プッチ神父(ジョジョの奇妙な冒険)

登録日:2010/07/27 Tue 20:02:32
更新日:2024/04/22 Mon 21:21:24
所要時間:約 16 分で読めます


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14の言葉 6部 C-MOON DISC ある意味被害者? お前が言うな らせん階段 イチジクのタルト エゴイスト エンリコ・プッチ カブトムシ コメント欄ログ化項目 ザ・ニュー神父 シリーズ最強候補 ジョジョ ジョジョの奇妙な冒険 ジョジョボスキャラ ジョット スタンド使い ストーンオーシャン チート ドロローサへの道 ネタバレ項目 プッチ プッチ神父 ホワイトスネイク メイド・イン・ヘブン ラスボス 一番覚悟ができてなかった人 中田譲治 主人公に勝ったキャラ 主人公チームほぼ全滅 全ての元凶 加速 命乞い 哀しき悪役? 天使 天国 廃墟の街 恥のために死んだ人 新月 時は加速する 最強 滅ぶべき存在 漆黒の意思 特異点 狂人 狂信者 狂気の神 独善 理想の押し付け 白髪 真の悪 磔刑 神父 秘密の皇帝 素数 素数を数えろ 紫陽花 緑色の赤ちゃん 聖職者 自分が悪だと気づいていない最もドス黒い悪 褐色 覚悟 覚悟は幸福 賛否両論 速水奨 運命論者 酸素中毒 重力 関智一 顔芸




人が敗北する原因は…「恥」のためだ

人は「恥」のために死ぬ

あのときああすれば良かったとか なぜ自分はあんな事をしてしまったのかと後悔する「恥」のために

人は弱りはて 敗北していく


エンリコ・プッチ(プッチ神父)とは、漫画ジョジョの奇妙な冒険 Part6 ストーンオーシャン』の登場人物。

CV速水奨(『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル*1
中田譲治ウルトラジャンプ2015年3月期CM、及び『アイズ・オブ・ヘブン』)
関智一(TVアニメ版)
半場友恵(TVアニメ版:幼少期)



◆概要

本名は「エンリコ・プッチ」
たまに「ロベルト・プッチ」という名前で表記されることがあるが、これは荒木飛呂彦先生のミス本名ではなく洗礼名なのかもしれない。
名前の由来はそれぞれイタリアのファッションブランド「エミリオ・プッチ」「エンリコ・コベリ」「ロベルト・カバリ」と思われる。
1972年6月5日生まれで、外見は若々しい雰囲気だが年齢は39歳と結構いっている。まぁ、『ジョジョ』では実年齢に反して見た目が若いというのはよくある話だが。
人種は白人であるが、浅黒い肌と十字型のハイライトの入った黒い瞳の持ち主。
髪の色はホワイトで短く刈り込んだ上に奇妙な剃り込みを入れ、十字架とフルール・ド・リスを組み合わせたような装飾のある黒い長衣を身に着けている。
ズボンは日本円で8万円したらしく、アクシデントで汚れた時には気分をかなり害していた。


物語前半の舞台となるフロリダ州立グリーンドルフィン・ストリート刑務所・通称「水族館」において看守や囚人の懺悔を聴いたり相談を受けたりする神父(刑務所内教戒師)の男性。
刑務所職員の中では一番の古株で、他の職員などからは一定の信頼や尊敬を得ており、刑務所内をほぼ顔パスで行動できる。
しかしてその正体はシリーズを通してのジョースター家の宿敵である邪悪な吸血鬼DIOと親友関係にあった男。
生前のDIOに狂信的な忠誠を誓っていたスタンド使い・ジョンガリ・Aと協力して空条承太郎の記憶をDISCに変えて奪い取った謎のスタンドホワイトスネイクの本体
そして第6部のラスボスである。

第7部『スティール・ボール・ラン』以降はそれまでの部とは世界観が一新されたため、第1部『ファントムブラッド』から続いてきたジョースター家にとっては最後の敵であると言える。
また、彼はDIOの遺志を継ぐ者であり、ジョースター家とDIOの因縁に終止符を打つ存在でもある。


