神尾晴子

登録日:2012/06/12 (火) 00:47:32
更新日:2023/12/02 Sat 21:48:09
所要時間:約 7 分で読めます




「うちなんかに…甘えたいわけあらへん、あの子が」


神尾晴子とはkey制作のゲーム「AIR」の登場人物の1人。
CV:久川綾


誕生日11月3日
血液型:B型
身長:168cm
スリーサイズ:B88/W57/H85



メインヒロインである神尾観鈴の母親。といっても本当の意味での親ではなく、血縁関係では観鈴の叔母に当たる。
バイク(イタリアの「ドゥカティ」社『モンスター』)で納屋に思い切り突っ込むという豪快な登場をかました。因みに観鈴曰くいつものことらしい。
スタイルがものすごく良く、ピタピタのキャミソールやTシャツなどボディラインが強調されるような服をよく着ている。

ひょんなことから観鈴の家に住みついた国崎往人のことを最初は快く思っていなかったが、次第に彼の事を気に入るようになる。
関西弁で豪快で男勝りでぶっきらぼう。仕事で乗り回してるバイクで往人を轢いたりしても全然悪びれる様子が無かった。
そして酒豪であり、作中でも往人に対してやたらと絡み酒をしていた。出来上がった時のテンションはとにかくハンパない。

「恥ずかしい告白のコーナー~」

「エロティックな告白コーナー~」

「…かくし芸大会(そこはかとなく寂しそうに)」


黒いパンツスーツをセクシーに着こなすが、一体何の仕事をしているかは作中では明かされてない。
ただ、時間帯や晴子の言動から考えるとどことなくそっち系の気がする。
というか「最初の男にケツの穴に入れられた」とかどうとか言ってたし。
(劇場版での仕事に関してはページ最下段に掲載)

義娘である観鈴に対してはどこかそっけない態度を取り続けており、居候である往人に半ば彼女の事を押し付けるような素振りまで見せている。
そのことに関して、次第に観鈴に惹かれていた往人も義理とはいえ母親らしいことをしてやらない晴子に対して怒りを見せていた。


しかし晴子自身は自分が甲斐性なしで親には向いていないと吐き捨てており、今更親子の関係になろうにも時間が経ちすぎていると半ばあきらめている。
そもそも、観鈴のことは望んで引き取ったわけではなく強引に押し付けられたとのことで元からそんなに情が無いらしい。
観鈴も観鈴で引き取られた当初から晴子の邪魔になっていると悲観的であり2人は同じ屋根の下にいながら別々に暮らしてきていた。

観鈴が仲良くなれそうな人が現れると謎の癇癪を起こし、その所為で誰も友達がいないことも知っているが、それでも彼女は距離を置き続けていた。
そのことに往人は、晴子がそうやって観鈴と距離を置いているから逆に彼女の側にいられる。ということを悟りながらも、
晴子の態度には終始イラつきを見せていた。


そして観鈴が原因不明の奇病により、ベッドにこもりきりになるくらい弱っているというのに、
晴子は観鈴を往人に押し付けて温泉旅行へ行くと言って姿を消してしまう。それきり彼女の出番は無い。
いくら自分の本当の娘ではないとはいえ、このあんまりな態度にはプレイヤーも往人と同様に呆れてしまったことだろう。


keyの母親キャラといえば秋子さんや早苗さんといった良キャラが多いだけに、
相対的に比較される彼女の評価が決して高いものではないことは明白である。






追記・修正お願いします。




実の親やないからとか…そんなん関係あらへん
うちがあの子といたいだけや…



























…と、DREAM編を終えた時点では、こんな風に思ってしまうプレイヤーも多いかもしれない。
しかし、最終章であるAIR編で明らかになる彼女の真の姿は、AIRのもう一人の主人公であり、上述した2人にも決して劣らない最高の母親であり、
そして、観鈴と合わせて最強クラスの涙腺破壊兵器である。


以下、最大級のネタバレ含む


















AIR編では観鈴に対する彼女の真の気持ちが明らかになる。
一緒に暮らす内に情が芽生えてしまい、いつか実の親に引き取られた時の悲しみを大きくしない為に、無理に距離を置いていたという真相が語られる。
しかし往人の言葉によって心が揺らぎ始めており、いつしか弱っていく観鈴に対して何もしてやれない自分を不甲斐なく思い始める。

「あの子、今、体の具合悪ぅしてるいうのに…うちはひとりで寿司食っとるんかいな…」

「いつおらんようになってしまうか、わからんこと怯えて、どれだけ過ごしてきてるんや…」

そして晴子はこれ以上辛い思いをしたくない、観鈴をこれ以上悲しませたくないという思いから、観鈴を本当の自分の娘にすることを決心する。
DREAM編で温泉旅行に行くと言っていたのは真っ赤な嘘で、本当は観鈴の実家である橘家に観鈴を自分の娘にしてもらえるように談判しに行っていたのだ。
彼女曰く、家の玄関の前で十日間も土下座をし続けていたらしい。


そして晴子は観鈴の下へと戻ってきて、今までずっと1人にしてきたことを何度も何度も謝り、これからは2人で暮らしていこうと優しい笑顔を見せる。
自分の持つ病気の所為で往人を苦しめてしまった観鈴は、晴子まで苦しめたくないとその申し出を拒もうとするも、献身的な晴子の態度に心を動かされ、
2人で生きていくことを決心する。


