影分身の術(NARUTO)

登録日:2012/10/19(金) 23:53:08
更新日:2024/04/14 Sun 14:25:19
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影分身の術!


NARUTO‐ナルト‐』に登場する忍術の一つ。
主人公うずまきナルトの得意技であり、全編を通じて戦術の基点となる重要な術。

両手の人差し指と中指を立て、それらを十字に交差させる特殊な印を結んで発動する。
チャクラを等分割し、形を持った分身を作り出す、上忍級の高等忍術。
開発者は二代目火影・千手扉間。木ノ葉隠れ発祥の術だが、岩隠れのマヒルも使用している。



◆概要

通常の分身の術が残像を作り出すだけで攻撃に使えないのに対し、こちらの分身は形を持ち攻撃も可能。
以下の応用術一覧からも分かる通り、非常に汎用性が高い。

基本的に一撃でも攻撃を喰らうと解除される。
また、本体が気絶・死亡することでも術が保てず解除される。
熟練者であれば影分身もいくらかはダメージを受けても活動を続けられるが、それでも本体に比べれば耐久力は遥かに低い。
自ら印を結び解術することも可能、術者本体と影分身のどちらからでもできる。
カカシによる影分身の説明では、影分身の方から解術している。

影分身の性格や記憶は本体に準拠するが、「自分は影分身で、本体が別にいる」という認識が追加されて完全に独立している。
そのため、ナルトの風遁・螺旋丸の修行中は1人だけ九尾化した際に「気をつけろー!」と叫んだり、影分身同士で会話していたりする。

影分身は本体より幻術が効き辛いらしく、イタチがカカシの影分身に「体が紙になり足から燃やされていく」という幻術をかけた時、「手応えがない」と漏らし、その影分身も体が燃えているのに反応が薄く、幻術返しや自傷すらせずに幻術を解除している。

チャクラの等分割

「チャクラを均等に配分する」という特性上、発動するだけで凄まじいチャクラを消費する為、チャクラ量が少ない忍には不向き。
実際の戦闘では影分身以外にも術を使用してチャクラを使う事が殆どで、チャクラが大幅に減るという事はチャクラの枯渇を招きやすいという事であり、それはのリスクに直結するため、木ノ葉隠れの里では一度に複数人に分身する「多重影分身」は禁術に指定されていた*1。 

カカシが数十人に分裂した時は、桃地再不斬戦の直後でチャクラが尽き掛けていたことを考えると、作成できる影分身の人数にチャクラ量は影響しない模様。
但し残り少ないチャクラを分割している為、本体も影分身もまともに動ける状態で無く、本人の言う通りハッタリだった。
ボルトは4人がやっとだというが、これは実用に耐える範囲で、ということか。因みにナルトは習得早々に1,000人作成、中忍をリンチしていた。パネェ。

人柱力のチャクラ量により大人数に分身できるナルトはこの術をあらゆる局面でフル活用しており、撹乱や物量戦法はもちろん、「回避」「コンビネーション体術」「変化の術とのコンボで影手裏剣」「岩に変化して奇襲」「仙術チャクラのストックや回復」、更にチャクラの性質変化・形態変化を分身に役割分担させることで、これらの技術を扱う高難度忍術の使用難易度を大幅に下げるなどしている。

尾獣チャクラも均等に配分されるらしく、本体は無事でも、影分身が暴走して尾獣化することがある。
九喇嘛と和解する前の九尾モードには、「尾獣チャクラ使用中は本人のチャクラが尾獣に吸い取られる」というデメリットがあり、九尾モードのまま影分身を行うと分身体の数だけこのデメリットが起こる為、下手すると一気にチャクラがなくなって死亡する。
九尾と和解し「九喇嘛モード」になってからは、尾獣にチャクラを吸い取られることが無くなり、気にせず使えるようになった。

この術で作り出された分身にはチャクラが均等に配分される為、体の構造を見抜く三大瞳術・白眼を以てしても本体がどれであるかを看破することができない。
残りの三大瞳術も、
それぞれ見抜けていない為、同様と思われる*2

本体への還元

第2部での後付け設定ではあるが、影分身が解除されると「その影分身が蓄積した記憶・経験」は本体にフィードバックされる
影分身が本体から遠く離れた場所で活動していた場合、本体は遠隔地の様子を知る事ができる。
これを駆使して危険な敵地偵察を行うことが本来の用途だとか。