◆人物

聖職者らしく、物腰は礼儀正しく穏やか。
深みのある言葉で優しく相手を諭す一方で、口の中で「二連のさくらんぼの種を茎につけたまま食べて見せる」特技を披露しておどけて見せたりするなど、割と俗っぽく親しみやすいところもある。
職業柄か「神」「運命」「生命」といった概念に強い関心があり、時たま余人には俄かにはわかりづらい深遠な考察を述べることもある。
最新の学説を引き合いに出すなど、単純な信仰の問題とはまた異質な角度からものを考えているようだが、一介の囚人には分かりづらいため、あまり興味を持って話に乗ってくる相手はいないようである。
そして、「生きる者にとって最も重要なのは『天国』*2へ行くことである」という強固な確信を物語序盤からしきりに口にしており、「天国へ行くのは全能の神が自分に与えた崇高な使命であり、それを遂行する過程で発生する、あらゆる犠牲をやむを得ない事として踏み越えていく」という漆黒の信念を胸に行動している。
それは言い換えると究極の独善・自分本位とも言え、再度対決したウェザーからは「自分が悪と気付いていない最もドス黒い悪」と糾弾されている。
『自分が正しいと信じきっている人間は、本質的に他者を二の次にして優しくできない』という宿命を背負っており、プッチも表向きはもっともらしい言葉で丁寧に相手に接するが、
実際は『DIOの計画の達成以外のことは悉く取るに足りない事』と軽んじ、見下している。

どうでもいい相手をぞんざいに扱ったり周囲に「自分を押し上げるための役目」を振って冷淡に利用するなど、物語のあちこちで腹黒い振る舞いをする。
計画に差し障るような行為をした者には凄まじい憤怒と殺意をぶつけるなど意志は固いが、精神的には不安定な面も徐々に露呈していった。
そしてパニックになると「素数」を数えて落ち着こうとする奇妙なルーティンがある。
曰く「孤独な数字であり勇気を与えてくれる」らしい。


なお、生前のDIOからは「世俗の欲望に惑うことがない、人の法より神の法を重んじる人物」と評されているが、それもあながち間違ったものではない。

神の定めた大いなる運命に従う人間にとって『覚悟』こそが人間に幸福と救いを齎すと信じている。
一方で、その独自の理論を他者に強制することさえも神の意志でありこの世の真実のように振る舞い、それでいていざ自分が危機に陥ればプライドをかなぐり捨て命乞いする姿はまごうことなきどす黒い悪であり、エゴイストである。

ちなみに、他者への自己中心的な厳しさと見下しに惑わされがちだが、『自分は覚悟ができている』とは実は一度も語っていない
彼も神と天国によって救われたいと願う側であり、弱い側であるということなのだろう。


経歴

生まれは裕福な家庭で*3、左足の指が曲がって産まれた事以外は本当に何不自由もなく、両親とペルラという2歳下の妹がいた。
幼少時、「自分は本当は双子だったが、弟は生まれてすぐ亡くなってしまった」と両親から聞かされた事で「運命はなぜ自分ではなく弟を選んだのか?」「なぜ人に幸福と不幸があるのか?」「真の幸福とはなんなのか?」という疑問を持ち、その答えを探して神父への道を志した。

……しかし、ある日偶然「DIO」と出会ってしまったこと*4
生まれた直後に死んだと思っていた双子の弟ドメニコが実は赤ん坊を亡くした別の母親に子供をすり替える形で誘拐され、
その家の子として育てられ、別人ウェス・ブルーマリン、「ウェザー」として生きていたこと、
そして妹のペルラが実兄であることも知らずにウェザーに恋をしてしまったことから彼の人生は大きく狂いはじめる。

