ポカリスエット

登録日:2012/02/15(水) 00:04:49
更新日:2024/02/29 Thu 21:56:08
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ポカリ、のまなきゃ。



ポカリスエットとは、1980年に大塚製薬から発売された清涼飲料水。

概要

「スポーツドリンク」と呼ばれるカテゴリーの国産第一号である。
なお海外ではアメリカの「ゲータレード」などが先に存在し、世界シェアもあちらが上。
それでもアジア圏を中心に高い知名度と人気を誇る。
国内での最大のライバルは日本コカコーラ社がパクった「アクエリアス」。

名称の「ポカリ(POCARI)」は完全に造語。アポカリプスとかではない。
「スエット(SWEAT)」は後述の開発コンセプトのとおり、汗のこと。ストレート過ぎるため英語圏での受けは悪いとかなんとか。

ペットボトルや缶等の飲料水タイプはもちろん、詰め替え用の「粉末タイプ」も安価でペットボトルが使い回し出来たり水筒に入れる事もし易いことから人気もあるが、ただし古い一部の水筒では内部の構造を痛めることもあるため、「スポーツドリンク対応」等が記された物を使うのが望ましい。

派生商品として水色のパッケージである「イオンウォーター」があり、本家よりも甘さとカロリーが控えめになっているのが特徴。かつては同じカラーリングで同名の天然甘味料を使った「ステビア」という商品が発売されていたため、事実上後継商品にあたる。


歴史

着想の発端は、1人の社員がメキシコで水に当たり入院した際、
リンゲル液(生理食塩水)を点滴されながら、「これを清涼飲料水に出来ないか」と考えた事による。
実際、手術後に疲労した医師がリンゲル液を愛飲すると言う事はあったらしい*1

「人間の失った水分を補う」為の飲み物を追求すると決めた彼は、自らの身体を使い、失われる水分、即ち「汗」を研究。
炎天下や激しいスポーツ等で掻いた汗をせっせと採取し、その組成を分析した。

そして、塩饅頭をヒントに塩味と甘味を両立した味を目指し、塩によって生ずる独特な苦味を抑えるべく、グレープフルーツ等の果汁を加える等の工夫を重ねた*2

最終的に、甘味の強い試作品と弱い試作品の2つが完成。試飲の際、甘味の強いものの方が評判が良かったが、肝心の水分補給時にはどうだろう?と言う事で高負荷である登山後に飲んでみたら、甘味の弱いものの方が「すっきりゴクゴク飲める」と言う事で採用になった。

しかし当初は、それまでに無かったその味わいに売れないのでは?と不安を持つ者も多かったという。
これに反してこの商品を気に入り、製品化を後押ししたのは当時の大塚製薬の社長であった。これは単なる好みというだけではなく、アメリカで発売されたばかりのゲータレードの存在を知っていたため。

パッケージには、それまで味覚感が無いとされ避けられていたカラー、「青」が大胆に使われ、製品化されたが…。

当初の不安通り、それまでに無い「塩っぱさ」を持つポカリスエットは多くの消費者は拒否した。

「まっず!なにこれ!」
「これまじで出すの?」

現在の隆盛からは信じられないような反応で、卸し業者も敬遠した。

だが、自分達の作った製品を信じた彼らは「それなら無料で配布だ!」と、実に40億円もの費用を投じ、全国にポカリスエットを無料配布。
特に、運動会等の身体を動かすイベントには積極的に参加した。

すると、やはり「身体が失った水分」を研究して開発された商品は、運動後に一番美味しく飲めるものだった事もあり、口コミから爆発的にヒット。
120億円以上の売上を達成した。

全く未知の領域だった「汗」の飲料を商品化し、なおかつそれの広報に40億円もの大金を使おうと決めたスタッフ達の英断には本当に頭が下がる。因みに、この無料配布は完全に市民権を得た現在も続いている。

そして、他社からも類似の商品が販売されるようになり「スポーツドリンク」と言う一ジャンルが確立されるに至った。


飲むべきタイミング

◆運動中・運動後
長時間の運動の場合、手が届く場所に置き、いつでも飲めるようにするのが望ましい。運動中に少量ずつ飲むのが理想とされる。
急激に飲むとその多量の糖分からインスリンが分泌されてしまい、肝心な場面で力が出ない。

◆入浴時
風呂上がりのポカリスエットは美味しい。湯に流れるが、やはり大量の汗を掻いているからだ。
だが、風呂場に持ち込んで湯船につかりながら飲んでも大量に汗をかき、デトックス効果を狙える。