カカシの説明では本体への還元のみ語られているが、実際には残っている影分身にも共有される。
ナルトはこれを活用して本体と影分身の情報伝達の手間を無くしている。
カカシはこの特性を利用し、多重影分身しながら修行することで修行時間を大幅に圧縮するという方法を編み出した。
精神疲労も蓄積される上、チャクラ消費も当然ハンパないのでナルト以外にはそう真似のできない方法となる。
人数を控えればできそうな気もするが。

情報だけでなくチャクラも本体に戻る。
ナルトはこの特性を使って影分身に仙術チャクラをストックさせた。
ただ「練るのに失敗すると蛙の石像になる」という仙術チャクラのリスクも人数分フィードバックされるため、性質変化の修行の時には大量に影分身して修行していた一方、仙術チャクラの修行の際には4人までとフカサクに制限を付けられており*3、ストックの維持も制御の兼ね合いで数人分に限られた。

本体と影分身が距離を縮めてから解術する描写が無いことから、解術の距離制限は無い様に思われるが、ペイン襲来編において仙術チャクラを補給しようとした際は、待機させていた影分身を本体の元へ逆口寄せしてから解術している。
逆口寄せを挟んだ理由は明言されていないものの、この時は
  • 本体と影分身の距離があり過ぎた
  • チャクラの補給を目的とする場合は距離が近い必要がある
  • 本体の意志で特定の分身を消そうとする場合は近くにいる必要がある
などが考えられる。


◆使用者一覧(カッコ内は作中で確認できる最大人数)



◆応用術

  • 木ノ葉流三日月の舞
月光ハヤテが使用。
『臨の書』によると、影分身2人と連携して、斬撃を見舞う術。
術行使時にハヤテは片手を刀の柄にかけており、片手印で分身した可能性がある*8
原作では分身が攻撃している描写が無い事もあって、影分身と分かり辛い。

  • 手裏剣影分身の術
三代目火影・猿飛ヒルゼンが考案した忍具との連携術。
投擲した手裏剣を大量に分身させ、対象を襲う。
非常に難度が高いが、アニメでは木ノ葉丸が会得していたりする。
劇場版では四代目火影・波風ミナトも使用。飛雷神の術とのコンボがエグい。

術者の命と引き換えにする封印術だが、影分身と併用することにより複数回使用可能になる。
作中では猿飛ヒルゼンが使用。

  • 分身大爆破
うちはイタチが使用。影分身を囮に敵を誘導、タイミングを見計らって分身を爆破する。

  • 自爆分身
デイダラが使用。『者の書』によると、影分身に起爆粘土を喰わせて自爆させ、その隙に遁走する術。
使用時、本体は両手が無くなっていたが、「とっておきの"自爆分身"」という台詞があるので、両手がある内に影分身を作っておいて、両手が無いふりをさせていたのかもしれない。
単純に印を結ばず影分身が作れた可能性も無くは無い。

  • 雷伝
はたけカカシが使用。
影分身1人と雷切で繋がり、糸状になった雷で対象を切断する。

  • 犬塚流人獣混合変化・参頭狼
犬塚キバが使用。
自身の影分身1人と一緒に赤丸に乗り、ケルベロスの姿に変化する。
ここから尾追い・牙牙転牙に派生する。

  • 飛雷神の術
影分身でも使用可能。
作中では波風ミナトが使用。
本体は結界を維持しつつ、影分身で奇襲をかけた。
飛雷神互瞬回しの術にも使えるが、千手扉間の言によると影分身では速度が落ちるらしい。

  • 五遁大連弾の術
猿飛ヒルゼンが使用。影分身4人と手分けして、五大性質変化の大技を見舞う。

  • ハーレムの術
おいろけの術とののコラボ。
何気に作中で最初に影分身を応用した術。

  • チューリップの術
多重影分身で行うハーレムの術。
ちなみにハーレムの術共々ギャグみたいな術であるものの、影分身が必要な関係上、どちらも超高等忍術扱いだったりする。

  • おいろけ・女の子どうしの術
オオオオオーッ!!そう来たかァァー!!