聖職者に携わる者の守秘義務、そして何より「妹を傷つける事だけは絶対に避けなくてはならないッ!」という想いから、近親相姦の罪を犯させる前にただの失恋として事態を片付けようと考えたプッチは「何でも屋」私立探偵に大金を支払って2人を別れさせるように頼んだのだが、
この私立探偵は過激な「白人至上主義者」であり*5、あろうことかウェザーの養父が黒人だったためにウェザーを黒人の血を引いた子どもと誤認。
仲間と共にペルラとデート中のウェザーを襲撃し凄絶なリンチにかけ、彼の生家に放火して母親を殺害したことと、この依頼がペルラの兄からのものであると暴露。半殺しにして木に吊し上げて絞首刑にするいう暴挙に出る。
はっきりいってこの男、「思い込みの激しさでろくに調査もせずに決めつける」「依頼人にも相談せずに私刑を勝手に行う」「依頼者をばらすというタブーを平気でやる」と、何でも屋の私立探偵としては三流(を通り越して無能)もいいところである。
こんな人間に依頼してしまったのはプッチの見る目の無さと、「早くなんとかしなければ」という焦りからに他ならない(当時はまだそういった裏社会の事情などに疎かったのも一因だろうが)。モノローグでも作者は「誰が悪かったのかは読者に判断していただきたい」と語っているが、まだ若い学生であった事と、時間が無く聖職者としての義務を果たしつつ秘密を守るには仕方無かったという意見もある。

そして、吊るされたウェザーを見て彼が死んでしまったと勘違いしたペルラは湖に身を投げ、自らその命を断ってしまったのだ。*6


なぜだ………
どうしてなんだ………?
なんでこんな事になってしまうんだ?
なぜ赤ん坊の時──あの婦人はわたしじゃあなく弟のほうを連れて行ったのだ?
なぜわたしじゃあないんだ?
なぜわたしは教会で──婦人の告白なんて聞いてしまったんだ
なんでわたしは神父になんてなろうとしたのだッ!?
なぜ人と人は出会うのだ!?
出会わなければこんな事にならなかったのに……
やめろ………
やめろと言っているんだッ!
妹に向かって十字を切る事なんかやめろッ!
くそっ!ペルラの命だけは奪わないでくれッ!
ペルラに罪はない………ペルラは恋をしただけなんだ
命を返してくれるならなんでもするぞ
呪われるべきはこのわたしだッ!

湖から引き上げられたペルラの亡骸を抱きしめて嘆いていた時、かつて出会ったの言葉を唐突に思い出し、彼に会いたいと思った直後にDIOから貰った「矢」に体を貫かれた*7プッチは、スタンド「ホワイトスネイク」を得る。
数日後に病院で目覚めたプッチは、人がカタツムリになる怪現象を暴走したウェザーの仕業と直感。
カタツムリが自分にも害を及ぼした時には弟であろうと始末するという、目的のためになら殺人であろうが何でもするという決意を固め、DIOに会い「人と何故出会うのか」という問いの答えを知ろうとする。

そしてウェザーに「私はお前の兄だ」と明かした一瞬の隙を突く形で、ホワイトスネイクの能力でウェザーの記憶のDISCを抜き取って記憶を失わせた後、グリーンドルフィン・ストリート刑務所に投獄させる。
それからDIOと再会し、しばしそばで暮らして語り合う。彼の思想に賛同しつつ、最終的には彼の元を去った。DIOが承太郎に敗北し、死亡した後もかつてDIOが目指した「天国の時」を実現する為に暗躍を開始した。


劇中での活躍

DIOが天国へ行く方法を記したノートは発見した承太郎に焼却されてしまったが、その時内容を読んだ承太郎の記憶をDISCにして取り出すことで、自分がDIOの代行者として彼の残した計画を実行に移せると確信。
自分のテリトリーである「水族館」に承太郎をおびき寄せるため、彼の娘・空条徐倫が重罪判決を下されて水族館に堕ちてくるよう仕向けた。
このように目的はあくまで承太郎の記憶であり、当初徐倫は承太郎を誘うエサとしか思っておらず軽く見ていたが、
逆境の中でジョースター家に代々伝わる爆発力を以て成長していく彼女には幾度も計画を狂わされていくこととなった。