◆寝る前に
寝てる最中の寝汗は想像以上であり、翌朝に疲労感を感じてしまったりもする。
寝る前にポカリで水分補給すればこれを軽減出来るぞ。
おしっこにもちゃんと行っておこう。

◆発熱時に
風邪をひいて熱を出した時も、多量の発汗による脱水症状を防ぐ目的や風邪対応で疲弊消耗し切った腸でも吸収し易い栄養摂取用途で使える。
医者に掛かったら「スポーツドリンクを買って帰るように」と言われた、なんて話もある。


注意点

運動していない状態では前述のように酷評されたポカリスエットだが、実は汗を掻いていない、運動していない状態で飲料水代わりに飲むのは有害である。
炭酸飲料水以上に糖分を含むポカリスエットを飲料水としてしまうと、急性の糖尿病になる可能性があるのだ(ペットボトル症候群)。

コーラ等の炭酸飲料と違い「身体に良い」からと抵抗感が無い親御さんもいるかもしれないが、普段の水分補給には飲料水やお茶を薦めましょう。
この手の飲料は「スポーツドリンク」の名を冠する通りスポーツの様な高負荷時用の物であって低負荷状態で常飲する物ではないのだ。
また、乳幼児等に与えるのも良くない。


CM

当初は外国人モデルを起用していたが、1986年に歌手デビュー前の森高千里を起用して以降は青春美少女路線がメインとなった。
歴代CMには宮沢りえ、一色紗英、中山エミリ、綾瀬はるか、川口春奈、中条あやみといった面々が起用され、名だたる人気女優への登竜門となっている。
尤も美少女一辺倒というわけでもなく、過去には舘ひろしやビートたけし、SMAP*3福山雅治といった男性タレントを起用したことも。
最近では吉田羊と鈴木梨央を起用したCMが美少女モノと並行して毎シーズン作られている。

楽曲についても名曲ぞろいで知られる。

  • 1992年「いつまでも変わらぬ愛を」織田哲郎
  • 1993年「揺れる想い」ZARD*4
  • 1994年「瞳そらさないで」DEEN
  • 1995年「突然」FIELD OF VIEW
  • 1996年「心を開いて」ZARD
  • 1998年「さまよえる蒼い弾丸」B'z
  • 1998年「夏の魔法」ペパーランド・オレンジ
  • 1999年「GOING TO THE MOON」TRICERATOPS
  • 1999年「Sunny Day Sunday」センチメンタル・バス
  • 2000年「Brand New Wave Upper Ground」JUDY AND MARY
  • 2000年「ミュージック・アワー」「サウタージ」ポルノグラフィティ
  • 2001年「あたしをみつけて」JUDY AND MARY
  • 2001年「スカート」CHARA
  • 2002年「SONS OF THE SUN」麻波25
  • 2003年「それがすべてさ」福山雅治
  • 2004年「RED×BLUE」福山雅治
  • 2005年「未来」Mr.Children
  • 2006年「ハネウマライダー」ポルノグラフィティ
  • 2009年「一粒大の涙はきっと」Hi-Fi CAMP
  • 2023年「暑さのせい」大瀧詠一


オロ
一部のサウナ愛好家で流行した「オロナミンC」と「ポカリスエット」を配合してできるドリンクの俗称。
およそ1:1の割合で入れれば良いとされており、スパ銭などで併設されているフードコーナーではジョッキで販売されていたりする。家庭で作る分には、まずポカリを半分ほど飲んでペットボトルにオロナミンCを入れればちょうどいい。
成分もビタミン・ミネラル・水分を汗と一緒に排出してしまった後の身体にはちょうどいい配分で、味もしつこすぎない炭酸なので喉越しも素晴らしい。
同社製品のMATCHとは味や成分がかなり似ているのでこちらで代用しても大丈夫。



どうでもいいが、ポカリを赤飯と共に食べると超マズい。



追記・修正は、CMに出演した美少女を思い出しながらお願いします。

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最終更新:2024年02月29日 21:56

*1 後に大塚でも「経口補水液OS-1」という名称で製品化されており市販されているが、あくまでも医療用製品のため清涼飲料水代わりに飲んではいけない。

*2 なお、製品は無果汁表記で、更にグレープフルーツ以外の果汁については社外秘とされ明かされていない。

*3 5人で出演したほか、脱退した森且行もオートレーサー転向後に出演実績がある。

*4 2019年には吉田羊・鈴木梨央によるカバー版がCMで使用されている。