  • おいろけ・男の子どうしの術
キャーーーーッ!!そう来るのォォーッ!!
アニメではカットされました。

  • おいろけ・逆ハーレムの術
サクラアホかぁぁぁー! 私ならともかくあんなみたいなやつにそんな技が効くかーっ!」
カグヤ「…っ」(動揺しているうちにナルトの攻撃が入る)
サクラ「効いたーっ!」
ナルト「強い奴ほど、こういうエロ忍法は意外と効くんだってばよ!」

  • 分身体当たり
影分身が本体を投擲して一気に間合いをつめさせる。

  • ナルト連弾シリーズ
ナルトがサスケの「獅子連弾」を真似て作り出したオリジナル体術。
影分身との連携で連弾を仕掛ける。


◆類似術

  • 分身の術
残像を作り出す。
実体は無く、陽動や身代わりにとどまる初級術。
中忍試験のシカマル戦で、テマリが陽動に使おうとしてたのはこっち。
ナルトはこれが苦手で、へばっていたり、死んでいたりする分身が作られる。エビスの分析によるとチャクラの量を適切に調節できていないからだとか。

水を媒介に実体を作り出す。
チャクラ消費は少ないが、分身の性能が低く、写輪眼で看破される。

  • 土遁・岩分身の術
岩を媒介に実体を作り出す。

  • 土遁・影分身
泥でできた分身を作り出す。
アニメ版オリジナルの術。

  • 雷遁・影分身の術
雷遁チャクラで作った影分身。
攻撃されると消える代わりに電撃に戻って、攻撃してきた相手を感電させる。
影分身自体がチャクラを等分割する上、この術は使い捨てにする為、チャクラの消耗が激しい。
天道と修羅道を騙しおおせているので、輪廻眼では見抜けない模様。
アニメ版ではうちはオビトも引っ掛けていた。

  • 紙分身の術
小南が使用。
小南が沢山でハァハァすることなかれ。起爆札を仕込むことで人間爆弾もどきとしても使用可能。
さらに「式紙の舞」と併用することで本体と遜色ない戦闘力も発揮。

細胞を媒介に作られる実体。千手柱間と彼の細胞を持つ者のみ使用可能。
“一応の強度が確保された仮初の存在”ではなく、木をベースに確固たる物質で形成されるためか、スペックが普通より高め。
細胞から作っているのもあり、“影”分身というよりかは“弱めの別個体を生み出す”ニュアンスに近く、やってることはこの人とかこの人に近い。
だってボン! と“出現”する影分身に対し、メキメキメキ!!と背中から“生えてくる”し……。

少なくとも柱間の認識ではあのマダラの元へ送り込み戦うにも十分な戦力である模様。
……破格という他ない。
解除を経る必要のある影分身と異なり、オリジナルと分身が常に情報を共有する。
当然リアルタイムで共有できることに越したことはないので、やはり別格の術である。
実際、柱間はほとんど動かないまま木分身からの情報で戦況を迅速に受け取り、
別の場所の面々に伝えようとする離れ業をさらっとやっている。
自分限定とはいえ一人版「心伝身の術」みたいな所業である。何気に情報処理能力も非常に高い。これが忍の神……
この特性を利用した「送信木」という術も存在。
この術に限り、分身のチャクラは意図的に少な目に配分することが可能と言及されている。チャクラが少なめに配分される分、本体よりも能力は下がる。
このチャクラを等分しない芸当は、実は術者の力量次第では通常の影分身でも可能なのか、木分身限定の特徴なのかは不明である。

この術をデチューンし、特異体質を持たない人間でも有用な用途に限定して扱えるようにした……と仮定すると、扉間はこの術を元に影分身の術を開発したものと思われる。
物質をベースにした実体を持つこの術が着想点だとすれば、“影”分身というネーミングもシャレが利いているように思えてくるのだから不思議である。

  • 多重木遁分身の術
木遁分身による多重影分身。
うちはマダラは更に分身全員で須佐能乎を使うという鬼畜コンボを披露した。

  • (からす)分身の術
烏を集めて作る実体。
チャクラ消費が少ない。
攻撃を受けて分身が消失する際、その場で鳥が四方八方に飛び散って視界を遮るため、目くらましにも使える。
サスケが驚いていた為、写輪眼では見抜けない模様。

  • 粘土分身
デイダラが使用。
粘土で作った実体。
分身を貫いた相手を拘束することも可能。
単体では爆発しない様で、作中のデイダラはC4を別に用意していた。
起爆粘土を仕込めば爆破も可能。
サスケを引っ掛けている為、写輪眼では見抜けない模様。