「もしな、うちが苦しむようなことなったら…」

「うちは嬉しいで」

「そのとき、うちは、あんたの一番近くにおる人になれたいうことやろ?」


当然人にもよるだろうが、晴子が観鈴と共に歩んでいくと決めてからのAIRは泣かない部分を探す方が難しいと言っても過言ではない。

共に歩んでいく晴子と観鈴の楽しげな生活風景…
観鈴の記憶喪失と海岸での抱擁…
土砂降りの中での夏祭り…

そのどれもが我々の涙腺を容易く破壊してしまう感動シーンであり、
本当の親子になろうと必死に頑張る晴子の姿はまさしくAIRのもう1人の主人公である。


「ママ…」

「そうや…うちがあんたのお母さんや…」


そして最期の観鈴のゴール…ここまでの道のりとこの結末はプレイヤーの涙という涙を絞りに絞りつくしたに違いない。
全てを思い出し、全てを終わらせるために空へと帰る観鈴を抱擁し、
ひたすらに泣き続ける晴子を見て、きっとリアルに画面が見えなくなってしまっただろう…






「置いていかんでやっ…」

「うちをひとりにせんでやっ…」

「あんたに何もかも教えてもらったんやないかっ」

「ひとりきりやない、生き方…」

「あほで甲斐性なしやったうちに教えてくれたんやないか…」

「酒飲むことだけが幸せやったうちに教えてくれたやないかっ…」

「家族と一緒に生きるいうことや…」

「その中でうちは守るものができて、強くなれて…」

「それで、幸せを掴んだんや…」

「あんたを幸せにすることが、うちの幸せやったんや…」

「あんたと一緒にいられたら、幸せなんやっ」

「な、ずっとふたりで幸せに生きてこ…」

「これから先ずっと…」

「うちらふたりで…」

「ほかにはなんもいらんから…」

「友達もいらん…」

「新しい服もいらんし、贅沢もできんでええ…」

「ただ、あんたといられたらそれでええんや…」

「ずっとふたりで暮らしてこ…」

「また海を見にいこ…」

「あんたが好きなヘンなジュース飲んで歩こうや…」

「飽きるぐらい遊ぼ」

「ずっと、神尾の家で、ふたりで仲良ぉ暮らそ…」

「な…」

「だから、いかんといてやっ…」

「うち、おいていかんといてやっ…」

「ひとりにせんといてやっ…」

「うちをひとりにせんといてやっ…」

「な、観鈴…」

「観鈴っ…」

「観鈴…観鈴っ…」

「観鈴…」

「観鈴ーっ…!」













そして全ての悲しみを乗り越えた後の晴子は、もっと多くの子供と接する為に保育所で働き始める。そこに浮かぶ笑顔はとても眩しい物であった。







+ 以下、ちょっとした余談
「ウチのことなんかムシケラや思ぅてくれてもかまへん!!」

劇場版では佳乃、美凪の話が丸カットされた為、出番はTV版から据え置きで多い。
仕事は水ショーバイというわけではなく、朝は漁協・昼は農協・夕方はスーパーで働いている。
つまりは正社員じゃないので、どことなく闇を感じる。まあ残業がある仕事だと観鈴の面倒を見られないからだろうけど

本作では観鈴は普通に喋るし癇癪が存在しないため、当初からAIR編よろしく観鈴とは大の仲良しであり、DREAM編からは考えられないほどラブラブである。
冒頭の台詞は衰弱していく観鈴に対してかけた悲痛な声であり、当初から「観鈴が大好き、自分は二の次三の次でどうなってもいい」という信念は全くブレておらず
原作やTV版とは逆に国崎を「観鈴の初めて出来た友達」として喜び、頼り、縋り、不安や焦り、嘆きも悲しみも何もかも全て観鈴絡みという、
徹底してウィットな観鈴への情熱が描かれている。

こうなった原因としては尺不足もあるが、劇場版は国崎ではなく観鈴が主人公として描かれている*1ので、
原作よりわかりやすく観鈴の人間関係を描く上でこのような生の感情丸出しの晴子になった、と推察できる。

なお本作ではなんと観鈴の母の姉、つまり伯母である。
ということはどう計算しても30代…にもかかわらず、乳首が透けて見えそうなネグリジェ(※原作にはそんなもん出てこない)から映るボディラインは圧巻の一言。
劇場版でのキャラクターデザインは非常に評価が高く、晴子もその恩恵に預かっていると言える。

妹を失い落ち込んでいた時*2に、まだ幼い観鈴(ばちくそ可愛い)と出会い、全然劇中で説明がないまま敬介と引き離された観鈴を本当の娘のように育てていた。
観鈴も観鈴で、国崎と一緒に生母(晴子の妹)の遺影をタイムカプセルから掘り出して焼いており、その際にも「私のお母さんは晴子かあさんしかいない」と嚙みしめるように告げている。
血縁が無ければ国崎が「百合に挟まる男」状態になってもおかしくないくらいの相思相愛ぶりである
なお、敬介のことは原作とは違い呼び捨てにしておらず、互いに敬語で話しているあたり、原作よりよそよそしさが感じられる。

そして物語のラスト、「ゴール」する直前の観鈴の最期の言葉も、原作とは少し違う形になっている。
「1000年の時を巡るセカイ系の壮大な話」を「母子と異邦人の青年のひと夏を描いた闘病もの」のように描いたこともあって何かと原作ファンからは言われる劇場版であるが、
「とにかく観鈴晴子が2人で笑っている姿が見たい、ギスギスしてる所なんか見たくない」「観鈴のゴールを見届けるのが国崎往人ではなく一介のカラスなんて辛すぎる」という一部の原作視聴者の願いは叶えられた映画であった。


追記・修正は晴子さんを最高の母親だと断言出来る方がお願いします。

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最終更新:2023年12月02日 21:48

*1 スタッフロールもPS2版やTV版では国崎が最初だが、劇場版では観鈴が最初

*2 この頃は当時の観鈴同様ショートカットである。出崎監督がそこまで考えていたかどうかは不明だが、2人で揃えて伸ばした可能性がある