しかし、同時にプッチが天国の時へ向かうという行為も運命に定められたものであり、幾度とないピンチを切り抜けて確実に計画を次のステップへと進めていく。
承太郎の記憶DISCから読み取った天国へ至る方法を基に、DIOの骨から生まれた緑色の赤ん坊と同化する。
これに伴い、剃り込みが従来以上に奇妙に変形した容姿となり(通称「ニュー神父」)体調に異変を来していきながら、天国のための進化を果たすべくケープ・カナベラルへ向かう。

途中でジョースター家への新たな刺客となるDIOの3人の息子との出会いや、記憶を取り戻したウェザー・リポートとの戦いを乗り切り、ケープ・カナベラルに到着したことで重力を操る新たなスタンド「C-MOON」を発現。
最後の進化を果たすべく新月を待つ間に起きた空条徐倫との激戦では復活した空条承太郎の参戦もあり追い詰められるが、
彼らとの戦いの中で新月の必要なく天国に至る方法を見つけ出し、ついに「天国」を作り出す能力を持ったスタンドメイド・イン・ヘブンの発現に成功。


メイド・イン・ヘブンの「全宇宙の生物以外の時を加速させる」という能力とその圧倒的なスピードで、徐倫達を圧倒。
ナルシソ・アナスイとの連携で攻撃のタイミングを見切った承太郎が唯一メイド・イン・ヘブンをも止められる時間停止で反撃に出る。

その攻撃は無限大の加速を利用してストーン・フリーに接触、衝突のはずみによってアナスイを攻撃させ致命傷を負わせるというものだった。
止まった時の中で掴んだ腕はメイド・イン・ヘブンではなくストーン・フリー。プッチは徐倫の向こうにいる。
アナスイを貫いてしまったストーン・フリーの手刀を跳ね除け、『一手』遅れながらも承太郎はプッチに向けて歩みを進めるが……



『二手』遅れたようだな…………

ジョースター家は血統ゆえに誇りと勇気から力を得 運命に勝利して来た

だが! 弱点も また血統ゆえに

空条承太郎…娘がお前の弱点なのだ



プッチは時間を止められる前に、徐倫へと無数のナイフを投げていた。
それは無敵とまで称されたスタンド使いの、家族という唯一の弱点を突く事に他ならない。
限られた停止時間を娘を守るために割いた「星の白金(スタープラチナ)」の拳は、プッチの眼前にまで迫ったところで限界を迎える*8
こうして停止時間にしてわずか5秒のギリギリの攻防を制したプッチは、承太郎・エルメェス・コステロもあっさりと死に追いやった。
続いてエンポリオ・アルニーニョをも始末しようとするが、負傷した徐倫が殿として立ちはだかったため片目を負傷。
これも殺害したものの、イルカに括りつけられて逃げ行くエンポリオの追跡は断念せざるを得なくなった。
そうしてエンポリオを除くメインキャラ全員を殺害したプッチはその後も時間を「加速」し続け、四人の死体は風化し、宇宙は滅び、新しい宇宙が生まれる……

「天国」とは「メイド・イン・ヘブン」の能力で無限大に時間を加速──
宇宙を「一巡」させて人類が生まれてから滅ぶまでの全ての出来事の記憶(書類を踏んづけて転ぶという些細な出来事まで)を人類全員が共有することで、
いつどこで何が起きても、人類全員がそれを「覚悟」出来るようになった世界のことだったのだ。



たとえば5年後の未来何が起こるか?人類全員がそれを知っている(・・・・・・・)
「加速した時」の旅で自分がいつ事故にあいいつ病気になりいつ寿命が尽きるのか?
すでに体験してここに来た(・・・・・・・・・・・・)

人といつ出会い…そして別れるのか?戦争がいつ起こり、時代がいつ変わるのか?
誰に恋をし、誰を憎むのか?自分はいつこどもを産み、子はどんな成長をするのか?
誰が犯罪を犯し、誰が発明や芸術を生むのか?

