンにやられた」と報告するつもりでいたらしい

*3 同作はこれ以外にも安易に必殺技属性を付けてPS装甲に受け止められるビーム系の連続攻撃を持たされる機体が結構いる。なお、よりにもよってその代表がフォースインパルスのエクスカリバーだったりもする。