  • 墨分身の術
墨で作った実体。
攻撃されると元の墨に戻る。
サイのものは精度が高くないらしく、大蛇丸や写輪眼を封じているカカシに見破られている。
キラービーはこの分身を用いて封印術億怒端数(オクトパス)煩流奴(ホールド)を発動する。

  • 砂分身
砂で作った実体。
我愛羅は他人の砂分身を作ることが可能。

  • クローン
術ではないが、遺伝子技術をまともに研究しているのが大蛇丸くらいの劇中世界では大蛇丸の口から「消えない影分身」と表現されている。
概念そのものはマダラも理解しており、結構昔からそういう考えはあった模様。
うちはシンはこれを持って大量の「うちはシン」を作り上げており、自身の内臓や万華鏡写輪眼のストックとして利用している。ダンゾウが大量に持つ写輪眼もシンのクローンのものである模様。


◆余談

  • 多重影分身は危険であるため禁術扱いとなり巻物に記されて封印されていたが、物語の冒頭でナルトがそれを盗み出し習得した。
    ちなみにこの巻物は「1個しか習得できなかった」とナルトが言っていた事から影分身以外の術も書かれていたようだ。
    影分身の開発者が開発者なので、ファンの間では穢土転生の術も記載されていたのではと実しやかに囁かれている。そんなのが書かれているなら巻物の管理が杜撰過ぎィ!また、チャクラ消費の激しい多重影分身を最初のページに記載したのは、会得した術者を死亡させることで情報の漏洩を防ぐトラップ目的ではないかとも言われている。

  • ナルトは多重影分身を使いこなすようになった後でも、普通の「分身の術」は依然苦手なままのようだ。
    冒頭では「ナルトの得意忍術」と書いているが、中忍試験本選ネジに勝利した時、ネジから「影分身はお前の得意忍術だったな」と言われたのに対して
    アカデミー卒業試験の3連続落第の原因である「分身の術」を引き合いに出して否定している事から、普通の分身と影分身は原理は似たようなもので、影分身ができる忍は普通の分身もできるのが普通であると思われる*9

  • ナルトが影分身や螺旋丸等少ない術しか使わないのは、記憶力が悪く複雑な印を覚えられないから。
    影分身は印が一つだけ、螺旋丸に至ってはそもそも印が不要。ナルトが修得した印が必要な高等忍術は口寄せの術だけである*10

  • 実在する影分身は作中とは逆に残像を作り出す技で、素早く動いて複数人居る様に見せ掛ける。そりゃ現実に人体が分裂する訳ないからね。
    こちらの術を先に知っていた為に、『NARUTO』の分身と影分身の違いに混乱した読者・視聴者も居るとか。まあそんなこと言ったら木遁なんて木の葉に紛れるだけだし



追記・修正は影分身で別の作業をしながらお願いします。

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最終更新:2024年04月14日 14:25

*1 誤解されがちだが、普通の「影分身の術」は会得難易度Bランク(上忍レベル)で禁術指定されておらず、数が多い「多重影分身の術」は会得難易度Aランク(超高等忍術)となっている

*2 アニメ130話ではサスケが「写輪眼なら本体を一発で見極められる」と語っているが、原作で判明する前に出た描写であるためアニメオリジナル設定と思われる

*3 この人数が、蛙化前にハタキ棒で仙術チャクラを追い出す行動が間に合う限度とのこと。

*4 1人1枚ずつ葉をもいで広葉樹1本丸裸にしたこともある。

*5 しかも消耗した状態でこの人数だが、ハッタリ目的だったため戦闘力は発揮していない。

*6 ミナトは地面に指を当てて索敵した時に「(本体含めて)20はいる」と発言。

*7 四赤陽陣を発動中に使用。当人が「たった2体…ワシもこのザマとは」と嘆いているため、全力時ならばもっと多く分身できると思われる

*8 BORUTOにて隻腕のサスケが影分身を発動する際、同じ印を結んでいる。

*9 分身の術は忍者学校の試験で出される程度の術であるのに対し、影分身は上忍レベルの術であるため、上忍クラスの術が使える者なら忍者学校の術くらい使えて当然という見方もできる

*10 しかしペイン襲撃から忍界大戦の頃には、1回見ただけの輪廻転生の術の印を記憶していてオビトが結んだ印が輪廻転生の術でない事を看破している他、火影になった後は様々な属性の印を必要とする術を使いこなしているので、単に勉強嫌いが祟っただけの可能性もある