まるで映画を見るように体感する そして その子供も さらに その子供も…
あのケープ・カナベラルから始まった 加速した時を生きた者は全員
頭脳や肉体ではなく精神が それを体験して覚えて知っているのだ!

そしてそれこそ「幸福」であるッ!
独りではなく全員が未来を「覚悟」できるからだッ!「覚悟した者」は「幸福」であるッ!

悪い出来事の未来も知る事は「絶望」と思うだろうが
逆だッ!
明日「死ぬ」とわかっていても「覚悟」があるから幸福なんだ!
「覚悟」は「絶望」を吹き飛ばすからだッ!

人類はこれで変わるッ!

これがわたしの求めたものッ!*9『メイド・イン・ヘブン』だッ!


だが見事「天国」への野望を果たしたかに見えたプッチは、唯一生き残っていたエンポリオを天国完成前に殺そうと完成直前で時の加速を止めてしまう*10
刑務所内でエンポリオに襲いかかる……が、壁の隙間を利用したエンポリオの策にはまって「ウェザー・リポート」のDISCをエンポリオの頭に入れてしまう。

音楽室の幽霊の部屋の中でエンポリオの操る「ウェザー・リポート」と対峙したプッチは、「メイド・イン・ヘブン」で時を加速させてトドメを刺そうとするが、
  • エンポリオが「ウェザー・リポート」の「純粋酸素だけを集める」という潜在能力を発現させたこと
  • エンポリオ自身が純粋酸素の危険性についての知識を持っていたこと
  • 戦った場所が空気の逃げ場がないほぼ完全な密室空間だったこと
  • 何よりそれら全てを踏まえて、エンポリオが自身も共倒れになるリスクも“覚悟”した上で能力を発動させたこと

これらの要因が重なった結果、純粋酸素の満ちた部屋の中を加速した状態で動き続けていたプッチは重度の酸素中毒に陥ってしまい、エンポリオより先に動けなくなってしまう。
ウェザーに頭部をゆっくりと、しかし確実に押し潰される最中必死に自身の正しさをエンポリオに説く形で命乞いをするも、エンポリオに受け継がれていた黄金の精神は揺るがなかった。

プッチ!!人の出会いこそ「運命」!!あんたは「因縁」が切れなかった!!
わからないのか?
おまえは「運命」に負けたんだ!
「正義の道」を歩む事こそ「運命」なんだ!!

逆上したプッチは直接エンポリオに襲い掛かろうとするも、それより先にウェザーの渾身のラッシュが炸裂。


やめろォオオオオ 知った風な口をきいてんじゃあないぞオオオオオオ

このちっぽけな小僧がああああああああああ

あああああがああああ ぐあばああああ


かくして一切の覚悟なく他者に覚悟を強要し続けた狂った聖職者は、醜く汚らしい断末魔の悲鳴をあげながら頭を擦り潰されるという壮絶な最期(しかし“悪党”にはこの上なく相応しい末路を迎え、
一巡の完遂前にプッチが死んだことで運命は変わり、「天国」は無かったことになった。

アニメ版ではエンポリオに「僕一人じゃあない……僕をここに送り込んだ徐倫おねえちゃんの意志だ! ウェザーも、F・F、エルメェス、アナスイ、それに承太郎さんもだ! みんな未来なんか知らなくても『覚悟』があった! 覚悟ができていなかったのはお前だ、プッチ!」と、自身の思想と行動についてさらに念入りに否定されている。


ちなみに第7部の世界は荒木先生曰く「パラレルワールド」だという。
これによって第7部以降の世界は、メイド・イン・ヘブンによって一巡した世界、またはそれによって派生した並行世界の時空ではないかと噂されている。


ゲーム『アイズ・オブ・ヘブン』では6部本編の時系列のプッチ…ではなく、DIOがジョースター一行を全滅させて世界を支配し、天国に到達した平行世界のプッチ神父が登場する。
天国に到達したDIOと共に基本世界を支配するべく暗躍、最終的に全ての始まりの場所・ジョースター邸で待ち構えるも敗北。
記憶を覗かれ、DIOの能力の秘密を暴かれる前に自ら慈愛の女神像へと飛び降り、串刺しになった。
原作と比べれば潔いが、自害しなくても後に待ち受けるのは死や粛清と考えれば友のために覚悟を決めたということだろうか。

このプッチはDIOが既に天国に到達したためか、6部本編の目的意識は無くなっている。
また、言動から察するに、このプッチは3部の時に承太郎達と対峙した様子。承太郎達が敗北したのは、プッチが参戦していたのも原因の一つだったのかもしれない。
ちなみに、6部本編の時系列のプッチはどうなっているのか不明。平行世界の同一人物は対面すると対消滅を起こすので、存在されたら問題ではあるが……。


【名(迷)台詞】

  • 「あ…ちょっと待って できた ほら…タネつけたまま…たべた やったことある?」
  • 「落ちつくんだ…『素数』を数えて落ちつくんだ…『素数』は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字…わたしに勇気を与えてくれる」
  • 「かなり肝を冷やしたが 蛙に(スネイク)が敗北するわけがない」
  • 「人が敗北する原因は…『恥』のためだ 人は『恥』のために死ぬ
    あのときああすれば良かったとかなぜ自分はあんな事をしてしまったのかと後悔する『恥』のために人は弱りはて敗北していく」
  • 「神を愛するように君のことを愛している」
  • 「完全なる死の忘却へ…おまえを送り込んでおかなくては…」
  • 「崖に激突して死ぬツバメがいるそうだ…そのツバメは得てして他のツバメよりもとても上手にエサを捕獲したりするのだが…
    宙返りの角度の危険の限界を親ツバメから教わっていないためつい無謀な角度で飛行してしまう
    だがその親は教えないのではなくそのまた親から教わっていないので教えられないのだ
    彼ら一族は短命な者が多く、なぜ事故にあいやすいのか気づいてさえもいない
    承太郎は短命だったな」
  • 「凄みだ…こ…こいつ凄みで!わたしの攻撃を探知したんだ…
    刑務所に来た時はスタンド能力さえないと思っていたのに…男にだまされてメソメソしていたただの小娘だと思っていたのに…」
  • 「『らせん階段』…!『カブト虫』!『廃墟の街』!『イチジクのタルト』!『カブト虫』! ………『ドロローサへの道』!
    『カブト虫』!『特異点』!『ジョット』!『天使(エンジェル)』!『紫陽花』!『カブト虫』!『特異点』!『秘密の皇帝』!!」
  • 「これで君の世界へ共に旅立てるぞッ!DIOッ!」
  • 「だが その前に君は『引力』を信じるか?人と人の間には『引力』があるということを……………わたしは今 それを信じた 君にはわたしは殺せないんだ」
  • 「ヴェルサスッ!おまえごときうすっぺらな藁の家が深遠なる目的のわたしとDIOの砦に踏み込んで来るんじゃあないッ!」
  • 「わたしの能力は・・・完成したようだ。そしてこれは・・・おまえたちを始末するための能力ではないし『最強』になるための力でもない・・・この世の人類が真の幸福に導かれるための力なのだ」
  • 「安っぽい感情で動いてるんじゃあないッ!
    『人』は天国に行かなくてはならないッ!目指したものは全ての人々をそこへ導ける!
    おまえらはそれを邪魔しているんだ……少しばかりの人間が犠牲になったからといって……
    どこへ行かれるのですか(ドミネ・クォ・ヴァディス)?』おまえは磔刑だーッ!!」
  • 「『自信を持て…』エンリコ・プッチよ 『運命』が味方してくれるのはこのわたしだ…ちっぽけな正義などを超えた目的がわたしとDIOにはあるッ!」
  • 「君の質問に付き合わなきゃあいけないのか?」
  • 「おまえはわたしにとって 釈迦の手のひらを飛び回る孫悟空ですらない」
  • 「最初にキノコを食べた者を尊敬する…毒かもしれないのにな…ただの幸運なバカがたまたま食べたら大丈夫だったのか…?
    それとも…飢えで追いつめられた必死さが切り開いた発見なのか?」
  • 「このフレームに突っ込ませられて!意味がわかったッ!」
  • 「最後にひとつ言っておく 『時は加速』する」
  • 「撃って来い…その方が殉教者らしくこの世を去って行ける」
  • 「悪い出来事の未来も知ることは『絶望』と思うだろうが 逆だッ! 明日『死ぬ』とわかっていても『覚悟』があるから幸福なんだ!『覚悟』は『絶望』を吹き飛ばすからだッ!
    人類はこれで変わるッ!これがわたしの求めたものッ!『メイド・イン・ヘブン』だッ!」
  • 「神の御命においてしりぞけるッ!おまえの行動はエンポリオ…自分の悲鳴をさらに地獄のラッパにするだけの事だった!!」
  • 「ここでわたしは死ぬわけにはいかないのだーッ」
  • 「やめろォオオオオ 知った風な口をきいてんじゃあないぞオオオオオオ このちっぽけな小僧がああああああああああ」*11
  • 「あああああがああああ ぐあばああああ」


◆余談

自分が悪だと気づいていない最もドス黒い悪

自分の私欲を一切捨て、神の御命にて行動し、人々のために行動しようとする点「においては」、まごうことなき善の体現者であろうとする人物。
一方でプッチはひたすら自らを「善」と信じて疑わない、だから他者を軽んじ、言葉に耳を傾けることすらしない、最悪の悪とも言える。
記憶を取り戻したウェザーとの決戦の際に自分の行いをひたすら「善」と言い切ることから、
ウェザーからは「自分が悪だと気づいていない最もドス黒い悪だ」と断言された*12

ジョジョの今までのラスボスがはっきりと自分を「悪」と(自分にとっての平穏を望む吉良吉影ですら自身が殺人鬼だということは認めている)認めているため、「トップクラスにゲスなラスボス」とファンから言われることもある。

「最悪の狂人とは、狂気に走った聖者だ」
(アレグザンダー・ホープ著“Imitations of Horace”より)

プッチの言う「天国」とは「人が自分の未来を知り『覚悟』をすることで幸福になれる」というものだが、
逆に足掻いた末に何か意味のあることを切り開くかもしれないといった発想はなく、運命を知った人間が覚悟できずに絶望に落ちた時のことも考慮されてない。
プッチの過去は同情すべきものがあるし、そう考えるのは彼の自由だ。だが全ての人が同じ考えでは無いのだ。
人類全てが平等に覚悟する機会を得られるという点では平等な計画ではあるが、見方によっては人類全てが『運命の奴隷』であるべきという独善ともいえ、『覚悟』が実質「諦観」に成り下がる、ジョジョシリーズが描く『人間讃歌』とは相反する計画であろう。

もっとも、彼の言う「神」が実在しその使命も本当ならばという前提ならば、個人個人の意思や思想はどうであれ、人類にとっての大局視点では彼の行動や目的の意味や価値も変わってくるかもしれない。実際、メイド・イン・ヘブンのスタンド解説にて神という概念が存在することが言及されており、それが善神かはともかく神は存在する模様。
作者は後年のインタビューで
「悪党の正論」というか、人物を別の角度からも見せる手法は、第6部の「ストーンオーシャン」に登場したエンリコ・プッチ神父を描いていたときも意識していましたね。
と語っている*13

しかしながら彼の場合、メイド・イン・ヘブンを得た途端にその神からの使命に外れた行動を取ってしまっている

メイド・イン・ヘブンの能力と天国を生み出す計画からすれば、発現後はジョースター一行と戦う必要は全く無い*14
メイド・イン・ヘブン完成直後に「わたしが間違った道を歩まぬよう見守っていてください」と神に祈っているが、皮肉にもその後の行動は全て間違っていると言っても過言ではないだろう。
『DIOの仇討ち』なら承太郎を倒した時点で完了しているのだが、そのまま最後の一人であるエンポリオにまで手を出し、返り討ちにあって敗北したのは『天国に因縁を持ち込ませず消し去るという私利私欲、そしてこれまでの使命のためと称して踏み越えてきた散々な悪行による因果応報』としか言いようがない。

天国が完成した後の「ケープ・カナベラル以降ならいくらでも命を捧げる」という命乞いも、今更すぎてかえって見苦しいだけである。
ケープ・カナベラルで見失い、成長したエンポリオがいずれ自分の前に立ち塞がるという『運命』も、自分が『覚悟』さえしていれば受け容れて「天国」を完成させられていたのだから。

自分の信じる正しさ以外の犠牲には見向きもせず、その自己中心的な理論を徹底できない。
ウェザーが称する「自分が悪だと気づいていない最もドス黒い悪」という言葉がピッタリの人物だろう。


落ちつけ…………

追記・修正するんだ…
こんな時どうするか……
落ちつくんだ…
『アニヲタWiki(仮)』を見て落ちつくんだ…

『アニヲタWiki(仮)』はWiki篭りと自分でしか理解することのできない孤独なWiki……わたしに勇気を与えてくれる

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最終更新:2024年04月22日 21:21

*1 ※カプコンの格ゲー版やTVアニメ版『スターダストクルセイダース』のヴァニラ・アイス役。

*2 これはあくまで一つの境地を指してそう呼んでいるだけであり、いわゆる死後の世界や物質的なパラダイスとは全く異なる概念である。

*3 大きな屋敷と広大な庭があることが回想からもうかがえる。出自・血統的にも父方の曾祖母はイタリア系の移民、かつ18世紀にはローマ法王を出したこともあるほどのヴェネツィアの名門家系につながっているらしい。いわばエリートである。

*4 当時のDIOは「矢」を持った状態で、それが指し示す人物との「出会い」を求め、世界各地を気ままに放浪していた。この時にどうやったのかは知らないが、先述のプッチの曲がった足の指を治している。

*5 作中では「三角頭巾の仲間」という言い回しをしているが、白人至上主義者の集団「KKK(クー・クラックス・クラン)」の構成員であるかのように描かれている。

*6 ちゃんと確認しろと突っ込めなくもないが、普通は一晩中首つりにされた人間が生きているなどまず想像もつかないし、何より自身の兄がこんな残酷な依頼をしたと聞かされたことによる絶望感・ウェザーに対する罪悪感を考えれば無理もない話である

*7 偶然か否かは不明だが、「絶望の淵に立たされた時に矢に貫かれる」というシチュエーションは第4部『ダイヤモンドは砕けない』終盤における吉良吉影の時と類似している。

*8 ここで承太郎が徐倫を見捨てる苦渋の決断をして一直線にプッチに向かっていったら勝てたかどうかについてはファンの間でもよく議論の的となっている。

*9 アニメ版では「これがわたしと、そしてあのDIOが求めた天国へ行く方法!」という台詞になっている。

*10 エンポリオが生存したままで一巡を完成させるとケープ・カナベラルでエンポリオが生き延びてプッチに逆襲するという運命が固定化し、プッチにも変えられなくなるため。

*11 雑誌掲載時は「やめろ このちっぽけな小僧がぁあああああああああああああ」で、単行本掲載時に4ページ描き起こされたため台詞が追加されている。

*12 ちなみにプッチの親友DIOは自身を「悪のエリート」と称する“自覚している悪人”だが、ウェザーがDIOを知ったらプッチと比較し、どちらをより悪質と判断するかは興味深いところではある。

*13 日経トレンディネット「『ジョジョ』が25年続いている理由」―荒木飛呂彦氏が語るhttps://xtrend.nikkei.com/atcl/trn/pickup/20121009/1044420/

*14 時の加速を止められる手段はプッチ神父を殺すのみだが、時の加速の中で逃げに徹したプッチ神父を追いかける手段がジョースター一行には存在しないため。